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「H3」ロケット打ち上げは「成功」せず
- 2023/02/17(Fri) -
日本の新たな主力ロケット「H3」初号機の打ち上げは、直前になって「中止」されました。
メインエンジンは着火しましたが、打ち上げ0.4秒前に着火すべき「ブースター」が着火しなかったとのこと。

「打ち上げる前に取りやめているので、今回は失敗ではない」という解釈です。「打ち上げ中断」です。

もしも、たとえ1mでも打ち上がった後の中止なら、ロケットは壊れます。それは間違いなく失敗でしょう。
さいわい今回は打ち上げ前の中止なので、ロケットはそのまま次の打ち上げで利用できると考えられています。

しかし、何年もかけて打ち上げを準備して、また期待して見守ってきた人たちにとって、今日は「失敗」です。
失敗ですが、挽回はできます。過去に何度も、そのような試練を乗り越えてきた日本ですから。

ロケットと言えば、某独裁国がやたらに打ち上げています。
その大きさはH3の3分の1程度ですが、最近の打ち上げの成功率は高く、この国って別の意味で驚きますね。

米国ではイーロン・マスクの「スペースX」が、すでに打ち上げビジネスとして成功しています。
先週は、巨大ロケット「スーパー・ヘヴィ」の燃焼試験が成功したばかり。H3の2倍の大きさのロケットです。
彼らは火星への移住をも目標に開発しているので、やることがすでに桁違いです。

問題を克服する能力や技術やチーム力や根性なら、日本も負けないはず。来月の打ち上げ成功を期待します。

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ノーベル物理学賞の真鍋氏は、米国人です
- 2021/10/07(Thu) -
ノーベル物理学賞は、米プリンストン大の真鍋淑郎氏らが受賞しました。
こういった、海外に流出してしまった日本人研究者の偉大な業績を知るたびに、複雑な思いに駆られますね。

基礎研究に対する予算規模が、先進諸国(中国も含めて!)に比べて圧倒的に小さいという問題がまずひとつ。
日本の政治家(官僚も?)の認識不足・思慮不足による、国家的な戦略ミスでしょう。
なにしろ安倍首相(当時)はかつて、学術研究を深めるより実践的な教育をしろと公言してるぐらいですから。

「日本の近年のノーベル賞ラッシュは、過去の遺産を食いつぶしたものに過ぎない」
5年前に医学・生理学賞を受賞した大隅良典氏の言う「近年」は、残念ながらもう過ぎ去りつつあります。
仮に今から猛烈に基礎研究に力を入れたとしても、しばらくは追いつかないということです。

なぜ国籍を変更したのかと記者に問われて真鍋氏は、「米国ではやりたいことをできる」と答えました。
裏を返せば、「調和を重んじる」日本では「他人を邪魔するようなこと」ができないのだと。
「私は調和の中で暮らすことはできないものですから、それが私が日本に帰らない理由です」
この発言はショックでしたね。和を以て貴しとなす日本人としては、痛いところを突かれた気がします。

研究費問題も調和問題も、いずれも解決しなければ日本の科学研究の未来はありません。
日本を脱出した研究者を、いつまでたっても「日本人」としてカウントして安心しているようではダメですね。

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火山国ですが、巨大噴火のことまでは想定しません
- 2021/03/18(Thu) -
四国電力伊方原発3号機は、運転差し止めの去年の仮処分決定が本日取り消され、再稼働が認められました。

前回は、阿蘇山が過去最大規模の噴火をした場合、火砕流の影響を受けないとはいえない、との判断でした。
しかし今回は、伊方原発にまで影響を及ぼすような阿蘇の巨大噴火の可能性は高くない、というのが決定理由。

阿蘇山噴火の科学的評価が変わったわけではなく、その影響に対する判断が変わったわけです。
つまり、たとえ噴火被害が甚大でも、その確率がきわめて小さければ考慮しなくても良い、ということです。

あるいは、被害が極端に大きな破局的天変地異は、もはや想定しても意味がないというニュアンスも感じます。
伊方原発を巻き込むような巨大噴火が起きたら、それこそ原発どころの騒ぎじゃないでしょ、というわけです。

いやしかし、単なる噴火だけなら、たとえ西日本が火砕流で焼き尽くされても、日本はきっと再起できるはず。
生き残った東日本の人たちが徐々に西日本に移り住んで、きっとまた西日本を再建してくれることでしょう。
その証拠に、9万年前の阿蘇の巨大噴火でほとんどの生物が死滅した九州は、現在すっかり繁栄しています。

それにしても、原発が火砕流に飲み込まれて完全にメルトダウンしたら、いったい日本はどうなることか。
その意味で、過去最大規模の噴火すら想定した昨年の仮処分決定は、じつに誠実な判断だったと思います。
ですが日本人は、最悪の事態を想定することを忌み嫌う国民性ですから、今回の決定の方がなじむのでしょう。
地震や津波はともかく、噴火のことはもう、考えないことにしたわけです。
それに、原発が破局噴火の火砕流に巻き込まれたとき、それが稼働中かどうかはもはや関係ないですからね。

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地図を眺めて妄想に入り込む
- 2021/03/07(Sun) -
幼少期から地図を見るのが好きでした。なので今でも時々、GoogleMapであちこちトリップしています。

ジブラルタル海峡と津軽海峡、どっちが狭いんだろう。今日はその疑問を、Google先生にぶつけてみました。
検索窓に、「ジブラルタルか」まで入れたら、「ジブラルタル海峡 距離」っていう項目が出現。これは親切。
それを選択してみると、最上段の「回答」には地図入りで「11,119km」とありました。1万?km?

よく見ると、熊本県熊本市東区上南部からジブラルタル海峡までの距離らしい。そんな情報は要りませんが。
気を取り直して2段目の回答(Wikipedia)を読むと、14kmだと判明。やっぱり津軽海峡より狭いんですね。
こう狭いと、橋を架けるかトンネルを掘りたくなりますよね。と思ったらすでに工事中ですか。

九州で言うなら、橋を架けたいトップは天草(下島)と島原の間でしょうね。あと天草–長島間も捨てがたい。
平戸から五島は、ちと遠いか。陸路で繋げたらまさに「Goto(五島)トラベル」(これが言いたかった)。

プレートが移動しているので、海峡は今後、徐々に広がるか逆に狭くなって衝突するかの、いずれかでしょう。

そんな風に地図を眺めていたのか、アフリカの左側に南米の右側がピッタリはまることに気付いた人がいます。
ある学者のアイデアだそうですが、ウェゲナーが「大陸移動説」を提唱するのはその300年後のことらしい。
でも大陸移動説ですら、世の中で広く認められるようになったのはウェゲナー没後、つい数十年前のことです。

「パンゲア大陸」が分裂していまの大陸を形成したというのが定説ですが、また数億年後には再結合するとか。
大西洋が閉じるか太平洋が閉じるかの2説あるそうで、後者の場合、超大陸「アメイジア」ができます。
アメリカ大陸とアジアが結合するとなると、日本は米中間の緩衝帯としての重責を担うことになるでしょう。
もうその時は、日本国内の全ての海峡も島もくっついて海は消失しているので、橋もトンネルも不要です。

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希望が見えました
- 2021/02/06(Sat) -
コロナ禍で世界が暗くなっているこの時期に、一筋の希望の光が見えた気がしました。
今夜6時半ごろ2階の窓から、北東の空を光りながら進む「きぼう」を目にして、私はそのように感じました。

正確には、見たのは国際宇宙ステーション(ISS)ですが、「きぼう」日本実験棟も当然、見えていたはず。
それは橙黄色に輝く意外に大きな光の点で、北の空から東に向かって、一直線に移動していきました。

たまに目にする飛行機よりも速い印象でしたが、もちろん、距離を考えたら速いなんてものじゃないでしょう。
調べてみたらISSは、地上400kmを秒速7.7km、地球1周を90分の速度で、毎日16周ほど回っているとのこと。

「きぼう」が6時半によく見える、との情報を得て夕方6時過ぎに職場を出たときは、まだ期待半分でした。
日没直後でまだ空が明るいし、こんなので見えるのだろうかと思っていました。
ところが家に帰り着く直前、不意に、進行方向の空に光る点を見つけたのでした(もちろん安全運転中)。

慌てて帰宅し、家人に何か叫びながら2階に駆け上がって北側の窓を開けると、光は東に向かっていました。
空はまだ、普通の星が見えない程度の少し明るい状態だったので、ISSが唯一の光る天体でした。

あとで考えてみたら、日没直後の絶妙のタイミングでなければ、ISSは見えないことに気付きました。
日が沈んで空が暗くなり、しかし上空のISSにはまだ太陽光が当たっている短い時間だけ、なんですよね。

そんな特別の瞬間を目にすることができ、しかも「きぼう」の光なのですから、そりゃ気分も上がります。
コロナ禍の収束とは何の科学的関連性もありませんが、そんな風に結びつけたくもなるでしょう。

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海に出て また山に降り 最上川
- 2020/07/29(Wed) -
山形県の記録的豪雨で、最上川があちこちで氾濫しました。ニュース映像は、球磨川の氾濫に酷似しています。
人的被害が少なかったのは、球磨川が教訓となり、行政の避難指示と住民の動きが早かったからだといいます。
ある町の職員は、「空振りでもしょうがない。怒られてもいいと思い避難指示を出した」と。すばらしい。

くしくも最上川と球磨川は「日本三大急流」と呼ばれる河川のうちの2つ。あとのひとつが富士川。
これらはいずれも川底の侵食による水深にばらつきが大きく、それが急流を生み出しているそうです。
その本流に多くの支流が流れ込むので、原理的に降雨量の急な変化に弱い構造なのかもしれません。

いくつもの山河を見て歩いた松尾芭蕉が、梅雨時のこの川を「早し」と詠んだのも頷けます。

「五月雨をあつめて早し最上川」
最初は「涼し」と詠んだけど、数日後に川下りをした印象で、後に「早し」に変えたことでも知られます。
川下りがよほどスリリングだったのか。雨が降ると豹変する河川だと、身をもって知ったのかもしれません。
この句は、例の「蝉」の句の2日後に詠まれたようです。さらにその2週間後には、次の句を詠んでいます。

「暑き日を海に入れたり最上川」
河口に至った芭蕉は、暑い一日が海に流れ入るかのごとく、涼味を感じたようです。
その、海に流れ込んだ大量の水が、やがて雨となって山に降るという循環を、芭蕉は感じていたのかどうか。

河川の氾濫はいまに始まった事ではなく、ずっと繰り返されています。地球温暖化や異常気象とは無関係です。
現代の科学技術をもって、少なくとも人的被害だけは起きないよう、あらゆる方策を講じてほしいものです。

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「MOMO5号機」打ち上げ失敗、ではない
- 2020/06/14(Sun) -
民間単独開発のロケット「MOMO(モモ)」は、今朝打ち上げた5号機も、宇宙には到達できませんでした。
これまで5回の打ち上げのうち、成功した(=高度100キロの宇宙空間に達した)のは、3号機だけです。

1号機の打ち上げに失敗した後、打ち上げ場所のある北海道大樹町に、私はふるさと納税をして応援しました。
その次の2号機の失敗後、こんどは3号機のために、「インターステラテクノロジズ」社に出資しました。
いわゆる「クラウドファンディング」ってやつです。そしたら見事、3号機の打ち上げに成功したわけです。
以後、出資はせずに眺めていたら、4号機も5号機も失敗してしまいました。なので微妙な責任を感じています。

にしても、今回の5号機の機体のペイントって、すごくないですか。スポンサーのロゴが。
機体表面の大部分を占めている巨大な文字が、「お好み焼 北九州伝統の味 なにわ」ですからね。
ニュース映像では、ロケット「なにわ号」みたいに見えますよ。まるで大阪の下町ロケットじゃないですか。
ついでに、「北九州伝統の味」なのに「なにわ」って店名も気になりますけどね。

「今回の打上げでは多くの成果が得られ、今後のロケット開発に向けての大きな前進となりました」
今朝の「打ち上げ結果」について、「インターステラテクノロジズ」社はこのように述べています。
つまり、失敗ではないんですね。確かに打ち上げたのです。そして成果を得たのです。さらに次に進むのです。
「雨垂れ石を穿つ」の気持ちで、関係者のみなさんには諦めずに挑み続けていただきたい。

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リチウム化合物
- 2019/10/10(Thu) -
ノーベル化学賞受賞のニュースで、今日も大いに盛り上がっています。
医学・生理学賞の報道が淡々としていると思ってたら、やはり日本人が受賞するとすごいことになりますね。

研究の経緯や詳細、リチウムイオン電池の将来性、吉野氏の人柄等、いろんな切り口から報じられています。
その中でも、今夜の「報道ステーション」で富川MCが最後にチラッと口にした言葉が、私は気になりました。
それは「リチウム」という言葉のアクセントについてです。

「頭高型(例:仙台)」「中高型(福岡)」「平板型(熊本)」のどれなのか。
私は「カリウム」と同様に、中高型だと思っています。
「NHK日本語アクセント新辞典」にも「新明解国語辞典」にもそうあるので、間違いないでしょう。
ただ、リチウムという言葉が広く使われるようになれば、他の名詞と同様に平板化に向かうのかもしれません。

リチウムイオン電池についての報道を聞いていて、「リチウム=リッチ生む」なんて発想をしてしまいました。
こういう品の無いことを思いつくのが、私の悪い癖なのです。せめて「利智生む」を思いつくべきでした。

リチウム化合物は、昔から双極性障害の治療に使われてきました。
それ以外では、原子番号3番という好位置にありながら、リチウムは知名度の低い元素でした。
しかし近年、リチウム電池やリチウムイオン電池が開発されたおかげで、いまや花形元素です。
将来もっと重要な元素になるような気がします。原子が小さいのは、応用範囲が広いってことですよね。

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リチウムイオン電池
- 2019/10/09(Wed) -
「え〜見事に、あの〜今年のノーベル化学賞を受賞いたしましたことを、ご報告したいと思います」
満面の笑みでこう語る、吉野彰氏の開口一番を聞いて、私はズッコケました。もちろん、良い意味で。

「仲間たちのおかげで」とか「まことに光栄なことに」などの修飾語がなく、喜びがストレートなのです。
記者会見が実にざっくばらん。笑顔もいいというか、笑いすぎでしょう、このオッサン(失礼)。

ファラデーの『ロウソクの科学』を小学時代に読んで、理科が好きになったそうですね。
それなら私も小学生の頃に読んだような気がするのですが、読んだあとの生き様はだいぶ異なったようです。
この機会にまた読んでみたら何か得られる発想があるかもしれぬと、いまAmazonで1冊発注しました。

現代のIT機器に欠かせない「リチウムイオン電池」ですが、吉野氏らが開発したのは数十年前の話です。
画期的な研究業績にノーベル賞が与えられるのには、それぐらいの年月がかかるってことですね。

NHKを見ていたら吉野氏は、数年前まで携帯電話を持っていなかったとカミングアウトしていました。
これはある意味、世界のために研究したのであって自分のためではない、ってことの象徴みたいな逸話です。

電池応用の最終目標のひとつは、発電所に匹敵する規模の「蓄電所」を作ることでしょう。
太陽光発電は日中しか発電できないのがネックですが、蓄電が可能ならそのデメリットは消えます。
発電は全部太陽光に一本化でき、原子力発電所も火力発電所も不要になります。
そのような、世の中を変える次世代電池の登場が待たれます。電池研究はまだまだ盛り上がりそうですね。

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低酸素誘導因子
- 2019/10/08(Tue) -
ノーベル医学・生理学賞は、「細胞が酸素を感知し適応する仕組み」を解明した3人の研究者が受賞しました。
昨年とは打って変わって、日本人が受賞しないと報道量が圧倒的に少ないですね。これじゃイカンでしょ。

酸素は、生命活動に必要な基本中の基本物質。細胞内の酸素不足を敏感に感知する仕組みがあって当然です。
詳細をここで解説する能力は私にはありませんが、あらゆる細胞に関わる重要機構であることはわかります。

「低酸素誘導因子(HIF)」の面白いところは、細胞内で常に合成され、しかもすぐ分解されてる点ですね。
その分解には酸素が必要な酵素反応があり、低酸素状態になると分解が滞ってHIFが溜まります。
するとHIFはDNAに結合し、細胞機能のさまざまな調節因子の遺伝子発現を制御するというわけですよね。
(ざっくりと、私はそのように理解してますが、間違っていたら恥ずかしいので早めにご指摘ください)

貧血や心臓病や脳卒中など、低酸素が関連する病態にHIFは必ず関わっているため、臨床応用は広範囲です。
がん細胞が低酸素状態でもガンガン増殖できるのは、HIFを「悪用」しているからだとも解説されています。
HIF研究が今後臨床応用されていくとしたら、がん治療もその1つになるでしょう。

ただ一般的に、臨床応用に直結する実用的な研究ばかりを優先する昨今の風潮は、とても悲しいことです。
「人体の仕組みを知りたい」という純粋な気持ちこそが、将来の人類に貢献する大研究を生むと信じています。

残念ながら、そのような研究を育むための、教育環境・システム・予算が、いまの日本にあるとは思えません。
それ以前に、子どもの人口がジリ貧です。このままでは将来の研究者自体が足りません。どうするんだろ。

「日本の近年のノーベル賞ラッシュは、過去の遺産を食いつぶしたものに過ぎない」
3年前にノーベル医学・生理学賞を受賞した大隅良典先生の言葉が、ズシッと重いですね。

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ホリエモンついに成功
- 2019/05/04(Sat) -
「ホリエモンロケット」こと、観測ロケット「MOMO」3号機が、ついに今朝、打ち上げに成功しました。
1号機の失敗はしょうがないとしても、2号機の失敗には愕然としただけに、3度目の正直にはホッとしました。

しかしこの3号機も、何度も何度も打ち上げを延期してヒヤヒヤさせられました。というのも私は、
「続ける。宇宙への挑戦。みんなの力でMOMO3号機を飛ばそう!」プロジェクトに出資しているからです。

このクラウドファンディングの目標金額2,700万円に対して、集まったのは1,981万円余りでした。
足りない部分は、ホリエモンたちが自腹を切ったのでしょうかね。

ホリエモン曰く、「宇宙は遠かったけど、なんとか到達しました。高度約113km」。
ここでいう「宇宙」とは、高度100kmのことを指しています。これは大気がほとんど無くなる高さです。
水平に100kmなら熊本から福岡までの距離ですが、その距離を縦にするともう宇宙ですか。
大気なんてのは、直径12,700kmの地球の表面の、ごくごく薄っぺらな存在なんですね。

今回は「宇宙空間への到達」で目的を達成しました。次はの目標は「軌道投入」ですね。期待しています。

JAXAなどのロケット打ち上げ費用が数十億円かかるのに対して、MOMOは数千万円とされています。
この低コストはすごいことです。なにしろ、打ち上げ費用の1000分の1弱を私が負担できるぐらいですから。

MOMO3号機の打ち上げは、当初4月30日の予定でしたが、バルブの不具合のため延期されました。
ロケットにおいてバルブが大事であることは、「下町ロケット」で勉強したのでよく知っています。
しかしその後も、5月1日も2日も3日も、強風のために打ち上げ見送りとなりました。

慎重を期した延期なのでしょうけど、不安になりますよね。このまま打ち上げ中止にはならないだろうかと。
なので今朝の打ち上げ成功は、とにかく良かった。出資者向けの打上げ成功記念グッズにも、期待してます。

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動物性集合胚
- 2019/03/04(Mon) -
「動物性集合胚」とは、人以外の動物の受精杯(受精卵が成熟したもの)に、人の細胞を注入したものです。
その取り扱い指針がこのたび改定され、今後の研究では、動物への移植やその出産が可能となります。

注入する人の細胞というのは、「ES細胞」や「iPS細胞」といった「多能性幹細胞」です。
多能性幹細胞はこれまで、シャーレで培養したり動物組織に移植して、「分化能」の研究が行われてきました。
それが今後は、動物の胎仔の体内で分化させ、それを出産させて取り出す研究が可能となるわけです。

つまり、ブタの胎仔を使って人間の臓器を作製できるということです。そのような手法が解禁されたわけです。

病気の人のiPS細胞を元に臓器を作製すれば、病気の原因解明や薬の開発研究に役立てることができます。
健常人のiPS細胞から作られた臓器であれば、移植用臓器として使うことができるようになるのでしょう。

動物の体内で人間の臓器を作るという、映画の題材にもなりそうな世界が、現実のものとなるわけです。
しかし、移植用臓器の不足を解決する手段であったとしても、私には少なからず倫理的抵抗感があります。
いや、未来の世界では、それが当たり前の移植医療となっているのかもしれませんが。

どうせそのうちに、膵臓や肝臓ではなく、脳を作ろうとするヤカラが現れるような気がします。
その集合胚を移植された動物の赤ちゃんは、人間の脳を持って生まれてくるのでしょうか。
動物ではなく、人間の子宮に移植したらどうなるのか、もう考え出したらキリがないほどの恐怖です。

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ゲノム編集ベビー
- 2018/12/04(Tue) -
中国人研究者が「ゲノム編集ベビー」を出産させたことが、世界中から批判を浴びています。

まず、遺伝子を改変する「ゲノム編集」技術そのものと、それをヒトの受精卵に応用したことは別問題です。

ゲノム編集技術は生命科学研究や応用に不可欠なものであり、今後ますます発展させるべき分野です。
ヒトの遺伝性疾患は、ゲノム編集技術によって将来は根絶できるかもしれないと、誰もが期待しています。
さらに動脈硬化や発がんについても、ゲノム編集によって予防できるようになるかもしれません。
しかし今のところまだ人類は、ヒトの遺伝子を自由に改変できるだけの、経験や技術の蓄積がありません。

日本遺伝子細胞治療学会などの関連4学会は今日、ヒトの受精卵への応用を禁止する声明を発表しました。

声明では「現時点で発展途上の技術であり、予期しない結果を生じる可能性がある」と警鐘を鳴らしています。
はて、どこかで聞いたことがある表現ですが・・・そうそう、「原子力発電所」!
いまだに放射性廃棄物の処理法は決まってないし、予期もしなかったメルトダウンまで起きてしまいました。
事故原発の廃炉にしたって、今後何十年かかるかわからない、試行錯誤が続くことでしょう。

一方でゲノム編集は、科学技術の進歩によって、やがて一般的な研究技術になることに違いありません。
大小無数のラボで研究が行われ、それらは当然、農畜産業や医療への「応用」を目指すはずです。
だからこそ、いまのうちから厳しい規制作りが必要なのでしょうけど、大事なのはその実効性ですよね。
功を焦った研究や、実験上の重大ミス、犯罪集団による違法な臨床応用など、何が起きるかわかりませんから。

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本庶先生ノーベル賞
- 2018/10/02(Tue) -
ノーベル医学生理学賞を、本庶佑・京大名誉教授が受賞しました。
去年おととしも、本庶先生がノーベル賞を逃した話を書きましたが、今度こそ、三度目の正直でした。

報道番組では、「PD-1」のことを少しは理解してる人が解説してほしいものですが、それはさておき。
本庶先生の発言は、含蓄があってしかも面白い。今後発刊される「本庶本(ほんじょぼん)」が楽しみです。

「より多くの人を救いたいから、弁護士ではなく医師を選び、臨床医ではなく研究者を選んだ」
発言をまとめると、このような進路選択だったようです。付け加えるなら、臨床研究ではなく基礎研究です。

「ネイチャー、サイエンスに出ているものの9割は嘘」
研究をかじったことのある者にとっては、雲の上にある雑誌ですが、まあ「STAP細胞」もありますしね。

「『不思議だな』と思う心を大切にすること」
誰にでも言えそうなことですが、疑問の解決を諦めないかどうかが肝要なのでしょう。常人は妥協します。

「いちばんしたいことは『エイジシュート』」
驚くしかありません。39歳のときにゴルフをやめた私は、年齢の3倍近いスコアしか出せませんでしたから。

安倍首相がさっそく、本庶先生にお祝いの電話をかけてましたが、安倍首相には危機感を持っていただきたい。
大隅良典氏の言葉をもういちど借りるなら、
「日本の近年のノーベル賞ラッシュは、過去の遺産を食いつぶしたものに過ぎない」

ノーベル賞がすべてじゃないけど、ノーベル賞を目指せるような基礎研究こそが、未来の世界を変えます。

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次世代新幹線
- 2018/08/05(Sun) -
次世代新幹線は、時速360kmで走るそうですね。将来は東京-札幌間を5時間で結び、飛行機に対抗するとか。
でも私は、電車の速度が速くなればなるほど、その運動エネルギーの大きさが心配でなりません。

新幹線は安全な乗り物だとずっと思ってきましたが、それは性善説に基づく考えだと、最近わかってきました。
車両メーカーもJRも乗員も乗客も周辺住民も、全員が正しく仕事し正しく行動することが前提の、安全です。

乗員が手抜きしたり、乗客や住民が予想外の行動を起こしたなら、これはもう、どうしようもない。
だいいち、乗客や周辺住民が車内や線路上で自殺するのを、どうやって防ぎますか。
まして、テロリストによる用意周到な破壊工作は、いまの新幹線のシステムでは絶対に防げないでしょう。

手荷物はノーチェックだし、線路ににも容易に侵入できることは最近の事件で証明されました。
乗客全員の手荷物チェックは現時点では不可能。線路への侵入を全区間で完全に防ぐのも無理なのです。

それと比べると航空機の場合は、保安検査があるし、滑走路にもそう簡単には侵入できません。
まして飛行中の機体を何らかの方法で攻撃するには、かなりの軍事力が必要です。

それに比べれば、新幹線のトンネルや鉄橋に時限爆弾を仕掛けることなど、テロリストにとっては容易です。
まして自爆テロなら、爆弾以外に何も準備が要りません(すみません、物騒なことばかり書いてます)。

16両編成の新幹線の座席数は1323席だそうですね。旅客機のざっと3〜6倍の乗客を乗せることができます。
その新幹線の営業速度をどんどん速めようとしていますが、その分、運動エネルギーも増えていきます。

福知山線事故は時速120km弱だったとされているので、360kmなら9倍以上の運動エネルギーになります。
車両重量も考慮したら、その差はもっとずっと大きくなるでしょう。考えただけで身震いしてしまいます。

保安検査を行って閉鎖された空間を走らない限り、新幹線は飛行機よりもずっと危険な乗り物かもしれません。
まあ、もっと危険なのは自動車でしょうけどね。

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極超音速旅客機
- 2018/07/22(Sun) -
ボーイングが、マッハ5の「極超音速旅客機」の実用化を目指していると報じられています。驚きます。
現在の一般的な旅客機の巡航速度はマッハ0.85ぐらいなので、その数倍の速度でブッ飛ぼうというわけです。

マッハ5と言えば、まさに「鉄腕アトム」のジェット飛行速度と同じ。
その後で登場した「スーパージェッター」のマッハ15はもっとすごいけど、これは完全に後出し。

アトムのパワーは10万馬力でした。じゃあ同じマッハ5の極超音速旅客機の馬力は、どのぐらいなんでしょう。
いやその前に、日頃乗ってる飛行機って、そもそも何馬力ぐらいなんでしょうね。

ジェット機のエンジンパワーは、「推力」という指標で表されるそうです(よくわからないまま書いてます)。
たとえば、ボーイング787に使われてるエンジンだと、「静止推力」は約7万重量ポンドだとか(ふ〜ん)。

馬力というのは仕事量なので、推力と飛行速度からの簡易計算式があります。
ポンド/キロ換算しつつ、速度マッハ0.85として算出すると、B787は28万馬力と出ました(素人計算です)。
アトムの2.8倍ですか。ていうか、アトムがすごいとみるべきか。

マッハ5だと日本から欧米への日帰り出張が可能になるそうですが、それも味気ないですね、空の旅としては。
私などは、機上で過ごす(しかも飲食とか仮眠などする)という非日常も、ゆっくり堪能したいものですから。

でも多忙なビジネスマンがファーストクラスに乗ったら、飲食は最低限にして、ひたすら寝てるとも聞きます。
飛行機代を取り戻そうという庶民的発想はなく、彼らにとって移動時間はやはりムダなのでしょう。

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民間ロケットまた失敗
- 2018/07/01(Sun) -
日本初の民間単独開発のロケットの打ち上げは、残念ながら昨日の2回目も失敗しました。
堀江貴文氏が出資するベンチャー企業「インターステラテクノロジズ」社のロケット「MOMO(モモ)」です。

「MOMO」1号機は11カ月前、打ち上げ成功に見えたものの通信トラブルが起きたためエンジンを緊急停止。
今回の2号機は、スンッと打ち上がったと思ったら、すぐ失速して落ちてきました。
素人目にも、まだまだ乗り越えるべき技術的課題は多いように思えます。

もちろん、これぐらいでめげるホリエモンじゃないでしょう。また1つ、貴重な経験を積んだということです。
「次の3号機を打ち上げるために、どういうふうに改善するのかが課題。そこに全力投球できるようにする」
堀江氏はこのように、まったく前向きです。そうでなくっちゃ。

民間会社が単独でロケットを開発するというのは、並大抵のことではないはず。
あのJAXAだって以前はトラブル続きだったし、NASAですらかつては失敗を繰り返していました。

「今回の打ち上げは、われわれにとってデスバレーで、越えれば大きなステップになる」
MOMO1号機の打ち上げ前に堀江氏はこのように語りましたが、なかなか超えられない谷のようです。

「デスバレー」とは、研究開発から実用段階へと発展するための難関や障壁を意味する言葉です。
その由来は、アメリカ南西部の、例の、「モハーヴェ(Mojave)砂漠」の北に位置する盆地の名前です。

Macの次期OS「macOS Mojave」って、そのような厳しい土地の名前をあえて冠したわけですね。
そう簡単には超えられない何かを超えようという、Appleが秘めた何かを感じます。何かは知らんけど。

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酒と二日酔い
- 2018/04/11(Wed) -
純米大吟醸酒などの良いお酒は、飲めば酔いますが、二日酔いをしにくいという経験則があります。
現に今朝は、まったく二日酔いをしていません。これはいったいどうしたことなのか。考えてみます。

まず、酔いや二日酔いに影響する因子は、ざっくり言うと、こうでしょう。
(1)アルコール摂取量(総摂取量と摂取速度など)
(2)アルコール代謝能(体質や体調、薬剤や食事等の影響も含む)

上等な純米大吟醸酒に含まれるエタノールが、他の酒類のエタノールとどう違うのか。これはわかりません。
水分子とエタノール分子の水素結合やクラスター構造の違いが、その後の代謝にまで影響するのでしょうか。
むしろその酒に含まれる、エタノール以外のさまざま成分が、二日酔いに関係するのかもしれません。

良いお酒は値段が高いので、ゆっくりと味わって飲み、結果的に摂取量が少なくなる可能性があります。
栄養バランスの良い和食系の料理と一緒に飲むことが多ければ、アルコール代謝にも良いかもしれません。
旨いお酒が飲める、と考えただけで気分が高揚し、良いホルモン(?)が出ている可能性もあります。

それに加えて私は昨日、「ヘパリーゼZ」なるサプリを初めて服用してみました。これも効いたと思います。
ただし、たしかに今朝は二日酔いがなかったかわりに、昨夜私の体に「異変」が起きました。

まず、夜中にひどい頭痛で目覚めました。二日酔いと同様の痛みでしたが、不思議と短時間で消失しました。
続いて、ひどい寝汗です。あまり経験の無いような多量の汗をかき、下着を7回取り替える羽目になりました。
そして朝、汗はおさまり頭痛も吐き気もなく、野菜ジュースとコーヒーもスッキリ美味しく飲めました。

ヘパリーゼZの効果で、アルコールがきわめて短時間のうちに代謝されたためではないかと、推測します。
まず、いったんアセトアルデヒドが作られて頭痛が生じたものの、すぐに分解されて多量の汗になった、と。
この仮説を証明するためには、再現性を確かめるしかありません。近いうちに「実験」です。

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地球寒冷化対策
- 2018/01/28(Sun) -
寒い日が続きます。朝の通勤時に、自動車が暖まるまで待つその間の寒いこと。エアコンのタイマーが欲しい。
車に表示された外気温を見たら、3日前のマイナス4度にも驚きましたが、昨日はマイナス5度でした。

さいたま市では観測史上最低のマイナス9.8度を記録したというし、この冬はとにかく、やたら寒いです。

夏には異常に暑くて、やれ地球温暖化の影響だなどと騒いだのに、冬が異常に寒いのはどうしてなんでしょう。
年間の平均気温が上がっているのに冬が寒いのであれば、夏はますます暑くなるのでしょうか。
あるいは、温暖化には地域差があって、全体として平均すれば温暖化ということなのかもしれません。
地球温暖化によって、中緯度地域はむしろ寒冷化するという説もあります。

いずれにせよ、いまの間氷期が終わって次の氷期が来れば、地球温暖化問題も終了です。
そのときに、日本の(とくに熊本付近の)気温がどうなるかわかりませんが、かなり寒いのでしょうね。

次の氷期は1万年以上先らしいですが、最近話題の「ミニ氷河期」は、もう始まっているとも言われます。
太陽活動が弱まることで、今後200年ぐらいの間に、地球が寒冷化するとのこと。これは切迫してますね。

ホントかどうかわかりませんが、もしも寒冷化が進み始めたら、人類はそれにどう対処すべきなのか。
まず、これまでの地球温暖化対策はすべて中止して、地球寒冷化対策に切り替えなければなりません。
二酸化炭素などの温室効果ガスを多量に放出して、地球をガンガン温めるというのも手でしょうね。

「地球温暖化は原発推進の格好の口実だ」と、最近目にした記事に書かれていました。
ならば地球が寒冷化し始めたら、脱原発も進めやすくなります。火力発電の方が、地球に優しいからです。

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久々の緊急地震速報
- 2018/01/05(Fri) -
九州自動車道を走っているときに、突然、テレビの音声から「緊急地震速報」が聞こえてきました。
なにしろ高速走行中なので、地震の場所によっては重大事故に巻き込まれる恐れがあり、警戒しました。
さいわい、というとアレですけど、地震が起きたのは関東地方のようで、私の走行に支障はなさそうでした。

震度が心配で、聞き耳を立てていたところ、震度3だといいます。震度3なのに、緊急地震速報?
この誤報の原因は、あとでニュースでも解説されたので、皆さんもご存じの通り。気象庁のサイトによれば、
「近接して発生した地震を1つの大きな地震と認識し、適切な緊急地震速報を発表できないことがあります」

今日の場合、北陸と関東で同時に(3秒差で)起きた2つの地震を、1つの大きな地震と認識したのでしょう。
それじゃ仕方ないな、とも言えるし、もっと予想精度を上げてくださいよ、と注文を付けたくもなります。

でもそれよりも私は、わずか3秒差で、富山県西部と茨城県沖で地震が起きた事実に、むしろ興味があります。

本当に偶然でしょうか。2つの地震は本当に無関係でしょうか。
たとえそうだとしても、同時に起きた2つの地震が、別の巨大地震を誘発することはないのでしょうか。
もしも今回、2つの震源がもっと近接した、たとえば神奈川県東部と茨城県西部だったらどうでしょう。

ほぼ同時に、そこそこ近接して起きた2つの地震は、やはりそれなりに警戒してしかるべきだと思うのです。
間違えて緊急地震速報を出してしまったことが、怪我の功名となる可能性だってあるわけですから。

システム改修で精度を上げることも大事ですが、間違いを恐れない「疑わしきは速報を」の姿勢は大事です。

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病魔と闘う
- 2017/11/12(Sun) -
年賀状の喪中欠礼はがきが届き始めるこの時期、思いがけぬ訃報に接して、少なからず動揺しています。

旧友の奥様がつい先日亡くなられたことを、その通知によって知りました。
ただ欠礼を伝えるだけの定型的な文章の中に、友の胸の奥にしまい込まれた深い悲しみを感じました。

「本年中賜りましたご厚情を深謝申し上げます」と言われても、私は何の気遣いも出来ていませんでした。

高齢の方が亡くなると、人々はその人の生き様を振り返り、悲しみの中にも安らぎを感じつつ送り出します。
しかし一方で、まだまだ若いと思える方の訃報を聞くと、驚きと悲しみと不条理と無念の思いを禁じ得ません。

病魔に倒れてもなお、懸命に最期まで生き抜いた人とそのご家族には、畏敬の念をおぼえるばかりです。

病気はどうして征圧できないのでしょうか。私は医者として、その疑問をずっと持ち続けています。
細胞の老化ならまだ納得できますが、感染症や癌や動脈硬化性疾患などが、なぜいまだにはびこるのでしょう。
すべての人が、細胞の寿命いっぱいまで生きられるような時代は来ないのでしょうか。

素粒子を研究したりAIを開発する前に、人類はまず、人体の生理と病理の究明に全力投球しなければ。

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研究は続けるべき
- 2017/10/15(Sun) -
このたび国は、予知を前提とした東海地震の情報の発表を、取りやめることを決めました。
地震の研究が進めば進むほど、その予知は困難だということがわかってきた、というわけです。

40年来の防災対策が方針転換を迫られたわけですが、今更ですかと言うつもりはありません。
むしろ、ここで地震予知研究を諦めていいのかとさえ、思ってしまいます。
何十億年も続いてきた地球活動のごく一部を、たかが40年ぐらい観測して、わかった風なことは言えません。

防災対策は、予知とは別に進めるべきでしょうけど、地震研究もいっそう精力的に続けてもらいたい。
科学は指数関数的に進歩しています。あと40年ぐらいしたら、本当に地震が予知できるようになるかもです。

今回の衆議院議員選挙では、争点のひとつが原発。
再稼働を認めるか認めないか、脱原発にしてもそのトーンは各党でかなり違います。
しかしいずれにせよ、今後数十年以上にわたって日本に廃炉ラッシュが起きることは、間違いないでしょう。
その過程で、また想定外の事態が起きないことを祈るのみです。

原発が、その建設や維持よりも事故処理の方がよっぽど困難だということを、このたび思い知らされました。
事故処理どころか、廃炉や放射性廃棄物の処理にしても、まったく未経験・未解決で研究途上の分野です。
それでよくもまあ、ここまでたくさんの原発を作ったものですが、作ったものはしょうがない。
反原発であろうとなかろうと、原子力分野の科学研究を、日本は今後もやめるわけにはいかないでしょう。

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基礎研究の重要性
- 2017/10/02(Mon) -
ノーベル生理学・医学賞は、米国の3人の研究者に贈られることが決まりました。
授賞理由は「概日リズムを制御する分子メカニズムの発見」、つまり「体内時計」の仕組みの解明です。

残念ながら、日本人の3年連続のノーベル生理学・医学賞受賞は、なりませんでした。
本命視されていた本庶佑・京都大特別教授は、今年も受賞を逃しました。
本庶先生といえば、がん免疫治療薬「オプジーボ」の開発につながったタンパク質の発見でも知られています。

世界的に高名な医学研究者ですが、意外と人間的で面白い人のようです。先生の文章の一部を紹介すると、

「あの企業の株が上がると思ったと後から言う者と、実際にその可能性にかけて株を買った者との違いである」
研究のアイデアを思いついたことと、その可能性にかけて実際に研究することの違いを述べたものです。
本庶先生の話には卑近なたとえ話が多く、とてもわかり易いのが特徴です。

「山奥に道なき道を分け入り、初めて丸木橋を架けることが私にとっての喜びであり、丸木橋を鉄筋コンクリートの橋にすることではない」
基礎研究こそが未来の世界を変えるのであり、その応用に興味は無いと、そう言っているのです。

ところが安倍首相は、2年前のOECDの基調演説でこう語りました。
「学術研究を深めるのではなく、もっと社会のニーズを見据えた、もっと実践的な、職業教育を行う」
山奥を分け入るようなことはせず、鉄筋コンクリートの橋をたくさん造れというわけです。残念な考え方です。

日本の近年のノーベル賞ラッシュは、過去の遺産を食いつぶしたものに過ぎないと、大隅良典氏は言います。
いま基礎研究で手を抜けば、将来の日本からは自然科学系のノーベル賞は出なくなるかもしれません。
安倍首相だけでなく、文系の政治家には、その重要性がわからないようです。

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電磁パルス攻撃
- 2017/09/05(Tue) -
北朝鮮は、「広大な地域への超強力EMP(電磁パルス)攻撃を加えることができる」と主張しました。

出ました!「EMP」。映画『マトリックス』で「センチネル」を撃退したときの、アレですね。
SF上の兵器かと思ってたら、ドラマ『24 -TWENTY FOUR-』では、テロ用に使われていました。

核爆弾を、地上数十〜数百キロの高高度で爆発させると、広い範囲にEMP攻撃が及ぶとされます。
EMP実現のためには、ICBMの大気圏再突入技術は不要なので、北朝鮮リスクは一気に高まった気がします。

強力なEMPによって、あらゆる電子機器が破壊され、インフラや経済活動や防衛網も無力化できるとか。
当然、米国などではEMP対策を行ってることでしょうけど、それは国防上の重要拠点など一部でしょうね。

EMPが落雷の親玉みたいなものだとすれば、「電磁シールド」が有効かもしれません。
学校で習った「ファラデーケージ」のような、金属製の網で覆われた部屋などなら、安全なのでしょうか。
自動車や航空機に落雷しても、中の人間には影響がありません。でも、EMPだとどうなんでしょうね。

そういえば20数年前頃、私は毎日電磁シールドの中に入って、実験をしていたことがあります。
単離心筋細胞を使って、「パッチクランプ」という方法で細胞膜の単一チャネル電流を調べる研究です。
極めて小さな電流を計測するので、電気的ノイズを徹底的に排除するために、シールド室で実験します。
実験室内に、目の細かい金属の網で四方八方を囲まれた小部屋を作り、その中で作業するわけです。

でもEMP攻撃は、自動車や航空機の電子部品も破壊するらしいので、金網シールドぐらいじゃダメでしょう。
どのぐらい強力なシールドが必要なのでしょうね。鉛入りの壁でできた、レントゲン室なら大丈夫でしょうか。
万一に備えて、予備のパソコンやスマホや電子機器を、レントゲン室に保管しておくと有効でしょうか。
EMPでインフラ(電気、通信)が破壊されたら、パソコンやスマホがあってもあまり役に立ちませんけどね。

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ホリエモンのロケット
- 2017/07/31(Mon) -
「ホリエモンのロケット」って、「ドラえもんのポケット」に似てますね。

それはともかく、日本初の民間単独開発のロケット「MOMO(モモ)」が昨日、打ち上げられました。
結果は失敗でしたが、壮大なプロジェクト全体を考えれば、むしろ一歩前進したととらえるべきでしょう。

「インターステラテクノロジズ」社は、堀江貴文氏が創業したことで知られるベンチャーです。
ところが面白いことに、昨日のTVニュースでは、ホリエモンの「ホ」の字も報じないメディアがありました。
彼を賛美したくないのか、テレビ局とスポンサーとの関係なのか、その辺りのことはよくわかりません。

新聞報道にも温度差が大きく、とくに産経が抑制気味。ははあ、ホリエモンって、そういう位置づけなのか。
打ち上げ前には「ホ」の字も書かなかったのに、打上失敗報道では「ホリエモン」を全面に押し出しています。
「打ち上げ失敗が今後の計画に影響を与えるのは必至だ」なんて論じ方しかできない態度は、いただけません。

Teslaのイーロン・マスクだって、失敗を繰り返しながら、まったくめげずにロケット開発を進めています。
Amazonのジェフ・ベゾスも2020年の初打ち上げを予定しており、二人とも宇宙進出を目指しているとか。

莫大な損失をモノともせず資金を投入し続ける宇宙開発は、大富豪がやるべき使命のひとつかもしれません。
資産規模は違いますが、ホリエモンも同じ思いなのでしょう、きっと。

イ社のサイトを見ると、ファンクラブがあって会員を募集中でした。よしよし、応募してやろう。
月会費は、学生500円、レギュラー1,000円、プレミアム10,000円。毎月払うのは、ちと高いかな。保留。

この会社の所在地は、北海道広尾郡大樹町。今日のところは、大樹町にふるさと納税をしておきました。

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将棋とAI
- 2017/04/03(Mon) -
将棋の第2期「電王戦」第1局では、AIの「PONANZA」が、人間の佐藤天彦名人を破りました。
羽生善治氏らを下して電王戦に出た、その佐藤氏に勝ったPONANZAは、現時点でほぼ、世界最強でしょう。

しかも、名人に勝っても成長を止める理由はなく、AIには無限の伸びシロがあることがまた、怖ろしい。

羽生氏が以前、将棋とAIの進化について対談したときのこと。
彼は「接待将棋」のことを話題にして、「接待ゴルフのような仕事は絶対なくなりませんよ」と語りました。
この対談をとりあげた記事のタイトルは、「人工知能に『接待将棋』はできない」となっていました。
まさか羽生氏の真意が、「人間はAIに勝てなくても接待将棋ができる」って情けないことじゃないですよね。

たとえAIがとんでもないレベルになったとしても、人間同士の勝負にこそ、将棋の面白さがあるはずです。
自動車という迅速な移動手段が発明されても、人は自分の足で歩き、走り、しかもその速さを競ったりします。
移動の速さで人が車と競争する意味が無いように、将棋の強さで人がAIと勝負してもしょうがないのです。

むしろAIは、そのレベルを自在に設定することができるので、人間が互角に戦える好敵手ともなり得ます。
人間と対戦しながら、そのレベルを判定して接戦や好勝負を演出することすら、AIには可能になるでしょう。
それはそれで、いいじゃないですか。少なくと、AIにとって接待将棋なんて朝飯前なのです。

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太陽系外惑星7つ発見
- 2017/02/23(Thu) -
地球サイズの惑星が7つ発見され、少なくともその3つには、地表に液状の水が存在するかもしれない。
この「太陽系外惑星に関する大発見」を、日本時間の今日午前3時から、NASAが会見で発表しました。

地球から39光年の距離にある恒星「TRAPPIST-1(トラピスト1)」の7つの惑星b〜hが、それです。
以前話題になった惑星「ケプラー452b」は1400光年離れていて、人類が訪れるには絶望的な距離でした。
ところがなんと、たったの39光年という、宇宙で言えばほんのご近所に、地球に似た惑星があるとは。

身勝手な地球人はさっそく、この7つの惑星のどれかに移住できないかを、検討し始めることでしょう。

この惑星はすべて、自転周期と公転周期が一致しているそうです。
いつも惑星の同じ側が、恒星の方を向いているわけです。つまり、昼夜の変化がない。
これを住みにくいととるか、利用しやすいと考えるか。

移住すると決まればもう、「地球に優しい」なんてことも、どうでもよくなるかもしれません。

たとえ地球に優しく生き続けたとしたって、あと数十億年といわれる太陽の寿命が、最終的にネックです。
その太陽に比べるとTRAPPIST-1は若い星で、余命があと10兆年あるとか。
だから将来的には、そっちへ移住した方が長く生存できるのです。って、どんだけ長生きしたいの、人類。

39光年と言えば近いとはいえ、光の速度でも39年かかる場所。移動の途中が暇でしょう。工夫が必要です。
たとえ無事向こうに着いても、現地の人(?)たちとの遭遇が、果たして平和的なものになるのかどうか。
彼らの文明が地球人よりも1億年先を行っているとしたら、虫けら相手のようなお出迎えになるでしょうね。

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地球外生命探査
- 2017/01/18(Wed) -
「宇宙から謎の信号? 地球外生命を追う」
昨夜のNHK「クロ現+」のテーマは、阪神・淡路大震災関連かと思ったら、なぜか「地球外生命(ET)」。

「ET(Extra-Terrestrial)」は、私が学生の頃に観た映画「E.T.」で、よく知られるようになりました。

そのETが存在するかどうか、現時点で確証はありませんが、存在しないという根拠もありません。
何億年もかけて地球上に生命が誕生したのは奇跡的ですが、なにしろ宇宙は広く、星の数は多いのです。
奇跡の起きる確率を補って余りあるほど星の数が多いと考えたら、他の「奇跡の星」も存在するはずです。

番組では、世界中で行われている「地球外知的生命体探査( SETI )」を紹介していました。
Search for Extra-Terrestrial Intelligence、つまり、単なるETではなく、知的ETを探すプロジェクトです。

そりゃそうでしょう。ET探査のために宇宙に信号を送っても、相手が知的でなければ返事が期待できません。
地球だって同じ。異星人が地球を見つけて信号を送ってきても、こっちが恐竜時代ではどうしようもない。

互いに交信できるような知的レベルの星は、見つけたり見つけられたりするタイミングも限られます。

それにしても、地球人の文明レベルって、宇宙的にみてどうなんでしょうね。
地球人よりもはるかに進歩している異星人がいれば、われわれにも明確にわかるような交信をしてくるはず。
もしかすると地球にやって来るか、はたまた侵略をしかけてくるか、何かアプローチがあろうというもの。
いや、そんなことはせず、どこか遠くから、地球人の進化(と退廃)を眺めているのかもしれません。

地球上の生命の起源すら、もしかすると異星からの種まき(DNAの投入)かもしれないですしね。

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人工知能が新発見
- 2016/11/07(Mon) -
「宇宙の謎の解明に、人工知能(AI)が迫ろうとしている」という新聞記事が、目に付きました。
暗黒物質の検出を目指している、欧州合同原子核研究機関(CERN)での話です。
膨大な実験データを、AIの力で解析すれば、ノーベル賞級の発見が期待されるとのこと。

しかし、データをAIに渡し、暗黒物質の存在を立証してくれるのを待つというのでは、いかにもAIに丸投げ。
当然、研究者には、「どうなんかなあ、それって」という思いもあります。

AIは単なるコンピュータではありません。自分で学習して、賢くなって、結論を導き出します。
ひらめきも偶然も、AIの守備範囲のうちです。だから飛躍もあれば発見もある。人間と同じ。いや人間以上。

AIが何かを新発見したとき、それを人間が発見したと言えるのか。それはたしかに疑問です。

2045年には、AIが人知を超える「シンギュラリティ」を迎えると言われています。
もはや人間がAIに太刀打ちできなくなる。いわゆる「2045年問題」です。

人間には、創造力があるが、AIにはそれがない、というのは間違いです。
所詮、人間が考えることなど、脳細胞における生化学反応と電気生理学的活動の、結果に過ぎません。
だからやがて、AIが人の脳を凌駕することは、時間の問題です。

シンギュラリティの先って、想像もつかない世界かもしれません。
ほとんどのガンが、根治できる時代になるかもしれません。感染症など、無くなるかもしれません。
医者は何をすればよいのでしょう。

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アンデスメロン
- 2016/10/17(Mon) -
子どもの頃、実家の門柱の石は「ジャモン岩」だと聞きました。ザラザラして、まだらな模様のある石でした。
後にそれを「蛇紋岩」と書くことを知り、ちょうどその頃から、岩石に興味が湧くようになりました。

中学校の2年と3年の担任だった石川先生は、鉱物に詳しい理科2分野の先生でした。
ある人が「先生、金鉱石を見つけた」と持ってきたのは「黄銅鉱」だった、という話を授業中に聞きました。
石川先生はよくホラを吹くので、生徒はみなそのつもりで聞きますが、この話は本当かもしれません。
黄銅鉱というのは、たしかに山で見つけたら金だと思うぐらい、金ピカですしね。

岩石は、「火成岩」と「堆積岩」と「変成岩」に大別されると習いました。
火成岩はマグマが冷えてでき、堆積岩は何かが堆積してできた岩石。変成岩はそれらが変成したものです。
阿蘇付近には、マグマ由来の火砕流が堆積してできた岩石が多く、立場が微妙ですが、いちおう堆積岩です。

例の蛇紋岩は、マントル上層部の主成分である「橄欖岩」に、水が作用してできた、変成岩の一種だそうです。

火成岩は、マグマがゆっくり冷えて固まった「深成岩」と、急速に冷えて固まった「火山岩」に分けられます。
中学校で習ったのは、深成岩なら「花崗岩」、火山岩なら「安山岩」と「玄武岩」。あとは忘れました。
庭を掘って出てくるのは、まだらなのが花崗岩、黒くて硬いのが安山岩、白いのが石灰岩、てとこでしょうか。

アンデス山脈で採れたから「andesite(アンデサイト)」と命名され、安山岩と訳されたようです。
すぐ連想するのは「安産願」。実際、安山岩のかけらが、安産のお守りにもよく使われるとか。
そのノリでいうなら、「安産ですメロン」だと言って妊婦さんに贈ってもいいわけですね、アンデスメロンを。

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研究のスケール
- 2016/10/04(Tue) -
ノーベル医学・生理学賞は、東工大の大隅良典栄誉教授への授与が決まりました。すばらしいことです。
「オートファジー」については、新聞や雑誌等で詳しく解説されるでしょうから、そっちに任せます。

大隅先生と比べるのも恐れ多い話ですが、私が大学で研究をしていた頃のことを思い出しました。
当時の研究テーマは「心筋保護」でした。心臓手術中の心筋細胞を保護する方法を、向上させるのが目的です。
手っ取り早いのは、特定の薬剤Aを、さまざまな濃度やタイミングで心臓に作用させて、結果を評価する方法。
これがうまくいけば、明日からでも(実際には数年後には)、薬剤Aを臨床応用して、医学に貢献できます。

しかし私は、心筋細胞に何が起きていて、どのような工夫が求められるのか、その方に興味がありました。
当時の私は、薬効を調べるよりも、病態そのものを究明する方がより質の高いテーマだろうと思っていました。

すぐ応用できる治療研究ではなく、将来の医学に貢献する研究をしたいと考えていたのです。若気の至りです。

そしたらある時、生理学の野間昭典教授に病態研究のことを尋ねた際に、こんな言葉が返ってきました。
「僕は病態よりも、まず生体に興味がある。だってカラダには、まだわかってないことがたくさんあるでしょ」

ショックでした。「治療より病態研究だ」と思ってた私が、「病態より生体でしょ」と言われたのですから。

大隅先生は、「すぐに役に立つ研究」ばかり求められる昨今の日本の風潮を危惧する発言をしています。
「何が将来本当に人類の役に立つかは長い歴史によって初めて検証されるものだ」と。
学術研究よりも実践的職業教育を重視する発言をした安倍首相への、批判もあるんでしょうね、きっと。

本当にスケールの大きな研究をする人は、数十年後、百年後を見据えているんだなと、改めて思い知りました。

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ニホニウム
- 2016/06/09(Thu) -
「ニホニウム(nihonium)」・・・そう来ましたか。
理研の森田氏ら、日本人が初めて発見した「新元素」の名称(案)は、少し意外でした。

「ジャポニウム(japonium)」かと予想していましたが、 “Japan” が日本語ではないので避けたようですね。
日本にこだわりたいから、「ジャパン」よりも「ニホン」なのだと。たしかに「ニホン」の方が日本的です。
ただ、「日本国」の中国読みが「ジパング」の元になった経緯を考えると、ジャパンもニホンも元は同じかも。

「ニッポニウム」は、1902年に日本人が発見して、後にその存在が否定された「幻の元素」名です。
混乱を避けるため、一度使用された名前は二度と申請できない、というルールがあるとのこと。

これはとても重要なことだと思います。科学の進歩によって、これまでの常識が覆る可能性があるからです。
たとえば、1902年のニッポニウムの実在があとで証明されたら、ニッポニウムが2つになってしまいます。

元素名はラテン語読みが基本。となればローマ字とほぼ同じ。日本人にとっては、読みやすくて好都合です。
でも米国人は、 “nihonium” を「ナイホニアム」と読みそうな気がします。Nikonを「ナイコン」と言うし。

113番のニホニウムの他に、今回3つの元素の名称が提案され、ニホニウム同様、意見公募期間に入りました。
115番 “moscovium”:「モスコビウム(モスコヴィウム)」と読むのでしょうか。モスクワ由来ですね。
117番 “tennessine”:由来はテネシー。読みがわかりません。「テネシーネ」?「テネジーン」?
118番 “oganesson”:ロシアの科学者の名にちなんだようです。「小金さん?」

これによって、元素周期表にあった欠番が埋まり、連続118番までの元素が揃いました。
当然、理研の次の目標は、119番元素の発見(作ってから観測して立証する)ということになりますね。
名前は「ショーボシウム」か「キューキュリウム」あたりでいきましょうか。

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河岸段丘
- 2016/05/30(Mon) -
沼田城が「河岸段丘」の地形を利用した堅城であったことを、昨日の「真田紀行」が紹介していました。
河岸段丘とは、河川の浸食作用によって、河川に沿って台地が階段状にできたものです。
おそらく、これまででいちばん詳しく河岸段丘について解説した番組は、「ブラタモリ」でしょう。

タモリが学生時代に「地形好き」に目覚めたという、思い出の地が、この沼田の河岸段丘だったとか。

熊本を流れる白川も、なかなかの河岸段丘を形成しています。
毎朝の通勤で、豊後街道から左折して白川を横切る手前は、比較的ゆるやかで長い下り勾配が続きます。
ところが白川を渡って少し行くと、こんどは険しい段丘崖の登り坂となります。
どうやら河岸段丘は、必ずしも左右対象とは限らないようです。川の蛇行なども関係するのでしょうか。
その崖の上の段丘面に、ポニョ、じゃなくて当院があります。

豊後街道は、白川の右岸(上流に向かえば左側)の段丘面を、阿蘇方向に向かって伸びています。
しかし、穏やかに走る街道に沿った、民家の裏側を少し行くと、実は険しい崖が待ち構えているのです。
自転車通勤で裏道を通るときには、この段丘崖を登ります。電動アシストを使っても、ヘトヘトです。

平坦な段丘面を東に向かう豊後街道は、徐々に北上して白川から遠ざかりながら、ある所で登り坂になります。
地形図で確認すると、ここで段丘面が終わるようです。幅数キロに及ぶ、かなり広大な河岸段丘でした。

一方で白川左岸を見ると、空港付近で、やたらにだだっ広い平坦な台地が出現します。
これが高遊原台地(たかゆうばるだいち)です。河岸段丘ではなく、溶岩台地です。
熊本というのは、阿蘇から流れ出てきた、岩や水(白川)が作った土地なんですね。

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「ひとみ」を失う
- 2016/05/06(Fri) -
今日は、熊本地震とは関係ない話。2月に打ち上げられた、人工衛星「ひとみ」のトラブルについて。

けっこう期待していたのに、運用断念という結末は残念です。JAXAのサイトによると、そのいきさつは、
(1)回転していないのにもかかわらず回転していると誤って判断し、回転を止めようとしたら逆回転を始めた
(2)危険な状態と判断してスラスタ(推進装置)を噴射したら、それが不適切で、余計に回転が加速した
(3)遠心力が増し、構造的に弱い太陽電池パドルの取り付け部分が破損し、両翼が分離した

スラスタ噴射の設定値を調節した際に、プログラムミスがあったとのこと。これじゃ、やりきれませんね。
万全を期した最初のプログラムではなく、途中で修正したときにこそ、うっかりミスには注意すべきなのに。

事実を明らかにするのは大事なことですが、私個人としては、こんな事実など知りたくありませんでした。
「隕石が衝突して破損したらしい」ぐらいの、ウソの発表をしてくれた方が、今回は良かったとさえ思います。
その方が、よほどガッカリ感が少なかったのに。
震災で大変なときに、300億円以上がムダになったという話はショックですが、いまそれを言いますまい。

全長14メートルの巨大な衛星は、いまも宇宙のどこかでグルグル回転し続けているのでしょうか。
遠心力で飛び出した2枚のパドルは、それぞれ別々の方向に、一定の速度で飛び続けているのでしょうか。

ブラックホールの観測や宇宙の成り立ちの解明が、いったい暮らしに役立つのか、というのは近視眼的発想。
すぐに役立ちそうにないからこそ、夢がある。これにめげず、再チャレンジしてほしいです。

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地鳴りと地震
- 2016/05/05(Thu) -
熊本の人々の多くはいま、毎日毎日何度も地鳴りを聞き、その直後に地震の揺れを感じているはずです。

昨日も今日も、室内で比較的静かにしているときは、ほぼすべての揺れの直前に、地鳴りが聞こえました。
「ドン」とか「ドドン」と、遠くで大太鼓(または大砲)が鳴ったような、少し振動を伴う重低音が響きます。

食事中でもパソコンしてても、地鳴りが聞こえると、ハッ!と顔を上げて、なぜか遠くを見てしまいますね。
周囲の家族や職場の同僚も、ハッ!と顔を上げて、アイコンタクトで確認し合ったりします。
ちょうど、ミーアキャットの家族が、何かを感じてスクッと立ち上がり、周囲を警戒しているような感じです。

そして次の瞬間に、揺れます。このところ「地鳴り→ハッ!→揺れ→やっぱり」のパターンの繰り返しです。

調べてみると地鳴りは、地震の「P波」が、地表から大気に伝わった時の音だという説があります。
これは直下型地震特有の現象で、大気に抜けた音波が、揺れよりも少し先に、観測点に伝わるのだと。
ふーん、なるほど、と一度は思ったのですが、ちょっとおかしい。
P波の方が、音波よりも圧倒的に速いはず。音波がP波よりも先に届くはずがないのでは?

私の仮説は、こうです。地鳴りは、自分の真下の地面まで到達したP波が、大気に抜けたときの音であろうと。
だからP波の到達と地鳴りは、ほぼ同時。持続時間はP波の方が長いので、地鳴りが先に来たように感じる。

熊本地震は直下型地震で、余震も含めて、震源から私までの距離は、ほとんどが15〜30キロぐらいです。
P波とS波の速度差から計算して、地鳴り(約1秒、P波含む)→P波持続(1〜3秒)→S波到達、となるわけです。

地鳴りは地震の予兆だと言われることもありますが、予兆ではなく、初期徴候と言った方がよいでしょう。
つまり、地鳴りは地震そのものです。予兆とするにはあまりにも遅すぎ。
地鳴りが聞こえてから何か準備する時間はなく、緊張するのがせいぜい。恐怖感が増すばかりです。

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小保方氏の本を読む
- 2016/01/29(Fri) -
小保方晴子氏が、本を出しました。『あの日』(講談社)です。
昨日発売されて、Amazonではすでに、ベストセラー1位に躍り出ています。

先入観なしで読みたかったのですが、つい、Amazonのレビューを見てしまいました。
そして、その評価の異常さに驚きました。肯定と批判の両極端なのです。中間的評価がほとんどありません。
今朝、確認した時点では、星5つから1つまでの人数が、20、3、1、2、31、ですよ。

高評価のレビューは、小保方氏に同情的で、理研やマスコミには批判的。多分、STAP細胞を信じてる感じ。
低評価のレビューは、小保方氏を徹底的に批判し、この本など読む価値も出版する価値もなし、としています。

評価が両極端なのは、STAP細胞問題の面白さを表していますね。
この本にレビューを書くような人は、小保方ファンかアンチ小保方かの、いずれかなのでしょう。
そのいずれでもない人は、そもそもこの本自体に興味がないのです。

で、私はと言いますと、今となってはただ、冷静に彼女の手記を読んでみたいと思いました。
そこで今朝、近所の紀伊國屋書店に、今回は開店時間を間違えずに行ってみましたが、ありません。
売り切れではなく、熊本ではまだ、販売されていないのです。流通の関係か。地方都市の悲哀を感じました。

帰宅してAmazonを見ると、「在庫切れ、入荷時期未定」との表示に変わっています。ありゃりゃ。
いま入手できなければ、多分読まないでしょう。ということで、今回もKindleで購入。3時間半で読了。

内容については、ここでは書きません。理系でないと読みにくいかも。評価は分かれるでしょうね。星2つ半。

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大村智はすごい人
- 2015/11/13(Fri) -
ノーベル医学生理学賞を受賞した、大村智氏の本、「大村智–2億人を病魔から守った化学者」(馬場錬成著)。
この本を慌てて発注した顛末は、前に書きましたが、手元に届くまでずいぶん待たされました。

先日、久しぶりに紀伊國屋書店に行ったら、いきなり、大村智氏の本のコーナーを発見。
普通なら、アイドル関係の本を陳列してるコーナーに、大村智氏の本が平積みです。もはやアイドル扱い?
よく見たら、大野智の関連本でした。

それはともかく、3週間待ってやっと届いた本を、さらに2週間寝かせ、本日読みました。一気に読めました。
すごい人ですね、大村先生。まあ、興味深いエピソード満載ですが、私が気に入った話を少し紹介します。

「イベルメクチン」は元々、ゴルフ場の土から発見した話は有名ですが、ゴルフを始めたきっかけについて。
研究のしすぎで精神に変調をきたした時、精神科の医師から「気晴らしにゴルフしなさい」と勧められたとか。
別の方法で気晴らしをしたら、どうなっていたことか。

何しろイベルメクチンは、年に1回だけ飲めばよい薬です。学会発表した際の質疑も、よく知られていますね。
「本当に1回だけで効くのか?」「効くから1回なのだ」
一見、ジョークですが、薬の特性を率直に述べたとも言えます。薬剤耐性は、いまだに確認されてないとか。

メルク社が、イベルメクチンを3億円で売ってくれと言ってきたのを、大村先生は蹴ったそうです。
あくまでロイヤリティ契約を主張し、結果的に200億円以上を入手します。研究者らしからぬ手腕です。

大村先生に断りもなく、メルク社が、オンコセルカ症へのイベルメクチン無償供与を決めたときのこと。
これに対しては意外にも、大村先生は憤慨したとのこと。手続きとか、筋の通し方にはうるさい方のようです。

「人と同じことをやっていると、うまくいってもその人と同じレベルで止まる」私がいちばん好きな言葉です。

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こうのとり打ち上げ成功
- 2015/08/20(Thu) -
無人補給機「こうのとり」5号機を載せた「H2Bロケット」が、無事打ち上げられました。
米国やロシアの打ち上げ失敗が続いていただけに、世界中が見守る中での成功でした。

国際宇宙ステーション(ISS)で暮らしている油井亀美也さんたちも、ホッと胸をなで下ろしたことでしょう。

こうのとりが運んだのは、まず、食品や衣類、シャンプーなどの日用品。これで油井さんの髪もサラサラです。
尿を処理して飲料水にするための「水再生システム」のフィルターも届けられるそうです。助かります。

こうのとりは本来、シャンプーやフィルターではなく、赤ちゃんを運ぶとされる鳥です。
5年前に公募によって、「大切なものを運ぶ」というイメージのある、その名前が選定されました。
こうのとり提案者217名の中から、毎回1組ずつ、種子島の打ち上げ見学に招待されるそうです。いいなあ。

さて、こうのとりを題材に、プロはどんな文章を書くのか。後学のため、今朝の新聞コラムを見てみたところ、

編集手帳(読売):中学生の殺害事件
春秋(日経):タイの爆破テロ事件
産経抄(産経):タイの爆破テロ事件
余録(毎日):赤とんぼ激減
天声人語(朝日):灯火管制解除から70年

各紙とも、こうのとりには触れていませんでした。興味ないのでしょうか。
読売は社会問題を、日経・産経は国際問題を取り上げています。
毎日は、なぜ今日書くのか、赤とんぼの減少に警鐘を鳴らし、朝日はいつもの調子です。

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BSL-4施設稼働へ
- 2015/08/03(Mon) -
国立感染症研究所・村山庁舎の「BSL-4施設」の稼働について、厚労相と武蔵村山市長が合意したようです。

有効な治療法がなく、とくに致死率の高い病原体を「バイオセーフティー・レベル4 (BSL-4)」に分類します。
エボラウイルスもそのひとつ。これらを扱うことのできる研究施設が「BSL-4施設」です。
この施設の使命は、以下の3つあると考えられています。いずれも重要です。
(1)BSL-4病原体による感染症が発生したときの診断
(2)BSL-4病原体の基礎研究・診断法・ワクチン・治療薬の開発
(3)BSL-4病原体研究者の育成

世界中にBSL-4施設は、41カ所あるそうですが、先進国でそれが稼働していないのは、日本だけだそうです。
建設はしたものの、周辺住民からの反対によって、稼働ができずにいるわけです。
そもそも、日本にわずか2施設しか存在しないこと自体が、何をか言わんやです。しかも稼働していない。

では、他の国々では、住民の反対運動はなかったのでしょうか。そんなことはないでしょう。
施設の意義について、国が住民を説得し、住民が納得したからこそ、その国では稼働できているわけです。

ところが日本では、それができませんでした。住民を納得させられなかったからです。
これはちょうど、HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)の勧奨接種の差し控えと同じです。

日本人は、目の前の危険(ワクチンであれば副反応)ばかりが気になって、本来の目的を見失しないがちです。

建設から30年以上を経て、BSL-4施設が稼働に至ったのは、良くも悪くも、安倍政権の力かもしれません。
日本を、感染症のアウトブレイクやバイオテロから守ろうという、ある意味、国防のためとも思えてきます。

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地球外生命体発見へ
- 2015/04/19(Sun) -
NASAの科学者が、今後20年以内に地球外生命体を発見できる、と語ったそうです。
最近になって、木星の衛星エウロパや土星の衛星エンケラドスで、「海」の存在が確認されたからです。
海があるのであれば、地球と同じように、長い年月の間にきっと生命体が生まれているはず、という理屈。

何億年もかけて生み出すわけですから、まさに「海の(生みの)苦しみ」とでも申せましょう。
たしかに、無生物から生命が誕生するというのは、神秘的ですが、でも本当にそんなことが起こりうるのか。

南極に落ちた隕石から、DNAの構成要素、アデニンとグアニンが見つかったという話は、以前書きました。
DNA自体が地球外からやって来たとすれば、これはもう、地球の生命誕生の根幹を揺るがす一大事です。

「たんぽぽ計画」という名の実験が、来月から国際宇宙ステーションの実験棟「きぼう」で始まります。
この研究で解明しようとしているのは次の2つ。
(1)生命(微生物)が地球から脱出して他の天体(火星や木星など)に到達できるかどうか
(2)生命の起原以前に有機物が宇宙から地球にやってきた可能性がどれくらいあるのか

たんぽぽ計画によって、地球の生命の起源がはたして海なのか宇宙なのか、その白黒が付くかもしれません。

地球上の生命を育んだ、母なる海が、生みの親ではなかったとすれば、ショッキングな話です。
おまけに、その宇宙から来た生命体が、どこでどのようにして誕生したのか、その疑問も残ります。

結局、宇宙でいちばん最初の生命体って、どうやって誕生したのでしょうね。
ビッグバンの前に、そこに何があったのか。その疑問にも似ています。

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デッドセクション
- 2015/03/14(Sat) -
本日開業した北陸新幹線は、東京、中部、東北、北陸の、4つの電力会社の電力供給地域にまたがっています。
そのために走行途中で、架線の交流電流の周波数が3回変わる、などというトリビアが新聞に出ていました。

もちろん周波数切替地点では、特別な工夫がなされているので、電気が途切れることはありません。

しかし電気の電圧が変わるとか、交流と直流が切り替わるような場合には、給電が途切れる区間ができます。
これをデッドセクション(無電区間)と呼びます。電車はその区間を、惰性で走ることになります。
全国の鉄道の、どこにどのようなデッドセクションがあるかは、鉄道ファンの方ならよくご存じでしょう。

残念ながら、私が知っているのは、常磐線の取手ー藤代間の1カ所のみですが、そこはよく知っています。
高1のとき、夏期講習を受けるため、茨城県の藤代にある親戚宅から都内まで、2週間ほど通ったからです。
古い記憶なのでやや不正確ですが、そのときの様子や心境を、思い出してみます。

デッドセクションに来ると、車内照明が切れ、空調が止まり、モーター音も消え、妙な静寂に包まれます。
惰性だけで進んでいる電車が、線路の摩擦で徐々に減速していくのがわかります。皆が息をのむ瞬間です。
なんとかこのまま、デッドセクションを抜けきって欲しい。乗客の願いはひとつ。思わず力が入ります。
と、パッと照明が点灯、モーターが音を立て、加速力が回復。みんなが安堵の表情で、肩をたたき合います。
ま、こんな感じ。

もしも、何かのトラブルで電車が急ブレーキをかけ、ちょうどデッドセクションで停車したらどうなるのか。
私は常磐線に乗るといつもそのことが心配で、デッドセクションに近づくたびに、ドキドキしていました。

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虫除け効果なし
- 2015/02/20(Fri) -
吊り下げ式の「虫除け剤」に対し、以前から私も感じていた疑問について、消費者庁が答えを出しました。
「効果の根拠が不十分で景品表示法違反(優良誤認)に該当する」、つまり効かないと。
「風通しの良い場所では効果が無かった」ようなので、逆に言えば、閉鎖空間ではある程度効くのでしょう。

少なくとも、玄関の外側とか、勝手口の外側とかの、屋外に吊しても、効果はなさそうです。
当院の玄関と勝手口に置いている、電動ファンによる拡散方式の「どこでもベープ」は、どうなんでしょう。
屋内側に置いているので、風通しは悪いです。ならばある程度有効かも。

今回の措置命令を受けて、各社は製造販売を中止するのではなく、表示のみを変更するようです。
アース製薬のサイトには、「指摘を受けた表示につきましては、すみやかに是正処置を行う」とありました。
大日本除虫菊は具体的に、「屋内と屋外の境目に吊してください」との文言を追加すると発表しました。

屋内と屋外の「境目」って何? 少なくとも、ドアやサッシのちょうど境目に、物を吊すことはできません。
結局、ドアやサッシのすぐ外側付近に吊すことになり、これは消費者庁の言う「風通しの良い場所」です。
メーカーが「境目に吊るしてください」と言っても、所詮、絵に描いた餅なのです。

この手の商品は、目に見えた虫除け効果を実感しづらく、なんとなく雰囲気で使うことが多いです。
なのでなおさら、パッケージ表示には厳密な正確さが求められます。

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混入されたES細胞
- 2014/12/27(Sat) -
「STAP細胞」に振り回された1年でした。
画期的発見疑惑コピペ論文→「STAP細胞はあります」→笹井氏自殺→検証→「ES細胞でした」

STAP細胞としていたものはES細胞であったと、理化学研究所の調査委員会が、昨日発表しました。
科学的分析によるこの結論は、ほぼ間違いないでしょう。となると最大の疑問は、ES細胞混入の経緯です。

まず、ES細胞の混入は、故意なのか偶然(事故)なのか。故意と考えると、2つの疑問が生じます。
誰がES細胞の混入を実行したのか。
(1)小保方氏(単独または共同)
(2)小保方氏以外
誰がES細胞の混入を知っていたのか。
(A)小保方氏(単独または共同)
(B)小保方氏以外

ここは(1ーA)と考えるのが自然ですが、しかし本当にそうなのか。(1ーB)の可能性はないのでしょうか。
誰かが小保方氏にES細胞を渡し、しかしそれを小保方氏はES細胞だとは知らずに、実験に用いた場合です。

その場合、小保方氏自身は、自分がSTAP細胞を新発見したと勘違いしてしまいます。
自分の目で発見した事実なので、それを早く発表するためなら、論文を捏造してもかまわない、となります。
誰に何を言われようと、絶対に確信があるので、「STAP細胞はあります」、となります。
ところが検証実験は、うまくいくはずがありません。もうだれも、ES細胞を混入してくれないからです。

決してオボちゃんを擁護するわけではありませんが、そんな可能性もあり得るなと、思った次第。
ただ、誰がES細胞を混入したとしても、追試で再現が不可能とわかっている捏造を、なぜしたんでしょうね。

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STAP細胞はありません
- 2014/12/19(Fri) -
もうほとんどの人がその存在を信じていない「STAP細胞」。その検証実験はついに、打ち切られました。
「細かなコツをクリア出来れば再現できる」という小保方氏本人の手によっても、再現できませんでした。
小保方氏はあさって理研を退職し、この一件は事実上、幕引きとなるのでしょう。

「新発見は得てして疑われるもの」だからこそ、STAP細胞は逆に、最後まで信じたかったですね。
理論的には、再現できないからといって存在しないとは断定できませんが、まあ、そろそろ諦めましょう。

はたして捏造だったのか、あるいはまさかの真実だったのか。それを知っているのは、小保方氏ただ1人です。
いや、捏造でもなければ真実でもない、彼女の妄想だったのかもしれません。

妄想でも捏造でも、内容が新しく、体裁が整い、有力共著者を揃えた論文は、科学的には信用されます。
科学者が不正を行うはずがないという「研究者性善説」によって、データそのものは、あまり疑われません。

超一流の科学雑誌「Nature」は、少しでも研究生活歴のある人間にとっては、雲の上の存在です。
そのNatureが小保方論文を採用したのは、STAP現象の画期性を、重要視しすぎたためでしょうか。
笹井芳樹氏などの超有力共著者の存在によって、論文の真正性が疑われることもなかったのかもしれません。

ひとたびNatureに掲載されると、こんどはNatureの権威によって、世界中がSTAP細胞を信じました。
それから1カ月間、日本中はお祭り騒ぎでしたが、その後手のひらを返したようにSTAP叩きが始まりました。

バルサルタン問題で、日本人の臨床研究論文が信頼を失ったのは昨年のこと。
今年は、基礎研究論文にも、特大のケチがついてしまいました。

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1台1億円の車
- 2014/11/19(Wed) -
ブガッティ・ヴェイロンの話ではありません。あれは2億円だし。
究極のエコカーともいわれる燃料電池車(FCV)は、ほんの4,5年前まで、1台1億円といわれていました。
ところが、トヨタが昨日発表した燃料電池車「MIRAI」は、1台723万円。
どこをどうやってコストダウンしたら、1億円が723万円になるんでしょう。技術革新おそるべしです。

政府も、補助金やらインフラ整備などで後押しして、燃料電池車では日本が世界を牽引しようという腹です。

いきなり来月発売というのも、予想よりも早い。かなりの前倒し感、トヨタの気合いを感じます。
歴史的転換点を迎えたともいえる昨日の発表はしかし、安倍首相のニュース等にかき消されてしまいました。
発売は来月15日ですが、その前日に総選挙の投開票がぶつけられてしまったのも、タイミング悪し。
いったい安倍首相は、トヨタの味方なのか敵なのか。

究極のエコカーとはいうけれど、燃料の水素を製造する過程も含めてエコなのか、そこが問題です。
水素の製造方法は、3つ考えられています。
(1)化石燃料を分解する
家庭用の「エネファーム」と同じ方法。化石燃料に依存し、生産過程でCO2が出る。いまいちエコじゃない。
(2)工場の排出ガスから取り出す
リサイクル的な意味合いではエコです。供給量は多いようなので、当面はこの方式が主流になるのか。
(3)海水を電気分解する
もちろんその電気は、太陽光や風力あるいは潮力などで発電します。これこそ究極のエコでしょう。
少し前までは夢物語だった、海水分解と燃料電池の組み合わせ。もう手が届くところまで来た感じがします。

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アンタレス爆発
- 2014/10/30(Thu) -
赤色超巨星アンタレスの超新星爆発ではありません。それならベテルギウスの方が先でしょう。

米国で昨日打ち上げられた無人ロケット「アンタレス」が、発射直後に爆発・墜落しました。
国際宇宙ステーションへの物資輸送を担う、補給船「シグナス」を送り出すのが、アンタレスの目的でした。
北朝鮮ならともかく、世界最高水準であろう米国のロケットでも失敗するのかと、あらためて驚きます。
まあ、無人でよかった。

爆発の原因は、ロケット1段目の主エンジン「AJ26」の異常だと報じられています。
このAJ26エンジンは、1960年代に開発された、旧ソ連製の「NK-33」エンジンの改良型だそうですね。
ここでまず、何じゃそりゃ、となります。ソ連製のエンジンを、このような重要な局面で米国が使うのかと。

ソ連では、ロケット計画変更のためNK-33は破棄処分となったはずが、こっそり保管されていたそうです。
ロシア時代になり、そのNK-33が米国の民間企業に売却され、改良されてAJ26と改名されます。
それが巡り巡って、今回の打ち上げを行った会社に渡り、アンタレスロケットに装着されたということ。

改名されても、そのエンジンの基本部分はNK-33。大昔にソ連で作られたものです。
そんなものを使わなきゃならない米国って、大丈夫なのかと疑いたくもなります。
一方でロシアは昨日、補給船「プログレス」を、ソユーズロケットで打ち上げました。もちろん成功です。
ロシアの宇宙技術は、なかなか侮れません。

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ひまわり8号
- 2014/10/10(Fri) -
気象衛星「ひまわり8号」が3日前に、H-2Aロケットで打ち上げられました。
残念なことにこの朗報は、ノーベル物理学賞を日本人が受賞したニュースに埋もれてしまいました。

受賞者発表の日付が変えられないなら、打ち上げ日をずらすことはできなかったのでしょうかね。
それとも物理学賞は期待していなかったのか。9日の文学賞発表の前までには打ち上げとけ、みたいな。
あるいは宇宙論での日本人の物理学賞受賞を期待して、祝砲の如くこの日を選んで打ち上げたのか。

まあ結果的には、台風18号と19号の合間にうまく打ち上げられて、ちょうどよかったです。
その台風を含め、ひまわり8号の観測能力は、現在のひまわり7号と比べると、次のように向上するそうです。

(1)衛星画像の解像度が、1キロメートル四方から500メートル四方になる。
(2)白黒画像がカラー表示になり、たとえば雲と黄砂と火山ガスを区別できるようになる。
(3)30分に1回の観測頻度が、10分に1回になる。日本付近の台風観測では2分半に1回になる。

観測機能やデータ処理能力は、科学技術の進歩によって、今後いくらでも向上していくことでしょう。
大気だけでなく地底まで観測できるようになれば、懸案の、火山噴火の予知も可能になるかもしれません。

話は変わりますが、「医療法人ひまわり会つるはらクリニック」は、今月から開院8年目です。
ある意味「ひまわり8号」です。どうぞよろしく。

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ノーベル物理学賞
- 2014/10/09(Thu) -
ノーベル物理学賞は、赤崎勇、天野浩、中村修二の3氏が、同時受賞しました。
受賞理由は「青色発光ダイオード(LED)の発明」です。
LED照明やブルーレイディスクの実用化に結びついたこの発明は、身近で実感しやすいノーベル賞です。

受賞者の3人がまた、三者三様で面白い。各人の発言のうち、私が気に入ったフレーズをあげてみます。

(1)赤崎勇「自分がやりたいことであれば、なかなか結果が出なくても続けることができる」
目先の成果を求めるあまり、不本意な研究や仕事を手がけることが多いものですが、それじゃダメですね。
「一人で荒野を行く心境だった」と表現するほど、途方もなく先の見えない研究を、よく続けたものです。
85歳にして「まだすることがたくさんある」という赤崎氏。研究者魂を見せつけてくれます。

(2)天野浩「必ずできるとの信念があれば、あとは諦めないことだ」
諦めなければ成功すると、簡単に言いますが並大抵のことではありません。信念の強さがハンパないのです。
「世界で一番になれる可能性がある」という思いで研究したそうですが、天性の勘もあったのでしょう。
「私はまだまだ発展途上の人間です」と謙虚ですが、若いことのアピールかも。今後どれだけ発展するのか。

(3)中村修二「もうキレてしまって,前からやりたかった青色LEDをやると決意したのです」
発明の対価をめぐって企業を提訴したり、「怒り」を励みに研究に取り組んできたという、異色の人物です。
人真似をしたくないので「今度は文献を読まないと決めました」というのはある意味、背水の陣です。
で「窒化ガリウムを選んだのはやけくそでした」となるわけで、まあ、ぶち切れ人生みたいです。

それにしても、中村氏が米国市民(米国籍)としてノーベル賞を受賞したことは、痛恨の極み。

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4次元宇宙
- 2014/09/28(Sun) -
「宇宙はどのように始まったのか」 これはいつまでたっても、史上最大級の疑問でしょうね。

「ビッグバン」によって宇宙ができて、しかも膨張し続けている、という理屈で、以前は納得してました。
「インフレーション理論」がその後登場し、ビッグバンのその前の、宇宙の始まりの瞬間が説明されました。

それによると、「特異点」とよばれる1点から、宇宙が始まったことになっています。
点なので体積は無限に小さく、その中に宇宙の元がギュウギュウに詰まっているので、密度は無限大です。
この点が急激に膨張(インフレーション)し、ビッグバンを経て、今の宇宙が出来上がったというわけです。

では、その最初の特異点の周囲には何があったのでしょう? 無、ですか?
これは「宇宙の外側には何があるのか?」にも匹敵する、一般人が考えてはならない疑問でした。

ところがついに、この疑問に答える、驚きの新説が登場しました。それが「4次元宇宙」だそうです。

その4次元宇宙の中で、われわれの3次元宇宙が始まったらしいのですが、その詳細は私には理解不能です。
簡単に言えば、こういうことでしょう。とある宇宙の片隅で、150億年前に、われわれの宇宙が誕生したと。

つまり、われわれの宇宙誕生など、4次元宇宙の中で起きた小さな出来事にすぎないと、そういうわけです。

なんていいますか、ホントのホントの宇宙の始まりの解明が、先延ばしされたような印象がぬぐえません。
では4次元宇宙はどのようにして始まったのか。その疑問は、しばらくタブーなんでしょうかね。

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ナップサック問題
- 2014/08/31(Sun) -
荷物は自転車に背負わせる。自分でバッグを背負わなくなって以来、肩こりがずいぶん減りました。
ハンドルバーに装着したバッグの中に、いつも入れているのは、
(1)自転車だけに必要なモノ:パンク処置用品、バッグ用雨具、サングラスとメガネケース、塩飴
(2)自転車以外にも使うモノ:カギ、サイフ、スマホ、充電器とケーブル
このほかに、飲料のペットボトルは自転車のフレームに取り付けます。

問題は、このバッグが小さいことです。厳選した前述の携行品だけで、ほぼ満杯に近いのです。
自宅から職場まで、本やファイルを持って行くことすらできません。

では限られたサイズのバッグには、何を入れておくのが最良か。これがいわゆる「ナップサック問題」です。
物品のサイズと必要性とを勘案して、一定容量内に詰め込むモノの価値を最大化する方法を求めます。

このような理屈を利用した暗号のひとつに「ナップサック暗号」というのがあるそうです。
私には理解不能な領域に入りますが、わかりもしないのに興味だけはあります。
なぜなら、暗号解読とか、諜報機関とか、国家機密とか、NSAとか、そういうのが好きだからです。

ナップサック暗号はすでに、解読法が見つかっています。数学的な暗号は、いつか解読されるものなのです。
現在使われている「RSA暗号」だって、数学の問題です。やがて解読される日が来るでしょう。

ところが、理論上解読できないという暗号があります。「量子暗号」です。私にはいよいよ理解不能です。

その「量子暗号通信」の実用化に、東芝がメドをつけたと、今朝の日経がトップで報じていました。
世界中の企業や機関が研究途上の量子暗号ですが、実用化されたら、NSAは商売あがったりでしょうね。

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