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本日稼働したPCR検査センターの検査料金は860円
- 2020/07/06(Mon) -
熊本県内初のPCR検査センターが、本日稼働しました。市の委託を受けて市医師会が運営する医療施設です。
検査を受けるために、もう相談センターに相談する必要はありません。登録医の紹介状だけでOKです。で、

「検査費用は無料で、初診料が保険適用3割負担の場合、860円かかる」と、新聞に書いてあるんですけどね。
「えっ、検査無料? なに、初診料? どゆこと?」て、なりませんかね、その書き方だと。

検査センターに出向いた患者が検査を受ける際に支払うお金は、患者にとっては全部「検査料金」なわけです。
保険診療上の名目を正確に書くことが必ずしも親切とは限りません。むしろ混乱を招きかねません。
「支払う料金は3割負担で860円です」ぐらいの記載にとどめておけばよかったのに。

検査結果は翌日の正午までに、紹介医と本人と保健所にも連絡されることになっています。
私も休診日にはときどき、検査担当者として出勤させていただくことになります。どうぞご利用ください。

さて、検査方法なんですけどね。検体は2種類。唾液か喀痰と、医師が採取する鼻咽腔ぬぐい液です。
医師は、長手袋が2本ぶら下がったアクリル板越しに、その手袋に手を突っ込んで検体採取操作を行います。
これなら検査所内感染も完璧に防げるので安心ですね、と思われたとしたら、それは大間違いです。

なぜなら、アクリル板の向こう側の安全領域に立つのは、医師だけだからです。
アクリル板の手前側の、検査を受ける人のそばには看護師が立って、唾液や痰を採取しなければなりません。

医師だけが安全な壁向こうにいて、看護師や検査技師は防護具を装着して危険領域に立つ、という構図。
その写真が新聞等にも掲載されていますが、なんか釈然としませんよね。印象悪いです。

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先発医薬品の名称は、詩的であれ
- 2020/06/22(Mon) -
「クラリシッド」という抗生剤は、とくに子どもに対してよく処方する薬です。苦いので嫌われます。
一般名は「クラリスロマイシン」で、商品名としてはクラリシッドのほかに「クラリス」もあります。

そのクラリシッドの国内製造販売が、現在の「マイランEPD」から「日本ケミファ」に「承継」されます。
もともとこの薬は、5年前に「アボット ジャパン」からマイランに承継された薬でした。
このように、製薬会社に何らかの事情や戦略があって、薬の製造販売元が移ることは、よくあります。

ケミファは、この薬の後発品(錠剤のみ)を販売していますが、このたび先発品販売に躍り出るわけです。
いまは後発品メーカー(しかも中堅)のケミファですが、かつては先発品メーカーでした。

そしてケミファといえば、製造承認を受けるための治験データをねつ造して、大問題になった過去があります。
私が医学部の学生時代のことで、当時はそれほど興味は無かったのですが、後になって調べて知りました。
データをねつ造したいくつかの薬のうち、高血圧治療薬(降圧剤)の名前が「トスカーナ」でした。

トスカーナといえば、フィレンツェを州都とする、イタリア中部の州です。
私が訪れたことのある数少ない海外の旅先の中でも、また行きたい場所第1位の、思い出深い土地です。
歴史、芸術、自然、なによりもワインと食べ物・・・と、いまでも「脳内旅行」が止まりません。

なぜそのような「美しい」名前をつけた薬で、データをねつ造するような汚れた気持ちになれたのでしょうね。

医薬品の名前には、一般名や構造や疾患名や薬効等を表す言葉を組み合わせた、妙な造語をよく見かけます。
できれば個性的で詩的な名称にして欲しいものですが、そんな気の利いた名前に、最近あまり出会いませんね。

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医療従事者の苦労はさまざまですが、ともかく頑張ってます
- 2020/05/30(Sat) -
「ブルーインパルス」が昨日、医療従事者への感謝と敬意を表すために、東京都心上空を編隊飛行しました。
医療従事者に限らず、屋外で青空を見上げた誰もが、明るい前向きな気持ちになったことでしょう。

感染の危険を覚悟で「仁術」を施す医療者に対して、世界中の人々が惜しみない謝意を抱いてくれています。
たいしたことはしていない私も医療従事者の端くれとして、多くの方々の配慮をありがたく感じます。

ただ、私が言うのもおこがましいですが、謝意の表明があまり過度にならないようにお願いしたいものです。
このような動きばかりが目立つといつか、かえって医療従事者への反発を招きはしないかと心配になるのです。
なぜなら、いま苦しんでいるのは医療従事者だけではないからです。

ほとんどの感染者は、何の落ち度もないのにウイルスに感染し、本人も家族も友人もみな苦しんでいます。
またこのコロナ禍では、医療以外の多くの職業の人たちが、経済的にも社会的にも苦しい目に遭っています。

そんな中で最近、医療機関の経営難に対しても、ようやくメディアが取り上げるようになってきました。
コロナ対策で病床稼働が悪くなった大病院だけでなく、受診控えによる患者激減で診療所も苦しんでいます。
経営に関しては、営業自粛に苦しむ飲食業や観光業等に目が行きがちですが、医療機関も同じなのです。
とくに医療機関の場合は、その経営破綻が地域医療にもダメージを与えるという二次的なリスクもあります。
「仁術」で称えられている医療者は口にしにくいですが、「算術」面のサポートが実は必要なのです。

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マスクも消毒液も値崩れ間近かもしれないので、高値で買わないこと
- 2020/05/24(Sun) -
ユニクロが、通気性に優れた「エアリズム」の素材でマスクを作るって話に、素朴な疑問なんですけど。

そもそも、マスクのウイルス捕集効率(濾過効率)って、通気性とのバーターみたいなものじゃないんですか。
通気性に優れたマスクって、ウイルスも快適に通過するんじゃなかろうかと心配になるんですけどね。
そこらへんの厳密な基礎実験や性能試験を積み重ねた上での、ユニクロの製品設計だと思いたいです。

シャープのマスクが大人気で抽選の応募者が殺到してますけど、冷静に考えれば価格がだいぶ高いですね。
税・送料込みで約4,000円というのは、マスクの流通が改善しつつある今となっては非常識とも言えます。
大騒ぎして応募して見事当選したものの、届く頃にはその値段に納得できない、てことになりませんかね。

マスク価格がコロナ前のレベルまで戻るかどうかわかりませんが、妥当な価格は50枚で500円以下でしょう。

消毒液だって、これから入手しやすくなるはずですが、医療機関ではちょっとしたトラブルが起きています。

厚労省が手指消毒用エタノールの「優先供給」を開始したと知り、あわてて申し込んだのが先月初旬のこと。
医師会の申込書には「有料頒布」とありましたが値段が書いてない。なのに「キャンセル出来ません」だと。
それでも申し込んだのは、消毒液がどうしても欲しかったから。言い値で買うしかない状況だったのです。

それから3週間ほどして、ヤマト便で届いた消毒液は、なんと1本(1L)4,218円なり。ちょっと高くない?
私は大人しく受け取りましたが、その割高な代引価格に対しては、一部で受取拒否騒ぎが起きているようです。

国から届く予定の消毒液と言えば、特定アルコールの「一斗缶」が、まだ届きませんね。こちらは無償。
大量の消毒液として期待してるんですが、いつ届くか分からないんじゃ役に立ちませんよ、いくらタダでも。

新型コロナにまつわる国の施策って、どうしても後手後手で、おざなりで、杓子定規で、チグハグですね。
いつか来る第2波までには、マスクも消毒液も防護具も、十分な国家備蓄と供給体制の整備をお願いしますよ。

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新型コロナ抗原検査を導入するからには、十分な準備と覚悟を
- 2020/05/13(Wed) -
新型コロナの「抗原検査キット」が、原則として有症状者に対して、医師の判断で使えるようになりました。
当院のような医療機関でも、インフルエンザの検査みたいに院内でサクッと迅速診断ができちゃうわけです。

と書くと、なんだかコロナも先が見えてきたように錯覚しますが、まったく違います。

(1)感度は低い
安易に検査して不用意に「陰性判定」を出すと、間違ったお墨付きを与えることになる可能性があります。
偽陰性の感染者を誤解させて野に放つことが、この検査法導入後の大きな問題になるかもしれません。
この手の検査は、インフルでも同様ですが、陰性判定には使えないのです。

(2)安易な受診が増える
その場ですぐ判定してもらえるとなれば、新型コロナを疑って医療機関を受診する患者は増えるでしょう。
検査目的の受診をどのようにコントロールするか、工夫が必要です。
PCR検査の要件が厳しすぎた経緯を踏まえると、抗原検査の検査条件を厳しくしすぎるわけにもいきませんが。

(3)厳しい感染防御が必要
これまではスルーしてきた可能性も否定できない新型コロナ感染者を、今後は捕捉しやすくなります。
ただし、クリニックの外来でいきなり「コロナ陽性」の判定が出てしまうことを想定した準備が必要です。
感染防御態勢を一層強めておかなければ、陽性判定後に大騒ぎになってしまいます。

(4)どっちみち治療薬待ち
診断を付けやすくなれば、感染者の管理もやりやすくなり、感染拡大を止めることにつながるでしょう。
しかし、有効な治療薬が開発されない限り、感染者の生命予後は変わりません。アビガンは効くのでしょうか。
インフルに対するタミフルのような薬が無いまま、診断だけバンバン付けていくというのも、いかがなものか。

ともかく、さまざまな準備と覚悟がなければ、抗原検査キットなど安易に導入できないということです。
とは言え、新型コロナ診療を大きく転換させ得る、画期的な検査手法だとも思います。やはり、導入でしょう。

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熊本地域医療センターで起きた新型コロナ院内感染に思うこと
- 2020/05/12(Tue) -
熊本地域医療センターは、5月7日から再開したばかりの外来・新規入院業務を、9日からまた休止しています。
4月11日の感染者の受診を契機とした新型コロナウイルスの院内感染が、まだ途絶えていなかったためです。

最初の患者Xに対応した外来看護師Aが17日に発症。その同僚の内視鏡室勤務の看護師Bが18日に発症。
さらに19日に臨床検査技師Cが発症し、その濃厚接触者の検査技師Dが5月3日に発症しました。

看護師Aは防護服を着けていたようなので、救急外来でXからの飛沫を浴びて感染したのではなさそうです。
技師Cと看護師A, Bとは直接接点はなく、また技師Dは十分な経過観察の後の勤務再開後に発症しました。

このような院内感染が出ている一方、患者Xの診療を行った他の多くのスタッフからは感染者が出ていません。
感染者からの飛沫感染は防御できても、拡散したウイルス付着物からの接触感染は防ぎ難いのかもしれません。

たまたま4月中旬に、地域医療センターの呼吸器内科の先生による診療マニュアルを読む機会がありました。
防護具の重装備はもちろん、患者に触れないために聴診すら行わないと、そこに記載されていました。
そこまでするのかと、少々驚きました。なにしろ私は今のところ、全患者の聴診ぐらいはしてますから。

そのような病院なのに院内感染者が出たのは、最初の患者Xの初診時の対応に原因があったかもしれません。
この方は当初、自分の発熱については伝えず、喘息であると自己診断して外来を受診したとされています。
自身が医師だからこその思い込みが、医療スタッフにイレギュラーな対応をさせた可能性も考えられます。
どんな医療行為でも同じで、大事なところでは例外を作らないこと。あと、人を見たらコロナと思え、ですね。

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患者も医師も自宅に居るというテレワーク診療だって可能なはず
- 2020/05/02(Sat) -
「最近テレワークなんですよね」と話す方が増えてきました。「なので体重が増えました」と続きます。
だろうと思います。通勤でだいぶ歩くし、職場でもそこそこ歩くはず。それが無くなったわけですからね。

私も以前、休診日に終日自宅でボンヤリ過ごした日の歩数が700歩だったことに、戦慄したことがありました。
いまは大丈夫ですよ、ルームランナーしてますから。

医療機関の場合、テレワークができません。なので私はこれまで通り、週に5日ほど通勤して仕事しています。
生活習慣病診療にはマスク、それ以外ではキャップやゴーグルやフェイスシールドを装着して診察しています。

感染予防のために、電話等による再診や初診すら、いまは特例で認められています。
自宅に居る患者さんに対して、私がクリニックで処方箋を発行するのは、ある意味「逆テレワーク」です。

よく考えたら技術的には、自宅に居ながら患者さんと電話したり、処方箋を薬局にFAXすることは可能です。
じゃあ私もテレワークできるのか。制度上このような「診療」が認められるのかどうかは、わかりません。

少なくとも、万一私がコロナに感染したり濃厚接触者となった場合でも、電話診療は可能だということですね。

始業前に私はいつも検温していますが、もしも37.5度以上だった場合にどうするか。いまそれを考え中です。
微熱程度で休診したくはないけど、対面で診療するのには問題がある。じゃあオンラインだ、となります。

院長室と診察室との間でオンライン診療ができるように、院内LANの拡充作業をいま進めているところです。

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コロナっぽくなくても、コロナの可能性は想定しなければなりません
- 2020/04/22(Wed) -
「ブルー・コメッツ」のジャッキー吉川氏(81歳)が亡くなったと報じられました。
訃報のTVニュースでは、ブルー・コメッツの大ヒット曲『ブルー・シャトウ』(67年)が流れていました。

「♪森と〜、泉に〜、囲〜まれて〜・・・」たぶん半世紀ぶりに、その歌詞を聞きました。
するとその瞬間、「森とんかつ♪」というフレーズを思い出しました。なんなら続きは「泉にんにく♪」です。

この歌は、メロディーがゆったりとして言葉が少ないので、合いの手を入れた替え歌が当時大流行しました。
テレビで何度も流れるし、よく知ってる食材名が出てくるので、学校でもみんなが口ずさんでいました。

もう何十年も耳にすることのなかった歌なのに、急に思い出した今でも、替え歌は全部歌えることに驚きます。
よっぽど当時の子どもの琴線に触れる歌詞だったんでしょうね。差し障りがあるので全文の記載は控えますが。

吉川氏は一人暮らしだったそうで、高齢者の孤独死と聞くと新型コロナじゃなかろうかと思ってしまいます。

それは違うとしても、病死したりやケガをした方が、あとでコロナだと分かる事例がたびたび報じられます。
警察から逃げる途中で交通事故に遭って救急搬送された人がコロナ感染者など、想定のしようもありません。
軽症感染者ということで自宅待機中に亡くなった方もいました。
コロナ以外の疾患での入院患者にPCR検査をしたら、約6%が陽性だったという慶応大の発表は衝撃的です。

感染者の臨床経過や行動は様々であり、感染者本人も周囲の者も医療者も、まったく油断ができません。
誰もが感染者である可能性を考慮して、医療でも一般の社会生活でも、常に注意を怠らないことでしょうね。

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防護具が不足しているので再利用するとなれば、またリスクがあります
- 2020/04/19(Sun) -
不足している高規格のN95マスクは、「例外的に」再利用してよいと、厚労省からのお達しがありました。

再利用法のうち、5日間のサイクルで毎日取り替える方法は、滅菌器を必要とせず当院でも実施可能です。
5日のインタバールがあれば、マスク表面に付着したウイルスは不活性化するだろうという理屈です。

週休2日の場合、1週間でちょうど一巡する使い方ができます。手持ちのマスクが5枚あればなんとかなります。
たとえばマスクに曜日を書いておき、毎朝その曜日のマスクを装着するというやり方が、間違いがないですね。
残りの4枚は、どこか風通しの良い(でも人目につかない)ところで保管(陰干し?)しておきましょうか。
目に見えて汚れたり損傷した場合は廃棄するルールなので、汚れない限りずっと使い回せるわけです。

じゃあ、1日1個使うとして、朝から晩まで着けっぱなしかというと、そういうわけにはいきません。
少なくとも、休憩中とか水を飲むときには一時的に外します。その際に大事なのは、マスクの外し方です。
清潔側(内側)と不潔側(外側)を厳密に区別して、慎重に脱着しなければなりません。

マスクだけではなく、キャップやガウンも診療中に脱ぎ着するのであれば、やはり慎重な清潔操作が必要です。
もちろん理想を言えば、すべての防護具を患者毎に毎回取り替えるべきですが、そんなムダはできません。

明らかに多くの飛沫を浴びたり、目立って汚れたりでもしない限り、同じ防護具を1日中使うことになります。
となると、マスクやガウンの外側にウイルスが付着したまま、診療を続けることになる可能性があります。

残念ながらこの方法では、医療従事者が我が身を守ることはできても、患者間での感染リスクがあります。
言い出すとキリがありませんが、院内感染を完璧に防ぐためには、本当はもっと潤沢に防護具が必要なのです。

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不本意ながら、経過観察しかできないこともあるのです
- 2020/03/19(Thu) -
ANAが、およそ8千人いる客室乗務員のうち約5千人を、一時的に休業させる方針を固めたと報じられました。
国際線の約60%、国内線の約10%で運休や減便を決めたので、労働者に対する措置も必要になったわけです。

風邪等での受診者が激減している現在、医療機関においても、雇用を守るための工夫が必要になっています。
学校の休校にともなって欠勤した従業員への賃金を補償する助成金制度は、当院でも利用する予定です。

ただ医療機関は、感染拡大防止のためにただ休んでおけば良い業種ではありません。
むしろ、感染症拡大を防ぐ役割を担うべく、ある意味では決死隊のような覚悟で仕事に臨む必要があります。

さいわい今のところ、新型コロナを強く疑う来院者はまだいませんが、嵐の前の静けさなのかもしれません。

実際に今日も、帰国者・接触者相談センターからの指示に従って、当院を受診した方がいました。
長く続く風邪症状で某病院を受診したら、診療を拒まれ、相談センターに連絡するように言われたとのこと。
そのセンターからの指示で当院を受診した方なので、まさかまたセンターに相談するわけにもいきません。

普通の風邪っぽかったので一般的な処方を行い、今後病状が悪化するなら明日他院へ行くよう指示しました。
患者さんには、医療機関A→相談センター→医療機関B(当院)→医療機関C?という、たらい回しになるのか?

医師が念のためと思っても、相談センターはそう簡単にはPCR検査のできる病院への紹介はしてくれません。
杓子定規に規定を遵守しているだけなのか、それとも検査のキャパがよほど少なく、温存しているのかも。

一般の医療機関の医師の判断だけでは、現時点ではPCR検査には回していただけないのが実情です。
やがて本格的な流行が始まったとき、一般の医師の裁量でPCR検査ができるようになるのか、ならないのか。
重症者と濃厚接触者に的を絞って検査と治療を行う日本のスタイルが、今後も続くのかもしれません。

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感染防御のためには、使い回さなくても良いぐらいに防護具が欲しい
- 2020/03/15(Sun) -
防護具の不備な状態で新型コロナウイルス感染者の飛沫を浴びた場合、その診察医は濃厚接触者となります。
一定期間の自宅待機等の対象になり、診療所もしばらく休診しなければなりません。そうなると一大事です。

風邪だと思って診察した患者さんが、あとで新型コロナだとわかるケースが今後出てくることでしょう。
誰がコロナか非コロナかわからない以上、本来危機管理上は、全患者がコロナの可能性ありと考えるべきです。
インフルエンザなどの検査を行う際にはエアロゾルが発生しやすく、とくに強力な防護具が必要です。

さらに言うなら、1人の診察が終わるたびに防護具を取り替える必要があるのか、という疑問も生じます。
厳密に言えば、取り替えるべきでしょう。ただしそんなことをしていたら、すぐに防護具が足りなくなります。

厚労省はどこまでの厳密さを医師に求めているのか。やぶ蛇を承知で、厚労省に電話してみたら、その回答は、
「新型コロナ疑い患者の診察時に飛沫が防護具に付着したら、それを着たまま次の患者の診療はできません」
「防護具を消毒後に再利用する場合も、診察後はいったん脱いで、取り替えまたは消毒をしてください」

その規定はどこに書いてあるかと尋ねたら、厚労省の「新型コロナウイルスに関するQ&A」にあるとのこと。
ただし「医療機関・検査機関の方向け」の部分ではなく、「遺体等を取り扱う方へ」のところにありました。

もしかすると厚労省は、医療者のガウン取り替えの必要性を、厳密には規定したくないのかもしれません。
厳しく規定して防護具が足りなくなると診療が止まるので、そこはウヤムヤにしておきたいのです、きっと。
私が電話した時も、回答が得られるまでだいぶ待たされました。本当は答えたくなかったのでしょう。
ちなみに保留音は、アルトサックスがノリノリのジャズだったので、待たされても苦になりませんでした。

さて、これからです。ガウンが不足していることを理由にして、その慎重な使い回しは許容されるのか否か。
ガウン使い回し診察後の患者から新型コロナ感染者が出たら、メディアは使い回しを叩くかもしれません。
今後流行のピークが来たとき、感染防御においてどこまでの厳密さまでが求められるのか、心配は尽きません。

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選定療養費
- 2020/01/07(Tue) -
この時期どうしても、予約なしで朝から来院される方が多いです。
夜中から高熱が出たり嘔吐が続くお子さん、喘息症状がひどい人、動悸や胸痛を訴える成人の方もいます。

すでに9時からの診療枠は、ネットや電話で予約済の方で一杯で、その多くが高熱の方です。
なので予約なしで窓口に来院された方への対応は、おもに次の2つに分かれます。
(1)病状が重い方は、そのまま診療(できるだけお待たせしない)
(2)病状が軽い方は、予約患者の合間に割り込む形で診療(少々お待たせする)

このうち(1)のケースに対応できるのはしかし、せいぜい2,3人まで。5人も6人も来られたら無理です。
直接来院された重病者は早めに診療したいですが、予約済の重病者の診療をどんどん遅らせるのも問題です。
前夜から高熱でぐったりでも、朝の受付時刻を待ってから予約を入れ、時間通りに来る方もいるからです。

重症だと思って来たのに待たされた方は、それほど重症ではなかったのだと思っていただけると助かります。

基幹病院の救急外来のコンビニ受診を少しでも減らせるならと、当院では土日祝日の診療を続けています。
その当院受診者にも、ときどきかなり重症の方がいます。そういう方のトリアージが私の仕事です。
私の手に負えない患者さんは、日赤や地域医療センターなどの先生方に、治療をお願いすることになります。

本来は、重症の方は最初から病院を受診していただきたいところですが、それはなかなか難しくなりました。
緊急の場合等を除き、医療機関からの紹介状がなければ、5,500円の「選定療養費」が徴収されるからです。

ただ、紹介状(診療情報提供書)を書くのにも時間がかかるし、だいいち患者さんに余計な手間をかけます。
当院の初診料と診療情報提供料を併せると、選定療養費を超える医療費もかかってしまいます。
大病院の負担軽減の目的はわかりますが、もう少しスマートな解決法はなかったんですかね。

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出席停止期間のさじ加減
- 2019/12/28(Sat) -
当院は今日が「診療納め」でした。明日から年末年始のお休みをいただきます。

そんな今年最後の診療日にもまた、インフルエンザに罹ったお子さんや大人が、何人も来院されました。
学校はすでにお休みですが、今後数日間は「出席停止」に準じて行動してもらわなければなりません。
本日発症の方は、たとえ治りが良くても、5日後の1月2日までは感染力があると考えていただきます。
したがって、たとえば公共の乗り物に乗ったり映画を観に行くのは、なるべく1月3日以降でお願いします。

「発症した後五日を経過し、かつ、解熱した後二日(幼児にあつては、三日)を経過するまで」

これが学校保健安全法施行規則による、インフルエンザ罹患後の出席停止期間の規定です。
簡単に言うなら、「発症した日の6日後以降で、かつ、解熱した3日後から登校できる」ということです。

以前、どの時点をもって「発症」と見なすのか、という問題について書いたことがあります。
しかしそれと同様に、どの時点をもって「解熱」したとするのかという点も、実は微妙に問題となります。

最近の新聞記事に、「解熱した日はカウントせず、翌日から1日、2日と数えます」という記載がありました。
さらに、「熱が下がった時間帯は、カウントに影響しません」ともありますが、話はそう単純ではありません。

たとえば「朝起きたら熱が下がっていた」とき、解熱したのが朝なのか、未明なのか、前夜遅くなのか。
解熱したのが夜中の0時より前か後かで、登校できる日が1日違ってしまいます。

このようなケースで私は、子どもの全身状態を診て、解熱の日時を臨機応変に判定することになります。
インフルエンザにおける発症と解熱の時期は、丁寧な問診と診察によってケースバイケースで解釈すべきです。
出席停止期間は、法令の規定そのものは遵守しつつも、最終的には医師の裁量で決めるものなのです。

※文中で「解熱」とした部分は法令に準じた表記であり、私としては「下熱」と書きたいところです。

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服薬依頼書
- 2019/12/05(Thu) -
お子さんに薬を処方すると、「服薬依頼書」を書いてくれと頼まれることがあります。

多くの幼稚園や保育園では、医師からの服薬指示(依頼)がなければ、薬を飲ませてくれないのです。
また一部には、原則として保育中の内服ができない「内服薬お断り」の園もあります。

そのような背景がある場合、お母さんはたいてい「1日2回の薬をお願いします」と言ってきます。
風邪などでは、1日3回の薬を1日2回に「減量して」処方しても、たいした問題はありません。
どっちみち対症療法ですから。

ところが、溶連菌感染に対するペニシリン系抗生剤など、どうしても1日3回飲む必要のある薬が問題です。
このような薬は、その作用時間を考慮して1日3回飲むわけで、1日2回では効果が減弱します。
多くのセフェム系抗生剤も同様で、ときどき他院の1日2回の処方を見かけるので驚きます。

本来、1日3回の抗生剤は、1日24時間を3等分した8時間間隔で飲むのが理想です。
つまり、朝8時の次は16時に飲めばいいわけで、昼食後に内服する必要はありません。

園から帰宅するのが午後4時か5時のお子さんなら、朝・帰宅後・寝る前、の3回の内服で良いわけです。
私がそのように説明すると、親御さんは「1日2回内服」の呪縛から解き放たれたような顔をされます。

たまに、園からの帰宅が毎晩7時だというお子さんもいて、その場合は必要に応じて書類を書きます。
ただ、1日3回の抗生剤を、朝7時・昼12時・夜8時、という内服のしかたで良いのかは、疑問です。

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風しん対策は低調
- 2019/11/30(Sat) -
風しんの追加的対策」が、今年度から3年間の時限措置として始まっています。
公的な予防接種歴の無い40〜57歳の男性に対して、抗体検査とワクチン接種を推進しようという方策です。

検査と接種のための無料クーポン券は、3年計画で段階的に送付されることになりました。
「事業開始当初に受検希望者が集中すると、医療機関や対象者に混乱が生じる懸念がある」との配慮からです。

さて初年度の今年は、40〜47歳の647万人を対象として、クーポンが配布されました。
ところが、このうち検査を受けた対象者は9月時点で87万人。受検率13.4%という惨憺たる結果でした。

だって対象は中年男性ですよ。クーポンが来たからって、ホイホイ検査に出向くほど暇じゃないのです。
われわれ医療機関は、受検者の殺到で混乱するどころか、まったく拍子抜けですよ。

厚労省は「医療機関への駆け込み等の混乱は生じていない」と、うそぶいています。よく言えたものです。

こんなことなら次年度は、全対象者にクーポンを発送したっていいんじゃないの、って思いますよね、普通。
でも厚労省は違う。次年度も粛々と当初予定の通りに、こんどは48〜53歳を対象とするようです。

予測が間違ってたら、臨機応変に迅速に施策を修正する、ってことができないんですね、官僚には。
いちおう、今年度未使用で期限が切れるクーポンを来年度も使えるようになったことは、せめてもの救いです。

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健診の電話勧誘
- 2019/09/30(Mon) -
詐欺まがいの怪しげな勧誘が増えている昨今、多くの患者さんが困っている「勧誘電話」があります。

差し障りがあるので発信元は言えませんが、「1,000円で健診を受けませんか」と誘ってくるそうです。
「抽選で食事券が当たりますよ」などとエサをぶら下げて、何度もしつこく攻勢をかけてくるらしいですね。

これがマンションの販売なら「再勧誘」は禁じられてるはずですが、健診の勧誘だとどうなのでしょう。

当院通院中の生活習慣病の方は、おおむね年に3回程度、脂質糖質や肝腎機能などの血液検査を行っています。
その検査の医療費は、平均すると350点前後なので、窓口負担額は700〜1,000円程度になります。

件の「1,000円健診」の内容を見ると、検査項目がかなり少ないですね。もうほんと、必要最小限のみ。
この検査内容で、生活習慣病の定期検査の代用とするには不足するので、別の日に追加検査が必要になります。
患者さんは余分に痛い思いをして、余計に血液を失い、医療費としてもムダです。

なのでこの健診勧誘電話には乗らないように、当院では啓蒙活動を続けていますが、アチラもしつこいのです。
食事券等の賞品はは「およそ12人に1人は当選」するそうで、その期待値は数百円程度と見積もられます。
それならば、最初から健診費用を500円ぐらいに安く設定すればいいのに。

すでに生活習慣病で治療中の方に、中途半端な検査を有料で行うこと自体、そもそも疑問です。
しかもそれを、しつこく電話勧誘するのは問題だと思いますよ、熊本市国保の方(あ、言っちゃった)。

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医薬品名の由来
- 2019/09/05(Thu) -
咳止め薬の「アスベリン」と不整脈治療薬「アスペノン」の処方間違いが多い、という報告が出ました。
このように冒頭3文字が似ている薬は、電子カルテで処方する際に間違えて選ぶリスクがあります。

以前から、似たような名前の薬の取り違え事例は相次いでおり、その都度、注意喚起がなされてきました。
間違いそうなぐらいに名前が似ているとすれば、まず、発売よりも前に手を打つのが最善の策でしょう。
それをスルーして発売後に取り違えが起きたのであれば、必要ならその時点で薬剤名の変更を検討すべきです。

「アマリール」と「アルマール」がそうでした。これは後者が改名することで決着しました。

では、「アスベリン」と「アスペノン」では、どちらの名前を残し、どちらを変えましょうか。
歴史の長い「アスベリン」は残して、比較的新参者の「アスペノン」を改名すべきでしょうか。
あるいは、薬剤名の命名の由来も考慮して、より意義深い名称の方を残す、という考え方もありでしょう。

「アスベリン」という名称の由来は、メーカーのインタビューフォームによると「特になし」だと。ありゃま。
「アスペノン」の名前の由来もまた不可思議。メーカーによる説明はこうです(以下原文のまま引用)。

 aspen(英語)は,ポプラの葉のような,よく震える.
 ポプラの葉のようにぶるぶる震える.
 従って,アスペノン(Aspenon)は,“「ざわざわ」,「ぶるぶる」と震える心臓を抑える”という意味になる.

なにコレ。もうちょっとまともな日本語を書きましょうよ。これじゃまるで、ポエムじゃないですか。
つまり、ポプラの葉のように震える(aspen)ことがない(non)ってことですよね。まあ悪くない。
てことで、よく注意して両方とも使いましょうかね。

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医療費不払いと診療
- 2019/09/02(Mon) -
「正当な事由がない限り、医師は患者の診療の求めを拒否できない」という、医師の「応召義務」。
ややもすると理不尽な規定なのですが、昨今の働き方改革の影響を受け、少々風向きが変わりつつあります。
すなわち、医師という労働者としての「人権」も考慮すべきではないか、という至極まっとうな論調です。

このような、医師に対する優しい配慮について、メディアはなかなか好意的には取り上げてきませんでした。
過去の「優遇税制」とか「薬漬け医療」等による医師への偏見が尾を引いているのかもしれません。

ところで、医療費不払い患者に対してどこまで「応召義務」を果たすべきか、という記事を最近目にしました。

当院にも、所持金が無いから後日支払うと言いながら、未払いのままになっている患者さんが何人かいます。
そのようなことを繰り返し、その都度、所持金が無いが後日必ず払いに来ると言って久しい方が1人います。
いつも症状が重いので診察と処方を行ってきたのですが、医療費請求の電話をかけてもつながりません。

このようなケースに対して、ある弁護士の回答はこうです。

(1)特段の理由なく保険診療の未払いが重なっている場合には、診療しないことが正当化される
(2)その場合であっても、病状が重篤で緊急対応が必要な場合には、診療をする必要がある

これを、たとえば飲食店に当てはめて考えてみると、こうなります。

(1)特段の理由無く無銭飲食を繰り返す客には、食事の提供を拒否することが正当化される
(2)しかし、腹が減って死にそうだという客には、所持金が無くても食事を提供する必要がある

重い症状で来院された場合には、たとえ不払いの常習者に対しても、診療を行う義務が医師にはあります。
そういった場合には、公的な資金で未払い医療費を補填するような制度ができないものですかね。

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まず医療機関を疑う態度
- 2019/07/08(Mon) -
無効な健康保険証を提示して医療機関を受診することのないよう、お願いします。必ず面倒なことになります。
勤務先等の変更に伴って保険証が切り替わったのに古い保険証で受診する、「資格喪失後受診」の問題です。

医療機関は、保険証に記載された有効期限を見て、被保険者の資格の有効性を判断するしかありません。
もしもそれが資格喪失後の保険証だった場合、保険者はレセプトを突き返し、診療報酬を支払おうとしません。

しかし当院では、診療時にきちんと保険証を確認しているので、いくら返戻されてもそれには応じていません。
すると保険者は、被保険者との間で問題を解決せざるを得なくなり、なかなか面倒な話に膨らんでいきます。

今日は、次のような2つのケースで、関係機関と電話折衝する羽目になりました。

(1)「資格喪失後に診療を行っているが、きちんと保険証は確認したのか」という、健保協会からの照会

私「保険証はきちんと確認した上で診療しており、レセプトが返戻されるいわれはありません」
協「では、保険証確認日を記載して、所定の回答書を回答期限までに返送してください」
私「医療機関は保険証を確認するのが当然であり、改めて照会されるには及びません」
協「保険証を確認していない医療機関がある場合もあるので、照会しているのです」
私「当院は確認しています。それで十分じゃないですか。逆に当院を疑う理由があればお尋ねしますが」
協「では、回答書の返送はけっこうです」

(2)「資格喪失後の受診であるため、診療報酬を調整(減額)しました」という、支払基金からの通知

私「保険証はきちんと確認した上で診療しており、返戻されるいわれはありません」
基「保険者(某県国保)からの資格喪失連絡によって調整したものであり、国保にお尋ねください」

私「保険証はきちんと確認した上で診療しており、返戻されるいわれはありません」
国「あ、当方の間違いでした。申し訳ありませんが、診療報酬を再請求していただけますか」
私「そちらのミスなのに、ですか」
国「お手数をおかけします」

「資格喪失後診療があれば、まず医療機関を疑え」という考え方が、支払側におけるデフォルトのようです。

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「キムリア」3300万
- 2019/05/15(Wed) -
白血病などの治療薬「キムリア」の保険適用が了承され、薬価は過去最高の3,349万円に決まりました。
米国では5,000万円以上の薬なので、今日の中医協の決定額は少々安く感じましたが、それでも異常に高い。

「キムリア点滴静注」は、患者の免疫細胞に遺伝子操作を加えて体内に戻す「CAR-T」細胞療法の薬です。

患者血液からT細胞を分離増殖して「CAR遺伝子」を組み込む操作は、ノバルティス社の施設で行われます。
その、細胞加工操作の費用も込みで、今回の薬価なわけです。ただの高額な点滴薬ではないのです。

国民皆保険の日本における超高額薬の問題は、オプジーボの頃から議論されていますが、結論は出ません。

キムリアの投与対象者は216人と予測されており、人数が少ないので総額は73億円程度で済みそうです。
しかし同様の薬は今後いくらでも登場するでしょうから、超高額薬の総額はどんどん上がることでしょう。

これをすべて保険適用にすれば、医療財政が逼迫することは避けられません。
しかし自由診療(自費医療)にしてしまうと、金持ちしか受けられない治療になります。
薬価を大幅に引き下げたらメーカーの利益が出ず、日本での販売が中止されるかもしれません。

科学は加速度的に、しかも無限に進歩し、より高度な医療(高額な医薬品)が続々と登場することでしょう。
薬価はどんどん高騰するはずです。はたして国民皆保険の破綻を回避する方策はあるのでしょうか。

一方で、重粒子線治療などの「先進医療」は、極めて高額ですが保険適用外。全額自己負担です。
大金持ちでもない限り、患者はがん保険などの先進医療特約で備えるしかありません。

いずれも超高額医療なのに、一方は保険適用で、もう一方は適用外。どんな理屈をつけても納得はしかねます。

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「キムリア」承認へ
- 2019/02/20(Wed) -
厚労省の審議会が今夜、免疫細胞を活用して白血病を治療する新薬「キムリア」の製造販売承認を決めました。
一部の白血病に高い治療効果があることがわかっていて、日本での承認が待ち望まれている薬のひとつでした。
ただし、すでに実用化されている米国では、投与1回あたり約5,200万円の超高額薬として知られています。

早ければ来月にも正式承認される見通しのキムリアは、はたしてどのような薬価になるのでしょう。
オプジーボ」のときにも書いたように、超高額医薬品の導入には難しい問題があります。

・保険適用とすれば、高額療養費制度によって患者負担には上限があるため、医療財政が破綻しかねない
・自由診療とすれば、大金持ちしか使えない薬になってしまう
・薬価を下げれば、製薬会社に打撃が大きく、新薬開発のモチベーションを失いかねない

一般に、この3つを同時に解決するのは難しいとメディアは解説してますが、私は策があると思います。
それは、保険診療と自由診療の選択制度です。それぞれに割り当てる薬剤数を調整すればいいのです。

・保険診療を望む方には、ある程度「順番待ち」をしていただき、また高額療養制度の上限も少し引き上げる
・自由診療を望む方には、順番待ちに優先権を与えるかわりに、本来の薬価よりも割増料金とする
・薬価の決定基準を見直し、メーカーが許容できる範囲で薬価を引き下げる

つまり、一般患者とお金持ちとメーカーとの間の「三方一両損」で解決しようという「大岡裁き」です。

医療財政も大事ですが、お金のことは官僚や政治家がなんとか策を考えてください。
それよりも、新薬開発のやる気をそいではなりません。将来を考えたら、医学の進歩を妨げるのが最悪です。

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幻のゾフルーザ顆粒
- 2019/01/29(Tue) -
体感的には峠を越えたように感じるインフルエンザの流行ですが、地域によってはまだ、これからでしょう。

先日来、そして今日のNHKでも盛んに報じているのは、抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」の耐性問題。
数日前にも書いた通り、他の薬よりも耐性ウイルスが生じやすいのが問題だといわれています。

抗インフルエンザ薬は「耐性ウイルスが出ることを考えて慎重に選択すべき」だと専門家は言います。
でも「慎重に選択」せよと言われても困ります。具体的な指針を、学会には打ち出してもらいたい。

私が処方する際は、薬の特徴を簡単に説明して患者さんに選んでもらうのですが、次のような回答になります。
(1)新薬をお願いします
(2)従来の薬でお願いします
(3)先生にお任せします

ゾフルーザの処方に年齢制限はなく、体重さえ10キロ以上あれば10ミリ錠を1錠処方できます。
12歳未満の場合、20キロ以上なら20ミリ錠を1錠、40キロ以上なら20ミリ錠を2錠です。
でも10キロ台と言えば1〜6歳児の体重。錠剤が飲める子はあまりいません。

実はゾフルーザには、「顆粒2%分包」という製剤があります。1包=10ミリ錠1錠に相当する成分量です。
体重10キロ台の、錠剤の飲めないお子さんにも使える便利な剤形、に思えます。

ところがその顆粒は、20キロ以上のお子さんに限定して販売が承認されてしまいました。
つまり、20キロ以上なら錠剤か顆粒を選べますが、10キロ台だと錠剤しか処方できないのです。

そんなバカな。顆粒1包は10ミリ錠1錠と同じ用量なんだから、10キロ台の子どもには顆粒を処方すればいい。
・・・という考えの医者が出現する可能性を考慮して、メーカーは結局、顆粒の発売を延期してしまいました。

「適応外使用」のリスクを回避するためだそうですが、どうしてそんな杓子定規なことしますかねぇ。

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10代にタミフル出す?
- 2018/12/26(Wed) -
どうやら熊本でも、インフルエンザの流行が本格的に始まったようです。
3日前の天皇誕生日から急にインフルエンザ患者が増えており、どんどん拡大しそうな兆があります。
さて、今シーズンからいくつか、目新しいことがあります。

(1)今年から、当院では高感度インフルエンザ検査装置を導入しています
発症(発熱)から短時間でも検査可能なのが利点ですが、増感判定に時間がかかるのが難点。
同時進行で2件、3件の検査を行うためには結局、従来の迅速検査キットも併用しなければなりません。

(2)今年から、新薬ゾフルーザが登場しました
当院で現在処方しているのは、昨年までと同様に、吸入ができる年齢ならイナビル、それ以外はタミフルです。
ゾフルーザの処方には、いまのところ私は慎重ですが、そのうちガンガン処方することになるでしょうね。

(3)今年から、10代へのタミフル処方が解禁されました。
「インフルエンザで見られる異常行動は、タミフル内服後に限った現象ではない」というのがその理由。
そんなことは何年も前からわかっていたのに、厚労省が重い腰を上げるまでにはずい分時間がかかりました。

あれだけタミフルは原則禁止だと言っておきながら、手のひらを返したように、今年からOKというのもね。
今年からタミフルの成分が変わったわけでもなければ、今年から10代の体質が変わったわけでもない。

「タミフルだけが問題なのではなく、他の薬も全部問題。だからタミフル解禁します」という消極的理由です。
「タミフルが問題だとして禁止していたのは間違いでした」とは絶対に言わないのが、厚労省なのです。

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医師は例外的に働け
- 2018/12/20(Thu) -
厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」は、もう15回ほど開催され、内容が具体化してきました。
検討されているポイントをまとめると、
(1)時間外労働の上限は、一般労働者の年間720時間に対して、医師は960時間(月80時間)とする
(2)医師不足の地域や診療科などでは、例外として、年間1920時間(月160時間)まで認める
(3)連続勤務時間は28時間以内とする
(4)勤務間のインターバルは9時間以上とする

このうち(1、2)は、現状を追認して非道な「お墨付き」を出しただけの話。驚くに値しません。
一方で(3、4)は、中規模クラスの病院の外科では、とても実現できるとは思えません。

たとえば熊本市民病院時代。私が所属していた小児心臓外科のスタッフは、部長・医長・医員の3名でした。
この3人が全ての患者の主治医となり、手術に携わり、うち1人が泊まり込んで術後管理にあたっていました。
泊まり込んだ医師でも、その翌日には朝から回診・手術・術後管理というスケジュールが待っています。

連続勤務の上限が28時間となった場合、前の晩に泊まった医師は翌日の手術に参加できなくなります。
ところが心臓手術は2人ではできません。となると、2日連続で手術の日程を組むことが不可能となります。
もしも緊急手術を行うことでもあれば、その翌日に予定されていた手術はキャンセルしなければなりません。

毎日手術したり、ときには緊急手術もできるためには、外科チームの要員はどうしても4人以上必要です。
あるいは、術後管理を外科医以外の担当医が行うようなチーム医療体制も、本来は必須なのです。
このような改革は、多くの病院で、経済的観点や医師不足のために、実現性が乏しいものです。

ともかく、医師の健康確保よりも医療サービスを優先する限り、医師の働き方はなかなか改革できません。

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妊婦加算凍結へ
- 2018/12/14(Fri) -
評判の悪い「妊婦加算」が、ついに凍結されることになりそうです。根本厚労相が会見で表明しました。
妊婦に対する丁寧な診察を促すための加算でしたが、妊婦の自己負担が増えるために批判が出ていました。
趣旨は間違っていないとしても、妊婦のための仕組みが、妊婦に負担をかけてしまう制度設計が問題でした。

だから何度も言ってるでしょう。医師へのインセンティブの財源を、患者に負担させるのがおかしいって。

では、妊婦加算の趣旨が妊婦に対する丁寧な診療を促すためなのなら、その凍結は何を意味するのでしょう。
まさか、来月からは医師は妊婦に対する丁寧な診察をやめてよし、なんてことがあるはずがありません。

妊婦加算がなくなっても、急に手抜き診療をするわけでもなく、実質的に診療内容は何も変わらないでしょう。

もともと医師は、妊婦加算の仕組みが始まる前から、妊婦に対する診療は慎重に行ってきたはずです。
そう考えると妊婦加算は、さほど医師へのインセンティブになっていなかったかもしれません。
しいて言うなら、抑制され続けてきた診療報酬を少し増やすための名目だったようにも、私は感じていました。

妊婦加算が「炎上」し、医師には火の粉が降りかかって困っていますが、火元は厚労相と中医協です。
おまけにその妙に迅速な凍結は、凍結しても診療を変えないであろう医師の性質を見越した対応ともいえます。
ともかく、医師は妊婦に対しては以前からずっと丁寧に診療してきたことを、ここで明言しておきます。

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武田薬品のグローバル化
- 2018/12/05(Wed) -
武田薬品によるアイルランドの製薬会社「シャイアー」の買収が、今日の臨時株主総会で承認されました。
約6兆8千億円という驚異的な買収額は、日本企業としては過去最高。

日本の製薬会社では最大手の武田薬品は、昨年の売上高でみると世界第19位。シャイアーは20位。
この2社が合併すれば、単純計算で世界第8位あたりに躍り出ることになるようですが、それでもまだ8位。
製薬の分野では、日本はようやくグローバル企業の仲間入りを果たしつつある、という程度なんですね。

武田と言えば、私が研修医の頃には、塩野義や三共と並んで最も勢いのある製薬会社のひとつでした。
ここで若手医師にとっての「勢い」というのは、当時「プロパー」と呼ばれた人たちの営業力に一致します。
彼らは医局に入り浸り、主力商品の売り込みを兼ねて、飲食物などの差し入れをします。しかも多量に。
研修医相手でも、接待(高級鮨店などで好きなだけ食わせる)は頻繁でした。いわんや上級医師をや、です。

しかし90年代には、バブルがはじけ、外資系の薬が入り込み始め、業界全体の雰囲気が変わってきました。
接待は年々沈静化し、近年では医師の側も、そのような期待すらしなくなってきました。当たり前ですかね。

かつては抗生剤でお世話になった武田薬品ですが、最近はずっと、生活習慣病治療薬のイメージでした。
ところが2,3年前から、高血圧、糖尿病、高脂血症などの治療薬から武田が撤退するという話が出始めました。

たしかに血圧や血糖を下げる薬は十分揃っています。画期的新薬を開発するのは、容易ではないでしょう。
そのような新薬開発の難しさもあるし、莫大な費用を投じて開発しても、特許が切れたら利益が出ません。

それに考えてみれば、生活習慣病の治療は、生活習慣の改善が本筋。新薬開発の意義は微妙かもしれません。

となると、これからは「バイオ医薬品」でしょうか。武田がやや不得意な分野のようです。
そのような新薬を一から開発する時間を節約するために、シャイアーの買収を行ったと報じられています。
これは、IT業界でもよく行われること。AppleもGoogleも、みなそのようにして拡大してきました。

グローバル企業として生き残るためには、どの業界でも結局、そのような選択肢しかないのでしょうかね。

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勤務間インターバル
- 2018/12/02(Sun) -
医師の長時間労働問題について、厚労省は「勤務間インターバル制度」を導入しようと考えているようです。

勤務終了から次の勤務までの間に、一定の休息時間を設けようという考え方です。
残業をどうしても規制しきれず医師の長時間労働を黙認している厚労省が、少し発想を変えたとも言えます。

私が勤務医なら、残業が少々長くてもその後の休息時間を保証してくれるのであれば、単純に有り難い話です。

医師というのは、とても責任感が強い人種です。
担当する患者の具合が悪いときや、緊急手術が飛び込んできたときに、帰宅する気にはなれません。
とくに若い頃はしばしば病院に泊まり込み、また翌日働き、どうかすると次の晩も泊まり込んだりしました。
「もうお前は帰れ」と指導医に命じられてようやく、後ろ髪を引かれながらも、しぶしぶ帰宅したものです。

それほどまでに、仕事の途中では帰れない(帰りにくい・帰りたくない・帰ろうとも思わない)職業なのです。

ところが学会出張などで上京したような時には、不思議と吹っ切れたものです。
病棟を気にしてもどうしようもないし、病院には留守番がいる。自分はもう学会に集中するしかないからです。

それと同じように、いったん帰宅したら一定時間は出勤禁止、と厳しく規定してくれたら気が楽でしょうね。

深夜に帰宅しても早朝出勤したり、夜中にたびたび呼び出されるような日が続くのが、いちばんストレスです。
たとえ残業時間が月150時間でも、勤務間インターバルが10時間保証されるのなら、私はそっちの方がいい。

あとはその「インターバル」の実効性がどうかってことと、医師の数が足りるのかって問題ですけどね。

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妊婦加算の問題
- 2018/12/01(Sat) -
診療報酬の「妊婦加算」が、問題視されています。
医師が妊婦を診察した際に上乗せする医療費のことで、今年の4月の診療報酬改定時に導入されました。

これは、妊婦に対しては特別の配慮をもって診療に臨むという、ごく当たり前の医療行為を評価するものです。
その上乗せされた医療費は、受益者である妊婦が、その一部を負担することになります。

妊婦にしてみれば、妊娠に配慮した検査や処方が受けられるなら、少々の負担増も納得できるかもしれません。
しかし、コンタクトレンズの処方にも妊婦加算が適用されることなどには、疑問の意見も出ています。

もちろん、妊娠の継続や胎児に配慮した適切な診療を評価するという、加算の趣旨が問題なのではありません。
算定基準がおおざっぱ過ぎなのです。そこで厚労省は、加算の適用を厳格化する方向で調整に入るようです。

さらにもうひとつ言うなら、上乗せされる医療費を、診察を受ける妊婦が負担することも問題です。
妊婦のための規則なのに、「妊婦税」とも揶揄される医療費負担増で診療を受けにくくなるのでは逆効果です。

一般に診療報酬においていは、医師に対するインセンティブはつねに、患者負担を財源にして成立しています。
だからこのたびの妊婦加算のような問題が起きると、医者が悪意をもって儲けている問題なのかと疑われます。

でもそれは誤解です。妊婦加算は医者が好きで算定しているのではありません。算定する規則なのです。
批判されるべきは、考えの足りない中途半端なルールを作った厚労省や中医協の方でしょう。

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厚生局の指導
- 2018/11/19(Mon) -
厚生局から「集団指導」開催の連絡が届きました。12月15日(土)の15時から参加せよという通知です。
ちょっと待ってください。その日当院は診療日なんですけど。
おまけに15時と言えば、インフルエンザワクチンのネット予約枠の、接種時間帯ど真ん中なんですけど。

会場(県庁)に行くまでの時間や準備時間を考慮すると、診療が出来るのは14時過ぎまでです。
14時台以降の予約者全員に電話で連絡して、日時の変更をお願いしなければなりません。これは大変。
もともと土曜の午後の接種予定者には、平日への振り替えが難しい方も多いことでしょう。これは困った。

なにか救済措置は無いのでしょうか。思い切って昼休みに、九州厚生局熊本事務所に電話してみました

私「集団指導の日時の件なのですが、当院の診療時間と重なっておりまして、いかがしたものかと・・・」
厚「過去6年間に個別指導等を受けていない方への説明会ですから、参加は強制ではありません」
私「ですが、参加しないと何かしらの・・・」
厚「ペナルティーはありません」
私「まったく問題はないのでしょうか?」
厚「どうぞご心配なく。代理の方でも来られるのであれば、資料をお持ち帰りいただきます」
私「では、せめて、資料だけでもいただきに参ります」
厚「あ、いやいや、厚労省のHPからダウンロードできるので、わざわざ来られる必要もありません」

という具合に、厚生局の温和で丁寧な対応は拍子抜けするほどでした。私が一人でビビっていたようです。
ていうか、「説明会」程度の行事に、「指導」という恐ろしい名称を使わないでもらいたい。

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添付文書の電子化
- 2018/11/17(Sat) -
厚労省は、医薬品の「添付文書」のペーパーレス化を進めようとしています。
添付文書というのは、薬のパッケージに入っている、用法・用量・警告・薬理作用等が記載された文書です。

この文書はたびたび改訂されるので、医薬品に同梱されている添付文書は、必ずしも最新版ではありません。
このことは以前から問題でした。改訂前の文書が添付してあるのは、トラブルの元ですから。

たとえば、家電製品に同梱された取扱説明書の情報が古くて間違ってたら、それこそクレームの嵐でしょう。
ところが医薬品の場合は、改訂前の添付文書を鵜呑みにして問題が起きたら、医療機関も責任を問われます。

そこで、添付文書の改訂情報を記載した郵便物が、製薬会社から毎日のように送られてくるというわけです。
全国の医療機関や薬局に送付されいるのかと思うと、郵便物の量は膨大でしょう。
受け取る側もうんざりです。毎日の開封作業だけで疲れます。ゴミ箱はすぐ満杯になります。時間もムダです。

それに加えてご丁寧に日本製薬団体連合会からも、改訂情報等をまとめた冊子が毎月送られてきます。
おまけに医薬品医療機器総合機構(PMDA)からは、メールで最新の医薬品情報が毎日届きます。

といった背景があるので、このたびの添付文書の同梱を廃止するという方針は理にかなった話です。
ただしその代わり、ネット等で簡単に医薬品情報を検索できるシステムを構築してもらいたいものです。

現状でもPMDAのサイトで検索出来ますが、お役所仕事だからしょうがないとは言え、どうにもデキが悪い。
もっと簡単に、サクッと検索・閲覧・比較・引用ができて、しかもビジュアルなサイトを作ってもらいたい。

重要なのはペーパーレス化ではありません。最新情報をいかに迅速に効果的に医療機関に届けるられるかです。
電子カルテとリンクしてくれたら、言うことないんですけどね。

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ジャパンワクチン解散
- 2018/11/14(Wed) -
「ジャパンワクチン株式会社」が解散することが、突然今日、発表されました。
第一三共とGSKの合弁会社として、小児用ワクチンの普及を目指して6年半前に設立されたばかりだったのに。

両社はこのたび、「それぞれの事業を通じてワクチンの普及を図ることが最善と判断」したようです。
硬直化した日本のワクチン行政の下では合弁の価値なしと、たぶんGSKが考えたのでしょう。

ジャパンワクチンが扱うのは、ヒブ、4種混合、B型肝炎、MR、2種混合、HPVといった、定期接種ワクチン。
さらに、ロタ、おたふくなどの任意接種ワクチンがあるし、いま接種者急増中の風疹ワクチンもあります。
もちろん、インフルエンザワクチンも販売してます。
以上のどれもが、当院でも毎日のように接種を行っている、とても重要なワクチンばかりです。

あ、いやいや、HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)は、事実上ほとんど接種は中断状態でしたね。
ロタウイルスワクチンやおたふくかぜワクチンも、何度も言ってきた通り、なかなか定期接種になりません。

インフルエンザワクチンは、この会社の製品に限り、0歳児には接種できないという条件がついています。
これは、0歳児の治験で十分な有効性を出せなかったためで、ちょっとした差なのですが、ケチがつきました。

実際にワクチンを製造しているメーカーを考えたとき、この合弁会社の存在理由が私にはよくわかりません。
ヒブワクチンの製造はサノフィだし、B型肝炎ワクチンはKMB(旧化血研)。
それ以外の、ヒブ、ロタ、HPVはGSK製で、4種混合、2種混合、MR、風疹は北里第一三共が製造してます。
ワクチンの製造と販売の系列って、ホント複雑です。

定期接種ワクチンというのは、子どもの数(出生数)に比例して、毎年一定数の需要があるワクチンです。
ということは、今後の少子化を考えれば厳しい市場だとも言えます。
ワクチン業界は今後、大規模な再編に動き出すのかもしれませんね。

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睡眠剤の処方制限
- 2018/10/29(Mon) -
日頃の診療において、本当は止めたくてたまらないのが睡眠剤の処方です。その理由は、
(1)薬物依存を生じやすいので、処方は専門医にゆだねるべき(医学的な正論)
(2)診療報酬改定により、一般内科医等による睡眠剤の処方が制限されつつある(保険医療上の制約)
このほかにも、
(3)複数の医療機関からの処方により過剰量の内服をもくろむ人の手助けをしたくない
という側面もあります。

とくに今年度は「ベンゾジアゼピン受容体作動薬」という系統の睡眠剤処方に、見直しが迫られています。
「12月以上、連続して同一の用法・用量で処方されている場合」には、診療報酬が減額されるからです。

このようなペナルティーを考慮した場合に、一般内科医としての対応は、次の3つに分かれます。
(A)一定の研修を受講して、ペナルティーを回避する
(B)ペナルティーを甘受する
(C)睡眠剤の処方を可能な限り減らす・または中止する

研修を受けることは正当な対策ではありますが、突き詰めれば一種の抜け道です。
国が睡眠剤の処方について厳しく制限を付けようとする、その趣旨には反する様な気がします。
かといって、みすみす診療報酬が減額される状態を受け入れるのも、不愉快です。
熟慮の末、私が選択しようとしているのは(C)です。今後はなるべく睡眠剤は処方しないようにすること。

というわけで、年度末に向けて、すべての患者さんに対して、睡眠剤の処方を「整理」しはじめたところです。
もちろん、まったく処方しないわけではありません。必要に応じた最小限の処方は行いますので、ご安心を。

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1歳以上のRSV検査
- 2018/10/11(Thu) -
乳幼児の「RSウイルス (RSV) 感染症」が流行中です。先月下旬あたりから全国で急増中で、当院でも目立ちます。

高熱・ひどい咳・周囲でRSウイルス感染が流行中、と揃えば、疑いは濃厚です。
診察して喘鳴を聴取したら鼻腔のRSウイルス抗原検査を行い、それが陽性なら診断は確定です。

乳幼児がこれに感染すると症状が重く、しばしば喘息性気管支炎、場合により細気管支炎や肺炎になります。
RSウイルス感染症は繰り返し何度もかかる場合がありますが、2度目3度目となるほど、症状は軽くなります。

保育園・幼稚園等で流行しており、RSウイルスの検査を希望して来院する方も増えています。
園から調べるように言われた、と来院する方もいますが、医学的観点から必要性がなければ検査はしません。

この検査は、1歳以上のお子さんでは保険がききません。これがじつに微妙な問題をはらんでいるのです。

(1)0歳児の場合
検査に保険がききますが、3歳未満は包括診療(小児科外来診療料)なので、個別の検査料は算定しません。
どっちみち熊本市では、3歳未満は窓口負担ゼロです。

(2)1歳以上の場合
検査に保険がきかないので、自由診療(自費)となります。当然、保険診療と併用(混合診療)はできません。
お子さんの医療費は全部、自由診療の扱いとなります。自由診療なので、熊本市の助成対象にもなりません。
しかし実際には、通常の保険診療のみ行っています。検査は当院がサービスで行ったという形にするのです。

医学的に少しでも必要性があれば、1歳以上でも(サービスで)検査をしますが、必要性がなければしません。
ご納得いただけない方には、全額自費診療となる事情をご説明して、諦めていただくことも(稀に)あります。

RSウイルス感染かどうかを調べるよりも、その子の病状に応じた治療を行うことの方が、よほど大事です。

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母子手帳の2つの番号
- 2018/09/21(Fri) -
熊本市の母子手帳(親子健康手帳)の表紙には、氏名等のほかに熊本市固有の2つの番号が記載されています。

(1)親子健康手帳交付番号(本稿では、母子手帳番号とします)
(2)予防接種・乳幼児健診番号(通称、予防接種番号)

前者は妊娠中には必要かもしれませんが、出産後十数年間ずっと必要なのは後者の予防接種番号です。
問題は、この両者がともに「9」から始まる9桁の数字だということです。見た目がそっくりなのです。

母子手帳番号は、手帳が交付された際に、手書きで記入されます。
予防接種番号は、出産後にシールで交付され、母子手帳の表紙裏にそのシールを貼る場所が作ってあります。
シールを貼れば別の場所に書き写す必要はないので、表面の予防接種番号欄は空欄の場合が多いようです。

その結果、母子手帳の表には、予防接種番号にそっくりな母子手帳番号だけが記載された形になります。

お子さんの予防接種の予診票は、保護者の方(たいていは母親)が記載します。
その予診票に、予防接種番号の記入欄がありますが、ときどき、間違えて母子手帳番号を記入する方がいます。
でも保護者の不注意は責められません。紛らわしい別の番号が存在することが、そもそも問題なのです。

これは明らかに、熊本市のシステムの不備です。危機管理の観点からは、避けなければならないことです。
わざわざ混同しやすい2種類の番号を作った、その企画立案者のセンスを疑います。

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航空会社の医師登録制度
- 2018/09/11(Tue) -
旅客機内で「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか」という場面に遭遇した顛末は、前に書きました。
昨年は、東京に2往復しただけというわずかな私の搭乗歴のなかでそれが起きたのは、奇跡的な出来事です。
ドクターコールのアナウンスよりも前に、すでに私が心肺蘇生を開始していたことも、特筆すべきでしょう。

ただし日本では、善意で診療行為をしても、その内容に問題があれば、医師の責任になる可能性があります。

一方で米国には、善意で行った場合には結果が悪くても免責されるという「善きサマリア人の法」があります。
救命のために果敢に手を貸す医師を守り、ひいては急病人をできるだけ救けようとする考え方です。

日本では法整備が遅れているので、医師がドクターコールに名乗りを上げることを躊躇しがちです。
国内線の機内に準備されている救急キットだって、貧弱すぎます(少なくともANAの場合には)。
昨年末のケースでは、気管内吸引が必須の病状でしたが、吸引装置が機内にはありません。口で吸うわけ?
呼吸が停止していましたが、気管内チューブもなければ喉頭鏡もない。アンビューバッッグで押し続けるのみ。

機内でどのような急病人が出るかわかりませんが、心肺蘇生を行うには、現状では厳しい環境ですね。
でもそれなのに、JALもANAも、2年前から医師登録制度を始めています。
あらかじめ医師が搭乗していることがわかれば、乗員には安心材料でしょうけど、医者にとっては微妙です。

そんな議論の余地のある医師登録制度ですが、私はこのたび「ANA Doctor on board」に登録申請しました。
どうやら昨年末の一件以来、私が医者であることが、乗客名簿に書かれているフシがあるのです。
医者であることがバレてるのなら、今後知らんぷりもできないので、いっそのこと自発的に登録した次第です。

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医師の働き方改革
- 2018/09/04(Tue) -
厚生労働省は昨日、「第9回 医師の働き方改革に関する検討会」を開催しました。
医師・医療の特殊性をふまえて、医師の時間外労働の上限規制をどうするか、ということが焦点です。

この議論を行うとき、真っ先に上がってくるキーワードが、医師法19条に規定された「応召義務」でしょう。
「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」

その月の残業時間が上限に達した医師が、さらなる残業が必要となる診療を求められた時、どうすべきなのか。
医師の応召義務については、これまでにも書いて来ましたが、残業規制とは両立しにくい規定です。
患者と医師の両方を守るためにも、応召義務の「正当な事由」については、きちんと規定してもらいたい。

医師は自分の技術を高め知識を深めるために、自分の時間を犠牲にして研鑽に励む傾向があります。
やるべき業務の多い医師に杓子定規に残業制限をすると、まず自己研鑽に充てる時間が削られかねません。
それよりも、現状で医師が従事している仕事のうち、削るべき時間はほかにあります。雑用です。

医師ではなくてもできる仕事は、医師以外が行うようにする「タスクシフト」が、検討されるべきです。
『ドクターX』の大門未知子が言ってた「医師免許が無くても出来る仕事は一切致しません」が、理想ですね。

手術前の説明(インフォームドコンセント)は、医師がすべき重要な仕事ですが、かなり時間を食います。
かつて私は、患者家族の都合を考慮して土日に行うことも多かったですが、それは私の休日出勤が前提でした。
それをヨシとしてきた時代もありましたが、今後は見直す部分かもしれません。

クリニックを開業する際に、何のためらいもなく「土日祝日診療」をすることに決めました。
勤務医時代にいつも休日出勤していた生活に慣れきっていたので、何の違和感もなかったのでしょうね。

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デンカ生研の謎
- 2018/07/24(Tue) -
「デンカ」と聞くと、皇族方などを除けば『ウメ星デンカ』とか『太陽にほえろ』を思い出しますよね、普通。
しかし日頃の診療で私がよく見かけるのは、「デンカ生研」です。ワクチン会社です。

この会社については以前も書いたことがありますが、もう一度調べてみると、なかなか興味深いですね。
デンカ生研の親会社は「デンカ株式会社」。その旧社名は「電気化学工業」。
大正4年(1915年)に、アセチレンランプ用の燃料から窒素肥料を作り出して販売したのが始まりだと。
その燃料というのが炭化カルシウム。いわゆる「カーバイド」。近代日本史によく登場する物質ですね。

日本で初めてカーバイドの製造に成功したのが、デンカの創業者、藤山常一だそうです。初めて知りました。
で、その数年後に、日本カーバイド商会を共同で設立した相手が、野口遵なんですね、チッソの創業者です。

つまり、藤山氏と野口氏の2人が、日本のカーバイド、ひいては窒素肥料製造のパイオニアというわけです。
藤山氏は仙台市郊外に、野口氏は川内川沿いの大口に水力発電所を設立し、カーバイドを製造しました。
「せんだい」つながりじゃないですか。

ただしデンカ生研は、電気化学工業の子会社になる前は、東芝の子会社「東芝化学工業」でした。
さらに改称される前の、戦後創設時の社名は「東芝生物理化学研究所」でした。
実はその源流は戦前の「陸軍軍医学校防疫研究室」であり、「七三一部隊」につながる暗い過去があります。

もちろん、旧陸軍の生物兵器研究者らが後に創った医薬品メーカーは、デンカ生研だけではありません。
既存の製薬会社の幹部や、大学医学部の教授になった、七三一部隊出身者も大勢います。

ただ私が不可解なのは、それとわかって引き受けた東芝という会社の闇と、後にデンカが引き受けた謎です。

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特定健診の心電図
- 2018/06/04(Mon) -
特定健康診査(通常は、略して「特定健診」)の検査項目には、「必須検査」と「詳細検査」があります。
前者は受診者全員に実施するものであり、後者は医師の判断により選択的に実施する検査項目です。

必須検査には、問診とか身体計測や血圧測定とか、悪玉(LDL)コレステロールなどの血液検査が含まれます。
詳細検査には、心電図検査や貧血検査などがあります。

特定健診はメタボ健診とも言われるように、生活習慣病の早期発見と治療への誘導がおもな目的です。
とくに重要なものが心疾患だと私は思うので、私はできるだけ全受診者に心電図検査を行ってきました。
生活習慣病の早期発見のためには、心電図検査が必須である、という「医師(=私)の判断」によるものです。

ところが今年度から、精密検査を行うための基準が厳しくなってきました。
たとえば心電図検査は、血圧が140/90以上の受診者でなければ、精密検査として選択することができません。
治療によって適正な血圧に管理できている高血圧症の方は、心電図検査ができないということです。

「医療機関において管理されている者については(略)詳細な健診を実施する必要はない」
というのが厚労省の言い分であり、高血圧で治療を受けている方には心電図検査は不要だというのです。
日頃の診療において、心電図検査等は適宜行っているはずだ、という理屈でしょう。

しかし私は、心電図波形を見ることはコレステロールを測定するのと同じぐらい重要だと思っています。
「医療機関において管理されている者」の心電図検査は一律不要、としているこの制度は、ちょっとおかしい。

現実的な問題は、日常診療における検査を特定健診で代用してほしい、という患者さんが多いことです。
少額の自己負担で一通りの検査ができるのなら、その分、保険診療による検査の自己負担が減らせるからです。
しかしその患者さんの、心電図検査を特定検査で行うことがはできません。血圧が安定しているからです。
すでに生活習慣病で治療中の方に特定健診を行うことには、何かと無理があるのです。

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機能強化加算の意味
- 2018/05/26(Sat) -
診療報酬が改定されて2カ月近く経った今日になって、ようやく腑に落ちたことがあります。
それは、「かかりつけ医」の基準を満たした医療機関が算定する「機能強化加算」。

機能強化加算は、医者が「かかりつけ医」になることを推進するために設けられたインセンティブです。
ひとたび「かかりつけ医」となれば、その医療機関では、すべての患者の初診料に800円ほど上乗せできます。

しかしこれを患者側から見れば、「かかりつけ医」にかかると初診料が割増になってしまいます。
むしろ患者は「かかりつけ医」以外にかかった方が医療費が安くなるという、逆転を生み出しているのです。

なので私は前に、この機能強化加算を「かかりつけ医割増し」だと書きました。
しかしよく考えてみると、この加算は初診料にだけ算定できるという点が、実はミソなんですね。
つまり、日頃からその医療機関を受診しているような「再診」患者には、何も影響のない加算なのです。

たとえば、いま当院に定期的に来院している方は、当院を受診して割増料金を取られる心配はありません。
しかしその方が別の病院を受診したら、「かかりつけ医割増し」が取られる可能性があるのです。

つまり「機能強化加算」とは、「かかりつけ医」以外を受診したらペナルティーを科すシステムなんですね。
そう考えると合点がいきます。意外と理にかなった仕組みかもしれません。

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10代のタミフル解禁へ
- 2018/05/17(Thu) -
インフルエンザ治療薬「タミフル」はこれまで、10代への使用が原則禁止とされてきました。
理由は、タミフルが「異常行動」を引き起こす可能性があると疑われたからです。

厚労省が2007年に、そのように決定したきっかけは、
「タミフル内服後の中学生がマンションから転落死した2件の事故」でした。

それが11年ぶりに、10代へのタミフル処方が解禁されることになった根拠は、
「タミフルを飲まなくても、インフルエンザにかかると異常行動が起きていた」ことがわかったからです。

もう何年も前から、タミフルが濡れ衣を着せられていることは、科学的データが示していました。
われわれ医療現場の者も、タミフル服用とは無関係に異常行動が起きたケースを、何人も見てきました。
そんなことはとっくにわかっていたのですが、ようやくこのたび厚労省が重い腰を上げたわけです。

これって、何かと似てませんか。そう、HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)です。

厚労省は2013年に、HPVワクチン接種の積極的勧奨差し控えを決め、現在に至ります。そのきっかけは、
「ワクチン接種後に、痛みや運動障害を訴える症例が出現したこと」でした。

しかしたとえば2015年の名古屋市の疫学調査では、
「ワクチン接種者と非接種者の間で、さまざまな症状に差が無かった」ことがわかりました。

もう何年も前から、HPVワクチンが濡れ衣を着せられていることは、科学的データが示しています。
そんなことはとっくにわかっている厚労省ですが、いまだに積極的勧奨接種を再開しようとしません。
いったい何を待っているのでしょう。もう何も、新事実は出てきませんよ。決断するしかないのです。

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土俵上の心肺蘇生
- 2018/04/05(Thu) -
大相撲春巡業で、土俵の上で倒れた人に救命処置を施した女性が、土俵から下りるように放送で促された問題。
心肺蘇生の継続よりも、女人禁制の伝統を守ることの方が重要だと、アナウンスした行司は考えたのか。
土俵上にいた男性のうちの誰かが、救命処置を引き継いでくれるだろうと期待していたのかもしれません。

残念ながら、女性よりも先に土俵に上がっていた数人の男性は、何もせず患者を取り囲んでいただけでした。
見るに見かねて女性は土俵に上がり、その数秒後には心臓マッサージを開始しています。これは早い。

心肺蘇生において重要なのは、躊躇しないことです。
救命処置を開始するまでのわずか10秒20秒のためらいが、患者の救命率を下げると考えなければなりません。
あの衆人環視の土俵上で、ただちに心臓マッサージを開始した女性の判断力と行動力には、感服します。

たとえ医療従事者でも、通りすがりの救急処置を行うことに際しては、いくつものハードルがあるものです。

本当に蘇生が必要な状況なんだろうかという迷いがあると、考えているうちに時間がどんどん過ぎていきます。
心臓マッサージによって、肋骨や肺などを損傷する危険があり、後になって問題化しかねません。
まったく不要で的外れの心肺蘇生を行ってしまえば、あとで大恥をかくどころか、訴訟のリスクもあります。

倒れた舞鶴市長はくも膜下出血で手術したそうですが、救急処置の甲斐もあってか、命には別状ないとのこと。
これがもしも救命できていなければ、処置が不適切だったと、女性はメディアに非難されたかもしれません。
女だてらに土俵に上がるから、結局このざまだ、などと心ない言われ方をしたかもしれません。
今回の場合、まず非難されるべきは、土俵の上で何もせずに患者を取り巻いていた、男性陣の方でしょう。

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手術器械の再使用
- 2018/04/03(Tue) -
大阪母子医療センターで、再使用が禁じられている機器を小児の心臓手術に使い回していたと報じられました。
まったく困ったものです。何が困ったものかって、その薄っぺらな報道ですよ。報じられているのは次の2点。

(1)子どもの心臓手術で、細い血管を一時的に遮断するために、脳動脈瘤用のクリップが便利なので流用した
(2)メーカーは再使用を禁止しているが、滅菌処理すれば利用可能と担当医らは考えて再使用していた

心臓外科手術では、血管を一時的に遮断する際には、さまざまな形や強さやサイズの鉗子を使い分けています。
とくに小さな血管を挟むときには、ブルドック鉗子とかクレンメと呼ばれる、小さくて精密な鉗子を使います。
しかし脳外科用のクリップの方が、奥深い場所に挿入しやすく、とても小さく便利にできています。
こういっちゃナンですが、私も何度か使ったことがあります。より繊細な手術操作のために有用だからです。

単純な構造の金属(チタン)クリップなので、通常の手術器械同様に、容易に滅菌できるはずです。
もしもクリップを滅菌しても感染のおそれが残るというのなら、ピンセットやハサミや鉗子だって同じです。
滅菌可能な手術器械は、再滅菌して再使用するのが原則であり、すべてを使い捨てにするわけにはいきません。

ただし脳動脈瘤用のクリップは、いちど挟んだら永久に挟み続ける、その安定性が求められます。
だから、再滅菌を繰り返すことによるクリップの劣化を危惧して、再使用が禁じられているのでしょう。

しかし心臓手術で一時的な血管遮断に使うのであれば、クリップの劣化はそれほど問題にはなりません。
挟んでみてイマイチなら、その場で別のクリップで挟みなおせばいいからです。

クリップの流用にも滅菌にも何の問題もないのに、規則違反だったということだけで、ひどい報じようです。
難易度の高い手術を成功させるために創意工夫をしたことが、どうしてここまで叩かれるのでしょう。

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妊婦加算
- 2018/03/31(Sat) -
某雑誌が、「4月の『一斉値上げ』丸わかり表」というのを掲載しているのが、ネットでウケてます。
その栄えある第一番目にあげられているのが、「一部医療機関の初診料800円値上げ」という項目。

記事の詳細は読んでませんが、800円と言えばアレでしょう、「機能強化加算」!

「かかりつけ医」にかかると、初診料が800円ほど上乗せされるという、こんどの診療報酬改定の目玉の一つ。
制度拡充のためのインセンティブの800円なのですが、儲かるのは医者で、患者から見れば単なる値上げです。
新たな仕組みを創設して広めようとすると、どうしてもこのような、ちぐはぐな仕組みになってしまいます。

さて、明日4月1日から、その改定された診療報酬に基づく診療が始まります。

昨日の休診日には、電子カルテのシステムをバージョンアップするために、準備作業を行いました。
そして今日の診療終了後、電子カルテの設定変更を行いました。
明日は日曜日ですが当院は診療日なので、今日のうちに最終調整しておく必要があったのです。

「妊婦加算」なんていう仕組みも、今回から導入されます。産婦人科でもない当院でも、算定できます。

「妊娠の継続や胎児に配慮した適切な診療を評価する観点」から新設されたもので、初診料が増額されます。
この加算の場合も、医者の診療報酬の増額分750円は、妊婦本人などが負担する仕組みです。

心身共に辛く、しかも何かと物入りな妊婦が、医者にかかればいちいち医療費がよけいにかかるわけです。
「妊娠の継続や胎児に配慮」する主旨とは裏腹に、むしろ妊婦の負担を加算してしまうかもしれません。

ところで妊婦加算の算定においては、患者が妊婦であるかどうか、明確な根拠を確認する必要はなさそうです。
ならば、妊娠の可能性が否定できない状況の女性であれば誰でも、妊婦加算の算定対象になるんでしょうね。
だって、妊娠の可能性が少しでもあれば、「妊娠の継続や胎児に配慮した適切な診療」が必要なわけですから。

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ベタなネーミング
- 2018/03/29(Thu) -
糖尿病治療薬の、新たな配合剤が製造販売承認を取得し、5月には発売される見込みです。
よく飲む組み合わせの医薬品2剤(ときに3剤)の、成分を合わせて1剤(1錠)にしたのが配合剤(配合錠)。

私はこれまでに、配合剤の命名法については厳しい指摘をしてきました。とにかく、わかりにくいのです。
たとえば、「ディオバン」と「アムロジン」の配合剤が、なぜ「エックスフォージ」なのかと。
「アジルバ」と「アムロジン」の配合剤だと「ザクラス」ですよ。クレジットカードじゃないんだから。

配合している内容が一目瞭然の名称にしてくれと、ずっと言ってきました。そしたらついに、出ましたね。

このたび発売されるのは、「スーグラ」と「ジャヌビア」を配合して、「スージャヌ」!
ベタですねー。小林製薬ですか。そんなネーミングを、よく担当役員が許しましたね。

いえいえ、非難しているのではありません。むしろ好評価しています。なんなら称えてます。グッジョブ!
今年のベスト・ネーミング・ドラッグ・アワードに推奨したいぐらいです(そんなのがあれば)。

ただ、「スージャヌ」という言葉は、日本語としては違和感がありますね。
辞書で調べると、語尾が「ゃぬ」の日本語は、皆無でした。どうりで聞き慣れないはずです。
どうかすると、「ジャズ」のことを「ズージャ」と言うのにも似た、業界用語的な響きすら感じます。
だからなのか、スージャヌのメーカーパンフの表紙には、ジャズマンが2人描かれています。
ただ私としては、「スージャヌ」よりも「ジャヌスー」の方が、もっと業界っぽくて良かったけど。

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時間配分の悪い講演
- 2018/03/27(Tue) -
熊本県立劇場で今夜、2年に1度の「診療報酬改定」の説明会が行われたので、その報告です。

各種団体による説明会が先週にも行われましたが、今日は医師会と厚生局が共催する、最重要説明会でした。
なにしろ厚生局の「集団指導」という名目付きなので、医療機関の人間はみな、ビビり上がって参加します。
すみません。大げさでした。

震災からの復旧後に県立劇場のコンサートホールに入るのは、考えてみると私は今日が初めてでした。
2年前の3月25日にも、前回の診療報酬改定説明会が行われました。あれは地震の20日前だったのですね。
壁や天井やシャンデリアを見上げながら、あの地震では天井の一部が落下したという話を思い出しました。

前回、説明会の前に県立劇場向かいの焼肉店「彩炉」で食事をしました。今日もそこで食べました。

で、説明会ですよ。19時ちょうどに始まったのはいいけれど、その後のお偉いさん2人の挨拶が、ちと長い。
次に医師会の理事の方が、きっかり60分で診療報酬の改定概要を説明。これはまあ、いいでしょう。

問題はその次。厚生局の指導医療官という、本来いちばん恐れるべき方なのですが、言わせてもらいます。
時間配分がなってない(失礼)。こんなこと書くと、あとで「指導」されるかもしれませんが、書きます。
140ページの冊子をチマチマと(じゃなくて丁寧に)説明していく亀のようなペースには、呆れました。
最初の方だけで大半の時間を費やしてしまい、途中から駆け足、最後はバタバタでした。
自分に与えられた60分という時間と、説明すべき分量との配分を、ちゃんと計算してないんじゃないの?

おかげでほら、肝心の診療報酬改定の内容に触れないうちに、今日のブログも尻切れトンボになったでしょ。

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医療機能情報の提供
- 2018/03/26(Mon) -
「熊本県医療機能情報提供制度に係る調査」の記入用紙が、今年も届きました。締め切りは今月末。
医療機関の診療曜日・時間や科目、実績、サービスを含め、そこそこ詳しく記載する必要があります。

その調査結果は、「熊本県総合医療情報システム くまもと医療ナビ」のサイトで閲覧することができます。
民間のサイトがマネできない点は、人員配置や外来患者数などの数値が、正確に表示してあることです。
これらはすべて、各医療機関が報告した数値であり、他の医療機関と比較することもできます。

いま、くまもと医療ナビを見て見ると、当院の1日当たりの外来患者数は、60.2人となっています。
これが多いとか少ないとかの議論はさておき、いったいいつの数値なのか、ということです。

「前年度(2016年)」とサイトには記載されていますが、間違えてはなりません。2015年度のデータです。
「前年度(2016年)」というのは、「2016年からみて前年度」という、お役所用語なんでしょうね。

いま平成30年だというのに、平成27年度のデータを最新データとして記載しているのは、問題があります。

今月届いた記入用紙には、患者数については平成28年度のデータを記載するようにと、注意書きがあります。
たしかに、今月末が提出期限なので、平成29年度のデータは記載できません。
くまもと医療ナビにおいて、次年度(平成30年度)に掲載される最新データは、平成28年度のものです。

調査用紙の提出期限を1カ月遅くして、最新の平成29年度のデータを提出させればいいと思うんですけどね。

平成28年度って、熊本地震の年ですよ。4月からしばらく患者数が激減した、あの苦しかった年度です。
今後1年間、くまもと医療ナビに掲載される医療機関の最新情報は、震災年度のデータです。
県民の皆さまにおかれましては、その点を十分に考慮の上での閲覧を、お願いします。

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インフル綿棒挿入奥義
- 2018/03/24(Sat) -
インフルエンザはまだ、しつこく出てはいますが、おおむね下火になってきました。
第11週(3/12〜18)の定点当たり報告数は、熊本市4.68、熊本県5.04と、第10週よりさらに減っています。

鼻腔の奥の方に綿棒を入れて鼻汁を採取する、あのイヤな検査も、この数日はあまりやらなくなりました。
綿棒の出し入れで鼻腔を擦るので、とくに鼻水の少ない方や鼻づまりの方は、とても痛いですよね。
幸か不幸か花粉症のこの時期、多量の鼻水が出ている方が多く、綿棒の滑りの良い方が多いですけどね。

インフルエンザの迅速検査で綿棒を鼻腔に入れるときには、私がとくに気を付けていることが2つあります。

(1)鼻孔を観察して、よく湿っている方(または鼻水が出ている方)から挿入する
両方から鼻水ダラダラの人もいますが、一方だけから鼻水が出ている人も、けっこう多い。
その場合、鼻水が出てない方は詰まっていると考えるべきです。そっちに綿棒を入れてしまうと、とても痛い。
健康時の鼻腔にも、左右の鼻粘膜が2,3時間おきに交互に腫れる「鼻サイクル」が、生理的に存在します。
風邪や鼻炎などの時には、この鼻粘膜腫脹が増強し、どちらか一方に強い鼻づまりが起きやすくなります。
どちらが詰まっているのかを見分けるために、鼻孔の濡れ具合(または鼻水の垂れ具合)を観察するわけです。

(2)ひどく痛がるときは、すぐ止める
鼻中隔の彎曲など、別の理由で綿棒が入りづらい場合もあるでしょう。けっして無理してはいけません。
挿入を中止して、ひと休み。あらためて反対側で試みると、驚くほどあっさり入ることが多いです。

ていうか、痛みがなくて検出率の高い、しかも安価で迅速なインフルエンザ検査法はありませんかね。

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KMバイオロジクス
- 2018/03/14(Wed) -
「化血研(化学及血清療法研究所)」は、ご存じのように、「明治ホールディングス」の傘下に入ります。
実際に化血研の事業を引き継ぐのは、熊本に本拠を置くことになる「KMバイオロジクス」という新会社です。

小耳に挟んだ情報に寄れば、KMバイオロジクスの「K」は「熊本」「M」は「明治」から来ているとか。

この時期に思い出すのは、かつて明治製菓が持って来てくれた、バレンタインデーチョコの詰め合わせです。
当時は、お菓子メーカーの明治製菓が、医薬品も製造していたのです(いまは別会社)。
明治のMRさん(営業の方)が毎年、明治製菓のお菓子をどっさりと箱に詰め込んで、持って来てくれました。

もっとさかのぼるなら、研修医時代。明治のプロパーさん(営業の方)が、毎日のように現れました。
彼は研修医部屋(通称タコ部屋)の冷蔵庫に、ギッシリと明治のジュースを詰め込んで帰って行くのです。
来る日も来る日もひたすら、何も喋らず黙々と淡々と、冷蔵庫をジュースで一杯にすることが彼の仕事でした。

当時は他の製薬会社も、それぞれのやり方で、医者を接待するのが常でした。
規制が緩く、おまけに80年代後半のバブル期のことです。研修医ですら、接待攻撃の対象だったのです。

ところがバブル崩壊後、製薬業界の態度が一変します。
まずは、公立病院の勤務医の接待が止まり、大学病院も厳しくなり、やがてすべての接待がなくなります。
もちろん今は、私立病院や開業医も例外ではありません。その点は誤解無きようお願いします。

各社が一斉に接待をやめれば、どの会社も不利にならないという業界の示し合わせ、いうなれば談合ですか。
まあ、いいですけどね。薬剤の情報や話題については、いまやネットで十分な情報を得ることができますから。
医者が使う薬の選択を営業が左右する時代は、終わりつつあるんでしょうね。

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インフル新薬かなり高額
- 2018/03/07(Wed) -
1回内服するだけの、しかも新しい作用機序の抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」の薬価が決まりました。
10mg錠は1507.5円、20mg錠は2394.5円。「薬価」というのは、診療報酬上の薬の価格のことです。

この薬の用量は、体重によって決められています。
(1)10kg以上20kg未満:10mg錠1錠(1507.5円)
(2)20kg以上40kg未満:20mg錠1錠(2394.5円)
(3)40kg以上80kg未満:20mg錠2錠(4789円)
(4)80kg以上:20mg錠4錠(9578円)

60kgから80kg未満の方には、20mg錠3錠が適切だと思うのですが、そのような用量設定はありません。
その設定で治験を行っていないためです。60〜80kgの成人って、結構多いと思うんですけどね。私もそう。

従来の抗インフルエンザ薬の薬価がどうかというと、成人の場合、体重に関係なく、
タミフル」1日2回、5日分で2830円。
「リレンザ」1日2回、5日分で3058円。
「イナビル」1回のみで4280円。

ゾフルーザはかなり高額なので(とくに80kg以上の方)、患者さんと相談して処方する必要がありそうです。
先日、今後の抗インフルエンザ薬は、ゾフルーザの一人勝ちになると書きましたが、違うかもしれませんね。

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ゾフルーザ発売間近
- 2018/03/05(Mon) -
「1回だけ飲んで効く薬があるんでしょう?」
インフルエンザの患者さんから、そのように尋ねられました。新薬「ゾフルーザ」のことですね。
塩野義製薬が開発し、先月製造販売承認を取得した薬ですが、残念ながらまだ、発売されていません。

抗インフルエンザウイルス薬は、現時点で4つ。ゾフルーザで5つ目となります。
タミフル」1日2回、5日間内服する薬。異常行動の濡れ衣によって、10代への処方が原則禁止です。
「リレンザ」1日2回、5日間吸入する薬。10代でも使えます。吸入法がやや面倒。効果は強い。
「イナビル」1回吸入するだけの薬。効果がやや弱いという意見もありますが、とにかく簡便なので私は好き。
「ラピアクタ」点滴薬。効果は早い。でも点滴が必要。脱水を伴うインフルエンザ患者には使いやすい。
「ゾフルーザ」まったく新しい作用機序。効果も強い(らしい)。1回飲むだけ。

こう書いてみると、ヘタしたら今後の抗インフルエンザ薬は、ゾフルーザの一人勝ちになりそうな気もします。

さて、ゾフルーザの添付文書を見ると、安全性に関してはいくつかの注意喚起がなされています。
(1)警告:本剤の必要性を慎重に検討すること
必要と思うから処方するんですよね。それをわざわざ警告する意味ある?、この手の警告、形骸化してません?
(2)禁忌:本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと
この世に初めて登場した新薬なのに、「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」って、いるんですか?

今月中には発売されそうです。新しもの好きなので、速攻処方して、効果のほどを確認したいですね。

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