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薄氷を踏む思い
- 2015/01/31(Sat) -
電子カルテの話ばかり続きますが、無事(おそらく)復旧できたので、ご報告します。
とは言え今日は、いつフリーズするかと、薄氷を踏む思いで診療に臨んでいました。

障害となっていた可能性があると考えて、除去または更新・交換したのは、次のものです。
(1)電子カルテソフト(新規インストール)
(2)サーバー本体(交換:Mac mini→MacPro→iMac)
(3)OS(サーバー交換に伴い、OS X 10.7→10.9→10.8)
(4)スイッチングハブ(交換:エディオンで急遽購入)
(5)LANケーブル(交換:エディオンで急遽購入)
(6)ウイルスチェックソフト(除去)
(7)無線LAN(使用中止:すべて有線化)
(8)インターネット(電子カルテ端末での接続中止)

おそらく、ネットワーク上に問題があったと、私は睨んでいます。ということは、(7)か(4)かな。
電子カルテは、他のシステムとは独立させ、極力シンプルに。これが基本。初心忘るべからず。なので、
(9)油断・惰性・慢心
これが主犯ですかね。

サーバーダウンした一昨日から昨夜の復旧作業後まで、2日間で体重が1キロ減りました。
昨年8月から始めている私のダイエットにとっては、思いがけない追い風となりました。

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電子カルテ復旧への道
- 2015/01/30(Fri) -
電子カルテのサーバーダウン(またはクラッシュ)からの復旧作業は、微妙な小康状態に留まっています。
休診日の今日、朝の8時台から夜の10時前まで、ずっとかかりっきりでした。
その詳細を時系列で記載するのもアレなので、ここは一般論として、今日感じたことを書いてみます。

(1)予備機にも不具合が起きたとき、その次をどうするか、予備の予備まで考えておくこと
復旧作業の途中で判明したのは、予備機もまた不調であったということです。こんなことが、あるんですね。

(2)何時間かかるかわからない作業は、可能な限り、朝早くから始めること
長引いて夕方になると、焦ってきます。サポートセンターなど外部の協力者にも、頼れなくなります。

(3)休日であっても、何があるかわからないので、予定を詰め込まないこと
こんな日に限って、水道蛇口の修理と、空気清浄機の交換と、防災設備の点検の予定を入れていました。

(4)毎日のデータバックアップは重要だけど、本当に必要なときには、1日1回ではまったく不十分
1時間ごとの自動バックアップという設定にもできたのに、それをしなかった。危機意識の欠除ですね。

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サーバーがダウン
- 2015/01/29(Thu) -
Facebookが一昨日の15時過ぎ、世界中で接続できなくなりました。サーバーがダウンしたらしいですね。
1時間弱で復旧しましたが、今回のことで、Facebookの危うさを感じました。

いやいや、そんなことよりも、今日クリニックで起きた、サーバーダウンの話ですよ、いま書きたいのは。
夕方頃から、電子カルテの挙動がおかしいと思ったら、突然すべての端末(クライアント)が止まりました。
こうなると原因はサーバーに違いない。診療を中断して確認すると、サーバーがフリーズしています。

フリーズしたら再起動するしかありませんが、その結果、ついにサーバー機が立ち上がらなくなりました。
再起動しても、PRAMクリアしても、SMCリセットしても、セーフブートしても、まったく回復しません。

大丈夫。こういうときのために、予備サーバーがあるじゃないですか。助かった。さっそく立ち上げました。
ところが考えてみると、予備サーバーの電子カルテのデータが古いのです。年末に更新したままでした。

電子カルテのデータは、毎朝、サーバーの外付けハードディスク(HDD)に、バックアップをとっています。
しかしまさか、予備サーバーのデータまで、毎日更新してはいませんでした。
なのでサーバーの外付けHDDのデータを、予備サーバーで読み込めるかどうか、それが頼みの綱です。

さいわい、明日は休診日なので、電子カルテメーカーと相談しながら、朝から復旧作業を行う予定です。

それにしても、電子カルテのデータのような最重要データは、とにかくバックアップが命。今回の反省点は、
(1)毎日2回以上、こまめにバックアップすること。頻度が多いほど、失われるデータが少なくなる。
(2)予備サーバーはつねに、いつ何時でも出動できるように、データを更新して予行演習しておくこと。
さて、明日はどうなることやら。

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書いて覚えた方がいいのか
- 2015/01/28(Wed) -
「音読しながら書いて覚える」 そんな勉強法が効果的だと、つい最近もテレビ番組で紹介していました。
多くの感覚器を刺激しつつ覚えると、単に黙読したよりも記憶に残りやすいという、昔からある定説です。

ところが最近、書いて覚えるよりも書かずに覚えた方が記憶に残りやすいという、逆説的な話が出ています。

カナダの大学で行われた、トランプの「神経衰弱」ゲームを用いた実験の内容はこうです。
カードの絵柄と位置について、半数の学生にはメモを取らせ、残りの学生はには取らせなかった。
最終的に、メモを没収したところ、絵柄の位置をよく覚えていたのは、メモを取らなかった学生の方だった。

つまり、メモという外部記憶への記録に頼ったために、自分の脳への記憶が定着しなかったというわけです。

なるほど。それで合点がいきました。学生時代、書いても書いても覚えられなかった訳がわかりました。
覚えたい事柄を書き写すという、その行為自体に満足して、脳の記憶回路が働いていなかったわけです。

学会や講演会の聴衆には、こまかくメモをとる人と、じっと聞いているだけの人がいます。
演題の全体像を把握し、重要ポイントを的確に記憶することができるのは、後者の人だけかもしれません。

たしかに、何かを真剣に覚えるときには、手を動かすと、かえって集中できないような気がします。

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ワイヤレス充電の時代
- 2015/01/27(Tue) -
「コンセント不要」の時代が来るのか。電波で電気を送る技術が、実用化に向かっています。
その技術開発を行っている米国のベンチャー企業に対し、KDDIが出資するというのが、昨日のニュース。
つい先日は、別のベンチャー企業が開発しているワイヤレス充電システムが、話題になったばかり。

どうやらこの分野は、あちこちで開発が進んでいるようです。規格の主導権争いも、熾烈になるでしょう。

乗せるだけでスマホを充電する装置はすでに、市販されていますが、これはきわめて近接した状態での話。
何メートルも離れた端末にワイヤレスで給電できてこそ、応用範囲が格段に広がります。
前述した企業のシステムは、10メートル離れた複数の機器に、同時に給電できるといいます。

いま、スマホの充電は、ケーブルに接続するのは手間ですが、まあ1日1回程度なら許容範囲です。
これがスマートウォッチとなると、サイズが小さいのでバッテリー容量が少なく、その持ちが問題です。
しかも体に装着するものなので、充電のために何度も取りはずすことは避けたい。

近々発売されるであろうApple Watchは、ケーブルでの接続が不要な、電磁誘導充電方式を採用しています。
磁石でくっつくだけの簡単な仕組みですが、それでも残念なことに、手首からはずさなければなりません。

Appleは考え尽くしてこの仕組みにしたようですが、まだまだ技術的には過渡期という印象がぬぐえません。
ウエラブルデバイスが広く普及するのは、この充電問題が解決してからになりそうな気がします。

ちょうどWi-Fiが当たり前になったように、やがてワイヤレス充電が普及する時代が来るかもしれません。
自宅や職場や、公共の施設や街角には、Wi-FiやBluetoothや充電用の電波が飛び交うわけです。
ウエラブルデバイスモノのインターネットの時代、屋内外は電波だらけになりそうです。

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予防医療の拡充が本筋
- 2015/01/26(Mon) -
本日、通常国会が召集されました。長い冬休みでしたね、議員さんたちは。
安倍首相は今国会を「改革断行国会」と位置づけて、医療や農業の改革を断行する考えとのこと。

「断行」という言葉の響きは勇ましいですが、本気で断行されたら、たぶん医療機関には打撃です。
小泉内閣時代からそうですが、国民あるいは国の財政を立て直すとき、医療費はいつも削る方向なのです。
高齢化が進んでいるのに、国民1人当たりの医療費は抑えようという、困難な改革が断行されるのでしょうか。

医療費削減をめざすなら、予防医療の充実を図るのが本筋というもの。ぜひその方向で断行してほしいです。

特定健診(いわゆるメタボ検診)は、効果ナシとは言いませんが、有料なので受診率は低迷しています。
受診者の多くが、日ごろ通院治療している生活習慣病の経過観察用に、特定健診を流用しているのが実態。
本来の、メタボを発見するという目的で受診する方は、残念ながらごく少数です。

人間ドック学会は昨年、健診の基準値を大幅に甘くしましたが、いったい何考えてるんですかね。
厳し目の基準を設定して、生活習慣病の予備軍を早期発見することにこそ、健診の意義があるというのに。

予防接種はどうでしょう。子宮頸がん予防(HPV)ワクチンは、ご存じの通り、事実上の中断中です。
ワクチン反対派は、定期的に子宮がん検診を受ければ、がんを早期発見・早期治療できる、と言います。

でも、発がんするまで待って早期発見して手術するよりも、発がんを予防した方がいいに決まっています。
どうしてその理屈が多数意見にならないのか、不思議でなりません。

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得点調整は公平か
- 2015/01/25(Sun) -
センター試験の採点の結果、理科の選択科目間で平均点に大きな差が出たため、得点調整をするとのこと。
旧過程の「物理1」の平均点69.93点に対し、新課程「生物」は48.39点。その差が20点を超えたためです。

試験科目によって、平均点に大きな差ができる原因は、一般的に次の2つでしょう。
(1)問題の難易度の違い
(2)受験生の学力の違い

まず、学習範囲の広い新課程と、ゆとり教育の旧課程の科目が混在し、ずいぶん難易度が異なったようです。
同じ科目どうしで比べると、旧課程の方が平均点が6点以上高く、地学に至っては18点の差がありました。
この点に関して言えば、得点調整を行うことは理にかなっているかもしれません。

しかしそれ以前に、浪人生だけが、学習範囲の狭い旧過程で受験できる規定だったことは、やはり問題です。

では、教科間の違いはどうでしょう。物理と生物とで、難易度に明らかな差があったのでしょうか。
たしかに平均点は、旧過程では物理>化学>地学>生物、新課程では物理>化学>生物>地学の順でした。
しかしこの順序は、難易度の差というよりも、その科目を選択した受験生の理系能力の違いかもしれません。

高校理科の中で、物理・化学は「理系」的、生物・地学は「文系」的な側面があります。

物理は、その原理・法則等をきちんとマスターしていれば、必ず高得点が取れる科目です。
化学は、知識を問われる部分もあるので、万一不得意な分野から出題されると、失点しかねません。
地学や生物は、さらに暗記項目が多くてリスキーなので、根っからの理系人間は選択しない科目です。

理系学力を問うのが理科の試験なら、物理を選択して高得点をとる受験生を、正当に評価すべきです。
物理と生物の間で得点差が出たから調整するなど、まったく不公平な措置だと思います。

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電池の劣化に注意
- 2015/01/24(Sat) -
Macと周辺機器のホットなトラブル話を2つ。

MacProの内臓メモリのうち1つが、認識できていないことが発覚。昨日の話です。考えられる原因は2つ。
(1)メモリの不具合
(2)Macのトラブル
メモリを配置換えしても、認識できないのは同じスロット。となると原因はMac側ですな。要修理です。
でも修理に出す前に、セキュリティー上、内部ストレージ(SSD)の初期化を行わなければなりません。
なにしろ、電子カルテのデータやら私自身の個人情報やら何やらが、ギッシリ詰まってますから。

初期化って、ひどく面倒な作業ですが、嫌いじゃない。ていうか好き。私は「初期化マニア」なのです。

さて今日は、診察室のMac miniのトラックパッドの不調です。突然、ペアリングができなくなりました。
以前も書いたように、Bluetooth機器のトラブルでは、次のような原因が考えられます。
(1)設定ミス
(2)電池切れ
(3)電波干渉
(4)ペアリングの重複(前回はコレでした)
ずっと使っていたトラックパッドなので、どれも考えにくい。それに電池は今朝交換したばかりだし・・・
いや待てよ、と交換したばかりのエネループをはずし、普通のアルカリ乾電池を入れてみると、見事に復活。

充電したばかりのエネループでしたが、7年も使っていたので、劣化していたのです。すぐ捨てましょう。
電気製品のトラブルは、まず、電源を疑え。これ基本でしたね。うっかりしてました。

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出席停止期間が長い
- 2015/01/23(Fri) -
インフルエンザの患者報告数は、宮崎、沖縄、熊本が、現在の全国ワースト3。九州で大流行のようです。
熊本市では先々週から警報レベルとなり、近隣の小中学校では、学級閉鎖や学年閉鎖が相次いでいます。

学級閉鎖は、流行の拡大をくい止めるために有効な措置ですが、さまざまな問題もあります。
不足する授業時間をいつか埋め合わせしなければならないし、子どもが休めば家庭への影響もあるでしょう。
最悪なのは、学級閉鎖が終わった頃になって、インフルエンザに罹ってしまう場合です。

児童がインフルエンザに罹ると、「解熱の2日後」かつ「発症の5日後」までは出席停止というキマリです。
下熱しても体内にウイルスが残っているため、ある程度の期間は、他人への感染力があるからです。

しかし、早々と元気になった子どもは、学校にも行けず、何日も自宅で暇をもてあますことになります。

そこで考えたんですが、元気なら登校させたらどうでしょう。ただし、元のクラスに戻るのではありません。
インフルエンザ児童専用のクラスをつくって、そのようなお子さんを集めて、授業をするのです。
さいわい今流行しているインフルエンザは、ほとんどがA香港型。みんなを一緒にしても問題ないでしょう。
学級閉鎖中のクラスが空室なので、その部屋を利用しましょう。

というわけにも、いかないでしょうね。失礼しました。
しかし、登校停止期間を杓子定規に日数で決めるのには、疑問を感じます。やはり病状を考慮すべきです。
高熱が続いたのか、すぐに下熱したのか、あるいは最初から微熱だったのか、経過には個人差があります。
ワクチン接種歴や、インフルエンザ治療薬開始のタイミングによっても、ウイルス排出期間は異なるはず。
そういった事情を考慮して、医師の総合的判断で、出席停止期間を決めても良いのではないでしょうか。

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文章問題のインチキ
- 2015/01/22(Thu) -
先日の出題ミス事件をきっかけに、センター試験の「世界史B」の問題を眺めてみたんですが、悪問ですね。

設問はすべて、まず歴史に関する7,8行の文章を読ませ、その下にいくつかの問いが並ぶという形式です。
ところが、その問いの内容が、冒頭の文章とは実質無関係。ひどいこじつけばかりじゃないですか。

例えば、問4のBの設問は、「じゃんけん」の歴史についての、ちょっと興味をそそる文章で始まります。
「古代の中国に起源を持つとされるじゃんけんは、現在、世界大会が開かれる競技であり、・・・(後略)」
この文の「中国」という文字の下に「4」と表示された下線が引いてあり、以下のような問いが続きます。

「下線部4の国(=中国)から伝わった制度や文物について述べた文として、誤っているものを選べ」
選択肢は4つ。それぞれ、羅針盤、製紙法、養蚕、科挙に関する文です。全部「じゃんけん」とは無関係。

じゃあ「じゃんけん」どこ行ったの?って話です。結局、冒頭の文章は、設問の内容には関係無いのです。
ただ単に「中国」という言葉を、登場させるためだけの役割しかないのです。

総じてみると、世界史Bというのは結局、短い文の正誤を問う問題の羅列にすぎません。
それなのに、あたかも文章問題のような体裁をとって、設問に深みを出そうという魂胆が見え見えです。
前にも書きましたが、よっぽど知識偏重の問題だとは言われたくないのでしょうね。

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隔離用の待合室
- 2015/01/21(Wed) -
全国保険医団体連合会が、「新規開業医の手引・改訂版」というのを出版したので、1冊入手しました。
いまさらですか、などと言わないでください。初心を忘れないためにも、あれこれ再確認してみたいのです。

どうやら、不要な確認をして後悔するのが私の悪い癖。確認したいという好奇心には勝てません。

たとえば電器店で何かを買うと、帰宅後にその価格が適正であったかどうか、通販価格を調べてしまいます。
それなら、買いに行く前にネットで確認しとけよ、って話ですけどね。

さて、冒頭で紹介した手引の「待合室」についての記載をみると、通り一遍のことしか書かれていません。
「圧迫感が無く開放的で落ち着いた雰囲気をつくること、十分な採光と広さを確保できるように考慮します」

これではさすがに、手引きとしては不十分でしょう。感染症患者の隔離について、触れていないからです。
それこそ、いま私の頭を悩ませているのが、まさに隔離の問題なのです(毎年この時期の悩みです)。

インフルエンザを疑う症状の患者さんが3人いても、その3人を同室で待たせるわけにはいきません。
2人がインフルエンザで、あとの1人は別の感染症、という可能性もあるからです。

大勢の発熱者が来院すると、隔離するための部屋が足りないので、次のような工夫で切り抜けています。
(1)予約制を徹底し、診療の進捗状況をわかりやすくして、順番ギリギリまで自宅で待てるようにする
(2)クリニックに到着しても、診察の順番が来るまでは、駐車場の自家用車内で待ってもらう
(3)院内では、隔離室として使える4カ所の部屋を、要領よく使い回す

ぜひ手引に記載してほしいのは、小さな隔離用待合室をいくつも準備すること。これは切実な問題です。

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メルボルンでの快挙
- 2015/01/20(Tue) -
テニスとサッカーの両方で、日本が勝利しました。くしくも、同じメルボルンで今日行われた試合です。
休診日だったので、今日はテレビの前に張り付いていました。さらに勝ち進むことを期待します。

錦織圭選手の試合の合間のニュースで、柔道家の斉藤仁氏が死去したと報じられました。
斉藤氏といえば、弟子の石井慧選手の、北京オリンピック金メダル獲得時の名言が忘れられません。

「オリンピックのプレッシャーなんて、斉藤先生のプレッシャーに比べたら、屁の突っ張りにもなりません」

なかなか面白い発言ですが、「屁の突っ張り」という言葉を誤用しています。「屁」だけでよかったのに。

ところでメルボルンは、オーストラリアではシドニーに次いで2番目に人口の多い都市です。
首都をめぐって両都市が争った結果、計画都市キャンベラが造られたことは、よく知られています。

2大都市が争う構図は、日本にもあります。
たとえば、長野県の長野市と松本市。歴史的経緯が複雑で、両都市の不仲はいまだに続いているとか。
長野市は県庁所在地で、人口も最大。一方で松本には、日銀の支店や信州大学の本部と医学部があります。

福岡県では、かつて最大の都市は北九州でしたが、私が大学生になったころ、福岡が第1位に躍り出ました。
両都市のその後の繁栄と衰退は好対照で、人口にも1.5倍ほどの差がついてしまいました。

効率の良さばかりを求めると、今現在繁栄している都市にますます、人口や産業が集中してしまいがちです。
その最たるものが、東京一極集中であり、将来70%の確率で大地震が起きるというのに、集中は続きます。

首都移転の話も、なかなか現実味を帯びません。既存の地方都市に移転しようとするから、進まないのです。
100年後、200年後を考えて、キャンベラのような計画都市を、ゼロから設計するのが面白いと思います。

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インフルエンザと高熱
- 2015/01/19(Mon) -
インフルエンザが流行しています。毎日多くの方が、節々の痛みを伴う急な発熱を訴えて来院されます。

あまりに熱が高くて心配になる方も多いですが、熱はウイルスの仕業ではなく、体の防御反応です。
このことは2年前にも書きましたが、高熱でも安心していただくために、発熱の機序をおさらいしましょう。

(1)インフルエンザウイルスが体内に侵入すると、まず鼻やノドの粘膜の細胞に感染し、増殖を始めます。
(2)感染した細胞から「サイトカイン」という化学物質が分泌され、周囲に異変を知らせます。
(3)免疫細胞が寄ってきて、ウイルス感染した細胞を食べ、ウイルスの特徴を他の免疫細胞に広報します。
(4)それと同時に、また別のサイトカインを分泌して、脳の体温調節中枢に対して発熱を要請します。
(5)脳の指令により、皮膚血管が収縮して熱放散を抑え、骨格筋がふるえて熱産生し、体温が上がります。
(6)免疫細胞はどんどん増殖し、あるものは感染細胞を食べ、あるものは抗体という飛び道具を放ちます。

ウイルスは低温を好み、38.5度以上になるとあまり増殖できなくなります。
免疫細胞は高熱を好み、38.5度以上になるととても活発になります。
最終段階(6)で免疫細胞の力を最大にするための準備として、(5)の発熱があるのです。

インフルエンザウイルスは、普通の風邪のウイルスよりも、はるかに急速に増殖します。
そのため(4)の段階のサイトカイン量は多く、結果として急な高熱が出ます。

高熱はつらいですが、免疫細胞がガンガン戦うための準備が整った状態だと、前向きに考えましょう。

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センター試験の出題ミス
- 2015/01/18(Sun) -
入学試験の出題ミスは、受験生の合否にさえ影響を与えかねない一大事。出題者の責任は重大です。
正解が2つあるような設問が見つかった場合、その両方を正解とみなす、という解決法がとられます。
しかし、ムダに悩んだ受験生の、時間の浪費や精神的ストレスに対しては、どうやって穴埋めしてやるのか。

昨日のセンター試験「世界史B」でミスがありました。渋川春海が作成した「貞享暦」についての設問です。
その設問文を、読点(、)の部分で改行して4行に分けて記載すると、以下のようになります。

(1)貞享暦は、
(2)中国『ア』の時代に、
(3)『イ』によって作られた授時暦を改訂して、
(4)日本の実情に合うようにしたものである。

出題者の意図は、「中国・元の時代に、授時暦が作られた」という知識を、問うことだったと思われます。
一方で貞享暦は、「中国・清の時代に、日本の実情に合うようにしたもの」であることもまた事実。
設問文の(2)が(3)にかかるのか(4)にかかるのかの解釈によって、『ア』の答が異なるわけです。

このような、読み方によって答が変わるような設問を作るなど、出題者の国語力に問題アリです。

この際、どうせ知識を問うのであれば、いっそのこと、もっと単純な設問にしたらどうですか。たとえば、
(問1)授時暦を作ったのは誰か。次から選べ。
(問2)授時暦ができたのはいつの時代か。次から選べ。
設問はひどく無機質ですが、求める知識は同じ。まったく誤解を与えない、率直な問い方じゃないですか。

知識偏重だと批判されるのを嫌ってか、問題文をヘンに長ったらしくするから、オカシなことになるのです。
いくら工夫を凝らしたところで、尋ねているのは単なる知識。ならばもっと簡潔な設問にすべきです。

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ワクチンのテレビCMを
- 2015/01/17(Sat) -
日本脳炎ワクチンは、平成17年5月30日から平成22年3月31日まで、接種が差し控えられていました。
その後、勧奨接種が再開し、差し控えによって接種機会を失った方への「特例接種」が始まりました。
これらの経緯については、何度も書いてきましたが、厚労省にしては太っ腹な暫定措置といえるものです。

ところが、日本脳炎第1期接種に対する特例接種の積極的勧奨が、今年度末で終了することになりそうです。
対象のお子さんがいるご家庭以外には、まったく興味も無ければ、意味不明な話かもしれません。
しかし、対象者であっても、このような予防接種の方針変更については、何も知らされないのが現状です。

自治体の広報誌や医療機関の掲示物などを、積極的に見るようにしなければ、最新情報は得られないのです。

一方で、成人用肺炎球菌ワクチンは、メーカーのテレビCMをよく見かけます。西田敏行が出るやつです。
しかし本来、行政こそが、このようなCMを打つべきでしょう。小児の全ワクチンでやってくれませんかね。

厚労省は最近、麻しん/風しん混合(MR)ワクチン第2期接種の接種率の、中間評価を発表しました。
全国平均で59.6%という、残念な数字です。都道府県別や主要都市ごとの数値も、分析されています。
しかしそんなデータを厚労省のサイトの奥深くに眠らせるよりも、どうしてテレビで発表しないのでしょう。

「年長児のいるご家庭の皆さん、MRワクチンの接種期限は、3月末ですよ」
こういったメッセージを、テレビCMで分かり易く面白く伝えたら、どれだけ接種率が上がるかと思います。

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誕生日のお知らせ
- 2015/01/16(Fri) -
メールを受信すると、その情報が即座に、Macの画面の右上隅に表示されます。
このような「プッシュ通知」機能は、iPhoneにもあります。たぶんWindowsにもあるのでしょう。

その日のスケジュールや、知人の誕生日なども、指定したタイミングで通知されます。
これらの情報はクラウド(iCloud)で管理され、すべての端末で通知される仕組みです。

さて元日のこと。Macを開くと、誕生日の通知が私を待ち受けていました。ところがこれが、1人じゃない。
ズラズラっと大勢の、覚えのある名前が並びます。その表示が消えると、また別の人たちが誕生日との通知。
まあ、元日生まれの知人の、多いこと多いこと。揃いも揃ってこの人たちは、誕生日が1月1日だったとは。

んなわけ、ないでしょう。何かが間違ってますね、明らかに。
「カレンダー」アプリを開くと、1月1日にはなんと、549人分の誕生日が登録されていました。
詳しく見ると、その生年月日は、1998、2000、2003、2005、2006年のいずれかの1月1日なのです。

この誕生日情報の大元は「アドレスブック」です。それがクラウド経由で、カレンダーに転送された模様。
私の推測はこうです。
アドレスブックの電話番号情報の多くは、以前の携帯電話(ガラケー)からiPhoneに受け継いだものです。
ケータイの電話帳に誕生日の情報はないので、iPhoneに転送したときに、誕生日欄は空欄になるべきでした。
ところが実際には、空欄ではなく1月1日として登録してしまったのではないかと。

1998、2000、2003、2005、2006年というのはちょうど、これまでに5台のケータイを購入した年です。
誕生日情報のないアドレスには、そのケータイの購入年の1月1日を割り当てたと考えると、ピッタリです。
そういうわけで、私の知人の多くは、何台目のケータイの時に登録した人物かが、すぐにわかります。

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Macがブラックアウト
- 2015/01/15(Thu) -
診察室のメインで使っているMacのディスプレイが突然、真っ暗になるトラブルが、先月から続いています。
いわゆる「ブラックアウト」。診療中に何度も起きるので、仕事になりません。その解決までの顛末です。

(1)Macの電源が切れているのか
いやよく見ると、電源ONを示すLEDが点灯しています。電源は入っているようです。
試しに、ディスプレイケーブルを抜き差しして見ると、何事も無かったかの様に元の画面が現れました。

(2)ではなぜ突然、ディスプレイの電源が落ちるのか
ファームウェアの問題、ケーブルやコネクタの不良、そしてディスプレイそのものの不具合が考えられます。
こういった場合、Appleのサイトにある「Apple サポートコミュニティ」を見ることにしています。
Macユーザーたちが、真剣かつ紳士的にディスカッションしているところが好ましく、参考になります。

(3)そこには「ブラックアウトがディスプレイのSMCリセットで改善した」という情報あり
コミュニティ内を検索すると、私とまったく同じトラブルが詳しく報告されていました。なになに。
あるユーザーは、1年間悩んだ末にアップルに電話したら、「SMCリセット」するように言われたとのこと。
SMCとはシステム管理コントローラのこと。そのリセット法は、電源ケーブルを15秒以上抜いておくだけ。

(4)メモリ増設後など、Macの構成を変えたあとなどには、SMCリセットをするのが基本らしい
たしかに最近、メモリを増設しました。でもその時には電源を切るので、SMCリセットはできているはず。
あ、いやまて、ディスプレイのSMCリセットまではしてなかった。もしかして、それか。
というわけで、ディスプレイの電源をしばらく切ってみたところ、ブラックアウトしなくなりました。

電気製品のトラブルにおいては、まず、電源を抜き差ししてみる。これが基本ですか。覚えておきます。

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ストーリー性のある名前
- 2015/01/14(Wed) -
「虎もハエも一緒に叩く」と明言した、習近平・中国国家主席による、共産党幹部の腐敗取締りが続きます。
先月摘発された最高幹部のひとり、周永康氏の資産は、1兆5000億円以上といいます。想像を絶する額です。
そんな巨額を、どうやったら蓄財できるのか。どうにかすれば1兆円貯まるところが、じつに不思議な国です。

同様に、年末に失脚した令計画氏にも、不正蓄財が7100億円あると報じられました。
なぜか京都に2つ持っている豪邸の価格が、総額600億円だそうです。意味がわかりません。

しかし令氏で驚くのは、蓄財だけではありません。令氏の同胞の名前の方が、むしろ最近の話題です。
5人きょうだい(4男1女)の名前は、上から順に、令路線、令政策、令方針、令計画、令完成、とのこと。

路線を定め、政策を決め、方針を決定し、計画を立て、完成する。
最初から目論見通りの命名だったとしたら、まあ用意周到な家族計画と言えます。
しかし今となっては、もしも遅れて6人目の末っ子が生まれたなら、令失脚という名前がピッタリでしょう。

日本では近年、キラキラネームが流行っていますが、ただの当て字にも、そろそろ飽きてきました。
少子化対策に何人も産み育てるなら、令氏のようなストーリー性のある命名も、いいかもしれません。
ここで、何か命名例を挙げてみせればよかったのですが、気の利いたのを思いつきませんでした。

(追伸)そういえば「のぞみ、かなえ、たまえ」っていうのを思い出しました(古い)。

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隔日投与の解釈
- 2015/01/13(Tue) -
医療用医薬品の多くは、1日3回毎食後、だとか、1日1回就寝前、などという「用法」で処方します。
内服の回数とタイミングは、その薬の効能や作用持続時間、薬理作用等によって、決められています。

薬によっては、「隔日投与」、つまり1日おきに飲んでもらう場合もあります。
ただし、この「1日おき」の実践法については、個人差があるので、よく注意しなければなりません。

(1)内服日をあらかじめカレンダーに書き込む人
(2)偶数日とか奇数日のように日付で決める人
(3)月・水・金のように曜日で決める人

几帳面さで言えば、(1)>(2)>(3)です。そして(1)のような方はたいてい、血圧が高いです。

骨粗鬆症の薬など、週に1回だけ飲む薬があります。これは、毎週月曜日、のように曜日で決めて内服します。

ときどき、月曜に飲み忘れたので火曜に飲んだが、来週は何曜日に飲むのか、などと尋ねる方がおられます。
この場合、月曜でも火曜でもかまわないのですが、どちらでもいいと答えてはなりません。

どちらでもかまわないようなことを悩んでいる方には、どちらか一方に決めてあげる必要があります。

前述のケースなら、月曜日の方が良いです、とお答えすることになるでしょう。医学的根拠はありません。
最初に月曜と決めたのなら、ずっと月曜にしておいた方が覚えやすい、というだけの理由です。

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診療人数を制限します
- 2015/01/12(Mon) -
いくら夜遅くなっても断らない。受診者が途切れるまで診療する。それが当院の基本姿勢でした。

しかしこの時期、インフルエンザが流行り出すと、朝いちばんからネットや電話による予約が殺到します。
午前中のうちに、夜7時診療分までの予約が埋まってしまうことなど、当たり前。
とくに日曜・祝日は、本来の診療時間は午後5時までなのに、実際にはしばしば、夜の9時10時になります。

勤務医時代のことを考えれば、深夜までの仕事など屁のカッパのはずが、最近はそうもいきません。
私だけならまだしも、他のスタッフのこともあります。どこかで線を引かなければ、キリがありません。

何年もの間、葛藤してきましたが、昨日初めて、予約の受付を途中で打ち切りました。断腸の思いです。
午後3時の時点で、予約者が80人。私の診療ペースだと、11時までかかる計算でした。
結局、途中でキャンセルが出るなどして、診療の終了は10時半でしたが、それでもヘトヘトです。
深夜11時過ぎに帰宅した後に家事が待っているスタッフ(ほとんどが主婦)もまた、たいへんです。

診察を求める患者さんがいるのに、受付を拒否することは、厳密に言えば、医師の応召義務に反します。
しかし世の診療所の多くは、一定の時刻に診療が終わるように、受付の段階で制限をかけています。

私と職員の健康のためにも、当院もそろそろ、エンドレス診療の方針を撤回することにします。
さっそく祝日の今日は、定時よりも2時間半オーバーの、午後7時半までで診療を終了しました。
受付をお断りした患者さんには、申し訳ありませんでした。
しかし今後も、このような方針で参ります。どうかご理解のほど、お願い申し上げます。

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B型肝炎ワクチン
- 2015/01/11(Sun) -
「B型肝炎ワクチン」の定期接種は、すでに世界180カ国以上で導入されています。
なのに日本は、まだ任意接種。これこそワクチン後進国たるゆえんです。
その日本でもようやく、平成28年度には、B型肝炎ワクチンが子どもの定期接種に仲間入りしそうです。

定期接種の対象年齢(月齢)は「出生後から12カ月まで」。接種回数は3回。
純粋な医学的見地からは、なるべく早い時期の接種が推奨され、諸外国では出生直後から接種を始めます。

ところが厚労省は、「生後2カ月から」を標準とする方向です。その理由がいかにも日本的。
(1)出生直後より接種を行う他のワクチンがない
(2)出生直後に生じうる健康問題が副反応としてまぎれ込んで報告される可能性がある

まず(1)は、子どもの健康よりも、制度が煩雑にならない方を優先する、お役所的な発想。
じゃあ諸外国はどうして出生直後に接種ができているのか、ということを考え直してみましょう。

さらに(2)は、お役所の事なかれ主義の最たるもの。
いまHPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)は、副反応によって事実上、接種が停止した状態です。
ヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンもかつて、副反応騒ぎによって、1カ月間接種が中断しました。

何か問題が起きるとワクチンに濡れ衣を着せて、その結果、子どもの予防接種を滞らせてきたのが日本です。

そこでB型肝炎ワクチンでは、はじめから安全策をとって、新生児期には接種を勧めないのがお役所のやり方。
子どもの健康よりも、マスコミにたたかれない方を優先する、これまで通りのスタンスです。

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頓服をください
- 2015/01/10(Sat) -
「頓服をください」と言う患者さんがいます。これは「熱冷ましをください」の意味です。
つまりこの方は「頓服=解熱剤」と思っているのです。
実は私もそうでした。大学で習う前までは「頓服=薬包紙に入った熱冷ましの粉薬」と思っていました。

だいたい「とんぷく」という語感には、少々まぬけな響きを感じます。「満腹」とか「転覆」とかと同じ。
しかもなぜか私の場合、この言葉には、苦い粉薬をお湯に溶かして飲むイメージがつきまとうのです。

「頓服」は「必要時に服用」という意味で用いますが、たしかにわかりにくい言葉です。
処方箋には、間違いのないように、「頓服 発熱時に」とか「頓服 吐き気のある時に」などと記載します。

頓服の意味を正しく知っている人は、5割以下だったという、国立国語研究所の調査もあります。
だいたい「頓」の字がなじめません。「頓挫」とか「頓死」とかに使うので、印象が悪い。
と思っていたら「整頓」がありましたね。調べてみると、「頓知(とんち)」にも使うじゃないですか。
「近年とみに・・・」などと言う際の「とみに」は「頓に」と書くんですね。これは知らなかった。

頓服という言葉を使うことで、かえってわかり難くなるのであれば、使わない方がいいかもしれません。
「頓服 発熱時に」よりも、単に「発熱時に飲む」の方が、むしろ分かり易いと思うのですが。

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MRSAに効く抗生物質
- 2015/01/09(Fri) -
「MRSA」に効く強力な抗生物質が、「iChip」という培養手法で開発されたと、いま話題になっています。
もちろんMRSAとは「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌」のことで、抗生剤が効きにくい細菌の代表格です。
画期的なのは「iChip」の方なのですが、それはまた調べておきます。今日は抗生物質の話。

なお「抗生物質」という言葉は少々古風で堅苦しく、同じ意味でも「抗生剤」の方が言い易くて今風です。
化学物質としては「抗生物質」を、医療用薬剤としてなら「抗生剤」という言葉を、私は使っています。

さて、ご存じ「Nature」に発表された、その新たな抗生物質は、“teixobactin” と名づけられました。
新聞などはこれを「テイクソバクチン」と表記していますが、その「テイクソ」が、引っかかります。
この抗生物質の標的は、細菌の表面を構成する脂質の一種 “teichoic acid” です。
これは学生時代に「タイコ酸」として習いました。ノリスケさんの奥さんではありません。
“Teixobactin” の名が “teichoic acid” に由来することは明らか。ならば「タイクソバクチン」とすべきです。

それはともかく、新たな抗生物質が登場すれば、細菌もまた身を守るべく進化します。耐性菌です。
テイクソバクチンは、細菌の変異が起きにくい部位に作用するので、耐性の出現まで数十年かかるとのこと。
それでも、使えば耐性が現れ、使わなければ現れない。抗生剤というのは、安易には使わないことです。

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ブログを本にして出版
- 2015/01/08(Thu) -
氾濫するネット情報とは異なり、書籍には、集積、統一性、重み、労力、時間、哲学を感じます。

しかしその本を、最近はあまり読みません。たとえ読んでも、なかなか最後まで読み進むことができません。
読んでいて気になった箇所があると、すぐに読書を中断し、ネット検索してしまいます。
検索があまりにも容易になったので、ついつい脇道にそれてしまうのです。
馴染みのない熟語とか表現、書いてある内容自体に興味が湧いた際にも、読書を中断することになります。
そしてひとたびネットに向かうと、元の本に戻る機会を逸してしまうのです。

ネットは混沌とした情報の海原であり、広く眺め回すことはできても、個々の情報の重みはどうしても軽い。
枝葉にも探りを入れるうちに、情報はいくらでも拡大・発散して、当初の目的をほとんど見失います。
しかもこのような作業で得られるのは、「へえ〜」か「ふ〜ん」だけ。ほとんど時間のムダです。

しかし、ほとんどムダだけど全部ではない。まれにチラッと、珠玉のページやお宝情報に遭遇します。
作りが良く、文章も読みやすく、主義主張が一貫していて、研究も奥深い。そのまま本にできそうなページ。
こういうサイトを作れる人が、どうして本を出さずに無料のブログを続けるのか。サービス精神?

このようなことを思うのも、最近知人(後輩)が自身のブログを書籍化して、けっこう売れているからです。
でも考えてみれば私のブログには、統一性、重み、哲学が無い。無料だからギリギリ許容されるんでしょう。
いや、許されているかどうかもわかりません。まさか本にするなど、考えたこともありませんよ。

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食品への異物混入
- 2015/01/07(Wed) -
チキンマックナゲットへの「ビニール片」混入騒ぎが相次いだと思ったら、こんどは「ヒトの歯」ですか。
さらにアイスクリームにプラスチック片とか、ホットケーキに金具とか、新たな情報が次々に出てきます。
もちろん、これら全部が製造工程や調理過程での混入なのかどうか、まだ断定はできません。

そういえば私も、以前レストランで食べたフライドポテトの中に、割り箸片が入っていた経験があります。
ポテトを噛んだとたんに、歯茎に何かが突き刺さり、それを指で引き抜くと、木片が血に染まっていました。
どうやら、ポテトを揚げるときに使っていた割り箸が裂けて、その切れ端がポテトの中に混ざったようです。

店長は平身低頭。料理代がタダになったので私は満足しましたが、いまの私なら、それじゃ済ませませんよ。

またある時は、小倉の中華料理店で、シュウマイのせいろの底に、小さな虫を見つけたこともありました。
虫の名前は書きませんが、このときの店の対応は、シュウマイを取り替えただけ。いまの私なら・・・

研修医時代、救急病院で当直のバイトをしていたときのこと。近所のファミレスの店員さんが来院しました。
包丁で手を切って、血が止まらないと。見れば指の先っぽが、数ミリそげて、なくなってます。
指の先っぽは、ハンバーグの材料の中に混ざってしまったのか、探しても見つからなかったそうです。

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インフル治療のタイミング
- 2015/01/06(Tue) -
熊本でも年末から、インフルエンザが流行しています。これまでに当院で診断したものは、全部A型です。
いまの流行はAH3亜型(A香港型)だそうです。昨年は、同じA型でもAH1(豚由来)が流行しました。

治療薬の主流は、内服薬のタミフル、吸入薬のリレンザ、イナビルという「ノイラミニダーゼ阻害薬」です。
ウイルス表面のノイラミニダーゼに作用して、感染した細胞の外にウイルスが出られなくする薬です。
細胞外に出られなければ、ウイルスが次々と他の細胞に感染を拡げることができず、増殖できなくなります。

迅速検査等からインフルエンザと診断した患者さんには、原則として前述の薬のいずれかを処方しています。
ただし、発症から3日以上を経過して、すでに下熱して元気な人には処方しません。無意味だからです。

インフルエンザウイルスに感染すると、ウイルスはどんどん増殖し、発熱の48時間後ごろピークに達します。
その時期以降に、ウイルスの増殖を防ぐノイラミニダーゼ阻害薬を投与しても、もはや役に立ちません。

一般論はそうですが、病状によっては発熱の3日後でも、ノイラミニダーゼ阻害薬を処方する場合があります。
高熱が3日以上続いているとき、その熱が最初からインフルエンザの熱だという確証が無いからです。

普通の風邪の途中からインフルエンザを発症したと思われるケースも、実際にはかなり経験します。
なので、「だらだらと熱が上がってきたので、インフルエンザじゃない」とは言い切れませんのでご注意を。

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年賀状準備のドタバタ
- 2015/01/05(Mon) -
最近の年賀状は、元日の朝早くから届きますね。郵便局も仕事が早い。
そしてそれ以上に感心するのは、元旦の配達に間に合うように、早めに年賀状を投函した方々です。

翻って私の場合、裏面印刷は外注して早々に出来上がっているのに、宛名印刷がどうしても遅くなります。

年末の休診日の初日(12月30日)、宛名印刷ソフト最新バージョンの、インストール作業から始めました。
もっと早くインストールしとけよ、というご批判は甘んじて受けます。昨年とは異なり、作業は順調でした。

さて次は、プリンタの準備。ここで、自宅のプリンタが故障しているという事実を知って愕然としました。
大慌てで近所のベスト電器まで急行。シンプルなインクジェットプリンタを、もちろん値切って購入。
梱包から出して、セッティングして、プリンタドライバをMacにインストールして・・・
ありゃ、ハガキをセットするカセットが、小さすぎるじゃないですか。これじゃ印刷がはかどらない。

結局、クリニックまで大型のプリンタを取りに行き、自宅に持ち帰る羽目になってしまいました。
印刷を終えたのは夕方。コメント書いて、北郵便局に持ち込んで投函。郵便局が自宅の近所でよかった。

宛名印刷に要する時間など、正味1,2時間なのに、どうしてあと1週間早く準備できないのでしょうかね。
締切が迫らないと、やる気が出ないのか。でも毎年これじゃあ進歩が無い。次回はもっと早く準備しよう。
とか思っていたら、熊本市内の方には、私の年賀状は元旦に届いたとのこと。なんだ、間に合ったのか。
また油断しそう。

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もう渋滞はこりごり
- 2015/01/04(Sun) -
Uターンラッシュは今日も続いているようですが、ピークは昨日、1月3日の夕方だったそうです。
そしてまさに、昨日のその時間帯、九州自動車道上り線で大渋滞に巻き込まれた車の中に、私はいました。

これまでの人生で私は、帰省やUターンの向きがいつも、世の大多数の人々の移動とは逆方向でした。
なので昨日の午後、高速で熊本から福岡方面に向かおうとしたのも、渋滞経験の無い私の未熟さゆえでした。

まず熊本インターに入ろうとすると、一般道からの入口に車列ができています。ここでようやく渋滞を認識。
並んで待っていると、救急車やら消防車やらが脇を追い越して、高速に入っていきます。暗雲立ちこめます。
やっと料金所に着くと、事故で大渋滞なので福岡方面は菊水インターから乗ってください、とのアナウンス。

あわてて料金所ゲート手前をUターン。2つ先の菊水インターまで、延々と一般道を走ります。
ふとスマホでNEXCO西日本の道路交通情報のサイトを見ると、事故現場は熊本と植木の間らしい。
なんだそれなら、次の植木インターから乗ればいいじゃん。さっそく方針変更。これは見事正解でした。

しかしNEXCOのサイトは、知らなくてもよい情報も与えてくれました。

少し先の南関付近が渋滞し、その先の鳥栖からは太宰府インターまでは大渋滞中と、たたみかけてきます。
おまけに目的地の、鞍手インター付近も事故で渋滞中。これから合計3つの渋滞が、私を待ち受けているのか。

その予想は、悪い方向に裏切られました。渋滞がさらに広がって、南関から古賀までつながったからです。
結局、通常2時間の距離を、7時間以上かけてドライブすることになりました。
今日ニュースを見て知ったことは、昨日のその時間帯のその区間の渋滞は、60kmに達していたそうです。
これで私も、渋滞経験者の仲間入りです。もう、1月3日の午後に高速に乗るような、バカなマネはしません。

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御嶽山も阿蘇山も活火山
- 2015/01/03(Sat) -
年末のテレビ番組で、御嶽山噴火の映像をたびたび目にしました。その御嶽山はかつて「死火山」でした。
しかし私が学校で習った「休火山」や「死火山」という言葉は今はなく、「活火山」に一本化されています。
それなら全部、ただの「火山」でいいじゃん、ていう話ですが、そうでもないらしい。

いま活火山の定義は「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」だそうです。
この「1万年」というのも、だんだんと伸びてきた年数ですが、本当に1万年で十分なのか。

わが家の近所の阿蘇山は、30万年前から9万年前までの間に、4度の大噴火を起こしたことがわかっています。
最近も噴火して、火山灰で車が汚れて困りましたが、9万年前の火山灰は北海道にも10cmほど積もったとか。

たかだか1万年前ぐらいのところに線を引いて、活火山かどうかを決めることに、意味があるのでしょうか。

阿蘇山は、大噴火でマグマが大量に放出された分、山自体が大きく窪みました。これが「カルデラ」です。
外輪山によってグルッと取り囲まれた阿蘇カルデラの径は、南北25km、東西18kmと巨大です。
水が溜まって「カルデラ湖」になっていましたが、外輪山の西側が決壊したので、いまは湖ではありません。

なぜ決壊したかといえば、健磐龍命(タケイワタツノミコト)が蹴破ったから、ということになっています。
カルデラの内部に田畑を造るために、外輪山を決壊させて、湖の水を抜いてしまえ、というわけです。
蹴りを入れた際に尻餅をついて「立てぬ!」と叫んだので、その場所が「立野」と呼ばれるのは有名な話。

しかし健磐龍命が最初に蹴った場所は、破れませんでした。山が二重だったからです。いまの二重峠です。
自転車で豊後街道を走るときに、外輪山を越える二重峠が最大の難所だったことは、以前にも書いた通り。
なのでひどく疲労したサイクリングの帰路では、平坦な立野を走ります。健磐龍命のおかげで楽ちんです。

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子宮頸がん予防はどうなる
- 2015/01/02(Fri) -
「子宮頸がんワクチン、予防か安全性か 問題点をおさらい」とは、今朝の朝日新聞デジタルの見出しです。
さんざん「危険だ」「問題だ」と言ってきた朝日が、いまさら何を、おさらいしようというのでしょう。
新事実が出てきたわけでもないのに、正月早々この話題を出してくるのには、理由がありそうです。

何度も書いてきましたが、子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)の問題は、日本人独特のものです。

日本で使っているHPVワクチンは、世界中で使われているものと同一の製品、つまり輸入品です。
同じワクチンなので副作用も同じ。日本で起きた複合性局所疼痛症候群(CRPS)は、海外でも起きています。
しかし他の国々では今も平然と接種が続けられているのに、日本だけが大騒ぎして接種を自粛する不思議。

国内で毎年3,000人以上という子宮頸がんの死亡数が、ワクチンの普及で1,000人以下になるといいます。
その多数の人命が助かるワクチンであっても、副作用が心配だから接種したくないというのが日本人。
しかし、海外で子宮頸がんが激減する時代が来た時、日本ではまだ多数が命を落とすようなことでいいのか。

それもこれも、マスコミの責任です。副作用発症者の映像を繰り返し報じて、反ワクチン世論を煽りました。
ワクチンに反対する個人や団体が、持論を展開するのはかまいませんが、マスコミには客観性が必要です。

何年か後に日本人は、一時期HPVワクチンの接種を差し控えていたことを、反省するときが来るでしょう。
接種機会を失ったために子宮頸がんを発症した、という人たちが、国に賠償を求める可能性もあります。
マスコミは一転して、なぜ国は、ワクチンの勧奨接種を継続しなかったのかと報じるでしょう。
そうなりそうな雲行きを察知して、徐々にスタンスを変え始めたのが、今回の朝日の記事かもしれません。

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西之島拡大中
- 2015/01/01(Thu) -
お正月にふさわしい、景気の良い話と言えば、小笠原諸島の西之島がどんどん拡大していることでしょう。
一昨年11月の海底火山噴火以来、元の面積の10倍になっているとのこと。
これはすなわち、領土・領海・排他的経済水域が広がっているってことです。景気のいい話じゃないですか。

このまま西之島がどんどん拡大したら、どうなるでしょう。その拡大する方向によって、状況が異なります。

(1)北に拡大した場合
やがて本州、房総半島付近にぶち当たります。西之島は「西之半島」という、やたらに長い半島になります。

(2)東に拡大した場合
東に5000キロ拡大すれば、カリフォルニアあたりに到達します。米国まで歩いて行けます(体力があれば)。

もちろん島は、ひとつの方向に伸びるだけではありません。全方向に面積が拡大していくはず。
約1年で面積が10倍になったというのなら、あと10年で100倍になるのでしょうか。
いやいや、1年で10倍なら、次の1年でまた10倍、その次の1年でさらに10倍になると考えるべきでしょう。

今の面積が2.3平方キロなので、あと8年もしないうちに、西之島が太平洋全体を埋め尽くす計算です。
もちろん日本列島とも結合して、ユーラシア大陸よりも大きな陸地、言うなれば「日本大陸」を形成します。
もう沖ノ鳥島のことで、中国や韓国にとやかく言われることはなくなりますね。これは痛快。

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