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弁護士ドラマ
- 2018/10/12(Fri) -
弁護士モノのドラマが2つ始まったので、観てみました。
月曜がフジテレビの『SUITS/スーツ』で、昨日はテレビ朝日の『リーガルV〜元弁護士・小鳥遊翔子』。
小鳥が遊ぶところには鷹は居ない、ということで「小鳥遊」と書いて「たかなし」と読むのですか。へぇ。

『スーツ』は視聴率14.2%。そこそこの数字だと言いますが、評判は必ずしも芳しくありません。
たしかに、海外ドラマの『SUITS』と比べたら少しガッカリする完成度ですが、今後に期待しましょう。
できれば、もっと徹底的にオシャレに、キザに、そしてストーリーはもっと重厚にしてもらいたい。

一方の『リーガルVは』は、視聴率の15%こそ拮抗していますが、わりと好評価ですね。私も賛同します。
医者モノの『ドクターX』の弁護士版なわけですが、カタルシスの得られるストーリー展開も悪くない。
癖のあるキャラがあちこちに居て、伏線も十分です。来週も観たくなりました。

初回の印象はどうしても、前評判や期待とのギャップに影響を受ける嫌いがあります。
シリアスで重厚な展開を期待した『スーツ』と、破天荒な主人公の活躍を期待した『リーガルV』の違いか。

医者モノのドラマを観てガッカリするのとは違って、畑違いの弁護士モノは単純に楽しめますね。
少々説明調なセリフが出てきても許せるし、ディテールのあら探しをすることもないですから。

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『M:I フォールアウト』
- 2018/08/03(Fri) -
『ミッション:インポッシブル フォールアウト』 観てきました。
本日封切りの映画ですから、どのように注意して書いてもネタバレになりかねませんが、注意して書きます。
(でもなるべく読まないでくださいね、今後観に行く予定の方は)

朝9時前に映画館に行くと、子どもたちが大行列。目的は『インクレディブル・ファミリー』でしょうか。
『フォールアウト』の方は、客の入りは2割程度か。まあこれでも、他の映画の封切り日よりはだいぶ多い方。
ざっと客席を眺めたら、40〜60代ぐらいのオッサンがやたら多くて、ちょっと妙な雰囲気でした。

「007」シリーズでもそうですが、この手の映画は、誰が味方で誰が敵か、最後までわからないのが困ります。
昔のようにKGBが出てくれば単純明快なのですが、今は各国の諜報機関とテロリストが絡むのでややこしい。
もはや同盟国でも、自国組織ですら油断なりません。しかも逆転につぐ逆転。

もともと「M:I」シリーズは、二重スパイや裏切りが得意ですが、それがますます複雑になっています。
少しでも居眠りしたら置いてかれますからね。まあ、あのアクションだから、居眠りはできないでしょうけど。
どんでん返しには慣れているつもりですが、それでも結局、裏切られてしまいます。もちろん良い意味で。

それにしても「お面」ですよ、変装の。いくら精巧にできてるからって、そばで見ててバレないんですかね。
シリーズ第2作などは、ちょっと使いすぎじゃないのと思いましたが、今回はなかなか抑制的で効果的でした。

なんといっても、トム・クルーズのアクションには驚きます。どんな危険なスタントも、全部自分でやる。
撮影中に骨折して、しかもそのまま撮影を続けたとか。ああ、このシーンかと、映画見ながら思いました。
こんなことしてると、次は骨折じゃ済みませんよ。重症・重体になったらなったで、そのシーンも使うのかも。

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ジュラシック・シリーズ
- 2018/07/28(Sat) -
映画『ジュラシック・ワールド 炎の王国』を観たので、その感想文です。
(以下、ストーリーそのものを書くわけではないですが、どうしてもネタバレになりますのでご注意ください)

『ジュラシック・○○』シリーズの最新作(第5作)です。第1作の公開は1993年。もう25年も前なんですね。
第1作のCGはあまりにも衝撃的でしたが、さすがに25年もたつと、観る方もすっかりCG慣れしてますね。

シリーズのカテゴリーとしては、人間のエゴへの警鐘を強調したSFスリラー、とでも言うべきでしょうか。
テーマが恐竜なのに、人が次々と殺害されてしまうので、小さい子どもには見せられないレベルですね。

全作品に共通するのは、悪人たちは必ず最後には、恐竜に食べられてしまうということでしょう。
一般市民も多少は被害に遭いますが、とくに悲惨な最期を遂げるのは、金儲けに目がくらんだ悪人たちです。
逃げ延びようとする悪人たちに最後に鉄槌が下るシーンには、恐怖と同時にカタルシスを得てしまいます。

一方で、主人公とその周囲の人々は生き延びます。善人はなるべく殺さないのが、暗黙のルールなのか。

それでも、最新作と以前の4作品とでは、大きな違いがありました。終わり方です。
前4作は、大混乱の末にもそれなりの収束を迎え、そこそこ心穏やかなエンディングとなった気がします。
ところが今回の第5作ときたら、もうどうにでもなれという、投げやりな(やけくそな)終わり方でした。

次回作を作りやすくするための伏線のレベルを超えて、もう、次を作る気は無いのかと思わせます。

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映画とハンセン病
- 2018/07/11(Wed) -
加藤剛さんが亡くなりました。
ドラマ『大岡越前』や映画『砂の器』が代表作ですが、最近の映画では『舟を編む』で見かけました。

昨夜は約30年ぶりに『砂の器』を観てみたら、加藤氏の若々しいこと。その他の俳優の方々もみな、若い。
この映画の特徴は、終盤の構成の巧さでしょうね(以下、ネタバレあり)

成功した音楽家のコンサートと、事件の背景を解き明かしていく捜査会議とが、同時進行で描かれます。
『ゴッドファーザー』で、洗礼シーンとボスらの殺害シーンが並行して描かれた、あのラストに似てますね。

「業病」との位置づけで描かれている「ハンセン病(癩病)」が、この映画の根底を流れる重いテーマです。
松本清張氏が原作を書いたのは昭和35年。私が生まれた年です。映画ができたのが昭和49年。

ハンセン病を差別的に描いたのは、戦前の回想シーンに限定されており、一定の配慮はなされていました。
映画の最後にも、ハンセン病患者の社会復帰を拒むものは非科学的な偏見と差別のみだと、字幕が出ます。

この病気のことを昔の人たちは、本当に恐れ、差別してきたのでしょうね。他の映画でも見かけます。

有名どころでは『ベン・ハー』でしょう。主人公の母と妹が罹患しますが、キリストの奇跡で完治します。
私の好きな『ブラザー・サン シスター・ムーン』でも、ハンセン病患者が差別され、隔離されていました。
これらの映画はハンセン病患者を、救済の必要な存在として、慈悲をもって描いていた気がします。

一方で、中学時代に観た『パピヨン』では、ハンセン病がひたすら不気味な存在でした。
最近(?)では『もののけ姫』にも、ハンセン病患者とおぼしき、隔離された人々が登場してました。

どのように描いても批判を招きかねない難しい題材ですから、今後この病気はとりあげにくいでしょうね。

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『ブラックペアン』最終回
- 2018/06/24(Sun) -
サッカーの試合と放送時間が重ならなくて良かったドラマ『ブラックペアン』最終回。(ネタバレ注意)

「今日、すべて終わらす」と言い放つ、主人公の渡海先生。そりゃそうでしょう、最終回だし。
今日もツッコミ所(=間違い探しポイント)は満載でした。

いきなりの衝撃的なシーンは、例の秘密患者のレントゲン撮影でしょうか。
病室でのポータブル撮影は、プロテクターなし。居合わせた4名全員が、まるっと被爆してます。

おまけにそのレントゲン画像には「立位 P→A」とある。立位で背中側からX線を放射した場合の表示です。
そのディテールを、監修者が間違えるはずはありません。どう考えても、医療従事者向けのサービスですね。

CMタイムも気が抜けません。「花王アタック抗菌EX」のCM。あれ(=アタックNo.1)はなんですか!
「家庭教師のトライ」か「漂流教室xモンスト」のCMに匹敵するふざけ具合じゃないですか。

見てていちばん胸が苦しくなったのが、術中心臓マッサージ(心マ)のシーンですね。
まず、心マの手つきがダメ。アレじゃ蘇生しませんよ。
その証拠に、心マ中のモニターは、心電波形も動脈圧も完全にフラットでしたからね。
しかも、「諦めるな、諦めたら終わるぞ」と叫んだばかりの執刀医が、すぐに諦めてしまうってどうなの。

人工血管の縫合を終了して大動脈の遮断を解除したら、VF(心室細動)になりました。
それを予測したかのように、渡海先生はあらかじめ「いちおうDC用意しとけ」と叫んでましたね。
でもね、DC(=直流除細動器)なんて、言われなくても準備してあるはずですけど。

「ブラックペアン」の謎が、ついに解明されました。
ただ、術前には必ずレントゲン撮るので、渡海一郎氏がペアン置き忘れの罪をかぶるはずはないですけどね。
そこがこのドラマでいちばん、私が引っかかったところでした。まあ、全体的には面白かったけど。

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制限時間は1時間
- 2018/06/17(Sun) -
どのような超難関手術でも、最後は必ず成功するので安心して見ていられるドラマ『ブラックペアン』第9話。

「タイムリミットは1時間」みたいな局面が、今日も訪れました。
心臓の筋肉は、病気や手術によって血流が途絶する(=虚血)と、その細胞が障害されてしまいます。
「心筋虚血時間」が長くなればなるほど心筋障害が強まり、最悪の場合、その心臓はついに動かなくなります。

なので心臓外科手術では、虚血時間をできるだけ短くするように、手を尽くします。
心臓を止めて行う一般的な手術でも、今日のドラマのような心筋梗塞直後の手術でも、考え方は同じでしょう。

このように、心臓手術にはしばしばタイムリミットが存在するので、ドラマにすると適度な緊張感を生みます。
まるでテロリストが仕掛けた時限爆弾を処理するシーンのように、スリリングに描くことができるわけです。
心臓外科が他の外科手術よりもドラマ化されやすい理由のひとつは、時間のファクターがあることでしょうね。

しかし現実には、制限時間を1秒でもオーバーしたらダメで、1秒でも下回ればOK、なんてことはありません。

今日の「1時間」だって、その症例の諸条件を考慮して経験的に考えられる、おおざっぱな数値にすぎません。
70分かかっても問題無いかもしれないし、50分でも致命的な結果になることだってあるでしょう。
なので、1時間という数字を絶対視してこだわっていたシーンが、少々ゲーム的で私にはなじめませんでした。
ドラマですから、いちいち目くじらは立てませんけどね。さて、来週は最終回。

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怒鳴る執刀医
- 2018/06/10(Sun) -
素早く縫合しメッツェンで糸を切る。手術操作のシーンはそればっかりの『ブラックペアン』第8話。
ドラマ全体(たぶん、全10話)の終盤に近づいてきたので、人間ドラマ的側面がメインになってきました。

おかげで手術シーンはますます減っています。
おまけに「手術支援ロボット・カエサル」による手術操作が主体なので、術野(心臓)がほとんど見えません。
しかし、術野に頼らず、トラブルと怒号によってリアリティーを出そうという手法は、今日も健在でした。

外科医はしばしば、手術中には人が変わったように、せっかちで、自己中心的で、荒っぽくなります。
自分が思った通りに、助手や看護師やその他のスタッフが動いてくれないとき、ひどくイラつくのです。
いやそれ以上に、自分がイメージした通りに自分の手が動かないとき、もっとイラつき、周囲にあたるのです。

その反対に、自分の手が思い通りに動いたときは、きわめて温和で寛大な気持ちになります。
助手が少々ヘマをしてもすぐ対処でき、イラつきません。手術の出来不出来は結局、執刀医が左右するのです。

逆説的な言い方ですが、いちばんイラつかない方法は、助手をあてにしないことかもしれません。

一流の外科医はしばしば、助手の動きを限定し、基本的には一人で黙々と執刀します。
助手はまるでロボットのように、その手を執刀医に操られ、動かされたり固定されたりします。
ロボットなので、その動きの責任はすべて、執刀医にあります。
もしも執刀医が怒鳴ることがあるとすれば、助手が人間的な(勝手な、未熟な)動きをしたときでしょう。

助手がヘマして執刀医が逆上、そこへ現れた主人公がうまく処理する。ちょうどこのドラマのお約束ですね。

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ツッコみながら懐かしむ
- 2018/06/03(Sun) -
術野を映さずに手術を描写するパターンが定着してきたドラマ『ブラックペアン』第7話。
今日の私のツボは2カ所。いずれも今回のメインの手術ではないことを、最初にお断りしておきます。

1例目は、人工心肺回路の接続を間違えた医療ミスの回想シーン。
イラついた執刀医が、モタつく看護師から奪い取って大動脈への送血管に接続したのは、脱血用のチューブ。
そのまま体外循環を開始したものだから、致命的な循環動態になってしまいましたが、そんなことあり得ない。

まず、送血管と脱血管は、コネクタの太さがまったく違います。接続を間違えること自体が不可能です。
人工心肺回路は必要最小限の長さにしてあるので、脱血用チューブが送血管のところまで届くのも不可解。
送血管に接続してすぐに体外循環を開始するなど、まったくナンセンス。脱血管はどうしたの、って話です。
トラブルをリアルに描きたいのであれば、とことん正確に描写してほしいものです。

おまけに、執刀医が自分のミスを他人のせいにしたシーンを見て、女子医大の事件を思い出してしまいました。

2例目は、術中に発症した心筋梗塞に対して、緊急冠動脈バイパス手術を行ったシーン。
主人公が、バイパスに使う「内胸動脈」を剥離しつつ、「お前サフェナ取れ」と助手に命じます。
「サフェナ」というのは、やはりバイパスに用いる下腿の「大伏在静脈(saphenous vein)」のことです。

私にも、「サフェナ取れ」と指導医に命じられた経験が何度もあるので、その言葉は妙に懐かしく響きました。
サフェナ取りは基本的な手術手技ですが、その出来具合は重要で、若手心臓外科医の腕の見せ所なんですよね。
このドラマ、毎度ツッコミどころ満載なのに見てしまうのは、そのような懐かしさゆえかもしれません。

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左房粘液腫
- 2018/05/27(Sun) -
複雑な人間関係が明らかになってきて、逆に手術シーンがつまらなくなってきた『ブラックペアン』第6話。

今日の手術は、心臓の腫瘍「粘液腫」の切除と、その残存腫瘍の摘出と、そのまた合併症への対処手術でした。
一粒で3度の、美味しくない、でも臨床現場ではありがちな設定でした。

粘液腫の多くは、左心房にできる「左房粘液腫」で、組織としては良性なのですが、生命の危険があります。
なぜなら、左房の出口である僧帽弁にはまり込んだり、腫瘍の一部がちぎれて脳まで流れたりするからです。

術前検査で、大きな粘液腫が心臓の拍動と伴に動き回る映像を見るのは、実に心臓に悪いものです。
担当患者の巨大な粘液腫が、まるで鞠のように心臓の中を転げ回っている様子を目にしたこともあります。
体の向きで粘液腫の動き方が変わり、何かの拍子に僧帽弁にはまり込み、突然死することもあり得ます。

手術中に粘液腫を見ると、表面が少し房状になった、ぷるんぷるんの赤いゼリーのような外観です。
つるんっと取れればいいのですが、下手に触るとぐじゃっと砕けます。
砕けた腫瘍のほんのごく一部でも、あとで脳に流れて行けば極めて重大な脳梗塞を引き起こします。

ロボットで粘液腫を切除するのは、ホントに高度な技術が必要だろうと思いますが、現実に行われています。
ただそのような難手術が、このドラマではあまり詳細に描かれておらず、それほど難しそうに見えません。
監修の渡邊剛先生からすれば、簡単な手術だからでしょうか。

いつも思うのですが、手術描写の大半は、左房かどこかの切開部の縫合シーンという、どうでもいい部分です。
最後に「メッツェン」で縫合糸を切る瞬間をたいそう重々しく描いているのを見ると、何かガッカリします。
もっと、ホントに難しい手術手技の部分を、一度でもまともに描写してほしい。

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感染性心内膜炎の手術
- 2018/05/20(Sun) -
最新鋭の医療機器による手術の失敗を、主人公が驚異的な技術で挽回するドラマ『ブラックペアン』第5話。

今日の前座は、両側肺動脈血栓除去術でした。
ファロー四徴症根治術後の癒着があるため、正中切開ではアプローチできない、さてどうする、というケース。
左開胸で臨んだところに驚きました。そっちの方がよっぽどリスキーじゃないの?
正中切開で慎重に剥離して、良い視野を出した方が安全に思えますが、まあケースバイケースでしょうかね。

さてメインは、7歳の女の子の心房中隔感染巣の除去術です。「感染巣」とは感染した組織という意味です。
心臓内の感染「感染性心内膜炎」は、そこに人工物が関与している場合、それを除去するしかありません。
人工弁置換術後や心内欠損閉鎖術後に感染性心内膜炎を来して、とても苦労した経験が私にもあります。

血行動態が許せば、まず強力な薬物治療によって感染の沈静化を図り、その後、感染巣除去術を行います。
ドラマでも、何かの薬物治療の後にロボット手術が行われましたが、その終盤に、お約束のトラブル発生です。

そこでようやく、主人公の活躍が始まりました。今日は主人公の執刀シーンはここだけ。
輸血のできないその子に対して、いつのまにか貯血していた自己血を使って対処したというところがミソ。
どうやら、ロボット手術の失敗を見越して、造血剤を注射しながら貯血して開胸手術に備えていたようです。

でも、感染性心内膜炎で、敗血症を示すプロカルシトニンが異常値の患者の自己血って、使えるんでしょうか。
その血を輸血したら、感染巣を切除・縫合した部分に、また心内膜炎が起きそうな気がしてなりません。
きっと術後にものすごく苦労したと思うのですが、そこを描くのは省いたのでしょうね、ドラマ的には。

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人工弁の向きはOK?
- 2018/05/13(Sun) -
心臓病って「僧帽弁閉鎖不全症」しかないのかと、誤解を招きそうなドラマ『ブラックペアン』第4話。

外科医の腕の見せ所の描き方は、例によって2パターン。
X線透視を見ながらの慎重な手術操作と、やたらと素早い縫合結紮シーン。なんだかなぁ。

これまでの「スナイプ」はすべて、左心室の心尖部から挿入して、僧帽弁置換を行ってきました。
これを「経心尖アプローチ」といい、左室から左房へ向けて人工弁を留置するものでした。

ところが今日の2例目は、諸事情あって、大腿部からカテーテルを使ってスナイプ挿入することになりました。
大静脈から右房に至り、先天的に開存していた心房中隔の小欠損孔を経て、左房に到達する経路です。
これは「経心房中隔アプローチ」であり、人工弁は左房から左室に向けて留置されました。

私はその一部始終を見ていて、老婆心ながら、人工弁の向きは大丈夫なんだろうかと心配になりました。
「経心尖」と「経心房中隔」とでは、留置する弁の向きが逆だからです。
「あっ、人工弁が逆向きだった!」なんてことになったら、笑い話にもなりません。

ずいぶん昔のことですが、人工弁を逆向きに縫着しそうになった手術現場を、私は目撃したことがあります。
人工弁を心臓に縫い付けるためには、十数本の糸を心臓と人工弁に掛けていき、最後にまとめて結紮します。
ところが、執刀医がその人工弁を左手に持つときの持ち方を間違えて、最初から逆向きに持っていたのです。

そのことに、周囲の誰も気付きませんでした。最終段階で外科医全員が同時に気付き、一瞬、固まりました。
もちろん、縫着操作を全部やり直して事なきを得ましたので、ご安心ください。

スナイプの逆向き挿入シーンを見て、思わずそのような昔のことを思い出してしまい、変な汗が出ました。
当然、最初から弁が逆向きのスナイプを用いたのだとは思いますが、その説明がなかったので心配しました。

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TVドラマに異議あり
- 2018/05/10(Thu) -
ドラマ『ブラックペアン』に異議ありと、日本臨床薬理学会がTBSに抗議したという話。
架空ドラマにそこまでムキにならなくても、とは思うのですが、学会にも言い分があるのでしょう。
医者への接待を繰り返す「治験コーディネーター」の描かれ方が、現実とはまったく異なるのが問題だと。

医学部や病院や医者をどれほど汚く、あくどく、あるいは荒唐無稽に描いても、だれも文句はいいません。
しかし、あまり知られていない職業の治験コーディネーターを悪く描くと、一般人の誤解を招くというのです。

たしかに『ブラックペアン』では、治験コーディネーターの露骨な接待が、強調して描かれています。
しかしこれも、ドラマを面白くするための演出なので、目くじらを立てる必要などまったくありません。

学会の立場や心配もわかりますが、視聴者はそんなに単純じゃないですよ。
破天荒な主人公も、教授たちの確執も、コーディネーターの接待も、みなフィクションだとわかってます。
それぞれが、ひどく極端な人物として描かれていることなど、百も承知。それがドラマなのです。

それを真に受けてテレビ局に抗議するなど、学会は医療ドラマのいい加減さをわかってないのでしょうか。
それとも、アホなフィクションに対してわざとマジギレしてみせるという、学会の高度なジョークなのか。

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エコー画像に異議あり
- 2018/05/06(Sun) -
ドラマ『ブラックペアン』第3話は、今回も題材は僧帽弁手術。その一貫した姿勢に感服します。
今日は肝心の「ブラックペアン」すら登場しませんでした(たぶん)。

手術患者は2人。「僧帽弁閉鎖不全症」の若者と、「僧帽弁狭窄症」の中年男性(田崎真也氏)。
その若者の術前超音波検査風景が一瞬出ましたが、どう見ても「僧帽弁狭窄症」の画像だったので驚きました。
僧帽弁はひどく肥厚して開口が制限され、逆流もあるだろうけど確実に狭そうな弁。心拍もおそらく心房細動。
僧帽弁閉鎖不全症であれば、逆流所見をカラードプラで見せるのがてっとり早いのに、それも無い。

どこでどう間違えて、あのような画像を使ったのか。
さてはこのドラマ、本筋だけでなく間違い探しでも楽しめる趣向の、一粒で二度美味しい演出なのか。

当院では、開院以来10年間使ってきた超音波(エコー)診断装置を、ようやく買い替えることにしました。
ドラマ『A LIFE』でキムタクが使っていた、GEのノートパソコン型のエコー装置を見て、そう決断しました。
そのドラマで一瞬登場したのは、激しく逆流する大動脈弁のカラードプラ像でした。それが美しかった。

だから言ってるのです。先ほどの若者のエコー像は、色鮮やかな逆流所見でなければならなかったのです。

キムタクのエコーは、調べてみたら「定価」が3,350万円の製品でした。まったく話にならない価格です。
しかし業者から見積をとったら、500万円を切る金額が提示されました。これまたふざけた値引き価格です。
こういった医療機器の定価って、なんなのでしょうね。
結局は、ワンランク下の機種を購入することにしましたが、やはり、その値引き額は意味不明でした。

来週、当院には新しいエコー装置が登場します。やはりGEの画質は美しい、と私は思ってます。
なお、その装置を操作する医師は、キムタクではありませんので(キムタク似かどうかもわかりません)。

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ドラマの特殊性
- 2018/05/04(Fri) -
あまり見てないのだけど、とか言いながらちょいちょい見ているのが、テレビドラマです。
映画もたまに、休診日にNetflixなどで鑑賞することがあります。映画館にはもう、だいぶ行ってません。

最近の医療系ドラマには、ある程度のリアリティーを感じる反面、ウソのような展開もしばしば見受けます。
それが荒唐無稽なものなら、所詮フィクションかと諦めもつき、漫画を読むような視聴態度になります。

ところが、医学的にはあり得るけど、普通は遭遇しないような疾患が、平然と登場したりするのが困るのです。
そんな稀なことが起こってたまるかい、と私がツッコんで済む事じゃない。一般の方に示しがつきません。
世の中の方は、そのようなひどく特殊な疾患や病状が、日常的に医療現場で現れるのかと錯覚してしまいます。

とは思うのですが、ここで私は何十年ぶりかで、旧友・松谷君の言葉を思い出しました。
「それは描かんのよ」

そうなのです。世の中の病院や手術室で起きていることのほとんどは、そのまま描いてもドラマになりません。
滅多に起きないけどたまに起きる、ドラマティックな出来事を選んで描くからこそ、ドラマなのです。

学生時代に、仲間で8ミリ映画を製作したことがあります。松谷君はそのときの監督です。
スマホ動画でもなければ、ビデオ映像ですらない、当時はまだ、8ミリ映画の時代(の末期)でした。

その頃はよく映画を観に行きました。そして、あとで皆でああだこうだ論評したものです。そんな時代でした。
映画のストーリー展開が作為的である、普通ならこうだ、なんて議論になると、先ほどのセリフが出るのです。
「それは描かんのよ」

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「ドベイキー」の日
- 2018/04/29(Sun) -
心臓外科手術トラブル逆転修復ドラマ『ブラックペアン』第2話は、今日も出血との戦いでした。

術式は突飛だし、あちこちのディテールには閉口しますが、全体の雰囲気は意外と、リアルですね。
左室内に脱落してしまった人工弁を取り出すシーンを書き起こすと、こんな感じでした。

メッツェン、ドベイキー」と指示し、そのドベイキーを左室内に挿入して、人工弁の取り出しを始める渡海。
「ドベイキーで、直接人工弁を捕まえるというのか?!」と驚く手術スタッフ。
「ドベイキーで人工弁を?、弁に絡んでいる心筋が見えているというのか?!」と口にする准教授。

都合3回、何の説明も無く登場した「ドベイキー」が、今日の私の「ツボ」でした。
渡海が、左室内から人工弁をつかみ出すときに使った、そのピンセットの名称こそが「ドベイキー」なのです。

ドベイキーは、細い先端部の内側に細かい歯がびっしりと付いているのが特徴。物をしっかりつかみます。
持ち手の部分にも、他のピンセットには無い独特の窪みがあって、とにかく物をつかむことに徹した構造です。

その名前は、10年前に99歳で亡くなった心臓外科のパイオニア、マイケル・ドベイキー教授に由来します。
心臓外科医にとっては神様みたいな人ですが、ロシアのエリツィン大統領の手術を指揮した事でも知られます。
「大動脈解離」という病気では、「ドベイキー分類」という分類法もよく使います。

「ドベイキー」という言葉がドラマで何度も飛び交うのを見て、「サテンスキー事件」を思い出しました。
リアリティーのために、何の解説もなく特殊な用語を連発するという、以前のドラマではあり得ない手法です。

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『ブラックペアン』
- 2018/04/22(Sun) -
TBSの日曜劇場『ブラックペアン』が、今日から始まりました。心臓外科モノなので、見るしかありません。

タイトルの「ブラックペアン」からまず想像したことは、天才外科医の繊細な「ペアンさばき」でした。
ちなみに「ペアン」というのは、何かを挟むときに使う手術器械で、大小様々な形のものがあります。

この手の医者モノのドラマ、とくに外科医モノは、『A LIFE』以来、リアリティーの追求が進んでますね。
今日の手術シーンは、ブタの心臓を使っていると想像しますが、本物の術野によく似せた描写でした。

リアリティーを出すなら出血だと言わんばかりに、やたらに出血する場面も多かったですね。
たしかにトラブルを描くなら、出血はわかり易い。私も勤務医時代の緊迫した局面を思い出してしまいました。
ただし、細かいことを言わせていただければ、血液噴出に拍動がなく、まるでホースから出る水のようでした。

さて、ブラックペアンと聞いて最初に思い出したのは、私の恩師、徳永皓一先生(元九大心臓外科教授)です。
徳永先生は、手術中の重要な局面でしばしば、「ブラックだ、ブラックを出せ」と指示を出されました。
この場合の「ブラック」とは、「スーパーメッツェンバウム」という種類のハサミのことを指していました。

手術で使うハサミには多くの種類がありますが、「メッツェンバウム」は、細長くて繊細な形のものです。
その中でも、組織が滑らずに切れるように刃に加工してあるものが、いわゆる「スーパーメッツェン」。
他のメッツェンと区別するために、持ち手の部分が黒く塗られています。だから通称「ブラック」なのです。

「ブラックペアン」と言うからには、よほど特別なペアンだろうと期待して、今日のドラマを見ていました。
しかし、裏切られました。なんなら、ズッコケたと言ってもいいでしょう。

教授が執刀を終えて、人工心肺のチューブを遮断する段になって、その特別な黒いペアンが登場したからです。
固いチューブを、その特別なペアンで挟むこたぁないでしょう。頑丈なチューブクランプを使えばいいのに。
せっかく面白いドラマなのですが、今後も毎回、ブラックペアンが登場するたびにズッコケそうです。

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『半分、青い。』
- 2018/04/12(Thu) -
これまで気にも留めてなかった、NHKの連続テレビ小説『半分、青い。』を、今日から見ています。

ドラマで「ムンプス難聴」の話が出ていると小耳に挟んだので、今日の診療の合間に見てみました。
全録レコーダーという文明の利器と今日の診療が暇だったおかげで、第1回放送分から「一気見」できました。

70年前後の大阪万博とかマグマ大使とかの映像が、60年生まれの私にはなんとも懐かしくてたまりませんね。

主人公が難聴を発症し、おたふくかぜの合併症であるムンプス難聴と診断されたのが、今日の放送でした。
当ブログでも何度も書いてきたように、おたふくかぜを侮れないのは、難聴になる危険性があるからです。

欧州や北米南米の各国では、子どもの難聴を防ぐために、おたふくかぜワクチンの定期接種を行っています。
韓国も中国もロシアも定期接種しています。アフリカ諸国と北朝鮮はやっていません。そんなレベルの話です。

かつて日本でこのワクチンを定期接種として導入したら副反応が出たため、任意接種に格下げされたのです。
この時は、ワクチンそのものにも問題があったのですが、それにしても、日本人は副反応を恐れすぎます。
感染症を防ぐという予防接種本来の目的よりも、副反応を防ぐ方を優先させる、不思議な国民性なのです。

ムンプスウイルスはヒト以外に宿主がないので、予防接種さえ徹底すれば、おたふくかぜは根絶可能です。

連ドラの脚本は、自身も片耳が難聴の北川悦吏子さんです。さもありなん、と思える描写が随所にありますね。
さいわいドラマでは、ムンプス難聴になった主人公が、明るく前向きに描かれているので救われます。

しかし、ドラマの時代から半世紀近くたったのに、いまだに日本の子どもたちは難聴の危険に晒されています。
国はそろそろ腹をくくって欲しい。この連ドラが、弱腰の厚労省の後押しをしてくれるとよいのですが。

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日曜の定番番組
- 2018/04/01(Sun) -
仕事から帰って、風呂に入り、髪を乾かしてからリビングのテレビを見ると、サザエさんをやってました。
小3の時(1969年)に始まって以来、サザエさんと言えば東芝だったのですが、ついにスポンサー降板です。

ドラマ中、宅配便が届くシーンがありました。新スポンサーのひとつAmazonに、気を遣ったのでしょうか。
業者の制服は、ヤマトを思わせる緑色。でも荷物はとても小さな箱だったので、Amazonじゃないことは確か。

毎週楽しみにしている大河ドラマ『西郷どん』は、残念ながら今夜は本編ではなく、スペシャル番組でした。
このような中断はドラマの流れを途切れさせてしまう、と苦言を呈しているのは脚本家のジェームズ三木氏。

私も最初はそう思ったのですが、見なければさらにブランクが空く気がして、スペシャルを見てしまいました。
それにNHKだって、視聴率を上げたいのだから、見ててシラけるようなスペシャル番組は作らないはず。
実際、主役らの撮影裏話に的を絞ってあり、全体的にネタバレの少ない、抑制の利いた構成でした。

どっちみちこの先、ドラマは間違いなく、薩長同盟、王政復古から西南戦争へと向かいます。
その結末はわかっているのに、涙したりカタルシスを得たりしながら、年末まで見続けることになるのです。
だからこそ歴史ドラマ、とくに大河ドラマは、その脚本の面白さがすべてと言ってもいいでしょう。

1年間感情移入して見続けるためには、できれば主役級の俳優の方々を、大河以外で見かけたくはありません。
スペシャル番組で談笑している島津斉彬と西郷隆盛など、本当は見たくないのです。(見たけど)
まして、ハズキルーペのCMなんかに、いま出ちゃダメでしょう、渡辺謙さん。

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パイロットの訓練
- 2018/02/04(Sun) -
昨夜テレビで、『ハッピーフライト』という映画を放送していました。
私には、年末に緊急着陸騒ぎのANA便に搭乗した生々しい経験があるので、この映画は興味深く観ました。

旅客機の運航に携わるいろんな部署の人たちが描かれていた中で、私の興味は「機長昇格訓練」です。
副操縦士の機長昇格のための審査を兼ねていた、自動車で言うなら路上検定が、そのドタバタ劇の舞台でした。

こういうのを見るとすぐ連想するのは、外科医の実地修練です。
ただし外科医の場合は、資格のための検定ではなく、おもに、純粋に経験を積む(積ませる)ためのものです。

映画では、緊急事態が起きますが、機長の手の負傷ということもあって、訓練生が最後まで操縦していました。
手術でも、緊急事態(想定外の病変・多量出血・臓器損傷等)があっても、修練医がギリギリまで執刀します。
そのような修羅場をくぐらなければ、いつまでたっても独り立ちできないからです。

人の命がかかっているのに修練とは何事かと、そう思う方もいるでしょうけど、どうしても必要な事なのです。
外科医は、手術見学→助手→指導下での執刀、という手順を踏んだ後、単独で執刀できるようになります。
このうち、指導医による指導の下での執刀という段階は、もっとも緊張する、その術式のデビュー戦です。
と同時に、指導医にとっても、どこまで修練医に任せきれるかという、これまたある意味、修練の場です。

副操縦士を褒めたり怒鳴ったりしながら、最後までやりきらせる機長にも、相当な力量が必要なのです。
ただしその修練現場は、乗客にはとても見せられません。それは外科手術の修練現場でも同じです。

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『西郷どん』始まる
- 2018/01/07(Sun) -
NHK大河ドラマ『西郷どん(せごどん)』が始まりました。これはかなり、楽しめそうな予感がします。
大河ドラマが面白いか面白くないか、それを決めるのは、題材・原作・脚本・主役・脇役、の5つでしょうか。

(1)題材:西郷隆盛と幕末
幕末を描いても、主人公が無名の人物だと盛り上がりに欠けた前歴があるのですが、西郷どんなら文句なし。

(2)原作:林真理子
この人の作品は、日経連載中の『愉楽にて』しか読んだことがないので、西郷をどう描くのか想像できません。

(3)脚本:中園ミホ
Doctor-X 外科医・大門未知子』やNHK連続テレビ小説『花子とアン』を書いた人ですか。じゃ面白そう。

(4)主役:鈴木亮平
すみません。よく知りません。今日の放送はまだ子役の回なので評価不能ですが、第一印象は悪くない。

(5)脇役:渡辺謙、西田敏行(語り)、沢村一樹
とりあえず、好きな俳優が3人出るので満足です。あと大村崑も出てますね。メガネはかけてませんでした。

私の独断で言うなら、ドラマに興味が湧くかどうかは題材しだいですが、面白いかどうかは脚本で決まります。
そして最終的に、そのドラマが好きになるかどうかは俳優によります。なので今回は、期待できそうなのです。

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リアルな手術ドラマ
- 2018/01/04(Thu) -
『DOCTORS~最強の名医~』が、新春スペシャルとして3年ぶりの復活です。あれから3年たちましたか。

医療界のドロドロ部分や、少し泣かせる人間ドラマ的側面よりも、私の最大の興味はいつも手術シーンです。
残念ながら、『Doctor-X』と同じく、医療監修が森田豊氏なので、リアリティーはいまいちです。

ですが今日の新春スペシャルは、3年前よりはマシでした。
たぶん、昨年放送された『A LIFE』のマニアックさに影響を受けたのでしょう。

森田氏が、外科医としてどれほどの経験・技量があるかは存じませんが、少なくとも、テレビに出過ぎです。
外科医として過ごす時間が短すぎる、ということを言いたいのではありません。
テレビ番組にたびたび登場するうちに、番組制作者に迎合するスタンスになっているフシがあるのです。
それはたとえば、手術シーンをついつい分かりやすくしてしまうような部分です。

いまの視聴者は、海外ドラマや映画で、徹底的にリアルな手術シーンや救急現場を見ています。
なので逆説的ですが、詳細不明でよくわからない部分があればあるほど、そこにリアリティーを感じるのです。
説明調なセリフを聞いたとたん、シラけてしまい、緊迫したシーンが台無しになってしまうのです。

その意味で、今日の新春スペシャルの手術シーンは、森田氏にしては、そこそこリアルでした。70点。
今後放送されるであろう続編では、より一層リアリティーを追求してもらいたいものです。
コメディー基調のドラマに、リアルすぎる手術シーンというギャップこそ、面白いと思うのです。

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『コウノドリ』
- 2017/10/20(Fri) -
TBSのドラマ『コウノドリ』を、今日初めて見ました。わりと良かった。
民放のTVドラマは日頃あまり見ないのですが、医療系のものは例外的に、あら探しとツッコミ目的で見ます。
いやそうじゃなくて、病気や医療や医療従事者に対する世間やメディアのとらえ方を知るために、見るのです。

今日の第2回目の放送内容に興味があり、それならばと、1回目の放送をまず、TBSオンデマンドで見ました。
なるほど、そういう感じのドラマですか。基本的にいい人ばっかり登場しますね。『Doctor X』と大違い。

1回目は、産婦人科の現場のご紹介、という感じでしょうか。意外と違和感のない作りでした。
女性の仕事や家庭環境が、どれほど妊娠出産を難しくしているか、という社会問題もからめてます。
『Doctor X』とか『A LIFE』のような、外科手術のテクニックがどうのこうの、という話は一切出ません。

さて今日の2回目は、妊婦の「子宮頸がん」の問題を取り上げていました。
子宮頸がんと診断された妊婦が、妊娠継続をどうするか、がんの手術をどうするか。とても深刻なテーマです。

がんの進行度によっては子宮全摘が必要で、その後の妊娠が不可能になるので、妊婦じゃなくても大問題です。
つまり子宮頸がんは、早期発見・早期治療も大事ですが、可能なら(可能なので)予防すべきなのです。
ところが日本では、この悲惨な病気をワクチンで予防しようという動きが、もう4年以上も止まっています。

このことについてドラマでは、登場人物にもしつこく語らせており、ワクチンを推奨する姿勢を感じました。
欲を言えば、毎年約1万人がこの病気に罹患し、約3千人が亡くなっていることにも、少し触れてほしかった。

本来このような啓蒙活動は、報道系の特集番組で行うべきものですが、ドラマも効果的かもしれませんね。

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ロジャー・ムーア死去
- 2017/05/24(Wed) -
与謝野馨氏が亡くなったそうですが、今日の話題は、昨日89歳で亡くなったロジャー・ムーア氏の方です。
映画「007シリーズ」では、6人が演じてきたジェームズ・ボンド役の、3代目でした。

私が映画に目覚めた中学生の頃、新作の「007シリーズ」はちょうどその、ロジャー・ムーアの時代でした。

初代のショーン・コネリーの出演作は、たいていテレビの洋画劇場で観ました。渋くて好きな俳優ですね。
2代目のジョージ・レーゼンビーの作品は、ずっと後になって観ましたが、ボンドとしての印象が薄すぎ。

4代目のティモシー・ダルトンは、ロジャー・ムーアとのギャップ大きすぎ。面白味がなく好きじゃなかった。
5代目のピアーズ・ブロスナンは、ショーン・コネリーとロジャー・ムーアの中間。ボンドらしくて良かった。
6代目はダニエル・クレイグ。もはやこれが新しいボンド像なのかと、諦めてますが、人気は高いようですね。

私が子どもの頃には、スパイ映画と言えば007、みたいな圧倒的な存在感がありましたが、いまは違います。
最近の映画には、ダニエル・クレイグのようなハードなアクションをこなす主人公は、いくらでもいます。

考え方が古いのかもしれませんが、007はアクション映画というよりスパイ映画だと、私は思っています。
そのウリはアクションよりも、諜報活動や、異国情緒や、駆け引きや、ボンドカーや、秘密の小道具です。
それに加えて、ユーモア(お茶目)の要素を盛り込んでくれたロジャー・ムーアが、いちばん好きですね。

ロジャー・ムーアはボンド史上最年長だったようで、いま思えばたしかに、アクションのキレは今一歩でした。
しかしそれを補って余りある、とぼけた紳士ぶり。吹き替えが広川太一郎というのがまた、ツボですね。

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まだ視聴しています
- 2017/03/26(Sun) -
クリニックの待合室のテレビは、通常、子ども向けのアニメ番組にしています。
以前は「カートゥーン・ネットワーク」という、アニメを放映しているチャンネルに合わせていました。
クリニック2階の多目的室(予防接種後などにしばらく過ごす部屋)では、テレビ放送などを流していました。

このたびその両方を、Netflixに切り替えることにしました。が、どうしても解決しないトラブルが発生です。
アニメなどを連続再生していると、突然再生が停止して、「まだ視聴していますか?」と表示されるのです。

1話ずつ再生している場合には、問題は起きません。延々と自動連続再生しているときにアラートが出ます。

番組のつけっぱなしで、ネットのトラフィックがムダに占有されることを防ぐための仕組みなのでしょう。
再生操作等が何もなされずしばらく経つと、いったん再生が止まり、視聴中かどうか確認する設定のようです。
おかげで連続再生の途中で何度も、当方がまだ視聴している旨を、Netflixに返答しなければなりません。

そもそも、BGM的にストリーミングビデオを放映すること自体が、間違っているのかもしれません。
世の中がみな、このようなトラフィックの無駄遣いをし始めたら、ネットがパンクしてしまうでしょう。

それにしても、世界で9400万人が利用しているというNetflixの映像が、いつも安定しているのには驚きます。
どうやらその映像コンテンツは、世界中に配置されたサーバーに蓄積されているそうです。
日本国内にも複数のサーバーがあるので、コマ落ちなく高画質の映像を見ることができているのでしょう。
ただし、ずっと見ていると「まだ視聴していますか?」と表示されて再生が途切れるのは、いただけません。

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専門外の手術を見て
- 2017/03/20(Mon) -
最終回を迎えたドラマ『A LIFE』は、おおむね予想通りの、つまんないけどまあ許容範囲の展開でした。
興味深かったのは、脳外科手術のシーン、とくに再手術(残存腫瘍摘出術)の方です。

まず、何がどうなってるのやら、術野的には何も見えない。ひたすら血の海の中の手術だったということ。
私はまったく専門外なので、脳外科の手術の執刀はおろか、助手についたことすらありません。
しいて言うなら、学生実習で2,3回だけ、手術見学をしたことがある程度です。

ただ、心臓手術の場合でも、深い術野のそのまた奥の方の操作では、似たような視野になります。
周囲の血液を吸引しながら、その吸引操作自体が手術の邪魔にならないようにしながら、手術を進めます。
脳外科手術は、とにかく術野確保との戦いなんだなと、このたび改めて感じた次第です。

その緊迫した手術シーンは、ほとんど術野が見えない割には、妙にリアリティーを感じました。
画像的に何も出せない代わりに、術者と助手の言葉のやりとりが、たぶん生々しかったからでしょう。

しかしこのシーンを脳外科医が見たら、はたしてどう思ったのでしょうね。
「あー、ウソ臭い」とか「そんなこと、言わんぞ」などとクレームが出るのかもしれません。

このドラマ、心臓手術の場面で細かい違和感を感じたのは、たぶん私が(元)心臓外科医だからでしょう。
一般の方から見ると、すべての手術シーンが、とてもリアルに映ったのかもしれません。
つまりそれは、本当の手術場面を知らない者が、想像を膨らませて見ているからこそのリアリティーです。
今回、脳外科手術シーンを見て私がリアリティーを感じたのも、脳外科をよく知らないからなんでしょうね。

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手術と準備
- 2017/03/13(Mon) -
手術シーンが減って、どんどんつまらなくなってきたドラマ『A LIFE』第9話ですが、まだ見てます。

「○○術を始めます」と始まる手術は、術野をほとんど写さないまま、短時間で創閉鎖シーンに至ります。
キムタクの心臓手術も、浅野忠信の脳外科手術も、ともに執刀医が皮膚縫合を最後まで行っていました。

そんなことってあるんでしょうか。皮膚縫合の段階で、若手医師が執刀を交替するのが普通じゃないですか。
外科医はそのように、簡単な手術手技から修練を積み重ね、だんだんと難しい部分を担当していくものです。

「メッツェン」という指示で手渡されたハサミで、今日も執刀医たちは皮膚縫合の糸を切っていました。
そんなことってあるんでしょうか。皮膚の縫合糸ごときを、大切な「メッツェンバウム」で切るなんて。
普通は「クーパー」か、百歩譲って「メイヨー」でしょう、そんな糸を切るときは。

そんな問題点はあったものの、今日は良いシーンもありました。それは「シャドーオペレーション」です。
手術操作の流れを具体的にイメージしつつ、手を動かし声を出して「通し練習」をすることです。

私も研修医時代からずっと、大事な手術の前日には必ず、シャドーオペレーションをしました。
手術の最初から最後までのすべての手順を、実際に行う通りに、きわめて細かく進めていきました。
執刀医として一人で行うこともあれば、助手やナースも参加させてチームで行う場合もありました。

私が初めて心臓手術を執刀したときの、手術前夜のシャドーオペレーションは、今でもよく覚えています。
テーブルを隔てて指導医と向かい合って立ち、「メス」という言葉からシミュレーションを始めました。
次に何をやるのか、たびたび手順がわからなくなり、自分の勉強不足・準備不足を思い知ったものです。
そんなことを思い出させてくれたので、今回の『A LIFE』はまあ、許すことにしますが、次回がもう最終回。

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近親者を執刀する
- 2017/03/07(Tue) -
ドラマ『A LIFE』第8話では、キムタクが父親の心臓手術を執刀して、ちょっとしたトラブルが起きました。

「近親者は執刀しないのが外科の通例」だと、ドラマで言ってましたが、私には経験が無いのでわかりません。
それを敢えて執刀したキムタクが、手術のごく初期段階で肺動脈を傷つけ、かなり出血させてしまいました。

手術操作の準備として、大動脈に牽引用のヒモを回しておきます。これを「テーピング」といいます。
用いるのは、赤テープと決まっています。私の経験ではどこの病院でも赤だったし、ドラマでも赤テープ。
ついでに言うなら、上下大静脈は青テープ、肺動脈は黄テープというのも、たぶん全国共通でしょう。

大動脈の裏側に「直角鉗子」を入れ込んだ後、その先を少し広げ、テープの一端をつかみ、引き出します。
テープをつかむとき、大動脈のすぐそばにある肺動脈の壁も、同時に薄く挟み込んでしまうことがあります。
鉗子を引き出すときに抵抗があるので気付きますが、うっかり無理やり引き出すと、肺動脈が裂けます。

おそらくそのようないきさつで、キムタクも肺動脈壁を損傷したのでしょう。なんとか修復はできました。

近親者の執刀だから、余計な緊張をしていたということなのでしょうけど、そんなことってあるんでしょうか。
むしろ、手術の現場でよく見かけるのは、特別な患者を執刀する際の「格好つけ」の問題です。
手術の見学者がいたりVIP患者の執刀の場合、日頃よりもカッコよく手術したいと、つい思いがちです。
なので自信なさげに見える慎重な操作や、くどすぎる確認作業を、そのような時に限って省いてしまうのです。

魔が差すというのは、まさにそういう時です。
手術は、緊張しすぎて失敗するよりも、油断して失敗することの方が、ずっと多いと思います。

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音楽・映画の所有欲減退
- 2017/02/28(Tue) -
映画『ラ・ラ・ランド』はすでに、熊本でも公開されていました。
昨日のブログでは未公開のように書いたのを後悔し、今朝いちばんの上映を観に行きました。
新しい映画なので、ネタバレ禁止です。良い映画でしたが、内容については書きません。

ドラマ『サバイバー 宿命の大統領』がどうしても観たくなり、今日の午後からNetflixの会員になりました。
もちろん、1カ月間の無料体験終了後に脱会する予定です。いや、脱会できるかどうかはわかりません。
Apple Musicがとても快適でやめられないように、Netflixも病みつきになるかもしれません。

以前は、そうはなるまいと思ってましたが、音楽も映画も、将来的にはストリーミングに向かう気がします。
このブログも、『ラ・ラ・ランド』のサントラを聴きながら書いています。買わなくてもすぐ聴ける。便利。
音楽や映画のライブラリーを、個人で所有する量にも限界があるし、そもそも所有欲が減退してきました。

NHKも民放も、オンデマンドと称する有料サービスがあり、パソコン等で過去の番組を見ることができます。
固定電話をもたない家が増えているのと同様に、やがてテレビのない家も増えてくるのでしょうか。

そんなことを考えながら、お約束のドラマ『A LIFE』(第7話)レビューですけどね。
14歳の乳がんを、頭から否定する乳腺外科医って、どうなの。
もうこのドラマは、リアリティーの追求を諦めたのかもしれません。手術シーンは減ったし術野も見えない。

キムタクが「腹腔鏡」を「ふっくうきょう」ではなく「ふくくうきょう」と発音したのにも、ガッカリです。
医療従事者は好んで使うのにメディアは使わない「ふっくうきょう」の方を、ドラマでは使うべきでした。

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『ラ・ラ・ランド』
- 2017/02/27(Mon) -
『ラ・ラ・ランド』がアカデミー作品賞受賞、と発表されたのが間違いだったとは、前代未聞のハプニング。
「な・な・なんで?」と言いたくもなったでしょうね、すでに受賞の喜びをスピーチしていた関係者は。

ぬか喜びさせられた『ラ・ラ・ランド』が気の毒ですが、でも日本で公開されたら、真っ先に見たい映画です。
(追記→あ、もう公開されてました。そのうち観に行きます)
というわけで、その『ラ・ラ・ランド』ってタイトルから空想を広げて、こんな映画どうよ、シリーズ。

『イ・イ・インド』 
カレー会社の社員が主人公。休暇をとって旅行したインドに魅せられ移住を決意するも、妻の反対に遭い・・・

『お・お・音頭』 
和風ミュージカル。夏祭りにかける若者と老人たちとの、葛藤と絆。少し涙あり。いい話になりそうです。

『サ・サ・サンド』
「笹かまぼこ」にヒントを得て「サ・サ・サンド」を発売した商店主と、悪徳製パン会社との、商標権争い。

『せ・せ・鮮度』
いま話題の東京・築地市場。その現場に24時間密着した、リアルタイム・ドキュメンタリー、全24話。長い。

『ど・ど・どんど』
ある村で、小正月に松飾りを焼く、その火柱の高さを競い合う風習が、年々エスカレートして大変なことに。

『ね・ね・ねんど』
映画『キンダガートン・コップ』の日本版。潜入捜査官(大泉洋)が、園児たちに翻弄されるドタバタ劇。

以下、タイトルのみ、『ハ・ハ・ハンド』、『フ・フ・憤怒』、『ほ・ほ・本土』、・・・
あまり悪ノリすると怒られそうなので、これぐらいにしておきます(エ・エ・エンド)。

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手術は現場で見ろ
- 2017/02/22(Wed) -
ドラマ『A LIFE』の視聴率が、第6話でV字回復したとのこと。わが家ではずっと、100%ですけどね。

今回、手術はたった1例。「ドベイキーI型動脈解離」に対する「トータルアーチリプレイスメント」でした。
大動脈弓部(=アーチ)をすべて(=トータル)、人工血管で置換(=リプレース)する術式です。

術式名を聞いた及川光博が「トータルアーチかぁ」とつぶやきますが、まさに現場でありがちなセリフです。
こういうディテールをさらっと流すところが、このドラマのマニアックなところ。
従来のドラマならきっと、「全弓部置換かぁ」と説明調のセリフだったはずです。

右鎖骨下動脈送血で人工心肺を開始(=ポンプオン)したのは良かったのですが、トラブルが発生します。
心臓の挙動が急におかしくなります。心臓が張ってきます。こういうのは、手術中に見る最悪の兆候です。

それをモニターで見るやいなや、「逆行性の解離だ」と言い切る副院長もまた、凄い「脳外科医」です。
ところが心臓外科医たちの手が止まる。その時間が長すぎ。いや、効果的に長く見せてるのかもしれません。

その緊迫した術野が大写しになると、人工心肺回路の脱血管には、薄〜い赤インクのような液体が見えます。
おまけにその液体が流れてない。こういうのが興ざめっていうんですよ。せっかくのディテールが、中途半端。

さらに、いつも言いますけど、手術室内のスタッフが少なすぎます。
心臓外科医3人の他に、麻酔科医と看護師と臨床工学技士。全部で8人ぐらいか。
他の心臓外科医はみな、医局でモニターを見てるなんて、どうかしてますね。どうしてオペ室に行かないの?

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手術は低侵襲へ向かう
- 2017/02/14(Tue) -
ドラマ『A LIFE』は、視聴率が少し上向いたそうですが、手術シーンはどんどん減ってきています。
第5話のキーワードは、「医療ミス」と「恩師との確執」。医者モノでは普遍的なテーマです。

登場した外科用語のひとつが、「MICS(Minimally Invasive Cardiac Surgery;低侵襲心臓手術)」でした。
ドラマでは「ミックス」という言葉が連発したので、「何と何のMixなんだろう」と疑問に思われたかも。

「低侵襲」の定義は本当は難しいのですが、「傷口の小さな心臓手術」と考えても大間違いではありません。

皮膚を小さく切って筋肉や骨の切開も少ないので、術後の痛みが軽く、治りが早いのがメリットとされます。
そのかわり、狭い間口からのぞき込んで手術をするので視野が悪く、手術には時間がかかるのがデメリット。
視野の悪い手術は技術的にも難しく、したがって安全性にも多少なりとも影響するのが、懸念するところ。
しかし、心臓手術に限らず、多くの手術が小切開・低侵襲に向かっているので、これは外科の潮流でしょう。

武田鉄矢が演じる心臓外科の権威が、MICSの手術を急ぐあまりに、不完全な手術をしたという筋書き。
そんな権威が、いちいち普通のMICSを執刀し、しかもすぐ修復できそうな異常を放置するとも思えませんが。

キムタクが心エコー検査をしてました。装置はGEの「Vivid iq」ですか。良いモノ使ってますね。欲しい。
僧帽弁の逆流が中等度以上で、大動脈弁の逆流も見えました。左室が拡張し動きがひどく悪い。大丈夫か?

さて手術では、僧帽弁の逆流テストを繰り返すばかりで、肝心の僧帽弁形成術は描かれていませんでした。
このドラマの手術シーンは、マニアック路線を突き進んでいるようです。大丈夫か?

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副大統領が上院議長
- 2017/02/08(Wed) -
米国副大統領が上院議長を兼務していることって、常識なんでしょうか。恥ずかしながら私は今朝知りました。
米上院で賛否が50対50と割れた採決で、議長決裁票を投じた上院議長こそが、ペンス副大統領だったと。

このことによって、長年の私の疑問が解決しました。それはつまり、大統領権限継承順位です。
順位は17位まで決められていて、何があっても誰かが大統領を引き継ぐ体制になっているようです。

『24 -TWENTY FOUR-』などのドラマや映画で、私は大統領権限継承の瞬間を何度も目にしてきました。
大統領職を引き継いだ副大統領が、すぐに殺害されて、下院議長が大統領に就任した映画もありました。

でも、副大統領の次がどうして上院議長じゃなく下院議長なのか。ずっと疑問だったのですが、今朝解決です。

じゃあ、大統領と継承順位17位までが全員、テロで死んだらどうするんだ、とアホなこと考えてしまいます。
ところが、すでにそのことも考慮されているようで、さすがアメリカ。恐れ入ります。
18人全員が、同時に連邦議会議事堂には集まらないようにして、誰かが生き残るようにしているそうですね。

大規模なテロが起きて、順位が終わりの方の閣僚が大統領になる、なんてことが、ドラマになったりします。
『サバイバー: 宿命の大統領』は、キーファー・サザーランド演じる下っ端閣僚が、大統領になる話とか。
あれだけ国家に尽くしたジャック・バウアーなんだから、もう大統領になったって、いいでしょう。

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サテンスキー事件
- 2017/02/07(Tue) -
人間関係や経営問題やらが絡んできて、ドラマっぽくなって来たけど視聴率が低迷している『A LIFE』第4話。
手術シーンはめっきり減りましたが、それでも、リアリティー優先のマニアックな描写はまずまずでした。

術式は「左室形成術および冠動脈3枝バイパス手術」。左心室を修復し、バイパスを3本縫着する手術です。
「バイパスのグラフトはリタ、ライタ、ジーイーエーを使う」というセリフには、説明も何もありません。

このドラマ、手術の雰囲気と流れをリアルに見せるためなら、余計な解説は不要と、割り切っているようです。
ただ、人工心肺装置がほとんど画面に登場しません。心臓手術の現場としては、大いに違和感があります。

問題が起きたのは「IVCのテーピング」をしたときのこと。IVCとは下大静脈のことですが、これも説明なし。
人工心肺のチューブをIVCに挿入したあとで、血管を締め付けるために、あらかじめヒモを巻いておくのです。
この時にヒモを通す道具(鉗子)には、長さ、太さ、彎曲、角、歯、溝によって、種類がヤマほどあります。
しかも、それぞれの鉗子に名前が付いています。たいていは、外人の名前です。

看護師が、外科医(第一助手)の指示に背いて、自己判断で「サテンスキー鉗子」を手渡しました。
「心臓を脱転したくないので、サテンスキーの方が良いと思います」という看護師の発言もすごい。
第一助手がムッとすると、執刀医のキムタクが「僕もサテンスキーの方がいいと思いますよ」と助け船。

これが他の病院に出向いて行った「出前手術」だったものだから、双方の病院の関係がこじれてきます。
ていうか、何度も何度も「サテンスキー」という言葉が説明もなしに出てくるドラマって、どうなの。
「サテンスキー」をどう使うのか、なぜもめるのか、一般の視聴者はそのイメージすらつかめないでしょうに。

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仕事は楽しいかね?
- 2017/01/31(Tue) -
月末の雑用と、一部の不調なMacのHDD初期化作業などを済ませ、午後からはドラマと映画と読書など。

(1)TVドラマ『A LIFE』第3話
毎週火曜は『A LIFE』レビューの日、ですか。このドラマ、だんだんリアリティーがなくなってきましたね。
私は誤解してました。キムタクは小児外科医なのですね。しかし今日は、腹部のほかに脳も手術しましたが。
第1話で、成人の心臓難手術をやった時点で、「大門未知子」ばりのスーパードクターだと気付くべきでした。

(2)映画『コンカッション』(2015)
「実話に基づく」+「主人公が医師」、ということで観てみました。ウィル・スミス主演の、社会派ドラマ。
解剖室の描写は、けっこうリアルですが、グロくはないので大丈夫。これ以上は、書きません。
でもひとつ難を言うなら、ちょっと長く感じました。その点、『ハドソン川の奇跡』はちょうどよかった。

(3)『仕事は楽しいかね?』 デイル・ドーテン著、野津智子訳
「さあ、どうかね」と、まずは答えたくなります。原著の長ったらしいタイトルの直訳よりも、よほど面白い。
友人がFacebookで「一気に読んじゃいました」と紹介してたので、古本を買って、一気に読んじゃいました。
自己啓発本の部類なのでしょうか。日頃あまり読まないジャンルですが、読むと元気が出ますね。
著名人の実例が、うまい具合に出てきます。勉強になります。サマセット・モームの名言が、ウケました。
「小説を書くためのルールは三つある。残念なことに、誰もそれを知らない」

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ドラマがマニアック
- 2017/01/24(Tue) -
『A LIFE』。先週も書いたキムタク主演のTBSのドラマ。(元)心臓外科医目線のレビュー、第2弾です。
そこそこ真面目な雰囲気で始まったドラマが、今後どのように崩れていくのか気になって、第2話を観ました。

描かれた手術は3例。あとで問題になるのが、胸部大動脈瘤に対する「ステントグラフト内挿術 (TEVAR)」。
胸を大きく切る大手術ではなく、鼠径部の動脈から人工血管を挿入して、大動脈内に内張りする手術です。

それと並行して、小児の手術も行われていたのですが、これがまた「PVO解除」という難解な術式でした。
「PVO」というのは、複雑な先天性心臓病等に時々合併する、治療の難しい病変「肺静脈狭窄」のことです。

私が医者になって初めて書いた論文(症例報告)は、この「PVO解除」を行った乳児の心臓病症例でした。

一般に、心臓を停止させて手術を行う場合、人工心肺による体外循環によって、全身の循環を保ちます。
ところがその全身の血液循環自体が、手術操作や視野の邪魔になる場合、完全に循環を止めることがあります。
そのままでは生きられないので、患者の体温を20度以下に下げます。これが「超低体温循環停止」です。

ドラマでは、循環停止によってPVO解除を行っていましたが、それにしては、手術室が閑散としていました。
超低体温循環停止をやるような時は、麻酔科医や臨床工学技士などが大勢取り囲んで、緊迫してるはずなのに。
患者の頭の周囲に何も無いのも変。循環停止では、脳障害を防ぐために、保冷材で頭部を冷やすのが普通です。

そんな中、PVO解除がうまくいかず、「これ以上続けたらDOTもあり得ます」という言葉が飛び出します。 
「DOT」とは “Death on Table”の略で、日本語で「台上死」、つまり手術台の上で亡くなるという意味です。

そのイヤな雰囲気の絶体絶命のとき、キムタクが助け船を出すのですが、その手術風景も異様。
拡大鏡を固定するヒモが、術衣の胸の前に垂れ下がり、まあ不潔きわまりない。これでは術後感染必発ですよ。
おまけに、奇跡的に救命できたその晩に、執刀医の女医は早々と帰宅してごちそうを作ってる! はぁ?
循環停止したこの重症例では、術後経過も厳しいはず。執刀医がそんなに早く帰宅できるとは思えません。

リアリティーが無いなと思って見ていたら、TEVARの術後患者が急変し「右鎖骨下動脈起始異常」が発覚。
どうしてそんな、マニアックなカードを切るかなあ。これじゃあ、来週も観たくなってしまいます。

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心臓外科医ドラマ登場
- 2017/01/17(Tue) -
なにかとバッシングされ気味のキムタク主演の、『A LIFE〜愛しき人〜』という、TVドラマが始まりました。
最近は、大河ドラマ以外は見ていない私ですが、久々に主人公が心臓外科医ということで、見てみました。

設定やストーリーには少々無理がありますが、主人公が誠実な外科医であるところには、好感が持てました。
手術シーンでは、要点が描かれていて無駄な説明が少ないのが良かった。何よりもリアリティー優先なのです。
Doctor-X』よりも、ずっとリアルでした。医療監修(順天堂大の某先生)が妥協しなかったのでしょう。

第1話は、主人公が帰国して、困難な術式を提案し、やってのけるという話でした。
「Konno(今野)法」による大動脈弁輪拡大術。ああ、久しぶりに聞きました。比較的難易度の高い術式です。
よくもそのような複雑で分かりにくい術式を、少ない説明のままドラマに組み込んだものです。

しかも手術の翌日、「スタックバルブ」のために患者急変。その「スタックバルブ」という言葉にも泣けます。
ドラマでは、人工弁が組織に引っかかったと説明していましたが、まさに、私も同じような経験があります。
狭い部位に何とか入れ込んだ人工弁が、周囲の組織に引っかかったり、縫合糸が引っかかったりするのです。
あるいは、何らかの原因によって、人工弁に血栓が付着して、弁の動きが止まってしまったりもするのです。
緊急再手術をしてもリカバーがしばしば困難な、人工弁置換手術後に起きうる最悪の合併症のひとつです。

そこで主人公(キムタク)がひねり出した打開策が、「心尖下行大動脈人工血管吻合術」という離れ業。
これがまた、泣けました。もう号泣です。この術式はしばしば、一か八かのような気持ちで採択するからです。
私も経験があります。そうとう厳しい結果になります。でもドラマはまさに、奇跡を描いていました。

ここまでは、まずまず。最後まで諦めずに再手術を成功させる、外科医の粘り腰を、よく描いてくれました。
しかし、次の第2話が心配。なにしろ脳外科手術をやろうという雰囲気だからです。心臓外科医なのに。
そんなことやったらリアリティーぶち壊し。『Doctor-X』並の、コメディー外科医ドラマになりますけどね。

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『おんな城主直虎』始まる
- 2017/01/08(Sun) -
NHK大河ドラマ『おんな城主直虎』が始まりました。
戦国時代に男の名で家督を継いだ「おんな城主」、遠江井伊家の当主・井伊直虎の生涯の物語です。

恥ずかしながら、私は井伊直虎という人物を知りませんでした。大河ドラマ、勉強になります。
井伊で私が知るのは、幕末にハリスと日米修好通商条約を結び、桜田門外の変で暗殺された井伊直弼です。
直虎の活躍がなければ、井伊家の運命は大きく変わり、日本の近現代史は別物になったかもしれません。

学校で井伊直弼を習った頃、「井伊」だったか「伊井」だったか、ときどきわからなくなりました。
ちょうど、「鳥取県」か「取鳥県」かわからなくなるようなものです。
字面からなんとなく正解にたどり着くのですが、考えすぎるとゲシュタルト崩壊のようになってしまいます。

今日の第1回放送は、例によって主人公は子役でした。大河ドラマの子役は、いつも可愛いですね。
4年前の『八重の桜』の時もそうでしたが、第2回で子役の出番が終わってしまうのが、なんとも名残惜しい。
昔の大河ドラマは、もう少し長く子役で引っ張りませんでしたっけ。

調べてみたら、『八代将軍吉宗』(95年)では、主人公の西田敏行が登場したのは、なんと、第9回ですよ。
これは異常に遅い。しかも西田敏行の登場の仕方は、かなりインパクトありましたね、前にも書きましたが。

真田丸』のように第1回からギャグをぶちかます脚本ではありませんでしたが、今後の展開に期待してます。

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『真田丸』プレ最終回
- 2016/12/11(Sun) -
NHKの『真田丸』は、ついに来週が最終回。大河ドラマはいつも、最後には少し悲しくなってしまいますね。
たとえ明日衆議院が解散しても、投票は来月。2年前のように、最終回が急遽延期されることはなさそうです。

今夜放送された第49回までは、毎回すべて漢字2文字のサブタイトルが付いていましたが、次回はありません。
番組終了後の予告編すら、わずか5秒程度と、ほとんど情報がありません。どういうことなのでしょう。
最終回には、何か仕掛けがあるのか。三谷幸喜ですから、そう簡単な終わり方はしないでしょうね。

よく見ると、「三谷幸喜」って、縦書きにすると左右対称ですね。いいなあ、こう言う名前。

来年の大河は『おんな城主 直虎』。井伊直政の養母・井伊直虎の生涯を描くようです。主演は柴咲コウ。
なんか最近、女性が主人公のことが多いなと思って調べたら、過去10年のうち5回がそうでした。

主人公が女性の大河は盛り上がりにくいとも言われますが、私は必ずしもそうは思いません。
2008年の『篤姫』は傑作だったし、2011年の『江』はやや人気がなかったものの、私は好きでした。
昨年の『花燃ゆ』も、評判は今ひとつでしたが、長州出身の私としては楽しめました。
まあその意味では、2013年の『八重の桜』に対する私の評価は微妙です。

歴史を題材にしたドラマなのだから、大筋は変えようがありません。となれば、鍵を握るのは脚本でしょう。
『おんな城主 直虎』の脚本は、『JIN-仁-』や『天皇の料理番』の森下佳子なので、期待しています。
でもそれよりも、来週の『真田丸』ですね。何が起きるやら。

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J・リーチャーを観る
- 2016/11/24(Thu) -
「シネプレックス熊本」改め「ユナイテッド・シネマ熊本」が、昨日から営業を再開しました。
震災から復旧してオープンした県内のシネコンは、これでやっと3軒目です。
劇場のような構造の建物は、どうやら地震に弱いようです。復旧にもずいぶん時間がかかりました。

わが家の近所のTOHOシネマズは、一足先に、9月にオープンしました。それ以来、月に1回は映画の日です。
9月は『シン・ゴジラ』、10月は『インフェルノ』、そしておととい観たのは『ジャック・リーチャー』。

昔、道ばたで出会って以来、トム・クルーズとは縁を感じているので、彼の映画はわりとよく観ます。

この映画は、4年前の『アウトロー』の続編です。ならば先に『アウトロー』を復習しておくべきでしょう。
そこでまず、録画してある『アウトロー』を観て、その興奮もさめやらぬうちに映画館に出かけたのでした。

というのも、『ジェイソン・ボーン』の悲劇を繰り返したくなかったからです。
マット・デイモン主演としては、最新作がシリーズ4作目。そこでまず3作目までを復習鑑賞したのです。
ところがなかなか時間がなくて、録画しておいた3作品を全部観るのに、3週間かかってしまいました。
で、3本見終わったときにはすでに、最新作の上映期間が終わっていたと、そういう顛末です。

最近の映画って、元軍人とか元CIAとかがが主人公であることが多くて、パターンが似てますね。つまり、
(1)主人公は元々、きわめて有能な軍人または情報部員だった
(2)ワケあって、いまはフリーもしくは追われる身で、居所も不明
(3)組織のことなど気にせず、正義、または復讐のために戦う
ワンパターンでも、面白けりゃいいですけどね。

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インフェルノを観る
- 2016/10/28(Fri) -
『インフェルノ』という映画が、本日、封切られたので、さっそく観に行きました。
『ダ・ヴィンチ・コード』『天使と悪魔』に続く、ダン・ブラウン原作の、シリーズ第3弾です。

2作目の「コンクラーベ映画」では、バチカンが詳細に描かれていましたが、今回の舞台はフィレンツェ。
数少ない私の渡航歴の中でも、フィレンツェは、私が訪れたことのある、一番好きな街です。

先月は、『シン・ゴジラ』を「夫婦50割引」で観たのですが、今回はどうも、同伴者の都合がつきません。
「夫婦50割引の片方だけ」ってのがあれば、いいのですけどね。

いつもはパソコンで、ネット予約・座席指定をして出かけるのですが、今日は試しに、iPhoneを使いました。
すると案の定、支払い画面では「Apple Payで支払う」というボタンが出てきました。待ってました〜。
それをポチョッと押して、そのままTouch IDで指紋認証。いい感じに、Apple Payが浸透しつつあります。

で、精算画面を見ると、料金は1,100円じゃないですか。シネマイレージ会員料金にしても、安い。
調べてみたら、たまたま今日まで、「シネマイレージウィーク キャンペーン」をやってます。ラッキー。

客の入りは30人ぐらい。まあ、こんなもんですか。『天使と悪魔』のときよりは多いかも。
内容については・・・触れないで起きましょう。私の評価も・・・

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シン・ゴジラを観る
- 2016/09/13(Tue) -
近所の映画館「TOHOシネマズ光の森」が、震災からようやく復旧して、本日オープンしました。
再開を祝ってオープン初日の今日、朝いちばんの上映を観に行くのが近隣住民の勤めでしょう。

夫婦のどちらかが50歳以上なら1100円、という割引特典を利用し、ネット予約して行きました。
これがあと4年もすれば、私一人でも、いつでも1100円になるのです。その歳(還暦)が楽しみです。

観たのはもちろん、話題の『シン・ゴジラ』。なかなか面白い社会派ドラマでしたね。えっ、怪獣映画?

難を言うなら、倒壊した家々の映像が、つらい。熊本地震を思い出してしまいます。
春の連休に封切られていたら、とても見る気にならなかったでしょうが、どうせ当時は映画館も壊れてました。

監督の庵野秀明氏は、私と同じ山口出身、しかも同い年。そんなヤツいたかなあ。あ、高校が違いました。
しかし少年期には、もしかすると私は庵野氏と近い空間にいて、ニアミスしていたかもしれません。

帰宅後に、比較のため、録画しておいた初代『ゴジラ』を観てみました。1954年の白黒映画です。
夜のシーンが多いため、白黒のゴジラが黒光りして妙に生々しく、決してCGには劣らない迫力でした。
銀座和光をゴジラが破壊するシーンには、和光本社が激怒したらしいですが、もちろん今なら逆でしょうね。

初代ゴジラはラストで完全に死滅したので、第二作では「別のゴジラもいた」という、やや苦しい設定でした。
その点、『シン・ゴジラ』は、ぬかりない。

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新『ベン・ハー』
- 2016/09/03(Sat) -
映画『ベン・ハー』がリメイクされ、先々週から米国で公開されていますが、興行収入はいまひとつだとか。
日本では来年1月公開。予告編を見ましたが、映像は凄いけど「見慣れた」凄さでした。CGIだからですかね。

旧作では、戦車レースで落馬した競技者が別の戦車に巻き込まれるなど、迫力あるシーンに驚いたものです。
競走馬の足でもみくちゃに蹴られ、レース場の観客一同が「おおっ」と声をあげます。
中学生の頃にテレビで何度も観たシーンですが、テレビの前の私まで「うわっ」と声が出てしまいました。

生身の出演者(スタントマン)が演技しているので、そのリアリティーはいまとは大違いです。
もしかして役者さんが本当に大ケガをしたんじゃないかと、そんなことまで心配になり、ハラハラします。
実際にそのシーンの撮影でスタントマンが死亡していたと、後で知りました。それほどリアルなのです。

こどもの頃に観た『トラ・トラ・トラ』という戦争映画でも、スタントマンが3人亡くなったと聞きました。
その情報を知った上で映画館に行き、激しい爆撃シーンを目の当たりにするものだから、よけい緊張します。

新『ベン・ハー』では、どのようなスタントマンも演じきれないような、凄い場面が見られることでしょう。
しかし私は、激しいシーンであればあるほど、実はCGなのだと思ってしまい、緊張感が半減するタチです。

淀川長治氏は旧作を評して、「やっぱりキャメラ、そのキャメラの凄いこと」と撮影を絶賛していました。
「よくもこんだけ撮影できたなあ、それはどんな撮影したんだろう、それが見所だと思います」と。

巨大なセットを造り、役者は体を張り、カメラマンも命がけ。旧『ベン・ハー』はそんな時代の超大作でした。
新『ベン・ハー』がいくらCGIを駆使しても、同じストーリーで旧作を超えられるとは思えないのです。

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久しぶりにCDを買った
- 2016/08/11(Thu) -
慣れというのでしょうか。私にとって音楽は、ついにストリーミング再生が当たり前になってしまいました。
音楽を聴く時間そのものが減ってはいますが、たまに聴いても結局、AppleMusicで済ませています。

そのようなことでは所有欲が満たされないと、以前は書きましたが、いまはもう、その気持ちも微妙です。
所有って何でしょう。手軽にストリーミングで聴けるようになると、その意味が不明瞭になってきています。

昔は、お気に入りのレコードジャケットを、インテリア代わりに部屋の壁や棚の上に飾ったりしたものです。
しかしCDになってからは、飾らなくなりました。ラックにしまい込んで、CDの背中だけが見える状態です。

それどころか、買ったCDがそこに実在していなくても支障は無い、ということが判明しました。

先日、久しぶりにCDを買いました。好きなアーティストの5枚組のCDが、Amazonで超格安だったのです。
こういう曲数が多いCDは、iTunesStoreではどうしても割高になってしまいます。6,000円でした。
ところがAmazonでは、輸入盤(もちろん新品)が1,392円でした。あわてて買いました。

CDが届いたので、早速聴こうと思ったのですが、肝心の自宅のオーディオ機器が、震災後不調のままです。
なにしろ、フロントスピーカーは倒れ、壁に設置していたリアスピーカーは床に落下していましたからね。
あちこちの配線が断線気味だし、それどころか書斎がまだ片付いてない。それを忘れてました。

ならばCDはパソコンで再生しようかと思ったら、私のMacBookProには、CD入れる穴がない。ありゃま。
でも大丈夫。購入したCDのジャケットを眺めつつ、曲はAppleMusicで聴くことができました。
つまり、CDを買って所有欲を満たし、音楽はストリーミングで聴くというわけです。何か間違ってますかね。

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名演奏で号泣
- 2016/07/03(Sun) -
池辺晋一郎という、ダジャレ好きの作曲家がいますが、今朝の日経に面白いエッセイを書いていました。
「ものの名前」というタイトルで、地名や曲名や、やっぱり地名の問題を、わりと真面目に取り上げています。

その内容はともかく、池辺氏が、地名の由来や変遷について興味深く考察している点が、じつに興味深い。
このオジサンって、たいした人なんでしょうけど、ダジャレがベタなんですよね、テレビ番組で見てると。

NHKの「N響アワー」では、池辺氏のダジャレに対する、アシスタントの女性(女優)の反応が見物でした。
檀ふみさんは、さすがにうまい切り返しでしたが、途中でアシスタントが若村麻由美さんに変わりました。
しばらくは毎週、ヒヤヒヤしながら見てましたが、だんだん慣れてくるものですね。

この番組では、とくに思い出深い回があります。
それは、尾高忠明が指揮した、ブラームスの交響曲第一番の演奏を聴いたときのこと。
この曲は私も、中学1年の時に、先輩の田中雅弘さんから奨められて聴いて以来、ずっと大好きな曲です。

尾高氏が渾身の指揮。N響のメンバーが驚愕の演奏。あれはもう、涙が出そうになるぐらいの、名演奏でした。
そしたら若村麻由美も、番組中なのに、号泣です。泣きすぎて、その後のトークができなくなりました。
これは彼女の情緒不安定によるものではありません。よく見たら、あの池辺氏も、少しウルっとしてましたよ。
泣くのをギリギリこらえていた私も、2人の様子を見て、目頭が熱くなってきました。

この番組は録画してたので、すぐDVDに焼きました。DVDは書斎のどこかにあるはずですが、行方不明です。
数年前からときどき探しているのですが、見つかりません。書斎は震災前から、ひどい状況だったのです。

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被災者とマスコミ
- 2016/04/24(Sun) -
TBSの「Nスタ」の生中継中に、被災者が取材陣に邪魔だとクレームを付けた話が、ネットを賑わせています。
熊本地震の被災者とマスコミのトラブルが、あちこちで起きているようです。

無神経な取材にうんざり、という事態は、どのような災害や事件・事故の場合でも、起こり得ることです。
しかし、報道の役割も大きいはず。それが重要な情報源となり、全国から支援が集まっているわけですから。

たぶん、みんな悪気はないのですが、いかんせん、被災者側に余裕が無いのです。問題は、温度差です。
取材陣は使命感に燃え、被災者は悲嘆に暮れています。レポーターの「熱さ」は、度が過ぎると不快です。

テレビをつければ、画面のサイドや上下には、地震に関連する情報が常時、流れています。
上下にテロップを出せば、左右にも出さないと、画面の縦横比のバランスが取れないのでしょうか。

NHKなどはデカデカと左側に「余震に警戒」と出し続けていますが、これは、はっきり言って目障りです。
最新情報をテロップで流すのは助かりますが、「余震に警戒」と出し続けて、何か意味ありますか。
被災地で、余震が気にならない者など、誰ひとりいません。警戒どころか、恐怖の連続です。

そのテレビすら見ることもできない被災者の場合には、テレビのテロップなど無意味です。
また、さいわいテレビを見られる私のような者には、いっとき地震を忘れて、大河ドラマでも見るのが息抜き。
ことさらに余震のことを強調するようなテロップは、もう少し小さくしてもらえませんかね。

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大河ドラマの面白さ
- 2016/04/11(Mon) -
真田丸」は毎回、笑わせてくれますね。どうやら、歴史コメディーの様相を呈してきました。
時代も、人物も、それぞれ興味深い題材ですが、笑わせるのはやっぱり、脚本の力でしょうね、三谷幸喜の。
考えてみると、私がこれまでに面白いと思った大河ドラマには、いつも適度な笑いがありました。

歴史を教科書通りに映像化したのでは、面白かろうはずがありません。何しろ、ストーリーはネタバレだし。
かといって、史実をねじ曲げるのは困る。史実と異なるドラマは、また別の企画でやってくれればよいです。

大河ドラマの面白さは、史実とは矛盾しない範囲で、どれほど独自の物語を構築できるかで決まります。

架空の人物を登場させても構わないわけです。そのような人物がいなかった、という証拠はないからです。
だいいち、誰がなんと喋ったのか、その一語一句が完全に記録されているわけではありません。
登場人物たちのセリフは、つまるところ、ほとんどが創作です。
誰と誰が、じつは裏でつながっていたとか、あっと驚く設定にしてしまうのも、ありでしょう。

真田信幸が、妻と思って膝枕に寝そべってしばらく愚痴った挙げ句、気がつくとそれは妻ではなく母親だった。
昨日のそのシーンすら、そんなアホな出来事がなかったという証拠はないので、史実とは矛盾しません。
この場合は、「んなわけないやろ」と突っ込みながら笑うのが、われわれの正しい視聴態度というわけです。
今回の大河ドラマは、三谷幸喜の策にどっぷりとはまればはまるほど、その面白さを堪能できそうです。

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医師免許取ってドラマ制作
- 2016/04/07(Thu) -
医学部をこの春卒業して医師免許を取得した女性が、TBSに入社した、というのが話題になっています。
ほとんど臨床経験の無いまま、研究職や行政職に就く「医師」は時々いますが、テレビ局というのは珍しい。

「もともと医療ドラマが好きで、医者になろうって思ったけど、でも本当に好きなのはドラマだった」
彼女のこのコメントを、どうしても私は理解できません。

「もともと野球中継が好きで、野球選手になろうって思ったけど、でも本当に好きなのは野球中継だった」
極端な話、こういうことでしょう。

「医者って格好いい」と言ってはばからない彼女。そのミーハー根性は、ドラマでどのように生かされるのか。
おそらく、一般ウケの良いドラマ作りに貢献するでしょう。つまりそれは、私の嫌いなドラマです。

たとえば外科医が主人公のドラマでは、緊迫した手術シーンのリアリティーが重要です。
ところが、第一線の臨床医が監修しているはずなのに、妙なシーンが多くて閉口します。
そこへ現場を知らない者が、医者ヅラをして制作に携わるようになったら、もっと変なことになりそうです。

良いドラマを作るために、医学部で勉強して医師免許まで取ったと考えれば、それはたいしたものです。
であるならば、せめて5,6年ぐらい若手医師として、現場で患者と向き合ってからでも遅くはないでしょう。
そのような経験を積んでから、ドラマ作りに転向した方が、よほど重厚な作品ができると思うのですが。

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ジョブズ映画第2弾
- 2016/02/23(Tue) -
映画『スティーブ・ジョブズ』を観に行きました。ジョブズ映画の第2弾です。
ジョブズ役のマイケル・ファスベンダーが、ジョブズに似ていないことでも話題の映画です。
なにしろ第1弾では、アシュトン・カッチャーが、ジョブズそっくりでしたから。

近所の映画館では上映してなかったので、少し遠くの映画館に行きました。総観客数はわずか8人。

さて以下は、ネタバレに注意して下さい。
基本的に、この映画は会話劇です。しかもおおむね、感情的。
動きがないので、会話の内容と短い回想シーンから、全体のストーリーを推測しつつ観ることになります。

すでにジョブズとAppleの物語はある程度知られているので、細かい解説はナシです。
ある程度の予備知識がないと、登場人物が何者なのかすら、わかりにくい映画です。

観てるうちに、人物関係がわかってきます。登場人物が絞り込まれているので、それほど複雑ではありません。
突き詰めれば、登場人物8人程度からなる人間ドラマなのです。ちょうど、演劇を観ているような感じです。

30年近く、一貫してApple製品と付き合っている私には、とても楽しめる映画でした。
また第1弾とは異なり、Appleやジョブズの歴史を知らなくても、感動できる映画に仕上がっています。

主役がジョブズに似てるかどうかが、さほど重要ではないことも、観たあとでわかります。
そのマイケル・ファスベンダーは、アカデミー主演男優賞にノミネートされています。発表は来週。

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生放送の緊張感
- 2016/02/12(Fri) -
NHK「クローズアップ現代」の国谷裕子キャスターは、諸事情あって、3月で降板です。
内容もさることながら、生放送の緊張感を楽しんでいるとしか思えない国谷氏の進行ぶりが、見事でした。

番組自体は存続し(番組名に「+」が付く)、4月からは女性キャスター7名の「リレー形式」になるとか。
優秀な女性キャスター7人が束になって、やっと国谷氏の後任が務まるのか、などと思ったりもします。

先日なにげに番組を見ていたら、樹木希林さんが、しれっときわどい発言をしていましたね。
ネットで話題になったので、あらためて録画を見直してみると、番組最後の18秒はこうでした。

樹木「いや私ね、国谷さんはホントに素敵な」
国谷「まぁ」
樹木「仕事ぶりだなぁと思っているの。そしてねぇ、NHKは大変な財産を」(A)
国谷「あ、いやぁ」
樹木「お持ちだなぁと思って、私はいつもね、あの、だ、大好きな番組です」(B)
国谷「ありがとうございます。いつまでも、どうぞお元気で」
樹木「はい、いつまでもなんて」(音声が途切れ、番組も終了)

なるほど。(A)の後に「失うんだなぁと思って」と続くかとも思わせる、絶妙な「間」がありますね。
樹木希林はそれを狙っていたのだと思います。(B)で、どもってしまったのは、その緊張の現れでしょう。
こういう風に、生放送の最後に言いたいことを滑り込ませて、しかも人を不快にさせないのは、さすがです。

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完璧なカタコト
- 2016/01/31(Sun) -
大河ドラマ『真田丸』、盛り上がってきましたね。題材もキャストも、脚本も良いです。
これ以外のテレビドラマは、最近ほとんど見ませんが、ふと見かけた民放ドラマが妙に面白かった件。

フジテレビの『ナオミとカナコ』がそれです。高畑淳子が演じる、中国人女社長がウケます。
そのしゃべりが「完璧すぎるカタコト」とまで評されるぐらいの、はまり役アルヨ。みな見るヨロシ。

このドラマを見て、ゼンジー北京を思い出しました。もう、ゼンジー北京を知らない人も多いでしょうか。
「ワタシ中国ハ広島ノウマレアルヨ」とか「タネモシカケモ、チョトアルヨ」とか言ってた、手品芸人です。

この中華風のカタコトは、文明開化期の横浜や、戦時中の満州に由来があるといわれています。
これらを掘り下げるとまた面白いのですが、まだ研究途上なので、今日は書きません。

ステレオタイプな使われ方だけでなく、いまでも実際に、中国の方は似たような言葉遣いをされます。

助詞を省いてしゃべる患者さん(中国人)には、日ごろの診療でもよく遭遇します。意味はまったく通じます。
促音(っ)や長音もしばしば脱落していますが、これもほとんど支障はありません。会話は成立します。

助詞や促音や長音が無いと、言葉は全体に短縮され、会話の時間が短くなります。ある意味、省エネです。
ただしどうしても、せっかちに聞こえますね。そこがどうも私の、香港映画のイメージと重ナルノコトヨ。

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