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ワクチンいつ打つ?
- 2019/10/06(Sun) -
インフルエンザワクチンの接種を始めています。
さいわい、現時点ではワクチンの供給に不安はないので、時間枠の許す限り、接種予約を受け付けています。
予約専用サイトの管理画面を見ると、土日枠はかなり埋まっていますが、平日にはだいぶ空きがあります。

例年、もっとも混み合うのは11月です。でも今年はそのピークを10月に持って来たいところです。
どうやら今シーズンはインフル流行が早そうなのです。近隣の小中学校では、学級閉鎖も出始めています。

ワクチンの接種時期に関して、例年よく尋ねられる質問があるので、この場を借りて回答させていただきます。

(1)風邪を引いたが接種できるか?
どのようなワクチンであれ、体調不良のときに接種するのは有効性の面でも安全性の面でも問題があります。
しかし他のワクチンとは異なり、インフルエンザワクチンは旬のモノ。あまり延期すべきではありません。
結局は、風邪の症状や経過を総合的に判断して、接種の可否を決めることになります。

(2)抗生剤を飲んでいるが接種できるか?
そもそも、抗生剤で治療するような感染症は、ワクチンの接種を行う前に治しておくべきです。
とくに、他院で抗生剤等の処方を受けたばかりの場合は、接種を見合わせることが多いですね。
抗生剤を飲むとワクチンが効かなくなるわけではなく、その感染症の経過自体を少し見守りたいのです。

(3)早く接種しすぎると、シーズン後半で効果が切れないのか?
まったく本末転倒な疑問です。日本人にはどうも、メリットよりもデメリットを先に考えるタチがありますね。
ワクチンの効果切れを懸念するよりも、接種が流行期に間に合うかどうかを心配して欲しい。

(4)いったい、いつ接種するのがいい?
「いまでしょう」というのが、冗談抜きで正解。とくにお子さんは、なるべく早く1回目を打ちましょう。
2回接種するお子さんの場合、1回目と2回目の間隔は4〜6週間ほど空けた方がよく効くとされています。
しかし、流行期が迫っていることを考慮すると、2回目を11月中には済ませたい。
となると1回目は、今月前半に接種するしかありません。これホントです。

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ロタワクチン定期化決定
- 2019/09/27(Fri) -
ロタウイルスワクチンは、来年10月から定期接種になることが決まりました。
有効性も安全性もコスパも、ひととおり検討が済んだわけですが、なお実施まで1年待たせるんですね。
それならば無料接種までのつなぎとして、とりあえず接種費用の助成を開始してくれるといいんですけどね。

ところで、ロタウイルスワクチンの接種を行う上で、問題がいくつかあるようです。私が興味深いと思うのは、

(1)2種類のワクチン(ロタリックスとロタテック)の互換性の問題
米国では、両者のワクチンを組み合わせても、計3回接種すればよかろう、という考え方になっています。
組み合わせ接種による安全性と有効性については、厚労省もおおむね(やむを得ず)認めています。
ただ、これまでずっと組み合わせを禁じてきた手前、前言を撤回するための理屈をこね回してるのが笑えます。
日本は里帰り出産が多いから1回目と2回目の接種では医療機関が変わるのが問題、なんて真面目に言ってる。

(2)ワクチンをすぐに吐き出した場合の再接種(再投与)はどうする
現在、ロタリックスでは再接種を認め、ロタテックでは認めないと、添付文書に明記されています。
両者を組み合わせて接種する場合も出てくるので、現状のままでは整合性がとれないのが、お役所的には痛い。
どうやら定期接種では、再接種を認めない方向のようです。ロタリックスにしてみれば、とんだとばっちりか。

(3)接種控え対策はどうする
ワクチンが無料化になる直前に、わざわざ有料で接種したくないのが人情。いわゆる「接種控え」問題です。
乳児期の重症感染症を予防するのがワクチン接種の目的ですから、接種が遅くなればなるほど危険です。
さらにロタウイルスワクチンは、遅い週齡で接種を開始するほど重い副反応が起きやすい問題もあります。
なので厚労省は、来年8月生まれ以降の乳児だけを、10月からの定期接種対象にしようと考えているようです。

(4)他のワクチンとの接種間隔はどうする
現状では、ロタウイルスワクチンは他の生ワクチンと同様に、他のワクチン接種まで4週間の間隔が必要です。
しかし欧米では、ロタと他の注射ワクチンとの接種間隔には何の規定もなく、自由に接種できています。
厚労省はこの機会に、接種間隔について見直そうという言い始めました。これは珍しく良い話。
さらに他のワクチンでも、欧米にならって接種間隔を緩和しようかという動きさえ出ています。朗報です。

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2巡目でおしまい?
- 2019/09/22(Sun) -
高齢者の肺炎球菌ワクチンの定期接種は、5の倍数の年齢の方を対象とした経過措置が、5年間行われました。
65歳以上の高齢者全員に等しく接種の機会が与えられたわけで、対象者の多くが接種する見込みでした。

しかし実際には接種率は思いのほか低く、やむを得ず経過措置が「2巡目」に入っています。マヌケな話です。

接種率が低かったのは、自己負担金が高いことと、日頃の啓蒙活動が不十分だったことが要因でしょう。
それに加えて、接種対象がわかりにくい制度設計にも問題があったと思います。

5の倍数の年齢が対象なのだから、今回はパスして5年後に接種しようと考えた方には、何人も出会いました。
本来、この経過措置は、全高齢者に1回だけ接種機会を与えるように考えられた制度でした。
与えられた機会を自ら手放した方には、もう二度と定期接種の機会は与えられないわけです。

私はそのことを、今回が最初で最後のチャンスですよと、口を酸っぱくして説明してきました。
今回、2巡目の経過措置が始まったのは良かったですが、私の説明は嘘になってしまいました。ま、いいけど。

ただ残念なことに、せっかく2巡目が始まったというのに、それならば接種しようという方は多くありません。
この定期接種制度の啓蒙活動が活発になったとも思えません。これじゃあ5年後には、3巡目に突入するかも。

その反対に先日、65歳の時に接種済なのに、今回70歳で2巡目の定期接種を受けに来られた方がいました。
1回目を他県で接種した後に熊本に引っ越したら、また定期接種の対象者として勧奨のハガキが来たとのこと。
どうやら接種情報が、県をまたいで共有できていないようです。お役所の仕事としてはお粗末ですね。

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なるべくネット予約を
- 2019/09/21(Sat) -
当ブログの読者ならご存じの通り、インフルエンザワクチンのネット予約の受付を、昨日から開始しています。
いまのところ、かかりつけの患者さんを中心に、おもに土日の接種日から予約枠が埋まりつつあります。

昨シーズンまでは、インフルエンザの予約者に対して、他のワクチンの同時接種も積極的に勧めてきました。
しかし同時接種をすると接種全体の流れが悪くなりやすく、しばしば接種時間が大きくズレてしまいました。

そこで今シーズンは、インフルエンザのネット予約枠内では、他のワクチンを同時接種しないことにしました。
もちろん同時接種自体は可能ですが、その場合、インフルエンザワクチンの接種のネット予約はできません。

これはネット予約者の接種の流れをスムーズにして、多くの方の接種を予約時間通りに行うためです。
今回が初めての試みなので、目論見通りにうまくいくかどうかまだわかりませんが、ともかくやってみます。

10月から消費税率が上がりますが、インフルエンザワクチンの接種料金は昨シーズンと同じにしました。
増税分だけ値上げする考え方もありますが、そうすると端数が出て、とても煩雑になりそうだからです。

65歳以上の方へのインフルエンザワクチンの接種(定期接種)は、とても重要です。
なので日頃かかりつけの高齢者の方に限り、通常の診察枠でワクチンの接種を行うことにしています。
これは以前から行っていることですが、ネット予約が難しい高齢者の方への配慮でもあります。

ネット予約をしなくても、インフルエンザワクチンの接種は電話で受け付けますが、料金を高くしています。
料金差を作ることによって、予約をネットへ誘導し、受付の電話がパンクするのを防ぐためです。
でも、現状ではまだ「完全ネット予約制」にするわけにはいきません。今後もずっと、無理でしょうね。

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インフル予約は明日から
- 2019/09/19(Thu) -
明日から、当院ではインフルエンザワクチン接種のネット予約の受付を開始します。接種開始は10月から。

他の多くのワクチンでは、希望者にはいつでも接種できるように、一定数のワクチン在庫を確保しています。
安全のために、「在庫数>予約数」を維持しているのです。

しかし適切なワクチン流通のためには、必要なタイミングで必要な本数だけを入手するという原則があります。
理想的には、「在庫数=予約数」なわけです。

一方で、インフルエンザワクチンは予約者が多いので、必要数をすべて確保しておくことなど到底できません。
つまり、「在庫数<<予約数」です。

実際には、ワクチンの入荷はつねに遅れがちなので、綱渡り的な予約管理を行うことになります。
とくにこの数年、ワクチンがなかなか届かない時期があり、ヒヤヒヤしながら予約を受け付けていました。
さいわい今年は、9月末にはワクチンを入手できることがほぼ確実なので、少し安心しているところです。

9月末に一定数を、10月に入ってからも毎週少しずつ、継続的にワクチンが納入されるよう算段しています。
10月から消費税率が上がるので、できれば今月中にまとめて入手したいところですが、そうもいきません。

毎年苦労はしますが、最終的には「入荷数=接種数」でシーズンを終え、ワクチンが余ることはありません。
もちろん、「入荷数<接種数」となるはずはなく、結局、抑制気味に入荷しているということなのでしょう。

この数年、インフルエンザワクチンの接種について当院は、以前ほどアグレッシブではありません。
冬場の診療が混み合う時期に、ワクチン接種にあまり時間を割きたくないという気持ちもあります。
そのため、なるべく10月に集中して接種を行いたいと考えています。
当院での接種をご希望の方は、早めにネット予約を入れていただけると助かります。早割はありませんけど。

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ロタワクチン定期接種へ
- 2019/09/14(Sat) -
ロタウイルス胃腸炎を予防するワクチンがようやく、定期接種になりそうです。だいぶ待たされましたね。
昨日の厚労省の審議会で、早ければ来年度中には定期接種化する方針が示されたようです。

ワクチンの定期接種化を議論するときに、厚労省がいつも問題にするのは以下の3つ。
(1)有効性、(2)安全性、(3)費用対効果

すでに定期接種が行われている諸外国の状況から、ロタウイルスワクチンの有効性は十分に認められています。
一方で副反応としては腸重積症が知られていて、それを恐れるあまりに日本での定期接種化が遅れてきました。

ワクチンの有効性よりも副作用を重要視する日本人の情緒こそが、日本がワクチン後進国たるゆえんです。

さいわい、最近になってようやく、有効性と安全性については合理的な判断に傾いてきました。
となると、定期接種化の最終段階に立ちはだかるのは、費用対効果の壁ということになります。

国は最近、「ワクチン代があと4千円下がれば費用対効果は改善する」と、メーカーに圧力をかけ始めました。
審議会の詳細な内容は知りませんが、おそらく、ワクチンの価格を下げさせることで解決したのでしょう。

お役人には、「 ワクチン代 < ワクチンの導入で削減できる社会的コスト 」であることが重要なのです。
予防費用の方が治療費よりも高いのであれば、その病気を予防するメリットなし、という品の無い考え方です。
子どもたちを病気から守るためではなく、経済的な損益によって定期接種化を決める国の姿勢は疑問です。

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インフル予約どうする
- 2019/08/25(Sun) -
インフルエンザワクチンの接種は、当院では毎年10月初めから始めています。今年も多分、同じです。
その予約受付は、毎年バタバタしてしまい遅れがちですが、例年9月中には始めています。

開院当初は、インフルエンザワクチンの接種で当院の知名度を上げようと、あれこれ工夫していました。
料金面だけでなく、予約受付を9月1日から開始するなど、今では考えられないほど無理してました。

ただこの数年は、ワクチンの製造量が減って供給が不安定なことから、予約受付はたいてい9月下旬からです。
多数の予約を受け付けたのにワクチンが足りず接種ができません、という事態は避けなければなりませんから。

しかしそれでも、接種予約の受付はワクチンの納品前に始めるしかありません。いつも見切り発車なのです。
そしてこのタイミングの問題が、毎年の苦労の原因となるわけです。

近年、というか以前から、インフルエンザワクチンの被接種者には、当院のかかりつけでない方も多いです。
かかりつけでない方にも接種はしますが、そのせいで、かかりつけの方が予約を取りにくくなるのが問題です。

分け隔てなく誰の予約でも受け付けるべきか、それが毎年の悩みの種であり、トラブルの原因にもなります。

いっそのこと、子どもにしか接種しないことにすれば、かかりつけの割合が増えるかもしれません。
しかしそれでは、その子どものご両親への接種はどうするのかなど、別の問題が生じます。

インフルエンザワクチンの接種というのは、労多くしてほとんど利益の出ない業務です。
それを推進するのは、ひとえに患者さんの健康と便宜のためです。その点をご理解いただけると幸いです。

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B型肝炎ワクチンの危機
- 2019/08/19(Mon) -
B型肝炎ワクチンの定期接種が始まって以来、当院でも毎日のように、赤ちゃんに接種を行っています。
ところが、そのワクチンの供給が、いま危機的状況に向かっています。

現在、国内で使われているB型肝炎ワクチンには、2種類あります。
MSDの「ヘプタバックス」と、KMバイオロジクス(KMB)の「ビームゲン」です。

MSDのヘプタバックスは、その原液製造工程に問題があり、最近まで全世界で製造が止まっていました。
製造工程の改良によって出荷が再開されましたが、日本では薬事手続きが必要となるため供給はまだです。
現在、旧ワクチンの在庫分が流通していますが、10月には完全に品切れになる見込みです。
MSDによれば、日本での流通再開は早くても2020年半ば以降とのこと。だいぶ先の話ですね。

この事態を受けて厚労省は、KMBに対してビームゲンの増産と出荷前倒しを要請しました。
まだ熊本地震の影響も残るKMBの工場がどこまで増産できるか、そこが第1の注目点です。

しかしもうひとつ、薬品卸からの供給問題があります。
当院では最近1年以上は、ほぼヘプタバックスだけを使用してきており、ビームゲンの使用は限定的です。
今後ヘプタバックスが入手困難となれば、ビームゲンを購入しなければなりませんが、それが問題なのです。
薬品卸に発注したところ、ビームゲンの購入実績が1年以上無い当院への納入は難しいと、断られました。

取引実績があれば納入し、実績がなければ納入しない、というのは、この業界では一般的なしきたりです。
このような前歴主義あるいは実績主義が足かせとなって、当院では現在、ビームゲンの手配が困難なのです。

実績がないことを理由に医療機関が不利になることがないよう配慮することを、厚労省も求めています。
しかし、実績がない医療機関にワクチンを融通すれば、その分お得意さんへの供給量を削ることになります。
医療機関も、薬品卸も、お互いに苦しい状況なのです。

さいわい、ヘプタバックスの購入実績はかなりあるので、その在庫分は多めに融通してもらってます。
しかし今後、在庫が枯渇した後にどうなるのか、メドが立っていません。なるようにしかなりませんけどね。

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例示のセンス
- 2019/07/22(Mon) -
毎日毎日、赤ちゃんにワクチンを接種しています。乳児だけでなく幼児や児童にも接種しています。
成人に、麻疹風疹混合ワクチンや肺炎球菌ワクチンを接種することもあります。

子どもたちの場合、実施した予防接種の詳細は、母子手帳に記録することになっています。
所定のページに、日付、ワクチン名、ロット番号と有効期限、医療機関名、接種部位、接種量を記入します。
このうちロット番号と有効期限については、ワクチンのパッケージに付属しているシールを利用します。

1本のワクチンのパッケージ(外箱)には、たいてい5枚のシールが付いています。
5枚もあれば、母子手帳だけでなく予診票や予防接種済証やカルテにも、同じシールを貼ることができます。
電子カルテの場合にはカルテに貼るシールは不要で、そうでなくてもシールはたいてい余ります。

ワクチンのパッケージには、あまり見ることもないですが、検定合格年月日も刻印されています。
最近某メーカーのワクチンで、検定合格年月日の表示方法が変更された旨が、ダイレクトメールで届きました。

「1234.56.78」という従来品の表示が、変更品では「345678」になるとのこと。・・・意味わかりません。

「2019.07.22」が「190722」に変わります、と書いてあれば、なるほどそうですかOK、となるのに。
「1234年56月78日」を意味する「1234.56.78」という例示が、センスなさ過ぎなんですよ。

この会社では、別のワクチンに関しても、同様の表示が記載されていました。もう、バッカじゃないの?
例示する際には、わかりやすさが命でしょうに。直感的にスッと入ってくるような記載にしなきゃ。

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HPVワクチンと選挙
- 2019/07/20(Sat) -
「HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)」について、興味深いアンケート調査が行われました。

このワクチンの「積極的な接種勧奨」を再開すべきかどうかを、参議院選挙の立候補者に尋ねたものです。
調査を行ったのは「予防医療普及協会」です。この協会の理事にはホリエモンも名を連ねています。
候補者へのアンケート調査をすることで、HPVワクチン問題を政治に働きかけるのが目的だといいます。

その目論見はしかし、必ずしも面白い結果にはなりませんでした。
299人の立候補者に尋ねたら、93人(31.1%)という低い回答率だったことが、まずひとつ。
さらに、接種勧奨を「再開すべき」とした人が22%、「再開すべきでない」が54%という残念な結果でした。
政党によって回答率と回答内容に偏りもあったようですが、その詳細はは割愛します。

どうやら候補者の方々には、この微妙で面倒な質問には答えない方が賢明と思っている方が多かったようです。

では、国会議員(候補)の先生方がそういうスタンスであるならば、医者の先生方はどういう考えなのか。
数か月前に、医師3千人あまりが回答したアンケートでは、積極勧奨を「再開すべき」が78%でした。
私には驚きだったのは、「勧奨する必要なし」という医師が22%もいたことです。

興味深いのは、「勧奨する必要なし」の理由です。いくつかの回答をまとめると、次の3パターンでした。
(1)まだ不安要素が残っている
(2)国民のかなりが反対している
(3)子宮頸がんを完全に予防できるわけではない

このうち(1)は科学的な発想に欠け、(2)は大衆迎合主義、(3)は屁理屈だと、私は思います。
どの理由があっても、毎年3千人の女性が命を失う感染症を予防するワクチンを止める理由にはなりません。
それなのに「接種は積極的にはお勧めしません」と言い続けている厚労省の姿勢には、心底ガッカリします。
そして、その厚労省を動かせる立場の国会議員(候補)も、残念ながら及び腰、または無関心のようです。

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期限切れワクチン
- 2019/07/18(Thu) -
期限切れのワクチンを接種してしまった、という医療過誤の報道をときどき目にします。

最近報じられたのは、有効期限を9日ほど過ぎた4種混合ワクチンを乳児に接種した、某県立病院の件です。
当初の接種日が延期となったため、準備していたワクチンが実際の接種日には期限切れになっていたようです。

期限切れはもちろん規則違反。でも期限を9日過ぎたぐらいならワクチンの効果にはまったく問題無いはず。
しかしそれでも期限切れがダメな理由は、その医療機関のチェック体制全般に疑問が生じるからです。
期限切れに気づかないようだと、別のもっと重大な問題も見逃される可能性がある思われても仕方ありません。

県立病院の記事には、例によって「今のところ乳児に健康被害はないという」という記載が続きます。
毎度のことですが、笑ってしまいます。だって、期限切れのワクチン接種による「健康被害」って何でしょう。

期限切れを接種して危惧されるのは、そのワクチンの接種によって獲得できる免疫が不十分である可能性です。
なので問題が起きるとすれば、そのワクチンで予防しようしていた感染症に、将来罹患してしまうことです。
そんなことが、ワクチンを接種した直後に、「健康被害」となって出現するはずがありませんよね。

ところで当院に在庫してる4種混合ワクチンは、今日の時点で19本あり、期限はすべて2020年6月でした。
検定合格日は今年1月となっているので、このワクチンの有効期限は製造後1年半程度と推測されます。
つまり、当院で使用中のワクチンは、製造から半年以内の、有効期限まであと1年近くあるものばかりです。

そう考えてみると、冒頭の県立病院の在庫管理って、ちょっと解せませんね。
接種日が延期になったら期限切れになるような、期限ギリギリのワクチンを在庫してること自体が疑問です。

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机上のワクチン接種計画
- 2019/07/05(Fri) -
赤ちゃんの予防接種は、種類が多くて複雑なのでよく相談を受けますが、基本がわかれば意外と簡単です。

病気を予防するのが目的なのだから、規定で許される限りできるだけ早く接種する。それに尽きます。
効率的な接種プランを立てて、年間カレンダーに印を付けてしまいましょう。

前にも書いた通り、4週間間隔でいつも同じ曜日に、以下のように6回で全てを打ち終えるのがオススメです。

(1)生後2カ月:ヒブ、肺炎球菌、ロタ、B型肝炎
(2)生後3カ月:ヒブ、肺炎球菌、ロタ、B型肝炎、4種混合
(3)生後4カ月:ヒブ、肺炎球菌、ロタ(3回接種の場合)、4種混合
(4)生後5カ月:4種混合、BCG
(5)生後6カ月:日本脳炎
(6)生後7カ月:日本脳炎、B型肝炎

ただし、4種混合ワクチンの接種は満3カ月からなので、(1)の4週間後が必ずOKとは限りません。
なので(2)の日付を先に決めて、その4週間前に(1)を接種するのが良いと、前にも書きました。

BCGは満5カ月からが推奨されていますし、日本脳炎ワクチンの接種対象は6カ月からです。
また、B型肝炎の3回目は1回目の20週間後以降という規定があり、(1)と(6)の間隔も20週間あけます。

これらの規定をすべてクリアし、なおかつ分かり易い接種プランは、次のようになります。

1.まず、生後6カ月で(5)を行うことにします。曜日も考慮して、カレンダーに印を付けましょう。
2.この(5)を基準にして、4週間間隔で(4)から(1)の印と(6)の印を付けます。以上。簡単でしょ。

ただしこれは机上の計画。風邪を引いたりして予定はすぐズレます。とにかく(1)を早く始めることですね。

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報道機関の不作為
- 2019/06/09(Sun) -
新年度になって2カ月過ぎましたが、麻疹風疹混合(MR)ワクチン第2期の、接種希望者の出足が今ひとつです。
さらに言うなら、HPVワクチンの接種希望者がまだ、今年度は1人も現れません。

HPVワクチンの積極的な接種勧奨は、すでに6年間差し控えられています。
接種率が対象者の1%未満に下がっていることは、先日も書いた通りです。

厚労省の「子宮頸がん予防ワクチン接種の積極的な接種勧奨の差し控えについてのQ&A」にはこうあります。

問 予防接種対象者への積極的な接種勧奨を差し控えることになったのはなぜでしょうか。
答 (略)定期接種を中止するほどリスクが高いとは評価されませんでした。
  (略)接種希望者の接種機会は確保しつつ(略)積極的な接種勧奨を一時的に差し控えるべきとされました。

「なぜ勧奨差し控えなのか」との問いに「定期接種を中止するほどのリスクは無いから」と論点をすり替える。
肝心なことは何も答えない、まったく無内容な自問自答を演じています。もはや笑うしかありません。

「日本プライマリ・ケア連合学会HPVシンポジウム」では、報道機関の代表者が次のように述べています。

HPVワクチンに対する新聞記事の論調は、「応援期」から「攻撃期」を経て、現在は「不作為期」であると。
ワクチンの副作用報道は減少し、報道機関はそれをまるで過去の出来事のように時折報じていると。

たしかに「不作為」ですけどね、それを他人事のように言いますか。なぜメディアは動かないのですか。
過去の副作用報道が過ちだと気づいたのなら、それをきちんと記事にしたらどうですか。特集組みなさいよ。
毎年3千人の女性が亡くなっている感染症を予防するワクチンです。そろそろ「応援期」に戻りましょうよ。

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ワクチン拒否の国民性
- 2019/06/03(Mon) -
NHKニュース『おはよう日本』が先週、麻疹ワクチン拒否の現状について取り上げていました。
前にも当ブログで書いたように、デマ情報に基づく誤解によってワクチンの接種率が低下してしまう問題です。

万事に言えることですが、いったん広まったデマ情報を打ち消すには、その何倍ものエネルギーが必要です。
番組では最後に、次のように結びました。
「行政や医療機関も、ワクチンの効果について正確な情報をもっと積極的に発信していく必要がある」

そこまで言うなら、どうしてはっきりと、HPVワクチンの問題について触れてくれなかったのでしょうね。
これこそ典型的な、デマ情報(=根拠に乏しい情報)による「国をあげての」ワクチン拒否だというのに。

ところで興味深いことには、HPVワクチン拒否運動が起きたのは、日本だけではありません。
ある医療系記事によれば、デンマークやアイルランドも、反ワクチン運動によって接種率が下がったようです。
しかしそれらの国では、接種率の低迷に警鐘を鳴らす啓蒙活動が奏功し、接種率はV字回復したそうです。
日本以外にも、HPVワクチン接種率の低下を経験し、なおかつそれを克服した国があるのは励みになります。

ただし、そんな諸外国で接種率が下がったというのは、80%から40%に下がった、という程度のもの。
日本において、70%もあった接種率が1%未満に下がってしまったのは、きわめて極端。不可思議な現象です。

これほどまでに徹底して、ほぼ全国民がワクチンを拒否してしまう日本人の国民性って、どうなんでしょう。
ケチが付いたら全否定。疑わしきは罰しまくる。なんかちょっと怖いですね。
もう少し科学的で、合理的で、客観的で、冷静な判断ができないものかと、驚きと同時に悲しくなります。

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反ワクチン対策
- 2019/05/07(Tue) -
海外旅行から帰国した人も多いでしょうけど、いま「伝染病」の持ち帰りによる流行が危惧されています。
麻疹(はしか)が流行している米国から日本へ持ち込まれる「輸入はしか」が、とくに問題になっています。
潜伏期を考慮すると、来週あたりから発病者が出現し始めるかもしれません。しばらくは要注意です。

日本よりもずっと「ワクチン先進国」のはずの米国で、実はワクチン接種率が低下しています。
国のワクチン行政は進んでいる一方で、ワクチンを接種しないという主義主張もまた、存在するわけです。
しかしそれが、「反ワクチン」のデマ情報に基づく誤解であれば、認識を改めてもらわなければなりません。

Facebookは最近、反ワクチンに関する投稿を、上位に表示されないようにするアルゴリズムを導入しました。
しかしそのFacebookこそが、反ワクチン情報を拡散して米国の麻疹流行を助長した張本人といわれています。
個人情報の漏洩問題で利用者が減りつつあるFacebookは、イイコトして挽回しようと躍起なのでしょうか。

医者や薬や医療全体に対する、批判的な言論は自由ですが、一般市民を誤った方向に煽動するのは問題です。
かつては、書籍や週刊誌がその「情報源」でしたが、いまはネットの時代。その情報拡散力は絶大です。
ワクチンの効果や安全性を科学的根拠なく否定し、恐怖まで煽るよう反ワクチンサイトも目立ちます。

Twitterはこのたび、「ワクチン」を含む検索を行うと、厚労省のページを案内する対策を始めたそうです。
簡単に、インチキサイトやデマ情報にアクセスすることができないような、「反ワクチン対策」の一環です。

でもね、科学的根拠のないデマ情報を流して最強の「反ワクチン」運動をしている張本人って、厚労省でしょ。
だって、HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)の積極的勧奨接種を、ずっと止めてますからね。
「接種はオススメしません」と言うこと自体、HPVワクチンの危険性を煽ってることと同じじゃないですか。
麻疹の対策も大事だけど、それよりもずっと感染者と死亡者の多い感染症をまず予防しなきゃダメでしょう。

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HPVワクチン早く打て
- 2019/04/24(Wed) -
HPVワクチン」によって、子宮頸がんの前段階「子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)」が激減したという話。
驚くにも値しない予想通りの結果なのですが、英国の医学雑誌に発表されて話題になっています。

スコットランドで、20歳の女性14万人に子宮がん検診をして、一定段階のCINの検出率を調べたところ、
(1)14〜17歳でHPVワクチンを接種した女性は、ワクチン未接種者に比べて、CINが51%少なかった
(2)12〜13歳でHPVワクチンを接種した女性は、ワクチン未接種者に比べて、CINが89%少なかった

「鉄は熱いうちに打て」になぞらえて言うなら、「HPVワクチンは若いうちに打て」です。

厚労省がHPVワクチンの積極的勧奨接種の差し控えを決めてから、もうじき6年経ちます。
接種率は1%未満にまで落ちています。ていうかほぼゼロ。当院での接種者も、月に1人いるかどうか。

世の中が接種に消極的(または否定的)な雰囲気のいま、あえて率先して打とうと思う方がいないのです。
定期接種対象の小6〜高1の子どもたちは、どんどん対象年齢を過ぎ去りつつあります。

日本脳炎ワクチンも、かつて積極的勧奨接種が差し控えられていた時期がありました。
後に、差し控えによって接種を受ける機会を逸した人に対して「特例接種」が行われることになりました。
平成7年6月1日〜平成19年4月1日までの間に生まれた者に対して、19歳までの間に接種を認めるものです。

この特例接種は、かなり幅広い年齢層に対する、驚くほど太っ腹な救済措置です。
そこまでして、多くの子どもたちにワクチンを接種しようと考えるほど、日本脳炎は怖い病気だったのです。
私が6歳のとき(1966年)の日本脳炎の患者報告数は、全国で年間2千人を越えていました。
発病者の3分の1は死亡し、3分の1には重度の後遺症が残るといわれ、その予防が国の重要課題でした。

翻っていま、年間1万人が発症し、そのうちの約3割が亡くなる「感染症」があります。子宮頸がんです。
HPVワクチンの接種で、その患者数・死亡者数を激減できることがわかっています。

いつの日にか、HPVワクチンの積極的勧奨接種が再開し、また特例接種が設定されることでしょう。
でもHPVワクチンは、前述したように接種年齢が遅くなれば予防効果が低下することがわかっています。
のんびりしてる場合じゃないのです。大事なことだから2度言いますよ、「HPVワクチンは若いうちに打て」。

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MR接種はお早めに
- 2019/03/25(Mon) -
あと1週間、新元号の発表が待ち遠しいですが、その前に、年度末の予防接種の期限も迫っています。
いま急を要するのは、接種対象が「学年」で規定されている定期予防接種の対象者で、未接種の方です。

(1)この春、小学校に入学予定のお子さんの「麻疹風疹混合(MR)ワクチン第2期」
(2)いま65歳以上で5の倍数の年齢の方、または、4/1までにその年齢になる方の「肺炎球菌ワクチン」

これらの方の接種機会は、今月いっぱいです。慌てて接種する方が、今日も何人か来院されました。

高齢者の肺炎球菌ワクチンは接種率があまりにも低かったため、来年度からまた5年間、延長されます
でも次のもう一巡で、これまでの未接種者がどれだけ心変わりするでしょうね。過度な期待はできません。

MRワクチンの第2期接種は、今月のかけこみ接種が終わると、4月からは新たな対象者の接種が始まります。
対象者(年長児)にはぜひ、4月のうちに接種を受けていただきたい。接種を遅らせるメリットはありません。

それどころか7月以降は、「風疹第5期定期接種」によるMRワクチン不足も懸念されます。
もちろん厚労省は、ワクチン不足など認めません。医療機関や薬品卸における配分の問題だと言い張ります。
しかし現実には、現場のワクチンが不足して接種計画に支障を来すことなど、過去に何度も経験しました。

第5期接種が始まるまでには、幸いなことにあと3カ月程度の猶予がありそうです。
子どものMRワクチンの接種を確実に行うために、この3カ月間は、願ってもないチャンスなのです。

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接種基準に微妙な違い
- 2019/03/22(Fri) -
「風疹(風しん)の追加的対策」として、「風疹第5期定期接種」が始まることは、2月に書きました。

この第5期接種についてのポイントを列記してみます。
(1)昭和37(1962)年4月2日から昭和54(1979)年4月1日の間に生まれた男性が対象
(2)まず抗体検査(採血)を行い、定期接種の対象かどうかを判定する
(3)抗体価が一定基準を満たした場合に、麻疹風疹混合ワクチンを接種する
(4)抗体検査と予防接種には、市町村から送付されるクーポンが必須
(5)2019年度は、昭和47年4月2日から昭和54年4月1日の間に生まれた男性に、クーポンが送付される

さあて、どこから書きましょうかね。なにしろツッコミどころ満載過ぎて・・・

2月1日には政令が施行されているのですが、準備に時間を要しており、4月1日にはまだ始まらないようです。
それどころか熊本市では、クーポン発送が7月以降にずれ込む公算です。多分全国的にもそのあたりでしょう。

抗体価の基準値は、例えば「HI法」では「8倍以下」です。「16倍以上」の場合は、接種対象外となります。
ところが、現在も行われている熊本市の「接種費用助成制度」では、「16倍以下」が助成の対象基準です。

よく遭遇する「16倍」ちょうどの方は、接種費用助成対象だけど定期接種は対象外、という立場になります。
もっと言うなら、「8倍以下」の方は、今すぐ接種したければ4千円、7月まで待てば無料、となるわけです。
これでは「接種控え」が起きかねません。一刻も早く日本から風疹をなくす趣旨にも反する事態です。

「8倍以下」という低い数値で接種の可否を判定するのには、それなりの理由があるようです。
接種対象者は予防接種歴がないので、風疹の罹患歴があるかないかで抗体価は両極端だろう、という理屈です。
たとえそうでも、従来の判定基準(16倍以下)に準じた方が、よほど混乱は少ないと思うんですけどね。

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壮大なワクチン実験
- 2019/03/05(Tue) -
インフルエンザがまだ、ちらほら出ています。いまごろ流行している幼稚園もあるようで、驚きます。
熊本市の定点あたり報告数も、第7週 ( 2/11-17 ) よりも第8週 ( 2/18-24 ) の方がわずかに増えていました。
ワクチンを接種していても罹ることはありますが、やはり未接種の人の方が感染しやすい印象です。

いま目立つのは溶連菌感染(咽頭炎)ですね。熱と咽頭痛と時に発疹を伴い、ノドが真っ赤になります。
高熱のお子さんにインフルエンザの検査をする前に、のどをよく観察しておかなければなりません。
溶連菌にワクチンができたらいいのですが、菌と人の組織との抗原性が近いので開発が難しいらしいですね。

当院ではまだお目にかかったことがありませんが、関西では麻疹、関東などでは風疹がいま流行しています。
これらを予防するために、麻疹風疹混合 ( MR ) ワクチンの接種を希望する方が、時々来院されます。
来年度からは風疹第5期接種が始まりますが、接種対象者には少々複雑な条件があるのが厄介です。
この問題については、後日あらためて書く予定です。

さて、毎年1万人が罹患し、毎年3千人が亡くなっている病気があります。子宮頸がんです。
ワクチンによって、7割程度は予防できるとされていますが、今ほとんど誰も接種をしていません。
積極的勧奨接種は差し控えられていますが、HPVワクチンは現在も定期接種。なのに接種率はほぼゼロです。
学会や国際機関が何を言っても、厚労省は動きません。
このままでは将来、先進国では日本だけが、子宮頸がんに苦しむ国として取り残される恐れがあります。

諸外国と比べるだけでなく国内でも、ワクチン接種者と未接種者で、発がん率に明確な違いが出るはずです。
これはある意味、壮大な臨床治験(または社会実験)と言えます。将来、厳しい結果が突きつけられるのです。

数十年後に、あのとき積極的勧奨接種を止めなきゃよかったね、と後悔するようなことだけは避けたい。
そのときになって国を責めても、どうしようもない。でもたぶんメディアは、こんどは国を責めるのです。

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風疹第5期接種
- 2019/02/04(Mon) -
2月4日は、2(ふう)4(しん)で「風疹の日」だそうです。
妊娠初期に風疹ウイルスに感染すると、胎児が「先天性風疹症候群(CRS)」になるおそれがあります。
そんな子どもの出生をゼロにすべく、「 “風疹ゼロ” プロジェクト」という啓発運動が立ち上がっています。

しかし先日、埼玉県で生まれた赤ちゃんがCRSと診断されたと報道じられました。
2012〜13年の風疹流行時には45人のCRSが確認されましたが、昨年来の流行では今回のケースが初めて。
これを、たった1人と考えるのは間違いです。様々な努力の結果、やっとここまで減っているのです。

“風疹ゼロ” プロジェクトの目標は、CRSの赤ちゃんをゼロにすること。日本から風疹を排除することです。

それを達成するために、成人男性への風疹ワクチンの「定期接種(第5期)」が行われることになりました。
2月1日に公布(同日施行)された改正政令および省令の要点をまとめると、次の通りです。

・昭和37年4月2日から昭和54年4月1日までの間に生まれた男性を、 風疹の第5期定期接種の対象とする
・ただし、抗体検査で十分な風しんの抗体がある者は対象から除外する
・風疹ワクチンまたは麻疹風疹混合ワクチンを使用し、接種量を0.5ミリリットルとする

接種の前提となる「風疹抗体価」の検査や接種対象者への通知などについては、今後詰められていくようです。
しかし政令は2月1日施行であり、法に基づけば、希望する対象者は今日にでもワクチンを接種できるはず。
熊本市の準備状態はどうなのか、すぐ接種できるのか、今日の昼休みに保健所に電話してみました。

すると保健所は、政令が出たこと自体をご存じなかったようで驚いていましたが、驚くのはこっちですよ。
国の動きが意外なほど迅速だっただけに、それが末端の自治体にうまく伝わっていないのは残念です。

熊本市としては、早急に接種の準備(予算化や、対象者への通知や予診票の作成など)を進めるそうです。
そんなわけなので、今回の定期接種が熊本市内で行われるまでには、もう少し時間がかかりそうです。

なお、この定期接種に関しては疑問点が多々あり、ブログネタ満載です。今後小出しに書いていきます。

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集団免疫の社会実験
- 2019/01/24(Thu) -
麻疹が三重県内の宗教団体で集団発生していると書いた先日の「未確認情報」は、ガセではありませんでした。
その団体のサイトに「お詫び」とする文章が2日前に掲載され、新聞等での「実名」報道も始まりました。

お詫び文には、そのコミュニティの考えとして、
「医薬に依存しない健康や、自然農法による安全・安心な食を基にした信仰生活を重んじております」
とあり、ワクチン未接種の信徒がいることを認めています。たぶん接種率はかなり低いと思われます。

「感染リスクの高い疾病のワクチン接種について(略)皆様にご心配をおかけしないよう対処してまいります」
とも述べていることから、麻疹ワクチンは例外的に、今後接種を行うのかもしれません。だといいのですが。

麻疹の流行を阻止するためには、地域のワクチン接種率95%以上を維持する必要があるとされています。
この接種率があれば、ワクチン未接種者の感染をも防げるという「集団免疫」の考え方です。

その反対に、未接種者が多いと思われる例の宗教団体においては、集団免疫も作用しなかったというわけです。
さらに、一般社会の接種率も不十分であったために、感染が外部にも広がったのでしょう。

私はインフルエンザも同じ事だと思います。
日本中で十分に高いワクチン接種率が達成できれば、流行はほとんど阻止できるのじゃなかろうかと。
この時期のインフル流行による膨大な医療費やその他の社会的損失を考えると、ワクチン代など安いものです。

日本では1960年代から約30年間、学童へのインフルエンザワクチンの集団接種が行われました。
効果不明のため中止されましたが、後の解析で、毎年約4万人の死亡を防止できていたことが判明しました。
集団接種の中止後、高齢者の死亡が増えてしまったのは、集団免疫の働きが低下したことが原因なのです。

いま、ある地域でインフルエンザワクチンを住民の95%以上に接種したら、どういう結果になるでしょうね。
そのような社会実験をぜひ、行ってほしいものです。

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高齢者ワクチン延長へ
- 2019/01/12(Sat) -
高齢者の肺炎予防のための、「肺炎球菌ワクチン」の定期接種の経過措置が、延長されることが決まりました。

本来は65歳が接種対象ですが、これまで経過措置として、5の倍数の年齢の高齢者に接種が行われてきました。
経過措置期間の5年間(実際には4年半)で、65歳以上の全員に、1度ずつ接種の機会が与えられた格好です。

ところが接種率は40%程度と低迷しています。
その原因は周知不足だけでなく、対象や接種回数がわかりにくいことや、接種が有料ということもあるしょう。
そこで、経過措置を5年間延長し、高齢者にもう一度接種の機会を与えようというというわけです。

そのこと自体は、よい考えです。当然、延長すべきでしょう。しかし問題は、そのやり方です。
厚労省の方針案では、これまでの経過措置と同様に、5の倍数の年齢の高齢者が接種対象となるようです。
でも「年度区切り」がわかりにくいし、もはや5の倍数の年齢に限定する意味って、ないんじゃないの?

これまでの経過措置で接種した方は対象から除外されるので、未接種の方は高齢者の約6割です。
そのうちの一部の方が接種するわけですから、ワクチン不足を懸念するほど殺到するとは思えません。
もはや、経過措置の対象年齢はシンプルに、「65歳以上全員 (-`ω´-)キッパリ 」、でいいじゃないですか。

5の倍数の年齢という対象設定を、「5年ごとに接種ができる年齢になる」と誤解してる方は何人もいました。
「一生に1回しか接種できませんよ」と私が言えば、「では私は5年後に接種します」と応じる人もいました。

そのような方々に私は、「経過措置は今回限り。次の機会はありません」と説明して、接種を促してきました。
対象年齢を過ぎてしまって定期接種を逃した方には、ワクチンの任意接種をお勧めしたことさえあります。
まことに申し訳ありませんが、私はウソをついていました。あと一巡(たぶん)、接種機会が回ってきます。

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風疹ワクチンの接種控え
- 2018/12/16(Sun) -
風疹対策として、来年から成人男性への「定期接種」が始まる話は、先日書きました。
となるとワクチン不足が心配だとも書きましたが、もうひとつ、私が気になるのは「接種控え」です。

ワクチンが新たに定期接種化、無料化、あるいは改良されるときにはいつも、接種控えが問題となります。
無料になってから接種しようと動きは、子どもの予防接種において、過去に何度も経験してきたことです。

2年前に始まった「B型肝炎ワクチン」の定期接種では、制度が始まるまで接種を待つ事例が見られました。

「小児用肺炎球菌ワクチン」が新ワクチンになった5年前にも、接種控えが危惧されました。
それを防ぐために、国と医薬品業界と医療機関は、新ワクチンの存在をずっと秘密にする作戦で臨みました。
そのXデー前日までは旧ワクチンをしれっと接種し続け、Xデーから突然、新ワクチンに切り替えたわけです。
このやり方が妥当だったのか、いまでも疑問は感じます。

さて目の前の問題は風疹ワクチンです。風疹抗体価が陰性の方には、ワクチンの接種が推奨されます。
熊本市民の場合、現状では市からの助成が4千円ほど出ます。これが来年4月からは完全無料になるわけです。

もちろん、4月まで待たずに今すぐ接種するのが医学的には正しい。接種が遅れれば免疫獲得も遅くなります。
でも、もうじき無料になることがわかってるのに、あえて自己負担していま接種するかどうかは、悩みどころ。

だから国は、4月から定期接種にするなどという悠長な事を言わず、いますぐ無料にすべきなのです。
諸事情によりそれが無理なら、定期接種が始まるまでの暫定措置として、接種費用は償還払いとすべきです。
万一そうなったときのために、いま風疹ワクチンを接種している方は、必ず領収証を保存しておきましょう。

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成人男性に風疹ワクチン
- 2018/12/13(Thu) -
今年の風疹の発生数が2,454に達し、2012年の流行時の2,386人を超え、国はやっと対策に乗り出しました。
本日開催された厚生科学審議会では、以下のような対策(対応方針案)が示されました。

(1)定期接種の機会が1度もなかった世代(39〜56歳の男性)に絞って、重点的に対応する
(2)2020年の東京オリンピック開催までに、当該世代の抗体保有率を85%とすることを目指す
(3)ワクチンを効率的に活用するために、抗体検査とワクチン接種を組み合わせて対応する
(4)抗体検査を実施する人数が多数にのぼるので、抗体検査が適切に実施できる体制を構築する

つまり、39〜56歳の男性にできるだけ多く抗体検査を行い、必要ならワクチンを接種する、ということです。
しかも、風疹の輸入や拡大が起きやすいオリンピックまでになんとかしようという、切迫した状況です。

冒頭で風疹の発生数に触れましたが、実は最近いちばん流行したのは2013年で、報告数は14,344人でした。
当時の田村厚労相はこれを「風疹はまだ1万人」だと言って、批判を浴びました。
「特別の対応を取るところまではきていない」と、その異常事態を放置したのが、5年前のことです。
あの時点で、今回策定したような風疹対策を実行していれば、今年の流行は起きなかったことでしょう。

5年前よりもずっと小規模な流行なのに、国がようやく重い腰を上げた理由は、東京オリンピックです。
国際的な世間体や外圧がなければ動かない、日本の官僚らしい姿勢が、今回も発揮されたわけです。

さて今回の対策ですが、医療現場の混乱は避けられません。
対象世代は約1,600万人とされていますが、医療機関に抗体検査やワクチン接種がどれほど集中することか。
接種には、麻疹/風疹混合(MR)ワクチンを使うことになりますが、はたしてワクチンが足りるのか。
MRワクチンは、子どもの定期接種ワクチンでもあるだけに、ヘタをすると大変な事態になります。
それ以外にも、今回の風疹対策案には多くの問題があります。後日さらに詳しく考察してみます。

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本庶佑氏の警鐘
- 2018/12/12(Wed) -
ノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑氏の、ノーベル・スピーチ後の記者会見の内容が、胸を打ちました。
HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)についてのコメントが求められた際の、その返答です。

「マスコミはきちんと報道していただきたい。(略)ワクチンの副作用というのは、一切証明されていない」
「世界で日本だけ、若い女性の子宮頸がんの罹患率が増えている」
「マスコミは、ワクチンによる被害を強く信じる一部の人たちの、科学的根拠のない主張ばかりを報じてきた」
「はっきり言ってマスコミの責任は大きいと思う。(略)今からでも遅くないから、きちんと報道してほしい」

以上は、HPVワクチン問題についての活動が世界的に評価されている、村中璃子氏の記事から引用しました。

この重大な発言は、日本のワクチン行政やマスコミに対して「激震」とも言える影響を与えたはずです。
ところが、村中氏も述べているように、日本のメディアはいまのところ、本庶氏の発言を報じていません。
沈黙を守っているメディアは、いま何を考えているのでしょう。考えられる可能性は、

(1)影響力の大きい本庶氏の発言を、このタイミングで否定するのは得策ではない。黙殺あるのみだ。
(2)今後どのようなスタンスをとるかは、厚労省や他のメディアの動向を見ながら、慎重に決めたい。
(3)HPVワクチン問題を、ゼロベースで検証する機会かもしれない。この際、真面目に考えてみよう。

学会や国際機関がいくら非難しても動かなかった国は、もはや積極的勧奨接種再開のきっかけを失っています。
だからこそ、本庶氏の発言を千載一遇のチャンスと考えなければなりません。
弱いくせに重い腰を上げるには、この機会を利用するしかないのです。厚労部会長には協力をお願いします。

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ワクチン実は製造不足
- 2018/11/28(Wed) -
インフルエンザワクチンの、今シーズンの医薬品卸からの納入数は、原則として昨年実績と同じ本数です。
ワクチン製造量が不足した昨シーズンとは状況が異なるはずなのに、昨年と同じ本数しか納品してくれません。
そのような事態になっている理由は、いくつか考えられます。

(1)今年もまたワクチンが大幅に不足したら困るので、メーカーが最初から供給を厳しく制限している
(2)昨年の使用本数と同程度だけ製造すれば、メーカーはワクチンを完売できると考えて少なく作った
(3)今年も昨年と同様にワクチンの製造段階で色々な問題があり、結果的に製造量が昨年並みになった

当初は(1)だろうと思い、最近では(2)を疑い始めていましたが、どうやら真実は(3)かもしれません。

インフルエンザワクチンは、A型2株とB型2株の流行株を予測し、「4価ワクチン」として製造しています。
しかし、とくにA/H3N2 亜型については、宿命的な問題があります。
ひとつは、「鶏卵馴化」によってワクチンの成分が変異して、最終的に効きにくくなること。
さらに、製造効率を上げるために増殖しやすい株を使えば、流行株との違いがますます大きくなること。

ワクチンの製造効率と有効性はしばしば相反するもので、厚労省は通常、前者を優先します。
効くか効かないかを厳密には追求せず、それよりもワクチンが不足しないようにすることに注力するのです。

今シーズンも、悩んだ末に株を選定したわけですが、時間がかかったくせに効きが悪い可能性があります。
ワクチンの供給量も、昨年よりは少し増やすつもりだったのが、結局は昨年並みに落ち込んでしまいました。

昨年の失敗に学んで今年は万全を期したはずなのに、結局、昨年と同じ轍を踏んだ格好です。
なので医療機関への納入数も、昨年実績並みというわけですか。理由は理解はできても、納得はしかねますね。

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インフル予防接種フル回転
- 2018/11/26(Mon) -
急に寒くなりました。このところ、血圧が高くなっている方が多いようです。
こう寒いとそろそろ、インフルエンザの流行期が到来するかもしれません。

しかしこのタイミングで申し訳ないですが、インフルエンザ予防接種の予約受付は、当院では現在中断中です。
すでに予約済みの方のワクチン確保の見通しも、かなりギリギリです。余裕なしです。

インフルエンザワクチンの入荷具合には、毎年この時期ヒヤヒヤします。
他のワクチンとは異なりインフルエンザワクチンは、入荷してもいないうちから接種予約をとるのが通例です。
入荷してから予約受付を始めたのでは、混乱を招くからです。

接種を希望する方は、10月〜12月のどこかに接種日を決めて、計画的に、早め早めに予約を入れるはずです。
その希望に対応するために当院では、1,2カ月先までの接種枠のネット予約の受付を行っています。

2年前までは、ワクチンは100本単位で入荷してたので、予約者に対しては余裕を持って接種できていました。
ところが昨年からは、毎週少しずつ、ホントに少しずつしかワクチンが入荷できなくなりました。

入荷したらすぐに消費する、自転車操業のような日々です。入荷が滞ったら即、予約がさばけなくなります。
予約済みの方に接種ができなくなることだけは避けなければならないので、もうヒヤヒヤものです。
メーカーや薬品卸からの入荷が突然止まるようなことになったら、医療機関には打つ手なしです。

厚労省はいつも、ワクチンは足りていると言いますが、それは単なる計算上の需給バランス。机上の空論。
現場は、そう簡単にはいかないのです。メーカーや薬品卸には、良心的な出荷・流通をお願いしたいものです。

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BCG自主回収へ
- 2018/11/25(Sun) -
ヒ素混入問題」に揺れるBCGワクチン。厚労省は、健康には問題ないのでそのまま接種可としていました。
メーカーも、ヒ素を混入していないワクチンの製造を進める一方で、旧製品の回収はしていませんでした。
ところがここにきて、メーカーは自主回収すると発表しました。新ワクチン出荷の目処が立ったからです。

問題のBCGワクチンには、溶解液中のヒ素全量が体内に入ったとしても、その量は0.039μgとされています。
実際の接種に使用するのはその一部なので、もっと微量です。

それがいかに微量であるかを知るためにうってつけなのは、ヒ素含有食材として知られるヒジキとの比較です。
大人が1回で食べる量のヒジキに、強毒性無機ヒ素が最大470μg含まれるという東京都のデータがあります。
水戻しで半減するそうですが、それでも1回の食事で100μg以上のヒ素を口にすることでしょう。

赤ちゃんに接種することを考慮しても、ヒジキと比べればBCGのヒ素など比較にならないほど少量です。

しかし、たとえ健康に問題ないレベルであっても、「ヒ素が混入」という文字面のインパクトは大きいのです。

これまで私は、「ヒ素の混入は、科学的には問題ない量ですよ」と言ってきました。
ところが一転、自主回収されることになったわけで、問題ないのになぜ回収するの、ってことになります。
自主回収されるようなワクチンは、私も接種したいとは思いません。明日の朝、さっそく返品です。

問題は、返品と引き替えに新ワクチンが入手できるかどうか。明日も接種の予約が入ってるんですけどね。

(11/26追記)今朝、ヒ素を含まない新ワクチンを入手し、予定通り接種ができました。

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ワクチン不足の謎
- 2018/11/22(Thu) -
インフルエンザワクチンが昨年不足したのには、それなりの理由がありました。
そこで今シーズンは同じ轍を踏まないように、厚労省もメーカーも十分配慮して臨んできたはずです。
ワクチン供給量は、一昨年以前の5年間の平均使用量(2,592万本)を上回る2,650万本を見込んでいました。

「ワクチンを適切に使用すれば、不足は生じない状況と考えられるのではないか」と厚労省は言ってました。

ところがフタを開けてみると、やっぱり足りない。今年も足りない。
そもそも、「ワクチンを適切に使用すれば」っていうのが、絵に描いた餅なのです。

薬品卸の説明を信じるなら、現時点では卸にすら、まともにワクチンが届いていないようです。
どうやら、メーカーが出荷制限をしているらしい、などと推測されています。

悪気は無いのです、きっと。メーカーは欠品が怖いのです。小出しに計画的に出荷したいのでしょう。
しかし、ことインフルエンザワクチンに限っては、小出しはダメです。むしろ一気に放出すべきです。

ワクチンが市場に潤沢にあれば、各医療機関は特段の制限をせずに、希望者全員に接種することが出来ます。
いわゆる「品薄商法」と逆で、流通量に余裕があれば、余計な備蓄や取り合いなども起きないものです。
予防接種は滞りなく行われ、希望者が希望の時期に接種でき、日本全体の免疫獲得が早まることでしょう。
その結果、大流行が食い止められるかもしれません。

ところが、誰かが流通を制限し始めると、あちこちで連鎖的に備蓄が始まり、品不足が加速します。

ワクチンの需給バランスは、ギリギリじゃダメなのです。2年前までのように、多少余るぐらいでいいのです。
国が接種ペースをコントロールしようとすると、ロクなことはありませんね。

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映画『MMRワクチン告発』
- 2018/11/08(Thu) -
映画『MMRワクチン告発』は、劇場公開直前になって、日本での公開を中止することが昨日発表されました。
製作者に重大な誤解があることが判明したため、この映画の公開が適切でないと配給会社が判断したようです。

「MMRワクチン」というのは、麻疹・おたふくかぜ・風疹の混合ワクチンのことです。
映画では、「MMRワクチンと自閉症に因果関係が疑われる」ということを、訴えようとしているようです。

この問題には少々複雑な経緯がありますが、ごくおおざっぱに書くなら、こうです。
(1)MMRワクチンと自閉症の関連性についての研究が、有名な医学雑誌に掲載された(1998年)
(2)それがまったくのねつ造論文であったことが判明し、撤回された(2010年)
(3)米CDCがMMRワクチンと自閉症との関連データを隠蔽していた、とする論文が発表された(2014年)
(4)その告発論文もまた、ねつ造と判明した(同年)

このうち(1)や(3)に大きなインパクトがあったので、その部分がひとり歩きしたということでしょうか。
「反ワクチン」を主張したければ、故意に(1)や(3)だけを引用・喧伝する手法もあるのでしょう。

センセーショナルな記事や報道は、それが後に撤回されても、その印象はもう完全には打ち消せないものです。

報道番組で何度も放映された「HPVワクチンの副作用に苦しむ女性」の映像が、まさにそれです。
科学的な立証もせず、まず映像のインパクトで印象を植え付けてしまうやり方は、おおいに問題だと思います。

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高齢者ワクチン継続へ
- 2018/11/04(Sun) -
高齢者の「肺炎球菌ワクチン」の定期接種は、来年度も継続されることになりました。当然のことです。

65歳以上の、5の倍数の年齢の高齢者を対象とした経過措置は、今が5年目の最終年度です。
理論的には、これで全高齢者に接種機会を与えたことになる、というのが当初の厚労省のもくろみでした。
ところが実際には、接種率は40%程度でした。このままでは、66歳以上の方の接種率は、永久に40%です。

ワクチン不足を恐れるあまりに接種対象を制限しすぎて失敗するという過ちを、厚労省は繰り返したのです。

もくろみの外れた厚労省は、このまま経過措置を終えて良いのか、再検討を始めています。
こうなることは、誰もが予想できていたことです。まず、経過措置のデザインが間違っていたのです。つまり、

(1)「5の倍数の年齢が対象」と聞いて、「5年後まで待って次の機会に接種しよう」と考える人もいた
(2)「接種機会は生涯一度だけ」と聞いてなおさら、「今ではなく5年後に接種しよう」と考えた

そのように誤解している方に、私は実際に何人も出会いました。とにかく、接種対象の規定がわかりにくい。
さらに、インフルエンザの定期接種の3倍以上もする、4600円の接種料金(熊本市の場合)も高いですね。
インフルエンザは毎年のこと、肺炎球菌ワクチンは1度っきりの接種とはいえ、負担感は大きいものです。

来年度以降どうするべきか、厚労省の審議会は年内に結論を出すとしていますが、気の利いた答えは出るのか。

公平のため、いまさら接種料金は変えられませんが、「満年齢で65歳以上全員」を対象とすべきでしょう。
60%の未接種者のうち何割の方が接種するかはわかりませんが、ワクチン不足になんか、なりゃしませんよ。

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予防接種歴は国が管理を
- 2018/11/02(Fri) -
お子さんが予防接種をした際には、母子手帳にその詳細を記録する必要があります。
なので予防接種の日には必ず母子手帳を持ってきてもらうのですが、忘れて来る方がしばしばおられます。

このような場合の母子手帳の意義は、
(1)確認:これまでのワクチン接種歴をチェックして、本日のワクチン接種が適切であることを確認します
(2)記録:所定欄に、日付・ワクチン名・ロット・有効期限・医療機関名・接種部位・量などを記載します

母子手帳がなければ確実な確認ができず、過誤接種の元となります。本来なら接種を見合わせるべき状況です。
保護者の記憶に頼って接種したら同じワクチンを2度接種してしまったケースなどは、よくある話です。

定期予防接種の予診票は、月ごとにまとめて、翌月初めに医師会経由で保健所に提出します。
保健所は、市内のすべてのお子さんの予防接種データを管理しています。

母子手帳忘れの方の接種歴を確認したい場合、保健所に電話すれば接種歴等のデータを教えてくれます。
ところが、当院は土日祝日診療してるので、問い合わせたい日はしばしば、保健所が休みなのです。

ご近所の方なら、母子手帳を自宅に取りに戻ってもらうこともありますが、それが難しい場合もあります。
面倒なことをお願いして、それじゃあ今日の接種はやめときます、となることは避けなければなりません。
母子手帳の確認も大事ですが、ワクチンを早く接種して免疫を付けることもまた、重要だからです。

当院では独自の予防接種データベースを作成してはいますが、そのデータにも限界はあります。
新たに来院したお子さんや、たまに接種に来る程度の方には、まったく無力です。

もう何度も書いてきたように、子どもの予防接種歴については、国がそのデータを一元管理すべきです。
医療機関が国のデータベースにアクセスして、接種歴などがいつでも、日曜日でもわかるようにしてほしい。

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予防接種の誤解
- 2018/10/24(Wed) -
HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)問題を筆頭に、予防接種にはさまざまな誤解が蔓延しています。
医療者の説明不足と、一部の人たちによる非科学的扇動と、国のことなかれ主義が災いしたものです。

いまでは当たり前になった複数のワクチンの同時接種も、数年前まではその都度保護者の説得が必要でした。
市内の某小児科は「同時接種など相成らん」的な姿勢だったため、当院での説明との齟齬も生じていました。

「同時接種の方がお子さんのリスクが少ないです」というのが、いまの私の決まり文句です。その理由は明確。
(1)接種計画が進めやすいので、早く免疫が獲得でき、その分、感染症予防のためには有益である
(2)紛れ込み(=濡れ衣)による副反応(の疑い)のリスクは、接種機会(日数)が多いほど大きくなる

説明に使うのは(1)です。(2)には直接言及しませんが、日本人にとって、実は重大なポイントです。
ワクチン接種の直後に乳幼児突然死症候群を発症する確率は、同時接種でも単独接種でも同じはず。
ならば、突然死のリスクは、ワクチンを接種するために医療機関を受診する回数に比例する、とも言えます。

「感染症は、罹って免疫をつけるもの」という前近代的な発想も、いまだにくすぶっています。
でもそれを、日本脳炎やポリオで言えますか?
水痘とかおたふくかぜのような、生命の危険の少なそうな感染症だから、そのように甘く考えるのです。
それらは少ない確率で、重大な合併症(ムンプス難聴など)を引き起こします。

今日はしかし、感染症の怖さをよく理解しているのに、ワクチンの接種には消極的な方に出会いました。
感染症が怖いからこそ、罹患して強い免疫を付けたい、というのがその親御さんの言い分です。
気持ちはわかりますが、その理屈は矛盾しています。最初の感染こそが全てです。それがいちばん怖いのです。

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風疹ワクチン同時接種
- 2018/10/13(Sat) -
首都圏を中心とした風疹の流行を受けて、ワクチンの接種を希望する若夫婦などが、ときどき来院されます。
生ワクチンなので、妊婦さんが接種することはできません。どうか、妊娠前に接種してください。
授乳中の方なら、むしろ最優先の接種対象です。もちろんその場合も、夫婦でどうぞ。

講談社の漫画アプリが、医療漫画『コウノドリ』の風疹エピソード部分を、緊急無料公開しました。
さっそく読んでみましたが、さすがです。読むとワクチンを接種したくなります(たぶん)。
単に漫画を使って学術的な解説をするのではなく、感動的なストーリーを作り上げているところがミソですね。

日々の診療で、口を酸っぱくしてワクチンの接種を勧めるよりも、漫画の方がはるかに説得力があります。
でも本来こういうことは、国や自治体が、強力に推し進めるべきですよね。テレビでも使えばいいのに。

当院としては、人気漫画のような強力な啓蒙力はありませんが、当院なりにやれることを考えました。
それは、インフルエンザワクチンと風疹ワクチン(またはMRワクチン)の同時接種です。
健康な成人が医療機関を訪れるこの機会を利用して、一気に風疹対策を進めようという作戦です。

通常の同時接種は前もって予約していただく必要がありますが、風疹対策に限っては予約不要とします。
希望すれば全員、インフルエンザワクチンとの同時接種ができることにしました。
ただし、風疹ワクチンは流通量が少ないので、MRワクチンでの接種になる場合が多いことをご了承ください。

風疹ワクチンやMRワクチンはしばしば品不足になります。ご希望の方には早めの接種をお勧めします。

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インフル季節に突入
- 2018/09/28(Fri) -
来月からインフルエンザワクチンの接種を始めますが、すでに熊本でもインフルエンザが発生しています。
当院ではまだインフルエンザと診断した方は出ていませんが、近隣では複数の発症者がいると聞きました。

流行が早ければ、予防接種と並行して治療も行うようなシーズンになるかもしれません。

インフルエンザワクチンのネット予約状況を見てみると、すでに200人程度の予約が入っています。
例年同様に、土日祝日から順に予約枠が埋まっているようですが、まだまだどの日にも空きはあります。

スムーズな接種のために今年とくに工夫したいことは、子どもの定期接種ワクチンとの同時接種です。
当院ではこれまで、インフルエンザと他のワクチンとの同時接種を、積極的に勧めてきました。
効率よく接種を進めることで、できるだけ早く、お子さんの免疫を獲得してもらうためです。

その方針は今後も変わりませんが、予約の取り方には配慮(というか一種の制限)は必要だと思います。

インフルエンザワクチンの接種枠に、多数の同時接種が入り込むと、時間通りに接種できなくなるからです。
同時接種をご希望の方にはぜひ、インフルのネット予約後早めに連絡していただくよう、お願いしています。

インフルエンザワクチンは例年と同様のものですが、治療薬は、今シーズンから大きく変わります。
ゾフルーザ」という、1回内服するだけの、新しい作用機序の抗インフルエンザ薬が加わったからです。

従来の、タミフル・リレンザ・イナビル・ラピアクタ、との使い分けは、患者さんと相談して決める予定です。
12歳以上なら、一番のお勧めはゾフルーザかもしれませんが、長所は「効果」、短所は「高価」なのです。

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返品を前提とした注文
- 2018/09/20(Thu) -
まだ夏風邪の患者さんも多い中で、インフルエンザワクチンの予約受付を開始していますが、これでも遅い方。
開院2年目のときは、9月1日から予約受付を始めたことを思い出します。
まだ来院患者さんが少なくて、あの手この手で当院を知って来てもらおうと工夫・画策していた時期でした。

今年もワクチン供給量が潤沢ではないので、厚労省の締め付けは、厳しかった昨年をそのまま踏襲しています。
(1)医師がとくに必要と認める場合を除き、13歳以上は「1回注射」とすること
(2)医療機関は返品を前提とした注文を行わず、必要量に見合う量のワクチンを購入すること

このうち(1)については前にも書いたので、今日は(2)の在庫管理の問題点について考えてみます。

まず、インフルエンザワクチンの接種というものは、多くの医療機関で、基本的には予約制で行っています。
たとえば10月1日に10人の予約があれば、その前日までに5バイアルのワクチンを準備する必要があります。
(すべての被接種者が3歳以上、つまり0.5ml接種とした単純計算です)
10月2日も3日も4日も、それぞれの予約数に見合ったワクチンを入手しておくことになります。

しかし実際には、毎日毎日、5本とか11本とか17本とか、そんなチマチマした発注などしてはいません。
1週間単位とか2週間単位ぐらいの大枠で、50本とか100本ずつワクチンを発注するのが普通です。
その期間の予約数をカウントし、追加予約数も見込み、不足しないだけのワクチンを入手する必要があります。

さらに、原則予約制であっても、予約なしで当日接種を希望する方が、何人も来院されます。
インフルエンザの流行期が近づく11月以降になると、その傾向が強まります。
予約数ギリギリの在庫では、とても接種が間に合いません。なので在庫管理には多少の余裕が必要なのです。

ところが、接種シーズンも終盤になると、予約をキャンセルする方が多くなってきます。
当院の予約日を待ちきれず他院で接種したとか、もうインフルエンザに罹ったので接種しない、とかです。
ドタキャンもあれば、ノーショー(予約しても来院なし)もある。
その結果、ギリギリと思っていたワクチンが、ふたを開けてみたらけっこう余ってしまうこともあり得ます。

ワクチンが不足していたのか、足りていたのか、大余りなのか、シーズンが終わってみなければわかりません。
厚労省は「必要量に見合う量のワクチンを購入すること」と言いますけど、それができりゃ苦労はしません。

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ワクチンの需給バランス
- 2018/09/16(Sun) -
インフルエンザワクチンの接種は、まだ予約できないのかと、お問い合わせをいただくようになりました。
お待たせしておりますが、ようやくワクチン入荷のメドが付いたので、今週中に予約受付を開始できそうです。

それにしてもこのワクチン、製造がギリギリなので出荷もギリギリ。入手できるのか毎年ヒヤヒヤします。

インフルエンザワクチンの製造量は、5年前の3388万本をピークに、毎年だんだんと減っています。
一方でワクチン使用量は、この数年間、全国でおおむね毎年2600万本程度でした。

3年前は、製造量3072万本に対して、使用量は2565万本。500万本以上の余裕、というか余剰がありました。
2年前は、製造量2784万本に対して、使用量は2642万本。この年も100万本以上余りました。
ところが昨年は、トラブルがあって製造量は2643万本。節約して接種したので、使用量は2491万本でした。

なんだ、昨年も結局は50万本以上余裕があったじゃん、というのは間違いです。
製造されたワクチンが、全国各地の需要に応じて完璧な配分で供給されるはずがないからです。
需給バランスは地域によって異なり、同じ地域内でも医療機関によって異なります。

ワクチンの納入本数以上に接種することは不可能なので、多くの医療機関で接種は頭打ちとなりました。
当院もそうです。例年よりも早い時期に在庫はゼロとなり、泣く泣く接種を打ち切ることになりました。
ところが全国的には、52万本余った計算です。つまり、どこかの医療機関では余剰在庫が出たのです。
このことは、50万本程度の余裕では、全国的な安定供給を確保できない、ということを意味します。

今年の製造予定量は2650万本だそうです。昨年のようなトラブルがないのに、昨年並みじゃないですか。
ということは、需給バランスも昨年並み。実質的にはまた、ワクチン不足になるのでしょうね。

厚労省は今年も「13歳以上の接種回数は1回」とアナウンスしきりです。
2年前までの、「13歳以上65歳未満の接種回数は1回または2回」という規定は、どこかに消えました。
「ワクチンは足りているが1回接種で十分なのだ」と言う厚労省。まったくご都合主義としか思えませんね。

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「1期初回」問題
- 2018/09/15(Sat) -
医師系サイトでも話題になってますが、「ちょっと変だよ『初回接種』」は今に始まった問題ではありません。
お役所仕事を象徴する、国民の常識とは少しズレた、オカシな言葉遣いの問題です。

子どもの定期予防接種には、ワクチンごとに定められた接種スケジュールがあります。
それらは「1期」と「2期」の接種時期が設定される場合があります。
さらに「1期」は「1期初回」と「1期追加」に分かれます。

問題は、「1期初回」接種が、さらに2回か3回の接種で構成されているということです。

4種混合ワクチンであれば、「1期初回1回目」「1期初回2回目」「1期初回3回目」の3回です。
その1年後に「1期追加」があり、厳密には少し違いますが、2種混合ワクチンが「2期」の位置付けです。

ヒブと肺炎球菌ワクチンも同様に「1期初回」が3回あり、「1期追加」まで合計4回の接種があります。
日本脳炎ワクチンだと「1期初回」が2回目までで、1年後に「1期追加」、さらにその5年後に「2期」です。

でも「1期初回2回目」なんて変な言葉です。「初回」が2回も3回もあるって、日本語としてどうなんですか。

ある先生は、「初回」のかわりに「基礎」としてはどうかと提案してます。あ、それいいね。
「1期基礎1回目」「1期基礎2回目」「1期基礎3回目」「1期追加」「2期」という流れですか。

まあ、だいぶわかりやすいですが、いっそのこと「1期」を外してしまっても、いいんじゃないですかね。

「基礎1回目」「基礎2回目」「基礎3回目」「追加」「2期」ですよ。う〜ん、こうなると「2期」が唐突か。
「基礎1回目」「基礎2回目」「基礎3回目」「追加1回目」「追加2回目」でどうですか。うん、スッキリ。

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予防接種歴の管理
- 2018/09/06(Thu) -
当院でワクチンの接種を行ったお子さんの予防接種歴は、自作の「予防接種台帳」で管理しています。
私がMacの「ファイルメーカーPro」というソフトで作製したデータベースです。

熊本市在住の方であれば、熊本市の「予防接種番号」が「母子手帳(親子健康手帳)」に記載されています。
定期予防接種の予診票には、その予防接種番号の記入欄があり、市が管理できるようになっています。

おそらく市のデーターベスには、市内のすべてのお子さんの予防接種歴が入力されているはずです。
ときどき、母子手帳を紛失して、再交付を受けた方が来院されます。予防接種のページは「まっさら」です。
でも、大丈夫。保健所に問い合わせれば、データベースを参照して、その子の予防接種歴を教えてくれます。

ただし、保健所があいているのは平日のみ。土日の問合せに対応してくれないのは、けっこう痛いですね。

さて今日は、平日だというのに、保健所がまったく役に立たないケースに遭遇しました。
県外からの転入者で、しかも母子手帳を紛失したという方です。
熊本に来て再交付されたばかりの母子手帳は、まっさら。予防接種歴は保護者の記憶に頼るしかありません。

ワクチンの過剰接種を避けるためには、過去の接種歴を確認しなければなりません。
保健所に尋ねると、他県での接種歴は熊本市では把握してないので前の居住地の自治体に尋ねてくれ、だと。

はぁ?、そういう「名寄せ」作業って、一医療機関がすることですか?、保健所の仕事じゃないの?
そのように私は、実際に少々厳しく言い返してしまいました。あとで仕返しされたら怖いですが。

他の自治体、とくに他県からの転入者については、熊本市は予防接種歴を把握できないようです。
マイナンバーでも活用しない限り、子どもの予防接種歴を全国で統一して管理することは難しいのです。

なので現行システムでは、他県で接種済のワクチンを、転居後にまた定期接種してしまうことがあり得ます。
過剰接種が医学的には問題がなくても、公費を使って無料で接種する以上、できれば避けるべきです。
それを防ぐのは、国や自治体の仕事です。医療機関に頼らないでください。

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定期接種では足りません
- 2018/09/01(Sat) -
夏休み中には、小中学生の予防接種が多いのは、毎年のこと。
その多くが、11〜12歳で接種する二種混合ワクチンと、9〜12歳で接種する日本脳炎ワクチン(第2期)です。

いま二種混合ワクチン(DT)接種をしているのは、過去に三種混合ワクチン(DPT)を接種したお子さんです。
標準的には、0歳時にDPTを3回、1歳時にDPTを1回、11歳でDTを1回接種するというスケジュールです。
約6年前からは、DPTに不活化ポリオワクチンが加わった四種混合ワクチン(DPT-IPV)が導入されています。

念のため説明を加えておくと、D:ジフテリア、P:百日咳、T:破傷風、IPV:不活化ポリオ、です。

さて、これらの不活化ワクチンは、何度も接種しなければ免疫が付かず、しかもなかなか長持ちしません。
現行制度では、DとTは標準的には0歳・1歳・11歳で合計5回接種しますが、PとIPVは4回止まりです。

小中高校生や大学生、成人での百日咳流行を考慮すると、Pの接種回数が不足していることは明らかです。
なので小児科学会では、11歳のDTの代わりに、DPTを任意接種することを提唱しています。

さらに、1歳までにDPT-IPVの接種を完了したお子さんの場合、就学前ごろには免疫低下も危惧されます。
なので5〜6歳児へのDPTとIPVの接種が推奨されます。これは先進諸国の多くですでに行われています。

じゃあ年長児にDPT-IPVを接種すればいいのかというと、現状ではそれはできません。
5回目のDPT-IPV接種は、まだ認められていないからです。よって、DPTとIPVを別々に接種します。
このような用途もあって、かつて一度は廃止されたDPTが、今年から製造再開されています。

ややこしい話なので、まとめておきます。
(1)定期接種としては、DPT-IPV(四種混合)を、0歳で(3カ月から)3回、1歳でもう1回接種
(2)免疫低下対策として、5〜6歳時に、DPT(三種混合)とIPV(不活化ポリオ)を任意接種
(3)百日咳の免疫低下対策として、11〜12歳でのDT(二種混合)定期接種の代わりに、DPTを任意接種

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蚊の時期到来
- 2018/08/17(Fri) -
今日は良く晴れたわりに、昨日までよりも少し、空気を涼しく感じました。
午前中に散髪して、帰り道でふと空を見上げると、秋っぽい雲が高く薄くたなびいていました。

そして、庭に出ると、蚊です。猛暑のために活動が低下していた蚊が、そろそろ活発に動き始めそうです。
3日前にBBQをしたときには蚊の心配がありませんでしたが、今後は確実に虫除けスプレーが必要ですね。

奇しくも2日前、熊本県に日本脳炎注意報が発令されました。
県内のブタの血清から、日本脳炎ウイルス遺伝子が検出されたためです。
このようなブタを吸血した蚊がウイルスを媒介し、次に刺したヒトに感染させます。
多くは不顕性感染(感染しても発症しない)ですが、100〜1000人に1人が発病するとされています。
6〜16日の潜伏期の後、高熱・神経症状・痙攣・意識障害などが起きます。

2010〜2017年の発症者は42人(年平均5.25人)。患者数が多いのは、福岡・長崎・熊本の3県でした。
やはり熊本のお子さんには、早めの予防接種をお勧めしたいところです。

日本脳炎ワクチンは、3歳・3歳・4歳・9歳、と4回の接種を受けるのが標準的な定期接種のタイミングです。
しかし近年、1歳児や0歳児が日本脳炎を発症したことを考慮すると、3歳からの接種開始では遅いようです。
当院では、BCG接種の4週間後(0歳6カ月)からワクチンの接種を始めるよう、お勧めしています。

過去の一時期、積極的勧奨接種が中断されていたため、日本脳炎ワクチンには特例接種が設定されています。
勧奨接種中断中に定期接種の機会を逸したお子さんを、救済するためです。
毎年の患者数が5人程度だというのに、日本脳炎の予防に対してはかなり手厚い救済措置となっています。

一方で、毎年の患者数が1万人で、そのうち3千人が亡くなっている感染症の予防接種が、滞っています。
HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)です。もう5年以上も、積極的勧奨接種が中断しています。
いつになったら勧奨接種が再開するのか。いいかげん真面目に考えてもらえませんかね。もちろん救済措置も。

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経過措置の最終年度
- 2018/08/09(Thu) -
65歳以上の高齢者全員を対象とした、肺炎球菌ワクチンの定期接種の「経過措置」が、今年度で終了します。
現時点で65歳以上の高齢者はすべて、この5年間の経過措置の間のどれかの年度に、接種対象となりました。

来年度からは、ちょうど65歳の方だけが対象となり、66歳以上の方は二度と接種対象とはならない方向です。

ワクチンの接種率は、年度によって多少ばらつきますが、おおむね35%前後という低い数値だったようです。
ではなぜ、約3分の2の高齢者が接種対象なのに接種しなかったのか。私なりに総括すれば、

(1)無料ではなかった
小児のワクチンとは異なり、「定期接種」なのに自己負担額がけっこう大きい。熊本市は4,600円。
対象者が多すぎて(毎年700万人以上!)無料にはしにくいとしても、もっとずっと安くできなかったのか。

(2)経過措置ということがわかりにくかった
「5の倍数の年齢」の高齢者が対象と聞いて、5年ごとに接種対象の年齢になるのかと勘違いした方が多い。
たとえば平成26年度は80歳以上、次の年度は75歳以上と、年々対象年齢を広げていく方法もあったのに。

(3)国や自治体の広報活動がヘタ
TV–CMを使ったりもしてますが、対象者への個別の通知文書に、説得力と親切心がない。
国や市のサイトには、詳しい解説もありますが、高齢者相手にネット上で解説してもね。

このような低接種率に終わったことを踏まえて、国も自治体も、なんらかの手を打つことになるでしょう。
自治体のアンケート調査によれば、約3分の1の自治体が、経過措置終了後の独自の助成を考慮中とのこと。
つまり、経過措置の期間中に接種しなかった(できなかった)高齢者への救済措置です。

熊本市は残念ながら、このような独自の助成にはあまり乗り気な自治体ではありません。
しかしせめて、全国平均的なレベルでの助成は検討してほしいものです。
本当は自己負担額も下げて欲しいですが、すでに接種した人から苦情が出るので、今さら下げにくいですね。

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沖縄旅行前接種殺到中
- 2018/04/26(Thu) -
毎日のように、成人の方が麻疹/風疹混合(MR)ワクチン接種のために来院されます。

まったく同じ書き出しのブログを、2年前にも、5年前にも書きました。
2年前には千葉や関空で発生した麻疹(はしか)ですが、いま問題になっているのは沖縄です。

大型連休で沖縄旅行を計画中の方など、ワクチンの接種を希望する方が当院にも「殺到」気味です。
このことについて、電話等でお問い合わせいただくことがあまりに多いので、この場でご説明しておきます。

Q. 来週沖縄に行くのだが、いまワクチンを接種しても間に合うのか?
A. 間に合います。副反応を観察する期間が足りないだけで、旅行の前日に接種しても効果はあります。

Q. あらかじめ血液検査をして免疫の有無を調べてから、必要な場合にのみ接種をすべきではないか?
A. 時間的に余裕があればそうしてもよいですが、とにかく予防第一なので、まず接種しましょう。

Q. 麻疹/風疹混合(MR)ワクチンではなく、麻疹(単独)ワクチンは接種出来ないのか?
A. もうできません。もともと流通量が少ない上に、今回の件で麻疹ワクチンは品薄。すでに入手困難です。

MRワクチンを接種しても、麻疹予防効果は麻疹単独ワクチンと同じです。接種料金は高いですけどね。
しかしそのMRワクチンも、今後の流行の広がりによっては不足する可能性があります。

2年前にはちょうど、北里第一三共のMRワクチン回収騒ぎが重なって、ワクチン不足は極めて深刻でした。
その北里のワクチンがようやく国家検定に合格し、2年半ぶりに、今月3日から販売が再開されたばかり。
まさにそのタイミングで、沖縄で麻疹が発生し始めたわけで、偶然にしてもできすぎですが、偶然でしょう。

ともかく悪いことは言いません。不安を感じて沖縄に行くぐらいなら、その前にMRワクチンを打ちましょう。

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沖縄行くならMRワクチン
- 2018/04/19(Thu) -
MR(麻しん風しん混合)ワクチンの定期接種対象は、第1期が1歳児、第2期が年長児と決められています。

しかしこれはあくまで「定期接種」としての対象であって、「任意接種」の場合には年齢制限はありません。

いま麻疹が流行している沖縄では、緊急避難的に生後6〜11カ月児へのMRワクチンの接種が行われています。
沖縄に限らず、近隣で麻疹が発生した場合などには、0歳児にも接種することが望ましいと考えられます。

こんどの大型連休で、沖縄旅行をする方も多いでしょう。お子さんのワクチン接種歴は早めに確認しましょう。
とくに、定期接種の対象なのにまだMRワクチンを接種していない方は、ただちに接種をしましょう。

となると、定期接種の対象となる前の赤ちゃんはどうやって麻疹を予防するのか、ということになります。

生後5カ月ごろまでは母親からの移行免疫がありますが、6カ月移行は急速に消失するとされています。
なので沖縄では、生後6〜11カ月児に対して、緊急避難的なMRワクチンの接種が行われているわけです。

今日も、沖縄旅行をする予定のご家族から、お子さんへのMRワクチン接種の問い合わせが2件ありました。
接種後の副反応に対しては2週間程度の観察期間が必要なので、実はもうギリギリのタイミングです。

沖縄旅行を計画中の方は、予防接種歴の確認を早めにお願いします。ワクチンの在庫は、あまり多くないです。

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期限切れワクチン
- 2018/04/15(Sun) -
熊本県内の医療機関で有効期限の切れたワクチンを接種したという予防接種ミス事案が、最近報じられました。
0歳の男児に接種したB型肝炎ワクチンが、有効期限を17日ほど過ぎていたことが問題だったようです。

このミスの場合、男児に直接的な健康被害が生じることはないでしょう。
しかし、期限切れのためにワクチンの効力がわずかに足りなかった可能性は、理論上はあり得ます。
とはいえ、製造から1年半以上は有効期間のある同ワクチンが、17日過ぎたら効かなくなるとも思えません。

むしろ問題は、有効期限の確認を怠った、または確認が不十分だったという、その点に尽きます。
確認作業の信頼性に問題があるのなら、別の重大なミスに至る危険性もはらんでいると考えるべきだからです。
有効期限は確認しませんでしたが、それ以外の確認は万全です、と言っても誰も信じてくれないのです。

今回のミスが、当該医療機関での今後の確認作業の徹底や見直しにつながるのなら、不幸中の幸いと言えます。

予防接種で確認すべき項目には優先順位は付けにくいですが、強いて言うなら次のような順番でしょうか。
(1)人:兄弟の取り違え接種は最悪のミス。でも、保護者さえもうっかり気づかないことがあります
(2)ワクチン:別のワクチンを接種してしまうのは、確認方法に大きな問題がある証拠
(3)対象年齢:対象外年齢への特例接種が認められているワクチンもあるので、けっこう複雑です
(4)接種量:3歳未満では接種量が半減するワクチンがある一方で、3歳未満でも3歳以上と同量のものもある
(5)接種間隔:前に何度か書いた通り、接種間隔はとてもややこしく、確認しても間違えそうになります
(6)有効期限:もっとも確認が漏れやすい項目かもしれません

当院では、ワクチンの有効期限を書いた札を、保冷庫の前面にぶら下げています。注意喚起のためです。
今日からその札を年別に色分けして、今年中に期限が来るワクチンは警告色の黄色の札としました。
よそ様のミスはまさに、他山の石です。

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定期接種と年度がわり
- 2018/04/02(Mon) -
国が定めた定期予防接種には、対象者を「年齢」ではなく「学年」で規定しているものがあります。
代表的なものが、麻しん/風しん混合(MR)ワクチンの第2期接種で、接種対象者は「年長さん」です。
この「年長」を、予防接種法施行令の表現で定義するなら、
「小学校就学の始期に達する日の一年前の日から当該始期に達する日の前日までの間にあるもの」となります。

私が日頃の診療で私が使っている「予防接種台帳」では、患者の「学年」が表示されるようにしています。
データベースソフト「ファイルメーカーPro」を使って自作したファイルです。そのフィールド定義は、

・「学年」=Case ( 学年指数 = 4 ; "年少" ; 学年指数 = 5 ; "年中" ; 学年指数 = 6 ; "年長" ; ...(以下略))
・「学年指数」=2018-生年度
・「生年度」=Int ( (生年月日指数 - 402) / 10000 )
・「生年月日指数」=Year ( 生年月日 ) * 10000 + Month ( 生年月日 ) * 100 + Day ( 生年月日 )

昨日の年度更新作業では、「学年指数」のフィールド定義において、2017を2018に変更しました。

もう一つ、学年単位で接種対象が規定されている定期予防接種といえば、成人用肺炎球菌ワクチンです。
もはや「学年」というのもおかしな年代ですが、65歳以上の方が学年ごとに接種を受けます。私の台帳では、
 
・「成人肺炎球菌定期接種」 =If ( 64 ≤ 学年指数 ; If ( Mod ( 学年指数 ; 5 ) = 0 ; "対象" ; "" ) ; "" )

成人の肺炎球菌ワクチンを、65歳以外の高齢者に接種する時限措置は、今年度で終了する予定です。
5年間にわたり5の倍数の年齢を対象としたので、接種の機会は全員に1度ずつ与えられたはずだという理屈。

しかし、定期接種の機会が人生で1回だけという点が、正確に伝わっていたとは思えません。
5の倍数の年齢になるたびに定期接種の順番が回ってくる、と思っている方も何人かいました。

時限措置が終わると来年度からは、66歳以上の方は二度と定期接種の対象にはなりません。
高齢者の肺炎球菌感染予防の主旨に則れば、接種漏れの方を救済することこそ最重要だと思います。
時限措置が終わったら、来年度からの定期接種対象は、65歳以上の未接種者全員ということでいかがですか。

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HPVワクチン動かず
- 2018/01/19(Fri) -
厚労省は昨日、「HPVワクチンに関する情報提供」として、新たに3つのリーフレットを発表しました。
(1)HPVワクチンの接種を検討しているお子様と保護者の方へ
(2)HPVワクチンを受けるお子様と保護者の方へ
(3)HPVワクチンの接種に当たって 医療従事者の方へ

「子宮頸がん予防ワクチン」という表現はやめて、今後は「HPVワクチン」という呼称でいくようです。

現状では、ワクチンの接種率は限りなくゼロに近いので、当面は(1)が最も重要なリーフレットでしょう。
そこには、HPV感染症の現状とワクチンの有効性等について記載したうえで、1ページ目の最下部に、

「HPVワクチンは、積極的におすすめすることを一時的にやめています」

と意味ありげに目立つように書かれ、2ページ以降には、留意点や副反応などの説明が記載されています。

ところが、なぜ積極的勧奨接種を中止しているのか、その直接的理由については、まったく書かれていません。
これこれの疾患があり、ワクチンの効果はこうで、副作用はこうだと、ただ淡々と事実を羅列するのみです。

「副反応を危惧して中止しています」と書けば、それは明確な薬害であり、予防接種自体が成り立ちません。
かといって、実際に積極的勧奨接種中止している手前、いまさら「副反応は心配ありません」とも書けない。

結局、「接種しましょう」という文言を一切書かない、ただの「情報提供」という形になってしまっています。
「情報は提供しましたよ。接種するかどうかは、自分で考えてね」というのが厚労省のスタンスなのです。
じゃあ、定期接種をやめて任意接種にするのかというと、そこまでやる根性もない。
進むことも戻ることもしない。そんなのが、先進国の「ワクチン行政」なのでしょうか。

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補助的追加接種
- 2017/12/11(Mon) -
肺炎球菌には90以上の型(血清型)があり、現在の小児用肺炎球菌ワクチンは、そのうち13の型に効きます。
これを「13価ワクチン」といいますが、定期接種が始まった当初導入されていたのは「7価ワクチン」でした。

「7価ワクチン」の接種が広まると、やがてその7つの型以外による、重症肺炎球菌感染症が増えてきました。
ワクチンがカバーしきれない型の菌が、代わりに感染症の主流となる、言うなれば「いたちごっこ」です。

そこで、守備範囲を広げて「13価ワクチン」に一斉に切り替えられたのが、2013年11月のこと。
その際の、「接種控え」を防ぐことのジレンマについては、前にも書きました

問題は、7価で定期接種を完了した子どもたち。主流となっている型の肺炎球菌に対する免疫がありません。
もちろんその点は厚労省も早くから認識しており、あとで13価ワクチンを追加接種すればよいと考えました。
これを「補助的追加接種」とよび、現在の5歳児の大半が、その接種による恩恵を受けることができます。

そこで、この補助的追加接種を、定期接種に加えるのか任意接種とするのか、厚労省で議論されました。
結局、任意接種でいいんじゃないの、という結論に至った理由は、次のようなものです。

(1)補助的追加接種を受けるのは5歳児であり、肺炎球菌に感染しても重症化する確率は低いだろう
(2)13価ワクチンの普及で乳幼児の肺炎球菌感染が減っており、5歳児に対しても集団免疫効果があるだろう
(3)補助的追加接種の免疫効果には、多少疑問もある
(4)接種費用がかさむし、副反応のリスクも増える

つまり、「費用対効果の点で、社会全体に対する利益が限定的である」というのが厚労省の言い分です。
厚労省はいつもこうです。予防費用と治療費用を天秤にかけ、どっちが得かで決めるわけです。

しかし、目先のコスト計算ではそうでも、長い目で見たときの、国家的な損得はどうなのでしょうか。
補助的追加接種によって、将来の日本を背負う子どもを一人でも救う事の方が、ずっと大事でしょう。

肺炎球菌ワクチンの、当院での任意接種料金は1万円です。原価が高いのでどうにもなりません。
接種を勧めても、料金を聞いたら多くの方がギョッとされます。なので接種率は、あまり高くありません。

ここは国が日本の未来ために、もっと大局的見地から考え直して、補助的追加接種費用を助成すべきです。
65歳以上全員に肺炎球菌ワクチンの接種費用を助成する国が、どうして5歳児には金を出さないのでしょうね。

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接種後の注意点
- 2017/12/04(Mon) -
ワクチンの接種後には、アレルギー反応などに対する一般的な注意と、各ワクチン特有の注意点があります。
接種後には口頭で注意点をお伝えし、それをミニカルテにも書き、さらに簡単な説明書もお渡しします。

インフルエンザワクチンの場合には、メーカーが作った小冊子があるので、活用しています。
で、その冊子(デンカ生研製)の内容をあらためてご紹介しつつ、多少ツッコんでみたいと思います。

(1)予防接種を受けた後24時間は副反応の出現に注意し、接種後30分以内は特に注意(略)しましょう。
被接種者は、帰宅後は普段の生活に戻ります。24時間注意せよと言われても、どうすりゃいいのでしょうね。

(2)接種部位は清潔に保ちましょう。(略)入浴は可能ですが、過度な運動、大量の飲酒は避けましょう。
入浴の可否は、よくある質問です。飲酒もOK。どの程度まで飲んでいいのかは、自分で考えましょう。

(3)他の予防接種を受ける場合は6日以上の間隔をあけてください
日本独自のローカルルールです。医学的には根拠のない、不便な規則です。

(4)接種した後、注射部位が赤く腫れたり、硬くなることがあります。(以下略)
不活化ワクチンは、局所反応を起こして効く面があるので、腫れたら良く効いたと前向きに考えましょう。

(5)インフルエンザの流行する時期までに接種をすませておきましょう(以下略)
早く接種したら春まで効果が続かないのでは?、という心配をするより、まず、冬場の流行に備えましょう。

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インフルエンザ流行へ
- 2017/12/03(Sun) -
寒くなったと思ったら、急に、インフルエンザの流行が始まりました。
今年は極端にワクチンが不足して日本中がイライラしているというのに、ウイルスとは無慈悲なものです。
こういう年に限って、流行が早いのです。おまけに、A型とB型が同時に流行っています。
予防を流行が一気に追い越してしまう時期が、もうそろそろ到来しそうです。

ワクチンを行き渡らせるために、13歳以上は原則1回接種に制限していますが、それでもまったく足りません。
それに、受験生の方をはじめ、どうしても2回接種をしたい13歳以上の方が、今年もおおぜいいます。

そのような方が2回目の接種する時、本来はできないんですよなどと、つい余計なことを言ってしまいます。
被接種者には何の落ち度もないのに、余計な罪悪感を感じさせてしまったことは、私の反省点です。

インフルエンザワクチンの接種は今シーズンで11回目の経験ですが、誰からも喜ばれる結果にはなりません。
料金設定や予約法など、いつもどこかに試行錯誤と不備があり、たいてい後悔しながらシーズンを終えます。

10年前には1,500円や2,000円の安値で接種していたワクチンも、いまはすっかり、普通の料金です。
コスト上昇もその理由のひとつですが、もうひとつは、かかりつけの患者さんの保護のためです。
極端な低料金にすると、熊本全域から予約者が殺到してしまい、なじみの患者さんが予約できなくなるのです。

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