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蚊の時期到来
- 2018/08/17(Fri) -
今日は良く晴れたわりに、昨日までよりも少し、空気を涼しく感じました。
午前中に散髪して、帰り道でふと空を見上げると、秋っぽい雲が高く薄くたなびいていました。

そして、庭に出ると、蚊です。猛暑のために活動が低下していた蚊が、そろそろ活発に動き始めそうです。
3日前にBBQをしたときには蚊の心配がありませんでしたが、今後は確実に虫除けスプレーが必要ですね。

奇しくも2日前、熊本県に日本脳炎注意報が発令されました。
県内のブタの血清から、日本脳炎ウイルス遺伝子が検出されたためです。
このようなブタを吸血した蚊がウイルスを媒介し、次に刺したヒトに感染させます。
多くは不顕性感染(感染しても発症しない)ですが、100〜1000人に1人が発病するとされています。
6〜16日の潜伏期の後、高熱・神経症状・痙攣・意識障害などが起きます。

2010〜2017年の発症者は42人(年平均5.25人)。患者数が多いのは、福岡・長崎・熊本の3県でした。
やはり熊本のお子さんには、早めの予防接種をお勧めしたいところです。

日本脳炎ワクチンは、3歳・3歳・4歳・9歳、と4回の接種を受けるのが標準的な定期接種のタイミングです。
しかし近年、1歳児や0歳児が日本脳炎を発症したことを考慮すると、3歳からの接種開始では遅いようです。
当院では、BCG接種の4週間後(0歳6カ月)からワクチンの接種を始めるよう、お勧めしています。

過去の一時期、積極的勧奨接種が中断されていたため、日本脳炎ワクチンには特例接種が設定されています。
勧奨接種中断中に定期接種の機会を逸したお子さんを、救済するためです。
毎年の患者数が5人程度だというのに、日本脳炎の予防に対してはかなり手厚い救済措置となっています。

一方で、毎年の患者数が1万人で、そのうち3千人が亡くなっている感染症の予防接種が、滞っています。
HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)です。もう5年以上も、積極的勧奨接種が中断しています。
いつになったら勧奨接種が再開するのか。いいかげん真面目に考えてもらえませんかね。もちろん救済措置も。

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経過措置の最終年度
- 2018/08/09(Thu) -
65歳以上の高齢者全員を対象とした、肺炎球菌ワクチンの定期接種の「経過措置」が、今年度で終了します。
現時点で65歳以上の高齢者はすべて、この5年間の経過措置の間のどれかの年度に、接種対象となりました。

来年度からは、ちょうど65歳の方だけが対象となり、66歳以上の方は二度と接種対象とはならない方向です。

ワクチンの接種率は、年度によって多少ばらつきますが、おおむね35%前後という低い数値だったようです。
ではなぜ、約3分の2の高齢者が接種対象なのに接種しなかったのか。私なりに総括すれば、

(1)無料ではなかった
小児のワクチンとは異なり、「定期接種」なのに自己負担額がけっこう大きい。熊本市は4,600円。
対象者が多すぎて(毎年700万人以上!)無料にはしにくいとしても、もっとずっと安くできなかったのか。

(2)経過措置ということがわかりにくかった
「5の倍数の年齢」の高齢者が対象と聞いて、5年ごとに接種対象の年齢になるのかと勘違いした方が多い。
たとえば平成26年度は80歳以上、次の年度は75歳以上と、年々対象年齢を広げていく方法もあったのに。

(3)国や自治体の広報活動がヘタ
TV–CMを使ったりもしてますが、対象者への個別の通知文書に、説得力と親切心がない。
国や市のサイトには、詳しい解説もありますが、高齢者相手にネット上で解説してもね。

このような低接種率に終わったことを踏まえて、国も自治体も、なんらかの手を打つことになるでしょう。
自治体のアンケート調査によれば、約3分の1の自治体が、経過措置終了後の独自の助成を考慮中とのこと。
つまり、経過措置の期間中に接種しなかった(できなかった)高齢者への救済措置です。

熊本市は残念ながら、このような独自の助成にはあまり乗り気な自治体ではありません。
しかしせめて、全国平均的なレベルでの助成は検討してほしいものです。
本当は自己負担額も下げて欲しいですが、すでに接種した人から苦情が出るので、今さら下げにくいですね。

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沖縄旅行前接種殺到中
- 2018/04/26(Thu) -
毎日のように、成人の方が麻疹/風疹混合(MR)ワクチン接種のために来院されます。

まったく同じ書き出しのブログを、2年前にも、5年前にも書きました。
2年前には千葉や関空で発生した麻疹(はしか)ですが、いま問題になっているのは沖縄です。

大型連休で沖縄旅行を計画中の方など、ワクチンの接種を希望する方が当院にも「殺到」気味です。
このことについて、電話等でお問い合わせいただくことがあまりに多いので、この場でご説明しておきます。

Q. 来週沖縄に行くのだが、いまワクチンを接種しても間に合うのか?
A. 間に合います。副反応を観察する期間が足りないだけで、旅行の前日に接種しても効果はあります。

Q. あらかじめ血液検査をして免疫の有無を調べてから、必要な場合にのみ接種をすべきではないか?
A. 時間的に余裕があればそうしてもよいですが、とにかく予防第一なので、まず接種しましょう。

Q. 麻疹/風疹混合(MR)ワクチンではなく、麻疹(単独)ワクチンは接種出来ないのか?
A. もうできません。もともと流通量が少ない上に、今回の件で麻疹ワクチンは品薄。すでに入手困難です。

MRワクチンを接種しても、麻疹予防効果は麻疹単独ワクチンと同じです。接種料金は高いですけどね。
しかしそのMRワクチンも、今後の流行の広がりによっては不足する可能性があります。

2年前にはちょうど、北里第一三共のMRワクチン回収騒ぎが重なって、ワクチン不足は極めて深刻でした。
その北里のワクチンがようやく国家検定に合格し、2年半ぶりに、今月3日から販売が再開されたばかり。
まさにそのタイミングで、沖縄で麻疹が発生し始めたわけで、偶然にしてもできすぎですが、偶然でしょう。

ともかく悪いことは言いません。不安を感じて沖縄に行くぐらいなら、その前にMRワクチンを打ちましょう。

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沖縄行くならMRワクチン
- 2018/04/19(Thu) -
MR(麻しん風しん混合)ワクチンの定期接種対象は、第1期が1歳児、第2期が年長児と決められています。

しかしこれはあくまで「定期接種」としての対象であって、「任意接種」の場合には年齢制限はありません。

いま麻疹が流行している沖縄では、緊急避難的に生後6〜11カ月児へのMRワクチンの接種が行われています。
沖縄に限らず、近隣で麻疹が発生した場合などには、0歳児にも接種することが望ましいと考えられます。

こんどの大型連休で、沖縄旅行をする方も多いでしょう。お子さんのワクチン接種歴は早めに確認しましょう。
とくに、定期接種の対象なのにまだMRワクチンを接種していない方は、ただちに接種をしましょう。

となると、定期接種の対象となる前の赤ちゃんはどうやって麻疹を予防するのか、ということになります。

生後5カ月ごろまでは母親からの移行免疫がありますが、6カ月移行は急速に消失するとされています。
なので沖縄では、生後6〜11カ月児に対して、緊急避難的なMRワクチンの接種が行われているわけです。

今日も、沖縄旅行をする予定のご家族から、お子さんへのMRワクチン接種の問い合わせが2件ありました。
接種後の副反応に対しては2週間程度の観察期間が必要なので、実はもうギリギリのタイミングです。

沖縄旅行を計画中の方は、予防接種歴の確認を早めにお願いします。ワクチンの在庫は、あまり多くないです。

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期限切れワクチン
- 2018/04/15(Sun) -
熊本県内の医療機関で有効期限の切れたワクチンを接種したという予防接種ミス事案が、最近報じられました。
0歳の男児に接種したB型肝炎ワクチンが、有効期限を17日ほど過ぎていたことが問題だったようです。

このミスの場合、男児に直接的な健康被害が生じることはないでしょう。
しかし、期限切れのためにワクチンの効力がわずかに足りなかった可能性は、理論上はあり得ます。
とはいえ、製造から1年半以上は有効期間のある同ワクチンが、17日過ぎたら効かなくなるとも思えません。

むしろ問題は、有効期限の確認を怠った、または確認が不十分だったという、その点に尽きます。
確認作業の信頼性に問題があるのなら、別の重大なミスに至る危険性もはらんでいると考えるべきだからです。
有効期限は確認しませんでしたが、それ以外の確認は万全です、と言っても誰も信じてくれないのです。

今回のミスが、当該医療機関での今後の確認作業の徹底や見直しにつながるのなら、不幸中の幸いと言えます。

予防接種で確認すべき項目には優先順位は付けにくいですが、強いて言うなら次のような順番でしょうか。
(1)人:兄弟の取り違え接種は最悪のミス。でも、保護者さえもうっかり気づかないことがあります
(2)ワクチン:別のワクチンを接種してしまうのは、確認方法に大きな問題がある証拠
(3)対象年齢:対象外年齢への特例接種が認められているワクチンもあるので、けっこう複雑です
(4)接種量:3歳未満では接種量が半減するワクチンがある一方で、3歳未満でも3歳以上と同量のものもある
(5)接種間隔:前に何度か書いた通り、接種間隔はとてもややこしく、確認しても間違えそうになります
(6)有効期限:もっとも確認が漏れやすい項目かもしれません

当院では、ワクチンの有効期限を書いた札を、保冷庫の前面にぶら下げています。注意喚起のためです。
今日からその札を年別に色分けして、今年中に期限が来るワクチンは警告色の黄色の札としました。
よそ様のミスはまさに、他山の石です。

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定期接種と年度がわり
- 2018/04/02(Mon) -
国が定めた定期予防接種には、対象者を「年齢」ではなく「学年」で規定しているものがあります。
代表的なものが、麻しん/風しん混合(MR)ワクチンの第2期接種で、接種対象者は「年長さん」です。
この「年長」を、予防接種法施行令の表現で定義するなら、
「小学校就学の始期に達する日の一年前の日から当該始期に達する日の前日までの間にあるもの」となります。

私が日頃の診療で私が使っている「予防接種台帳」では、患者の「学年」が表示されるようにしています。
データベースソフト「ファイルメーカーPro」を使って自作したファイルです。そのフィールド定義は、

・「学年」=Case ( 学年指数 = 4 ; "年少" ; 学年指数 = 5 ; "年中" ; 学年指数 = 6 ; "年長" ; ...(以下略))
・「学年指数」=2018-生年度
・「生年度」=Int ( (生年月日指数 - 402) / 10000 )
・「生年月日指数」=Year ( 生年月日 ) * 10000 + Month ( 生年月日 ) * 100 + Day ( 生年月日 )

昨日の年度更新作業では、「学年指数」のフィールド定義において、2017を2018に変更しました。

もう一つ、学年単位で接種対象が規定されている定期予防接種といえば、成人用肺炎球菌ワクチンです。
もはや「学年」というのもおかしな年代ですが、65歳以上の方が学年ごとに接種を受けます。私の台帳では、
 
・「成人肺炎球菌定期接種」 =If ( 64 ≤ 学年指数 ; If ( Mod ( 学年指数 ; 5 ) = 0 ; "対象" ; "" ) ; "" )

成人の肺炎球菌ワクチンを、65歳以外の高齢者に接種する時限措置は、今年度で終了する予定です。
5年間にわたり5の倍数の年齢を対象としたので、接種の機会は全員に1度ずつ与えられたはずだという理屈。

しかし、定期接種の機会が人生で1回だけという点が、正確に伝わっていたとは思えません。
5の倍数の年齢になるたびに定期接種の順番が回ってくる、と思っている方も何人かいました。

時限措置が終わると来年度からは、66歳以上の方は二度と定期接種の対象にはなりません。
高齢者の肺炎球菌感染予防の主旨に則れば、接種漏れの方を救済することこそ最重要だと思います。
時限措置が終わったら、来年度からの定期接種対象は、65歳以上の未接種者全員ということでいかがですか。

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HPVワクチン動かず
- 2018/01/19(Fri) -
厚労省は昨日、「HPVワクチンに関する情報提供」として、新たに3つのリーフレットを発表しました。
(1)HPVワクチンの接種を検討しているお子様と保護者の方へ
(2)HPVワクチンを受けるお子様と保護者の方へ
(3)HPVワクチンの接種に当たって 医療従事者の方へ

「子宮頸がん予防ワクチン」という表現はやめて、今後は「HPVワクチン」という呼称でいくようです。

現状では、ワクチンの接種率は限りなくゼロに近いので、当面は(1)が最も重要なリーフレットでしょう。
そこには、HPV感染症の現状とワクチンの有効性等について記載したうえで、1ページ目の最下部に、

「HPVワクチンは、積極的におすすめすることを一時的にやめています」

と意味ありげに目立つように書かれ、2ページ以降には、留意点や副反応などの説明が記載されています。

ところが、なぜ積極的勧奨接種を中止しているのか、その直接的理由については、まったく書かれていません。
これこれの疾患があり、ワクチンの効果はこうで、副作用はこうだと、ただ淡々と事実を羅列するのみです。

「副反応を危惧して中止しています」と書けば、それは明確な薬害であり、予防接種自体が成り立ちません。
かといって、実際に積極的勧奨接種中止している手前、いまさら「副反応は心配ありません」とも書けない。

結局、「接種しましょう」という文言を一切書かない、ただの「情報提供」という形になってしまっています。
「情報は提供しましたよ。接種するかどうかは、自分で考えてね」というのが厚労省のスタンスなのです。
じゃあ、定期接種をやめて任意接種にするのかというと、そこまでやる根性もない。
進むことも戻ることもしない。そんなのが、先進国の「ワクチン行政」なのでしょうか。

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補助的追加接種
- 2017/12/11(Mon) -
肺炎球菌には90以上の型(血清型)があり、現在の小児用肺炎球菌ワクチンは、そのうち13の型に効きます。
これを「13価ワクチン」といいますが、定期接種が始まった当初導入されていたのは「7価ワクチン」でした。

「7価ワクチン」の接種が広まると、やがてその7つの型以外による、重症肺炎球菌感染症が増えてきました。
ワクチンがカバーしきれない型の菌が、代わりに感染症の主流となる、言うなれば「いたちごっこ」です。

そこで、守備範囲を広げて「13価ワクチン」に一斉に切り替えられたのが、2013年11月のこと。
その際の、「接種控え」を防ぐことのジレンマについては、前にも書きました

問題は、7価で定期接種を完了した子どもたち。主流となっている型の肺炎球菌に対する免疫がありません。
もちろんその点は厚労省も早くから認識しており、あとで13価ワクチンを追加接種すればよいと考えました。
これを「補助的追加接種」とよび、現在の5歳児の大半が、その接種による恩恵を受けることができます。

そこで、この補助的追加接種を、定期接種に加えるのか任意接種とするのか、厚労省で議論されました。
結局、任意接種でいいんじゃないの、という結論に至った理由は、次のようなものです。

(1)補助的追加接種を受けるのは5歳児であり、肺炎球菌に感染しても重症化する確率は低いだろう
(2)13価ワクチンの普及で乳幼児の肺炎球菌感染が減っており、5歳児に対しても集団免疫効果があるだろう
(3)補助的追加接種の免疫効果には、多少疑問もある
(4)接種費用がかさむし、副反応のリスクも増える

つまり、「費用対効果の点で、社会全体に対する利益が限定的である」というのが厚労省の言い分です。
厚労省はいつもこうです。予防費用と治療費用を天秤にかけ、どっちが得かで決めるわけです。

しかし、目先のコスト計算ではそうでも、長い目で見たときの、国家的な損得はどうなのでしょうか。
補助的追加接種によって、将来の日本を背負う子どもを一人でも救う事の方が、ずっと大事でしょう。

肺炎球菌ワクチンの、当院での任意接種料金は1万円です。原価が高いのでどうにもなりません。
接種を勧めても、料金を聞いたら多くの方がギョッとされます。なので接種率は、あまり高くありません。

ここは国が日本の未来ために、もっと大局的見地から考え直して、補助的追加接種費用を助成すべきです。
65歳以上全員に肺炎球菌ワクチンの接種費用を助成する国が、どうして5歳児には金を出さないのでしょうね。

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接種後の注意点
- 2017/12/04(Mon) -
ワクチンの接種後には、アレルギー反応などに対する一般的な注意と、各ワクチン特有の注意点があります。
接種後には口頭で注意点をお伝えし、それをミニカルテにも書き、さらに簡単な説明書もお渡しします。

インフルエンザワクチンの場合には、メーカーが作った小冊子があるので、活用しています。
で、その冊子(デンカ生研製)の内容をあらためてご紹介しつつ、多少ツッコんでみたいと思います。

(1)予防接種を受けた後24時間は副反応の出現に注意し、接種後30分以内は特に注意(略)しましょう。
被接種者は、帰宅後は普段の生活に戻ります。24時間注意せよと言われても、どうすりゃいいのでしょうね。

(2)接種部位は清潔に保ちましょう。(略)入浴は可能ですが、過度な運動、大量の飲酒は避けましょう。
入浴の可否は、よくある質問です。飲酒もOK。どの程度まで飲んでいいのかは、自分で考えましょう。

(3)他の予防接種を受ける場合は6日以上の間隔をあけてください
日本独自のローカルルールです。医学的には根拠のない、不便な規則です。

(4)接種した後、注射部位が赤く腫れたり、硬くなることがあります。(以下略)
不活化ワクチンは、局所反応を起こして効く面があるので、腫れたら良く効いたと前向きに考えましょう。

(5)インフルエンザの流行する時期までに接種をすませておきましょう(以下略)
早く接種したら春まで効果が続かないのでは?、という心配をするより、まず、冬場の流行に備えましょう。

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インフルエンザ流行へ
- 2017/12/03(Sun) -
寒くなったと思ったら、急に、インフルエンザの流行が始まりました。
今年は極端にワクチンが不足して日本中がイライラしているというのに、ウイルスとは無慈悲なものです。
こういう年に限って、流行が早いのです。おまけに、A型とB型が同時に流行っています。
予防を流行が一気に追い越してしまう時期が、もうそろそろ到来しそうです。

ワクチンを行き渡らせるために、13歳以上は原則1回接種に制限していますが、それでもまったく足りません。
それに、受験生の方をはじめ、どうしても2回接種をしたい13歳以上の方が、今年もおおぜいいます。

そのような方が2回目の接種する時、本来はできないんですよなどと、つい余計なことを言ってしまいます。
被接種者には何の落ち度もないのに、余計な罪悪感を感じさせてしまったことは、私の反省点です。

インフルエンザワクチンの接種は今シーズンで11回目の経験ですが、誰からも喜ばれる結果にはなりません。
料金設定や予約法など、いつもどこかに試行錯誤と不備があり、たいてい後悔しながらシーズンを終えます。

10年前には1,500円や2,000円の安値で接種していたワクチンも、いまはすっかり、普通の料金です。
コスト上昇もその理由のひとつですが、もうひとつは、かかりつけの患者さんの保護のためです。
極端な低料金にすると、熊本全域から予約者が殺到してしまい、なじみの患者さんが予約できなくなるのです。

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恐怖を煽る本の恐怖
- 2017/11/28(Tue) -
『ワクチン副作用の恐怖』という本が出ました。著者は『患者よ、がんと闘うな』等で有名な、近藤誠氏です。

タイトルを見ただけで批判的な気分になりましたが、正しく内容を判断するために、敢えて買って読みました。
そして、驚きました。内容が正しいとか正しくないとか言う以前に、とても読みやすかったからです。
平易な文章でありながら、論理展開がしっかりしているのて、近藤氏の持論がとてもよく理解できるのです。

だからこそ、その読みやすくて誠実に感じる文体で、科学的には誤った情報を書いている点が問題なのです。

持論を展開するために、インパクトのある事例や、統計学的には有意とはいえないデータを駆使しています。
これはちょうど、HPVワクチン問題で、メディアが衝撃的な映像を何度も何度も放送した手法と同じです。
科学的(医学的・統計学的)に正しくないことでも、それを信じ込ませるだけの文章に仕上がっています。

ただし、一部のワクチンや行政問題など、共感できる記述も混在しているので、この本を全否定はしません。

近藤氏の理論は、感染症そのものよりもワクチンの方を極端に怖がる、そのバランスの悪さが最大の欠点です。
現行のすべてのワクチンの必要性を否定するか、あるいは有害なので接種してはならないと言い切っています。

小児科医に予防接種を勧められたら、次のように言い返せば医者は沈黙するそうです。
「子どもに後遺症がでることはない、万一でたときは損害賠償をする、と一筆書いてください」

ワクチンを接種せずに感染症に罹って、死んだり後遺症が残ったお子さんへの賠償は、誰がするのでしょう。

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ホントに足りないワクチン
- 2017/11/16(Thu) -
インフルエンザワクチンが足りません。
当院では、可能な限りの本数のワクチンを確保してきましたが、ここにきて供給がほぼ途絶えかかっています。
接種希望者の方にはなかなかご意向に沿えず、ご迷惑をおかけしています。

ワクチンの供給が滞り始めてから、まず、電話や窓口での予約をすべてお断りすることにしました。
ネット予約の枠はすでにある程度埋まっていましたが、先週からは新規のネット予約の受付も中断しています。
すでに予約済みの方以外に、1人たりとも接種人数を増やせる余裕はありません。それほど厳しい状況です。

このようなことは、当院開院後10年間(11シーズン)で初めての異常事態です。
国はワクチンの検定頻度を増やすなどの配慮をしていますが、まだあと1カ月ほどは品薄が続きそうです。
来月には供給が改善するという話も、根拠のある予測なのか、単なるウワサなのかも区別がつきません。
少なくとも、いまは予約を拡大せず、じっと堪え忍ぶしかありません。

実を言いますと、12月後半以降の予約者のワクチンが、少し足りません。在庫の範囲では接種ができません。
もちろんその頃までには、流通が回復するだろうと期待はしています。
幸か不幸か、予約済の方の中には、接種をキャンセルする方が毎日1人か2人ぐらいいます。
そんなキャンセルの積み重ねで、なんとか12月後半の接種分もまかなえそうな、ギリギリの状況なのです。

発熱等の理由で接種を見合わせた方には、申し訳ありませんが次の予約をお受けすることができません。
1回目の接種ができても2回目の予約が取れない「2回目難民」の方も、大勢います。
「65歳以上の定期接種受付中」と掲示しておきながら予約を断っているないなんて、何か間違ってます。

ワクチン不足による接種率低下が、この冬のインフルエンザ大流行につながらなければよいのですが。

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ムンプス難聴を防ごう
- 2017/10/31(Tue) -
「おたふくかぜ(ムンプス)に罹ると難聴になる危険があります。ワクチンで予防しましょう」
何年も前からずっと、全国の小児科医たちが叫び続けています。私もこれまでに4回、当ブログで書きました。

日本耳鼻咽喉科学会の調査で、昨年までの2年間に全国で300以上が難聴になったことがわかりました。
以前は、毎年千人がムンプス難聴になるなんて言ってましたが、多少は減ったにせよ、まだまだ多いです。

「おたふくかぜは予防するよりも、罹って免疫を付けた方がいいのでしょう?」という方が、いまだにいます。
「子宮頸がんは予防しなくても、罹ったら早期発見して手術すればいい」という考えにも似た、誤解です。

水痘が、ワクチンの定期接種化によって激減した今、罹って免疫を付けようという人は、ほとんどいません。
ほんの数年前までは、「水痘は罹った方が強い免疫が付くのでしょう?」という方が多数いたのに、です。

鍵を握るのはワクチンの定期接種化です。定期接種には、無料&国のお墨付き、という意味合いがあります。
しかし定期接種であるはずのHPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)は、接種が完全に止まっています。
そのような不可解なことが起こり得る国なので、おたふくワクチンの定期接種化は、ハードルが高いのです。

日本の子どもたちの難聴を一刻も早く減らすために、ここは国が腹をくくるしかありません。
(1)早急に定期接種化し、しばらくの間は幅広い年齢層への接種も無料化または費用を助成すること
(2)副反応が問題になっても、それが欧米諸国と同程度と判断されれば、接種の勧奨を止めないこと

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ワクチン不足の報道
- 2017/10/26(Thu) -
昨夜のNHKニュースが、今年のインフルエンザワクチン不足の問題を報じていました。
こういうことをタイムリーに、そこそこ詳しく取り上げるのは、NHKのいいところ。

ワクチンの製造量と使用量の年次推移のグラフは、厚労省のものよりもずっとわかりやすい。さすがです。
ところが、ワクチン不足になった原因の説明は、かなり貧弱で意味不明でした。
難解になるのを避けたのか。日ごろ地震のメカニズムとか素粒子とかは、詳しく解説してくれるくせに。

東京のあるクリニックの取材シーンあたりから、ワクチン不足のテーマからはだいぶズレていきます。
そのクリニックの薬剤保冷庫が貧弱、ていうかミニ冷蔵庫。しかもドア開けっ放し。見ててヒヤヒヤする。

最後に、「インフルエンザの予防接種」と書かれたフリップを使ってまとめていたのは、次の3点でした。

(1)接種してもインフルエンザにかかる場合もあるので、まずは手洗い・うがいなどで予防を
ワクチン不足の問題に対して、もともとワクチンはあまり効きませんから、という論理。なんか違うと思う。

(2)大人は1回の接種で5カ月前後有効、厚労省は1回で十分効くと言っている
ワクチン不足の問題に対して、もともとワクチンは1回で効きますから、という論理。(1)と矛盾してます。

(3)子ども・高齢者などは、接種時期などを早めにかかりつけ医に相談を
ワクチン不足の問題に対して、本気で予防したけりゃ急いで接種しろと、ワクチン不足の不安をあおります。

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ワクチン確保で苦労中
- 2017/10/24(Tue) -
「インフルエンザワクチンは、ありますか」というお問い合わせを、よくいただきます。
今年のワクチン不足は前にも書いた通りですが、当院でもかなり厳しい状況になりつつあります。
薬品卸に何度もお願いして、ネット予約受付済分+65歳以上定期接種分だけは、なんとか確保しています。

日本脳炎ワクチンも品薄でしたが、その際には厚労省は、総数は足りており偏在の問題だとの一点張りでした。
ところが今期のインフルエンザワクチンは、総数が足りない。なので厚労省のお達しが、とても厳しいのです。

(1)13歳以上は1回または2回接種すると法律で定めているので、1回が原則である
法律文には「必ず2回」とは書かれていないので1回なのであるという、初めて聞く理屈です。

(2)同一バイアル(薬瓶)から複数回使用し、効率的な使用に努めること
「最初の薬液吸引から24時間を経過したら廃棄すること」と、わざわざのお達し。24時間まで使えってこと?

(3)医療機関は、前シーズンの使用実績を上回るワクチン発注や必要以上に早期の注文は、厳に慎むこと
「発注は接種希望者からの申込があった時点で行え」といいますが、その予約者分の確保が困難なのですよ。

(4)シーズン終盤に余ったワクチンを卸売業者に返品した医療機関は、名称を公表する
ワクチンを余らせたら罰するという、まるでバイキング店で食べ残した時のようなペナルティーです。

インフルエンザが流行期に入ると、その初期には接種希望者が駆け込みますが、以後の希望者は減ります。
ネット予約にも、流行が早まればキャンセルが相次ぐことになり、どうしてもワクチンは余るのです。

予約者には必ず希望日に接種し、しかしワクチンはちょうど使い切るなんて芸当が、可能なんでしょうかね。

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鶏卵馴化
- 2017/10/16(Mon) -
毎日多くの方が、インフルエンザワクチンの接種を受けに来られます。早めの接種をお勧めしています。
今シーズンはワクチンが大幅に不足しています。前にも書いたように、ワクチン製造株の決定が遅れためです。

じゃあなぜ、製造株の決定が遅れたのか、ということなんですけどね。けっこう根の深い問題があるのです。

インフルエンザワクチンは2年前から、4つの型(株)のウイルスに効く「4価ワクチン」になっています。
4つの型とは、「AH3亜型」(以前の季節性)と「AH1pdm09亜型」(以前の新型)と、2系統のB型です。
この4つの型それぞれについて、次のシーズンで流行する株を予測して、国が製造株を決定します。
メーカーはそれにしたがって製造を開始します。製造に要する期間は7〜8カ月です。

ワクチンがよく「効く」かどうかは、製造株と実際の流行株がどれだけ一致したかによります。

4価になってB型が2系統含まれるようになり、B型インフルエンザの「はずれ」はほぼ、解消されました。
A型のうち「AH1pdm09亜型」も、2009年以来ウイルスの変化が少なく、たいてい毎年「当たり」です。
問題は「AH3亜型」。流行株が正しく予測できても、製造途中でワクチンの成分が変異してしまうのです。

鶏卵内で培養しているうちに、ウイルスが卵に合わせて変化するからです。これを「鶏卵馴化」といいます。
ワクチンの成分(抗原)がどんどん変化(変異)し、できあがったワクチンはまるで別物になってしまいます。
今年のワクチンは型が合わなくて効かなかったね、と言われるのは、たいていこの鶏卵馴化によるものです。

それを解消すべくこのたび、細胞培養で分離した株を鶏卵で培養するという、新たな製造法が採用されました。
これが今期の「AH3亜型」製造株として最初に「内定」していた、「A/埼玉 (103/2014)」株でした。

ところが、試験的に作ってみると、なかなか増殖しない。このままではワクチン製造量が激減してしまう。
やむを得ず急遽、昨年使った鶏卵培養の「A/香港 (4801/2014)」株を、再登板させたわけです。
ですがその決定が遅く、結果的にワクチンの製造が遅れ、今回のワクチン不足に至ったという顛末です。

そんなわけで今年のワクチンは、AH3亜型ウイルスに対しては、例年と同程度に「効きが悪い」でしょうね。

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接種間隔の間違い
- 2017/10/09(Mon) -
予防接種に関する間違い(過誤接種)について、昨年の報告例を厚労省がとりまとめた結果が公表されました。
全部で6,602件のうち、断トツで多かったのは接種間隔の間違い(52.6%)だったようです。
ワクチンの接種間隔には2系統のルールがあるため、このように間違いやすくなるのでしょう。

(1)同一ワクチンどうしの接種間隔のルール
インフルエンザワクチンだと、1回目と2回目の間隔は、13歳以上が1週間以上、13歳未満なら2週間以上。
なんでそう決めたの、と言いたくなりますね。もし間違えたら、保健所に届けなければなりません。
このほかにも、ワクチン毎にそれぞれの複雑な規定が山ほどありますが、今日この件は掘り下げません。

(2)他のワクチンとの接種間隔のルール
生ワクチンのあとは4週間、不活化ワクチンのあとは1週間、次のワクチンの接種まであける必要があります。
前にも書きましたが、これは他の国にはない日本独自の、医学的には根拠のないローカルルールです。

世界標準のルールは、「生ワクチンどうしの接種は4週間あける」という、医学的に根拠のある規定のみ。
不活化ワクチンは、1日間隔でも3日間隔でも、当日の朝と夕方に接種してもOKというのが世界の常識です。
また、生ワクチンを接種した翌日に不活化ワクチンを接種する、なんてことも可能です。

ではなぜ日本では、ワクチン接種相互の間隔を、これほどまでに広くとるように規定されているのでしょうか。
それは、ワクチン接種後の副反応を観察するための期間だと、そのように聞いたことがあります。
予防接種による免疫獲得を急ぐよりも、副反応を警戒することに重きを置いた、いかにも日本的な考え方です。

こういう、医学的にはあまり意味のない規定のせいで、間違いは起きるし、接種計画が遅れがちになるのです。
これがなければ、子どもの定期接種とインフルエンザワクチンの接種間隔で苦労しなくても済むんですけどね。

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インフル接種お早めに
- 2017/10/03(Tue) -
インフルエンザワクチンの接種は、例年通り10月1日から始めています。
先日も書いたように、今年はワクチン不足が確定しているので、現場では少々混乱するかもしれません。

薬品卸からワクチンが届いたのは先週の木曜と土曜。これでなんとか予定通り接種を開始できました。
例年このように、接種開始日の直前にようやくワクチンが届きます。いつもヒヤヒヤです。
ワクチンが届いてからの予約受付では遅すぎるので、ワクチンが届く前から、見切り発車で受け付けています。

かつて、納品が間に合わなくて、急遽別の業者に泣きついてワクチンを融通してもらったことがありました。
ワクチンが入手できなければ、接種開始が遅れることになり、予約済みの方には申し訳ないことになります。

今年の流行は、例年よりも少し早くなりそうで、すでに他県では先月ぐらいから学級閉鎖が出ているようです。
ところがつい8月までは、前シーズンのインフルエンザが散発的に発生しており、当院でも診断しました。

前シーズンの流行と今シーズンの流行とが、ほとんどシームレスに続いており、区別が付きません。
ていうか、流行をシーズン分けできる根拠もなければ、意義もないのかもしれません。
それに北半球の夏場は、南半球の冬場。インフルエンザ流行期です。
地球規模で見れば、年間を通してインフルエンザは流行しているわけです。

「インフルエンザワクチンは、いつごろ接種を始めたら良いですか」という質問を、よく受けます。
「できるだけ早く1回目を、十分間隔をおいて2回目を接種しましょう」と、毎年答えています。
とくに今年は、流行が早いことに加えてワクチン不足が確実なので、どうしても接種したい人は急ぎましょう。

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インフル1回接種でOK
- 2017/08/26(Sat) -
今シーズンのインフルエンザワクチンの製造量が、昨シーズンよりもまた、格段に減りそうだとのこと。
厚労省の「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会」で昨日、その見通しが示されました。

この数年、インフルエンザワクチンの接種者数はほぼ横ばいなのに、製造量は毎年約1割ずつ減っています。

一昨年は、ワクチンが4価になることに伴って値上げされたため、需要が減ることを見込んで減産されました。
そこに化血研の不祥事による出荷停止が重なってしまい、現場は混乱しました。

昨年は、その化血研が熊本地震で被災して、ワクチンの製造が出来なくなり、さらに大混乱です。
供給(製造)量と需要(使用)量との差が200万本を切り、11年ぶりに余裕の少ない年だと騒がれました。

それでも昨年までは、もともとワクチン作りすぎじゃないの?、と揶揄されるぐらい余裕があったのです。

ところが今年はついに、製造量が需要見込みを下回るというから一大事です。
ワクチンの製造株(今シーズンの流行を予想して選ぶウイルスの遺伝子型)の決定が遅れたのが原因です。
国立感染症研究所が当初示した株に問題があり、株を選定しなおしたためです。おかげで製造が遅れています。

そこで、厚労省が言い始めたのが「13歳以上は1人1回の接種にしてほしい」という「お願い」。
本来、13歳から64歳は、1回または2回の接種というのが規定です。希望があれば2回接種できるのです。
当院はこれまで、医療従事者や受験生とか赤ちゃんのご両親には、2回の接種をお勧めしてきました。

なのに今年は「13歳以上の人は1回の接種で十分な効果がありますよ」と強調する厚労省。
まったく、ご都合主義としか言えませんが、ワクチンが本当に足りないのなら仕方ありません。
というわけで、今年の当院のインフルエンザワクチンは、13歳以上では原則1回接種とさせていただきます。

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転居と定期予防接種
- 2017/07/19(Wed) -
熊本市以外にお住まいの方が、熊本市にある当院で、定期予防接種を受けることがしばしばあります。
県内の多くの市町村は、「予防接種広域化」という制度によって、越境して接種することが可能なのです。
他県の方の場合には、接種費用をいったん自費負担とし、あとで「償還払い」される仕組みがあります。

最近、県外の某自治体Aに在住のお子さんが、熊本にしばらく滞在するため、当院で予防接種受けました。
窓口でいったん支払った接種費用は、あとで自治体Aから全額還付されることになります。「償還払い」です。

さて、その方が熊本滞在中に、自治体Aから自治体Bに住民票を移されました。
保護者の方にしてみれば、どこに住んでいようと、赤ちゃんの予防接種は無料だと思うものです。
ところが、自治体Bでは「償還払い」を認めていないので、お子さんの接種費用は自費になってしまいました。

この方は二人のお子さんの2回分の接種で、十数万円の自己負担になりそうです。予防接種代って高いのです。
あんまりだろうと思い、熊本の保健所に尋ねましたが、残念ながら救済できません、とのこと。

日本に生まれた赤ちゃんが、どうして日本の法律で定められた予防接種を無料で受けられないのでしょう。
どの市町村で受けても同じじゃないですか。人は移動するのです。どこに滞在していても、同じ日本ですよ。

赤ちゃんの定期予防接種では、自治体の垣根を払い、できれば国が直接責任をもって行うべきです。

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同時接種用予診票を
- 2017/07/04(Tue) -
予防接種の予診票は、住所・氏名・生年月日などの他に、既往症や体調や出生時体重などの記載欄があります。
それを全部埋めるのに、だいぶ時間がかかります。ワクチンをいくつも同時接種する場合は、かなり面倒です。

何枚も書き上げた挙げ句に、熱を測ったら37.6度、なんて場合には、接種見合わせとなります。
そして後日、体調改善後にまた来て、また何枚も予診票を書いて・・・という作業を繰り返すことになります。

そこで提案なんですけどね。
ワクチンが異なっても、予診票の内容はほぼ同じ。ならば、複数ワクチン同時接種用の予診票ってどうですか。
そう思って調べてみたら、一部の自治体ではすでに、そのような予診票を使っているようですね。

乳児早期はとくに定期接種ワクチンが多いですが、同時接種の組み合わせパターンは決まっています。
任意のロタウイルスワクチンも加えると、満2カ月で4つ、3カ月で5つ、4カ月では4ワクチンを接種します。
そこまではほぼ全員が同じ組み合わせ(ロタの有無の違いのみ)、同じペース(4週間隔)で接種します。
現状では、その13のワクチンの接種を受けるためには、合計13枚の予診票を書かなければなりません。

ところが複数のワクチンの同時接種に対応する予診票であれば、1回の接種で1枚だけ書けばよいのです。
熊本市の定期接種の予診票は、機械処理用の様式なので、改変には多少の手間が必要になりそうです。
ですが一度作ってしまえば、予診票の枚数が減る分、機械処理の作業量はむしろ削減できるはず。
定期接種分だけでも、同時接種用予診票にしてくれませんか、保健所の方。

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日本脳炎ワクチン厳しい
- 2017/06/27(Tue) -
全国的には不足していないと厚労省が強弁している「日本脳炎ワクチン」。現場ではまったく足りていません。
ワクチン不足の理由は、前に詳しく書きましたが、もういちど簡単にまとめるなら次の3つです。

(1)0歳6カ月からの接種を推奨する動きによって、乳幼児へのワクチン接種が拡大した
(2)これまで定期接種が行われていなかった北海道での、日本脳炎ワクチンの定期接種が始まった
(3)震災で製造を中断していた化血研が、復旧後から製造を再開したものの、できあがるのは来年1月

日本脳炎ワクチンの製造元は、阪大微研と化血研の2社。化血研のシェアは、かつて36.2%でした。
地元のメーカーということもあり、当院ではおもに化血研製の日本脳炎ワクチンを使っていました。

ところがその化血研製が完全に欠品となり、日本脳炎ワクチンの流通は阪大微研製だけになりました。

当院では、阪大微研製ワクチンを大慌てで薬品卸各社に発注したのですが、各社とも厳しい対応でした。
「申し訳ないですが、先生のところにはこれまで、阪大微研のワクチンを納入していなかったものですから」

つまり、納入実績が無い医療機関への新規納入は、現時点では難しいというのです。
薬品不足の際にはいつも、薬品卸はこのような態度になります。既存の顧客を優先するわけです。

そうは言っても、夏を前にして日本脳炎ワクチンの接種数がいちばん増える時期です。なんとか確保したい。
薬品卸各社に何度も何度もお願いして、少しずつ少しずつ、ワクチンを手に入れているところです。

当院かかりつけのお子さんへの接種分だけでも、と思って確保していますが、かかりつけ以外の方も来ます。
他の小児科で日本脳炎ワクチンの接種を断られた、と当院に来られる方にも、できれば接種してあげたい。
少なくとも乳児の場合には、人道的理由で、なるべく希望者全員に接種を行う方向で受け入れています。
今月はどうにかしのげました。来月も何とかなりそうですが、8月以降はかなり厳しくなると思います。

厚労省の言うようにワクチンが不足していないというのなら、余っているところから当院に回して欲しい。

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日本脳炎ワクチン不足
- 2017/05/10(Wed) -
日本脳炎ワクチンの流通は、最近ずっと綱渡りの状態でしたが、ついに深刻な品不足に陥りそうです。
昨日から報じられているように、最大の原因は化血研問題ですが、いろいろな事情が重なった不幸な事案です。

(1)乳幼児へのワクチン接種の拡大
定期接種の対象年齢は0歳6カ月からですが、推奨接種年齢は3歳からとなっていました。
しかし乳幼児の日本脳炎発症例を受けて、小児科学会が、0歳6カ月からの接種のキャンペーンを行いました。
そのために、0歳から3歳の子どもが一斉に、日本脳炎ワクチンの接種を開始することになったわけです。

(2)北海道でのワクチン接種
40年以上北海道で患者が発生していないことなどを理由に、北海道では定期接種が行われていませんでした。
転居や旅行など人の移動を考慮すれば、北海道の子どもたちもワクチンを接種しておくべきなのは当然のこと。
昨年度からようやく、北海道でも「悲願の」日本脳炎ワクチンの定期接種が開始されたところでした。
接種機会を逸していた子どもたちへの救済(キャッチアップ)も含めると、接種対象者はかなり膨らみます。

(3)化血研の不祥事と震災
不祥事問題で、出荷が停止され、ようやく再開を許された矢先、震災で工場が被災しました。
復旧後に製造を開始したものの、ワクチンが出来上がって出荷できるまでには1年半ほどかかるそうです。
在庫分の出荷を細々と続けてきましたが、それもほぼ底を突いた状態。ちょうど今がそういう状況なのです。

厚労省は、ワクチンが不足しているとは決して言わず、偏在しているのなら是正せよ、と言っています。
そんなお役人の責任逃れ発言を真に受けて、薬品卸による供給制限が今日から始まりました。
夏場は日本脳炎ワクチンの接種が増えますが、果たしてワクチンは足りるのか(たぶん足りない)。

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HPVワクチン進まず
- 2017/04/13(Thu) -
子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)は、もう4年近くも、積極的勧奨接種が差し控えられたままです。
世界中で接種が行われ、おそらく数十年後には、子宮頸がんを激減させることが期待されているワクチンです。

日本の若い女性たちは、自分の意思か不本意か、定期接種の対象年齢を未接種のまま過ぎ去りつつあります。
接種機会を事実上奪われた彼女たちが、数十年後に子宮頸がんを発症したとき、誰を恨めばよいのでしょう。

そのような状況がまともだとは、厚労省も思ってはいないはず。接種再開への道を探りつつあります。
最後の切り札とも思えたのが、昨年末の「厚労省班研究祖父江班」の研究結果でした。

それは「HPVワクチンの副作用と思われている症状は、非接種の女性にも見られる」という衝撃的な内容。
報道ステーションが何度も映像を流した悲惨な症状は、ワクチンとは無関係であることを示唆するものです。

ところが、そのセンセーショナルな研究報告で、濡れ衣を晴らせたかと思いきや、厚労省は動きませんでした。
いかに科学的根拠があっても、国民が安心できるレベルには至っていないと考えたのでしょうか。

それから数カ月経ち、つい3日前にまた厚労省が審議会を開きましたが、新たな事実は何もありません。
昨年の研究結果を、もういちど見直しただけです。そして結論は「さらに議論が必要」だと。なんじゃそりゃ。

いくら議論しても新事実が出てくるわけでもなし、勧奨接種を再開に導く根拠が見つかるとは思えません。
かといって新事実が出てこないのに勧奨接種を再開したものなら、今まで接種を止めていた根拠を問われます。
おまけに勧奨接種を再開後に何らかの副反応が出たら、メディアや市民団体に叩かれるのは必至。

もはや厚労省には、勧奨接種の再開を決断する力はありません。ここは、政治決着しかないでしょう。

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百日咳の予防
- 2017/04/06(Thu) -
NHKが昨日のニュースで取り上げたので、このタイミングで百日咳の問題を書いておきます。

百日咳は、赤ちゃんが罹ると命の危険にさらされるほど重症になるので、ワクチンで必ず予防すべき疾患です。
生後3カ月から接種を開始できる「4種混合ワクチン」の中に、百日咳ワクチンが組み込まれています。
その「4種」とは、ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオの4つ。それぞれ重篤な疾患です。
このうち百日咳以外の患者さんには、私はこれまでに一度もお目にかかったことがありません。

一方で百日咳は、ときどき当院を受診する成人の患者さんがいます。大学生などの間で流行したりもします。
百日咳は、乳幼児期にワクチンを接種しても、その効果が長続きしないのです。
NHKの番組では最短で4年だと言ってましたが、長くみても12年ぐらいで免疫が切れると考えられています。
したがって中高生、そしてすべての成人が、百日咳に罹るリスクがあるわけです。

ただ、大人が罹ると、咳はしつこいけど熱がないので、ただの風邪だろうと思ってしまうのが問題。
そんな大人が、もしもワクチン未接種の赤ちゃんに接触したら、大変なことになります。
このような悲劇を防ぐためには、成人を含めて全員が、免疫を維持する必要があります。

「4種」のうちのジフテリアと破傷風は、11歳から12歳が行う2種混合ワクチンで、追加免疫が行われます。
ところが肝心の百日咳は、いまの制度では追加接種が行われず、免疫切れが放置された状態です。
欧米ではすでに、その対策が講じられています。日本でも、追加接種の早期導入が求められています。
ただ、4種混合ワクチンですら、きちんと接種できていない人がいます。まずは、そっちの対策からでしょう。

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ケチな行政措置の問題
- 2017/03/21(Tue) -
今夜開催された「熊本市予防接種説明会」において、熊本市独自の「行政措置制度」の詳細が判明しました。
前にも書いたように、規定通りに定期接種を受けていないお子さんに対する、熊本市の救済措置のことです。

ただし救済されるのは、ワクチン不足や制度不備が原因で、以下の接種が受けられなかったお子さんだけです。
(1)麻しん風しん混合(MR)ワクチン
(2)B型肝炎ワクチン

MRワクチンについては、ワクチン不足となった昨年9月以降に、接種対象年齢を過ぎた方が救済されます。
第1期でいうなら、1歳の終わり頃に接種しようとしたら、ちょうどワクチン不足で接種できなかった方。
第2期でいうなら、対象年度(今年度)の後半で接種しようとしたら、ワクチン不足で接種出来なかった方。

いずれにしても、もっと早く接種しとけば良かったのですが、まあ、そのような方を救済する措置です。

B型肝炎ワクチンの場合は少し複雑で、ワクチンも不足はしていますが、制度にも不備がありました。
定期接種が始まった時点で満3〜6カ月の対象者は、標準的な接種スケジュールが組めなかったからです。
この方たちは、標準的なスケジュールが組めるために、4カ月間だけ、接種期間が延長されます。

こういう救済措置をとるときお役人は、「救済しすぎ」をしないように、ギリギリの措置を構築します。
そこがケチ、というんです。
さらに、予防接種によって健康被害が起きた場合の補償制度が、法定(定期)接種と行政措置では異なります。

今月はまだ、あと10日あります。行政措置制度に安心せず、間に合うならなるべく定期接種を受けましょう。

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予防接種の行政措置
- 2017/02/19(Sun) -
定期予防接種が規定通りに進んでいないお子さんに、ようやく熊本市も救済の手を差し伸べるようです。
対象年齢を過ぎてからのワクチン接種を救済する「行政措置」の、対象となる予防接種は2つ。
(1)麻しん風しん混合(MR)ワクチン
(2)B型肝炎ワクチン

MRワクチンは、昨年から全国的なワクチン不足が大問題になっており、今なお不足しています。
第1期定期接種の対象は、1歳児。基本的に免疫のないお子さんなので、接種は絶対に必要と考えられます。
第2期定期接種の対象は、年長児。接種期限まであと1カ月少々となりました。

ワクチン不足が起きた昨年9月時点で1歳で、その後接種機会を逸した2歳の子さんが、第1期の救済対象です。
第2期については、現在の対象者の接種期限が、事実上半年ほど延長されます。
いずれの場合も、今年の9月までにはワクチンの供給が完全に回復する、ということを前提とするものです。

B型肝炎ワクチンは、まず化血研の生産停止が痛いですが、予防接種制度自体の問題もあると思います。
昨年10月から始まった定期接種の対象者は、昨年4月生まれ以降の0歳児です。
接種開始は満2カ月からで、合計3回を約半年かけて接種する規則です。

昨年4月生まれのお子さんだと、10月から3月までの半年で、3回の接種を効率よく行わなければなりません。
その接種スケジュールがあまりにタイトなので、何らかの救済措置が求められていました。

そうでなくても昨年4月生まれというのは、震災前後に生まれ、新生児期を過ごした赤ちゃんです。
規定通りサクサク予防接種をこなすという、そんな余裕など、どこの家庭にもないときの赤ちゃんなのです。

小幅な接種期間の延長のよううなケチな行政措置などやらず、もっと太っ腹な救済を望みます。

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予防接種と入園拒否
- 2017/02/16(Thu) -
予防接種を受けていない園児の受け入れを拒否した、新潟市の認定こども園の問題は、私には不可解です
関係省庁が協議した結果、予防接種を受けていないことだけでは入園を拒否できない、と結論したからです。

たしかに、子どもに定期予防接種を受けさせることは、保護者の「義務」ではなく「努力義務」です。
わが子には受けさせないと親が判断すれば、接種しなくてよいのです。思想信条の自由です。

しかし状況によっては、基本的人権よりも、公共の福祉の方が優先される場合もあります。
ワクチン接種の拒絶はその子どもだけの問題ではなく、周囲への感染拡大という問題があるからです。

たとえば麻疹は感染力がきわめて強く、しかも発症する前日から、周囲への感染力があります。
発症した時点ですぐに気付いて隔離・帰宅させても、すでに感染が拡大している場合が多いのです。
MRワクチンがまだ接種できない0歳児を含む集団の中では、感染者が出ては絶対に困ります。

予防接種はその個人の感染防御だけでなく、集団全体の感染症を減らす「集団免疫」の効果があります。
1歳のお子さんがワクチンを接種することで、0歳児も守られるのです。

ワクチンの積極的勧奨を行っている国が、むざむざと感染拡大のリスクを見過ごすのには、理由があります。
感染症の危険よりも、ワクチン反対派の活動の方が怖い(または面倒)と考えているからです。
子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)問題などと同じく、弱腰厚労省の体質そのものです。

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成人のMRワクチン接種
- 2017/02/13(Mon) -
不足しているMRワクチンですが、どうやらわずかに流通が改善しつつあるようです。
そのことを踏まえて、子どもの定期接種対象者以外への任意接種も、当院では再開することにしました。
もちろんまた需給バランスが悪化するようなら、再び接種制限を行うことになります。

あれだけ騒がれた麻疹の集団感染はいつのまにか終息したので、任意接種希望者はそれほど多くはありません。
たいていは、医療系の学生さんか若夫婦(または婚約者同士)などです。

先天性風疹症候群の発生を予防するための、予防接種の費用助成制度は、今も続けられています。
たとえば熊本市の助成対象者は、熊本市の住民で、風疹抗体検査による抗体価が陰性(HI法で16倍以下)で、
(1)妊娠を希望している女性
(2)妊娠を希望している女性のパートナーなどの同居者
(3)妊婦のパートナーなどの同居者
このいずれかを満たす方、となっています。
「妊娠を希望」っていうのもアバウトなら、「パートナーなどの同居者」という表現もなかなか幅広い。

さらに、オカシなケースも考えられます。
抗体価が陽性の女性は費用助成の対象外ですが、その夫の抗体価が陰性なら、夫は助成の対象になるのです。
たとえ夫が風疹に感染しても妻は感染しないので、先天性風疹症候群を予防するという趣旨に合いません。

このことが先日行われた予防接種従事者研修会で質問されたところ、お役所からは珍回答が返ってきました。
「(そのケースの夫でも)風疹の蔓延を防ぐ観点から、予防接種の助成対象者として位置付けている」
つまり、夫が感染予防をすることは、妻に対してだけでなく、社会全体にとって有意義である、というわけ。

その理屈なら、抗体価陰性の市民はすべて、接種助成対象ってことになりませんか?
このさい(2)を最大限に拡大解釈して、定期接種漏れの子どもを助成対象とすることだって、アリだと思う。

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ワクチン不足は深刻
- 2017/02/01(Wed) -
今年度も、あと2カ月を残すところとなりましたが、MRワクチンの「駆け込み接種」にはご注意ください。

年長児を対象とするMRワクチン第2期接種は、いつも年度末になって接種希望者が急増するワクチンです。
例年と異なるのは、ワクチン不足。下手したら、品切れのために3月には接種できなくなるおそれもあります。

期限内に接種できなければ、任意接種するしかありません。当院だと、料金は9千円也。やたらに高いですよ。
定期接種なら無料、任意接種は9千円。どうして期限ギリギリまで待つという、リスキーなことしますか。

MRワクチン不足の原因は、これまでにも書いた通り、
(1)ひところの、麻疹(はしか)の集団感染騒ぎで、おもに成人のワクチン接種者が急増した
(2)MRワクチンメーカーのひとつ、北里第一三共が、昨年からワクチンの製造を中断している

しかし実際にワクチンが不足していることを認めると、行政の責任になるので、厚労省の言い分(詭弁)は、
(3)ワクチンの流通や在庫が偏っている(全国的に見れば、ワクチンは足りている

厚労省に尻を叩かれて、保健所があわてて在庫調査や予約数調査をしていることは、前にも書いた通りです。
本日当院が保健所にFAXで報告した、1月末時点でのMRワクチンの予約数は、第1期と第2期あわせて70人。
とてもじゃないですが、そんなに在庫はありません。

途方に暮れていたまさに今日、製造を中断していた北里第一三共が、製造を再開するとの「朗報」あり。
でもよく聞けば、一から作りなおすので出荷まで1年半以上かかるとのこと。朗報じゃなくて「悲報」でした。
MRワクチンの製造が3社体制に戻るのは、1年半後ということです。来年度も、厳しい状況が続きそうです。

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MRワクチン予約数調査
- 2017/01/30(Mon) -
MR(麻疹風疹混合)ワクチンが不足している問題については、少々切羽詰まってきました。
というのも、第2期定期接種の対象年齢である「年長さん」の接種期限が、3月に迫っているからです。

このワクチンは、麻疹や風疹の免疫をもたない1歳児への接種「第1期定期接種」が、最優先です。
なので当院も昨年秋以来、在庫ワクチンは原則として、1歳児に対してのみ、接種してきました。

ちょうどその頃(11月)保健所が、医療機関が保有するMRワクチンの「在庫調査」を行いました。
調査を行うのはかまいませんが、その後ワクチンの供給が改善したわけでもなく、在庫不足のままです。

そうこうするうちに年が明け、保健所がこんどは、MRワクチンの「予約状況の調査」を始めました。
予約数だけでなく、MRワクチンを購入している業者名まで報告しなければなりません。
医療機関ごとの必要数を調査し、薬品卸を指導して、バランス良くワクチン供給させようというのでしょうか。

どの医療機関だって、予約数を考慮して、必要なだけワクチンを購入するのです。それが、足りないのです。

昨年の国会答弁でもあったように、国は「MRワクチンに不足が生じない見込み」との一点張りです。
現場では完全に不足しているのに、厚労省の官僚の計算では、足りているはず、なのです。
行政には問題無いが、現場の流通や在庫に偏りがあるのだと、業者や医療機関に責任を押しつけているのです。

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ワクチンは接種すべき
- 2017/01/16(Mon) -
「日本脳炎ワクチンは、あんまり打たない方がいいんでしょ」と言う親御さんに、つい最近も出会いました。
このような誤った理解、風説がまかり通っているとは、驚きます。悲しいことです。

子どもの定期予防接種に、打たない方がいいワクチンなどありません。打った方がいいから、打つのです。
ワクチンのメリットとデメリットを天秤にかけたら、医学的には圧倒的にメリットが大きいから、打つのです。

日本脳炎ワクチンは、かつて副反応問題によって、積極的勧奨接種を控えた時期がありました。
その後、新ワクチンが開発され、今では元通り、全員接種の勧奨接種ワクチンです。
しかし、このワクチンの悪印象はいまでも尾を引いていて、傷モノ扱いされているのも事実です。

いちどケチが付くと、汚名を返上するのは、かなり難しいものです。
名誉失墜のときには、メディアは大々的に報じるのに、名誉挽回のときの報道は、きわめて控えめだからです。
ちょうど新聞が、大きく掲載した誤報に対して、訂正記事をこっそり小さく掲載するようなものです。

子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)を待ち受けているのも、まさに茨の道でしょう。
濡れ衣を裏付ける証拠が出つつあるのに、市民団体はそれを無視し、メディアの姿勢もひどく慎重です。
厚労省はいまだに腰が引けているし、メーカーは金縛り状態。医療者の足並みも、残念ながら揃っていません。

日本脳炎は、まだ良い方です。患者数は年間10人前後の、きわめて稀な病気ですから。
しかし子宮頸がんは、毎年1万人が発症し、そのうち3千人が亡くなっています。
ワクチンを接種すべきなのにしなかったから子宮頸がんで死んだ、という事例が、将来確実に出てきます。
さてそのとき、誰が責任を負うのでしょう。

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今年こそHPVワクチンを
- 2017/01/03(Tue) -
何度も書いてますが、いい加減に再開しましょうよ、HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)。
いま、なんといっても追い風は、厚労省の疫学調査の結果。これがかなり、センセーショナルなのです。

ワクチンの副作用と思われていた障害が、ワクチンを接種していなかった同世代女性にも見られたというもの。
その障害が起きた比率は、両者でほぼ同程度。つまり、ワクチン接種の有無には無関係でした。
一般的に若い女性にまれに見られる症状を、ワクチンの副作用と思い込み、決めつけていたことになります。

そのような症状が、たまたまHPVワクチン接種後に起きたので、濡れ衣を着せられたというわけです。
これはちょうど、インフルエンザ罹患時の異常行動が、タミフルに濡れ衣を着せている状態に似ています。

しかしタミフルはいまだに、10歳代への投与は原則禁止です。
その、いまだにタミフルに濡れ衣を着せている厚労省が、HPVワクチンの濡れ衣を晴らすことができるのか。

HPVワクチンを接種すべきことは、科学的に明らかです。日本以外の世界中が、そう考えています。
厚労省もバカじゃない。そのことは重々承知です。でも、バカじゃないけど、弱腰です。事なかれ主義です。
なので、メディアや市民団体に攻撃されないためには、国民の多数が納得するような根拠が必要なわけです。

それが今回の、厚労省班研究祖父江班の研究結果だと思うのです。
この機会を逃しては、もう、ホントにもう、日本がHPVワクチンの接種を再開できるきっかけはありません。
私は、マスメディアや一部市民団体のことを、とやかく言うつもりはありません。それは見解の相違ですから。
でも厚労省は違います。国民の健康に資する事柄は、科学的に正しいと裏付けられた方向に導くべきです。

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予防薬と治療薬
- 2016/12/12(Mon) -
インフルエンザの流行がそこそこ早いので、ワクチンの接種とインフルエンザの治療とが入り交じる日々です。
2009年に新型インフルエンザ(いわゆる「ブタインフルエンザ」)が流行した時が、まさにそうでした。
あの時は、厚労省の接種計画(机上の空論)がすべて後手後手に回るという、絵に描いたような大失策でした。

その当時と比べると今は、インフルエンザワクチンの接種率は、かなり低下しているように思えます。
HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)問題以降、インフルエンザワクチンにも懸念が広がっているのです。
(1)有効性が疑問
(2)副作用が心配

毎年必ず早めに接種する方も多いですが、最近はワクチン代が上がったこともあり、接種者は減っています。
インフルエンザワクチンの有効性には、他のワクチンとは異なる問題はありますが、接種は有意義です。
チメロサール(保存剤として含有している有機水銀の一種)を懸念する気持ちもわかりますが、大丈夫です。

一方で、タミフルに代表されるインフルエンザ治療薬にもまた、それなりに問題はあります。
(1)有効性が疑問
(2)副作用が心配

ありゃ、ワクチンと同じですね。でも、インフルエンザ治療薬には、ワクチンとは異なる側面があります。
それは、(1)や(2)を懸念するどころか、むしろ患者自ら処方を希望する方が多いのです。
インフルエンザの可能性が少しでもあればタミフルを飲みたい、予防のためにでも飲みたい、というわけです。

医学的に考えれば、ワクチンの副作用よりもタミフルの副作用の方がはるかに問題なのに、です。

日本人は、予防薬の副作用には敏感でも、治療薬の副作用はあまり気にしないという、オカシな人種です。
子宮頸がんは、予防するよりも早期発見して手術する方を選ぶのです。早期発見できればいいですけどね。

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HPVワクチンに追い風?
- 2016/11/25(Fri) -
そろそろ再開しないと、日本人女性の命にもかかわる「HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)」の件。
副反応とされる「運動障害」や「慢性疼痛」については、多くの方が次のいずれかに属する考え方でしょう。

(A)ワクチンによる副反応とは言えない。早くHPVワクチンの接種を再開すべきだ。
(B)ワクチンによる副反応かどうかは明確でない。他国と同様に、日本も接種を行うべきだ。
(C)ワクチンによる副反応が疑われても、子宮頸がん予防のメリットの方が重要であり、接種すべきだ。
(D)ワクチンによる副反応が疑われるので、さらに検討を続けるべきで、それまでは接種は控えるべきだ。
(E)ワクチンによる副反応であることは明白。接種すべきではない。

厚労省が取り組んできた研究事業のうち、「池田班」の研究成果に対して、厚労省が昨日見解を発表しました。
信州大の池田教授による「HPVワクチンを接種したマウスで異常な変化があった」とする報告に対してです。
この池田報告は、ワクチンの副反応を示唆する、重要な情報でしたが、ねつ造疑惑が出ていました。

厚労省が昨日発表したのは、信州大学が調査して公表した以下の内容です。かみ砕いて書くと、こうです。
(1)マウスの実験は、1匹だけで行った予備実験なのに、センセーショナルに公表して誤解を招いた
(2)その結果、実験結果が科学的に証明された事実のように受け取られ、マスコミが喜んで報じた

池田班研究は、前述した(D)から(E)に相当する反ワクチン世論を形成しかねない、重大なものでした。
しかしそれが、信州大の調査によって、科学的には事実無根と判明し、厚労省もすぐに発表したわけです。

厚労省は最初、(D)の立場で積極的勧奨接種を中止したのですが、最近は(B)に向かおうとしています。
「不適切な発表により国民に対して誤解を招く事態となった」と厚労省は、池田氏を名指しで非難しています。
接種再開の理由作りに悩んでいた厚労省ですが、池田氏の問題をきっかけに、やっと動き出すかもしれません。

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錠剤のインフルワクチン
- 2016/11/02(Wed) -
錠剤タイプのインフルエンザワクチンを、「日東電工」が開発すると、報じられました。
日東電工? って思いますが、デンカ生研の例もあるし、電気と薬品は関連深いのでしょう、きっと。

経口投与で効果が十分なら、ワクチン接種がとても楽になりますが、しばらく慎重に見ていく必要はあります。
というのも、前例があるからです。

「フルミスト」という、鼻の中に噴霧するインフルエンザワクチンがそれです。
欧米では数年以上前から使われていて、日本でも3年ぐらい前から、一部の医療機関が導入しています。

おたくで扱っているのかと、問い合わせをいただいたこともあり、近い将来は導入しようかと考え中でした。

ところが、フルミスト先進国の米国で、今さらのように、その効果が疑問視されつつあります。
米国疾病管理予防センター(CDC)のスタンスも、180度転換してしまいました。
(1)2014年:フルミストを積極的に推奨する
(2)2015年:注射でもフルミストでも、効果はあまり変わらないので、どちらを選択してもよい
(3)2016年:注射の方が有効なので、フルミストは接種すべきでない

米国では何年も使っているのに、今頃になって、フルミストは意外と効かないかも、と言い出したのです。
なんじゃそりゃ、です。
この報告を受けて、日本の医療機関でも、今シーズンはフルミストの接種を中止する動きが出ています。

本当のところ、フルミストが効かないかどうか、まだ最終結論は出ていません。
でもそんなことがあったので、錠剤タイプのワクチンと聞いても、私は少々懐疑的なのです。

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MRワクチン、また枯渇
- 2016/10/24(Mon) -
MR(麻疹風疹混合)ワクチンが手に入りません。前に騒がれた時よりも厳しい品不足です。原因は2つ。
(1)夏頃からの、麻疹(はしか)の集団感染騒ぎで、ワクチン接種者が急増した
(2)MRワクチンメーカーのひとつ、北里第一三共が、昨年からワクチンの製造を中断している

これらの問題は、以前それぞれ個別に書いたことですが、いまその両者が合わさってしまいました。
先月までは、大阪などに旅行する予定の成人希望者には、当院でMRワクチンを接種していました。
医療系専門学校などの生徒で、麻疹抗体価が低かった方にも、希望があればすぐに接種してきました。
当院の職員のうち、麻疹抗体価が低い者にも、MRワクチンを接種しました。

しかし今は、成人への接種はお断りしています。そうしないと、小児用ワクチンが足りなくなるからです。
とくに1歳の第1期接種対象者は、麻疹と風疹の免疫をもっていないので、最優先で接種する必要があります。
当院かかりつけの乳幼児で概算してみると、当院のMRワクチンの在庫は、今後の必要予定数ギリギリでした。

今国会(第192回臨時国会)では、民進党議員から、MRワクチンの供給状況について質問が出されました。
これに対する、安倍晋三内閣総理大臣名での答弁書とを、Q&Aの形で並記してみると、こうです。

Q.現在のMRワクチン不足は、地域的な偏在なのか、全国的な供給不足なのか。
A.MRワクチンの需給状況の把握に努めており、我が国全体としては不足が生じないとの見込みである。

Q.任意接種する人数について、予測は立てているか。ワクチンは足りるのか。
A.任意接種する人数を予測することは困難だが、不足が生じない見込みである。

Q.第1期接種を優先する必要があるが、医療機関に判断させるのか、国のルールを設けるのか。
A.定期接種は確実に接種することが重要。現時点においては、ワクチンの不足が生じない見込みである。

Q.MRワクチンの増産は不可欠だが、メーカーに対して増産を求めるのか。
A.我が国全体としては、MRワクチンに不足が生じない見込みであるが、適切な対応をとるように努めたい。

国は、「不足が生じない見込み」の一点張り。危機管理の態度としては、最低です。

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千早赤阪村
- 2016/09/29(Thu) -
「千早赤阪村(ちはやあかさかむら)」がいま、一部で話題になっています。
大阪府南河内郡千早赤阪村。奈良県との県境に接し、和歌山県境にも近い。つまり、かなりの田舎です。
話題になっているのは、10月から始まるB型肝炎ワクチンの定期接種に関しての、村独自の助成制度です。

千早赤阪村のサイトの新着情報を見ると、現時点でのトップ記事のタイトルは、
「B型肝炎ワクチン定期接種化に併せて小学6年生まで任意予防接種費用の助成を拡大(全国初)」

「全国初」と書くところが、とても自慢気です。いやしかし、とても画期的なことです。その要点は、

(1)もともと村独自で、2歳までの子どものB型肝炎ワクチンの接種費用を助成していた(これも画期的)
(2)WHOはすべての子どもへの接種を勧告しているのに、日本の定期接種は対象が0歳児に限定されている
(3)そこで、10月からの1年間、小学6年生までの全員にキャッチアップ接種を行う
(4)このような費用助成を行うのは、全国初である

例の「キャッチアップ接種」です。これを小学6年生までに拡大しようという、きわめて太っ腹な制度です。

平成22年の統計では、村の人口6,015人、うち15歳未満は609人。
現在は推計人口が5,281人に減っているので、小学6年生以下は400人余りと推測できます。

助成額は1人1万5千円なので、約600万円を村が負担するという計算です。
人口規模に比例させて考えると、熊本市だと8億円以上に相当する助成です。けっこうな額ですね。
その心意気を応援しようと、今日は千早赤阪村にふるさと納税をしました。お礼の品は「熊野牛」です。

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膾を吹くワクチン行政
- 2016/09/27(Tue) -
子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)は、3年前から積極的勧奨接種が止まったままです。
「複合性局所疼痛症候群(CRPS)」がこのワクチンの副反応であると、疑う人は今も疑い続けています。
医学的には、接種を再開すべきことは自明なのですが、国はまだ動かず、国際機関からは批判を浴びています。

ヒブと小児用肺炎球菌ワクチンは、2011年に定期接種が始まった直後に、接種が1カ月ほど中断されました。
これはおそらく、ワクチンとは無関係の「乳幼児突然死症候群(SIDS)」を、副反応と見誤ったためでした。
あまりにも理不尽な濡れ衣であることに国も気づき、接種中断期間は1カ月だけで済みました。

日本脳炎ワクチンもかつて、積極的勧奨接種が中断しました。2005年から2010年までの約5年間です。
ADEM(急性散在性脳脊髄炎)」という副反応がその原因でしたが、実は詳細がよくわかっていません。
ADEMの危険の少ない新ワクチンが開発され、いまでは対象年齢をぐっと広げた特例接種も行われています。

おたふくかぜワクチンを混合したMMRワクチンの定期接種は、髄膜炎が頻発し、1993年に中止されました。
現在は、より副反応の少ないおたふくかぜワクチンが、任意接種で使われています。
しかし国は、髄膜炎によほど懲りたのか、なかなか定期接種を再開せず、子どもを難聴の危険に晒しています。

戦後、予防接種法が制定された1948年、開始したばかりのジフテリアの予防接種で、大惨事が起きました。
「無毒化」ができていなかったワクチンによって、84人の幼児がバタバタと、悲惨な死に方をした事件です。
製造ミスと手抜き検査と、役所の連絡の不備と危機感の欠除が重なった、人類史上最悪のワクチン事故です。

真相は隠蔽され、国はメーカーに責任を押しつけ、遺族は補償金で抑え込まれ、強引に幕引きが図られました。
民事訴訟は起きず、刑事罰はメーカーの責任者にのみ課され、厚生省(当時)は責任を逃れました。

この重大なワクチン事故によって、厚労省には、副反応を極度に怖れる体質が染みついたのかもしれません。

とは言え、ジフテリア予防接種禍は不良品による薬害であり、HPVワクチンの問題とはまったく異なります。
なのに世界中で接種が行われているHPVワクチンに対して、厚労省はいまだに安全宣言が出せないのです。

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キャッチアップ接種
- 2016/09/24(Sat) -
来月から始まる、B型肝炎ワクチンの定期接種。その対象年齢の「狭さ」が杓子定規でいただけません。
今年4月以降に生まれた0歳児だけを対象とするなど、まったく了見の狭い話。
保育園などで集団感染することがわかっているので、できるだけ幅広い子どもたちに接種すべきです。

たとえば最初の1年間ぐらいは、1歳から6歳ぐらいまでの子どもたち全員に接種してしまえばいいのに。

このように、本来の定期接種対象外の方を救済するための接種を、「キャッチアップ接種」と言います。
とくに新しい定期接種の導入初期には、幅広い年齢層に、一気にキャッチアップ接種を行うべきです。
その後は、決められた年齢の対象者にだけ、毎年粛々と接種を続けていけばいいじゃないですか。

水痘ワクチンが2年前から始まったときには、形ばかりのキャッチアップ接種が行われました。
しかし、最初の半年だけ定期接種の対象年齢を2年ほど拡大するという、ケチな特例措置でした。
こんなもの、もっと幅広く子ども全員に無料で接種したら、日本からあっという間に水痘が駆逐できるのに。

成人用の肺炎球菌ワクチンだって、65歳以上の高齢者に1回ずつ接種機会を設けるという制度が、ケチ臭い。
おまけに対象年齢に誤解を招きやすいので、その唯一の接種機会を逃した高齢者が大勢います。どうするの。

麻疹も問題です。以前キャッチアップとして行われたMRワクチン第3,4期の接種率は、90%を切っています。
定期接種を打ち損ねた子どもたち全員に、この機会に一気に接種してしまいましょうよ。もちろん無料で。

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10月から2ワクチン開始
- 2016/09/23(Fri) -
インフルエンザの予防接種のネット予約受付を、一昨日から始めています。もうそんな季節になりました。
今日はかなり暑かったですが、もう北九州市など一部では、インフルエンザの患者が出始めているようです。

接種は10月1日からの予定です。ワクチンの仕入れ値が昨年と同じなので、接種料金も昨年と同額にしました。
当院開院当初は、市内有数の低料金で接種していましたが、徐々に改め、昨年からはほぼ他院並みです。
あまり安すぎると、日頃かかりつけでない方が大勢おしかけて、かかりつけの方が接種しにくくなるからです。

ワクチンの納期はまだ決まっていません。たぶん9月末までには届くはず。これは毎年ギリギリなのです。

国がワクチン型を決定したのが6月7日。流行型を予測するので、あまり早く決定できない事情もあります。
各メーカーは、それから急いで作り始めるため、どうしても発売が9月下旬になるのです。
万一、製造したワクチンが国家検定にパスしなければ、納期が大幅にずれ込んでしまいます。
以前、私が発注したワクチンの初期ロットが検定にパスせず、慌てて他社の製品を発注したことがありました。

とくに昨年は、化血研のインフルエンザワクチンの出荷が大幅に遅れ、大混乱しました。
今年も化血研の製造が遅れていますが、その分、他メーカーがカバーして増産体制なので、問題はなさそう。

10月からは、B型肝炎ワクチンの定期接種も始まるので、予防接種の希望者が混み合うかもしれません。
それにしても、国はどうして、新しい定期接種を10月から始めるのでしょう。水痘ワクチンもそうでした。
インフルエンザワクチンの接種と重なって混乱必至だと、気付かないのでしょうかね。

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4月生まれはBダッシュ
- 2016/09/20(Tue) -
B型肝炎ワクチンの定期接種が、10月1日(土)から始まります。
予診票がなかなか届かないので、本日医師会に問い合わせたところ、「いま送るところでした」との返事。

B型肝炎ワクチンは、全部で3回接種します。その接種間隔は、次のように規定されています。
(1)1回目と2回目の間隔は27日間以上(4週間後に接種可能)
(2)1回目と3回目の間隔は139日間以上(20週後に接種可能)

10月1日から接種を開始すると、3回目は2月18日から接種可能という計算になります。

定期接種の対象は、今年4月生まれ以降の、0歳のお子さんです。
誕生日の141日前までに接種を開始しなければ、3回目の定期接種ができなくなります。
たとえば4月1日生まれの場合は、11月11日に接種を開始すれば、ギリギリセーフです。

体調不良など諸事情あって、3回目の接種が遅れ、未接種のまま満1歳になってしまう方も出てくるでしょう。
この場合、3回目の接種は任意接種となり、有料です。国による救済措置はありません。
厚労省のQ&Aには、次のように明記されています(一部字句改変)。

Q「1歳までに3回目の接種が完了しなかった場合、保護者等に対して3回目の任意接種を勧めるべきか」
A「保護者には十分なスケジュール管理をしていただき、1歳に至る前に3回接種を完了することが重要です」

かみ合ってませんね。つまりこうです。
Q「1歳までに3回終わらなかったらどうする?」→A「1歳までに3回終わることが重要です」

国は、臨機応変なことはしてくれません。定期接種対象者は、10月に入ったら早めに接種を開始しましょう。

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有機水銀入りワクチン
- 2016/09/18(Sun) -
誤解を招くようなタイトルですが、誤解の無いようにお願いします。ワクチンは安全ですよ、という話です。

薬瓶(バイアル)入りのワクチンは、ゴム栓を注射針で貫いて、中身の薬液を吸い出して使用します。
2人分以上の含有量があるバイアルでは、1度針を刺した後、時間をおいてもう一度針を刺して薬を吸います。
針を刺す際にゴム栓を消毒しますが、それでも、針を刺すことで、内部が細菌に汚染される危険があります。

この汚染が原因で、多くの犠牲者が出た事件が起き、ワクチンには保存剤が入れられるようになりました。
いま、インフルエンザワクチンの多くが、保存剤入りです。保存剤にはおもに「チメロサール」が使われます。

チメロサールは、殺菌作用のある水銀化合物です。体内に入ると代謝されて「エチル水銀」に変わります。
「エチル水銀」は、水俣病の原因である悪名高き「メチル水銀」とよく似た名前の、有機水銀です。
このことなどから誤解され、チメロサールはかなり、毛嫌いされてきました。今もです。

そのことを考慮して、チメロサールフリー(含有なし)のインフルエンザワクチンも製造されてきました。
胎児への影響を心配する妊婦さんなどから、問い合わせの多いワクチンでした。

しかし今年は、全メーカーですべてのインフルエンザワクチンが、チメロサール含有になりました。
化血研が、震災の影響でワクチン原液の製造開始が遅れ、製造量が大幅減産となったためです。
他のメーカーが化血研の分を補って増産すべく、手間のかかるチメロサールフリーの製造を中止したのです。

私はしかし、これで混乱が鎮まると思っています。チメロサール騒動は、誤解から生じたものだからです。
その理由を挙げると、
(1)チメロサールの代謝物であるエチル水銀と水俣病のメチル水銀は、毒性がまったく異なる
(2)仮に毒性が同等としても、チメロサールのワクチンへの含有量はきわめて少ない

まず(1)は、純粋に医学的・生物学的な事実です。
例えるなら、メチルアルコールとエチルアルコールの違いのようなもの。前者は毒物であり、後者は飲物です。

次に(2)にも、たとえ話があります。それは、マグロの刺身との比較です。
1回のワクチン接種で、体内に入るエチル水銀の量は、約1μg前後と計算されます。
一方で、たとえばクロマグロの刺身ひと切れには、毒性の強いメチル水銀が約8μg含まれているそうです。
つまり自然界とくに水産物にはあちこちに有機水銀があり、人間はそれを食物の中から摂取しているわけです。

それなのに、科学的にはあまり意味の無いチメロサールフリーワクチンが製造されてきた理由は、ただひとつ。
科学的説明だけでは納得できない人に、安心してワクチンを接種してもらうための、ある種の方便なのです。

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子宮頸がんワクチン復活?
- 2016/09/15(Thu) -
読売新聞の「ヨミドクター」で、子宮頸がん予防(HPV)ワクチン関連記事が特集されていると聞きました。
見てみると、最近の記事は、論調がずいぶん勧奨接種再開へ向かっている印象があります。時間順に書くと、

「ブッシュ前大統領、子宮頸がんワクチンの重要性訴える…都内で講演」(5月19日)
 厚労省を動かす外圧になるとも思えませんが、メディアも冷静さを取り戻しつつあるような記事です。

「子宮頸がんワクチン、厚労省の副作用研究に「疑い」…信州大が調査へ」(6月28日)
 ワクチンの副作用研究の代表者に捏造疑惑。ワクチン反対派には、かなり痛いニュースのはず。

「子宮頸がんワクチン、体の痛みとの因果関係判断を撤回「分析は困難」」(6月28日)
 名古屋市が、接種と副作用の因果関係は不明、といったん発表した調査結果を、なぜか撤回。うやむやへ。

「子宮頸がんワクチン被害64人が提訴へ…今月27日、国と2社に賠償請求」(7月13日)
 副作用研究に捏造があろうと、もはや関係なしか。

「2000~03年生女子で子宮頸がんリスク上昇か」(7月26日)
 このままでは日本の女性は大変なことになる、という阪大の分析結果。こういう記事が、いちばん大事。

「子宮頸がんワクチン、勧奨再開を求める…世界の研究者341人が厚労省に」(8月30日)
 日本のワクチン行政は、少なくとも諸外国から見れば、非常識で非科学的だと。

「ワクチンで防げる悲劇を見過ごしていいの?」(8月31日)
 過去にも他のワクチンが、副作用という濡れ衣を着せられてきた歴史を紹介する、長崎大教授のご意見。

「HPVワクチンを打った後、長引く心身の不調を訴える患者さんの診療」(9月2日)
 ワクチン接種とは関係なく、若い女性には、ストレスが原因でさまざまな体の変調が起きやすい、という話。

科学的評価がまとまり、メディアが論調を変え始めたのなら、動くのは今でしょう、厚労省の方。

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MRワクチン品薄
- 2016/09/14(Wed) -
毎日のように、成人の方が麻疹/風疹混合(MR)ワクチン接種のために来院されます。

まったく同じ書き出しのブログを、3年前にも書きました。当時は、風疹の大流行が社会問題でした。
今回は、昨年「排除」されたはずの麻疹。千葉や関空についで、尼崎市の保育園でも集団感染騒ぎです。

それらの国内発生が、すべて同一の感染源によるものか、複数ルートなのか、まだはっきりしていません。
驚いたことには、関空従業員の発症者33名のうち13名は、MRワクチンを2回以上接種していた人でした。
つまり、たとえワクチンを2回接種しても、十分な免疫を獲得・維持できているとは限らないということです。

その報道をうけて当院で緊急検査をしたところ、職員のうち3名は、麻疹ウイルス抗体価が基準値以下でした。

医療従事者に限らず、免疫の無い成人は、なるべく早めにワクチンを接種すべきです。
メディアもそのように報じるので、この1,2週間ほどは、成人のMRワクチン接種希望者が増えています。

もちろん、接種を最優先すべきなのは、第1期定期接種対象の1歳児であることは、言うまでもありません。
ところが、成人の接種者が増えたこともあって、MRワクチンが先週ぐらいから品薄になりました。
今週はもう、ほとんど入荷の見込みが立たなくなりました。薬品卸の流通はほぼ、止まっているようです。

3年前の風疹騒ぎのときよりも、ずっと深刻です。緊急事態です。当院の在庫も、そう多くありません。
もはや、成人へのワクチン接種は制限しなければなりません。小児優先モードに全面シフトです。
1歳でMRワクチン未接種のお子さんは、できるだけ早く、接種を受けてください。

来月からは、B型肝炎ワクチンの定期接種と、インフルエンザワクチンの接種も始まります。
医療機関は、だいぶ混乱しそうです。麻疹の発生が、これ以上拡大しないことを祈るしかありません。

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0歳からのMRワクチン
- 2016/09/07(Wed) -
麻疹ワクチンを接種したい、という問い合わせが、急に増えています。
千葉や関西空港などで、麻疹の集団発生が起きているからです。大慌てで、予防しておこうというわけです。

接種希望者の多くは成人ですが、今日は0歳児の問い合わせも2件ありました。

麻疹/風疹混合(MR)ワクチンの、第1期定期接種の対象は、1歳児です。
しかし、麻疹ワクチンや風疹ワクチンを0歳で接種することは、医学的にも制度的にも可能です。
0歳児は、定期接種の対象ではないだけで、任意接種(有料接種)はできるのです。

当院では、0歳でも希望者には、MRワクチンの接種を行う方針です。これはいまだけの、緊急措置です。
少なくとも、麻疹の流行が九州とくに熊本に及んできたら、0歳児にはなるべく接種してもらうつもりです。

ただし、0歳6カ月未満の赤ちゃんは、お母さんからの移行免疫の影響が残っているので、まだ大丈夫。
あるいは逆に言えば、移行抗体のある時期に生ワクチンを接種しても、効果は不十分なのです。

その移行免疫の影響が消える6カ月以降だと、感染のリスクが増えるので、麻疹には無防備になります。
したがって、定期接種対象年齢になる前の、生後6〜12カ月の赤ちゃんにこそ、ワクチン接種が必要なのです。

水痘おたふく風邪は、予防するよりも罹った方が良い免疫が付くんじゃないかと、考える方もいるようです。
しかし少なくとも麻疹は、どう考えても罹らない方がよい疾患です。可能な限り予防しましょう。

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麻疹感染拡大中
- 2016/09/05(Mon) -
千葉県で勃発した麻疹(はしか)騒動ですが、その発端者の感染元は関西空港と考えられています。
そしてその関西空港での集団感染が、毎日のように拡大しています。
8月31日には16人、その翌日10人、その翌日には5人の感染者が確認されました。すべて空港従業員でした。
ところが昨日、新たに確認された感染者4人のうち3名は、空港従業員ではありませんでした。

1人は空港近隣に来ていた買い物客。残る2人は、患者を搬送した救急隊員と、その患者を診察した医師。
このような医療関係者が、どうして麻疹にかかるのか。それこそが大問題です。

麻疹患者の診療をしようという医者ですから、免疫はあるつもりだったのでしょう。ところがそれが無かった。
おそらく、予防接種をしたのに十分な免疫が獲得できていなかったのでしょう。
ワクチンを接種しても免疫がつかないことが、麻疹ワクチンの場合には5%ぐらいあります。
この確率は、ワクチンの中では低い方です。しかし過信してはなりません。

さらに、いったんきちんと免疫がついたとしても、それが長持ちしにくい時代になりました。
国内での麻疹発生が激減して、人々の免疫をちょいちょい活性化してくれる「刺激」が無くなったからです。
日本人は、海外からたまに持ち込まれる麻疹に対しては、めっぽう弱い体になりつつあるのです。

現行の定期接種制度が完備される前の世代は、とくに弱いので、この機会にワクチンを接種しておきましょう。

接種の前に、麻疹ウイルス抗体価(免疫)の検査を行ってもよいでしょう。
その際、風疹抗体価も同時に調べるのがミソです。条件が揃えば、検査やワクチン接種に助成が出るからです。
もちろん接種するのは、風疹単独ワクチンではなく、麻疹/風疹混合(MR)ワクチンです。そこが重要。

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ワクチン足りるのか
- 2016/08/31(Wed) -
10月から始まる「B型肝炎ワクチン」の定期接種の対象は、1歳未満の赤ちゃん。推奨月齢は2カ月からです。
ただし、今年の4月以降に生まれたお子さんだけが対象、という規定になっています。
たとえば3月生まれの方は、10月にはまだ0歳でも、定期接種の対象ではありません。

一方で4月生まれのお子さんは、10月まで待てば接種が無料になるので、10月まで待つ方が多いです。
本来は生後2カ月で接種を開始すべきなのに、6カ月頃まで待つことになります。これが「接種控え」です。
感染症予防の観点からは問題ですが、新しい定期接種が始まるときにはいつも、接種控えが起きてしまいます。

同様に、5月から7月生まれの方の場合も、10月になるのを待つケースがほとんどです。
8月生まれのお子さんだけは、生後2カ月の時には定期接種が始まっているので、適切な時期に接種できます。

となると10月には、4月生まれから8月生まれのお子さんが、一斉に接種を開始することになります。
11月には、2回目の接種を行うことになりますが、この月には9月生まれのお子さんも接種に加わってきます。

このように10月・11月には接種が集中するというのに、ワクチンの供給は、はたして間に合うのでしょうか。
というのも、B型肝炎ワクチンの国内シェアはこれまで、化血研8割、MSD2割の体制だったからです。

化血研は不祥事を起こし、110日間という長い長い業務停止処分を課せられました。
B型肝炎ワクチンの場合、すでに製造済のワクチンのみが、細々と流通する状態になりました。今もそうです。
しかも、その業務停止期間が終わる直前に熊本地震が起き、化血研の工場が大きな被害に遭いました。
なかでも、B型肝炎ワクチンの製造プラントの損壊が大きく、再稼働の見通しは現在も立っていないとのこと。

化血研のワクチンは、不祥事発覚前に製造されていた在庫分の残りだけで、やりくりしなければなりません。
一方で、MSDのワクチンは輸入品。大あわてで輸入量を増やし、なんとか定期接種に間に合わせる方向です。

そのようなドタバタの中で、1カ月後には定期接種が始まろうとしています。ワクチンは足りるのでしょうか。

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副反応と副作用
- 2016/08/06(Sat) -
「副反応と副作用」というタイトルで、読売テレビの道浦俊彦氏がブログを書いていました。
子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)に関するニュースの中では、「副反応」を使ったそうです。

「副反応」と「副作用」って、いったいどう違うんだ、というのが、そのブログの主旨です。
最終的に道浦氏は、『三省堂国語辞典(通称『三国』)』の解釈を紹介していました。

「副反応」:薬やワクチンを使ったときに起こる、正常でない反応。
「副作用」:薬やワクチンを使ったときに起こる、目的に合わない悪い作用。

う〜ん、惜しい。もう少し踏み込んで欲しかった、三国。私なら、こうです。

「副反応」:薬やワクチンを使ったときに、目的の反応に付随して起こり得る生体反応。

たとえば不活化ワクチンには、しばしば「抗原」のほかに「アジュバント」という成分が混入されています。
アジュバントとは、ワクチンの作用を高めるためにわざと炎症を起こす「刺激物」のようなものです。
だから接種部の皮膚が赤くなったり、腫れたり、熱が出たりするのは、ある意味「もくろみ通り」なのです。

一方で生ワクチンは、ウイルスを弱毒化したものなので、その疾患に罹患した場合と同様の症状が出ます。
それがおたふくかぜワクチンなら耳下腺が腫れ、麻しんワクチンなら発疹が出たりすることもあります。
ウイルス感染と同様の生体反応を引き起こすのが、生ワクチンの目的なので、これも「想定通り」です。

ワクチンで「副反応」という言葉を使うのは、それが必ずしも目的に合わない作用ではないからなのです。

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生ワクチンの接種間隔
- 2016/07/16(Sat) -
生ワクチンを接種したら、比較的強い免疫が付きますが、1回の接種で絶対確実とは限りません。
また、一度は免疫が付いたとしても、それが長持ちするかどうかも、わかりません。

確実に強い免疫を付けるためには、多くの生ワクチンで、2回目の接種(追加接種)が必要です。
早い効果を期待するなら早めに追加接種した方が良く、免疫を長持ちさせるためなら数年後の接種が有効です。

MRワクチンは、1回目の接種(1歳児)で、比較的強く免疫が付きます。
2回目をすぐに接種する必要はなく、長持ちさせるための第2期接種は、年長児つまり1回目の4,5年後です。

水痘ワクチンは、1回目の接種では免疫獲得が弱いとされています。
一年中流行しているので、2回目の接種はなるべく早く行う必要があります。
定期接種では3カ月以上の間隔をあける規定があるので、当院では、3カ月間隔での接種を推奨しています。

おたふくかぜワクチンも、1回目の接種では、それほど強い免疫が付かないことが多いようです。
水痘ほどの流行や感染力はないので、2回目は免疫を長持ちさせるために、1回目の数年後に行います。
当院では、3年間隔を推奨していますが、将来定期接種になれば、MRワクチンと同じ間隔になるはずです。

と、考えてきたのですが、事情が変わりました。いま日本中で、おたふくかぜが流行中だからです。

2回目の接種を待っている間に、感染するかもしれません。2回目は、なるべく早めがよいでしょう。
長期間の免疫持続には疑問が残りますが、現状では、最短期間の4週間間隔での接種がいちばんお勧めです。

一方で水痘は、定期予防接種が始まって、発生が激減しています。ワクチンの効果は、絶大ですね。
こうなると3カ月間隔の接種ではなく、長持ちさせるために1年以上あけた方が、いいのかもしれません。

当院でお勧めする、ワクチンの接種間隔が変わりますが、このような事情ですので、ご了承ください。

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