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服薬依頼書
- 2019/12/05(Thu) -
お子さんに薬を処方すると、「服薬依頼書」を書いてくれと頼まれることがあります。

多くの幼稚園や保育園では、医師からの服薬指示(依頼)がなければ、薬を飲ませてくれないのです。
また一部には、原則として保育中の内服ができない「内服薬お断り」の園もあります。

そのような背景がある場合、お母さんはたいてい「1日2回の薬をお願いします」と言ってきます。
風邪などでは、1日3回の薬を1日2回に「減量して」処方しても、たいした問題はありません。
どっちみち対症療法ですから。

ところが、溶連菌感染に対するペニシリン系抗生剤など、どうしても1日3回飲む必要のある薬が問題です。
このような薬は、その作用時間を考慮して1日3回飲むわけで、1日2回では効果が減弱します。
多くのセフェム系抗生剤も同様で、ときどき他院の1日2回の処方を見かけるので驚きます。

本来、1日3回の抗生剤は、1日24時間を3等分した8時間間隔で飲むのが理想です。
つまり、朝8時の次は16時に飲めばいいわけで、昼食後に内服する必要はありません。

園から帰宅するのが午後4時か5時のお子さんなら、朝・帰宅後・寝る前、の3回の内服で良いわけです。
私がそのように説明すると、親御さんは「1日2回内服」の呪縛から解き放たれたような顔をされます。

たまに、園からの帰宅が毎晩7時だというお子さんもいて、その場合は必要に応じて書類を書きます。
ただ、1日3回の抗生剤を、朝7時・昼12時・夜8時、という内服のしかたで良いのかは、疑問です。

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風しん対策は低調
- 2019/11/30(Sat) -
風しんの追加的対策」が、今年度から3年間の時限措置として始まっています。
公的な予防接種歴の無い40〜57歳の男性に対して、抗体検査とワクチン接種を推進しようという方策です。

検査と接種のための無料クーポン券は、3年計画で段階的に送付されることになりました。
「事業開始当初に受検希望者が集中すると、医療機関や対象者に混乱が生じる懸念がある」との配慮からです。

さて初年度の今年は、40〜47歳の647万人を対象として、クーポンが配布されました。
ところが、このうち検査を受けた対象者は9月時点で87万人。受検率13.4%という惨憺たる結果でした。

だって対象は中年男性ですよ。クーポンが来たからって、ホイホイ検査に出向くほど暇じゃないのです。
われわれ医療機関は、受検者の殺到で混乱するどころか、まったく拍子抜けですよ。

厚労省は「医療機関への駆け込み等の混乱は生じていない」と、うそぶいています。よく言えたものです。

こんなことなら次年度は、全対象者にクーポンを発送したっていいんじゃないの、って思いますよね、普通。
でも厚労省は違う。次年度も粛々と当初予定の通りに、こんどは48〜53歳を対象とするようです。

予測が間違ってたら、臨機応変に迅速に施策を修正する、ってことができないんですね、官僚には。
いちおう、今年度未使用で期限が切れるクーポンを来年度も使えるようになったことは、せめてもの救いです。

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健診の電話勧誘
- 2019/09/30(Mon) -
詐欺まがいの怪しげな勧誘が増えている昨今、多くの患者さんが困っている「勧誘電話」があります。

差し障りがあるので発信元は言えませんが、「1,000円で健診を受けませんか」と誘ってくるそうです。
「抽選で食事券が当たりますよ」などとエサをぶら下げて、何度もしつこく攻勢をかけてくるらしいですね。

これがマンションの販売なら「再勧誘」は禁じられてるはずですが、健診の勧誘だとどうなのでしょう。

当院通院中の生活習慣病の方は、おおむね年に3回程度、脂質糖質や肝腎機能などの血液検査を行っています。
その検査の医療費は、平均すると350点前後なので、窓口負担額は700〜1,000円程度になります。

件の「1,000円健診」の内容を見ると、検査項目がかなり少ないですね。もうほんと、必要最小限のみ。
この検査内容で、生活習慣病の定期検査の代用とするには不足するので、別の日に追加検査が必要になります。
患者さんは余分に痛い思いをして、余計に血液を失い、医療費としてもムダです。

なのでこの健診勧誘電話には乗らないように、当院では啓蒙活動を続けていますが、アチラもしつこいのです。
食事券等の賞品はは「およそ12人に1人は当選」するそうで、その期待値は数百円程度と見積もられます。
それならば、最初から健診費用を500円ぐらいに安く設定すればいいのに。

すでに生活習慣病で治療中の方に、中途半端な検査を有料で行うこと自体、そもそも疑問です。
しかもそれを、しつこく電話勧誘するのは問題だと思いますよ、熊本市国保の方(あ、言っちゃった)。

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医薬品名の由来
- 2019/09/05(Thu) -
咳止め薬の「アスベリン」と不整脈治療薬「アスペノン」の処方間違いが多い、という報告が出ました。
このように冒頭3文字が似ている薬は、電子カルテで処方する際に間違えて選ぶリスクがあります。

以前から、似たような名前の薬の取り違え事例は相次いでおり、その都度、注意喚起がなされてきました。
間違いそうなぐらいに名前が似ているとすれば、まず、発売よりも前に手を打つのが最善の策でしょう。
それをスルーして発売後に取り違えが起きたのであれば、必要ならその時点で薬剤名の変更を検討すべきです。

「アマリール」と「アルマール」がそうでした。これは後者が改名することで決着しました。

では、「アスベリン」と「アスペノン」では、どちらの名前を残し、どちらを変えましょうか。
歴史の長い「アスベリン」は残して、比較的新参者の「アスペノン」を改名すべきでしょうか。
あるいは、薬剤名の命名の由来も考慮して、より意義深い名称の方を残す、という考え方もありでしょう。

「アスベリン」という名称の由来は、メーカーのインタビューフォームによると「特になし」だと。ありゃま。
「アスペノン」の名前の由来もまた不可思議。メーカーによる説明はこうです(以下原文のまま引用)。

 aspen(英語)は,ポプラの葉のような,よく震える.
 ポプラの葉のようにぶるぶる震える.
 従って,アスペノン(Aspenon)は,“「ざわざわ」,「ぶるぶる」と震える心臓を抑える”という意味になる.

なにコレ。もうちょっとまともな日本語を書きましょうよ。これじゃまるで、ポエムじゃないですか。
つまり、ポプラの葉のように震える(aspen)ことがない(non)ってことですよね。まあ悪くない。
てことで、よく注意して両方とも使いましょうかね。

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医療費不払いと診療
- 2019/09/02(Mon) -
「正当な事由がない限り、医師は患者の診療の求めを拒否できない」という、医師の「応召義務」。
ややもすると理不尽な規定なのですが、昨今の働き方改革の影響を受け、少々風向きが変わりつつあります。
すなわち、医師という労働者としての「人権」も考慮すべきではないか、という至極まっとうな論調です。

このような、医師に対する優しい配慮について、メディアはなかなか好意的には取り上げてきませんでした。
過去の「優遇税制」とか「薬漬け医療」等による医師への偏見が尾を引いているのかもしれません。

ところで、医療費不払い患者に対してどこまで「応召義務」を果たすべきか、という記事を最近目にしました。

当院にも、所持金が無いから後日支払うと言いながら、未払いのままになっている患者さんが何人かいます。
そのようなことを繰り返し、その都度、所持金が無いが後日必ず払いに来ると言って久しい方が1人います。
いつも症状が重いので診察と処方を行ってきたのですが、医療費請求の電話をかけてもつながりません。

このようなケースに対して、ある弁護士の回答はこうです。

(1)特段の理由なく保険診療の未払いが重なっている場合には、診療しないことが正当化される
(2)その場合であっても、病状が重篤で緊急対応が必要な場合には、診療をする必要がある

これを、たとえば飲食店に当てはめて考えてみると、こうなります。

(1)特段の理由無く無銭飲食を繰り返す客には、食事の提供を拒否することが正当化される
(2)しかし、腹が減って死にそうだという客には、所持金が無くても食事を提供する必要がある

重い症状で来院された場合には、たとえ不払いの常習者に対しても、診療を行う義務が医師にはあります。
そういった場合には、公的な資金で未払い医療費を補填するような制度ができないものですかね。

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まず医療機関を疑う態度
- 2019/07/08(Mon) -
無効な健康保険証を提示して医療機関を受診することのないよう、お願いします。必ず面倒なことになります。
勤務先等の変更に伴って保険証が切り替わったのに古い保険証で受診する、「資格喪失後受診」の問題です。

医療機関は、保険証に記載された有効期限を見て、被保険者の資格の有効性を判断するしかありません。
もしもそれが資格喪失後の保険証だった場合、保険者はレセプトを突き返し、診療報酬を支払おうとしません。

しかし当院では、診療時にきちんと保険証を確認しているので、いくら返戻されてもそれには応じていません。
すると保険者は、被保険者との間で問題を解決せざるを得なくなり、なかなか面倒な話に膨らんでいきます。

今日は、次のような2つのケースで、関係機関と電話折衝する羽目になりました。

(1)「資格喪失後に診療を行っているが、きちんと保険証は確認したのか」という、健保協会からの照会

私「保険証はきちんと確認した上で診療しており、レセプトが返戻されるいわれはありません」
協「では、保険証確認日を記載して、所定の回答書を回答期限までに返送してください」
私「医療機関は保険証を確認するのが当然であり、改めて照会されるには及びません」
協「保険証を確認していない医療機関がある場合もあるので、照会しているのです」
私「当院は確認しています。それで十分じゃないですか。逆に当院を疑う理由があればお尋ねしますが」
協「では、回答書の返送はけっこうです」

(2)「資格喪失後の受診であるため、診療報酬を調整(減額)しました」という、支払基金からの通知

私「保険証はきちんと確認した上で診療しており、返戻されるいわれはありません」
基「保険者(某県国保)からの資格喪失連絡によって調整したものであり、国保にお尋ねください」

私「保険証はきちんと確認した上で診療しており、返戻されるいわれはありません」
国「あ、当方の間違いでした。申し訳ありませんが、診療報酬を再請求していただけますか」
私「そちらのミスなのに、ですか」
国「お手数をおかけします」

「資格喪失後診療があれば、まず医療機関を疑え」という考え方が、支払側におけるデフォルトのようです。

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「キムリア」3300万
- 2019/05/15(Wed) -
白血病などの治療薬「キムリア」の保険適用が了承され、薬価は過去最高の3,349万円に決まりました。
米国では5,000万円以上の薬なので、今日の中医協の決定額は少々安く感じましたが、それでも異常に高い。

「キムリア点滴静注」は、患者の免疫細胞に遺伝子操作を加えて体内に戻す「CAR-T」細胞療法の薬です。

患者血液からT細胞を分離増殖して「CAR遺伝子」を組み込む操作は、ノバルティス社の施設で行われます。
その、細胞加工操作の費用も込みで、今回の薬価なわけです。ただの高額な点滴薬ではないのです。

国民皆保険の日本における超高額薬の問題は、オプジーボの頃から議論されていますが、結論は出ません。

キムリアの投与対象者は216人と予測されており、人数が少ないので総額は73億円程度で済みそうです。
しかし同様の薬は今後いくらでも登場するでしょうから、超高額薬の総額はどんどん上がることでしょう。

これをすべて保険適用にすれば、医療財政が逼迫することは避けられません。
しかし自由診療(自費医療)にしてしまうと、金持ちしか受けられない治療になります。
薬価を大幅に引き下げたらメーカーの利益が出ず、日本での販売が中止されるかもしれません。

科学は加速度的に、しかも無限に進歩し、より高度な医療(高額な医薬品)が続々と登場することでしょう。
薬価はどんどん高騰するはずです。はたして国民皆保険の破綻を回避する方策はあるのでしょうか。

一方で、重粒子線治療などの「先進医療」は、極めて高額ですが保険適用外。全額自己負担です。
大金持ちでもない限り、患者はがん保険などの先進医療特約で備えるしかありません。

いずれも超高額医療なのに、一方は保険適用で、もう一方は適用外。どんな理屈をつけても納得はしかねます。

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「キムリア」承認へ
- 2019/02/20(Wed) -
厚労省の審議会が今夜、免疫細胞を活用して白血病を治療する新薬「キムリア」の製造販売承認を決めました。
一部の白血病に高い治療効果があることがわかっていて、日本での承認が待ち望まれている薬のひとつでした。
ただし、すでに実用化されている米国では、投与1回あたり約5,200万円の超高額薬として知られています。

早ければ来月にも正式承認される見通しのキムリアは、はたしてどのような薬価になるのでしょう。
オプジーボ」のときにも書いたように、超高額医薬品の導入には難しい問題があります。

・保険適用とすれば、高額療養費制度によって患者負担には上限があるため、医療財政が破綻しかねない
・自由診療とすれば、大金持ちしか使えない薬になってしまう
・薬価を下げれば、製薬会社に打撃が大きく、新薬開発のモチベーションを失いかねない

一般に、この3つを同時に解決するのは難しいとメディアは解説してますが、私は策があると思います。
それは、保険診療と自由診療の選択制度です。それぞれに割り当てる薬剤数を調整すればいいのです。

・保険診療を望む方には、ある程度「順番待ち」をしていただき、また高額療養制度の上限も少し引き上げる
・自由診療を望む方には、順番待ちに優先権を与えるかわりに、本来の薬価よりも割増料金とする
・薬価の決定基準を見直し、メーカーが許容できる範囲で薬価を引き下げる

つまり、一般患者とお金持ちとメーカーとの間の「三方一両損」で解決しようという「大岡裁き」です。

医療財政も大事ですが、お金のことは官僚や政治家がなんとか策を考えてください。
それよりも、新薬開発のやる気をそいではなりません。将来を考えたら、医学の進歩を妨げるのが最悪です。

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幻のゾフルーザ顆粒
- 2019/01/29(Tue) -
体感的には峠を越えたように感じるインフルエンザの流行ですが、地域によってはまだ、これからでしょう。

先日来、そして今日のNHKでも盛んに報じているのは、抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」の耐性問題。
数日前にも書いた通り、他の薬よりも耐性ウイルスが生じやすいのが問題だといわれています。

抗インフルエンザ薬は「耐性ウイルスが出ることを考えて慎重に選択すべき」だと専門家は言います。
でも「慎重に選択」せよと言われても困ります。具体的な指針を、学会には打ち出してもらいたい。

私が処方する際は、薬の特徴を簡単に説明して患者さんに選んでもらうのですが、次のような回答になります。
(1)新薬をお願いします
(2)従来の薬でお願いします
(3)先生にお任せします

ゾフルーザの処方に年齢制限はなく、体重さえ10キロ以上あれば10ミリ錠を1錠処方できます。
12歳未満の場合、20キロ以上なら20ミリ錠を1錠、40キロ以上なら20ミリ錠を2錠です。
でも10キロ台と言えば1〜6歳児の体重。錠剤が飲める子はあまりいません。

実はゾフルーザには、「顆粒2%分包」という製剤があります。1包=10ミリ錠1錠に相当する成分量です。
体重10キロ台の、錠剤の飲めないお子さんにも使える便利な剤形、に思えます。

ところがその顆粒は、20キロ以上のお子さんに限定して販売が承認されてしまいました。
つまり、20キロ以上なら錠剤か顆粒を選べますが、10キロ台だと錠剤しか処方できないのです。

そんなバカな。顆粒1包は10ミリ錠1錠と同じ用量なんだから、10キロ台の子どもには顆粒を処方すればいい。
・・・という考えの医者が出現する可能性を考慮して、メーカーは結局、顆粒の発売を延期してしまいました。

「適応外使用」のリスクを回避するためだそうですが、どうしてそんな杓子定規なことしますかねぇ。

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10代にタミフル出す?
- 2018/12/26(Wed) -
どうやら熊本でも、インフルエンザの流行が本格的に始まったようです。
3日前の天皇誕生日から急にインフルエンザ患者が増えており、どんどん拡大しそうな兆があります。
さて、今シーズンからいくつか、目新しいことがあります。

(1)今年から、当院では高感度インフルエンザ検査装置を導入しています
発症(発熱)から短時間でも検査可能なのが利点ですが、増感判定に時間がかかるのが難点。
同時進行で2件、3件の検査を行うためには結局、従来の迅速検査キットも併用しなければなりません。

(2)今年から、新薬ゾフルーザが登場しました
当院で現在処方しているのは、昨年までと同様に、吸入ができる年齢ならイナビル、それ以外はタミフルです。
ゾフルーザの処方には、いまのところ私は慎重ですが、そのうちガンガン処方することになるでしょうね。

(3)今年から、10代へのタミフル処方が解禁されました。
「インフルエンザで見られる異常行動は、タミフル内服後に限った現象ではない」というのがその理由。
そんなことは何年も前からわかっていたのに、厚労省が重い腰を上げるまでにはずい分時間がかかりました。

あれだけタミフルは原則禁止だと言っておきながら、手のひらを返したように、今年からOKというのもね。
今年からタミフルの成分が変わったわけでもなければ、今年から10代の体質が変わったわけでもない。

「タミフルだけが問題なのではなく、他の薬も全部問題。だからタミフル解禁します」という消極的理由です。
「タミフルが問題だとして禁止していたのは間違いでした」とは絶対に言わないのが、厚労省なのです。

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医師は例外的に働け
- 2018/12/20(Thu) -
厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」は、もう15回ほど開催され、内容が具体化してきました。
検討されているポイントをまとめると、
(1)時間外労働の上限は、一般労働者の年間720時間に対して、医師は960時間(月80時間)とする
(2)医師不足の地域や診療科などでは、例外として、年間1920時間(月160時間)まで認める
(3)連続勤務時間は28時間以内とする
(4)勤務間のインターバルは9時間以上とする

このうち(1、2)は、現状を追認して非道な「お墨付き」を出しただけの話。驚くに値しません。
一方で(3、4)は、中規模クラスの病院の外科では、とても実現できるとは思えません。

たとえば熊本市民病院時代。私が所属していた小児心臓外科のスタッフは、部長・医長・医員の3名でした。
この3人が全ての患者の主治医となり、手術に携わり、うち1人が泊まり込んで術後管理にあたっていました。
泊まり込んだ医師でも、その翌日には朝から回診・手術・術後管理というスケジュールが待っています。

連続勤務の上限が28時間となった場合、前の晩に泊まった医師は翌日の手術に参加できなくなります。
ところが心臓手術は2人ではできません。となると、2日連続で手術の日程を組むことが不可能となります。
もしも緊急手術を行うことでもあれば、その翌日に予定されていた手術はキャンセルしなければなりません。

毎日手術したり、ときには緊急手術もできるためには、外科チームの要員はどうしても4人以上必要です。
あるいは、術後管理を外科医以外の担当医が行うようなチーム医療体制も、本来は必須なのです。
このような改革は、多くの病院で、経済的観点や医師不足のために、実現性が乏しいものです。

ともかく、医師の健康確保よりも医療サービスを優先する限り、医師の働き方はなかなか改革できません。

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妊婦加算凍結へ
- 2018/12/14(Fri) -
評判の悪い「妊婦加算」が、ついに凍結されることになりそうです。根本厚労相が会見で表明しました。
妊婦に対する丁寧な診察を促すための加算でしたが、妊婦の自己負担が増えるために批判が出ていました。
趣旨は間違っていないとしても、妊婦のための仕組みが、妊婦に負担をかけてしまう制度設計が問題でした。

だから何度も言ってるでしょう。医師へのインセンティブの財源を、患者に負担させるのがおかしいって。

では、妊婦加算の趣旨が妊婦に対する丁寧な診療を促すためなのなら、その凍結は何を意味するのでしょう。
まさか、来月からは医師は妊婦に対する丁寧な診察をやめてよし、なんてことがあるはずがありません。

妊婦加算がなくなっても、急に手抜き診療をするわけでもなく、実質的に診療内容は何も変わらないでしょう。

もともと医師は、妊婦加算の仕組みが始まる前から、妊婦に対する診療は慎重に行ってきたはずです。
そう考えると妊婦加算は、さほど医師へのインセンティブになっていなかったかもしれません。
しいて言うなら、抑制され続けてきた診療報酬を少し増やすための名目だったようにも、私は感じていました。

妊婦加算が「炎上」し、医師には火の粉が降りかかって困っていますが、火元は厚労相と中医協です。
おまけにその妙に迅速な凍結は、凍結しても診療を変えないであろう医師の性質を見越した対応ともいえます。
ともかく、医師は妊婦に対しては以前からずっと丁寧に診療してきたことを、ここで明言しておきます。

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武田薬品のグローバル化
- 2018/12/05(Wed) -
武田薬品によるアイルランドの製薬会社「シャイアー」の買収が、今日の臨時株主総会で承認されました。
約6兆8千億円という驚異的な買収額は、日本企業としては過去最高。

日本の製薬会社では最大手の武田薬品は、昨年の売上高でみると世界第19位。シャイアーは20位。
この2社が合併すれば、単純計算で世界第8位あたりに躍り出ることになるようですが、それでもまだ8位。
製薬の分野では、日本はようやくグローバル企業の仲間入りを果たしつつある、という程度なんですね。

武田と言えば、私が研修医の頃には、塩野義や三共と並んで最も勢いのある製薬会社のひとつでした。
ここで若手医師にとっての「勢い」というのは、当時「プロパー」と呼ばれた人たちの営業力に一致します。
彼らは医局に入り浸り、主力商品の売り込みを兼ねて、飲食物などの差し入れをします。しかも多量に。
研修医相手でも、接待(高級鮨店などで好きなだけ食わせる)は頻繁でした。いわんや上級医師をや、です。

しかし90年代には、バブルがはじけ、外資系の薬が入り込み始め、業界全体の雰囲気が変わってきました。
接待は年々沈静化し、近年では医師の側も、そのような期待すらしなくなってきました。当たり前ですかね。

かつては抗生剤でお世話になった武田薬品ですが、最近はずっと、生活習慣病治療薬のイメージでした。
ところが2,3年前から、高血圧、糖尿病、高脂血症などの治療薬から武田が撤退するという話が出始めました。

たしかに血圧や血糖を下げる薬は十分揃っています。画期的新薬を開発するのは、容易ではないでしょう。
そのような新薬開発の難しさもあるし、莫大な費用を投じて開発しても、特許が切れたら利益が出ません。

それに考えてみれば、生活習慣病の治療は、生活習慣の改善が本筋。新薬開発の意義は微妙かもしれません。

となると、これからは「バイオ医薬品」でしょうか。武田がやや不得意な分野のようです。
そのような新薬を一から開発する時間を節約するために、シャイアーの買収を行ったと報じられています。
これは、IT業界でもよく行われること。AppleもGoogleも、みなそのようにして拡大してきました。

グローバル企業として生き残るためには、どの業界でも結局、そのような選択肢しかないのでしょうかね。

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勤務間インターバル
- 2018/12/02(Sun) -
医師の長時間労働問題について、厚労省は「勤務間インターバル制度」を導入しようと考えているようです。

勤務終了から次の勤務までの間に、一定の休息時間を設けようという考え方です。
残業をどうしても規制しきれず医師の長時間労働を黙認している厚労省が、少し発想を変えたとも言えます。

私が勤務医なら、残業が少々長くてもその後の休息時間を保証してくれるのであれば、単純に有り難い話です。

医師というのは、とても責任感が強い人種です。
担当する患者の具合が悪いときや、緊急手術が飛び込んできたときに、帰宅する気にはなれません。
とくに若い頃はしばしば病院に泊まり込み、また翌日働き、どうかすると次の晩も泊まり込んだりしました。
「もうお前は帰れ」と指導医に命じられてようやく、後ろ髪を引かれながらも、しぶしぶ帰宅したものです。

それほどまでに、仕事の途中では帰れない(帰りにくい・帰りたくない・帰ろうとも思わない)職業なのです。

ところが学会出張などで上京したような時には、不思議と吹っ切れたものです。
病棟を気にしてもどうしようもないし、病院には留守番がいる。自分はもう学会に集中するしかないからです。

それと同じように、いったん帰宅したら一定時間は出勤禁止、と厳しく規定してくれたら気が楽でしょうね。

深夜に帰宅しても早朝出勤したり、夜中にたびたび呼び出されるような日が続くのが、いちばんストレスです。
たとえ残業時間が月150時間でも、勤務間インターバルが10時間保証されるのなら、私はそっちの方がいい。

あとはその「インターバル」の実効性がどうかってことと、医師の数が足りるのかって問題ですけどね。

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妊婦加算の問題
- 2018/12/01(Sat) -
診療報酬の「妊婦加算」が、問題視されています。
医師が妊婦を診察した際に上乗せする医療費のことで、今年の4月の診療報酬改定時に導入されました。

これは、妊婦に対しては特別の配慮をもって診療に臨むという、ごく当たり前の医療行為を評価するものです。
その上乗せされた医療費は、受益者である妊婦が、その一部を負担することになります。

妊婦にしてみれば、妊娠に配慮した検査や処方が受けられるなら、少々の負担増も納得できるかもしれません。
しかし、コンタクトレンズの処方にも妊婦加算が適用されることなどには、疑問の意見も出ています。

もちろん、妊娠の継続や胎児に配慮した適切な診療を評価するという、加算の趣旨が問題なのではありません。
算定基準がおおざっぱ過ぎなのです。そこで厚労省は、加算の適用を厳格化する方向で調整に入るようです。

さらにもうひとつ言うなら、上乗せされる医療費を、診察を受ける妊婦が負担することも問題です。
妊婦のための規則なのに、「妊婦税」とも揶揄される医療費負担増で診療を受けにくくなるのでは逆効果です。

一般に診療報酬においていは、医師に対するインセンティブはつねに、患者負担を財源にして成立しています。
だからこのたびの妊婦加算のような問題が起きると、医者が悪意をもって儲けている問題なのかと疑われます。

でもそれは誤解です。妊婦加算は医者が好きで算定しているのではありません。算定する規則なのです。
批判されるべきは、考えの足りない中途半端なルールを作った厚労省や中医協の方でしょう。

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厚生局の指導
- 2018/11/19(Mon) -
厚生局から「集団指導」開催の連絡が届きました。12月15日(土)の15時から参加せよという通知です。
ちょっと待ってください。その日当院は診療日なんですけど。
おまけに15時と言えば、インフルエンザワクチンのネット予約枠の、接種時間帯ど真ん中なんですけど。

会場(県庁)に行くまでの時間や準備時間を考慮すると、診療が出来るのは14時過ぎまでです。
14時台以降の予約者全員に電話で連絡して、日時の変更をお願いしなければなりません。これは大変。
もともと土曜の午後の接種予定者には、平日への振り替えが難しい方も多いことでしょう。これは困った。

なにか救済措置は無いのでしょうか。思い切って昼休みに、九州厚生局熊本事務所に電話してみました

私「集団指導の日時の件なのですが、当院の診療時間と重なっておりまして、いかがしたものかと・・・」
厚「過去6年間に個別指導等を受けていない方への説明会ですから、参加は強制ではありません」
私「ですが、参加しないと何かしらの・・・」
厚「ペナルティーはありません」
私「まったく問題はないのでしょうか?」
厚「どうぞご心配なく。代理の方でも来られるのであれば、資料をお持ち帰りいただきます」
私「では、せめて、資料だけでもいただきに参ります」
厚「あ、いやいや、厚労省のHPからダウンロードできるので、わざわざ来られる必要もありません」

という具合に、厚生局の温和で丁寧な対応は拍子抜けするほどでした。私が一人でビビっていたようです。
ていうか、「説明会」程度の行事に、「指導」という恐ろしい名称を使わないでもらいたい。

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添付文書の電子化
- 2018/11/17(Sat) -
厚労省は、医薬品の「添付文書」のペーパーレス化を進めようとしています。
添付文書というのは、薬のパッケージに入っている、用法・用量・警告・薬理作用等が記載された文書です。

この文書はたびたび改訂されるので、医薬品に同梱されている添付文書は、必ずしも最新版ではありません。
このことは以前から問題でした。改訂前の文書が添付してあるのは、トラブルの元ですから。

たとえば、家電製品に同梱された取扱説明書の情報が古くて間違ってたら、それこそクレームの嵐でしょう。
ところが医薬品の場合は、改訂前の添付文書を鵜呑みにして問題が起きたら、医療機関も責任を問われます。

そこで、添付文書の改訂情報を記載した郵便物が、製薬会社から毎日のように送られてくるというわけです。
全国の医療機関や薬局に送付されいるのかと思うと、郵便物の量は膨大でしょう。
受け取る側もうんざりです。毎日の開封作業だけで疲れます。ゴミ箱はすぐ満杯になります。時間もムダです。

それに加えてご丁寧に日本製薬団体連合会からも、改訂情報等をまとめた冊子が毎月送られてきます。
おまけに医薬品医療機器総合機構(PMDA)からは、メールで最新の医薬品情報が毎日届きます。

といった背景があるので、このたびの添付文書の同梱を廃止するという方針は理にかなった話です。
ただしその代わり、ネット等で簡単に医薬品情報を検索できるシステムを構築してもらいたいものです。

現状でもPMDAのサイトで検索出来ますが、お役所仕事だからしょうがないとは言え、どうにもデキが悪い。
もっと簡単に、サクッと検索・閲覧・比較・引用ができて、しかもビジュアルなサイトを作ってもらいたい。

重要なのはペーパーレス化ではありません。最新情報をいかに迅速に効果的に医療機関に届けるられるかです。
電子カルテとリンクしてくれたら、言うことないんですけどね。

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ジャパンワクチン解散
- 2018/11/14(Wed) -
「ジャパンワクチン株式会社」が解散することが、突然今日、発表されました。
第一三共とGSKの合弁会社として、小児用ワクチンの普及を目指して6年半前に設立されたばかりだったのに。

両社はこのたび、「それぞれの事業を通じてワクチンの普及を図ることが最善と判断」したようです。
硬直化した日本のワクチン行政の下では合弁の価値なしと、たぶんGSKが考えたのでしょう。

ジャパンワクチンが扱うのは、ヒブ、4種混合、B型肝炎、MR、2種混合、HPVといった、定期接種ワクチン。
さらに、ロタ、おたふくなどの任意接種ワクチンがあるし、いま接種者急増中の風疹ワクチンもあります。
もちろん、インフルエンザワクチンも販売してます。
以上のどれもが、当院でも毎日のように接種を行っている、とても重要なワクチンばかりです。

あ、いやいや、HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)は、事実上ほとんど接種は中断状態でしたね。
ロタウイルスワクチンやおたふくかぜワクチンも、何度も言ってきた通り、なかなか定期接種になりません。

インフルエンザワクチンは、この会社の製品に限り、0歳児には接種できないという条件がついています。
これは、0歳児の治験で十分な有効性を出せなかったためで、ちょっとした差なのですが、ケチがつきました。

実際にワクチンを製造しているメーカーを考えたとき、この合弁会社の存在理由が私にはよくわかりません。
ヒブワクチンの製造はサノフィだし、B型肝炎ワクチンはKMB(旧化血研)。
それ以外の、ヒブ、ロタ、HPVはGSK製で、4種混合、2種混合、MR、風疹は北里第一三共が製造してます。
ワクチンの製造と販売の系列って、ホント複雑です。

定期接種ワクチンというのは、子どもの数(出生数)に比例して、毎年一定数の需要があるワクチンです。
ということは、今後の少子化を考えれば厳しい市場だとも言えます。
ワクチン業界は今後、大規模な再編に動き出すのかもしれませんね。

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睡眠剤の処方制限
- 2018/10/29(Mon) -
日頃の診療において、本当は止めたくてたまらないのが睡眠剤の処方です。その理由は、
(1)薬物依存を生じやすいので、処方は専門医にゆだねるべき(医学的な正論)
(2)診療報酬改定により、一般内科医等による睡眠剤の処方が制限されつつある(保険医療上の制約)
このほかにも、
(3)複数の医療機関からの処方により過剰量の内服をもくろむ人の手助けをしたくない
という側面もあります。

とくに今年度は「ベンゾジアゼピン受容体作動薬」という系統の睡眠剤処方に、見直しが迫られています。
「12月以上、連続して同一の用法・用量で処方されている場合」には、診療報酬が減額されるからです。

このようなペナルティーを考慮した場合に、一般内科医としての対応は、次の3つに分かれます。
(A)一定の研修を受講して、ペナルティーを回避する
(B)ペナルティーを甘受する
(C)睡眠剤の処方を可能な限り減らす・または中止する

研修を受けることは正当な対策ではありますが、突き詰めれば一種の抜け道です。
国が睡眠剤の処方について厳しく制限を付けようとする、その趣旨には反する様な気がします。
かといって、みすみす診療報酬が減額される状態を受け入れるのも、不愉快です。
熟慮の末、私が選択しようとしているのは(C)です。今後はなるべく睡眠剤は処方しないようにすること。

というわけで、年度末に向けて、すべての患者さんに対して、睡眠剤の処方を「整理」しはじめたところです。
もちろん、まったく処方しないわけではありません。必要に応じた最小限の処方は行いますので、ご安心を。

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1歳以上のRSV検査
- 2018/10/11(Thu) -
乳幼児の「RSウイルス (RSV) 感染症」が流行中です。先月下旬あたりから全国で急増中で、当院でも目立ちます。

高熱・ひどい咳・周囲でRSウイルス感染が流行中、と揃えば、疑いは濃厚です。
診察して喘鳴を聴取したら鼻腔のRSウイルス抗原検査を行い、それが陽性なら診断は確定です。

乳幼児がこれに感染すると症状が重く、しばしば喘息性気管支炎、場合により細気管支炎や肺炎になります。
RSウイルス感染症は繰り返し何度もかかる場合がありますが、2度目3度目となるほど、症状は軽くなります。

保育園・幼稚園等で流行しており、RSウイルスの検査を希望して来院する方も増えています。
園から調べるように言われた、と来院する方もいますが、医学的観点から必要性がなければ検査はしません。

この検査は、1歳以上のお子さんでは保険がききません。これがじつに微妙な問題をはらんでいるのです。

(1)0歳児の場合
検査に保険がききますが、3歳未満は包括診療(小児科外来診療料)なので、個別の検査料は算定しません。
どっちみち熊本市では、3歳未満は窓口負担ゼロです。

(2)1歳以上の場合
検査に保険がきかないので、自由診療(自費)となります。当然、保険診療と併用(混合診療)はできません。
お子さんの医療費は全部、自由診療の扱いとなります。自由診療なので、熊本市の助成対象にもなりません。
しかし実際には、通常の保険診療のみ行っています。検査は当院がサービスで行ったという形にするのです。

医学的に少しでも必要性があれば、1歳以上でも(サービスで)検査をしますが、必要性がなければしません。
ご納得いただけない方には、全額自費診療となる事情をご説明して、諦めていただくことも(稀に)あります。

RSウイルス感染かどうかを調べるよりも、その子の病状に応じた治療を行うことの方が、よほど大事です。

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母子手帳の2つの番号
- 2018/09/21(Fri) -
熊本市の母子手帳(親子健康手帳)の表紙には、氏名等のほかに熊本市固有の2つの番号が記載されています。

(1)親子健康手帳交付番号(本稿では、母子手帳番号とします)
(2)予防接種・乳幼児健診番号(通称、予防接種番号)

前者は妊娠中には必要かもしれませんが、出産後十数年間ずっと必要なのは後者の予防接種番号です。
問題は、この両者がともに「9」から始まる9桁の数字だということです。見た目がそっくりなのです。

母子手帳番号は、手帳が交付された際に、手書きで記入されます。
予防接種番号は、出産後にシールで交付され、母子手帳の表紙裏にそのシールを貼る場所が作ってあります。
シールを貼れば別の場所に書き写す必要はないので、表面の予防接種番号欄は空欄の場合が多いようです。

その結果、母子手帳の表には、予防接種番号にそっくりな母子手帳番号だけが記載された形になります。

お子さんの予防接種の予診票は、保護者の方(たいていは母親)が記載します。
その予診票に、予防接種番号の記入欄がありますが、ときどき、間違えて母子手帳番号を記入する方がいます。
でも保護者の不注意は責められません。紛らわしい別の番号が存在することが、そもそも問題なのです。

これは明らかに、熊本市のシステムの不備です。危機管理の観点からは、避けなければならないことです。
わざわざ混同しやすい2種類の番号を作った、その企画立案者のセンスを疑います。

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航空会社の医師登録制度
- 2018/09/11(Tue) -
旅客機内で「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか」という場面に遭遇した顛末は、前に書きました。
昨年は、東京に2往復しただけというわずかな私の搭乗歴のなかでそれが起きたのは、奇跡的な出来事です。
ドクターコールのアナウンスよりも前に、すでに私が心肺蘇生を開始していたことも、特筆すべきでしょう。

ただし日本では、善意で診療行為をしても、その内容に問題があれば、医師の責任になる可能性があります。

一方で米国には、善意で行った場合には結果が悪くても免責されるという「善きサマリア人の法」があります。
救命のために果敢に手を貸す医師を守り、ひいては急病人をできるだけ救けようとする考え方です。

日本では法整備が遅れているので、医師がドクターコールに名乗りを上げることを躊躇しがちです。
国内線の機内に準備されている救急キットだって、貧弱すぎます(少なくともANAの場合には)。
昨年末のケースでは、気管内吸引が必須の病状でしたが、吸引装置が機内にはありません。口で吸うわけ?
呼吸が停止していましたが、気管内チューブもなければ喉頭鏡もない。アンビューバッッグで押し続けるのみ。

機内でどのような急病人が出るかわかりませんが、心肺蘇生を行うには、現状では厳しい環境ですね。
でもそれなのに、JALもANAも、2年前から医師登録制度を始めています。
あらかじめ医師が搭乗していることがわかれば、乗員には安心材料でしょうけど、医者にとっては微妙です。

そんな議論の余地のある医師登録制度ですが、私はこのたび「ANA Doctor on board」に登録申請しました。
どうやら昨年末の一件以来、私が医者であることが、乗客名簿に書かれているフシがあるのです。
医者であることがバレてるのなら、今後知らんぷりもできないので、いっそのこと自発的に登録した次第です。

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医師の働き方改革
- 2018/09/04(Tue) -
厚生労働省は昨日、「第9回 医師の働き方改革に関する検討会」を開催しました。
医師・医療の特殊性をふまえて、医師の時間外労働の上限規制をどうするか、ということが焦点です。

この議論を行うとき、真っ先に上がってくるキーワードが、医師法19条に規定された「応召義務」でしょう。
「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」

その月の残業時間が上限に達した医師が、さらなる残業が必要となる診療を求められた時、どうすべきなのか。
医師の応召義務については、これまでにも書いて来ましたが、残業規制とは両立しにくい規定です。
患者と医師の両方を守るためにも、応召義務の「正当な事由」については、きちんと規定してもらいたい。

医師は自分の技術を高め知識を深めるために、自分の時間を犠牲にして研鑽に励む傾向があります。
やるべき業務の多い医師に杓子定規に残業制限をすると、まず自己研鑽に充てる時間が削られかねません。
それよりも、現状で医師が従事している仕事のうち、削るべき時間はほかにあります。雑用です。

医師ではなくてもできる仕事は、医師以外が行うようにする「タスクシフト」が、検討されるべきです。
『ドクターX』の大門未知子が言ってた「医師免許が無くても出来る仕事は一切致しません」が、理想ですね。

手術前の説明(インフォームドコンセント)は、医師がすべき重要な仕事ですが、かなり時間を食います。
かつて私は、患者家族の都合を考慮して土日に行うことも多かったですが、それは私の休日出勤が前提でした。
それをヨシとしてきた時代もありましたが、今後は見直す部分かもしれません。

クリニックを開業する際に、何のためらいもなく「土日祝日診療」をすることに決めました。
勤務医時代にいつも休日出勤していた生活に慣れきっていたので、何の違和感もなかったのでしょうね。

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デンカ生研の謎
- 2018/07/24(Tue) -
「デンカ」と聞くと、皇族方などを除けば『ウメ星デンカ』とか『太陽にほえろ』を思い出しますよね、普通。
しかし日頃の診療で私がよく見かけるのは、「デンカ生研」です。ワクチン会社です。

この会社については以前も書いたことがありますが、もう一度調べてみると、なかなか興味深いですね。
デンカ生研の親会社は「デンカ株式会社」。その旧社名は「電気化学工業」。
大正4年(1915年)に、アセチレンランプ用の燃料から窒素肥料を作り出して販売したのが始まりだと。
その燃料というのが炭化カルシウム。いわゆる「カーバイド」。近代日本史によく登場する物質ですね。

日本で初めてカーバイドの製造に成功したのが、デンカの創業者、藤山常一だそうです。初めて知りました。
で、その数年後に、日本カーバイド商会を共同で設立した相手が、野口遵なんですね、チッソの創業者です。

つまり、藤山氏と野口氏の2人が、日本のカーバイド、ひいては窒素肥料製造のパイオニアというわけです。
藤山氏は仙台市郊外に、野口氏は川内川沿いの大口に水力発電所を設立し、カーバイドを製造しました。
「せんだい」つながりじゃないですか。

ただしデンカ生研は、電気化学工業の子会社になる前は、東芝の子会社「東芝化学工業」でした。
さらに改称される前の、戦後創設時の社名は「東芝生物理化学研究所」でした。
実はその源流は戦前の「陸軍軍医学校防疫研究室」であり、「七三一部隊」につながる暗い過去があります。

もちろん、旧陸軍の生物兵器研究者らが後に創った医薬品メーカーは、デンカ生研だけではありません。
既存の製薬会社の幹部や、大学医学部の教授になった、七三一部隊出身者も大勢います。

ただ私が不可解なのは、それとわかって引き受けた東芝という会社の闇と、後にデンカが引き受けた謎です。

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特定健診の心電図
- 2018/06/04(Mon) -
特定健康診査(通常は、略して「特定健診」)の検査項目には、「必須検査」と「詳細検査」があります。
前者は受診者全員に実施するものであり、後者は医師の判断により選択的に実施する検査項目です。

必須検査には、問診とか身体計測や血圧測定とか、悪玉(LDL)コレステロールなどの血液検査が含まれます。
詳細検査には、心電図検査や貧血検査などがあります。

特定健診はメタボ健診とも言われるように、生活習慣病の早期発見と治療への誘導がおもな目的です。
とくに重要なものが心疾患だと私は思うので、私はできるだけ全受診者に心電図検査を行ってきました。
生活習慣病の早期発見のためには、心電図検査が必須である、という「医師(=私)の判断」によるものです。

ところが今年度から、精密検査を行うための基準が厳しくなってきました。
たとえば心電図検査は、血圧が140/90以上の受診者でなければ、精密検査として選択することができません。
治療によって適正な血圧に管理できている高血圧症の方は、心電図検査ができないということです。

「医療機関において管理されている者については(略)詳細な健診を実施する必要はない」
というのが厚労省の言い分であり、高血圧で治療を受けている方には心電図検査は不要だというのです。
日頃の診療において、心電図検査等は適宜行っているはずだ、という理屈でしょう。

しかし私は、心電図波形を見ることはコレステロールを測定するのと同じぐらい重要だと思っています。
「医療機関において管理されている者」の心電図検査は一律不要、としているこの制度は、ちょっとおかしい。

現実的な問題は、日常診療における検査を特定健診で代用してほしい、という患者さんが多いことです。
少額の自己負担で一通りの検査ができるのなら、その分、保険診療による検査の自己負担が減らせるからです。
しかしその患者さんの、心電図検査を特定検査で行うことがはできません。血圧が安定しているからです。
すでに生活習慣病で治療中の方に特定健診を行うことには、何かと無理があるのです。

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機能強化加算の意味
- 2018/05/26(Sat) -
診療報酬が改定されて2カ月近く経った今日になって、ようやく腑に落ちたことがあります。
それは、「かかりつけ医」の基準を満たした医療機関が算定する「機能強化加算」。

機能強化加算は、医者が「かかりつけ医」になることを推進するために設けられたインセンティブです。
ひとたび「かかりつけ医」となれば、その医療機関では、すべての患者の初診料に800円ほど上乗せできます。

しかしこれを患者側から見れば、「かかりつけ医」にかかると初診料が割増になってしまいます。
むしろ患者は「かかりつけ医」以外にかかった方が医療費が安くなるという、逆転を生み出しているのです。

なので私は前に、この機能強化加算を「かかりつけ医割増し」だと書きました。
しかしよく考えてみると、この加算は初診料にだけ算定できるという点が、実はミソなんですね。
つまり、日頃からその医療機関を受診しているような「再診」患者には、何も影響のない加算なのです。

たとえば、いま当院に定期的に来院している方は、当院を受診して割増料金を取られる心配はありません。
しかしその方が別の病院を受診したら、「かかりつけ医割増し」が取られる可能性があるのです。

つまり「機能強化加算」とは、「かかりつけ医」以外を受診したらペナルティーを科すシステムなんですね。
そう考えると合点がいきます。意外と理にかなった仕組みかもしれません。

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10代のタミフル解禁へ
- 2018/05/17(Thu) -
インフルエンザ治療薬「タミフル」はこれまで、10代への使用が原則禁止とされてきました。
理由は、タミフルが「異常行動」を引き起こす可能性があると疑われたからです。

厚労省が2007年に、そのように決定したきっかけは、
「タミフル内服後の中学生がマンションから転落死した2件の事故」でした。

それが11年ぶりに、10代へのタミフル処方が解禁されることになった根拠は、
「タミフルを飲まなくても、インフルエンザにかかると異常行動が起きていた」ことがわかったからです。

もう何年も前から、タミフルが濡れ衣を着せられていることは、科学的データが示していました。
われわれ医療現場の者も、タミフル服用とは無関係に異常行動が起きたケースを、何人も見てきました。
そんなことはとっくにわかっていたのですが、ようやくこのたび厚労省が重い腰を上げたわけです。

これって、何かと似てませんか。そう、HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)です。

厚労省は2013年に、HPVワクチン接種の積極的勧奨差し控えを決め、現在に至ります。そのきっかけは、
「ワクチン接種後に、痛みや運動障害を訴える症例が出現したこと」でした。

しかしたとえば2015年の名古屋市の疫学調査では、
「ワクチン接種者と非接種者の間で、さまざまな症状に差が無かった」ことがわかりました。

もう何年も前から、HPVワクチンが濡れ衣を着せられていることは、科学的データが示しています。
そんなことはとっくにわかっている厚労省ですが、いまだに積極的勧奨接種を再開しようとしません。
いったい何を待っているのでしょう。もう何も、新事実は出てきませんよ。決断するしかないのです。

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土俵上の心肺蘇生
- 2018/04/05(Thu) -
大相撲春巡業で、土俵の上で倒れた人に救命処置を施した女性が、土俵から下りるように放送で促された問題。
心肺蘇生の継続よりも、女人禁制の伝統を守ることの方が重要だと、アナウンスした行司は考えたのか。
土俵上にいた男性のうちの誰かが、救命処置を引き継いでくれるだろうと期待していたのかもしれません。

残念ながら、女性よりも先に土俵に上がっていた数人の男性は、何もせず患者を取り囲んでいただけでした。
見るに見かねて女性は土俵に上がり、その数秒後には心臓マッサージを開始しています。これは早い。

心肺蘇生において重要なのは、躊躇しないことです。
救命処置を開始するまでのわずか10秒20秒のためらいが、患者の救命率を下げると考えなければなりません。
あの衆人環視の土俵上で、ただちに心臓マッサージを開始した女性の判断力と行動力には、感服します。

たとえ医療従事者でも、通りすがりの救急処置を行うことに際しては、いくつものハードルがあるものです。

本当に蘇生が必要な状況なんだろうかという迷いがあると、考えているうちに時間がどんどん過ぎていきます。
心臓マッサージによって、肋骨や肺などを損傷する危険があり、後になって問題化しかねません。
まったく不要で的外れの心肺蘇生を行ってしまえば、あとで大恥をかくどころか、訴訟のリスクもあります。

倒れた舞鶴市長はくも膜下出血で手術したそうですが、救急処置の甲斐もあってか、命には別状ないとのこと。
これがもしも救命できていなければ、処置が不適切だったと、女性はメディアに非難されたかもしれません。
女だてらに土俵に上がるから、結局このざまだ、などと心ない言われ方をしたかもしれません。
今回の場合、まず非難されるべきは、土俵の上で何もせずに患者を取り巻いていた、男性陣の方でしょう。

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手術器械の再使用
- 2018/04/03(Tue) -
大阪母子医療センターで、再使用が禁じられている機器を小児の心臓手術に使い回していたと報じられました。
まったく困ったものです。何が困ったものかって、その薄っぺらな報道ですよ。報じられているのは次の2点。

(1)子どもの心臓手術で、細い血管を一時的に遮断するために、脳動脈瘤用のクリップが便利なので流用した
(2)メーカーは再使用を禁止しているが、滅菌処理すれば利用可能と担当医らは考えて再使用していた

心臓外科手術では、血管を一時的に遮断する際には、さまざまな形や強さやサイズの鉗子を使い分けています。
とくに小さな血管を挟むときには、ブルドック鉗子とかクレンメと呼ばれる、小さくて精密な鉗子を使います。
しかし脳外科用のクリップの方が、奥深い場所に挿入しやすく、とても小さく便利にできています。
こういっちゃナンですが、私も何度か使ったことがあります。より繊細な手術操作のために有用だからです。

単純な構造の金属(チタン)クリップなので、通常の手術器械同様に、容易に滅菌できるはずです。
もしもクリップを滅菌しても感染のおそれが残るというのなら、ピンセットやハサミや鉗子だって同じです。
滅菌可能な手術器械は、再滅菌して再使用するのが原則であり、すべてを使い捨てにするわけにはいきません。

ただし脳動脈瘤用のクリップは、いちど挟んだら永久に挟み続ける、その安定性が求められます。
だから、再滅菌を繰り返すことによるクリップの劣化を危惧して、再使用が禁じられているのでしょう。

しかし心臓手術で一時的な血管遮断に使うのであれば、クリップの劣化はそれほど問題にはなりません。
挟んでみてイマイチなら、その場で別のクリップで挟みなおせばいいからです。

クリップの流用にも滅菌にも何の問題もないのに、規則違反だったということだけで、ひどい報じようです。
難易度の高い手術を成功させるために創意工夫をしたことが、どうしてここまで叩かれるのでしょう。

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妊婦加算
- 2018/03/31(Sat) -
某雑誌が、「4月の『一斉値上げ』丸わかり表」というのを掲載しているのが、ネットでウケてます。
その栄えある第一番目にあげられているのが、「一部医療機関の初診料800円値上げ」という項目。

記事の詳細は読んでませんが、800円と言えばアレでしょう、「機能強化加算」!

「かかりつけ医」にかかると、初診料が800円ほど上乗せされるという、こんどの診療報酬改定の目玉の一つ。
制度拡充のためのインセンティブの800円なのですが、儲かるのは医者で、患者から見れば単なる値上げです。
新たな仕組みを創設して広めようとすると、どうしてもこのような、ちぐはぐな仕組みになってしまいます。

さて、明日4月1日から、その改定された診療報酬に基づく診療が始まります。

昨日の休診日には、電子カルテのシステムをバージョンアップするために、準備作業を行いました。
そして今日の診療終了後、電子カルテの設定変更を行いました。
明日は日曜日ですが当院は診療日なので、今日のうちに最終調整しておく必要があったのです。

「妊婦加算」なんていう仕組みも、今回から導入されます。産婦人科でもない当院でも、算定できます。

「妊娠の継続や胎児に配慮した適切な診療を評価する観点」から新設されたもので、初診料が増額されます。
この加算の場合も、医者の診療報酬の増額分750円は、妊婦本人などが負担する仕組みです。

心身共に辛く、しかも何かと物入りな妊婦が、医者にかかればいちいち医療費がよけいにかかるわけです。
「妊娠の継続や胎児に配慮」する主旨とは裏腹に、むしろ妊婦の負担を加算してしまうかもしれません。

ところで妊婦加算の算定においては、患者が妊婦であるかどうか、明確な根拠を確認する必要はなさそうです。
ならば、妊娠の可能性が否定できない状況の女性であれば誰でも、妊婦加算の算定対象になるんでしょうね。
だって、妊娠の可能性が少しでもあれば、「妊娠の継続や胎児に配慮した適切な診療」が必要なわけですから。

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ベタなネーミング
- 2018/03/29(Thu) -
糖尿病治療薬の、新たな配合剤が製造販売承認を取得し、5月には発売される見込みです。
よく飲む組み合わせの医薬品2剤(ときに3剤)の、成分を合わせて1剤(1錠)にしたのが配合剤(配合錠)。

私はこれまでに、配合剤の命名法については厳しい指摘をしてきました。とにかく、わかりにくいのです。
たとえば、「ディオバン」と「アムロジン」の配合剤が、なぜ「エックスフォージ」なのかと。
「アジルバ」と「アムロジン」の配合剤だと「ザクラス」ですよ。クレジットカードじゃないんだから。

配合している内容が一目瞭然の名称にしてくれと、ずっと言ってきました。そしたらついに、出ましたね。

このたび発売されるのは、「スーグラ」と「ジャヌビア」を配合して、「スージャヌ」!
ベタですねー。小林製薬ですか。そんなネーミングを、よく担当役員が許しましたね。

いえいえ、非難しているのではありません。むしろ好評価しています。なんなら称えてます。グッジョブ!
今年のベスト・ネーミング・ドラッグ・アワードに推奨したいぐらいです(そんなのがあれば)。

ただ、「スージャヌ」という言葉は、日本語としては違和感がありますね。
辞書で調べると、語尾が「ゃぬ」の日本語は、皆無でした。どうりで聞き慣れないはずです。
どうかすると、「ジャズ」のことを「ズージャ」と言うのにも似た、業界用語的な響きすら感じます。
だからなのか、スージャヌのメーカーパンフの表紙には、ジャズマンが2人描かれています。
ただ私としては、「スージャヌ」よりも「ジャヌスー」の方が、もっと業界っぽくて良かったけど。

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時間配分の悪い講演
- 2018/03/27(Tue) -
熊本県立劇場で今夜、2年に1度の「診療報酬改定」の説明会が行われたので、その報告です。

各種団体による説明会が先週にも行われましたが、今日は医師会と厚生局が共催する、最重要説明会でした。
なにしろ厚生局の「集団指導」という名目付きなので、医療機関の人間はみな、ビビり上がって参加します。
すみません。大げさでした。

震災からの復旧後に県立劇場のコンサートホールに入るのは、考えてみると私は今日が初めてでした。
2年前の3月25日にも、前回の診療報酬改定説明会が行われました。あれは地震の20日前だったのですね。
壁や天井やシャンデリアを見上げながら、あの地震では天井の一部が落下したという話を思い出しました。

前回、説明会の前に県立劇場向かいの焼肉店「彩炉」で食事をしました。今日もそこで食べました。

で、説明会ですよ。19時ちょうどに始まったのはいいけれど、その後のお偉いさん2人の挨拶が、ちと長い。
次に医師会の理事の方が、きっかり60分で診療報酬の改定概要を説明。これはまあ、いいでしょう。

問題はその次。厚生局の指導医療官という、本来いちばん恐れるべき方なのですが、言わせてもらいます。
時間配分がなってない(失礼)。こんなこと書くと、あとで「指導」されるかもしれませんが、書きます。
140ページの冊子をチマチマと(じゃなくて丁寧に)説明していく亀のようなペースには、呆れました。
最初の方だけで大半の時間を費やしてしまい、途中から駆け足、最後はバタバタでした。
自分に与えられた60分という時間と、説明すべき分量との配分を、ちゃんと計算してないんじゃないの?

おかげでほら、肝心の診療報酬改定の内容に触れないうちに、今日のブログも尻切れトンボになったでしょ。

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医療機能情報の提供
- 2018/03/26(Mon) -
「熊本県医療機能情報提供制度に係る調査」の記入用紙が、今年も届きました。締め切りは今月末。
医療機関の診療曜日・時間や科目、実績、サービスを含め、そこそこ詳しく記載する必要があります。

その調査結果は、「熊本県総合医療情報システム くまもと医療ナビ」のサイトで閲覧することができます。
民間のサイトがマネできない点は、人員配置や外来患者数などの数値が、正確に表示してあることです。
これらはすべて、各医療機関が報告した数値であり、他の医療機関と比較することもできます。

いま、くまもと医療ナビを見て見ると、当院の1日当たりの外来患者数は、60.2人となっています。
これが多いとか少ないとかの議論はさておき、いったいいつの数値なのか、ということです。

「前年度(2016年)」とサイトには記載されていますが、間違えてはなりません。2015年度のデータです。
「前年度(2016年)」というのは、「2016年からみて前年度」という、お役所用語なんでしょうね。

いま平成30年だというのに、平成27年度のデータを最新データとして記載しているのは、問題があります。

今月届いた記入用紙には、患者数については平成28年度のデータを記載するようにと、注意書きがあります。
たしかに、今月末が提出期限なので、平成29年度のデータは記載できません。
くまもと医療ナビにおいて、次年度(平成30年度)に掲載される最新データは、平成28年度のものです。

調査用紙の提出期限を1カ月遅くして、最新の平成29年度のデータを提出させればいいと思うんですけどね。

平成28年度って、熊本地震の年ですよ。4月からしばらく患者数が激減した、あの苦しかった年度です。
今後1年間、くまもと医療ナビに掲載される医療機関の最新情報は、震災年度のデータです。
県民の皆さまにおかれましては、その点を十分に考慮の上での閲覧を、お願いします。

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インフル綿棒挿入奥義
- 2018/03/24(Sat) -
インフルエンザはまだ、しつこく出てはいますが、おおむね下火になってきました。
第11週(3/12〜18)の定点当たり報告数は、熊本市4.68、熊本県5.04と、第10週よりさらに減っています。

鼻腔の奥の方に綿棒を入れて鼻汁を採取する、あのイヤな検査も、この数日はあまりやらなくなりました。
綿棒の出し入れで鼻腔を擦るので、とくに鼻水の少ない方や鼻づまりの方は、とても痛いですよね。
幸か不幸か花粉症のこの時期、多量の鼻水が出ている方が多く、綿棒の滑りの良い方が多いですけどね。

インフルエンザの迅速検査で綿棒を鼻腔に入れるときには、私がとくに気を付けていることが2つあります。

(1)鼻孔を観察して、よく湿っている方(または鼻水が出ている方)から挿入する
両方から鼻水ダラダラの人もいますが、一方だけから鼻水が出ている人も、けっこう多い。
その場合、鼻水が出てない方は詰まっていると考えるべきです。そっちに綿棒を入れてしまうと、とても痛い。
健康時の鼻腔にも、左右の鼻粘膜が2,3時間おきに交互に腫れる「鼻サイクル」が、生理的に存在します。
風邪や鼻炎などの時には、この鼻粘膜腫脹が増強し、どちらか一方に強い鼻づまりが起きやすくなります。
どちらが詰まっているのかを見分けるために、鼻孔の濡れ具合(または鼻水の垂れ具合)を観察するわけです。

(2)ひどく痛がるときは、すぐ止める
鼻中隔の彎曲など、別の理由で綿棒が入りづらい場合もあるでしょう。けっして無理してはいけません。
挿入を中止して、ひと休み。あらためて反対側で試みると、驚くほどあっさり入ることが多いです。

ていうか、痛みがなくて検出率の高い、しかも安価で迅速なインフルエンザ検査法はありませんかね。

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KMバイオロジクス
- 2018/03/14(Wed) -
「化血研(化学及血清療法研究所)」は、ご存じのように、「明治ホールディングス」の傘下に入ります。
実際に化血研の事業を引き継ぐのは、熊本に本拠を置くことになる「KMバイオロジクス」という新会社です。

小耳に挟んだ情報に寄れば、KMバイオロジクスの「K」は「熊本」「M」は「明治」から来ているとか。

この時期に思い出すのは、かつて明治製菓が持って来てくれた、バレンタインデーチョコの詰め合わせです。
当時は、お菓子メーカーの明治製菓が、医薬品も製造していたのです(いまは別会社)。
明治のMRさん(営業の方)が毎年、明治製菓のお菓子をどっさりと箱に詰め込んで、持って来てくれました。

もっとさかのぼるなら、研修医時代。明治のプロパーさん(営業の方)が、毎日のように現れました。
彼は研修医部屋(通称タコ部屋)の冷蔵庫に、ギッシリと明治のジュースを詰め込んで帰って行くのです。
来る日も来る日もひたすら、何も喋らず黙々と淡々と、冷蔵庫をジュースで一杯にすることが彼の仕事でした。

当時は他の製薬会社も、それぞれのやり方で、医者を接待するのが常でした。
規制が緩く、おまけに80年代後半のバブル期のことです。研修医ですら、接待攻撃の対象だったのです。

ところがバブル崩壊後、製薬業界の態度が一変します。
まずは、公立病院の勤務医の接待が止まり、大学病院も厳しくなり、やがてすべての接待がなくなります。
もちろん今は、私立病院や開業医も例外ではありません。その点は誤解無きようお願いします。

各社が一斉に接待をやめれば、どの会社も不利にならないという業界の示し合わせ、いうなれば談合ですか。
まあ、いいですけどね。薬剤の情報や話題については、いまやネットで十分な情報を得ることができますから。
医者が使う薬の選択を営業が左右する時代は、終わりつつあるんでしょうね。

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インフル新薬かなり高額
- 2018/03/07(Wed) -
1回内服するだけの、しかも新しい作用機序の抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」の薬価が決まりました。
10mg錠は1507.5円、20mg錠は2394.5円。「薬価」というのは、診療報酬上の薬の価格のことです。

この薬の用量は、体重によって決められています。
(1)10kg以上20kg未満:10mg錠1錠(1507.5円)
(2)20kg以上40kg未満:20mg錠1錠(2394.5円)
(3)40kg以上80kg未満:20mg錠2錠(4789円)
(4)80kg以上:20mg錠4錠(9578円)

60kgから80kg未満の方には、20mg錠3錠が適切だと思うのですが、そのような用量設定はありません。
その設定で治験を行っていないためです。60〜80kgの成人って、結構多いと思うんですけどね。私もそう。

従来の抗インフルエンザ薬の薬価がどうかというと、成人の場合、体重に関係なく、
タミフル」1日2回、5日分で2830円。
「リレンザ」1日2回、5日分で3058円。
「イナビル」1回のみで4280円。

ゾフルーザはかなり高額なので(とくに80kg以上の方)、患者さんと相談して処方する必要がありそうです。
先日、今後の抗インフルエンザ薬は、ゾフルーザの一人勝ちになると書きましたが、違うかもしれませんね。

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ゾフルーザ発売間近
- 2018/03/05(Mon) -
「1回だけ飲んで効く薬があるんでしょう?」
インフルエンザの患者さんから、そのように尋ねられました。新薬「ゾフルーザ」のことですね。
塩野義製薬が開発し、先月製造販売承認を取得した薬ですが、残念ながらまだ、発売されていません。

抗インフルエンザウイルス薬は、現時点で4つ。ゾフルーザで5つ目となります。
タミフル」1日2回、5日間内服する薬。異常行動の濡れ衣によって、10代への処方が原則禁止です。
「リレンザ」1日2回、5日間吸入する薬。10代でも使えます。吸入法がやや面倒。効果は強い。
「イナビル」1回吸入するだけの薬。効果がやや弱いという意見もありますが、とにかく簡便なので私は好き。
「ラピアクタ」点滴薬。効果は早い。でも点滴が必要。脱水を伴うインフルエンザ患者には使いやすい。
「ゾフルーザ」まったく新しい作用機序。効果も強い(らしい)。1回飲むだけ。

こう書いてみると、ヘタしたら今後の抗インフルエンザ薬は、ゾフルーザの一人勝ちになりそうな気もします。

さて、ゾフルーザの添付文書を見ると、安全性に関してはいくつかの注意喚起がなされています。
(1)警告:本剤の必要性を慎重に検討すること
必要と思うから処方するんですよね。それをわざわざ警告する意味ある?、この手の警告、形骸化してません?
(2)禁忌:本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと
この世に初めて登場した新薬なのに、「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」って、いるんですか?

今月中には発売されそうです。新しもの好きなので、速攻処方して、効果のほどを確認したいですね。

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タミフル安くなります
- 2018/02/23(Fri) -
抗インフルエンザ薬「タミフル」の後発品(ジェネリック医薬品)が初めて、製造販売承認されました。

沢井製薬から6月に発売される、「オセルタミビルカプセル75mg「サワイ」」という、長い名前の薬です。
後発品は原則として、有効成分の名前である一般名(generic name)+「会社名」で名乗るきまりなのです。

現在の、医療費としてのタミフル(先発品)の価格、いわゆる「薬価」は、1カプセル283円です。
後発品が初めて収載され、しかも沢井製薬1社だけなので、薬価はたぶん先発品の5割になるのだと思います。

1日2カプセル(朝晩)を5日間内服するとして、医療費の差は約1,400円、3割負担なら400円ぐらいです。
実際の薬局での支払には、調剤料やら指導料やら加算などが加わって、400程度の差は埋没しますけどね。

それに抗インフルエンザ薬なんて、生活習慣病の薬のように1年中内服するわけでもありません。
だから人気がなかったのか、このたびジェネリックを発売することになったのは、沢井製薬1社だけでした。

一方で、降圧剤(高血圧治療薬)の「アイミクス」は、20社から後発品が発売されることになりました。
やはりこの手の生活習慣病治療薬は、大人気のようです。しかも最近はやりの「配合錠」ですしね。

2種類の降圧剤「アムロジピン」と「イルベサルタン」をミックスした薬なので「アイミクス」です。
その一般名「イルベサルタン/アムロジピンベシル酸塩」は長すぎるので、後発品名は「イルアミクス」です。

10社以上から発売される後発品は、先発品の4割の薬価になるはずです。これは患者さんにはありがたい。

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かかりつけ医割増し
- 2018/02/18(Sun) -
「24時間、365日対応」「常勤医2人以上」
国が進めようとしている「かかりつけ医」制度には、このような基準が医療機関側に求められます。
基準は多少緩和されましたが、それでも、医者が私1人だけの当院は、かかりつけ医になれません。

そもそも、医師2人で24時間365日対応せよ、なんていうこと自体が、ブラックジョークとしか思えません。
「働き方改革」を進める厚労省が、医師に対しては、ブラック企業のような働き方を勧めているわけですから。

「かかりつけ医」の基準を満たした医療機関では、初診料が従来の2,820円から3,620円にアップします。
差額の800円は「機能強化加算」とよばれるもので、「かかりつけ医割増し」と言ってもいいでしょう。
上乗せされた分、医療費が上がります。たとえば3割負担の方なら、240円ほど支払いが増える計算です。

つまり「かかりつけ医」にかかると、そうじゃない医者にかかるよりも、患者負担は大きくなるのです。

問題は、「かかりつけ医」が個々の患者にとっての実際の「かかりつけ」かどうかは関係ないということです。
国が言う「かかりつけ医」というのは、「かかりつけ医機能取得医療機関」ともいうべき、一種の資格です。
この資格を取得した医療機関は、すべての受診患者に対して「かかりつけ医」となります。

したがって、その医療機関に初めてかかった患者にも、「かかりつけ医割増し」が800円上乗せされます。
逆に、毎月来院する生活習慣病等のかかりつけ患者からは、割増料金はとれません。初診ではないからです。

こう考えてみると、国が描いている「かかりつけ医」像は、かなりいびつです。
そしてその制度を誘導しようとして医者に与えるインセンティブは、結局、患者負担増が財源です。
そのことが裏目に出て、制度が思うように普及しないという、ありがちな結末を迎えそうな気がします。

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特定健診の趣旨
- 2018/02/12(Mon) -
「糖尿病・高血圧で治療中のあなたも年に1回は特定健診
そう書かれたポスターが、熊本県保険者協議会から届きました。

でも、日頃から生活習慣病で通院中の方に、あらためて「メタボ健診」を勧める意義って、あるんでしょうか。

保険者の方におかれましては、特定健診の趣旨を忘れて、健診率を上げることだけが目的になってませんか?
もちろん、健診率を上げなければ保険者が国からペナルティーを科される、という背景が問題なのですけど。

一般に生活習慣病の診療では、年に何度か血液検査を行って、脂質や糖質や肝機能等をチェックしています。
そのような方に、あえて特定健診を実施する場合、医療機関の対応はざっくりと言えば次の2つになります。

(1)日頃の定期的な診療・検査とは別の日に、単独で特定健診を受けてもらう
(2)日頃の定期的な診療・検査の日に、その検査の代用として特定健診を行う

「特定健診は診療ではないので混合診療とはならず、診療と同時に実施することは可能」と厚労省は言います。
しかし、(2)のように特定健診と同日に行った診療では、初再診料の保険請求ができなくなります。
特定健診は診療ではないけど、初再診料は特定健診に含まれるという、その理屈が私にはわかりません。

生活習慣病の方に、あえて特定健診を勧めるのであれば、これは(1)とすべきなのかもしれません。
もしも保険者協議会が(1)ではなく(2)を推奨するのであれば、それは医療行為に対する干渉です。

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インフルしつこい
- 2018/02/09(Fri) -
こればっかり書きたくないのですが、インフルエンザはまだ全国的に流行中。熊本でもしつこいようですね。
定点当たり報告数を、第3週→第4週→第5週(本日発表)の順で記載すると、

全国:51.93→52.35→54.33、熊本県:66.26→55.55→55.06、熊本市:68.00→55.96→51.84

インフルエンザの症状が多彩なので、受診するタイミングもさまざまです。主なパターンをあげると、
(1)高熱持続型:いきなり高熱→ずっと高熱→わりと早めに医療機関を受診
(2)微熱持続型:はじめは微熱→ずっと微熱→2日目ごろに医療機関を受診
(3)途中下熱型:はじめは高熱→翌朝微熱→その夜高熱→3日目に医療機関を受診

いったん下熱した方が自宅で様子を見るのは適切な判断ですが、その晩にまた高熱が出ると後悔します。
身近にインフル患者がいるなどの状況証拠があれば、発症の翌日には医療機関を受診した方がよいでしょう。

メディアでは、発症直後に受診しても検査で陽性が出ないので12時間以上待つように、などと言ってます。
が、それはちょっと違います。たしかに陽性は出にくいですが、症状が重ければすぐに受診すべきです。
問診と診察によってインフルエンザと診断し、未検査で治療を開始することも、しばしばあるからです。

その反対に、微熱で全身状態の良い方は、発症から24時間ほど自宅で療養してから、来院していただきたい。
いや、受診の必要すらないかもしれませんが、登園等の可否を決めたいなら、2日目の受診をお勧めします。

インフルエンザの流行が過去最多を更新し続けているとは言いますが、あくまでこれは報告数です。
以前よりも神経質に受診・検査をするような昨今の風潮が、見かけ上の患者数を増やしているかもしれません。

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Macユーザーの市民権
- 2018/02/07(Wed) -
マンションの勧誘電話にはいつもイラつきますが、お役所からの電話にはいつもビクついてしまいます。
なかでも「九州厚生局熊本事務所」と「熊本東税務署」からの突然の電話には、計り知れない恐怖を感じます。

一方で、本来恐怖を感じるべき(?)「熊本市保健所」は、意外と平気です。
市民病院に勤務していた頃の同僚が保健所に配属されていたりするため、親近感を覚えるのかもしれません。

今日の昼の、保健所からの電話には、とくに温かいものを感じたので、ご紹介します。
それは昨年9月に行われた、厚労省の「患者調査」に関する報告でした。

Windows環境でExcelファイルを使って回答させる調査に対して、当時私は保健所にクレームを付けたのです。
どうしてWindows限定なのか、しかもExcelなのか、Macユーザーに対する配慮はないのか、などと。

担当者は私の剣幕におされたのか、その要望はぜひ、調査用紙に記載しておくようにと教えてくれました。

あれから数カ月。このたび厚労省の担当者が熊本に来た際に、ようやく私の要望が伝えられたようです。
そして、それを伝えたことを、ただちに私に報告してくれたのが、今朝の電話だったのです。
「取り急ぎ、先生にご連絡しました!」という保健所の方の、明るくはずんだ声に、私も嬉しくなりました。
もしかするとその担当者が、個人的にはMacユーザーだったのかもしれません。

震災からあと、熊本の役所や保健所の対応が、以前よりも一段とソフトになったような気がします。

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抗菌剤の適正使用
- 2018/02/03(Sat) -
「抗菌薬適正使用支援加算」なるものが、診療報酬の中に新設されようとしています。
抗菌剤の処方を抑制するために、厚労省が医者に適正使用のインセンティブを与えようというもくろみです。
その目的は医療費の削減、ではなく、薬剤耐性菌を減らすためであり、全世界的な感染症対策なんですね。

抗菌薬の投与は必要ないと思われる病状の患者に、抗菌薬は必要ないと説明すれば、算定できるようです。
「お子さんは風邪なので、抗生剤は効かないから出しませんよ。よろしいですね」これで点数がプラスです。

「へー、こんな当たり前のことを説明したら、加算が付くのかね」というのが率直な感想。
だったら、「解熱剤適正使用支援加算」も考えていただきたい。
あるいは、「診療所適正受診支援加算」なんてのも、当然考慮されるべきでしょうね。ん?

「抗菌薬が不要な病状の患者に、抗菌薬は不要だと説明する」という算定条件に、私はひっかかります。
「抗菌薬適正使用支援」という名目の加算であれば、次のいずれの場合にも、算定すべきだと思うのです。

(1)抗菌薬が不要な病状の患者に、抗菌薬は不要だと説明する
(2)抗菌薬が必要な病状の患者に、抗菌薬は必要だと説明する

厚労省は(1)限定のつもりなんでしょうけど、それと同じぐらいに(2)も重要です。
その両者を考慮してこそ、「適正使用」だと思うんですけどね。
なにしろ最近、抗菌剤を必要以上に毛嫌いする方も増えているのです。

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インフル治癒証明
- 2018/01/18(Thu) -
インフルエンザに罹ったお子さんは、原則として初診の2,3日後に、経過観察のために来院していただきます。
その経過に応じて、いつ頃から登校・登園できるかを、親御さんに口頭と文書(ミニカルテ)でお伝えします。

学校は口頭で十分なのですが、幼稚園・保育園はしばしば、「治癒証明書」とか「登園許可証」を求めます。
簡単な書類なので、当院では無料で交付していますが、数が多くなるとそこそこ面倒です。

学校保健安全法による「登校(園)基準」は、
「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児においては3日)を経過した後」となっています。
すなわち、順調に下熱したお子さんの場合、「登校(園)は発症の6日後から」ということになります。

すると次は「いつ発症したのか」という点が問題になります。その解釈しだいで登校可能日が変わるからです。
たとえば、朝から熱が高かった、というケースでは、前夜から熱が出ていた可能性があります。

ある調査によると、「治癒証明書」の要求に応じるのは医師の約8割で、約15%は応じないそうです。
患者(子ども)と親の利益を考慮して私はすぐに書類を書く方ですが、その必要性には疑問を感じています。

いちばん困るのは、他院でインフルの診断や治療を受けた後、治癒証明書のためだけに当院を受診するケース。
子どもを月曜から登園させたければ、日曜診療を行っている当院で書類をもらうのが、うってつけなのです。
ですが、全体の病状経過を把握できてないのに、書類だけ書くのはまったく不本意です。書きますけどね。

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タミフルの予防投与
- 2018/01/17(Wed) -
インフルエンザの疑いのない方には、当院では原則として、抗インフルエンザウイルス薬を処方していません。
しかし、家族がインフルエンザに罹った場合に、タミフルの処方を希望する方がいます。気持ちはわかります。

抗インフルエンザウイルス薬の予防投与は、保険適応外です。自由診療(自費診療)となります。
また予防投与の対象は原則として、インフルエンザ患者に同居する高齢者か一定の持病のある方に限られます。

受験生だという社会的理由では、抗インフルエンザウイルス薬の予防投与を受けることはできないのです。
当院ではその規定を遵守していますが、医学的な理由が「少しでも」あれば、処方をするスタンスです。

(1)高熱・筋肉痛・倦怠感、周囲にはインフルエンザがいる、迅速検査で陽性
(2)高熱が出たばかり、周囲にはインフルエンザがいる、迅速検査は陰性(または未検査)
(3)微熱で元気、周囲にはインフルエンザがいる、迅速検査は陰性(または未検査)
(4)無症状、周囲にはインフルエンザがいる、未検査

私の場合、抗インフルエンザウイルス薬の処方率は、(1)ほぼ100%、(2)半々、(3)微妙。
予防投与は(4)のケースになると思います。やはり、高齢者などに限って処方するのが原則でしょう。

ところが最近、無症状だけど他院で予防投与を受けたという患者さん(しかも保険診療で!)に出会いました。
そういうコトする「親切な」医療機関が近隣にあるので、当院は融通が利かないと思われかねません。
でもやっぱり、(3)と(4)の間には、きちんと線を引きたいのです。

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医師偏在是正の方策
- 2018/01/06(Sat) -
地域と診療科による医師偏在の是正が必要だと言われて久しいですが、これは本当に難しい問題です。

厚労省が先月とりまとめて発表した論点のなかで、次の3点は、私も同じ認識です。
・長時間労働が常態化している外科や産婦人科は、精神科や放射線科に比べて医師の比率が下がっている
・女性医師は、出産育児等を見据えた勤務形態を余儀なくされ、一定地域・診療科に集中している
・医師が地方勤務する意思がない理由として、20代では「専門医の取得に不安がある」という意見も多い

勤務地や診療科を医師が自由に選択できる現状を改め、一定の規制を含めた対策が必要だという厚労省。
じゃあ、あれですか。医者の一定数を、強制的に外科医や産婦人科にならせるというのですか。ナンセンス。
医師は、自分の夢・希望・将来計画・やりがい・信念によって、自分の進むべき診療科を決めるべきです。

厚労省はまた、医師の少ない地域での勤務を促すインセンティブを高める対策も重要だと言ってます。
どうなんでしょう。そもそも若い医師は、都会でもまれ、豊富な臨床経験を積みたいのです。当然のことです。
それに加えて専門医制度があります。どう考えても、医師偏在対策と専門医制度は両立しにくい話です。
この点が問題となって、新専門医制度の導入が1年延期されましたが、いよいよこの春、始まります。

医師偏在への対策案を出してみろと、もしも私が言われたら、次の3点を提案したい。

(1)勤務医にできるだけ診療以外の仕事をさせないようなシステムを作り、長時間労働を是正すること
大門未知子のように、医師免許不要の雑用を一切せずに済めば、勤務医はどれほど診療に集中できることか。

(2)長時間労働が常態化している科の診療報酬を増やし、病院管理者は給料にも格差を付けること
多忙でも給料が高ければ、人は集まります。人が集まれば、多忙ではなくなり、バランスがとれてくるはず。

(3)新専門医制度は、医師の偏在を助長します。もう中止はできませんが、制度の修正が必要です。
卒後2年目の研修医の約9割が登録した結果を見ると、地域偏在・診療科偏在はますます悪化しています。
地方勤務を促す「有効な」方策があるというのなら、早く打ち出してくださいよ、厚労省の方。

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寝当直で寝正月
- 2017/12/27(Wed) -
最近やっとメディアが取り上げ始めたのが、「当直医」の労基法上の問題です。先週の読売にも出ていました。
ただのお泊まりを意味する「宿直」とは違い、「当直」はしばしば夜通しの激務であり、時間外労働です。

ところが、「当直」医に対して「宿直」手当しか出していない病院が多く、是正勧告が相次いで起きています。
「勤務医の宿直には残業手当を払え」という5年前の最高裁の決定は、勤務医には追い風でした。

本来の勤務病院での当直以外に、アルバイトとしての救急病院の当直を、私も若い頃ずいぶん経験しました。
医局の先輩の病院を手伝って臨床経験を積ませてもらい、しかもお小遣いまでもらって帰るようなものでした。

大学病院の通常勤務を終えて、夕方当直病院に向かい、翌朝いったん自宅に戻った後、また大学に出勤します。
救急病院での当直でほとんど眠れていなかったとしても、翌日の大学病院では通常の仕事が待っています。
それが普通だったし、不満はありませんでした。なぜなら、当直には妥当なバイト料が出ていたからです。

某病院では、たびたび救急車に起こされるのがイヤで、ついに一晩中起きていた話は、前に書いたとおりです。
徹夜で何をやってたかと言えば、「ドラゴンクエスト」です。もう、30年以上も前の話です。

別の某病院では、診療の合間に豪華な夕食が出て、事務長がしきりにビールを勧めてくれます。飲みます。
飲んでる途中で救急車が入ります。仕事を終えて食堂に戻ると、事務長がまたビールを勧めます。昔の話です。

そのような救急病院とは正反対に、老人病院とか精神病院の当直の場合は、ほとんど仕事がありません。
何か起きたら電話指示を求められる程度で、これを「寝当直」と言い、ほとんど「宿直」と同じ状態です。

年末年始はしばしば、老人病院で当直をしていました。正月3が日の「3連直」なんてのも2度経験しました。
ネットのない90年代前半のこと。本を読んでも飽きるので、ずっとゴロゴロして3日間過ごしますが、長い。
むしろ、適度に救急車が入ってくる方が、よほど時間が短く感じたかもしれません。

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薬の配置と取り違え
- 2017/12/20(Wed) -
また薬の取り違え事故が報じられました。こんどは気管支拡張剤「テオドール」と向精神薬「テグレトール」。

名前は多少似ていますが、私としては、「アマリール」と「アルマール」ほどには、混同しそうにない薬です。
なのにそれを薬剤師が取り違えたのには、どのような具体的ないきさつがあったのか、それが知りたいですね。

薬が棚に五十音順に置いてあったのなら、テオドールとテグレトールの引き出しは、かなり近接していたはず。
では、名称の似通った薬剤の取り違えを、どのような方法で防げばいいのでしょうか。
棚の引き出しに、薬剤の外箱から薬剤名のロゴ部分を切り取って貼る、ぐらいしか私は思いつきません。

そこで今日、当院の隣の薬局に赴き、その管理法を見てきました。
驚いたことに、テオドールとテグレトールは、まったく別の場所に置かれていました。
これは取り違え防止のためではなく、薬局の内規によって、薬効的に特別に管理する薬だからだそうです。

それを見て思いつきました。すべての薬を、薬効別にグループ分けして配置すればいい!
抗がん剤とか、降圧剤とか、血糖降下剤といったコーナーを作り、その内部で五十音順に並べるわけです。
薬の取り違えが重大事故を招くのは、まったく別の薬効の薬剤を誤って投与してしまったときです。
薬効が異なるのに名称が似ているのが問題なのであって、同効薬の名称が似ている方がよほどマシです。

薬効別配置など誰でも思いつくことなので、すでに多くの薬局で似たような工夫をしているかもしれません。
しかしそれでも、人間のやることはわかりません。思いもよらないような勘違いをする場合もあるでしょう。

隣の薬局では、薬剤棚の引き出しのバーコードを読み取って、処方箋情報と照合してから薬を出すようです。
確実なチェックのために、けっこう面倒なことしてるんですね。

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廃棄はもったいないのか
- 2017/12/06(Wed) -
価格がきわめて高い抗がん剤が、使い切れずに年間738億円分も廃棄されていると、報じらました。
オプジーボ」のように、患者の体重に比例した用量で投与される薬は、薬瓶の使用単位に端数が出るのです。
使いかけの薬瓶内の残薬は、感染予防等の理由から次の患者には使わず、廃棄するのが普通です。

たしかに、高額な薬を捨てていると考えたらもったいないですが、報道を鵜呑みにはできません。
使い切れずに余った薬って、本当に高価なのでしょうか。できるだけ使い回すべきなのでしょうか。

オプジーボなどの超高額薬は、製造原価も高いですが、研究開発や設備にかかる費用も膨大です。
何人ぐらいの患者さんに使うことになりそうか、それを考慮して、薬の価格(薬価)が決められます。
莫大なコストをかけて、患者数の少ない疾患の治療薬を作れば、その単価はどうしても高くなります。

オプジーボのような薬は、その薬液そのものがひどく高額なのではありません(高額ではあるけど)。
2,000億円とも3,000億円ともいわれる研究開発費用を回収するために、単価を高くしてあるのです。

薬の売り上げが伸びれば、やがて薬価は引き下げられます。現にオプジーボは、今年2月に半額になりました
つまり、薬の消費量が増えれば増えるほど、その恩恵を被る患者一人当たりの負担は減ることになるわけです。
残薬を廃棄せずに使い回せば、患者数当たりの薬の消費量が減り、値下げの道が遠ざかるかもしれません。

一方で、医療機関にとっては、薬の使い回しは薬代を節約できるので、きわめてオトクです。
しかし、開封後の薬瓶を保管する衛生上のリスクを考慮して、あえて、残薬は破棄しているのです。
儲けよりも安全を優先した医療機関の姿勢を、今回のような報道は理解しておらず、踏みにじるものです。
残薬利用による健康被害と医療経済上の損失まで考慮して、廃棄がもったいないかどうかを議論してほしい。

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院外処方は3倍高い?
- 2017/11/25(Sat) -
院外処方の調剤技術料が院内処方の3倍であることが、最近急に問題視されています。
内閣官房行政改革推進本部が先週提出した、「調剤技術料」に関わる行政事業レビューシートが発端です。

「平均的な技術料」として例示された技術料の比較グラフが、なかなか衝撃的なのです。
院内処方では940円の診療報酬が、院外だと薬学管理用・調剤料・調剤基本料が上乗せされて、合計2,900円。

医療機関に厳しく調剤薬局に手厚い報酬は、医薬分業を進めるためのインセンティブでした。
しかし、医療機関による「薬漬け医療」を撲滅するための方策は、皮肉にも調剤医療費の膨張を招きました。
薬は減っても薬代は上がる。医療機関が儲からなくなったかわりに、調剤薬局が儲かるようになったわけです。

10年前はまだ、医薬分業が強く推奨されていた時期だったので、私は迷わず院外処方を選んで開業しました。
近隣に調剤薬局がなければどうしようもありませんが、さいわい某薬局がクリニックの隣に来てくれました。

その「門前薬局」とはもちろん、経営上のつながりはなく、当院の処方箋はどこの薬局でも使える建前です。
しかし事実上、当院の処方箋の多くがその薬局に持ち込まれるので、薬の品揃えは当院と相性バッチリです。
患者さんのデメリットは、院外処方なので全体の医療費が高いということ。これは、いかんともしがたい。

行革推進本部は、院内処方と院外処方のコスト差は妥当なのかと、いまさらのように疑問を呈しています。
そのうち、院内処方への回帰を推進する政策に転換するかもしれません。現場は振り回されっぱなしです。

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