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骨太の少子化対策
- 2014/05/31(Sat) -
「骨太の方針」という言葉が使われるようになったのは、いつからでしょうね。
基本骨格を整えるかわりに、肉や皮膚は多少犠牲にしますよ、というニュアンスを感じます。

昨日示された、骨太の方針原案のなかで、少子化対策として挙げられたのは2つ。
(1)50年後も1億人の人口を保持
(2)第3子以降の出産・育児・教育を重点支援

人口目標はともかくとして、要となるのは出産・育児対策でしょう。で、それが「第3子」支援ですか。
そりゃこども3人以上となると、まず育児が大変だし、あとでジワジワと教育費の問題が起きてきます。

しかし、少子化対策の重点を第3子対策に絞り込むような考え方には、賛同できません。
政府はもう、未婚化対策はあきらめて、既婚者の子だくさんに期待しようというのでしょうか。
たとえそうでも、まず第1子と第2子が生まれなければ、第3子も生まれません。

素直に考えるなら、第1子にこそ、重点的な支援を行うべきでしょう。
2人3人と増やすかどうかは、親の考え方や職場環境・経済状況など、多くの個人的要因が影響します。
しかし少なくとも第1子は、どのような個人環境であっても、産みやすく育てやすくあるべきです。

出産・育児・小児医療・義務教育にかかる個人負担をすべてゼロにする、なんて骨太な方針は出ませんかね。

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精神疾患の病名
- 2014/05/30(Fri) -
日本精神神経学会が、精神疾患の病名に関する新しい指針を発表しました。
アメリカ精神医学会が作成した診断マニュアル(DSM)の、最新版(DSM-5)を翻訳したものです。

その翻訳における基本方針は、差別感・不快感を減らし、わかりやすい表現にすることだったそうです。

不可逆的状態と誤解させる「障害」という表現は、単なる症候を表す「症」に置き換えたりしています。
しかしそのおかげで、ヘンテコリンなことが起きています。たとえば、

(1)「言語障害」→「言語症」 意味不明、ていうかむしろ逆に感じます。「認知症」と同じ過ちです。
(2)「学習障害」→「学習症」 極度のガリ勉ですか? やっぱりおかしいでしょう。
(3)「パニック障害」→「パニック症」 これは許容範囲。むしろ改善。元がおかしかった。

元々のDSM-5で使われている「Disorder」という言葉は、普通に訳せば「障害」とか「不調」です。
それをなぜ「症」にしてしまったのか。「意味が反対になるよ」という意見は出なかったのでしょうか。
「認知症」という悪しき前例を踏襲したのか。「障害」がダメならせめて「機能障害」にしてほしかった。

(4)「アルコール依存症」→「アルコール使用障害」 これもまた、意味不明な日本語になっています。

毎日長時間パソコンをさわっている私などは、さしずめ「パソコン使用障害」となるのでしょうか。
しかし私としては、人並みにパソコンを使いこなせてると思っているので、「使用障害」は不本意です。
それに「障害」は使わないのでは? それこそ「パソコン使用症」のほうが、まだマシ。

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セット割引
- 2014/05/29(Thu) -
そろそろ蚊の季節。当院でも表玄関と裏口付近に、虫除けを設置しています。
昨年、勝手口用に「虫コナーズ」を購入したのですが、玄関用にはより強力な虫除けを買いました。

「どこでもベープ未来150日間」というフマキラー社の製品です。「未来」の意味は、わかりません。
電池で作動するファンが内蔵されていて、薬剤カートリッジから有効成分を拡散する仕組みです。

新シーズン用に、取替え用の薬剤カートリッジを買おうと、Amazonで検索してみたところ、
「どこでもベープ未来150日取替え用1個入」税込価格998円(参考価格1,207円)。
「どこでもベープ未来150日セット」    税込価格973円(参考価格1,512円)。
なんと、カートリッジ単体よりもセット価格の方が安い。売れ筋商品の値引率を大きくしたためでしょうか。

当然私は、安い方のセットを買いましたが、明らかに省資源の精神には反します。
このやりかただと、使いみちのない本体(薬剤拡散装置)がどんどん溜まってしまいます。

それで思い出したのが、某大学に勤務していた頃の、学食での話。
日替わり定食の味噌汁の味が嫌いだったので、いつも食堂のおばちゃんに味噌汁を断っていたのです。
この場合の料金は、ご飯とおかずと漬け物の単品価格の合計になります。そしてそれが定食代より10円高い。

定食代から味噌汁代を差し引くのならわかりますが、逆に10円高くなることには納得がいきません。
ある先生が言うには「10円やるから味噌汁を飲めということでしょう」と。
なるほど、バランス良く栄養を摂らせるためのインセンティブということか。
あるいは、食堂の作業の流れを妨げる行為に対してのペナルティーなのかも。

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救急車有料化
- 2014/05/28(Wed) -
「救急車有料化」は、ときどき話題になるテーマです。
救急指定病院のうちの46.2%が有料化に肯定的で、否定的に考えているのは29.2%だったそうです。
また別の調査では、88%の医師が有料化が良いと答えています。

そもそも、救急車を利用することのメリットは何でしょう。
(1)病院到着までの所要時間が短いので、早期に治療が開始できる
(2)救急救命士による初期治療も期待できる
(3)治療が優先的に受けられる
(4)交通費が不要

本来の目的は(1)でしょうから、迅速な治療が必要な病状の場合、救急搬送は必須です。
迅速な治療が必要かどうか、その判断に迷うようなら、ためらわず救急車を呼ぶべきでしょう。

蘇生を要する状態の場合、救急救命士が駆けつけてくれることは大きなメリットです。救命率は上がります。
意識の無い患者を見たら、心臓マッサージと救急要請が最初にすべきことです。

多くの救急病院では、救急車で来院したかどうかによって、初期対応が大きく異なります。
しかしこのことを「悪用」して、外来診察の順番を早めるために救急車を利用するのは、言語道断です。

それと同様に、タクシー代わりに救急車を利用するなら、タクシー代を払えということになるでしょう。
経済的理由があったとしても、それは別の制度によって救済されるべきで、救急車を使うのは間違いです。

軽い病状による救急搬送件数を減らし、救急医療は重症患者に集中させるべきです。
ただ、病状が重症かどうかを正しく判断して救急要請しろ、というのも無茶な話です。
軽症なのに救急車を呼んだら有料、重症なら無料、という規則を作るのは、実際には難しいでしょう。

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楽曲の配信停止
- 2014/05/27(Tue) -
「罪を憎んで人を憎まず」という言葉があります。さらに言うなら「仮に人を憎んでも作品を憎まず」です。
「CHAGE and ASKA」の昔のヒット曲を、現在の罪によって販売停止とするのは、どうなんでしょう。

ASKAが覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕されると、ASKAが関わっている楽曲の販売が止められました。
CD販売会社は出荷を停止し、CDショップは回収(または完売)、一部の配信会社は配信を停止しました。

私はこの報道を聞いて、すぐに「iTunes」を見たところ、まだ配信を行っていました。
万一に備えて、とりあえず「SAY YES」をダウンロード購入。それが正解でした。
その直後に、ASKAの曲の配信が、ついにiTunesでも止められてしまいました。

配信停止までの2,3日の駆け込み需要によって、iTunesのJ-POP部門で「SAY YES」は1位だったそうです。
その中にはもちろん、私の購入分も含まれています。
こういうことになるなら、アルバムごと購入しておけばよかった。

ちなみに「先輩」ミュージシャン槇原敬之の場合、逮捕の約1年後には音楽活動を再開しています。
その3年後には「世界に一つだけの花」が大ヒット。きちんと罪を償えばこうなれる、という見本です。

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混合診療の禁止
- 2014/05/26(Mon) -
「混合診療」とは、保険が適用される「保険診療」と、保険適用外の「自由診療」を併用することです。
保険が利く従来の医療を3割負担で受け、それ以外の医療を自分の希望によって選択し、組み合わせる。
素直に考えれば、そんなの併用できた方がいいにきまってるでしょう、ってことになります。

私もそう思います。混合診療の禁止など、まったく理不尽で融通の利かないな規則なのです。

例えば以前にも書いた「ノロウイルス検査」。
嘔吐や下痢などの胃腸炎症状に苦しむ患者さんが、ノロを検査して欲しいと来院されることは多いです。
その検査結果で治療法が変わることはありませんが、周囲への感染拡大を考慮すれば、知りたい情報です。
しかし、この検査への保険適用は、3歳未満か、65歳以上か、癌の患者さんなどに限られています。
もしも検査するなら、自由診療つまり自費診療となります。当院での価格設定は3,000円です。

「じゃあ3,000円払いますから、検査をお願いします」となるかと言えば、そういうわけにはいきません。

ノロの検査という自由診療を受けるのであれば、その他の診療もすべて、自由診療扱いとなるからです。
たとえば初診料や処方せん料や薬代など、通常は3割負担で受けられるものが、全額自己負担となります。
これが、混合診療を禁止している現行制度の、おかしなところです。
それがイヤなら診察や会計を先に済ませ、院外に出て、再び来院してノロの検査だけ受ける必要があります。
いいえもっと厳格には、保険診療と自由診療は、別の日に受けなければならないという解釈すらあります。

こんなおかしな制度なのに、たとえば医師会などは、混合診療の全面解禁に反対しています。
混合診療自体が悪いのではありません。その解禁後に、なし崩し的に起こりうることを心配しているのです。
さて、本題はむしろここから。怒濤の後編を待て。(つづく?)

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クーデター
- 2014/05/25(Sun) -
タイで3日前にクーデターが起きました。2006年9月以来、約8年ぶりです。
これに関連して「クーデター」の語源についての記事を、このところ新聞コラム等でよく目にします。

元はフランス語です。文字化けを避けるためカタカナで分割して書くと「クー ド エタ」となります。
「クー」は一撃とか打撃、「ド」は英語の「of」、「エタ」は国家という意味だそうです。
この話を掘り下げればけっこう面白いのですが、受け売りを長々と書くのも芸がないので、やめておきます。

「一撃」を意味する「クー」は、医学用語として、頭部外傷(外傷性脳損傷)の表現にも使われています。

交通事故などで頭部に打撃を受けた場合、その部位の脳に起きた損傷を「クー損傷」といいます。
その打撃で揺さぶられた脳が、反対側の頭蓋骨に衝突して起きる損傷は「コントラクー損傷」といいます。
「コントラ」は英語の「カウンター」と同じで「反対」を意味する言葉です。
受傷部位や方向によっては、コントラクー損傷の方が致命的であることも、珍しくありません。

ところで、前回2006年のクーデターの1カ月後に、私は学会発表のためにタイに行く予定だったのです。
テレビ報道を見ると、バンコク市内を戦車が走っています。こんな国に渡航して、はたして大丈夫か。
当初はそのような心配をしていましたが、治安は比較的安定しており、市民生活もすぐに平常に戻りました。

どうやらタイでは、クーデターという形で、軍が仲介して政権交代を行うことも珍しくないようです。
最終的に、軍司令官がプミポン国王の支持を取り付けて事態が沈静化するのが、いつものパターンなのです。
おかげで私も無事、バンコクでの学会発表を行い、アユタヤではゾウの背中に乗ることもできたのでした。

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「山の日」法案
- 2014/05/24(Sat) -
再来年から、8月11日が国民の祝日「山の日」となるようです。
「国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案」が可決、成立しました。

これを含めて昨日は、参議院本会議で9つの法律案が、押しボタン式投票によって採決されました。
(1)金融商品取引法等の一部を改正する法律案・・・・・・・・・・(賛成223、反対12)
(2)保険業法等の一部を改正する法律案・・・・・・・・・・・・・(賛成223、反対12)
(3)健康・医療戦略推進法案・・・・・・・・・・・・・・・・・・(賛成209、反対27)
(4)独立行政法人日本医療研究開発機構法案・・・・・・・・・・・(賛成209、反対27)
(5)国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案・・・・・・・(賛成213、反対15)
(6)地方自治法の一部を改正する法律案・・・・・・・・・・・・・(賛成223、反対12)
(7)難病の患者に対する医療等に関する法律案・・・・・・・・・・(賛成235、反対1)
(8)児童福祉法の一部を改正する法律案・・・・・・・・・・・・・(賛成236、反対0)
(9)鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案(賛成223、反対12)

反対票数には5パターンあり、その票数によって反対議員の顔ぶれもほぼ、決まるようです。

(A)反対27票=みんな+社民+共産+山本太郎氏
(B)反対12票=共産+山本太郎氏
(C)反対1票=山本太郎氏
(D)反対0票
(E)反対15票=維新・結い(一部)+みんな(一部)

山の日法案(5)の反対議員(E)はやや例外的ですが、それ以外の法案での反対者はわかりやすいですね。

キーパーソンは山本太郎氏です。彼が賛成したのは2法案だけ。とくに(7)は彼一人が反対しています。
氏のブログによると、法案の一部に問題があるので、それを提起するために反対票を投じたとのこと。
難病指定が広がるかわりに、それぞれの患者さんの自己負担が増えることを問題視しているようです。

その山本氏も、祝日が増える山の日法案については、賛成票を投じています。
一方でアントニオ猪木氏は山の日法案に反対しています。氏のブログを見ても、その理由は不明です。

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人の命と地球
- 2014/05/23(Fri) -
福井地裁が、関西電力大飯原発3,4号機の運転差し止めを命じる判決を下しました。曰く、
「生命、身体、精神、生活に関する利益は人格権であり、これを超える価値を他に見出すことはできない」
「原子力発電所の稼働は経済活動の自由に属するものであって、憲法上は人格権よりも劣位に置かれる」

この判決を聞いて思い出すのは「人の命は地球より重い」という命題です。

数式で書くと、(1)「人の命>地球」 となります。
ここで右辺を、(2)「地球=人の命+人の命以外」 と分割することができると仮定します。
(1)と(2)より、「人の命>人の命+人の命以外」 となります。
その結果、「人の命以外」が負の値をとることになり、常識に反します。

よって背理法により、式(2)の仮定は誤りであると証明されます((1)は正しいとの前提で)。
つまり、人の命は、地球には含まれていないということです。
これによって、(3)「地球=人の命以外」 ということがわかります。
冒頭の命題を、(4)「人の命>人の命以外」 と書き換えれば、論点がはっきりしてきます。
判決文の趣旨を突き詰めると、この命題になるのかもしれません。

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不発弾
- 2014/05/22(Thu) -
宮崎市のマンション建設現場で昨日、基礎工事の掘削作業中に不発弾が発見されたとのこと。
場所を調べたら、宮崎駅の真ん前じゃないですか。怖い話です。

米国製の500キロ爆弾、信管付き、長さ135cm。ずいぶんとデカイのが出てきたものです。
処理方法や日程を、自治体と自衛隊などが検討中とのこと。近所なら見に行きたいところです。

奇しくも昨日は厚木市でも、住宅地のゴミ集積所から回収したゴミの中から、不発弾が発見されたそうです。
いまだにそんなものがあちこちから出てくるとは、驚きです。
こちらは地中から出てきたのではなく、何者かがゴミ集積所に出したという点が問題。
危険物と知った上での投棄は、犯罪行為でしょう。

発見された船子地区のゴミ収集カレンダーによると、昨日の水曜日は、缶・びん・もえないゴミの日です。
月曜日のもえるゴミの日に出さなかっただけでも、犯人には一抹の良心があったのかもしれません。
あるいはその不発弾が「もえない=爆発しない=危険物ではない」と判断して投棄したことのアピールか。

不発弾を発見したゴミ回収作業員の方は、それを「助手席にそっと置いて運んだ」とのこと。
危険を感じながらも、役目を果たそうとする、そのプロ意識とでも言いましょうか。心打たれます。

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自白と冤罪
- 2014/05/21(Wed) -
またまたこの話題で恐縮ですが、PC遠隔操作事件の片山被告が昨日、すべての犯行を認めました。
一昨日も書いたように、真犯人が別にいるように見せかけようとしたアリバイ工作が、裏目に出ました。

しかし私は、片山被告がその程度のことで自供に転じたことを、意外に思いました。
もっと言い逃れると思ってました。たとえば、こう言うことも出来たはずです。
「私は無実ですが、冤罪であることを立証する決め手がないので、今回のような偽メール工作をしました」

片山被告の諦めが早かったのは、遠隔操作事件の量刑が、それほど重くないと踏んでいるからでしょうか。

一連の事件を総括してみると、さまざまな問題が浮かび上がってきます。
(1)パソコンの遠隔操作による犯罪は、冤罪を招きやすく、したがって真犯人であることの立証も難しい。
(2)なりすまし犯罪は、踏み台にされた人間の人生を狂わせてしまうので、罪は重い。
(3)無実の人間が、警察・検察の強要によってついに自白し、その結果、冤罪が完成していく。

今回の事件の被害者は、遠隔操作の踏み台にされ、無実の罪に問われた4人です。
このうち2人の自白を、強要によって引き出した警察・検察は、実質的に片山被告と同罪でしょう。

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エルニーニョ現象
- 2014/05/20(Tue) -
今日も雨です。最近、雨の日が多いですが、梅雨入りはむしろ平年よりも遅くなると予想されています。
それというのも今年は、5年ぶりにエルニーニョ現象が発生しそうだからです。しかもかなり強いそうです。
エルニーニョが起きると、日本では梅雨入りが遅くなり、冷夏になると言われています。

「ペルー沖の海域の海水温が、平年と比べて高いことを、なんとか現象と呼んでいます」
先日たまたま見ていたNHKのおはよう日本で、気象予報士の方がこのように切り出しました。さらに続けて、
「それは何現象でしょうか? ラニーニャか、エルニーニョか、ペペロンチーノか」

ユーモアです。NHKが朝からユーモアです。まあしかし、こんなボケは民放に任せておけばよろしい。

それにしても、太平洋赤道域東部の海水温が上がると、なぜ日本が冷夏になるのか。
「風が吹けば桶屋が儲かる」式にも聞こえるそのメカニズムの、小学生向けの説明を考えてみました。

地球は自転しています。赤道の真横から地球を見たとすれば、左(西)から右(東)へと回転しています。
赤道付近は暑く、温められた空気が上昇して南北に向かい、やがて空気は冷えて降りてきます。
降りてきた空気は、ぐるっと回って赤道に戻って来ます。こんどは低いところを通るので、風となります。
この風は、まっすぐ赤道に向かっているつもりなのに、地球が自転しているものだから、西向きにずれます。
このようにして赤道付近では、いつも風が東から西に向かって吹いています。これを「貿易風」といいます。
貿易風が海面に吹き付けるので、暖かい海水は西向きに流れ、太平洋西部には海水温の高い海域ができます。
この海域から上昇した空気が北上し、日本付近に降りて太平洋高気圧となり、日本に暑い夏をもたらします。

エルニーニョで太平洋東部の海水温が高いとき、その分、太平洋西部の海水温は平年よりも低くなります。
貿易風が弱まるからこうなるのか、エルニーニョが起きるから貿易風が弱まるのか、よくわかっていません。
ともかくその結果、太平洋西部の上昇気流は弱まり、太平洋高気圧も弱まるので、日本は冷夏になると。

冷夏は電力問題的には好都合ですが、個人消費が減るのでアベノミクス的には不都合かもしれませんね。

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完全犯罪の誤算
- 2014/05/19(Mon) -
「刑事コロンボ」風のタイトルにしてみました。
例のパソコン遠隔操作事件で、先日は片山被告の冤罪の可能性を書きましたが、今日はまた新たな展開です。
前回、可能性として4つ挙げたうちの、(4)「小保方銃蔵=片山氏説」が、やや有力になってきました。

小保方メールは片山氏の自作自演であり、その証拠のケータイも発見されたと報じられました。

冤罪の可能性が残る本件では、片山氏は無実を訴え続けるだけで、無罪となる可能性は高かったはず。
なのに確実な無実の証拠を作ろうと、遠隔操作していた「真犯人」を仕立て上げたのが間違いでした。

もしもこれが真実なら、片山氏は自らの完全犯罪を補強しようとして、逆に墓穴を掘ったことになります。

こういうどんでん返しって、刑事コロンボではいちばん典型的なオチです。
検察が片山氏を泳がせ、偽メール作製を誘導したとすれば、まさしくコロンボ張りの罠と言えるでしょう。

それにしても、片山氏はどうして証拠のケータイを河川敷などに埋めたのでしょうね。
これでは証拠隠滅の手法が、あまりに陳腐で古典的。逆にウソっぽい。私としては素直には信じられません。
まさか検察の証拠捏造とは思いませんが。

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運動会開催の合図
- 2014/05/18(Sun) -
今朝6時ちょうどに「花火」の音が聞こえました。近所の学校で、運動会が開催される合図です。
寂しいことにこの早朝の花火は、安眠妨害等の理由によって、とくに都会では廃れつつあるそうです。

ところで、この花火を「爆竹」と言う人が多いので、私は少々混乱しています。爆竹じゃないでしょう?

子どもの頃、空で何かが光り、小さな煙がいくつか見えて、その少しあとで爆発音を聞いた記憶があります。
明らかに、何かが空に打ち上げられています。だから打上花火なのです。爆竹なんかじゃありません。

本日あらためて調べてみたら、これは「昼花火」の一種で、「音花火」というものだと知りました。
そのうち、一発ドンッと鳴るのが「号砲」で、連発で鳴るのを「段雷」というそうです。
一般に、n連発のものを「n段雷」というらしいので、今朝聞いたのは「五段雷」ということになります。

音花火は、モノによっては大量の火薬を使うので、その取り扱いや打ち上げには危険を伴うそうです。
その場合、打上には一定の資格が必要で、学校の先生が勝手に打ち上げるのは違法です。

しかし火薬量の少ないモノなら「玩具花火」の範疇に入るので、誰でも打ち上げられるそうです。
ある通販サイトでは1,200円の「号砲花火」が販売されていました。ある意味「合法花火」(おそまつ)。

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超音波洗浄機
- 2014/05/17(Sat) -
眼鏡店に行くと、超音波洗浄機を使ってメガネを洗ってくれます。
フレームとレンズの境目とか、鼻あて部分の汚れなどが、すっかり除去されてキレイになります。

超音波によって水中に微小な気泡が無数に発生し、それがはじけるときの衝撃波が、汚れを落とすそうです。
この洗浄機はなにも、メガネだけでなく、さまざまな用途に使うことができます。

医療用に使うなら、小さくて洗いにくいモノ、たとえば耳鏡の先っぽ(スペキュラ)を洗うときに使えそう。
そう思って、超音波洗浄機を購入したのですが、実際のところ、あまり稼働していませんでした。

あるときネットで、ビールの泡立て用の超音波振動装置の広告を見て、即買いしたことがあります。
ただし使ってみると、超音波発生パワーが弱いためか、泡立ち具合が悪い。
と、そこでひらめいたのが、超音波洗浄機です。これにビールを注いだタンブラーを入れたらどうなるか。

そこで昨日、クリニックの洗浄機をこっそり自宅に持ち帰り、試してみました。あくまでも実験です。
するとこれが、ど迫力。スイッチを入れた瞬間、多量の泡が発生し、グラスから勢いよく吹きこぼれました。

超音波で発生させた泡は、とてもきめ細かくてマイルドでクリーミーです。
そして多量の泡を吹きまくったビールはどうなったかと言えば、気が抜けてひどく間抜けな味なのでした。

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遠隔操作の真犯人
- 2014/05/16(Fri) -
パソコン遠隔操作事件で、「真犯人」として公判中の片山被告の、冤罪の可能性が出てきました。
「片山氏を遠隔操作した」と言う「小保方銃蔵」なる人物が、メールで名乗り出てきたからです。

だから前にも言ったでしょう。ネット犯罪を完全に立証することなど、もはや不可能なのです。
しかしここで、小保方銃蔵氏については、4つの可能性を考えておく必要があると思います。

(1)真犯人説:片山氏を踏み台にした二重の遠隔操作によって、完全犯罪を目論んだ、本当の真犯人。
(2)踏み台説:本当の真犯人によって遠隔操作され、今回のメール送信の踏み台にされた被害者。
(3)愉快犯説:ただの悪ふざけ。結果的に片山氏には有利に作用。片山氏を支援する意図もあるかも。
(4)片山氏説:小保方氏=片山氏。操作の攪乱を狙って、今回の小保方メールを送信。

今後、小保方銃蔵を名乗った人物が特定できたとしても、それが真犯人だかどうだか。
どれほど詳細な「証拠」が出てきても、すべてが遠隔操作され工作されたものかもしれないからです。

そう考えてみると、デジタルデータというものは今後、証拠としての価値を失うかもしれませんね。
ちなみに私の予想は愉快犯説。だって小保方銃蔵ですよ。明らかにふざけてるでしょう。

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パイオニア再建
- 2014/05/15(Thu) -
パイオニアが、AV機器事業を売却する方針だと、報じられました。経営立て直しのためです。
昔からの音響機器メーカーだけに、オーディオ好きだった私には、残念なニュースです。

70年代から80年代初頭はオーディオ全盛期。自分で機器を組み合わせる「コンポーネント」が普通でした。
メーカーごとに特徴があり、定番商品や新製品を、いろいろ調べて選定する作業がまた、楽しかった。

私の場合、アンプは山水、チューナーはトリオ、カセットデッキはナカミチにしたかったけど結局アイワ。
プレーヤーはテクニクス、オープンリールデッキはTEACとAKAIのものを購入。

そして、音質を左右する音の出口として、私がこだわったのがスピーカー。選んだのはパイオニアでした。
なぜならパイオニアは、もともとスピーカーを作る会社だったからです。

パイオニアはその後、オーディオ機器全般、LDプレーヤー、カーナビ、そしてプラズマTVと躍進します。
今では幻の「Mac互換機」をパイオニアが発売したときには、その音質の良さが特異的でした。

しかしオーディオブームは去り、LDは終了、プラズマも衰退。音楽はイヤホンで聴く時代になりました。

パイオニアは、断腸の思いでAV機器事業を売却するのでしょう。今後は車載向け機器に専念するようです。
山水もアイワもAKAIもナカミチもとっくに消え失せ、テクニクスやトリオのブランドもなくなりました。
オーディオ機器の老舗のひとつ、パイオニア。カーナビ製造に特化するとは、ちと寂しいですね。

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放射線で鼻血
- 2014/05/14(Wed) -
漫画「美味しんぼ」で描かれた、福島における鼻血の描写が、激しく批判されています。
この「鼻血漫画」の問題点は、おもに次の3つでしょうか。
(1)医学的裏付けがなく、常識的には誤りと考えられる
(2)誤りと判明したとしても、風評被害が懸念される
(3)漫画の鼻血描写自体が、福島県民の心情を傷つけた

双葉町の前町長が、自らの鼻血をFacebookで公開するなどしていますが、被曝との因果関係は不明です。
鼻血の報告例が、前町長ただ1人だけというのも解せません。客観性に乏しいと言わざるを得ません。

原作者の雁屋哲氏は、「反論は、最後の回までお待ち下さい」と言っているようです。
しかし、「明日ママ」問題でも書いたように、その時点で納得できる説明をしなければ、誤解を生みます。
お待ち下さいとは、内容を取り繕うストーリーに書き換えるための、時間稼ぎとも受け取られかねません。
いずれにしても、今回の鼻血漫画は、世間に対して意見を主張する方法としては問題があります。

しかしここは敢えて、万に一つでも、鼻血が事実かもしれないという可能性も、考えておくべきでしょう。
科学というのはそういうものです。科学的飛躍は、それまでの常識を疑うところから始まります。
そういった意味で私はまだ、STAP細胞の存在の可能性を信じているのですが、どうでしょうかね。

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健康食品の機能性表示
- 2014/05/13(Tue) -
安倍首相が「健康食品の機能性表示を解禁します」と明言しました。
しかしこれは、規制緩和による市場活性化が狙いであって、国民の健康増進のためではありません。

病気を克服した安倍首相なので、医療への理解が深いと期待してましたが、どうも違う感じ。
少なくとも、医療従事者には、思いのほか優しくない。

今晩の「クローズアップ現代」では、健康食品を製造しているニッスイを取材していました。
企業側は、有効性がはっきりしているのに「機能表示」ができないので困っている、という言い分です。

ニッスイの「海の元気EPA」は、1日分4錠当たり、EPA332mg、DHA142mgが含まれているようです。
オンラインショップの価格を調べてみると、1日分が130〜140円。

実はEPAやDHAは、医薬品としても販売されていて、私も高脂血症の方によく処方しています。
持田製薬の「エパデールS」は、1日にEPAが1800mgも摂れて、保険が効くので1日分が約71円です。
武田薬品の「ロトリガ」には、EPA930mgとDHA750mgが含まれていて、3割負担だと1日78円程度です。
いずれも、健康食品よりも有効成分含有量が多く、しかも安い。ジェネリックを選べばもっと安くなります。

このように科学的根拠がはっきりしている薬は、きちんと医薬品の処方を受けるのが得策です。
その反対に、根拠のあいまいな薬にその有効性を誤解させるような表示を認めることには、疑問を感じます。
今まで通り、「個人の感想です」というテロップとともに、イメージCMを流す程度で良いのでは。

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ガラ軽
- 2014/05/12(Mon) -
「ガラ軽」は、以前からあった言葉なんでしょうか、私はおとといの新聞紙面で初めて目にしました。

軽自動車は、日本独自の規格の自動車であり、普通車と並行して、進化し続けています。
そこで、日本の携帯電話「ガラケー」をもじって、軽自動車を「ガラ軽」と揶揄することがあるそうです。
うまいじゃないですか。誰が思いついたんでしょうね。座布団2,3枚相当です。

しかしスズキの社長は、それがお気に召さないらしく「ガラ軽とはガラッパチが言うことだ」と怒ってます。
ちょっと意味不明ですが、鈴木社長、そう悪い呼び名でもないと私は思います。

ガラパゴスというのは、隔絶された環境の下で独自の進化を遂げ、世界から孤立したことを例えた言葉です。
必ずしも悪い意味ではなく、問題はこれが、世界に放出されたとき通用するか、ということです。

ケータイは、独特の通信規格や販売様式などによって、外国企業の参入を阻んできました。
その間に、盛りだくさんの機能がどんどん進化しましたが、少なくとも日本でしか通用しないものでした。

ところが日本の軽自動車は小回りが利いて性能が良く、インドや東南アジアで販売を拡大しているそうです。

軽自動車は排気量660cc以下と規定されていますが、少し前までは550cc、その前は360ccでした。
私が生まれた頃、自宅の車は「マツダ R360クーペ」、その次が「マツダ キャロル」でした。
キャロルは、スバル360と双璧をなす、昭和30年代半ばの日本ではメジャーな車種だったと思います。

その小っちゃなミニカーみたいな車に家族4人で乗って、あちこちに出かけていたことを思い出します。
大人になり、そこそこの車に乗るようになりましたが、幼い日のキャロルの記憶は忘れられません。

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パイロット不足
- 2014/05/11(Sun) -
ピーチ・アビエーションの大量欠航で明るみに出てきた、パイロット不足問題。
日経記事によると、ANAは今春から、パイロットの飛行時間を月55時間から60時間に増やしたとのこと。
パイロットが足りなければ、一人一人をもっと働かせようと、そういう発想です。

こういった話を聞くと、いつもパイロットと医者(とくに外科医)を比較してしまいます。
どちらも、人の命を直接あずかる仕事であり、その専門性には似た側面があるからです。

しかし、そのパイロットの飛行時間が、月に55時間とか60時間というレベルだとは、まったく驚きました。
なぜなら外科医の手術時間は、月に100時間から多いときは150時間以上なんてのも当たり前だからです。

医師がパイロットと違うのは、自分の体力の続く限り、求められた診療を行うことができるということです。
しかしそのような過酷な条件で長時間労働しているのに、その結果責任だけを責め立てられてしまいます。

不足しているのは医師の総数ではなく、外科や救急や小児科や産婦人科など、忙しい診療科の勤務医です。
ドラマでは華やかに描かれるこれらの勤務医が、現実ではどれだけヘトヘトになって働いていることか。

アホらしいので、外科医はもう月に60時間しか手術しませんよ、なんてことになったらどうしますか。
パイロットの疲弊に理解があるのなら、勤務医の問題も、メディアはもっと真面目にとりあげるべきです。

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メールの自動転送
- 2014/05/10(Sat) -
失敗談を書かなければなりません。メールの転送に関する、恥ずかしい話です。

ある臨床系のメーリングリスト(ML)でのこと。
一応説明しますと、ML宛にメールすると、全メンバーに一斉送信される仕組みになっています。
特定のメール宛に返信してもまた、全メンバーに一斉送信されるので、全員が読むことができます。

届いたメールをあとで必要に応じて参照できるように、私はEvernoteに保存するようにしていました。
設定は簡単。メールソフトで、MLのメールをEvernoteに自動的に転送するようにしておけばいいのです。

ところがEvernoteには、1日の間に受信できるメール数に上限があります。プレミアム会員だと250通です。
通常、1日に250通を超えることはありません。
しかし何らかの設定ミスによって、メールの「再転送」が起きると、この上限を超える可能性があります。

おそらくそうなのです。私がうっかり、メールを再転送してしまい、上限を超えてしまったのでしょう。
そこで何が起きたか。
メール数が上限を超えて転送できない場合、エラーメッセージが返信されます。
これが私宛に返信されるのならよかったのですが、おおもとのML宛に送信されてしまったのです。

ML宛のメールというのはつまり、全メンバー宛のメールということです。
このようにして、私のミスによるエラメッセージが、全メンバー宛に、一斉送信されてしまったわけです。
しかも、何度も何度も一斉送信されたようです。他のメンバーにとっては、迷惑メールそのものです。
皆様、たいへんご迷惑をおかけしました。
なんでも自動化していると、こういう落とし穴があるということですね。

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フェルミ推定
- 2014/05/09(Fri) -
Googleは、その社員採用試験で「フェルミ推定」と呼ばれる種類の設問を、これまでに出題してきました。
突拍子もないモノの数量を、知識と理屈によって推論するものです。よく知られている過去問を挙げると、
(1)シカゴにピアノの調律師は何人いるか?
(2)1台のスクールバスにゴルフボールは何個入るか?

この手の問題、私は嫌いじゃありません。むしろ好き。
調律師の場合、シカゴの人口からピアノの数を推定し、調律頻度などを仮定していき、算出します。
ゴルフボールなら、バスの容積を概算し、ボールの詰め込み方を考慮しながら、割り出します。
いずれも、仮定に仮定を積み重ね、極めて誤差の大きい結論に到達しますが、それはかまわないのです。

適切な知識で妥当な推論がなされているかどうかが重要であり、試験官はその思考過程を評価するわけです。
驚くのは、この試験が口頭試問(面接)ってことです。このややこしい問題に、即答しなければなりません。

ところが最近Googleは、フェルミ推定のような設問は人材選別には効果がなかった、と発表しました。
そりゃそうでしょう。何をいまさら、って感じです。
採用試験での奇問は、Googleという会社のユニークさをアピールするのが目的ではなかったのですか?

いまのGoogleが採用基準として最優先するのは「学習能力」だそうです。なかでもとくに重要な資質は、
「新しいモノを見つけ、すぐに習得し、バラバラの情報から共通点を見出し、発展させる能力」だとのこと。
「情報を迅速に統合して応用する力」と言うこともできるでしょうか。
この能力を問う試験としては、フェルミ推定の設問も、あながち見当違いではないかもしれませんが。

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ハッシュ関数
- 2014/05/08(Thu) -
「ハヤシライス」という食べ物を、私はあまり好きではありません。
味が単調だし、明らかにカレーライスの二番煎じであるところがイヤなのかもしれません。
カレーのCMで南利明が「ハヤシもあるでよ〜」と言っていたように、あくまでも二番手なのです。

「ハヤシ」の語源には、人名説など諸説ありますが、「ハッシュドビーフ」由来との説が有力です。

ならば「ハッシュド」とはなんぞや。「hash」という動詞の意味を、手持ちの英和辞典で調べてみると、
(1)(肉などを)細かに切る、(2)ごた混ぜにする、(3)徹底的に討議(吟味)する

ここからが本題です。最近「ハッシュ関数」という言葉をよく耳にしますね(耳にしませんか)。
あるデータから、一定の演算によって、固定長の数値(ハッシュ値)を生成することです。
元データを細かく切って、ごた混ぜにして、徹底的に吟味して算出した数値ということなのでしょうか。
データの改ざんの有無を見つけ出すのに有効な手法であり、セキュリティーの要です。

厚労省が、レセプト情報と特定健診情報を統合する際に、データの匿名化に使ったのもハッシュ関数でした。
保険者番号や氏名、生年月日等の情報から計算したハッシュ値によって、両者を「名寄せ」する算段でした。
ところが元データに全角と半角が混在していたため、ハッシュ値も異なり、名寄せ不可能となりました。

たしかにレセプト上では、保険者の記号番号には全角の数字が使われています。いまどき全角の数字です。
何億もかけて構築したシステムが、こんな時代遅れのしきたりによって、あっさり役立たず。
いつも思うことですが、レセプトに限らず、お役所は全角数字に固執しすぎです。

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心臓出血
- 2014/05/07(Wed) -
穏やかではないタイトルで失礼します。
いま問題になっている「ハートブリード(Heartbleed)」を直訳したまでです。

ネットでよく使われている暗号化の仕組み「OpenSSL」で発見された、重大な脆弱性のことを指します。
「https://」で始まるURLのサイトは、SSLが使われており、そのうち6割以上がOpenSSLだそうです。
日本のサイト(JPドメイン)のうちの半数近くが、その影響を受けるといわれ、一大事になっています。

私が使っている三菱UFJニコスカードの情報も、一部漏洩したと報じられました。身近なゆゆしき問題です。
暗号化の仕組みに問題があったのでは、もう何を信じて良いのやらわかりません。

今回バグが見つかったのは、OpenSSLの「ハートビート(heartbeat)」という機能だそうです。
自分(=ネットワーク機器)が生きている(=稼働している)ことを、定時連絡する信号の仕組みです。
これを心臓の鼓動にたとえて、heartbeatと名付けたのです。まあ、そこまではヨシとしましょう。

しかし、心鼓動(心拍動)の不具合に対して、心出血(Heartbleed)と命名するセンスはどうかと思います。
鼓動の不具合なら不整脈(Arrhythmia)でしょう。鼓動が乱れても血は出ません。

この問題点が公表されたのは、ちょうど1カ月前の4月7日のこと。
しかしそれよりずっと前から、米国家安全保障局(NSA)はこのバグを知っていた、という話があります。
じゃあ、あれですか、ネットを駆け巡る暗号通信はみな、NSAに筒抜けですか。

Bloombergにスクープされたこの情報はしかし、NSAがきっぱりと否定しています。
まあ、NSAの否定なんて、世界中の誰も信じませんけどね。でもこういう陰謀話って、私は好きです。

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虫と植物で創薬
- 2014/05/06(Tue) -
この季節、雑草の伸びが激しいので、久しぶりに庭の草取りをしました。
1本1本抜いたのではラチがあきません。生垣用の電動ヘッジトリマーを使って、刈り取りです。

こういった作業中には、さまざまな虫たちに出遭います。
芝生の上で無数に跳ねる、名も知らぬ小さな虫が、バンバン目に跳び込んで来ます。
湿った区画には、思った通りナメクジが潜んでいます。いつ見ても、地味で陰気な生き物です。

イモムシは、ナメクジに比べれば圧倒的にカラフルでです。
触るのも平気ですが(しかしできれば軍手で)、庭木に害がありそうなので、見つけたら駆除します。

おおむね害虫のイモムシですが、遺伝子組み換えによる製薬原料として、人類の役に立っています。
子宮頸がん予防ワクチン「サーバリックス」は、イラクサギンウワバという「青虫」っぽいのを使います。

多量の生糸を作るカイコの能力を利用して、インフルエンザワクチンを作ろうという動きもあります。
鳥インフルエンザのパンデミックが起きた場合、急いで多量のワクチンを作るには、最適な方法だそうです。

同様の組み換えワクチンを、植物を利用して作る方法も開発されつつあるようで、今後発展しそうです。
田辺三菱製薬が昨年買収したカナダ企業は、遺伝子組み換えタバコによるワクチンの生産を研究しています。
なぜタバコがいいのかよくわかりませんが、きっと発育が早くて生産しやすいのでしょう。
このカナダ企業は、田辺三菱とPhilip Morrisが共同で買収したようです。できればJTに頑張ってほしかった。

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USBメモリの問題
- 2014/05/05(Mon) -
東京医大の職員が、脳神経外科の患者データを記録したUSBメモリを、学会出張中に紛失したとのこと。
この事件には、いろんな観点から、問題点が含まれています。

まず第一に、患者の個人情報を院外に持ち出したこと自体が、医療従事者の常識に照らせば、規則違反です。
学会発表は通常、PCプレゼンテーションで行われますが、その時に使うパソコンにも、注意が必要です。
個人情報を含む資料は、どのような形態であっても、紛失と盗難の可能性を常に考慮しなければなりません。

私はかつて、臨床データ解析用のファイルでは、個人名等を省いてカルテ番号だけで管理していました。
しかし今思えば、この方法でも不十分でしょう。カルテ番号にも暗号化が必要です。
そうでなければ、USBメモリや携帯型HDDのようものには、個人情報を入れないことです。

突き詰めれば、紛失・盗難が許されないデータは、紛失・盗難が起きうる状態にするな、ということです。

USBメモリの記憶容量はどんどん大きくなり、値段は安く、本体のサイズは小さく、便利になりました。
その意味では、データ漏洩の危険性はますます高まっています。
私は数年前から、USBメモリはアプリの移動等の場合にのみ使用しています。データは入れません。
クラウドの時代ですから、そもそもデータの運搬は必要ないのです。
USBメモリみたいなちっこいものに、重要なデータを入れることは、もう止めるべきでしょう。

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健診の基準値
- 2014/05/04(Sun) -
日本人間ドック学会が、健診における血液検査などの「基準範囲」を発表したのは、つい1カ月前のこと。
「基準値が大幅に緩和された」と、マスコミはおおむね好意的に報じました。
その裏では「従来の基準は、医者や製薬会社が儲けるために、わざと厳しくしていたのだ」と言わんばかり。

ところがここに来て、専門学会等が反発し、マスコミもやや慎重な論調に転じています。
ひとことで言うなら「緩い基準値だけが一人歩きすると、治療が遅れる危険がある」というものです。

健診の意義は、健康上の問題点を早めに察知して、生活習慣の改善や早期治療に結びつけることです。
あくまでも、予防医療がその目的なのだから、基準は多少厳しめの方が理にかなっているはずです。
予防医療の総本山ともいうべき人間ドック学会が、なぜこのような発表をしたのか、理解に苦しみます。

さらに私がもっと問題だと思うのは、健康な人から得たデータをそのまま「基準値」と位置づけたことです。
「健康な人を調べたらこのような数値だった」ということに過ぎません。
「このような数値だったら健康です」というわけではないのです。逆は真ならずです。

たとえば、こう考えてみましょう。
健康な喫煙者を集めてみたら、1日の喫煙本数は30本以下だったから、30本までは吸ってもOKでしょうか。
たとえ20本でも10本でも、喫煙を続けるうちにさまざまな健康問題が生じてきます。

健康な男性のLDLコレステロール値が178以下だったから、178まではOK、とは言えないのは明らかです。

基準値は、健康リスクの有無を知るための指標であり、健康習慣改善のきっかけとなるべきものです。
人間ドック学会の発表内容は、臨床現場に混乱を招きかねません。ていうか、すでに混乱しています。

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IEに緊急パッチ
- 2014/05/03(Sat) -
Microsoftのインターネットブラウザ「Internet Explorer」の、緊急セキュリティパッチが配布されました。
PCを乗っ取られる恐れがあるほどの深刻な脆弱性が、先週発見されたためです。
対岸の火事と言うわけにはいきません。私のMacにも、Windowsをインストールしているからです。

慌てて手動で更新プログラムを実行してみると、ダウンロードされたプログラムの数がなんと150個。
前回の更新作業から約1年の間に、Windowsは150回もアップデートされていたということなのでしょうか。

インストール作業には、だいぶ時間がかかりそうなので、その間にこのブログを書いているところです。

修正プログラムはしばしば「パッチ」と呼ばれます。
パッチとは、セキュリティーの抜け穴をふさぐ「つぎ当て」であり、衣服の穴をふさぐパッチと同じです。
この言葉にはどうも、貧乏くさい響きがあります。その場しのぎ的なニュアンスも感じます。
プログラムにおいても、全面改訂ではなく、取り急ぎ必要な部分だけの修正ということなのでしょう。

しかし、外科とくに小児の心臓外科手術において、パッチは日常的に用いる用語でした。
たとえば心室中隔欠損症という疾患で、その欠損部を閉じる術式を「パッチ閉鎖術」と呼んでいたからです。
専用の特殊な布を、文字通りパッチのように穴に当てて、周囲の組織に専用の糸で縫着します。
この疾患にとっては、いちばん標準的な「根治術」であり、けっしてその場しのぎではありません。

とか言ってる(書いてる)うちに、インストール作業が終わりましたが、気になるアラートが出ました。
「1個の更新プログラムはインストールに失敗しました」と。詳細不明。こういうのがいちばん困る。

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旅行中のブログ
- 2014/05/02(Fri) -
本日までの5日間の連続休診によって、地域の皆様方にはご迷惑をおかけしたことと思います。
明日からは、通常通りの診療に戻ります。祝日診療が3日続きます。

昨日までの3日間、熊本を離れていました。連続2日以上の旅行は、開院以来初めてのことです。
このブログに関連して言えば、旅行中の執筆をどうするのか、というのが問題でした。対処法は3つ。

(1)旅先で書く
インターネットの時代ですからそれは可能です。可能ですが、そんな旅ってどうなの、ってことです。

(2)書かない
ブログの中断です。連続更新記録が止まってしまいます。これは、避けたい。

(3)書いておく
ブログには「予定投稿」の機能があります。あらかじめ下書きして、掲載日時を指定しておきます。

というわけで、私は今回(3)を選択。
旅立ちの前夜、当日分も含めて、4本のブログを書きました。おかげで睡眠時間は3時間でした。
今読むと、推敲が足りていません。後日こっそりと、微修正するかもしれませんが、お許しください。

ていうかこのブログは、その日思ったことや考えたことを書くのが基本です。
あらかじめ書いておくのは、本来の趣旨に反します。やっぱり(1)にすべきだったのかも。

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薬の副作用
- 2014/05/01(Thu) -
薬を処方しようとしたとき、「副作用はないですか」と尋ねられることがあると、次のように答えています。

「どんな薬にも副作用はあります。この薬を飲むメリットが、副作用よりも優先するから処方するのです」

一般に、薬の副作用を分類すると、以下の3つでしょうか。
(1)アレルギー反応、(2)薬の効きすぎ、(3)目的外の作用

このうち(1)は、アナフィラキシーなど重大な反応です。薬が「体に合わない」と考えるしかありません。
糖尿病の薬が強すぎて低血糖になったとすれば(2)です。これは適正な薬の用量を見つければ解決します。
文字通りの「副」作用という意味からすれば、とくに(3)について理解してもらう必要があります。

たとえば内服薬の場合、その多くは消化管から吸収されると、まず肝臓に到達します。
そこで何らかの処理(代謝)を受けるか、またはそのまま肝臓を素通りして、肝静脈を経て心臓に届きます。

つまり内服した薬は、最終的に心臓から、全身のすべての細胞に向けて拍出されるのです。
それが鼻水の薬(抗ヒスタミン薬)であっても、鼻だけでなく脳にも届くので、眠くなってしまいます。
だからどうしても鼻水を止めたいときに、多少眠くなることを承知で、抗ヒスタミンを内服するわけです。

要は、目的とする「作用」のメリットが、目的外の「副作用」のデメリットよりも優先するかどうか、です。
医師が薬を処方するのは、薬の必要性がその副作用のリスクを上回っている場合に限られます。

しかしその説明が不十分だから「副作用はないですか」などと聞かれてしまうのでしょうね。反省です。

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