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少数限定接種なのに「4月12日開始」ってぶち上げる
- 2021/02/24(Wed) -
新型コロナワクチンについて、副反応は大丈夫か、自分の順番はいつになるのかなど、よく尋ねられます。
それに加えて、接種を実施する側としては、予約受付方法やワクチンの配送体制と接種の流れが心配です。

医療従事者が自分の勤務病院で同僚から接種を受ける形の先行接種は、おもに副反応を調べる意味があります。
次いで行われる予定の、医療従事者に対する優先接種も、まあ似たようなもので、スムーズにいくでしょう。
問題はその次。高齢者への優先接種です。ここからいきなり、問診の手間や所要時間が読めなくなります。

当院では日頃から、各種のワクチンを接種していますが、最近はHPVワクチンの筋肉内接種が増えています。
問診や聴診を終え、では接種しましょうという段になって、被接種者が袖をまくり始めます。
しかし今の時期の服装で、袖をまくって上腕の上の方の三角筋部分を露出することはほぼ、不可能です。
しょうがないので今度は、襟口を伸ばして肩を露出しようとしますが、それも無理。セーターが伸びるばかり。
結局、左腕をセーター等の袖から抜かなければなりません。ここまででだいぶ、若い人でも時間を要します。

セーターの下が下着だったりすると、あらかじめ肩を露出して順番を待つことはできません。
集団接種会場であればなおさら、片肌脱ぐなんて無理でしょう。接種には個室が必要になるかもしれません。
外国の女性の接種シーンをニュースで見かけますが、みなさん元々肌の露出が多いです。日本人とは違います。

そんなことを危惧しているところへ、菅首相は今日、高齢者への接種を4月12日に開始すると明言しました。
ワクチンの輸入計画も不透明だというのに、早々と予定通りの4月開始を確約するなんて、意地ですか。
「当初は、数量限定になる」と河野大臣もフォローしますけど、数量限定で開始して混乱を招きませんか。
これで明日からは、私も4月から接種できるんですかね、という質問に答えなければなりません。

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いまのワクチン供給ペースでは、先が思いやられます
- 2021/02/20(Sat) -
新型コロナワクチンは各地で「先行接種」が始まり、次いで行われる「優先接種」への準備も進んでいます。

医療従事者に接種するワクチンは、来月第1週に500箱、第2週にも500箱ほど、全国に配分される予定だとか。
2週で1,000箱、1箱に195バイアル(瓶)、1バイアル6回分とすれば、2週で117万回接種できる皮算用です。

この供給ペースではしかし、470万人の医療従事者に1回ずつ接種するのに、約8週間かかる計算になります。
規定回数(2回)の接種を終えるまでには16週間(約4カ月)かかり、接種終了は6月末になってしまいます。

その次の優先順位の高齢者は3,600万人。同様に単純計算すれば、接種に2年以上もかかってしまいます。
はてさて、その次の基礎疾患を有する方や、さらにその次の一般国民は、いったい何年後に接種できるのか。

もちろん、他社製ワクチンも加わり、国内製造も始まれば、ワクチン供給量はぐっと増えることでしょう。
となるとこんどは、接種現場のキャパを考える必要があります。

季節性インフルエンザワクチンは例年、約6千万回分の接種が、10〜12月の3カ月で集中的に行われています。

新型コロナワクチンでこのペースが可能なら、約半年で日本人の半数に2回ずつ接種することができます。
実際には、インフルよりもずっと気を遣うし手順も面倒で、1回の接種に要する時間もだいぶ長いでしょう。
おおむね2倍の所要時間を想定すると、国民の半数が2回接種するのに、約1年ほどかかると推測できます。

必要数のワクチンを迅速に輸入できるかどうかはさておき、接種体制は十分に練り上げておくべきでしょう。
ワクチンが入手できたのに、流通過程や現場で接種が滞るようなことだけは、絶対に避けなければなりません。

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第一線病院の医療従事者へ、まずワクチンの恩恵を
- 2021/02/19(Fri) -
医療従事者に対する、新型コロナワクチンの先行接種が、今日から熊本でも始まりました。
注射シーンが報じられていたのは、熊本総合病院の島田院長。接種後には平然と「痛くなかった」とコメント。
そんな瞬間に取材を受けて、「あいたたた」なんて言うわけにもいきませんからね。

この病院は最近よくテレビに出ますが、熊本市では知名度が低いのか、患者さんからよく尋ねられます。
まるで熊本市の中心部に存在するかのような「熊本総合病院」ですが、元の名前は「八代総合病院」です。
八代の病院なのに「八代」総合病院から「熊本」総合病院へ名称変更するって、なかなか大胆ですよね。

この病院を運営するのは「地域医療機能推進機構(JCHO:ジェイコー)」。理事長はあの、尾身茂氏です。
ボスが尾身氏なので、JCHO傘下の病院には、コロナ診療に対するプレッシャーもあったことでしょう。

ちなみに「九州病院」という、これまた九州の中心みたいな名称のJCHO病院も、北九州市にあります。
これは元の「九州厚生年金病院」で、私は卒業後3年目と10〜12年目頃、その心臓外科に勤務していました。

九州厚生年金病院は1955年に開設され、日本の心臓外科の黎明期を担った施設のひとつでした。
私が最初に勤めた80年代は、リウマチ性僧帽弁膜症の患者さんが多く、いまではとても考えられないことです。
小児心臓外科症例も豊富で、若手心臓外科医にとっては多彩な臨床経験を積める、バランスの良い病院でした。

疾患は変遷し、手術法も医療機器も進化しています。私の勤務医時代はもう、過去のものになりました。
しかし、元同級生の多くは今もなお、大学病院や中核病院の重要ポジションで、奮闘・活躍しています。
コロナ禍での病院運営は、並大抵の苦労ではなかろうと思います。彼らの健闘と健康を祈ります。

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新型コロナワクチンの接種、ついに日本でも始まる
- 2021/02/17(Wed) -
新型コロナワクチンの接種が、ついに始まりました。まずは、一部の医療機関における「先行接種」から。
日本の被接種者第1号として報じられたのは、「国立病院機構東京医療センター」の新木病院長。
彼は接種後に「これまで受けた予防接種で一番痛みがない」とコメント。過去の接種を全部覚えとるんかい。

よく見ると、ガスケットの先に飛び出しのある、ニプロの「ローデッド」シリンジ(青)1mlを使ってますね。
アスクルで買うと、100本で1,600円ぐらいのヤツです。針はオレンジなので太さ25G、長さは多分1インチ。

針の刺入角度は60度ぐらいでしょうか。根元まで刺入した後で、血液の逆流(逆血)がないかを確認。
その後、5ミリ程度針を抜いて浅くして薬液を注入していましたが、私には違和感がありました。
報道陣を前にした、熟練医師による上手な接種手技なのでしょうけど、標準的な筋注法ではないと思います。

三角筋への筋注では、シリンジをペンホールドにして、針は垂直に刺入するものと私は思っていましたから。
週に2,3人、HPVワクチンの接種を私は行っていますが、ペンホールドにしないと皮膚に垂直には刺せません。

ペンホールドは、一見すると乱暴に見えますが、そんなことはありません。むしろ感覚的には繊細です。
外国での接種映像を見ると、ペンホールドどころか、人差し指を押し子に乗せたままで刺入してますからね。
たぶんその方法が、もっとも素早く接種できる手技でしょう。もはや逆血の確認など、不要なのです。

今後日本中で、慣れない筋注が行われるわけですが、針が浅くて皮下注になる例が出てきそうな気もします。
今日報道された東京医療センターの手技が標準と思われると困ります。
厚労省は、筋注手技の動画(たぶん、垂直接種?)を準備中とのこと。早く公開してくださいね。

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新型コロナワクチン「コミナティ」見参
- 2021/02/15(Mon) -
新型コロナのワクチンの接種がついに、日本でも始まります。待ってました〜ぁ、というのが私の率直な感想。
ファイザーのベルギー工場で製造されたワクチンが、ANAのB787に乗って日本(成田)に届いたのは3日前。
輸送状況等の画像や動画をファイザーがアップしていますが、これが航空機ファンには、お宝ですね。

それがNH9648便で、その機材がJA891Aで次の日からジャカルタ3往復したこともチェックしておきます。

ワクチンの一般名は「コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)」。瓜人?
その一般名とは打って変わって、ワクチンの商品名は「コミナティ筋注」。なんか急に親しみが持てますね。

「コミナティ」命名の由来はおそらく、「小湊」に現れた「マナティ」、だと思いますウソ。
本当は「COVID-19、mRNA、コミュニティ、免疫(immunity)という用語を組み合わせた」とか。ふ〜ん。

欧州人が「COMIRNATY」と命名したのを「日本語化」したわけですが、でもその発音でいいわけ?
ネットで外人の発音を聞いたら「コマーナティ」でした。ですよね、そのスペルなら。だれが小湊にしたの?
なかには「コマネチ」で良いという知人もいる。あー、たしかにその方がずっと原音に近いかも。

添付文書を見ると、薬剤容量は0.45ml。これを生理食塩液1.8mLにて希釈して0.3ml筋注せよ、とあります。
じゃあ合計2.25mlになるんですね。もしかすると、普通のシリンジでも6回分とれるような気がしてきました。

明後日には先行接種が始まります。6回分とれるのかどうかも含めて、色んな意味で大注目です。

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計算通りに薬液を吸い出すのは無理だって、みんな思ってましたよ
- 2021/02/10(Wed) -
新型コロナワクチンの、1バイアル(瓶)当たりの接種回数が、6回から5回に減らされることになりそうです。
バイアル内の1.8mlの薬液を0.3mlずつ吸って6回接種するのが、シリンジ(注射器)の構造上難しいからです。

こう言っちゃナンですけど、そんなことは日本中の医療従事者が、だいぶ前からわかってましたよ。
分かってなかったのは厚労省です。接種できる人数が6分の5に減りますけど、接種計画はどうするんですか。

どのワクチンでも、そのバイアルから最大限の薬液を吸い出して使うように、内容量が設定されています。
たとえばインフルエンザワクチンの場合、メーカー差はありますが、1バイアルには1.1ml程度入っています。
通常は、シリンジに0.5ml+αを吸い出し、エア抜きして接種します。シリンジに少し、薬液が残ります。
もともと薬液量に余裕があるので、成人の接種量である0.5mlを2人分吸い出して接種することは可能です。
これがもしも、バイアルにワクチンが1.0mlちょうどしか入っていなかったら、2人分接種するのは無理です。

だからコロナワクチンでは1.8mlバイアルを0.3mlずつ6回分接種すると聞いて、すぐに思いました。無理だと。
報じられているようにシリンジの構造上の問題もありますが、エア抜きでロスできないのも難しいものです。

政治家や厚労省のお役人には、臨床現場の最前線で働いている人の声は、すぐには届かないんですかね。
現場の人間にはすぐにピンとくることが、こんなに時間がかかって伝わるとは、先行き思いやられます。

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とりあえずワクチンを接種しておきたい気分
- 2021/01/21(Thu) -
熊本の新型コロナ診療の最前線とも言える熊本市民病院で、クラスターが発生してしまいました。

感染者7人のうち5人は、感染症病棟勤務の看護師と看護助手でした。院内感染したと考えるべきでしょう。
臨床工学技士も1人、感染しています。呼吸器やECMOのメンテ等で、診療に関わっていたのかもしれません。

すべてのスタッフが、徹底的に感染防御に注意しているはずの部署だからこそ、この院内感染事案は重大です。
偶然か、不可抗力か、それともどこかに盲点があったのか。スタッフの勤務状況に無理はなかったのか。
病床のひっ迫を言うのなら、日本中の一線病院での、医療スタッフの過労や疲弊を心配しなければなりません。

一方で、外来レベルでの心配は、感染者かもしれない受診者から、どの様に医療者を守るかです。
熱・味覚障害・咳・下痢・倦怠感の、どれかひとつでも訴える方は、感染の疑いありと考えるべきでしょう。
それらの患者さんは、うかつに触診・聴診ができず、結果として診療水準の低下を招きかねません。
血液検査をするかどうかで迷うようなケースでは、とりあえず検査しない、という選択をとりがちです。

感染防御の観点から駐車場で採血をする場合もありますが、天候や時間帯によっては、それも難しいでしょう。
無症状の来院者の感染は、残念ながら察知できません。これが問題で、院内感染の発端になりかねません。
医療者が一刻も早くワクチンを接種して、少しでも安心して外来診療ができる日が待ち遠しいですね。

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新型コロナワクチンの接種計画が、いよいよ具体化してきました
- 2021/01/16(Sat) -
新型コロナウイルスのワクチンの日本国内での接種について、この数日でにわかに動きが起きています。

ワクチンは、国が指示して、都道府県がとりまとめ、医師会が協力して、市町村が実施することになります。
早ければ2月下旬から約3カ月間かけて、まず「優先接種」が行われる計画です。
その対象者は、2〜3月は医療従事者、4月に高齢者、5月は基礎疾患保有者、という順序が設定されています。
次いで、一般市民への接種が、6〜8月に行われることになりそうです。

ファイザーのワクチンは、–75℃で保管し、保冷Box+ドライアイスの保冷では10日間が限度とのこと。
最小流通単位が195バイアル(975接種分)なので、10日で一気に975回の接種をしなければなりません。
これを単独の医療機関でこなすのが難しければ、複数の医療機関でチームを組んで接種を行う作戦になります。

接種後にアレルギー反応が起きないかなど厳密な観察を行う必要もあり、接種にはかなり手間がかかります。
日本人にはなじみの薄い「筋肉注射」が、接種者にも被接種者にも、余計なストレスになるかもしれません。

折しもこの2日ぐらいの間に、ワクチンの「接種」と「被接種」を問う、2つの調査FAXが届きました。
(1)あなたの医療機関でワクチンを接種してもらえますか
(2)あなたの医療機関でワクチンの接種を希望するのは何人ですか

接種されたけりゃ接種しろというわけです。ええ、もちろん協力はしたいですが、よく吟味しなければね。
新興感染症の流行中に新ワクチンを接種するって、ちょうど新型インフルエンザの時を思い出します。
あの時は、優先接種の運用で失敗しましたよね。さてこんどは、どうなりますやら。

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コロナ患者を受け入れない病院名の公表は、やるべきじゃない
- 2021/01/15(Fri) -
東京や大阪だけでなく、熊本での新型コロナ用病床のひっ迫も緊急事態です。
大都市に比べて元々の病床のキャパが小さい分、病床ひっ迫の動きも急激です。ホント、やばいです。

欧米よりも感染者が少ないのに、世界一の数を誇る日本の病床が、なぜひっ迫するのかとよく言われます。
理由のひとつは、その世界一多い病床が、すでにしっかりとコロナ以外の患者で埋まっているからでしょう。

一般の病院では、患者の入院日数が長くなればなるほど儲からなくなるように、診療報酬が決めてあります。
ムダに長期入院をさせて医療費が膨らむことを防ぐための方策です。
また、常に満床に近いぐらいに病床が埋まっていないと儲からないほどに、診療報酬が切り詰められています。
診療報酬というものは、医療機関がギリギリ生きていけるように、じつに巧妙に設定されているのです。

病院は、入院日数は短くしながら病床はできるだけ埋めるという、アクロバティックなことをしています。
長年の政策によって、そのような病床運営をしなければ経営が成り立たないような制度になっているのです。

そこへコロナです。対応病床を増やすには、一般入院患者を削らなければなりません。
新規入院を断り、コロナ用の病床と、それに必要な医療スタッフを確保しなければなりません。

脳卒中や心筋梗塞や癌の患者の診療態勢を、コロナ如きのために削るべきなのか、正解はまだ、出ていません。
新型コロナ感染者の受入勧告に従わない病院名は公表する、なんて北風は、病院をかたくなにするだけでは。

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検査結果のデジタルデータを画像に変換して送ってくる不合理
- 2021/01/13(Wed) -
身近な地域や自分の職場等で感染者が出始め、微熱や軽い風邪症状でもPCR検査を希望する方が増えています。
PCR検査をすると、その結果を待つ家族もしばしば検査を希望されます。
気持ちはわかりますが、まだ濃厚接触者と確定していない無症状の方の検査は、当院では行っていません。

熊本でも感染者が増えており、病床のひっ迫が問題化しています。病院には大きな負担がかかっています。
またその裏で、感染者への対応に追われる保健所等の職員の方にも、大きな負荷がかかっています。

PCR検査数が急激に増えており、検査態勢が限界に達しようとしています。
当院が検査を委託している医師会PCRセンターも、一部の検体を他の検査機関に外注している状況とのこと。

検査結果が出る時間も、どんどん遅くなっています。
午前中に検体を出したら夕方には結果が出ていたのが、19時、20時、と遅くなり、昨日は21時台でした。

昨夜は、FAXの1通目がやっと20時56分に届き始め、最後の41通目を受信したのは21時49分でした。
FAX受信前に、すでに電話で検査結果の報告を受けていたので、FAXはあくまで確認用ですけどね。

検査センターは、41人分のFAXを一斉送信したそうですが、当院での受信に53分もかかったのはなぜなのか。
送信側がペーパーレスFAXだとすれば、問題は当院のデジタルFAX複合機にあると思われます。
どうやら、受信時に画像をデータ化するために、余計に時間がかかるようですね。これは盲点かも。

聞けば検査センター側の元データは、エクセル形式のPCファイルだと。なにそれ。
それをわざわざFAX用に変換して、患者1人分ずつの画像データで送ってくるとは、なんというムダな作業。
だからもう、FAXはやめましょうよ。元データをシュッとメールで送って欲しい。秒単位で全部来ますよ。

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3連休は大変でしたが、たぶん、本番はこれから
- 2021/01/11(Mon) -
地獄の3連休が終わりました。いや、地獄というのは語弊がありますか、ともかく。
土・日・祝と発熱外来をしてみて、あらためて熊本市の検査態勢の不備に困惑した3日間でした。すなわち、

(1)某主要検査センターが、土曜日の午後と日曜と祝日は、PCR検査の検体(唾液)の回収をしてくれない
(2)医師会PCRセンターがキャパオーバーして、紹介検査も難しくなってきた
(3)診療・検査医療機関に指定され、日曜祝日にも発熱外来をしている医療機関が著しく少ない

このうち(1)の理由から当院では、土曜の午後から日曜いっぱいは、PCR検査ができませんでした。
今週は早々と医師会PCRセンターの予約も埋まり、当院からの紹介検査は受け付けてもらえませんでした。
昨日も今日も、相談センターや専用ダイヤルから紹介されて当院に来る方が、大勢いました。

そんなわけで今日は、一日でほぼ2日分、41例のPCR検査をする羽目になってしまいました。
必要な防護具を装着して、慎重に検査等を行わなければならず、ストレスも多いし時間がかかります。
その合間に、胃腸炎や胸部症状の患者さんからの問い合わせが入ります。
今日、検体(唾液)採取した方の検査結果は、明日の夜に判明します。ずいぶんと時間がかかってしまいます。

土曜から発熱してるのに検査は月曜で、しかも結果は火曜の夜になるんじゃあ、そりゃ不満も出るでしょう。
せっかく日祝診療してる医療機関があるのですから、検査機関にも休日の検体受入をお願いしたいものです。

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「熊本市医療非常事態宣言」発令
- 2021/01/10(Sun) -
「熊本市医療非常事態宣言」が、本日発令され、大西市長の記者会見が行われました。

病床がひっ迫し、入院等調整中の感染者数や、重症・中等症者数が過去最多であることを考慮したものです。
「医療体制崩壊」の観点からの非常事態宣言ですが、具体的に市民に求めるのは、外食や会食の制限です。

最近よく言われるのは、とにかく高齢者との接触や高齢者自身の外出を極力減らそう、という考え方です。
たしかに、高齢者に的を絞って感染を避けることは、重症者数減少のためには有効でしょう。

しかし、問題を突き詰めれば、その高齢者を取り巻く環境、とくに感染源となる若年者層の方が問題です。

当院の発熱外来にも、幅広い年代層の方が受診されますが、やはり20代と30代が多いですね。
症状が軽いのに受診してくれると軽症感染者を発見できますが、たぶん多くの若者は受診すらしないでしょう。

概して若者は、活動範囲が広く、自分は感染しないと思い込みがちで、しかも感染しても元気です。
一方で高齢者は、しばしばひとつの施設に固まって居住するので、そこが感染の吹きだまりになりかねません。

感染拡大の担い手と重症化のターゲットが別々の世代だということが、新型コロナ制御を困難にしていますね。

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ついに熊本も大台に乗りましたか
- 2021/01/08(Fri) -
あ〜、100人超えちゃいましたか、熊本も。今日の新型コロナの新規感染確認数は101人。
昨日は他県のことを「宮崎どうした?」なんて、ちょっと余裕かましてましたが、明日は我が身でしたね。

東京都は、3日前の検査数から考えて今日は2千人と予想していましたが、裏切られました。陽性率が高すぎ。
熊本県の101人は、人口約8倍の東京都では800人に相当します。逆に東京の2,400人は熊本だと300人!

「勝負の3週間」の時になんとかしておけば、なんていま言ってもしょうがないけど、なんとかしとけばね。
首都圏や関西圏など、大都市から「しみ出す」ように感染が拡大しています。やがて熊本までしみて来るのか。

明日からの3連休、当院は発熱外来で貢献しようと思っていますが、検査センターの受入態勢がネックですね。

当院がPCR検査を委託しているセンターは、土曜の午後から月曜(祝日)いっぱい、検体の回収がありません。
検体の保存期間が最大24時間とすると、月曜に採取した検体は火曜に提出できますが、日曜の採取分は無理。
手続きが少々めんどうで時間もかかりますが、医師会PCRセンターへの紹介も増えそうです。

全国的に言えることですが、日曜や祝日のPCR検査の態勢はまだ、平日に比べると劣ります。
そのため検査が集中する休日明けには、関係部署は大忙し。感染者数のグラフは曜日ごとにジグザクします。

熊本の感染が急拡大しつつある中で迎える3連休と連休明けには、はたしてどのような波が押し寄せるのか。
月曜(祝日)に発熱外来受診者が集中しそうな予感がして、私は戦々恐々としているところです。

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東京はともかく、熊本の保健所は大丈夫?
- 2021/01/07(Thu) -
緊急事態宣言が発出された今日、「遅えんだよ」と言わんばかりに、1都3県が軒並み過去最多感染者数。
東京都に至っては、昨日の1591人の衝撃が消え失せるほどのショッキングな数値、2447人が出ました。
それどころか、大阪も愛知も福岡も、全国各地で、新型コロナ感染確認数は過去最多じゃないですか。

感染爆発気味の現局面で、逆V字に感染者数を減らそうというのなら、どうしたってショック療法は必要です。
それを飲食店の時短営業で達成しようという無謀さと無策に、官邸の誰も気付かないのでしょうか。

「1カ月後には必ず事態を改善させる」と言う菅首相の、その根拠の無い断言からは何も響きません。

病床のひっ迫が言われ続けていますが、医療機関だけでなく、保健所の人たちの仕事量も限界でしょう。
用があって熊本市保健所に電話したら、感染者の確認や登録やその後の対応に追われていて混乱気味でした。
毎日数十人の新規感染者でこれですから、東京並みの人口当たり感染者数になったら、どうなるんだろ。

コロナ禍で露呈した、日本のお役所仕事のIT化の遅れは、もちろんいまだに解消されていません。
新型コロナ感染者の発生を確認した場合、熊本市の医療機関は、次のような報告を行う必要があります。

(1)Web入力:「HER-SYS」に感染者の個人情報等を入力すると、その内容が管轄の保健所に届く
(2)FAX送信:「入院の要否判断のためのチェックシート」に持病の情報等を入力して、保健所に送信する
(3)電話連絡:HER-SYSに入力しても結局は、保健所からの確認電話が入り、質問に答えさせられる

もっと合理化・IT化しないと、医療機関が手間だというよりも、保健所が事務作業でパンクしますよ。

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感染爆発のフェーズに入ったのか
- 2021/01/06(Wed) -
ついに感染爆発なのか。新型コロナの感染者数は、東京で1,591人、全国で6,001人、熊本でも69人でした。
手遅れ気味に明日発出される緊急事態宣言ですが、もうそれに期待し、協力するしかありません。

意外と当たらないGoogle AIの1/1時点での予測では、昨日と今日の東京都の感染者数がほぼピタリ賞でした。
その最新予測によると、今月中旬には1日約7千人に達します。これ、東京都だけの新規感染者数ですからね。

「7日間移動平均値をもとに算出」したという、東京都の検査の陽性率は現在、14.4%程度のようです。高い。

どんな計算なのかと思って、都が公開している検査数と陽性判明数を表計算ソフトに入力してみました。
残念ながら14.4%という数値は算出しきれませんでしたが、たしかに今の陽性率は15%前後のようです。

明日1月7日に、感染者数の顕著なピークが来て、過去最多数を大幅に更新すると私はにらんでいます。
なぜなら、年末年始の休み明けの1月4日に、検査数が増えると考えられるからです。
実際、1月4日には1万5千件以上の、たぶん過去最多数の検査が東京都内で行われていました。

その1万5千件のうちの15%が感染していたら、その数は2,250人となります。明日の東京都の予測値です。
てな感じで、自己流の解析をして驚いたり憂えたりしている私も、どうかと思いますけどね。

ちなみに元日には、日頃の日曜日よりも多くの検査が実施されていました。医療機関の頑張りがうかがえます。

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感染者数が増えるよりも、未検査の感染者が野放しの方が怖い
- 2020/12/28(Mon) -
羽田雄一郎参院議員が、新型コロナウイルス感染症で亡くなりました。53歳。
昨日速報が出たときすぐにネットを見たら、死因は刺殺だ、いや自殺だと、きな臭い情報が溢れていました。
主要メディアの報じる内容も鵜呑みにはできませんが、ネット民のクチコミはひどいデマばかりですね。

日本中で感染者がどんどん増えています。熊本にも、熱が出ただけでコロナを心配する方が増えてきました。
そうです。発熱したらコロナを疑うべきです。疑わなければ見つかりません。

当院が発熱外来を始めて2カ月。いま私が強く感じるのは、まず疑うこと。疑ったら検査すること。
普通の主婦、元気な若者、周囲にだれも感染者が思い当たらない感染者が目立ちます。
検査を提案すると気乗りしない方も多いですが、費用が無料だと強調して、検査を受けていただきます。

ただし、当院が委託している検査センターのPCR検査処理能力が、もう限界に近いようです。
検体数がかなり増えているようで、検査結果が判明する時間がどんどん遅くなっています。

待ちきれないのは私だけでなく、患者さんも同じ。まだ出ないのかと、問い合わせの電話も多数頂きます。
検体を朝提出したら夕方5時には判明していた結果も、最近は夜7時過ぎまでかかります。今日は7時半でした。

検査センターから医療機関への結果報告は、FAXで1人分ずつ届きます。送受信ともに手間のかかる作業です。
メールを使うとか、センターのサイトで結果を閲覧できるようにするとか、もう少し IT化が必要ですね。

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「水虫の薬」に睡眠剤が混ざっていた件
- 2020/12/26(Sat) -
「水虫の飲み薬に睡眠剤が混ざっていた」
抗真菌薬「イトラコナゾール」を「水虫の薬」と表現するのもどうかと思いますが、それはさておきます。

因果関係は未確定ですが、死亡2人のほか多くの健康被害が出ています。どうしてそんな間違いが起きたのか。
この製薬会社・小林化工の他の製品にも、問題がありそうだといいます。不思議でなりません。

水虫の薬に混入していたのは「リルマザホン」で、「リスミー」という先発品名で知られる睡眠導入剤です。
「当該薬剤1錠あたり、最大投与量の2.5倍の睡眠剤が混入していた」と報じられています。
2.5倍も飲んだらオオゴトだねぇ、と思うかもしれませんが、2.5倍程度で済む話ではありません。

まず、リスミー錠には1ミリ錠と2ミリ錠があり、個人差はありますが、1ミリでも効果がある睡眠剤です。
そのリスミーの成分が、イトラコナゾールの50ミリ錠の中に、5ミリほど混入していたわけです。
ここは、「当該薬剤1錠あたり、通常投与量の5倍の睡眠剤が混入していた」というべきでしょう。

さらに、爪白癬の治療としてイトラコナゾールを飲む場合は、朝夕4錠ずつ飲むのが通常用量です。
つまり、「当該薬剤1回の内服分に、通常投与量の20倍の睡眠剤が混入していた」と書くべき一大事なのです。
水虫の薬を1回分飲んだつもりが、睡眠剤を20錠ほど飲んでしまうのです。そりゃ意識障害も起きるでしょう。

だからジェネリックは信用ならない、とまでは言いませんが、ジェネリックの信頼を失墜させるには十分です。
この会社には、かなり重い業務停止命令が来年にも出そうです。こんな問題は、この会社だけだと思いたい。

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「熊本市医師会PCRセンター」出動3回目
- 2020/12/11(Fri) -
「熊本市医師会PCRセンター」の担当医として、出動してきました。8月10月に続き、今回で3回目です。
今日の受診者は30人。80代の高齢者がいると思えば、乳幼児もいる。10〜20代の若い方も目立ちました。

唾液がうまく採れなかった方は4人。綿棒を鼻咽腔に入れて鼻水を採取するわけですが、これが大変なのです。
通常のインフルエンザの迅速検査とまったく同じ手技ですが、問題点は、
(1)飛沫がたくさん発生するので完璧な防護が必要で、医師は壁越しに手袋だけ突き出して鼻水を採取する
(2)そのゴム手袋がゴワゴワなので細い綿棒をつかみにくく、慎重に鼻腔に入れ込むのがなかなか難しい

8月の出動時の受診者は20人、10月は17人で、いずれも陽性者は1人だけでした(熊本市のサイトから推測)。
その頃に比べると熊本の感染者が増えているのに、今日の受診者30人というのは意外にに少なく感じました。

もしかすると、「診療・検査医療機関」の頑張りで、PCRセンターの利用が抑えられているのかもしれません。

PCRセンターの検査エリアは、ドライブスルー用に壁のサッシを全部取り外してあり、完全に吹きさらしです。
看護師に聞くと、いまはまだ猛暑の真夏よりずっとマシだけど、部屋に暖房がないので真冬が心配だと。
電源容量の関係で、暖房器具が入れられないそうです。そんなバカな。じゃあ早く電源増設しましょうよ。

などと言いながら私は、暖房のある隣の部屋から、アクリルの壁越しに手袋を突き出すのみ。申し訳ないです。
夏にも書きましたが、このPCRセンターは看護師の方々には劣悪環境すぎます。早急な改善が必要です。

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HER-SYSとG-MISに初ログイン
- 2020/12/07(Mon) -
「HER-SYS」って言葉が、ひところ新聞に出てきて、ナンジャラホイな方も多かったことでしょう。
もしかして彼女のシス(HER-SITH)? 暗黒面? いや、それはそれで興味深いですが、今回は違います。

HER-SYSは、新型コロナウイルス感染者の情報を、国や自治体と医療機関が共有するためのシステムです。
たとえば当院の「発熱外来」で、もしもコロナ感染者を確認したら、HER-SYSに入力することになります。

そのためのアカウントを取得していたのですが、実際にサインインしたのは、実はつい昨日のことです。
そして、サインインに失敗しました。昨夜ずっと試しても上手くいかず、保健所に尋ねても原因不明とのこと。
では厚労省に尋ねるか。ためしにブラウザをGoogle Chromeに変えたら、すんなりうまくいきました。

そういう風に、MacのSafariではうまくいかないことが、世の中には多いのです。

G-MIS」というのは、「新型コロナウイルス感染症医療機関等情報支援システム」のことです。
当院が「診療・検査医療機関」に指定されて1カ月以上経過した今日、ようやくそのIDが発行されました。
厚労省からのメールに平文で、ログインIDと初期パスワードが記載されていますが、まあいいでしょう。

G-MISには、Safariでもログインできました。その意味では、HER-SYSよりもセキュリティが甘いのか。
入力項目は、毎日の発熱外来診療時間や発熱患者数・検査数など。提出期限は毎日翌日13時。
11月1日からの診療データを、慌てて全部入力しなければなりません。厚労省も無茶ぶりするものです。

にしても、最大限に神経を尖らせて毎日の診療を行っている身には、日々の報告義務が多すぎて閉口します。
前にも書いたように、これらの目的は行政のためです。それを「支援システム」と呼ぶのには納得しかねます。

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医療ひっ迫で問題となるのは、むしろコロナ以外の患者です
- 2020/11/28(Sat) -
本日発表された全国の新型コロナ感染者数は、過去最多となりました。重症者数も過去最多です。

病床使用率も増加し、50%を超える府県も増えています。各地の医療はかなりひっ迫した状況です。
新型コロナに対応するベッド数を増やせば、その分、他の疾患用のベッド数が減ることになります。

世の中の目は、コロナ治療体制の確保に向いていますが、実はコロナ以外の医療もひっ迫しているのです。
新型コロナウイルス感染による医療ひっ迫というのはつまり、医療全体にかかわる問題です。
検診が差し控えられて癌などの早期発見が遅れたり、癌が見つかっても手術時期が遅れる可能性もあります。

当院のような診療所レベルでも、発熱外来を設定することで、一般の診療にしわ寄せが起きています。
非発熱者を限られた時間帯に診療する必要が生じるため、その時間帯は詰め込み診療になりがちです。
急がない検査を延期することもしばしばあります。乳幼児の予防接種枠も、かなり制限せざるを得ません。

昨日保健所から、「COVID-19に係る検査の徹底について」と題して、次のようなFAXが届きました。
「発熱患者等が医療機関を受診した際に(略)積極的にCOVID-19の検査を実施していただくよう」

発熱者は原則として全員、コロナの検査をせよ、というのが国からの要請だそうです。

そう言われなくても、当院の発熱外来においては、必要があればコロナ検査(抗原検査)を行う体制です。
しかし、時間的空間的分離を徹底しようとすると、一人当たりの診療にかなり時間がかかります。
発熱外来に十分な時間を割いて準備することで、一般患者への医療サービス提供量が確実に減っています。

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東京や大阪や札幌の発熱外来は、たぶん修羅場なんでしょうね
- 2020/11/22(Sun) -
新型コロナよりもインフルエンザを心配して来院される方が、最近ときどきいらっしゃいます。
もしかすると、その高熱はコロナではなくインフルであってほしいという、願いがあるのかもしれません。
さいわい熊本ではまだ、インフルエンザはほとんど出ていないようです。私もまったく遭遇しません。

いま多いと感じるのは胃腸炎。手足口病もしつこく見かけます。アデノウイルスや溶連菌感染もボチボチ。

インフルの疑いが否定できない病状経過で、検査が適切と考えられる場合は、迅速検査をすることになります。
となるといまどき、コロナも同時検査することになりますね。自己採取鼻腔ぬぐい液による抗原検査です。

コロナの検査法は、その検出対象物、検体、採取法などが、とくにこの数か月でどんどん広がってきています。
それに伴って、検査機関や保険点数や窓口負担金も変わり、リアルタイムで追随するのもなかなか大変です。

いま国は、全国の医療機関に「発熱外来」を設置させるべく、その体制確保経費を補助しようとしています。
しかしこれは、発熱外来の設置を補助するものであり、発熱外来の稼働を支援する制度ではありません。
診療しなければフルに補助を受けられ、診療すればするほど減らされるという、一種の「休業補償」なのです。

ある程度予測はしていましたが、実際に自分が発熱外来を始めてみると、その制度の本質的矛盾に気付きます。
発熱者が来なければ良いのにと、つい願ってしまう気分にさせるようなこの仕組みは、やはりおかしいのです。
頑張れば報われ、危険な診療には手厚い保障がある、そんな医療機関支援策であってほしいものです。

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「発熱外来」といっても、危険な場所ではありませんので
- 2020/11/13(Fri) -
いま熊本市のサイトに「発熱などの症状がある場合のご相談窓口」として掲載されているのは、次の2つです。

(1)かかりつけ医や最寄りの医療機関など、身近な医療機関
(2)発熱患者専用ダイヤル  ※相談する医療機関がわからない場合

この(2)に電話するとたぶん、当院のような「発熱外来(診療・検査医療機関)」が紹介されるのでしょう。
こう書くと、当院は発熱者ばかり受診してるのかと、一般の方に敬遠されかねませんが、それは違います。
なぜなら、「発熱外来診療体制」の基本は、診察室や時間帯を限定して診療を行うことにあるからです。
たとえば当院の場合は、毎日特定の時間帯を発熱外来用に確保し、屋外または特定の部屋で診察しています。

ところで下世話なことを書きますが、医療機関にとって重要なのは、発熱外来の開設を支援する補助金です。
これがなければ、医療機関はリスクだけを背負うことになりますからね。
遅ればせながら本日、その「発熱外来診療体制確保補助金」の交付申請書やら請求書やらを提出しました。

悲しいことにしかし、その申請書類の4枚はみな私の嫌いなExcel文書なんですよね。もちろんWindows版。
厚労省のサイトからダウンロードして、無理くりMacで開いてみると、あちこちに不具合があります。
同一文書内の表計算はうまくいきましたが、別の書類への数値コピーが働いてなくて、そこは手入力です。

間違いがあったら困るので、厚労省のコールセンターに尋ねてみました(今日も対応は親切でした)。
するとやはり、「予算書」の書き方が間違っていました(Windows版Excelなら自動入力される部分です)。

補助金の千円以下の部分は切り捨てられるため、その端数は「自己資金」として入力することがわかりました。
数値の辻褄を合わせるため、自己資金を投入した形にするという、お役所の流儀には恐れ入りました。

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車を持っていない人の「発熱外来」受診手段は?
- 2020/11/08(Sun) -
新型コロナウイルス感染の「診療・検査医療機関」には、熊本市内でも多くの医療機関が指定されています。
この冬の、コロナとインフルエンザの同時流行にも備えた、いわゆる「発熱外来」です。
当院は日曜祝日も発熱外来「枠」を開設しているので、今日は紹介を受けて来院した方が何人かいました。

さてその発熱外来ですが、実際に運用してみると、いろんな問題点が浮き彫りになります。
以下は、あくまで一般論として(当院の事例とは限らないとして)お読みください。

(1)自家用車を持っていない方の受診
コロナ検査のための受診における政府の考え方は、某議員の質問に対する答弁から読み取れば、
・公共交通機関の利用を避けることは、他の利用者への感染を予防するために必要
・タクシーについては、公共交通機関に含まれる
・救急車の利用については、その必要性が状況により異なるので、一概にはお答えできない

自家用車がない方が救急車で受診することを許容したとしても、今度は帰るときに問題が起きます。
まさかまた、救急車で帰宅するわけにもいきませんからね。

(2)喘息発作やけいれんやアナフィラキシーや心筋梗塞などの急病者とのバッティング
緊急性の高い方が急に来院すると、発熱外来は一時中断せざるを得ません。救命が優先ですから。
医者の体はひとつしかなく、診療所の構造にも限界があり、時間的・空間的分離の徹底は困難になります。
一般の医療機関が発熱外来を担当する場合には、このような避けられないリスクが存在するのです。

始めたばかりの発熱外来ですが、一般患者の診療との両立は、そう簡単ではないように思えてきたところです。

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「よく気を付けましょう」じゃダメなんです
- 2020/11/02(Mon) -
名称がよく似た医薬品の取り違え問題については、当ブログでも時々取り上げてきました。

今回のお題は、「ルパフィン」と「ルセフィ」。22例の取り違え事例が報告されました。
いずれも私はあまり処方しない薬です。前者はアレルギーの薬で、後者は糖尿病治療薬。
ま、似てるっちゃ似てる。「ルパン」と「ルフィ」ぐらい似てます。前者は怪盗で、後者は海賊。

取り違えの経緯を見てみると、ある事例は、花粉症と糖尿病の両方の薬を処方してもおかしくない患者さん。
間違えて処方しても気づきにくいケースですが、処方の変化を薬局が医者に確認して事なきを得たようです。
薬剤師さんって、結構細かいとこ指摘して来ますからね。しかもいつも正しい。

医薬品は何万もあるので、どうしたって似たような名前がでてきます。命名の工夫にも限界があるでしょうね。
とくに電子カルテで処方を行う場合、最初の2,3文字が似通っていると、薬を選び間違える可能性があります。

こんなとき、「よく気を付けましょう」なんていう精神論じゃダメです。間違えないように知恵を絞らなきゃ。
たとえば選択肢に、「ルパフィン(アレルギー薬)」「ルセフィ(糖尿病薬)」などと記載するのも有効。

薬の処方に限らず、項目をクリックして選ぶシステムでは、違いを明確にするような工夫が必要です。
性別を選ぶボタンなら、男を青、女を赤で表示するとか、たとえばそんな具合です。

医薬品の錠剤が入った「PTPシート」には、最近は薬品名だけでなく薬効も印字されるようになりました。
ルパフィンには「アレルギー性疾患治療薬」、ルセフィには「糖尿病用薬」と書いてある。しかし字が小さい。
こういう表示は、なるべく大きな目立つ字で印字してもらいたいですね。内服前の、最後の警告なんですから。

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「Go To かかりつけ医」的な、新しい制度が始まりました
- 2020/10/31(Sat) -
「診療・検査医療機関」制度が始まりました。
とくにインフルエンザと新型コロナの同時流行に備えて、「発熱外来」を支援するための補助金事業です。
従来の保健所頼みの流れから、かかりつけ医でのコロナ診療・検査へと切り替えていこうというわけです。

医療機関に対しては、発熱患者の受け入れ体制をとるインセンティブとして「体制確保料」が補助されます。
発熱外来診療の本体ではなく、体制を整えて維持することに対する補助金であり、その額の決め方は独特です。

(1) 発熱患者が来なかった場合に、受け入れ体制確保に要する経費について、一定の補助金を出す
(2) 発熱患者が来た場合には、その診療報酬が入るのだから、患者数に比例した額だけ補助金は減らす
(3) 発熱外来として設定した時間内に、非発熱患者を診察した場合には、その患者数に応じて補助金を減らす

当院としては、生活習慣病や普通の風邪の患者さんとの「棲み分け」をどうするかが、思案のしどころです。
発熱外来の時間帯や時間数を曜日ごとに決めようと思いながらも、何が最適なのか予測がつきません。

本来であれば、時間帯を明確に分けて診療したいところですが、患者の発熱は待ってくれません。
結局のところ当院では、その日その日の状況を見ながら臨機応変に対応する形で始めてみることにしました。
つまり、(3)は覚悟の上で、どの時間帯に発熱患者が突然来院しても対処できるようにするわけです。
軸となる、発熱外来専用の時間帯も2,3時間設けつつ、試行錯誤しながら膨らませていく方向です。

悩んでいるのはたぶん、私だけではないでしょう。この制度への参加の是非ですら、まだ議論されています。
ともかく動き出すしかありませんが、いちばん嬉しいのはもちろん、インフルもコロナも流行らないこと。

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真冬のコロナ診療が悲惨になりそうな予感
- 2020/10/23(Fri) -
「霜降」だそうですね。そうこうするうちに朝晩が寒いです。でも今日の午後はちょうど良い暖かさでした。
そんなちょうど良い昼下がり、「PCRセンター」に出動しました。2度目のお役目です。

医師(=私)は安全な室内に居るのですが、看護師のお二人は患者さんと接する窓全開の場所で作業します。
猛暑だった前回は地獄だったと思いますが、今日は気温18度で、二人とも「心地よい」と言ってました。
これが真冬になっても外気温の下で業務をされるのでしょうから、防護具の下にはかなりの防寒着が必要です。

今日のPCR検査対象者は17名。最近の熊本って、福岡以上の感染者数を出してますけど、どうしたんですか。
その17名のほとんどが、30代以下でした。小中学生もいる。まだまだコロナは根が深いと感じました。
3回目のPCRセンター出動は、12月になりそうです。これは色んな意味で厳しい時期かもしれません。

新型コロナウイルス感染を疑う発熱患者等の診療・検査は、今後かかりつけ医へにシフトしていく方向です。
その「診療・検査医療機関」へは、当院も参加を表明・回答し、今月中に熊本県から指定される予定です。

当院は、発熱者等が来院した場合に、コロナの迅速抗原検査を自院で行う医療機関となります。
状況によっては、コロナと同時にインフルエンザの迅速検査も行う事になるでしょう。

受診者の動線や診察室などにこれまで以上の工夫が必要で、検査はしばしば駐車場で行う事になりそうです。
真冬の屋外診療はすごく寒いです。おまけに夕方になると暗くて、問診も診察も検査も会計も、全部悲惨です。
今年は、ラニーニャ現象が発生したので寒い冬になるとのこと。もしかすると地獄の冬がくるのかも。

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コロナ禍の「電話初診」制度は、もう少し続けて欲しい
- 2020/10/10(Sat) -
電話1本で、診たことも無い患者さんの「診察」を行って薬を「処方」するのは、かなり特別なことです。

「診察は対面が原則」が診療の基本ですが、対面診察によるコロナ感染のリスクの方が、いまは重大なのです。
さらにそれが、「初診」でもOK、となったのが、このコロナ禍における、ある意味画期的な特例でした。
しかも、専用の機器を利用した「オンライン診療」ではなく、電話を使った音声だけの診療も認められました。

ウィズコロナの時代を見据えれば、オンライン診療は「恒久化」に向かうべきものと考えられています。

ただし田村厚労相は、「電話ではなく映像を原則にする」と、電話だけの初診は除外する方針を示しました。
「電話だけではきちんとした診察ができない」という、いまさらのような理由です。
そのかわり、「映像」を伴うオンライン診療なら今後も、初診でもOK、ということになります。

私が学生や研修医のころには、診察の基本は問診であり、問診だけで8割がた診断が付く、と習いました。
さらに視診・触診・打診・聴診という手技が加わり、必要な検査をして、診療の完成度を上げていくわけです。

「問診(電話)」だけではダメだけど、「問診+視診」ならOK、という理屈が、私にはわかりません。
段階的に、問診のみなら何点、視診も加われば何点、というような診療報酬の決め方ではダメですか。

コロナを恐れて受診控えする患者を防ぐのが、コロナ禍のオンライン診療の基本的な考え方です。
多くは、受診の必要も無い方かもしれませんが、一部に、受診控えをしてはならない重症者がいるのです。
ところが映像(視診)というハードルは、パソコンもスマホも持たない患者を見逃すことになりかねません。

オンライン診療には、受診控えしている重症者を見いだす役割もあり、それは問診だけでトリアージできます。

コロナ感染者も、多くは問診で見当を付けて検査しており、私の経験上、視診が決め手だった方はいません。
オンライン診療の恒久化とは別問題ですが、いまはまだ、電話初診を廃止する時期ではないと思います。

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インフル流行を前に、いまのうちにコロナ診療・検査体制を整えます
- 2020/10/06(Tue) -
熊本市保健所が主催する、新型コロナの「『診療・検査医療機関』に係る説明会」を、WEB視聴しました。
いまどきWEB配信で十分ですが、スライドしか見られず、演者や参加者の表情が見えないのは欠点ですね。

あらかじめ昨日の説明会の動画を見た上で今日のライブ配信を見たので、同じ内容を2回見たことになります。
説明会の内容はpdfファイルで見られますが、Q&A(聴衆の質問と保健所からの回答)は貴重です。
講演を繰り返すほど演者も慣れて来るようで、昨日の動画よりも今日の方が完成度が上がっていましたね。
ふと見たら、「21人が視聴中」とありました。意外と視聴者が少ないんですね。ちょっとガックリです。

これまで、当院を受診したコロナ疑い患者のPCR検査は、おもに以下の3ルートで行ってきました。
・帰国者・接触者相談センターへの紹介→保健所の指示に従って検査機関で検査
・当院で検体(唾液)採取→保健所へ検体提出→検査機関で検査
・医師会PCRセンターへの紹介→検査

これが今後(インフルエンザ流行時)は、次のルートが主体になるようです。
・かかりつけ医受診→かかりつけ医で検体採取(または医師会PCRセンター紹介)→検査

インフル流行時に保健所がパンクしないよう、コロナの検査はなるべく一般医療機関でやることになります。
医療者の感染を防ぐために、コロナとインフルはなるべく同時検査する方式が主流になるかもしれません。
患者自身が、鼻腔の浅い部分を綿棒でぬぐって採取した「鼻腔ぬぐい液」による「抗原定性検査」です。
コロナはいざ知らず、インフルでは検出率が低そうな気がしますけどね。たぶんコロナも。

医療機関は、発熱患者専用の診察室を設けて診療を行うため、国からはその体制確保の費用が補助されます。
そのようなシステムが、今月から構築され、医療機関が登録して準備を進めていくことになります。
国の政策も手探り状態なら、医療機関もこわごわと手を出す状況。両者に挟まれた保健所もたいへんですね。

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フェイスシールドは、顔に飛沫を浴びるのを防ぐために使います
- 2020/09/27(Sun) -
「フェイスシールドには、飛沫拡散防止効果が無い」と、最近いろんなメディアが盛んに言ってますね。
何をいまさらという気がしないでもないですが、各国の研究機関の検証で、それが明らかになっています。

そりゃそうでしょう。「サージカルマスク」ですら、隙間から漏れ出る飛沫が問題になってるんですから。
「フェイスシールド」なんて、飛沫が届く距離が短くなる程度の効果しかないと、みんな思ってますよ。
額にパッドが当たるタイプでも、飛沫は横や下からみな漏れるし、眼鏡タイプだと四方八方へダダ漏れです。

「マウスシールド」に至っては論外。ステージ上の歌手とか講演の演者が使うのなら、まだわかりますけど。
「麻生太郎氏のアレは全然ダメ」という主旨の(婉曲な)発言を、西村経済再生相もしてるでしょう。

口から出た飛沫は、また自分で吸い込むかマスク等に吸着でもしない限り、必ずどこかへ飛んでいくものです。
その意味でマスクの効力というのは、飛沫を付着させるところにあるのかもしれません。

と、ここまでは、自分の飛沫を拡散させないという面から考えてきましたが、もう一つの観点があります。
それは自分自身の感染予防。フェイスシールドは、他人の飛沫を自分の顔に浴びないためならば有効です。

私は診察時にゴーグルを着けることが多いですが、それは患者さんからの飛沫が目に入るのを防ぐためです。
さらに、顔全体を守りたいような状況では、フェイスシールドを装着して診察しています。
つまり、フェイスシールドは、あくまで守り用の装具だということです。
それを勘違いして、他人への感染拡大防止用に使うから、オカシなことになるのです。

結局は、サージカルマスクを、鼻の両脇をしっかりフィットさせて装着する。それが基本ですよね。
デザイン性を求めるなら、好きな絵柄の布マスクの内側に、不織布のマスクを仕込んだっていい。

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「熊本市医師会PCRセンター」に初出動
- 2020/08/21(Fri) -
「熊本市医師会PCRセンター」に、本日午後、出動してまいりました。行きは炎天下、帰るときは豪雨でした。

センターの場所は公表されてないのでここには書きませんが、知らない人が見たら気が付かないでしょう。
早めに現地に到着。施設の名称は何も書かれていませんが「入口」とだけ書いてあり、そこが入口でした。

このPCRセンターは、完全紹介制で1日30名までのPCR検査が可能ですが、今日の受診者は20人でした。
お盆前ごろには1週間ほど待たされましたが、最近は検査数が減ったこともあり、即日検査も可能のようです。

今日の検査スタッフは、医師(私)1人、看護師2人、検査技師2人?、事務員2人?の、合計7〜8人ぐらい。

防護具をフル装備した看護師2名の活動場所は、サッシを取り外して開放的な猛暑部屋。室温は38.7度でした。
一方で、私は軽装で、エアコンが良く効いた隣の部屋で待機します。涼しくてほんと、申し訳ないぐらいです。

被検者の車が看護師の前に停まり、十分量の唾液が採取できればそれで終了。被検者はそのまま帰宅します。
もしも十分量の唾液が採れない場合、被検者は車から降り、私の部屋との境界部の壁際のイスに座ります。
私は、壁の穴から突き出した手袋に手を入れて、被検者の鼻腔に綿棒を入れて、拭い液を採取します。
これはインフルエンザの検査と同じやり方ですが、ゴツいゴム手をはめた壁越しの操作はなかなかやりにくい。
被検者が痛がってのけぞると(←インフルで時々ある)、壁のゴム手の長さでは届かなくなります。

検査の途中で雷鳴がとどろき始め、ついには豪雨となりました。
徒歩で来た被検者のうち3名が、部屋の片隅で雨宿りする羽目になり、感染対策の観点からは少し問題でした。
ドライブスルーPCR検査は簡便ですが、猛暑と豪雨の対策が難しいですね。看護師のお二人、お疲れ様でした。

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「世田谷モデル」に難癖を付けるヒマがあったら・・・
- 2020/08/09(Sun) -
「世田谷モデル」なんてのが、脚光を浴びてますね。世田谷区の、PCR検査拡充プロジェクトのことです。
保坂展人区長の行動力と、ブレーンたる児玉龍彦名誉教授が打ち出した、もしかすると画期的な取り組みです。

まずは医療従事者などの無料定期検査を行い、最終的に「いつでも・だれでも・何度でも」を目指すとのこと。

それで思うんですけど、プロ野球選手らが定期的にPCR検査を受けられるのって、ちょっと不思議ですよね。
大きな資金力を持って独自の検査センターを構築したのだとしても、現状では不公平感がぬぐえません。
球団やJリーグの資金でできることなら、どうして国にできないのだろうと思ってしまいます。

世田谷モデルは、4月に立ち上げた、幅広く抗体検査を行う社会的検査プロジェクトに始まるようです。
ところが思いのほか第2波が早く来たので、研究的な抗体検査から実戦的なPCR検査へと切り替えたとのこと。

「プール方式」を利用することで、1日当たりの検査数を1桁増やし、2〜3千に引き上げようとしています。
何人分かの検体をまとめて検査し、もしも陰性なら全員陰性、陽性なら検体を個別に再検査するやり方ですね。
「天秤を2回だけ使って、8個の金貨の中の1個のニセモノを探せ」というパズルを、なぜか思い出します。

プール方式はたしかに、合理的です。手間と費用を節約でき、検査数を飛躍的に増やすことが出来ます。
しかし日本にはまだ、検査を増やしたら感染者が増えすぎて医療崩壊につながる、と言う人がいます。
また、検査数が増えれば偽陰性や偽陽性も増えます。そのことを問題視する方もいます。
でも偽陰性の問題を言うのなら、未検査の無症状感染者がおおぜい社会に出ている現状の方が問題です。
偽陽性もたしかに気になりますが、その率が高くないなら、やむを得ないでしょう。許容するしかありません。

日本人って、本来なすべき事よりも、その副作用の方を過大に捉え、懸念して動けなくなる傾向があります。
保坂区長のような、物事を合理的に考えられる政治家は日本では珍しいのですが、いま、求められています。

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コロナのワクチンは待ち遠しいけど、よく効くヤツお願いします
- 2020/08/07(Fri) -
新型コロナウイルス感染者数がまた、過去最大値を更新しました。東京、沖縄、大阪のほか、福岡もヤバい。

そんなニュースの中で唯一の「朗報」は、ワクチンの国内供給についての見通し報道でしょうか。
日本政府とワクチンの供給について合意したメーカーは、米国の「ファイザー」と英国の「アストラゼネカ」。
前者からは1億2千万接種分、後者からも最初に3千万回、最終的には1億2千万回分が供給されるとのこと。

国と製薬会社(および英米政府)との間で、どのような買い取り条件を約束したのでしょうね。気になります。
喉から手が出るほど欲しいワクチンですから、かなりの高値だったことでしょう。まあ、効けばいいですけど。

加藤厚労相はこの件について、記者の前でメーカー名を「アストロゼネカ」と言いました。しかも2度も。
大事な交渉相手の名称ですが、うっかり言い間違えたと言うよりも、間違えて覚えてしまっているようです。
私が「アストラゼネカ」のCEOなら、ワクチン供給契約を破棄したくなりますね。

確保できたワクチンは、2社合わせて2億4千万回分(1億2千万人分)です。ほぼ日本人全員に接種できます。
いろんな理由で、ワクチンを接種したくない人もいるでしょうから、たぶん少し余るぐらいの本数です。

ただし、いちどに全部が供給されるわけではないので、接種には優先順位が付けられることになるはず。
「新型インフルエンザ等対策特別措置法」の「特定接種」に準じるとすれば、優先的に接種を受けられるのは、
・医療の提供又は国民生活・国民経済の安定に寄与する業務 を行う事業者の従業員
・新型インフルエンザ等対策の実施に携わる公務員
ということになるかもしれません。

新型コロナ感染症は、インフルエンザよりも感染力がやや強く、また無症状の感染者が多いのが特徴です。
なので治療薬よりもワクチンの方が、社会のためには重要かもしれません。どっちにしても、早くしてくれ。

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本日稼働したPCR検査センターの検査料金は860円
- 2020/07/06(Mon) -
熊本県内初のPCR検査センターが、本日稼働しました。市の委託を受けて市医師会が運営する医療施設です。
検査を受けるために、もう相談センターに相談する必要はありません。登録医の紹介状だけでOKです。で、

「検査費用は無料で、初診料が保険適用3割負担の場合、860円かかる」と、新聞に書いてあるんですけどね。
「えっ、検査無料? なに、初診料? どゆこと?」て、なりませんかね、その書き方だと。

検査センターに出向いた患者が検査を受ける際に支払うお金は、患者にとっては全部「検査料金」なわけです。
保険診療上の名目を正確に書くことが必ずしも親切とは限りません。むしろ混乱を招きかねません。
「支払う料金は3割負担で860円です」ぐらいの記載にとどめておけばよかったのに。

検査結果は翌日の正午までに、紹介医と本人と保健所にも連絡されることになっています。
私も休診日にはときどき、検査担当者として出勤させていただくことになります。どうぞご利用ください。

さて、検査方法なんですけどね。検体は2種類。唾液か喀痰と、医師が採取する鼻咽腔ぬぐい液です。
医師は、長手袋が2本ぶら下がったアクリル板越しに、その手袋に手を突っ込んで検体採取操作を行います。
これなら検査所内感染も完璧に防げるので安心ですね、と思われたとしたら、それは大間違いです。

なぜなら、アクリル板の向こう側の安全領域に立つのは、医師だけだからです。
アクリル板の手前側の、検査を受ける人のそばには看護師が立って、唾液や痰を採取しなければなりません。

医師だけが安全な壁向こうにいて、看護師や検査技師は防護具を装着して危険領域に立つ、という構図。
その写真が新聞等にも掲載されていますが、なんか釈然としませんよね。印象悪いです。

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先発医薬品の名称は、詩的であれ
- 2020/06/22(Mon) -
「クラリシッド」という抗生剤は、とくに子どもに対してよく処方する薬です。苦いので嫌われます。
一般名は「クラリスロマイシン」で、商品名としてはクラリシッドのほかに「クラリス」もあります。

そのクラリシッドの国内製造販売が、現在の「マイランEPD」から「日本ケミファ」に「承継」されます。
もともとこの薬は、5年前に「アボット ジャパン」からマイランに承継された薬でした。
このように、製薬会社に何らかの事情や戦略があって、薬の製造販売元が移ることは、よくあります。

ケミファは、この薬の後発品(錠剤のみ)を販売していますが、このたび先発品販売に躍り出るわけです。
いまは後発品メーカー(しかも中堅)のケミファですが、かつては先発品メーカーでした。

そしてケミファといえば、製造承認を受けるための治験データをねつ造して、大問題になった過去があります。
私が医学部の学生時代のことで、当時はそれほど興味は無かったのですが、後になって調べて知りました。
データをねつ造したいくつかの薬のうち、高血圧治療薬(降圧剤)の名前が「トスカーナ」でした。

トスカーナといえば、フィレンツェを州都とする、イタリア中部の州です。
私が訪れたことのある数少ない海外の旅先の中でも、また行きたい場所第1位の、思い出深い土地です。
歴史、芸術、自然、なによりもワインと食べ物・・・と、いまでも「脳内旅行」が止まりません。

なぜそのような「美しい」名前をつけた薬で、データをねつ造するような汚れた気持ちになれたのでしょうね。

医薬品の名前には、一般名や構造や疾患名や薬効等を表す言葉を組み合わせた、妙な造語をよく見かけます。
できれば個性的で詩的な名称にして欲しいものですが、そんな気の利いた名前に、最近あまり出会いませんね。

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医療従事者の苦労はさまざまですが、ともかく頑張ってます
- 2020/05/30(Sat) -
「ブルーインパルス」が昨日、医療従事者への感謝と敬意を表すために、東京都心上空を編隊飛行しました。
医療従事者に限らず、屋外で青空を見上げた誰もが、明るい前向きな気持ちになったことでしょう。

感染の危険を覚悟で「仁術」を施す医療者に対して、世界中の人々が惜しみない謝意を抱いてくれています。
たいしたことはしていない私も医療従事者の端くれとして、多くの方々の配慮をありがたく感じます。

ただ、私が言うのもおこがましいですが、謝意の表明があまり過度にならないようにお願いしたいものです。
このような動きばかりが目立つといつか、かえって医療従事者への反発を招きはしないかと心配になるのです。
なぜなら、いま苦しんでいるのは医療従事者だけではないからです。

ほとんどの感染者は、何の落ち度もないのにウイルスに感染し、本人も家族も友人もみな苦しんでいます。
またこのコロナ禍では、医療以外の多くの職業の人たちが、経済的にも社会的にも苦しい目に遭っています。

そんな中で最近、医療機関の経営難に対しても、ようやくメディアが取り上げるようになってきました。
コロナ対策で病床稼働が悪くなった大病院だけでなく、受診控えによる患者激減で診療所も苦しんでいます。
経営に関しては、営業自粛に苦しむ飲食業や観光業等に目が行きがちですが、医療機関も同じなのです。
とくに医療機関の場合は、その経営破綻が地域医療にもダメージを与えるという二次的なリスクもあります。
「仁術」で称えられている医療者は口にしにくいですが、「算術」面のサポートが実は必要なのです。

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マスクも消毒液も値崩れ間近かもしれないので、高値で買わないこと
- 2020/05/24(Sun) -
ユニクロが、通気性に優れた「エアリズム」の素材でマスクを作るって話に、素朴な疑問なんですけど。

そもそも、マスクのウイルス捕集効率(濾過効率)って、通気性とのバーターみたいなものじゃないんですか。
通気性に優れたマスクって、ウイルスも快適に通過するんじゃなかろうかと心配になるんですけどね。
そこらへんの厳密な基礎実験や性能試験を積み重ねた上での、ユニクロの製品設計だと思いたいです。

シャープのマスクが大人気で抽選の応募者が殺到してますけど、冷静に考えれば価格がだいぶ高いですね。
税・送料込みで約4,000円というのは、マスクの流通が改善しつつある今となっては非常識とも言えます。
大騒ぎして応募して見事当選したものの、届く頃にはその値段に納得できない、てことになりませんかね。

マスク価格がコロナ前のレベルまで戻るかどうかわかりませんが、妥当な価格は50枚で500円以下でしょう。

消毒液だって、これから入手しやすくなるはずですが、医療機関ではちょっとしたトラブルが起きています。

厚労省が手指消毒用エタノールの「優先供給」を開始したと知り、あわてて申し込んだのが先月初旬のこと。
医師会の申込書には「有料頒布」とありましたが値段が書いてない。なのに「キャンセル出来ません」だと。
それでも申し込んだのは、消毒液がどうしても欲しかったから。言い値で買うしかない状況だったのです。

それから3週間ほどして、ヤマト便で届いた消毒液は、なんと1本(1L)4,218円なり。ちょっと高くない?
私は大人しく受け取りましたが、その割高な代引価格に対しては、一部で受取拒否騒ぎが起きているようです。

国から届く予定の消毒液と言えば、特定アルコールの「一斗缶」が、まだ届きませんね。こちらは無償。
大量の消毒液として期待してるんですが、いつ届くか分からないんじゃ役に立ちませんよ、いくらタダでも。

新型コロナにまつわる国の施策って、どうしても後手後手で、おざなりで、杓子定規で、チグハグですね。
いつか来る第2波までには、マスクも消毒液も防護具も、十分な国家備蓄と供給体制の整備をお願いしますよ。

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新型コロナ抗原検査を導入するからには、十分な準備と覚悟を
- 2020/05/13(Wed) -
新型コロナの「抗原検査キット」が、原則として有症状者に対して、医師の判断で使えるようになりました。
当院のような医療機関でも、インフルエンザの検査みたいに院内でサクッと迅速診断ができちゃうわけです。

と書くと、なんだかコロナも先が見えてきたように錯覚しますが、まったく違います。

(1)感度は低い
安易に検査して不用意に「陰性判定」を出すと、間違ったお墨付きを与えることになる可能性があります。
偽陰性の感染者を誤解させて野に放つことが、この検査法導入後の大きな問題になるかもしれません。
この手の検査は、インフルでも同様ですが、陰性判定には使えないのです。

(2)安易な受診が増える
その場ですぐ判定してもらえるとなれば、新型コロナを疑って医療機関を受診する患者は増えるでしょう。
検査目的の受診をどのようにコントロールするか、工夫が必要です。
PCR検査の要件が厳しすぎた経緯を踏まえると、抗原検査の検査条件を厳しくしすぎるわけにもいきませんが。

(3)厳しい感染防御が必要
これまではスルーしてきた可能性も否定できない新型コロナ感染者を、今後は捕捉しやすくなります。
ただし、クリニックの外来でいきなり「コロナ陽性」の判定が出てしまうことを想定した準備が必要です。
感染防御態勢を一層強めておかなければ、陽性判定後に大騒ぎになってしまいます。

(4)どっちみち治療薬待ち
診断を付けやすくなれば、感染者の管理もやりやすくなり、感染拡大を止めることにつながるでしょう。
しかし、有効な治療薬が開発されない限り、感染者の生命予後は変わりません。アビガンは効くのでしょうか。
インフルに対するタミフルのような薬が無いまま、診断だけバンバン付けていくというのも、いかがなものか。

ともかく、さまざまな準備と覚悟がなければ、抗原検査キットなど安易に導入できないということです。
とは言え、新型コロナ診療を大きく転換させ得る、画期的な検査手法だとも思います。やはり、導入でしょう。

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熊本地域医療センターで起きた新型コロナ院内感染に思うこと
- 2020/05/12(Tue) -
熊本地域医療センターは、5月7日から再開したばかりの外来・新規入院業務を、9日からまた休止しています。
4月11日の感染者の受診を契機とした新型コロナウイルスの院内感染が、まだ途絶えていなかったためです。

最初の患者Xに対応した外来看護師Aが17日に発症。その同僚の内視鏡室勤務の看護師Bが18日に発症。
さらに19日に臨床検査技師Cが発症し、その濃厚接触者の検査技師Dが5月3日に発症しました。

看護師Aは防護服を着けていたようなので、救急外来でXからの飛沫を浴びて感染したのではなさそうです。
技師Cと看護師A, Bとは直接接点はなく、また技師Dは十分な経過観察の後の勤務再開後に発症しました。

このような院内感染が出ている一方、患者Xの診療を行った他の多くのスタッフからは感染者が出ていません。
感染者からの飛沫感染は防御できても、拡散したウイルス付着物からの接触感染は防ぎ難いのかもしれません。

たまたま4月中旬に、地域医療センターの呼吸器内科の先生による診療マニュアルを読む機会がありました。
防護具の重装備はもちろん、患者に触れないために聴診すら行わないと、そこに記載されていました。
そこまでするのかと、少々驚きました。なにしろ私は今のところ、全患者の聴診ぐらいはしてますから。

そのような病院なのに院内感染者が出たのは、最初の患者Xの初診時の対応に原因があったかもしれません。
この方は当初、自分の発熱については伝えず、喘息であると自己診断して外来を受診したとされています。
自身が医師だからこその思い込みが、医療スタッフにイレギュラーな対応をさせた可能性も考えられます。
どんな医療行為でも同じで、大事なところでは例外を作らないこと。あと、人を見たらコロナと思え、ですね。

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患者も医師も自宅に居るというテレワーク診療だって可能なはず
- 2020/05/02(Sat) -
「最近テレワークなんですよね」と話す方が増えてきました。「なので体重が増えました」と続きます。
だろうと思います。通勤でだいぶ歩くし、職場でもそこそこ歩くはず。それが無くなったわけですからね。

私も以前、休診日に終日自宅でボンヤリ過ごした日の歩数が700歩だったことに、戦慄したことがありました。
いまは大丈夫ですよ、ルームランナーしてますから。

医療機関の場合、テレワークができません。なので私はこれまで通り、週に5日ほど通勤して仕事しています。
生活習慣病診療にはマスク、それ以外ではキャップやゴーグルやフェイスシールドを装着して診察しています。

感染予防のために、電話等による再診や初診すら、いまは特例で認められています。
自宅に居る患者さんに対して、私がクリニックで処方箋を発行するのは、ある意味「逆テレワーク」です。

よく考えたら技術的には、自宅に居ながら患者さんと電話したり、処方箋を薬局にFAXすることは可能です。
じゃあ私もテレワークできるのか。制度上このような「診療」が認められるのかどうかは、わかりません。

少なくとも、万一私がコロナに感染したり濃厚接触者となった場合でも、電話診療は可能だということですね。

始業前に私はいつも検温していますが、もしも37.5度以上だった場合にどうするか。いまそれを考え中です。
微熱程度で休診したくはないけど、対面で診療するのには問題がある。じゃあオンラインだ、となります。

院長室と診察室との間でオンライン診療ができるように、院内LANの拡充作業をいま進めているところです。

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コロナっぽくなくても、コロナの可能性は想定しなければなりません
- 2020/04/22(Wed) -
「ブルー・コメッツ」のジャッキー吉川氏(81歳)が亡くなったと報じられました。
訃報のTVニュースでは、ブルー・コメッツの大ヒット曲『ブルー・シャトウ』(67年)が流れていました。

「♪森と〜、泉に〜、囲〜まれて〜・・・」たぶん半世紀ぶりに、その歌詞を聞きました。
するとその瞬間、「森とんかつ♪」というフレーズを思い出しました。なんなら続きは「泉にんにく♪」です。

この歌は、メロディーがゆったりとして言葉が少ないので、合いの手を入れた替え歌が当時大流行しました。
テレビで何度も流れるし、よく知ってる食材名が出てくるので、学校でもみんなが口ずさんでいました。

もう何十年も耳にすることのなかった歌なのに、急に思い出した今でも、替え歌は全部歌えることに驚きます。
よっぽど当時の子どもの琴線に触れる歌詞だったんでしょうね。差し障りがあるので全文の記載は控えますが。

吉川氏は一人暮らしだったそうで、高齢者の孤独死と聞くと新型コロナじゃなかろうかと思ってしまいます。

それは違うとしても、病死したりやケガをした方が、あとでコロナだと分かる事例がたびたび報じられます。
警察から逃げる途中で交通事故に遭って救急搬送された人がコロナ感染者など、想定のしようもありません。
軽症感染者ということで自宅待機中に亡くなった方もいました。
コロナ以外の疾患での入院患者にPCR検査をしたら、約6%が陽性だったという慶応大の発表は衝撃的です。

感染者の臨床経過や行動は様々であり、感染者本人も周囲の者も医療者も、まったく油断ができません。
誰もが感染者である可能性を考慮して、医療でも一般の社会生活でも、常に注意を怠らないことでしょうね。

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防護具が不足しているので再利用するとなれば、またリスクがあります
- 2020/04/19(Sun) -
不足している高規格のN95マスクは、「例外的に」再利用してよいと、厚労省からのお達しがありました。

再利用法のうち、5日間のサイクルで毎日取り替える方法は、滅菌器を必要とせず当院でも実施可能です。
5日のインタバールがあれば、マスク表面に付着したウイルスは不活性化するだろうという理屈です。

週休2日の場合、1週間でちょうど一巡する使い方ができます。手持ちのマスクが5枚あればなんとかなります。
たとえばマスクに曜日を書いておき、毎朝その曜日のマスクを装着するというやり方が、間違いがないですね。
残りの4枚は、どこか風通しの良い(でも人目につかない)ところで保管(陰干し?)しておきましょうか。
目に見えて汚れたり損傷した場合は廃棄するルールなので、汚れない限りずっと使い回せるわけです。

じゃあ、1日1個使うとして、朝から晩まで着けっぱなしかというと、そういうわけにはいきません。
少なくとも、休憩中とか水を飲むときには一時的に外します。その際に大事なのは、マスクの外し方です。
清潔側(内側)と不潔側(外側)を厳密に区別して、慎重に脱着しなければなりません。

マスクだけではなく、キャップやガウンも診療中に脱ぎ着するのであれば、やはり慎重な清潔操作が必要です。
もちろん理想を言えば、すべての防護具を患者毎に毎回取り替えるべきですが、そんなムダはできません。

明らかに多くの飛沫を浴びたり、目立って汚れたりでもしない限り、同じ防護具を1日中使うことになります。
となると、マスクやガウンの外側にウイルスが付着したまま、診療を続けることになる可能性があります。

残念ながらこの方法では、医療従事者が我が身を守ることはできても、患者間での感染リスクがあります。
言い出すとキリがありませんが、院内感染を完璧に防ぐためには、本当はもっと潤沢に防護具が必要なのです。

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不本意ながら、経過観察しかできないこともあるのです
- 2020/03/19(Thu) -
ANAが、およそ8千人いる客室乗務員のうち約5千人を、一時的に休業させる方針を固めたと報じられました。
国際線の約60%、国内線の約10%で運休や減便を決めたので、労働者に対する措置も必要になったわけです。

風邪等での受診者が激減している現在、医療機関においても、雇用を守るための工夫が必要になっています。
学校の休校にともなって欠勤した従業員への賃金を補償する助成金制度は、当院でも利用する予定です。

ただ医療機関は、感染拡大防止のためにただ休んでおけば良い業種ではありません。
むしろ、感染症拡大を防ぐ役割を担うべく、ある意味では決死隊のような覚悟で仕事に臨む必要があります。

さいわい今のところ、新型コロナを強く疑う来院者はまだいませんが、嵐の前の静けさなのかもしれません。

実際に今日も、帰国者・接触者相談センターからの指示に従って、当院を受診した方がいました。
長く続く風邪症状で某病院を受診したら、診療を拒まれ、相談センターに連絡するように言われたとのこと。
そのセンターからの指示で当院を受診した方なので、まさかまたセンターに相談するわけにもいきません。

普通の風邪っぽかったので一般的な処方を行い、今後病状が悪化するなら明日他院へ行くよう指示しました。
患者さんには、医療機関A→相談センター→医療機関B(当院)→医療機関C?という、たらい回しになるのか?

医師が念のためと思っても、相談センターはそう簡単にはPCR検査のできる病院への紹介はしてくれません。
杓子定規に規定を遵守しているだけなのか、それとも検査のキャパがよほど少なく、温存しているのかも。

一般の医療機関の医師の判断だけでは、現時点ではPCR検査には回していただけないのが実情です。
やがて本格的な流行が始まったとき、一般の医師の裁量でPCR検査ができるようになるのか、ならないのか。
重症者と濃厚接触者に的を絞って検査と治療を行う日本のスタイルが、今後も続くのかもしれません。

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感染防御のためには、使い回さなくても良いぐらいに防護具が欲しい
- 2020/03/15(Sun) -
防護具の不備な状態で新型コロナウイルス感染者の飛沫を浴びた場合、その診察医は濃厚接触者となります。
一定期間の自宅待機等の対象になり、診療所もしばらく休診しなければなりません。そうなると一大事です。

風邪だと思って診察した患者さんが、あとで新型コロナだとわかるケースが今後出てくることでしょう。
誰がコロナか非コロナかわからない以上、本来危機管理上は、全患者がコロナの可能性ありと考えるべきです。
インフルエンザなどの検査を行う際にはエアロゾルが発生しやすく、とくに強力な防護具が必要です。

さらに言うなら、1人の診察が終わるたびに防護具を取り替える必要があるのか、という疑問も生じます。
厳密に言えば、取り替えるべきでしょう。ただしそんなことをしていたら、すぐに防護具が足りなくなります。

厚労省はどこまでの厳密さを医師に求めているのか。やぶ蛇を承知で、厚労省に電話してみたら、その回答は、
「新型コロナ疑い患者の診察時に飛沫が防護具に付着したら、それを着たまま次の患者の診療はできません」
「防護具を消毒後に再利用する場合も、診察後はいったん脱いで、取り替えまたは消毒をしてください」

その規定はどこに書いてあるかと尋ねたら、厚労省の「新型コロナウイルスに関するQ&A」にあるとのこと。
ただし「医療機関・検査機関の方向け」の部分ではなく、「遺体等を取り扱う方へ」のところにありました。

もしかすると厚労省は、医療者のガウン取り替えの必要性を、厳密には規定したくないのかもしれません。
厳しく規定して防護具が足りなくなると診療が止まるので、そこはウヤムヤにしておきたいのです、きっと。
私が電話した時も、回答が得られるまでだいぶ待たされました。本当は答えたくなかったのでしょう。
ちなみに保留音は、アルトサックスがノリノリのジャズだったので、待たされても苦になりませんでした。

さて、これからです。ガウンが不足していることを理由にして、その慎重な使い回しは許容されるのか否か。
ガウン使い回し診察後の患者から新型コロナ感染者が出たら、メディアは使い回しを叩くかもしれません。
今後流行のピークが来たとき、感染防御においてどこまでの厳密さまでが求められるのか、心配は尽きません。

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選定療養費
- 2020/01/07(Tue) -
この時期どうしても、予約なしで朝から来院される方が多いです。
夜中から高熱が出たり嘔吐が続くお子さん、喘息症状がひどい人、動悸や胸痛を訴える成人の方もいます。

すでに9時からの診療枠は、ネットや電話で予約済の方で一杯で、その多くが高熱の方です。
なので予約なしで窓口に来院された方への対応は、おもに次の2つに分かれます。
(1)病状が重い方は、そのまま診療(できるだけお待たせしない)
(2)病状が軽い方は、予約患者の合間に割り込む形で診療(少々お待たせする)

このうち(1)のケースに対応できるのはしかし、せいぜい2,3人まで。5人も6人も来られたら無理です。
直接来院された重病者は早めに診療したいですが、予約済の重病者の診療をどんどん遅らせるのも問題です。
前夜から高熱でぐったりでも、朝の受付時刻を待ってから予約を入れ、時間通りに来る方もいるからです。

重症だと思って来たのに待たされた方は、それほど重症ではなかったのだと思っていただけると助かります。

基幹病院の救急外来のコンビニ受診を少しでも減らせるならと、当院では土日祝日の診療を続けています。
その当院受診者にも、ときどきかなり重症の方がいます。そういう方のトリアージが私の仕事です。
私の手に負えない患者さんは、日赤や地域医療センターなどの先生方に、治療をお願いすることになります。

本来は、重症の方は最初から病院を受診していただきたいところですが、それはなかなか難しくなりました。
緊急の場合等を除き、医療機関からの紹介状がなければ、5,500円の「選定療養費」が徴収されるからです。

ただ、紹介状(診療情報提供書)を書くのにも時間がかかるし、だいいち患者さんに余計な手間をかけます。
当院の初診料と診療情報提供料を併せると、選定療養費を超える医療費もかかってしまいます。
大病院の負担軽減の目的はわかりますが、もう少しスマートな解決法はなかったんですかね。

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出席停止期間のさじ加減
- 2019/12/28(Sat) -
当院は今日が「診療納め」でした。明日から年末年始のお休みをいただきます。

そんな今年最後の診療日にもまた、インフルエンザに罹ったお子さんや大人が、何人も来院されました。
学校はすでにお休みですが、今後数日間は「出席停止」に準じて行動してもらわなければなりません。
本日発症の方は、たとえ治りが良くても、5日後の1月2日までは感染力があると考えていただきます。
したがって、たとえば公共の乗り物に乗ったり映画を観に行くのは、なるべく1月3日以降でお願いします。

「発症した後五日を経過し、かつ、解熱した後二日(幼児にあつては、三日)を経過するまで」

これが学校保健安全法施行規則による、インフルエンザ罹患後の出席停止期間の規定です。
簡単に言うなら、「発症した日の6日後以降で、かつ、解熱した3日後から登校できる」ということです。

以前、どの時点をもって「発症」と見なすのか、という問題について書いたことがあります。
しかしそれと同様に、どの時点をもって「解熱」したとするのかという点も、実は微妙に問題となります。

最近の新聞記事に、「解熱した日はカウントせず、翌日から1日、2日と数えます」という記載がありました。
さらに、「熱が下がった時間帯は、カウントに影響しません」ともありますが、話はそう単純ではありません。

たとえば「朝起きたら熱が下がっていた」とき、解熱したのが朝なのか、未明なのか、前夜遅くなのか。
解熱したのが夜中の0時より前か後かで、登校できる日が1日違ってしまいます。

このようなケースで私は、子どもの全身状態を診て、解熱の日時を臨機応変に判定することになります。
インフルエンザにおける発症と解熱の時期は、丁寧な問診と診察によってケースバイケースで解釈すべきです。
出席停止期間は、法令の規定そのものは遵守しつつも、最終的には医師の裁量で決めるものなのです。

※文中で「解熱」とした部分は法令に準じた表記であり、私としては「下熱」と書きたいところです。

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服薬依頼書
- 2019/12/05(Thu) -
お子さんに薬を処方すると、「服薬依頼書」を書いてくれと頼まれることがあります。

多くの幼稚園や保育園では、医師からの服薬指示(依頼)がなければ、薬を飲ませてくれないのです。
また一部には、原則として保育中の内服ができない「内服薬お断り」の園もあります。

そのような背景がある場合、お母さんはたいてい「1日2回の薬をお願いします」と言ってきます。
風邪などでは、1日3回の薬を1日2回に「減量して」処方しても、たいした問題はありません。
どっちみち対症療法ですから。

ところが、溶連菌感染に対するペニシリン系抗生剤など、どうしても1日3回飲む必要のある薬が問題です。
このような薬は、その作用時間を考慮して1日3回飲むわけで、1日2回では効果が減弱します。
多くのセフェム系抗生剤も同様で、ときどき他院の1日2回の処方を見かけるので驚きます。

本来、1日3回の抗生剤は、1日24時間を3等分した8時間間隔で飲むのが理想です。
つまり、朝8時の次は16時に飲めばいいわけで、昼食後に内服する必要はありません。

園から帰宅するのが午後4時か5時のお子さんなら、朝・帰宅後・寝る前、の3回の内服で良いわけです。
私がそのように説明すると、親御さんは「1日2回内服」の呪縛から解き放たれたような顔をされます。

たまに、園からの帰宅が毎晩7時だというお子さんもいて、その場合は必要に応じて書類を書きます。
ただ、1日3回の抗生剤を、朝7時・昼12時・夜8時、という内服のしかたで良いのかは、疑問です。

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風しん対策は低調
- 2019/11/30(Sat) -
風しんの追加的対策」が、今年度から3年間の時限措置として始まっています。
公的な予防接種歴の無い40〜57歳の男性に対して、抗体検査とワクチン接種を推進しようという方策です。

検査と接種のための無料クーポン券は、3年計画で段階的に送付されることになりました。
「事業開始当初に受検希望者が集中すると、医療機関や対象者に混乱が生じる懸念がある」との配慮からです。

さて初年度の今年は、40〜47歳の647万人を対象として、クーポンが配布されました。
ところが、このうち検査を受けた対象者は9月時点で87万人。受検率13.4%という惨憺たる結果でした。

だって対象は中年男性ですよ。クーポンが来たからって、ホイホイ検査に出向くほど暇じゃないのです。
われわれ医療機関は、受検者の殺到で混乱するどころか、まったく拍子抜けですよ。

厚労省は「医療機関への駆け込み等の混乱は生じていない」と、うそぶいています。よく言えたものです。

こんなことなら次年度は、全対象者にクーポンを発送したっていいんじゃないの、って思いますよね、普通。
でも厚労省は違う。次年度も粛々と当初予定の通りに、こんどは48〜53歳を対象とするようです。

予測が間違ってたら、臨機応変に迅速に施策を修正する、ってことができないんですね、官僚には。
いちおう、今年度未使用で期限が切れるクーポンを来年度も使えるようになったことは、せめてもの救いです。

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健診の電話勧誘
- 2019/09/30(Mon) -
詐欺まがいの怪しげな勧誘が増えている昨今、多くの患者さんが困っている「勧誘電話」があります。

差し障りがあるので発信元は言えませんが、「1,000円で健診を受けませんか」と誘ってくるそうです。
「抽選で食事券が当たりますよ」などとエサをぶら下げて、何度もしつこく攻勢をかけてくるらしいですね。

これがマンションの販売なら「再勧誘」は禁じられてるはずですが、健診の勧誘だとどうなのでしょう。

当院通院中の生活習慣病の方は、おおむね年に3回程度、脂質糖質や肝腎機能などの血液検査を行っています。
その検査の医療費は、平均すると350点前後なので、窓口負担額は700〜1,000円程度になります。

件の「1,000円健診」の内容を見ると、検査項目がかなり少ないですね。もうほんと、必要最小限のみ。
この検査内容で、生活習慣病の定期検査の代用とするには不足するので、別の日に追加検査が必要になります。
患者さんは余分に痛い思いをして、余計に血液を失い、医療費としてもムダです。

なのでこの健診勧誘電話には乗らないように、当院では啓蒙活動を続けていますが、アチラもしつこいのです。
食事券等の賞品はは「およそ12人に1人は当選」するそうで、その期待値は数百円程度と見積もられます。
それならば、最初から健診費用を500円ぐらいに安く設定すればいいのに。

すでに生活習慣病で治療中の方に、中途半端な検査を有料で行うこと自体、そもそも疑問です。
しかもそれを、しつこく電話勧誘するのは問題だと思いますよ、熊本市国保の方(あ、言っちゃった)。

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医薬品名の由来
- 2019/09/05(Thu) -
咳止め薬の「アスベリン」と不整脈治療薬「アスペノン」の処方間違いが多い、という報告が出ました。
このように冒頭3文字が似ている薬は、電子カルテで処方する際に間違えて選ぶリスクがあります。

以前から、似たような名前の薬の取り違え事例は相次いでおり、その都度、注意喚起がなされてきました。
間違いそうなぐらいに名前が似ているとすれば、まず、発売よりも前に手を打つのが最善の策でしょう。
それをスルーして発売後に取り違えが起きたのであれば、必要ならその時点で薬剤名の変更を検討すべきです。

「アマリール」と「アルマール」がそうでした。これは後者が改名することで決着しました。

では、「アスベリン」と「アスペノン」では、どちらの名前を残し、どちらを変えましょうか。
歴史の長い「アスベリン」は残して、比較的新参者の「アスペノン」を改名すべきでしょうか。
あるいは、薬剤名の命名の由来も考慮して、より意義深い名称の方を残す、という考え方もありでしょう。

「アスベリン」という名称の由来は、メーカーのインタビューフォームによると「特になし」だと。ありゃま。
「アスペノン」の名前の由来もまた不可思議。メーカーによる説明はこうです(以下原文のまま引用)。

 aspen(英語)は,ポプラの葉のような,よく震える.
 ポプラの葉のようにぶるぶる震える.
 従って,アスペノン(Aspenon)は,“「ざわざわ」,「ぶるぶる」と震える心臓を抑える”という意味になる.

なにコレ。もうちょっとまともな日本語を書きましょうよ。これじゃまるで、ポエムじゃないですか。
つまり、ポプラの葉のように震える(aspen)ことがない(non)ってことですよね。まあ悪くない。
てことで、よく注意して両方とも使いましょうかね。

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医療費不払いと診療
- 2019/09/02(Mon) -
「正当な事由がない限り、医師は患者の診療の求めを拒否できない」という、医師の「応召義務」。
ややもすると理不尽な規定なのですが、昨今の働き方改革の影響を受け、少々風向きが変わりつつあります。
すなわち、医師という労働者としての「人権」も考慮すべきではないか、という至極まっとうな論調です。

このような、医師に対する優しい配慮について、メディアはなかなか好意的には取り上げてきませんでした。
過去の「優遇税制」とか「薬漬け医療」等による医師への偏見が尾を引いているのかもしれません。

ところで、医療費不払い患者に対してどこまで「応召義務」を果たすべきか、という記事を最近目にしました。

当院にも、所持金が無いから後日支払うと言いながら、未払いのままになっている患者さんが何人かいます。
そのようなことを繰り返し、その都度、所持金が無いが後日必ず払いに来ると言って久しい方が1人います。
いつも症状が重いので診察と処方を行ってきたのですが、医療費請求の電話をかけてもつながりません。

このようなケースに対して、ある弁護士の回答はこうです。

(1)特段の理由なく保険診療の未払いが重なっている場合には、診療しないことが正当化される
(2)その場合であっても、病状が重篤で緊急対応が必要な場合には、診療をする必要がある

これを、たとえば飲食店に当てはめて考えてみると、こうなります。

(1)特段の理由無く無銭飲食を繰り返す客には、食事の提供を拒否することが正当化される
(2)しかし、腹が減って死にそうだという客には、所持金が無くても食事を提供する必要がある

重い症状で来院された場合には、たとえ不払いの常習者に対しても、診療を行う義務が医師にはあります。
そういった場合には、公的な資金で未払い医療費を補填するような制度ができないものですかね。

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