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コロナはまもなく「風邪」扱いです
- 2023/06/04(Sun) -
真夏のような日差しの中、今日も暑い駐車場に行ったり来たりしながらの発熱外来。こっちも熱が出そうです。
発熱外来受診者36人のうち、コロナの遺伝子検出検査(NEAR法)を行った方は16人。うち陽性4人でした。

まず感じるのは、「5類化」以前に比べて発熱者の検査率が激減したことです。
検査料が有料化されたためだけでなく、自分がコロナかどうかを知りたい方が減っているようです。

インフルエンザだろうと受診して、念のためにコロナも検査したら陽性だった、というケースも目立ちます。
そのような方の周囲にコロナっぽい人はいなかったそうですが、でも確実に、誰か感染者がいたんでしょうね。

いま医療機関は、当院のようにいわゆる「発熱外来」スタイルを続けているところばかりではなさそうです。
土曜日に他院で普通に診察と処方を受け、日曜日に当院でコロナと診断される方も、珍しくはありません。
前日の医療機関の院内で、どれだけコロナを拡散させたのだろうかと、少々心配になります。

当院では、発熱者をいちいち隔離するものだから部屋が足りず、血液検査や点滴などの処置がはかどりません。
もはやコロナを特別視しないのが世の方向性なのかもしれませんが、なかなか私は踏み切れないのです。

とりあえず、「院内トリアージ実施料」が算定できる8月末までは、まじめに「トリアージ」を続けます。
それ以降のトリアージ算定は認められないわけですから、コロナは完全に「風邪」扱いで良いのでしょうね。

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定点把握で感染の推移を見る
- 2023/05/20(Sat) -
新型コロナウイルス感染症が「5類化」されて初めての、定点あたりの感染者数の集計結果が昨日出ました。

厚労省は、定点に指定した医療機関が昨年10月以降これまでに報告していた感染者数を、再集計しています。
これにより、感染者の実数ではなく定点報告数によって、昨年以来の感染の推移を見ることができるわけです。
さらに、定点あたり報告数から都道府県や全国の新規感染者数を推定することも、理論的には可能です。

とは言え、5類化によってコロナ診療医療機関が増えれば、一医療機関あたりの感染者数は相対的に減ります。
定点医療機関の報告数からの推定値では、全体の感染者数が低く見積もられる可能性はあります。

それで思うのですが、診療報酬を請求するときに提出するレセプトのデータって、利用できないんですかね。
PCRなどのコロナの遺伝子検査を行った場合、結果が陽性か陰性かをレセプトに記入しなければなりません。
あれって何のためでしょう。医療機関に面倒なことさせるのなら、そのデータを利用したらどうですかね。

ついでに言うなら、何時何分に検査したかをレセプトに記入しなければならない面倒なルールもあります。
コロナ診療や統計解析の役に立つなら多少の面倒も我慢しますが、検査時刻の正確なデータって必要ですか?
まるで、医者の架空検査・架空請求を防ぐために作られた障壁みたいで、気分悪いですよ。

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「5類化」第1週を終えて
- 2023/05/14(Sun) -
5月8日の「5類化」後、新型コロナの日々の新規感染者数がわからなくなっています。
全数の把握は完全に終了し、1週間単位の「定点把握」、つまりサンプリング調査に切り替わりました。

毎日一喜一憂するのはやめて、大きな流れがわかればいいと決めたわけですから、慣れるしかありません。

その定点把握の「第1週」は5月8日(月)〜14日(日)、つまり今日までの1週間です。
この1週間の集計結果が、5月19日(金)に発表されます。だいぶタイムラグがありますね。

当院が定点医療機関であれば、この期間の新規感染者は5人と報告することになります。
その前の1週間は8人なので減少傾向がありそうですが、当院のデータだけでは統計学的な意味はありません。

日曜日の発熱外来受診者はまだ多いですが、「有料化」したコロナ検査は希望しない人がやはり増えました。

周囲にコロナはいない、症状も軽い、どうせ薬が無い、検査料が高い、などが検査を受けない理由です。
今日は陽性者が3人出ましたが、3人とも、周囲にコロナはいないけど、という方の念のための検査でした。
軽症の潜在感染者が、もうあちこちにウヨウヨいるのでしょう。まさしく、(狭義の)ウィズコロナですね。

陽性が出たら面倒、会社が休めない、という方も増えて来ました。これもコロナが軽症化したゆえでしょう。
発熱者のコロナ検査率は今後ますます低くなるでしょうから、定点把握の数値の正確性もかなり疑問です。

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発熱外来は「外来対応医療機関」へ
- 2023/05/01(Mon) -
新型コロナの「5類化」に伴い、従来の「発熱外来」よりも幅広い医療機関が、診療を行う体制となります。

新型コロナ診療を行う医療機関は今後、「外来対応医療機関」と言うことになるようです。
すべての医療機関がコロナ診療を行うのであれば、あえて「外来対応」と明言する必要はありません。
しかし残念ながら、「外来非対応」の医療機関もあるわけで、そのような呼称になるのでしょう。

当院のような「診療・検査医療機関」(いわゆる発熱外来)は、そのまま外来対応医療機関にスライドします。
さらに多くの医療機関が、新たに外来対応医療機関として、コロナ診療に加わっていくことになるはずです。

外来対応医療機関は、原則として県などのサイトに公表され、発熱者などの受診への便宜が図られます。

しかしながら、日曜・祝日の外来対応医療機関は、おそらく今後もかなり限られることでしょう。
コロナ以前から、休日の医療体制は平日よりも圧倒的に貧弱でしたが、コロナ禍ではなおさらです。
流行のピークが来るたびに、当院の日曜・祝日は発熱者一色となり、それ以外の診療が困難になるほどでした。

多くの医療機関が休日に休診することには、もちろんそれぞれの言い分や事情があることでしょう。

休日診療には経営上のさまざまな困難があるのに、診療報酬にインセンティブが与えられてないのは問題です。
当番医が休日診療すれば休日加算が付きますが、元々休日診療をしている医療機関では、それが付きません。
「好きで休日診療してるんでしょ」みたいな、冷たい仕打ちなのです。国は、その考えを改めていただきたい。

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感染者は減っても、発熱外来は必要です
- 2023/04/30(Sun) -
連休2日目。発熱外来受診者は31人。そのうちコロナ検査(NEAR法)実施者19人。陽性3人(16%)でした。

この3人の周囲にコロナ感染者はおらず、うち2人は、最初はコロナ検査をするつもりはなかった方です。
検査をしなかった12人の中にも、コロナかもと思う方が何人もいましたが、検査の無理強いはしませんでした。
「5類化」目前のいま、コロナの疑いがある人の診断を絶対確定させる必要性は、もはや無いかもしれません。

「インフルなら薬があるけど、コロナは知ってもしょうがない」と言い放つ方もいらっしゃいます。
「そんなことはありませんよ」と強く反論する根拠もなく、結果的に検査率が低下しているのが現状です。

「連休中までは検査料が無料ですよ」と甘くささやいても、もはや乗ってくる方はほとんどいません。
そんな具合ですから、連休後(検査料有料化後)の検査希望者はほとんどいなくなるかもしれません。

熊本県の今日の新規感染者数は29人でした。実数報告が5/8に終了しても気にならないほど、少ない人数です。
とは言え、自分が感染しているかどうか知りたい方は、今後もなくなることはないでしょう。
高齢者と同居している方などはとくに、気になるところです。

抗原検査よりも確実なPCR検査などの遺伝子検査は、今後もどこかの医療機関が実施を続ける必要があります。
結局は、これまでの発熱外来のノウハウと設備を有する医療機関が、今後も担うことになるのでしょうね。

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新型コロナの「5類化」が正式決定
- 2023/04/27(Thu) -
新型コロナの感染症法上の位置づけが、5月8日から「5類」に移行することが正式に決定しました。

さらに、空港等での水際対策の解除は、連休初日の4月29日に前倒しする方針のようです。
帰国時の混雑対策としてだけでなく、連休を利用して社会・経済の活性化を早めようという狙いでしょうか。

その一方で、おもに高齢者などを守るために、また来月からワクチン接種の新シリーズが始まります。
熊本市では先週から接種券の送付が始まり、今週は接種券を受け取った方からの予約が入り始めています。

当院では今回も、当院での接種歴がある方に限定して、電話か窓口で予約を受け付けています。
そのようにする理由は、ネット等での予約が不得手なかかりつけの方に、確実に当院で接種を行うためです。
ワクチンの供給量が限られているために、当初からずっとその方針で接種を行ってきました。

モデルナに限れば、ワクチンは十分に確保できるので何人にでも接種出来ますが、いまさら手は広げません。
当院での接種が初回の、それどころか来院自体が初めての方への接種は、受付や確認等に時間を要します。
その時間があったら、まず、かかりつけの接種希望の方全員に、ご希望の日時に接種をしたいのです。

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大型連休中の発熱外来
- 2023/04/23(Sun) -
連休中に発熱外来をしますか、みたいな調査依頼が、熊本市と熊本県から別々に届きました。
両者ほぼまったく同じことを聞いてきたので、いったいどういう了見なのかと、県に問い合わせてみました。
すると県の担当者は、ほう、市でも調査してるんですね、みたいにとぼけるので、確認をお願いしました。

実際には、市の調査に回答すればそれで良いのでしょうが、県の担当者の認識不足がどうも気になりました。

コロナ行政が転換期を迎え、お役所もたいへんです。全職員が全てを把握するのは困難なのかもしれません。
「5類」に変わるタイミングに合わせなくてもいいのに、いやそうだからか、ワクチンの接種も始まります。
幸いなことは、新規感染者数が、少なくともその報告数が、ひと頃よりは激減していることです。

連休中の発熱外来の混み具合がどうなるか予測は付きませんが、当院としてはこれまで通り診療するのみです。

むしろ気になるのは「5類化後」、つまり5月8日以降です。
なにしろこの日から、コロナ診療の公費負担が(一部を除いて)なくなります。自己負担が急に増えます。
支払いで揉めないためには、検査前いや受診前に、検査費用が3割負担であることを説明する必要があります。
予約の段階でこれを説明すれば、検査を断ったり受診自体をキャンセルする方も増えるかもしれません。
逆に言えば、連休中が公費負担のある最後の期間となります。まさか「駆け込み検査」ってないでしょうね。

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コロナ感染者はジワジワ増えてますけど
- 2023/04/17(Mon) -
発熱外来の受診者はめっきり減りましたね、と書きたいところですが、このところ不気味に増えています。

3月1カ月間のコロナ陽性者(NEAR法)は、22人(検査数181人、陽性率12.2%)でした。
ところが、4月は今日までの17日間(実診療日13日)だけで陽性者は22人(検査数105人、陽性率20.0%)。
さらに、とくに昨日と今日では、26人検査して陽性6人(陽性率23%)と、ジワジワと増えている印象です。
この6人の年代は8〜43歳と、若い方が目立ちます。

最近のコロナは症状の軽い方が多い印象がありましたが、ここに来て、高熱の方が目立つようになっています。
4月の陽性者22人を見ても、熱が38度未満の方は5人だけでした。昨日・今日の6人は全員が38度以上でした。

ひところは、熱が低いからと言ってコロナじゃないとは限りませんよと言ってましたが、様相が変わりました。
今のコロナは逆に、また高熱が出やすくなってきたかもしれません。

最近の問題は、発熱していても処方のみを希望して、検査を希望しない方が多いことです。
おそらくこれは、世の中の感染者数が減っているし周囲に感染者がいない、というのがその理由でしょう。
ところが実際には、周囲にコロナがまったくいない、という方が検査して陽性が出ることが多いのです。
当院の4月の陽性者22人のうち、周囲にコロナ感染者がいた人は6人(27%)だけでした。

どこで感染したのか見当もつかないという人もいれば、そういえば同僚が熱を出していたという方もいます。
もはや発熱しても検査しない人が増えたため、感染ルートがわかりにくくなってきています。

このようにしてコロナは、ついに「普通の風邪」のように扱われていくのでしょうか。
当院のような発熱外来が、検査をして陽性者を一部あぶり出しても、社会的な意義は少ないのかもしれません。

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オンライン資格確認は、リアルタイム資格確認ではない
- 2023/04/10(Mon) -
「オンライン資格確認」を当院でも導入しましたが、これは「マイナ保険証」のためだけではありません。
従来の保険証でも、「オンライン」で被保険者の「資格」が有効かどうかを「確認」することができるのです。

このシステムによってたぶん、「資格喪失後受診」を防げるだろうと、私は期待していたのですが・・・

職場等が変わって被保険者資格を喪失している方が、うっかり、その保険証で当院を受診することがあります。
保険証に記載の有効期限の範囲内なら、医療機関としてはそれ以上疑わず、診療を受け入れることになります。
すると2,3カ月後に保険者から「資格喪失後受診のため診療報酬は払えません」という一方的な通告が来ます。

以前は、保険者の言いなりになって、診療報酬の再請求をしていましたが、今はそんなことしていません。
保険者からの理不尽な通告は拒絶しています。当院としては保険証の確認をしたのだから、当然でしょう。
すると今度は保険者が面倒な手続きを強いられることになりますが、そんなの私の知ったことではありません。

ある保険者は、マイナ保険証だと資格が有効かどうか確実にわかるんですけどね、と捨て台詞を吐きました。

ところが、です。オンライン資格確認では正確に資格確認ができないことが、本日判明してしまいました。
3月末で退職した方の旧保険証を、2日前にシステムで確認してみたら「有効」だと判定されたのです。
今日になってもう一度確認したら、こんどは「無効」でした。
つまり、保険証の有効性を判定する大元のデータが、退職の10日後になってやっと更新されたということです。

保険者に電話で尋ねると、職場から保険組合への連絡が遅れたようです、と他人事のような回答。
私はさほど驚きはしませんでした。リアルタイムで資格確認ができるなど、最初から期待してはいませんから。

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新型コロナの「5類」化と、医師の「応招義務」
- 2023/04/06(Thu) -
新型コロナの「5類感染症」への「位置づけ変更」に伴って、最近よく聞くのが「応招義務」という言葉です。

「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」
医師法19条のこの規定が、応招義務の根拠とされています。診療拒否には「正当な理由」が必要なのです。

新型コロナはこれまで、特定の医療機関での対応が制度上求められていたため、応招義務の例外扱いでした。
「うちは発熱外来してませんので」という理由で、発熱者の診療を断ることができたわけです。

しかし5月8日からは、「新型コロナに罹患またはその疑いのみを理由とした診療拒否」はできなくなります。
加藤厚労相は会見で、このことを明言しました。コロナ診療に参画する医療機関の増加を目指すためです。

一方で加藤氏は国会では、動線分離できないなど診療が不可能であれば他院紹介をお願いする、と述べました。

結局、コロナ診療はそれが可能な医療機関が担うという、これまでとあまり変わらない形になるのでしょうか。
あるいは、動線分離等を厳格には守れない(守らない)医療機関も、コロナ診療に加わっていくのか。
たぶん後者。マスク装着義務も撤廃されたことだし、院内感染のリスクも事実上許容されていくのでしょう。


メディアでは「応召義務」という記載をよく目にしますが、厚労省の文書では「応招義務」を使っています。
当ブログでは以前は「応召」と書いてきましたが、本稿からは「応招」に切り替えました。

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マイナ保険証とウィズコロナへの診療報酬改定
- 2023/04/01(Sat) -
「四月馬鹿」って、最近あまり言いませんね。昭和の頃は「エイプリルフール」と同程度に聞く言葉でしたが。

「ウソついてもいい日」にお知らせするのもナンですが、今日から当院の医療費が値上がりしたのは本当です。

「マイナ保険証」を持って来なかった人からは、「6点」ほど余計に初診料を頂戴しています。今日からです。
再診料だって、容赦はしません(ていうか、ルールなので値引きできません)。「2点」ほど頂いてます。
たとえマイナ保険証を持って来て一定の承諾が得られた方でも、初診料は「2点」高くなっています。

「オンライン資格確認」システムの維持費は、この6点や2点の「チリツモ」で工面することになります。
「一般名処方」に関連した加算も「2点」ほど、今日から増えています。

一方で、コロナ関連の診療報酬上の「特例」は、「五類」化へ向けて大幅に削減されていく方向です。
外来でも算定できる「二類感染症患者入院診療加算」は、昨日で終了しました。まだ「二類」ですけど。
コロナ患者への療養指導を行った場合に算定する「救急医療管理加算」は、5月8日から大幅減額です。
発熱外来の基本報酬であるコロナ疑い患者の診療で算定する「院内トリアージ実施料」は、8月で終了の予定。

このように診療報酬を削減していく一方でコロナを診る医療機関を増やそうというのは、少々無理筋ですかね。

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この忙しいのにマイナ保険証システムの準備中です
- 2023/02/23(Thu) -
「オンライン資格確認(オン資)」の導入を医療機関に強いるのは憲法違反だ、という訴訟が起きています。

「オン資」とは、マイナ保険証によって、本人確認と直近の資格情報や医療情報まで確認できるシステムです。
全国の医療機関が、そのシステムをすでに導入済みか、いままさに準備を進めているか、あるいは検討中です。
当院でもようやく顔認証付きカードリーダーや専用PCのセッティングが終わり、いまは最終調整中です。
初期費用には国からの補助が出ますが、足りません。さらに、その後の維持費はすべて、永久に自腹です。

マイナ保険証の仕組みはたしかに、やがて必要だとは思います。ただ、国の「やり方がマズい」のです。

まず、オン資より前に、現行の保険証を「ICカード化」するようなステップは踏めなかったんですかね。
保険証の券面に印字してある情報だけでもIC化されれば、とりあえず現場では十分です。
本来は電子カルテに手入力すべき情報をカードリーダーで読み取れるだけでも、医療機関はとても楽です。
ネット接続や専用PCは不要。汎用のカードリーダーさえあればいいので、導入コストはわずかです。
利用者(被保険者)も、受付で「ICカード保険証」をピッと読み取らせるだけなので、便利です。

そのようにして、国民がICカード保険証に慣れておけば、マイナ保険証への移行もスムーズでしょう。
並行して、「別の方法で」マイナカードを十分に普及させた後に、保険証を廃止すればいいじゃないですか。

マイナカード普及後に保険証にも用途を広げるべきなのに、保険証を人質にカード普及を狙うのは反則です。
医療機関は国のイヤらしいやり口に押し切られ、コロナ禍中だというのに余計な作業をさせられているのです。

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コロナは「受診率」が減ったかも
- 2023/02/12(Sun) -
今日の東京の新型コロナ新規感染者数は799人。熊本179人。曜日を考慮しても、かなり少ないですね。

昨日・今日の連休中、当院で行ったコロナ検査(NEAR法)は40件。そのうち陽性は9人(陽性率22.5%)。
同じ2日間に行ったインフルエンザの検査は52件。うち陽性は15人(陽性率28.8%)。

コロナは明らかに減っています。1月と比べると激減していると言っても良いでしょう。
一方で、コロナと置き換わるかのように増えて来たインフルも、まだそれほど大爆発な状況ではありません。

コロナの陽性率が低かったのは、「念のため」の検査が多かったからでしょう。
またインフルの陽性率があまり高くないのは、検査時期が早すぎた事例が多かったからかもしれません。

熱が出たばかりの方は、通常は検査をお断りしていますが、39度以上でキツそうだとなかなか断りにくいもの。
その結果、高熱→早めにインフル検査(陰性)→コロナも否定できないのでその検査(陰性)、となるのです。

「5類移行」の話が具体化してきた頃から、発熱者の受診率や検査率が低下してきた印象があります。
市民の意識の中で、コロナの扱いが早くも「普通感冒(風邪)」に近づいてきたということでしょうか。

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医療機関でのマスク装着が「推奨」って、弱くないですか
- 2023/02/10(Fri) -
マスクの着用は今後、個人の判断に委ねることになります。3月13日からだそうで、意外に急な話です。
新学期からは、学校でのマスク着用も求めないとのこと。とは言え、厚労省は次のようにも言っています。

(1)医療機関や高齢者施設を訪問する際や、混雑した電車やバスでは、マスクの着用を推奨する
(2)重症化リスクが高い人が流行期に混雑した場所に行く際は、マスクの着用が有効

このうち(1)は他人への感染を、(2)は自分が感染することを、それぞれ心配する場合のマスク着用です。
ただそのような場合でも、マスクの有効性はわかっているけど、着用は自己判断でOKだというわけです。

これによって、絶対に感染したくない人の居場所がなくなりはしないかと、私は懸念します。
とくに、重症化リスクの高い方が集まる医療機関は、なかなか難しい対応に迫られるかもしれません。

これまで当院では受診者のマスク装着が「必須」でしたが、今後はマスクを強いることは難しいのでしょうか。
当院の入口には、マスク装着を「お願い」する掲示を出す予定です。「推奨」ではなく「お願い」です。
さらに、「マスクを着けない方は、駐車場での診療となります」ぐらい、言ってもいいですかね。

どうしてもマスクを着けたくない方との一悶着が、いつかは起きそうです。
将来的に待合室では、マスクをしている人と着けていない人を、分離しなければならないかもしれません。

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マイナ保険証の利用は、ウィズコロナが前提です
- 2023/01/30(Mon) -
新しいモノゴトを覚えるのが苦手になりました。トシのせい+α+β(!)でしょうか。
興味があるコトですら、すぐ忘れる。いわんや、興味の無いコトをや。

キャパオーバーなのです。脳がどんどん萎縮して、記憶容量が減っているのです、きっと。
覚えたつもりの色んな事柄が、脳から溢れて脳のスキマの脳脊髄液を浮遊している情景が目に浮かびます。
そのスキマはどんどん広がってるので、記憶として取り出せない事柄であれば、いくらでも貯蔵できそうです。
ちょうど、書斎内に存在するはずだけれども行方不明の物品類のようです。

この3年間、それ以前の35年間の医者生活ではほぼ馴染みのなかった出来事に、翻弄され続けています。
新型コロナウイルス感染症、PCR検査、発熱外来、緊急事態宣言、mRNAワクチン等々です。
ついていけないスピードで制度が遷移し、届出だの申請だの入力だのと、無数の作業をやらされ続けています。

それに加えて、このややこしい時に、マイナ保険証やオンライン資格確認制度が着々と進められています。
これもまた、政府に脅されて期限ギリギリに申し込みを終え、来月はネットワーク工事の予定です。

春には新システムに移行する予定ですが、そもそもマイナ保険証を提示する人がどれほどいることやら。
発熱外来で「顔認証」なんてできるんだろうかと、ずっと疑問でしたが、今後はやるしかないのでしょう。
受診者が熱があろうとなかろうと、受付までは入ってもらうことになります。私はまだ抵抗がありますけど。

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「新規感染者数」に一喜一憂してきたけれど
- 2023/01/29(Sun) -
新型コロナ感染者の届出方法に誤りがあったために、これまで「新規感染者数」が少なく把握されていた件。

いま、医療機関が新型コロナの新規感染を診断した際に届け出るのは、次の2つです。
「発生届」:高齢者など特定の条件を満たす感染者については、詳細な患者情報をHER-SYS入力する
「日次報告」:日々の感染者の数のみを、年代別に報告(HER-SYS入力)する

ところが一部の医療機関で、発生届を出した症例を日次報告から除外していたのが、今回の問題の原因でした。
じつは私も当初は、発生届を出したケースを日次報告するのは二重報告にならないのか、少し不安でした。

国は、発生届とは関係なく日次報告のデータのみを毎日集計して、「新規感染者数」として公表しています。
なので、発生届が出された症例分を除外すると、新規感染者数が過小報告されることになってしまいます。

発生届には高齢者の症例が多いため、高齢者に報告漏れが集中するという、皮肉な結果を招いてしまいました。

とは言え、現状どれほど正確に感染者数が把握できているのかは疑問です。
自己検査で陽性でも届け出ない人もいるし、そもそもコロナの疑いがあっても検査しない方も増えて来ました。

どっちみち5月からは日次報告自体が不要になると思うと、すでに正確な報告のモチベーションも下がります。
感染者数の届出は流行動向を捉えるために有用ですが、それは「定点観測」だって良いわけですから。

ただ、全国民の毎日の一喜一憂のタネでもあった「新規感染者数」が消えるのかと思うと、感慨深いですね。

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正確な検査をしても報告を誤ったら台無しです
- 2023/01/28(Sat) -
鳥取の病院で、搬送された患者がPCR陽性と「誤診」されて点滴治療を受ける、という医療過誤が起きました。
検査結果の「入力ミス」が原因とのこと。誤って「陽性」と判定してしまった、いわば「誤陽性」事例です。

私も2年前に、市内の無料PCR検査所での「結果取り違え」事例に遭遇したことがあります。
無料検査で陽性、当院のPCRでは陰性だったため、無料検査所に問い合わせたら「間違いでした」だと。

保健所に調べてもらうと、その検査所ではその日、結果データの処理で複数の取り違えが起きていたそうです。
呆れるようなミスですが、問い合わせるまで何の連絡も無かった(=隠していた)点は大問題でしょう。

2年前と言えば、志村けんさんが亡くなった頃で、コロナに対する恐怖は今とは比べものになりませんでした。
当院のPCR検査結果を伝えられた方々はみな、陽性は地獄、陰性は天国、みたいな反応をされていましたから。

今回のような「誤陽性」があるのなら、「誤陰性」も無数に存在するはずです。
しかし、「陰性」報告を受けた人が次の検査で「陽転」した場合、通常は最初の判定を「偽陰性」と考えます。
なので「誤陰性」事例は表には出にくいと思われますが、感染対策の観点からは「誤陽性」よりも問題です。

当院のコロナ検査はいま、「NEAR法」による核酸増幅検査に一本化しています。PCRも抗原もやってません。
検査装置から、結果を印字した紙が出るので、それを「結果報告書」に貼付して、患者さんにお渡しします。
過誤が起きるとすれば、それは検査時に装置に入力する患者IDの誤りか、検体の取り違えです。
その2点を確実かつ容易に確認できる手順を作り、その手順を例外なく遵守する。そのことに尽きますね。

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「5類移行」決定
- 2023/01/27(Fri) -
新型コロナの感染症法上の位置づけが、5月8日から「5類」に移行する政府の方針が決定しました。
「2類相当」として求められてきた「私権制限」に見合った状態とは考えられない、というのがその理由です。
「今では過剰とも言える感染対策はできる限り早期に見直し」を行うべきだという「反省」も表明されました。

今回の決定に当たっての留意点として、厚労省の部会は次の4点を強調しています。

(1)医療費の自己負担分の公費支援については、段階的に移行する
いまは、検査代だけでなく、コロナ陽性と判定されるとそれ以降の療養期間中の医療費が「無料」です。
「コロナ治療薬の処方対象ですが」「高い薬ですか?」「無料です」「ください」という会話がよくあります。
しかしこれらが3割負担等になるのなら、検査も処方希望者も、なんなら受診者数自体が減るでしょうね。

(2)幅広い医療機関でコロナ患者が受診できるよう、段階的に移行する
当院のように発熱外来をやってきた医療機関の受診者が、今後は減るのか減らないのか、予測がつきません。
院内感染対策や検査体制のノウハウを考えると、今から新たにコロナ診療を行うのは、なかなか大変でしょう。

(3)発生届は終了し、定点サーベイランスに移行する
インフルエンザ等と同じで、新規感染者の実数はもうわからなくなりますが、流行の状況は把握できます。
それで十分でしょ。医療機関としては大歓迎です。大事なのは、重症例への対応だけですから。

(4)マスクや換気等の基本的な感染対策については、 個人の判断に委ねる
「状況によってはマスクが有効」としているので、「有効だけど強制はしない」という難しいスタンスです。
マスク装着率が下がった頃にまだマスクをしていると、逆に変な目で見られるようになるのでしょうか。

5月の「5類移行」の前までにコロナがほぼ収束していることが、いちばん混乱の無い理想型なんですけどね。

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春からも、たぶん完全予約制です
- 2023/01/23(Mon) -
新型コロナの感染症法上の位置づけが、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行する方向です。

感染しても待機が不要となるなら、市民生活は一変するでしょう。しかし医療現場はどうでしょうか。
外来診療に限るなら、少なくとも当院の診療スタイルは、しばらくの間はあまり変わらないかもしれません。

「世の中の規制が緩んだので、今後は院内感染も覚悟してください」なんて言うわけにはいきません。

今後も「季節性インフルエンザ」程度には、院内感染を避けるための努力・工夫をしなければなりません。
高齢者や基礎疾患のある方と、発熱者や風邪症状のある方とでは、動線や時間帯を分離する必要があります。
たとえ同じ発熱者どうしでも、1カ所の「発熱者待合室」に集めることはできません。

そのためには結局、完全予約制にして駐車場待機を徹底する、これまでと同じ方法を続けるしかありません。

「診療・検査医療機関(いわゆる発熱外来)」が、制度上どうなるのか、まだわかりません。
すべての医療機関が原則として、コロナの診療・検査をしなければなりませんが、これはインフルと同じです。
季節性インフルエンザ並の診療でよいと言われても、外来診療はこれまでとほぼ同じかもしれません。
自分自身のリスクを考えたら、個人防護具もあまり手抜きしたくはありませんね。

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療養解除前の確認検査は不要、ということになっています
- 2023/01/11(Wed) -
発熱外来では、早く結果を知りたいという理由で、PCR検査ではなく抗原定性検査を希望する方がいます。
しかし、PCR検査と抗原定性検査は、単にその感度や所要時間の違いだけではなく、目的が異なります。

「感染の有無を調べるのがPCR検査で、感染力を調べるのが抗原検査」と考えましょう。

PCR検査は、ウイルス遺伝子(核酸)を増幅して調べる検査なので、感染しているかどうかを判断できます。
わずかな量の核酸を特殊な方法で無理くり増幅するので、感染初期でも無症状でも検出することができます。

抗原検査は、ウイルスが産生する特定のタンパクを調べるもので、ウイルスの活動性を知ることができます。
タンパク量が少なければ検出されにくく、感染の初期や症状が軽いうちは偽陰性が出やすくなります。

「療養解除日に自主的に抗原検査したら陽性が出た」という相談を時々受けます。出たのなら仕方ないですね。
感染力の残存を示すのか別の要因か、解釈に迷うばかりなので、解除前の抗原検査を私は推奨していません。

PCR検査も同様。ウイルスの残骸を検出することがわかっているので、感染後の検査はやはり推奨しません。
しかし、感染者の職場復帰前に、それらの「確認検査」を求める事業所等がいまだにあります。
当院ではそのような検査はお断りしてきましたが、それで困るのは患者さんです。どうしたものですかね。

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コロナとインフルの「同時感染」も珍しくはないかも
- 2023/01/10(Tue) -
この3連休の発熱外来を総括しますと、やはり、コロナ・インフルの同時流行が始まっているという印象です。

3日間の発熱外来受診者のうち、新型コロナのPCR検査または抗原定性検査を行った方は101人でした。
PCR検査は59件(うちインフル同時検査は39人)、抗原検査は43件(インフル同時検査は27人)でした。
あれ、合計102人じゃん、と思った方、するどい。例外的に、PCRと抗原検査を両方行った方が1人います。

PCR検査の陽性者は37人(陽性率63%)、抗原検査の陽性者は24人(陽性率56%)でした。
予想はしていたとは言え、コロナとインフルの同時感染者が2人いました。これは衝撃的です。

1人は、職場にコロナ、自宅にインフル、39℃の熱、さあどっち?、という方。両方陽性でした。
1人は、自宅にコロナ、でもコロナには昨年罹った、40度の熱、じゃあインフル?、という方。両方出ました。

2人とも、すぐにインフル陽性が判明したのですが、それで納得せず、PCR検査までしたのが正解でした。
いま熱が出たら、周囲にどのような感染症が出ていても、インフルとコロナを両方疑う必要がありそうです。

その2人に電話連絡する時に思ったのは、コロナの発症日って、いったいいつなんだろう、という疑問。
発症の7日後までの自宅療養を指示しようにも、最初の発症日って、どっちの発症日なんでしょうね。

症状はすべてインフルの症状であり、PCR検査時にはまだコロナは発症していなかった可能性すらあります。
あるいはPCR検査後に発症する可能性もありますが、インフル経過中にその発症日はわかりにくいでしょう。
同時感染例での療養時間は、従来のコロナよりも長めにした方が良いかもしれません。

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国民は緩んでも、医療機関の緊張感はMAXです
- 2022/12/31(Sat) -
コロナはいつまで続くのかと1年ほど前に人に訊かれ、「2月には収束(終息)するよ」と予言したのは私です。
しかし、ご存じの通り、年が明けたら第6波が襲来し、さらに夏には第7波、いまは第8波の真っただ中。

予想を大幅に上回り、ほぼ3年経っても終息しませんが、世の中の状況はずいぶん変わりました。
市民の行動制限がほぼありません。社会経済活動や教育の停滞を招かないことの方が、いまは重要なのです。
水際対策も撤廃され、旅行も出張もしやすくなりました(ただし今、中国は例外)。
診療報酬はかなり減額され、新たな補助金もほとんど無くなり、医療機関はまた厳しい状況になっています。

第8波で一番気になるのは、死亡者数が多いこと。おそらく、把握できている数より感染者は多いのでしょう。

「ゲームチェンジャー」だと期待されていた内服薬は、全体的に劇的な効果を生んでいるほどではありません。
同様にワクチンも、ようやく「オミクロン株対応」が登場したと思ったら、接種率が低迷しています。

これほど感染が再拡大していても、もはや社会・経済の再活性化の方が国民には喜ばれているようです。
観光地や空港の混雑ぶりを報道で目にします。もう、この流れを止めることはできないのだろうと思います。
しかし、いまも多くの死者が出ています。医療機関としては、来年も強い緊張感を持って臨むしかありません。

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「5類化」を前にして補助金を駆け込み申請
- 2022/12/29(Thu) -
「R4年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業費補助金」の交付が、なんとか認められそうです。
あらかじめ「事前相談」の書類を提出していたところ、ようやく、本申請の書類提出を求める連絡が来ました。

補助金による導入を考えているのは、「HEPAフィルター付空気清浄機」と「等温遺伝子増幅装置」です。
前者は、「陰圧隔離室」を前提として使用する物で、コロナ禍後にも役立つ重要な院内装備となる予定です。
後者は、「NEAR法」による検査装置で、PCR検査並の感度がありながら13分で結果が出る優れモノです。

新型コロナが「5類」になったとしても、それぞれの装置は今後長期的に有用であろうと考えています。

補助金交付の条件として、当院の隔離診察室の「陰圧化」が求められたため、その工事が必要となりました。
たしかに、窓全開だけでは換気には限界があります。風雨が強い日には窓が開けにくいこともありました。
風向きによっては、窓から入口ドアの方向に空気が流れることもあり、隔離室としては問題を感じていました。
今回の工事と清浄機設置は、これまでの懸案を解決する良い機会だと思っています。

検査装置の方は、ランニングコストが高いのがネック。いま外部委託しているPCR検査代よりも高額なのです。
現行の診療報酬であればなんとかなりますが、今後それが「改悪」されたら、厳しいことになってしまいます。
しかし、すぐに結果が出ることは患者さんへのメリットだけではなく、私の仕事も効率的になるということ。
「5類化」によって感染者数や検査体制がどうなるか未知数ですが、いまやるべきことをやるのみでしょう。

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補助金で「焼け太り」とは言葉が過ぎませんか
- 2022/12/28(Wed) -
新型コロナ対策で支払われた補助金が病院を「焼け太り」させていると、批判的に報じられています。

コロナ患者を受け入れるために病床を空けた病院に支払われる「病床確保料」が、そのおもな標的です。
これはコロナ第1波で病院の収益が悪化したことを受け、減収分を補うために導入されたものでした。

病床を「確保」して稼働させないほど補助金額が大きくなるのは、たしかに制度設計上の問題かもしれません。
しかし、それまで赤字経営だった病院がこの補助金で「黒字化」したことを問題視するのは、いかがなものか。

これまで構造上の問題に苦しんできた病院が、この補助金によって図らずも息を吹き返したのです。
そしてそれがコロナ診療のモチベーションとなり、この3年間の日本の医療を支えてきんじゃないですか。

病院に限らず、当院のような発熱外来でも同様に、「発熱外来診療体制確保補助金」が支払われました。
発熱外来専用の時間枠を「確保」したのに実際に発熱患者が来なかった場合に支払われる補助金です。
これも、発熱患者を受け入れない方が補助金額が大きくなるという、矛盾をはらむ制度でした。

当院では、最大限の時間枠を発熱外来に充てることにして、いったん、かなり巨額の補助金を得ました。
しかしご存じの通り、実際に発熱患者を多数受け入れてきたので、補助金の多くを返還する必要があります。

その年内返還の可否を問う「不幸のメール」が厚労省から届いた話は、2カ月以上前に書きました。
しぶしぶ、年内返還可能と返信して待っていたところ、先日厚労省から、年内は無理だと連絡が入りました。
こっちは返す気になってるのに、まあ待てと、まだ返すなと。どんだけ厚労省忙しいんでしょうね。

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異常な陽性率は「大波」の証拠
- 2022/12/26(Mon) -
連日コロナの話題もイヤなんですが、どうやら重大な局面に差しかかったように感じています。
昨日の当院のPCR検査は26件と、第7波の頃に比べれば少ないですが、陽性23件(陽性率88%)は異常です。

濃厚接触かつ高熱が出て半日以上経過した方などは、PCRではなく抗原定性検査を行うことが増えました。
昨日と今日で抗原検査を行った方は22件。陽性は17件なので、陽性率は77%。これも高い。
しかしそのような、いかにも「怪しい」ケースを除外して行ったPCRの陽性率が88%ですから唖然とします。

60歳以上の陽性者は少なく、ほとんどは40歳代以下でした。
家庭内の濃厚接触者は3分の1程度で、職場やクラスや部活内での(セミ)クラスターも散見されます。

こまめに自宅で抗原検査をする方も多く、発熱外来としては大いに助かっています。
PCR検査をご希望の方にも、できれば自宅を出る前に、抗原検査をしていただくようお願いしています。
もしも抗原が陽性なら、PCR検査が不要となるばかりか、処方等が不要な方には来院の必要すらなくなります。

そのような、医療機関が関知しない陽性者の数が、国や自治体の集計に全て正しく反映されるとは思えません。
毎日発表される「新規感染者数」は、おそらく実態とはかなり隔たりがあるはずです。
もしかすると、すでにもう第7波を越える「大波」になっているのかもしれません。

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「インフルエンザにタミフル」は、実に気楽
- 2022/12/25(Sun) -
コロナとインフルは同時大流行かも」と一昨日「予言」した事態に、確実に近づきつつあります。

コロナの濃厚接触者の抗原検査で、コロナは陰性でしたがインフルが陽性の事例がありました。
これはもう「家庭内同時流行」です。コロナだと決めてかかると、インフルを見逃しかねません。

滅多にないだろうと思っていた、「コロナとインフルの同時感染」も、ついに今日、現れました。
あり得るとは思っていましたが、そのようなケースが実際に出てくる様になったことは衝撃的です。

今日は発熱外来を午後に限定したので、先週の当番医の時よりは受診者数こそ少なかったものの、濃厚でした。

「インフルのような寒気がした」「前にインフルに罹ったときと同じ症状」
そんな訴えの場合でも、インフルだけでなくコロナの検査も行うと、しばしばコロナ陽性でした、これまでは。

ところがいまは逆。コロナだろうと思った時でも、インフルの検査も行った方が良い状況になっています。
コロナの濃厚接触者に対してすら、念のためにインフルも調べときましょうか、という提案が必要です。

インフルが陽性なら、原則としてタミフルを処方しています。特別な同意書は不要で、処方も簡単です。
一方でコロナの薬は、今日も同意書を読んだ挙げ句に処方を断る方もいて、まだまだ手軽な薬ではありません。
「ウィズコロナ」は、ワクチンの普及に加えて、治療薬がもっと一般的になった時点で使うべき言葉でしょう。

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コロナとインフルは同時流行ではなく「同時大流行」かも
- 2022/12/23(Fri) -
新型コロナとインフルエンザの同時流行が、いよいよ現実味を帯びてきました。
熊本市の定点当たりのインフル報告数が、先々週(12/5〜12/12)の1.00から、先週は3.12に増えました。
この分だと(同じ比率で増えると)今週は約10となり、「注意報レベル」に達するかもしれません。
さらにその翌週にまた3倍(報告数30)となれば、これは「警報レベル」です。

インフルエンザに対しても、コロナと同様の予防法(3密回避・マスク・ワクチン)しかありません。
しかし、世の中はすでにウィズコロナに向かいつつあり、それらの予防策も以前より緩んできました。
ここでインフルが同時流行したとしても、もはや緩んだ流れは変わらないかもしれません。
つまりこの先、ウィズコロナ&インフルが待ち受けているということです。

今年最後の日曜診療となる明後日は、もしかすると先日の当番医の時よりも激しい発熱外来になりそうです。
よほどコロナの疑いが強くない限り、発熱者にはインフルの検査も併用する必要があるでしょう。

いつも日曜診療をしている当院が当番医をするのは、市内の休日診療体制にとっては不利だと先日書きました。
そのことを医師会事務局に相談したところ、当院は当番医のローテーションから外されることになりました。
もちろん、今後も毎週日曜に診療を行うことが条件です。大丈夫。日祝診療は今後も続けます。

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「マイナ保険証」普及のための「加算」の右往左往
- 2022/12/21(Wed) -
「マイナ保険証」普及のため、来年4月から従来の保険証の利用者負担がさらに増やされることになりました。

今年4月の診療報酬改定では、マイナ保険証を利用した方が診療報酬が高くなるように設定されていました。
初診料の「加算」は、3割負担の場合、マイナ保険証だと21円、従来の保険証なら9円の患者負担でした。

マイナ保険証に対応するための設備投資等が医療機関の負担となるため、それを手当するための措置です。
しかし、患者負担が割高になることはマイナ保険証の普及には逆効果であることが問題となりました。

すると10月からは180度方針転換。こんどは従来の保険証を使った方が、患者負担が高くなりました。
初診料の加算は、マイナ保険証だと6円、従来の保険証なら12円の患者負担になりました。
そしてこのたび、来年4月から従来の保険証の場合の患者負担が、18円に増えることが決まったわけです。

このような改定は、マイナ保険証への切り替えを促す、国民に対するインセンティブです。
ただし医療機関にとっては、マイナ保険証が普及する方が損をするという、微妙な逆効果を生み出しています。

あちらを立てればこちらが立たず。大事な制度改革を姑息的に済まそうとするから、こうなるのです。
マイナ保険証普及のインセンティブを、診療報酬の微調整で手当てしようという発想が、そもそも間違いです。

医療機関にとって、マイナ保険証対応設備の初期費用は補助金では足りず、導入後も永続的に負担が続きます。
これは重大な医療制度の改革なのですから、政府が全工程の面倒をきっちりみるべきです。

なお、マイナ保険証の有無にかかわらず、マイナ保険証「未」対応医療機関を受診すれば、加算が付きません。
当院もまだ未対応(カードリーダーは届いたけど準備中)。今ならオトクですよ。

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発熱外来の報酬は下げ、支援金は渋る
- 2022/12/06(Tue) -
熊本県内の新型コロナ新規感染者数が、今日は2236人でした。2千人超えは3か月ぶりのことです。
以前ほど一喜一憂しなくなった感染者数ですが、それでもとくにこの2,3週間は気になる推移を見せています。

全数届出が終了し、感染者数も以前ほど厳密には把握されていないでしょうから、実数はもっと多いはずです。
自宅での抗原検査キットで陽性だった方には、医療機関を受診しない方も増えています。

新型コロナはやがて、普通の風邪と同じような扱いになるのでしょう。欧米ではすでにそうです。
その真逆にあるのが中国。そして日本はその中間かもしれません。ある意味で、発展(?)途上なのです。

発熱外来に対する国の補助金や助成金も、2年前には大盤振る舞いでしたが、最近はサッパリです。
診療報酬もどんどん減らされ、発熱外来の役割は終焉に向かって(向かわされて)いるようにすら感じます。

と思っていたら実は、まだ国の支援事業が行われていました。空気清浄機の購入等に支援金が出るようですね。
あまり大々的には周知されていないものだから、私も最近まで気付きませんでした。
今日になって大慌てで、空気清浄機や検査装置などの購入についての「事業計画書」を提出したところです。
いったい国や自治体って、医療機関を支援したいのかしたくないのか。金を出すようで出し渋るんですよね。

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インフルエンザの自主検査キットこそ、おおいに使うべき
- 2022/11/28(Mon) -
たびたび書いているように、自宅で抗原検査をしてから受診する方がとても増えています。助かってます。
医療用キットで陽性なら、電話問診の内容によっては、受診せずにそのまま自宅療養となる場合もあります。
基礎疾患があったり、病状が心配だったり、何らかの処方を希望する方だけ、来院してもらえばよいのです。

ですがその方の濃厚接触者のPCR検査や抗原検査が必要なケースも多く、結局はご家族で来院されたりします。
そのついでに、検査キットの写真または現物を見せていただき、証拠としてその写真を撮って保存します。

ただ自宅での検査って、それが絶対に本人のモノかどうかはわかりません。自己申告を信じるしかありません。
コロナは感染すると一定期間の自宅療養等が必要となるので、本来は厳密な陽性判定が必要なんですけどね。

一方でインフルエンザは、コロナに比べれば療養の制限も緩いので、むしろ自主検査が望ましい気がします。

コロナとインフルの同時流行期には、両者を同時検査するか、もしくは先にインフルを検査すべきでしょう。
コロナの流行が優勢と思われるうちは、コロナとインフルの同時検査でよいと思います。
しかしインフルの方が圧倒的大流行となった時は、インフル単独の自主検査キットを活用すべきです。
いつぞや言われていたような、コロナだけ検査して「コロナ陰性=インフルと判断」なんてのはバカげてます。

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日曜日の発熱外来、どうにかなりませんか
- 2022/11/27(Sun) -
診療を終えて大慌てで帰宅したもののキックオフに間に合わず、録画を追っかけ再生で見ました。
W杯カタール大会グループリーグ第2戦です。残念ながら日本は、0-1でコスタリカに敗れてしまいましたね。

でも、こんな日なのに診療を早めに切り上げることができないほど、今日の発熱外来は混み合っていました。
午前中の早いうちに夕方の予約まで埋まることが、最近では当たり前になって来ました。
受付は一日中、「今日はもう予約が一杯です。申し訳ありません」と電話で謝り続けなければなりません。

なによりまず、熊本市(県)の休日の発熱外来体制が貧弱すぎます。これは去年からずっとそう思っています。

熊本県のサイトで、熊本県内の「診療・検査医療機関」つまり発熱外来の一覧を見ることができます。
これは公表に同意した医療機関のみの掲載ですが、全部で385医療機関、熊本市内だけでも157カ所あります。
しかしこの一覧には、発熱外来を実施する曜日や時間の記載がありません。
実は、この157カ所のうち、日曜日にも発熱外来を実施する医療機関は6カ所だけです。
しかもそのうち、朝から夕方まで対応しているのは、当院を含めてたったの2カ所だけ。

この状況が、いつまで経っても改善されません。休日の発熱外来をもっと充実させる方法って、ないですかね。
てことで、第3戦(対スペイン)は金曜日の午前4時から。これはまた厳しい時間帯です。

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コロナとインフルの同時検査キット、市販へ
- 2022/11/24(Thu) -
新型コロナウイルスとインフルエンザの同時検査キットが、ネットや薬局で販売されることになりそうです。

コロナ単独の検査キットはすでにOTC(一般用医薬品)化されており、広く使われているのはご存じの通り。
医療用キットで陽性なら、もはや医療機関を受診する必要はないので、発熱外来のひっ迫抑制効果があります。
今後のコロナとインフルの同時流行に備えるなら、同時検査キットも一般売りすべきです。

現にこの1週間、当院の発熱外来でも、コロナとインフルの同時検査を希望する方が急増しています。
いやむしろ、コロナよりもインフルを疑ってインフルの検査を希望する発熱者が意外と多くて、驚きます。

でも「もうインフルは出てますか?」と問われれば、「まだコロナの100分の1以下です」と答えています。
熊本県の定点(80カ所)あたりの毎週の報告数は、0ではありませんが1未満です。まだその程度なのです。
当院でも、インフルが陽性に出た方は今年はまだ一人もいません。

発熱者に原則として全例コロナとインフルの同時検査をするのは、本来は正しい医療行為ではありません。
いちばん「怪しい」疾患(たとえばコロナ)の検査をまず行い、それが陰性なら、次の疾患を考えるべきです。
しかしそれでは、鼻腔(鼻咽腔)を綿棒で拭う操作を、2度繰り返さなければなりません。苦痛を2回です。
そこで、「順位を付けがたい」2つの感染症の検査を最初から同時に行うのが、同時検査キットなのです。

ムダの多い同時検査ですが、今回のケースは国も推奨しているので、心おきなく実施させていただきます。
なぜ最初から同時検査をしたのか、まさかレセプトにいちいち言い訳の記載を求められたりしませんよね。

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第8波ピークを前に、「ゾコーバ」緊急承認
- 2022/11/22(Tue) -
塩野義製薬の新型コロナ内服薬「ゾコーバ」が、緊急承認されました。
重症化リスクがない人にも処方でき、従来薬「ラゲブリオ」などよりも幅広く使える治療薬になるでしょう。

その妙な名称の由来は、「XO(ノックアウト)」+「COVID-19」=「XOCOVA(ゾコーバ)」だとか。

当院の発熱外来では、2日前の日曜の抗原検査とPCR検査は37件。そのうち陽性は25件。陽性率68%でした。
経験上、感染者が増えるほど陽性率は高くなります。第7波では、ピーク時には80%を超えていました。
すでに第8波に入ったことには、疑いの余地がありません。

家庭内感染や、保育園や学校や施設等でのクラスターで感染したお子さんは、まだあまり多くありません。
むしろ、周囲に感染者どころか発熱者もいない「寝耳に水」の方が目立ちます。
これは経験上、大流行の初期に見られた兆候と同じです。

第7波と異なるのは、自宅で抗原検査を行う方が多いこと。医療用キットで陽性なら、それでコロナ確定です。
重症化リスクがなく全身状態が良ければ、感染しても発熱外来を受診する必要はありません。
そのかわり、発熱したけど自宅で抗原検査が陰性だった方が、PCR検査目的で受診するケースが増えています。

日曜の陽性者25人のうち、HER-SYS入力を行った方は3人でした。医療機関の負担は確実に減っています。
ラゲブリオを処方したのは2人だけでしたが、ゾコーバなら、もっと多くの方に処方することができそうです。

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「マイナ保険証」で資格喪失後受診は防げる?
- 2022/10/14(Fri) -
報道番組は、「マイナ保険証」の話題で持ちきりです。
マイナンバーカードを普及させるために、国が保険証に狙いを定めたといいます。その側面はあるでしょう。
メリットは、利用者も医療機関もお役所も、全員が便利になるということ。まあ、コストを考えなきゃね。
デメリットだと思われているセキュリティの不安も、じつは思い込みにすぎないので大丈夫、という話。
つまりそんな具合にメディアにも、マイナ保険証への切り替えを後押しするような論調が目立ちます。

私がマイナ保険証の最大のメリットだと思うのは、保険証の資格喪失後受診を(たぶん)防げることです。

保険証には顔写真がないので、その保険証が本人の物かどうかを確認する手段がありません。
記載されている有効期限が適切であれば、もうそれ以上その人を疑うことはなく、診療を行います。

ところが、勤務状況や扶養関係等が変わって、実は被保険者資格を喪失している方が、時々いらっしゃいます。
うっかりなのか故意なのか、本来であれば使ってはならない無効な保険証を、そのまま提示されるわけです。
このような場合に医療機関は、資格喪失後受診かどうかを知るすべはなく、通常通り診療することになります。

そして2,3カ月後に保険者から「資格喪失後受診のため診療報酬は払えません」という主旨の通告が来ます。
性善説で保険証を信じて診療を行うと、時々こういう痛い目をみますが、ある程度は仕方ないと思っています。

マイナ保険証では、たぶん被保険者情報は随時更新されているので、資格喪失後受診はできなくなるはずです。
この点には期待しています。でもそれ以外の「便利になるところ」には、実はそれほど魅力を感じません。

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「コロナ陰性」=「インフル陽性」と見なす
- 2022/10/06(Thu) -
「コロナとインフルの同時流行期の発熱者は、『コロナ陰性』=『インフル陽性』とみなす」

こんなバカげた方針を厚労省が打ち出そうとしていると、メディアが報じています。とても信じられません。
首相や大臣の会見や厚労省からの一次情報を見ないうちは、メディアの飛ばし記事だと考えたいぐらいです。

具体的には、発熱外来のひっ迫対策として次のような分業が検討されているようです。
(1)抗原検査「陽性」→コロナと診断、必要なら「発熱外来」を受診
(2)抗原検査「陰性」→インフルと診断、必要なら「一般医療機関」を受診

ことしの冬は新型コロナとインフルエンザの同時流行が懸念される、ということに異論はありません。
しかし、抗原検査でコロナ陰性ならインフル陽性とみなしタミフルを処方せよ、というのはひどい話です。

まさか厚労省は、世の中の発熱疾患はコロナとインフルしか無いと考えているのでしょうか。
それに抗原検査の感度は低く、「偽陰性」が多いことは誰でも知っていることです。
その陰性者を医師は「オンライン診療」し、インフルと診断し、タミフルの処方まで求められるとは。

とは言え、コロナもインフルも、低リスクで軽症の感染者であれば療養方針に違いはありません。
いずれにせよ、高齢者や重症化因子を持つ家族等には近づかないように行動することだけが重要です。

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発熱外来の報酬加算、またまたまた延長
- 2022/09/28(Wed) -
「二類感染症患者入院診療加算(外来診療・診療報酬上臨時的取扱)」の、待ちに待った延長が決まりました。
ナンの話???でしょうけど、発熱外来の診療報酬においては、とても重要な「加算(点数)」なのです。

じつはこの加算、今年3月末までの時限措置でした。
ところが3月16日に厚労省から、次のような「Q&A」が発出されました。

Q「令和年3月31日までの措置とされているが、4月1日以降の取扱いについてどのように考えればよいか」
A「令和4年7月31日までの間は、引き続き、当該加算を算定することができる」

文章では出さずに(出してるかもしれないけど)、Q&A (自問自答) の形で公表するのが厚労省の常です。
では、7月末で終了かと思っていたら、7月22日になって、次のような「Q&A」が出ました。

Q「令和4年8月1日以降の取扱いについてどのように考えれば良いか」
A「令和4年8月1日から9月30日までの間は、初診の場合に、当該点数を算定することができる」

その延長期限が近付き、ついに加算は終了かと案じていたら昨日また、次のような「Q&A」が出たわけです。

Q「令和4年10月1日以降の取扱いについてどのように考えれば良いか」
A「令和4年10月31日までの間は、引き続き、当該加算を算定することができる」

刻んできましたね。最初は4カ月延長したのに、次は2カ月の延長、そして今回はわずか1カ月の延長。
となると、次はきっと半月、11月15日まで延長されるのでしょうね、等比数列的には。待ってます。

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登録しなければ集計もできないし、連絡は最小限
- 2022/09/27(Tue) -
熊本県では今日から、市町村別の新型コロナ感染者数の公表を取りやめ、総数と年代別人数を公表しています。

これは今日0時時点での数なので、私が昨夜登録したものも含まれます。もちろん住所など登録してません。
登録しなければ集計も不可能。登録する側も、集計する側も、目論見通りすっかり楽になってしまいました。

なお熊本市は「市内の医療機関等から報告された数」を公表しています。市の感染者数に近い数値と言えます。

発生届の提出対象は、これまでに何度も書いてきたように、次の4類型に限られます。
(1)65歳以上
(2)入院が必要な方
(3)妊婦
(4)重症化リスクがあり、かつ、コロナ治療薬または新たに酸素投与が必要な方

この発生届対象者に対する連絡方法については、熊本市では次の様な対応となっています。
・電話で健康状態を聞き取りし、あわせてSMSで療養に関する情報を送信する:(2)(3)(4)の方
・SMSのみ:(1)の方

重症化リスクがなければ、たとえ高齢者でもSMSを送ってオシマイ、なんですね。
高齢者にこそ、電話連絡してあげるべきじゃないかと思うのですが、大丈夫なんでしょうかね。

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「全数把握」の簡略化、本日運用開始
- 2022/09/26(Mon) -
新型コロナ感染症の「全数届出」が見直され(=中止され)、今日から発生届の対象が絞られています。
「届出」は全数ではなくなりますが、新規感染者数の「把握」は続きます。

当院では、この土曜と日曜に合計47例のPCR検査を行い、そのうち陽性者は13人(陽性率28%)でした。
先月の異常な陽性率60〜80%と比べると驚くほど低水準です。第7波の収束を示唆するものと思われます。

さて、この47人には、もしも陽性だった場合に発生届の対象となる方が数人いました。
ところが蓋を開けてみると、陽性者13名の中には、届出の対象となる方は1人もいませんでした。
ひところは、夜中まで数時間かけてHER-SYS入力していたのに、今夜の入力ゼロは衝撃的です。
ここまで簡略化されていいものだろうかと、心配になります。

ところで、発生届の対象外となった方は、今日から生命保険の「入院給付金」が受け取れなくなりました。
このことに関する苦情等が、昨日今日で数件ありました。
「みなし入院」に対する給付自体がもともと甘い運用だったとは言え、急な制度改正は現場の混乱を招きます。

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新型コロナの全数届出、ついに終了へ
- 2022/09/24(Sat) -
来週月曜日(9月26日)から、新型コロナ感染者(検査陽性者)の届出体制が変わります。
「発生届」の対象が、「65歳以上・入院を要する者・重症化リスクがあり治療を要す・妊婦」だけになります。
それ以外の方は発生届の対象外。医療機関から、その感染者の情報を保健所に届け出ることはなくなります。

では、発生届対象外の方は、誰にも知られず、ひっそりと自宅療養するのかといえば、そうではありません。
そのための、フォローアップ体制が構築されています。熊本県の場合、それは「療養支援センター」です。

ただし、新型コロナ感染と診断された人は、自分自身で、療養支援センターに登録しなければなりません。
簡単に言えば、「医療機関はもう届出をしてくれないから自分で届出しなさいよ」ということです。
なんか、医療機関や保健所が楽をするための制度改正みたいでイヤですが、実際、そういう意味なのです。

当院で今日PCR検査を受けた方は、その結果が判明するのは明後日(9/26)の「新体制」下になります。
なので検査を受けた方全員に「 新型コロナウイルス感染症と診断された方へ」というチラシをお渡ししました。
これは本来、陽性確定者に渡すものですが、便宜上、あらかじめ今日のうちに渡しておきました。

そのチラシの要点は、
(1)体調が悪化したら、医療機関か熊本県療養支援センターか夜間電話相談窓口に電話すること
(2)自宅療養期間の説明は従来取り、発症後(無症状なら検体採取後)7日間(5日後に抗原陰性なら5日間)
(3)外出は自粛。ただし症状軽快の24時間後以降なら、感染予防対策を徹底すれば必要最低限の外出は可能
(4)療養証明書は発行されない。宿泊療養が必要なら連絡すること(入所できるとは限らないけど)

発生届対象外の方が経過中に重症化した場合に、適切にフォローできるのか。その点は気がかりです。
感染者であることを証明する書類も、厳密にはありません。医療機関が何か手を打つ必要がありそうです。

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「新型コロナ説明会」(熊本市保健所版)は、分かりやすかった
- 2022/09/22(Thu) -
「熊本市新型コロナウイルス感染症診療体制及びワクチン接種に係る説明会」が、YouTubeで行われました。
厚労省のようなZOOMじゃないので、昨日みたいな混乱や爆笑シーンはありませんでした。
よくわかっている方による説明は、ムダが無くて分かりやすいですね。ただし、お偉いさんの挨拶は不要です。

「全数届出見直し」によって、発生届の対象外の感染者のフォローアップ体制が問題になります。
これは「熊本県療養支援センター」や「夜間電話相談窓口」が担当するわけですが、有効に機能するかどうか。
その前段として、医療機関には、陽性者への「療養についてのチラシ」の配布が求められます。
ただしその配布のタイミングは、現実的には検査時(=PCR陽性かどうかが確定する前)しかなさそうです。

発生届の対象外の方でも、診断確定後に医療機関を受診した場合の診療は「公費負担」となります。
しかし陽性者であることの確認方法については一定の証明書がないため、医療機関では苦労しそうです。
全数届出じゃないけど医療は全員公費負担、というねじれが、意外と現場での混乱を招くかもしれません。

オミクロン株対応ワクチンは、12歳以上で過去2回以上接種済であれば誰でも接種対象です。
熊本市にはその対象者が57万人いますが、当面のワクチン供給量は18万人分。最初は不足気味で始まります。

驚いたのは、オミクロン株対応ワクチンは、現時点では「1人1回しか接種できない」ということ。
つまり今回「BA.1対応ワクチン」を接種したら、次の「BA.4/5対応ワクチン」は接種できなくなるのです。
この規定はやがて撤廃されるだろうと私は推測しますが、現時点ではそうなので、注意が必要です。

「小児用ワクチン」を2回接種した子が12歳に到達した場合、3回目では小児用は接種できないようです。
接種できるのは、オミクロン株対応ワクチン(ファイザー)のみです。この点は間違いやすいので要注意。

乳幼児(0歳6カ月〜4歳児)用のワクチンも、やがて接種が始まります。
5〜11歳の接種率も低迷しているのに、4歳以下でどのぐらい接種希望者がいるんでしょうかね。
1バイアルで10人の接種が想定されていますが、そんなにまとまった接種者が集まるのかどうか、疑問です。

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「HER-SYS新機能リリース『爆笑』説明会」
- 2022/09/21(Wed) -
「HER-SYS新機能リリース説明会」に、昨日と今日、2夜連続で参加しました。もちろんネットです。
ZOOM配信の第1回は参加数が限られていたため、昨夜の第2回からはYouTubeのライブ配信も行われました。

が、控えめに言ってもスムーズさに欠ける、ていうかグダグダ、率直に言えば事故レベルの説明会でした。

それにも増して今日の第3回説明会は、不慣れな参加者の方々のおかげで「爆笑ハプニング100連発」。
油断した顔が大写しになるし、ミュート忘れの方のお茶の間の会話やテレビ番組の音声が丸聞こえです。
「厚生労働省ですがミュートにしてください(ブチキレ気味)」「ミュートってどうするの?(丸聞こえ)」
いやいや、腹の皮がよじれるほど笑いましたよ。なんならコロナ禍でいちばん笑ったかも。

厚労省側もあいかわらずグダグダ。政府の方針が急に変わるので、準備する時間が足りなかったのでしょう。
いつも思うのですが、お役人が行う説明って、網羅的というか平板で、スライド読んでるだけでかったるい。
しかもトラブルに弱く、アドリブが下手。よくわかっていない管理職の方が説明すると、たいてい失敗します。

さて、「HER-SYS新機能」の要点はと言うと、
・「発生届」の対象は、「65歳以上・入院を要する者・重症化リスクがあり治療を要す・妊婦」の4類型のみ
・それ以外は、年齢別の人数のみの「日次報告」にとどめる

その日次報告にも厳しいルールがあって、次のような文言の記載がありました。
・1日1回しか報告できません
・「報告」ボタンを押下したあとは取下げや訂正はできません

まだ完成度が低いので、このような融通の利かない仕様になっているのでしょう。早く改修してくださいね。
ていうか、いまどき「押下」って言葉遣いはどうなの。そこは「クリック」か「タップ」でしょう。

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「反ワクチン」活動の究極か
- 2022/09/14(Wed) -
新型コロナワクチンを接種してないのに接種証明を作成した医師の事件が、妙な展開を見せてきましたね。

接種委託料をだまし取った程度の罪で、この医者は医師資格を失うんだなぁと、当初は哀れに思っていました。

新型コロナワクチンの接種事業には、悪徳医師の「付け入る隙」があります。
ワクチンとシリンジが無償で配給されるので、原価がかかりません。打てば打っただけの委託料が入ります。
配給されたワクチンの本数と実際に接種した人数を、役所が正確に照合する仕組みもありません。

「接種は受けたくないが接種証明書がほしいという女性の求めに応じて接種したように装っていた」
逮捕された医師は最初はそう言っていましたが、そんな人情味のある言い訳は、化けの皮が剥がれてきました。

「患者に危険性を説明し、それでも接種を希望した場合に生理食塩水を入れて打った」
接種現場で持論の「反ワクチン」論を展開し、説得できなかった相手には、無断で「実力行使」したわけです。

つまり、こういうことでしょう。
この反ワクチン医師は、最初から接種する気など無かったのに、自治体と接種委託契約を締結していた。
これはワクチンを接種するためではなく、反ワクチンの「布教」活動の場を作るためだったんですね。
そして説得に失敗した相手には、生理食塩水を注射してでも、接種を実力で阻止した。
それが正義であると信じていたのでしょう。この医師の、ゆがんだ計画的犯行に慄然とします。

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第7波のピークアウトは間違いない?
- 2022/09/11(Sun) -
第7波は確実に峠を越えつつあり、全数把握の見直しや水際対策の緩和などが、確実に前進しています。

日曜の当院の発熱外来も、朝のうちに夕方までの予約が一杯になることはなくなりました。
が、今日も昼には埋まりました。まだまだしばらくは、この程度の状況が続くのかもしれません。

相変わらず、39度前後の高熱の方が多いですね。BA.5になってからそんな具合です。
この2,3週で思うのは、成人とくに中高年の方が増えて来たことです。逆に言うなら、子どもが減りました。
夏休みの影響で、学校での感染拡大が止まったからかもしれません。であるなら、今後また増えるでしょう。

世の中はしかし、ウィズコロナを意識して前進しつつあります。気分的にはポストコロナかもしれません。
オミクロン株対応ワクチンの接種準備も着々と行われていますが、希望者が殺到する雰囲気がありません。
並行してインフルエンザワクチンの準備も始めようとしているところですが、これも接種計画が立てにくい。

10月にはコロナが急激に収束して、社会経済活動はもちろん、医療分野の状況も一変するかもしれません。
そんな中で、コロナとインフルワクチンの接種をどのように計画するのが妥当か、予測がつきません。

昨年は、ちょうど今頃から感染者数が減り、10〜12月はすっかり収束したように見えました。
さて今年はどうなるのか。黙って様子を見てないで、ワクチンぐらいはせっせと打っときますか。

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療養期間の短縮は、さっそく適用開始
- 2022/09/08(Thu) -
「新型コロナウイルス感染症の患者に対する療養期間等の見直し」は、即日適用という異例のスピードでした。

熊本市のサイトも、大慌てで深夜に更新されていましたが、わかりやすく書いてあります。その要点は、

(1)有症状の方:発症の8日後(かつ症状軽快24時間後)に療養期間解除。入院中の場合は11日後。
(2)無症状の方:検体採取の8日後に解除。5日後に検査で陰性なら6日後に解除
(3)濃厚接触者:これまで通り、最終接触の6日後に解除

すぐに思いつく疑問は、(2)の検査の実施と判定は、完全に個人任せなのかどうか、ということ。
この部分に医療機関の関与が必要なのでは「ひっ迫」を助長するだけです。やめていただきたい。

保険金の取扱いも気になりますが、それは市のサイトのQ&Aにも出ていました。
「Q:保険金が10日分もらえなくなるのですか。A:契約されている保険会社に直接お問い合わせください」
市は明言を避けていますが、「みなし入院」期間が短縮されるのだから、保険金の減額は確実でしょう。

保健所に提出する「入院チェックシート」は、「解除予定日」を発症の7日後になるように修正しました。
発症の4,5日後に診断が確定する人もいるので、診断後の療養期間が妙に短くなった印象です。
感染力については完全に「シロ」とは言えないのですが、もうこれが日本の方針なのです。
ただし当院では、発症後2週間以内の方はすべて警戒の対象です。一般待合室への入室はお断りしています。

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自宅療養期間7日へ短縮
- 2022/09/06(Tue) -
新型コロナ感染者の自宅療養期間が短縮されます。有症状者は7日、無症状者は5日間になるようです。

方向性としては歓迎しますが、よく考えてみれば矛盾をはらんだ、なかなか難しい方針変更です。
医療現場で、患者さんから尋ねられた時にどのように説明すべきか考えてみました。

自宅療養期間を3日も短縮して大丈夫なのか、感染させたりしないのか、と心配する方に対しては、
「発症後10日間のうち最後の3日間は、ほとんど感染力がないというデータがあるようです」

となると反対に、じゃあ今まではムダに3日間も長く療養させられていたのか、という不満も出そうですが、
「ムダではなく、とても慎重な安全第一の規定だったのですが、もう、その時代は終わったのです」

医学的リスクと社会経済活動までを総合的に考慮すれば、7日間が妥当という結論に至ったのでしょう。
それは今後、さらに短縮される可能性もあるし、いつかは事実上撤廃されることでしょう。

ところで、無症状者の療養期間はかなり短くなりますが、解除前の抗原検査でちゃんと陰性が出ますかね。
感染性の無い実質的な「偽陽性」だとしても、陽性が出てしまったら、けっこう悩ましいことになりますね。

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診断したら速攻届出、これが理想なのですが
- 2022/09/04(Sun) -
このところ、少し下火になっていた発熱外来ですが、今日は少々混み合っていました。

そんな診療の真っ最中に保健所から電話あり。新型コロナ感染症の発生届に漏れがあるとの指摘でした。
どうやら、先日届け出た中で、同じ家族のうちの一人のHER-SYSが入力されていなかったようです。
原因不明ですが、届出の途中で何かしら、たぶん私の操作(や記憶)に不具合があったのでしょう。

しばらくするとまた保健所から電話。こんどは、今朝陽性と診断した方の発生届を、至急提出してほしいと。
当院で確定診断した後に具合が悪くなったようで、保健所が動くためには発生届が必要とのこと。

当院では、少ない日で数件、多い日は数十件の発生届を提出しており、膨大な作業量と時間を費やしています。
たとえばHER-SYS入力は、診療日であればその診療終了後から夜中にかけて、まとめて作業を行っています。
本来であれば確定診断後すぐに届け出る必要がありますが、なにしろ件数が多いので、まとめてしまうのです。

しかし、発生届が出ていないと保健所が動けないのであれば、できるだけ早く届け出をしなければなりません。
であるなら、忙しい発熱外来の途中でも提出できるような、徹底的に簡略化した届出の仕組みが必要です。
例えば、1例1分以内で入力できるよう、抜本的なスリム化を図った「新HER-SYS」に期待したいですね。

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全数把握は、この際、ヨシとしましょう
- 2022/08/30(Tue) -
新型コロナ感染者の全数把握の見直し論がここに来て失速し、当面の現状維持を支持する動きが優勢です。
医療機関や保健所の負担軽減よりも、感染者のフォローの方がもっと大事だと気付いたからです。正論です。

全数把握をやめると、もしも報告から外れた感染者が重症化した場合には、対応に問題が生じかねません。
感染者と公的に認定されなければ、公費負担や職場復帰や保険金の手続きなどにも影響するかもしれません。

その「矛盾」に気付いた黒岩・神奈川県知事は、姿勢を一転させて全数把握見直しに慎重な姿勢を示しました。
全数把握見直しの旗振り役が、当初の考えの過ちを潔く撤回することを、はばからなかったわけです。

「HER-SYS入力」などの事務作業が、医療従事者や保健所の負担になっていることは確かです。
だから全数把握を見直すべきだというのは、私も当初はそうでしたが、やや短絡的な発想かもしれません。

感染者に行動制限を課す現行制度のもとでは、役所が感染者を把握してサービスを提供する必要があります。
とくに重症化対策等の感染後のフォローを考えると、感染者の登録は当面は続けておくべきでしょう。
要は、続け易いやり方でやれ、ということです。いま流行の「サステナブル」ってヤツですよ。

HER-SYSは、1人1分以内で入力できるところまでスリム化してほしい。そのかわり当面は、全例報告。
重症例もしくは重症化リスクのあるケースは、別枠で報告する(簡便な)仕組みを、自治体ごとに作ること。

熊本市には、独自の報告書類「入院チェックシート」がありますが、これは全例提出しなければなりません。
HER-SYSが簡略化されようかというのに、この面倒なシートの全例提出って「時代錯誤」じゃないですかね。

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新型コロナ自宅療養者の「夜間電話相談窓口」開設
- 2022/08/29(Mon) -
「熊本県新型コロナウイルス感染症自宅療養者等夜間電話相談窓口」が設置され、本日運用が始まりました。

自宅療養者や同居人からの、夜間(午後6時〜午前9時)の相談を受け付ける窓口です。
「熊本県」とは言いながら「熊本市民」は対象外です。熊本市民には別に「熊本市夜間相談窓口」があります。

最近、通常の発熱外来の予約以外に、感染確定者からの病状相談や追加処方依頼などの電話が増えています。
そこで、当院でよくある質問(FAQ)とそれに対する回答例をいくつかご紹介します。

「最初に受診した時よりも熱が上がって来たのが心配」
軽症のうちに診断を受けた方に多い質問です。発症の2,3日後に熱のピークが来るのは、よくあることです。

「39度の高熱が3日続いているが、大丈夫か」
最近の新型コロナ(BA.5?)は、高熱が続く方が多いです。明日までに下熱しなければご相談ください。

「のどが痛すぎて水も飲めない」
解熱鎮痛剤を使って、痛みが和らいだタイミングで飲食をするのがよいです。強い痛みも2,3日で終わります。

「家族は検査を受けなくてもよいのか」
無症状のうちは、検査はなるべく控えてください。しかし発熱したら早めにご相談ください。

「咳が出始めたので薬がほしいが、受診のために外出しても良いのか」
受診のための外出は、自宅療養者でも制限されていません。遠慮せず来院してください。もちろん予約の上で。

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「全数把握」見直しへ
- 2022/08/24(Wed) -
新型コロナ感染者の「全数把握」の見直しが決まりました。
「発生届」は、高齢者や重症化リスクの高いケースなどに限定して、自治体が判断する運用となる方向です。
ただし、感染者数の把握だけは、続けられるようです。

HER-SYS」はすでに入力項目がかなり減っており、しかも私は自主的に「超簡略入力」をしています。
かつては1人当たり10分以上を要していました。30人分以上入力するときには、ほぼ半泣き状態でした。
いまは1人2,3分程度です。一気に44人とか46人分入力した日もありますが、2時間そこそこで終わりました。

この程度なら続けてもいいと思っていた矢先なので、今後は全例入力不要と言われてもさほど感動しません。
後々のフォローの余地を残すためにも、名前と電話番号と発症日ぐらいは全例登録しても良いと思います。

とはいえ現時点でも、本当の意味での「全数把握」ができているかどうかは疑問です。多分、できてない。
無症状感染者が多いことに加えて、発熱外来が混み合いすぎて検査が間に合っていません。

最近は、「会社からPCR検査ではなく抗原検査をするように言われた」という来院者も目につきます。
「早く白黒つけてこい」という意味なのでしょう。偽陰性の可能性はあまり考慮していないようです。

ひとたび抗原検査で陰性と出れば、病状がどうであれ、とくに若者にはPCR検査を受けない方が多いです。
一方で高齢の方はたいていPCR検査を希望されます。そのような方は大切にフォローしなければなりません。

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感染者「二重カウント」のニアミスなら、よくある話
- 2022/08/20(Sat) -
連日のトップニュースだった「コロナ」も、いまは「豪雨」や「五輪汚職」や「統一教会」に負けています。
しかし感染者数は過去最多クラスが続いているし、病床ひっ迫も改善していません。
さらに最近は「全数把握」や「HER-SYS」といった発熱外来に関わる問題も、クローズアップされています。

今日の熊本県の新規感染者数は4,254人。二重にカウントされていた4人が累計から除かれたとのこと。
二重カウントなんてどういうことだと思うかもしれませんが、あり得ることです。考えられるパターンは、

(1)ひとつ医療機関が、1人の感染者の発生届を2度提出した
(2)複数の医療機関が、1人の感染者の発生届をそれぞれ提出した

たとえば、FAXで発生届を提出した医療機関は、後日あらためてHER-SYSも入力することになっています。
これをやると、すべての届け出がダブるのですが、保健所が全部チェックして二重カウントを防いでいるとか。

他院での抗原検査で陽性だったことをハッキリ言わず、なぜか当院でPCR検査を受ける方も時々います。
検査結果を電話報告したときになって、実はコレコレという話になり、当院からの届出はストップします。

当院のPCR検査の結果が待ちきれず、他院で抗原検査を受ける方もいます。
これもPCRの結果を電話連絡した際に、実はもう陽性が出たのです、という話になります。

そのように、最終的に二重カウントを防ぐことができればよいのですが、必ずしもそうとは限りません。
他院から届出が出てますので先生の方は取り下げてください、と保健所から指示されたこともありました。

現状の方法での全数把握は、関係者の疲労とストレスの原因にしかなりません。やり方、変えましょう。

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