腹腔鏡手術問題
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- 2015/04/30(Thu) -
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東京女子医科大学病院と群馬大学医学部附属病院は、「特定機能病院」の承認が取り消されるようです。
女子医大の取り消し理由は、昨年の「プロポフォール問題」です。この件は、前に書きました。 プロポフォールを小児の集中治療で使うことが、本当に責められるべきものなのか、私には疑問です。 それよりも、平成13年の、心臓手術での執刀医のミスを、別の医師になすりつけてカルテを改ざんした問題。 あのときの特定機能病院取り消しこそ、永久取り消しにしてもいいほどの、大問題だったと思います。 群馬大学の取り消し理由は、最近話題の「腹腔鏡手術問題」です。 これはしかし、1人の執刀医の問題と、病院としての問題の2つに分けて考えなければなりません。 そして後者(病院)の問題が大きいとの判断から、特定機能病院取り消しになるわけです。 このニュースを聞くたびに私は、「腹腔鏡」を「ふくくうきょう」と発音していることが気になります。 でもこれはマシな方。なにしろ何年か前までは「ふくこうきょう」と言ってましたから。 医療従事者は「ふっくうきょう」と言います。それ以外の言い方を、医療現場で聞いたことがありません。 考えてみて下さい。「腹筋」は、「ふくきん」ではなくて、「ふっきん」と促音で読むのが普通です。 であるならば当然、「腹腔」は、「ふくくう」ではなくて、「ふっくう」と促音で読むのが自然です。 メディアはどうしてそんなことが、わからないのでしょうね。 |
ギックリ腰
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- 2015/04/29(Wed) -
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芸能ニュースでは、柳沢慎吾のギックリ腰が話題かもしれませんが、その前に、私がギックリ腰です。
昔、ギックリ腰だと思った腰痛は、その数年後に、尿管結石であったことが判明しました。 だから今回が、私の生まれて初めてのギックリ腰なのです。 先週某日、洗顔中のこと。前屈みになったとき突然、腰に「ギッ」という電気が走りました。 瞬時に私は、ギックリ腰と察知し、直ちに腰を伸ばしたため、電気はそこでストップ。 私の腰痛は、ギックリ腰には至らず、「ギッ腰」または「ギック腰」程度で済んだかに、思えました。 ところが痛みは徐々に強まります。さいわいその日は休診日。さっそく某整形外科に行きました。 レントゲン検査で異常なし。診察もそこそこに、コルセット装着と鎮痛剤・湿布薬の処方を受けたのでした。 その後腰痛は、3,4日でほぼ消失。コルセットも内服薬も中止できるまでに改善しました。 さて、腰痛でも肩関節痛でも、急性期を過ぎたらこんどは、適度なリハビリが必要となります。 患部を動かし、筋肉をストレッチし、局所の血流を改善して、病状の回復を促すわけです。 その、血流改善という部分に着目し、それならばと一昨日、深酒に臨んでみたのですが、これが大失敗。 アルコールによる血流改善はどうも、疼痛には逆効果のようです。どうしてなんでしょうね。 |
医者モノのドラマ
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- 2015/04/28(Tue) -
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医者モノのTVドラマは、昔と違って、手術シーンなどにそこそこリアリティーがあります。
おそらくそれは、専門用語をあえてそのまま飛び交わせ、ドラマがテンポ良く展開するからでしょう。 その意味でのリアリティーを私が感じたのは、「ER緊急救命室」が最初だったかもしれません。 専門用語の意味は解説しませんので、想像で補いながら見てください、ということなのです。 だからたまに、専門用語を説明するような口調のセリフが出てくると、リアリティーぶち壊しです。 実際の医療現場で、そのようなわざとらしい会話などありません。用語はテロップで解説すればいいのです。 「DOCTORS2」も「Doctor-X」も「医龍」も、主人公はスーパー外科医です。 そんなヤツはおらん、という人物ばかりですが、まあそれがドラマだからしょうがない。 ツッコミどころ満載でも、面白ければヨシとしましょう。 「Dr.倫太郎」は、堺雅人主演なので期待して見ましたが、どうも私の趣味ではありませんでした。 「医師たちの恋愛事情」は、外科医が主人公らしいですが、タイトルがもうダメです。 「総合診療医ドクターG」は、ドラマじゃないのに、ドラマのように展開するところが面白いですね。 手術という見せ場のある外科医とは異なり、内科医の診察過程は地道ですが、興味深く見せてくれます。 メスを手にした真剣勝負が手術なら、病因を追い求める診察は頭脳戦。 外科医がアクションドラマの主人公なら、内科医は推理ドラマの名探偵というわけです。 |
病児・病後児保育連絡票
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- 2015/04/27(Mon) -
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いわゆる紹介状(診療情報提供書)には、診療報酬が250点ほど算定できます。これが診療情報提供料です。
ただし、紹介状を書いて報酬を得る(お金を取る)からには、守るべきルールがあります。 (1)診療に基づいていること(ちゃんと診察してから紹介状を書け) (2)紹介する必要性があること(不要な紹介はするな) (3)患者の同意を得ること(勝手に紹介して金取るな) (4)診療状況を示す文書を添えること(名刺の裏に、よろしく、だけでは不可) (5)紹介先医療機関ごとに、患者1人につき、月に1回限り算定できる このうち(1)から(4)までは、当たり前のことばかり。問題となるのは(5)です。 というのも、小児の「病児・病後児保育連絡票」が、診療情報提供書と同じ取扱いだからです。 子どもなんて、月に2度3度と、風邪引いたり、おなかこわしたり、熱を出したりするもの。 そんな時、お母さんがたびたび仕事を休まずに済むためにあるのが「病児・病後児保育」制度です。 そしてその保育のために必要な書類が、「病児・病後児保育連絡票」というわけです。 そころがその大事な書類なのに、月に1回しか保険が利かないって、いったいどういう了見なのでしょう。 市役所に問い合わせたところ、2回目の病児・病後児保育連絡票の話となると、なぜか口が重いのです。 担当者曰く、2回目の連絡票は、次のいずれかの方法で対処してくださいと。つまり、医療機関に丸投げです。 (A)料金は患者さんに全額自費請求する(高額なのに?) (B)料金は医療機関が負担する(つまりサービスしろと?) (C)連絡票そのものを書かない(そりゃひどい) このうち(A)は混合診療となるので、厚生局が難色を示しています。 さらに(B)は割引診療となり、これも厚生局に目を付けられかねません。 しかし(C)は、医師の良心に反する行いです。 結局、前述した(5)の制限が、医療現場の実情に合わないということです。 「かかりつけ医」を増やそうという政策であるのなら、病診連携を妨げる規定を作らないでいただきたい。 |
レモンジーナ騒動
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- 2015/04/26(Sun) -
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サントリー食品がまた、新発売の飲料「ヨーグリーナ」の供給が需要に追いつかず、出荷停止騒ぎです。
先日は「レモンジーナ」で、同じように出荷停止したばかり。もう、ちゃんとしーな、と言いたくなります。 需要予測を誤ったのは、発売前にSNS等で知名度が上がったことが原因だと分析されています。 副社長は「ネット時代における新製品の需要予測は、改めて研究し直さなければならない」と間抜けな発言。 いまや新製品の宣伝は、テレビや雑誌などの従来メディアだけでなく、ネットを利用するのが当たり前です。 それを、宣伝にかけては最も定評のある企業であるサントリーが、「改めて研究」するとは驚きます。 むしろ、ネットをフルに利用して、大衆を扇動するぐらいの広告を打つのが、サントリー流じゃないの? と思ったら、ヨーグリーナもレモンジーナも、発売前から積極的にキャンペーンを展開してたようですね。 見事にそれが当たって、情報がネットで拡散し、発売前から買い気配ムンムンの状態になっていたわけです。 メーカーにとって、これほど嬉しい盛り上がりはないでしょう。初期の大ヒットは、約束されたも同然。 それなのに、品不足。アホですか。清涼飲料ぐらい、大慌てでちゃっちゃと作りなさいよ。 一昨日発売されたばかりのApple Watchも、Apple新製品の例にたがわず、品不足です。 「品薄商法」と揶揄されても仕方ないですが、需要予測を誤ったサントリーとは理由が違います。 Appleは製品の完成度を上げるために、ギリギリまで改良を加えるものだから、生産が間に合わないのです。 意外とAppleも、きわどいことやってますよね。 |
ガンジー牛乳を求めて
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- 2015/04/25(Sat) -
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朝晩食べている自家製ヨーグルトの原料は、いつも「阿蘇小国ジャージー4.5牛乳」です。不満はありません。
不満はないけど変化がほしい。人間の欲望にはキリがありません。となると次は「ガンジー牛乳」でしょう。 ガンジー牛とジャージー牛の原産地は、ともに英国海峡の、それぞれガンジー島とジャージー島です。 Googleマップで見るとこれらの島々は、フランス寄りに位置しています。ていうかほぼ、フランス沿岸。 なのにフランス領ではなく、かといって英国領でもない。英王室の直轄地だそうです。何それ? 島を領有していたフランスのノルマンディー公が、後にイングランド王になった、というのが経緯らしい。 脇道にそれてしまいました。ガンジー牛乳を求めて、久住まで車でドライブした話をするのでした。 昨日は晴天。ミルクロードを快走すると、野焼き後の「黒阿蘇」はすでに、新緑に覆われていました。 遠くには中岳からの噴煙が立ち上り、東にたなびいていました。草を食む、たくさんの赤牛も見かけました。 ドライブが快適すぎて、ミルクロードから阿蘇スカイライン方向に曲がり損ねましたが、かまわず直進です。 話はすぐ脇道にそれるくせに、運転は頑固一徹。何があろうと後戻りはせず、ひたすら前に進みます。 その直進路には、マゼノミステリーロードという名前が付いていました。いつか自転車で来てみたい道です。 曲がり損ねたために、だいぶ大回りになりましたが、小国から東に曲がって、黒川温泉経由で久住に到着。 雄大な景色で、阿蘇とはまた趣の異なる久住高原に、目的地・ガンジーファームがありました。 ガンジー牛乳は1本(900ml)1,080円(税込み)と、なかなかのお値段。常用にするのは無理。 わずかに黄色味を帯びていて、濃厚な味をイメージしますが、とてもまろやかでコクがある。美味です。 もちろんヨーグルト(自家製)は、得も言われぬ上品さとなめらかさを併せ持つ、絶品に仕上がりました。 |
首相官邸のドローン
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- 2015/04/24(Fri) -
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ドローンが、首相官邸の屋上で発見された事件が、波紋を広げています。
関与を認める男性が、福井県警小浜署に出頭したとか。原発政策への抗議だったとも、報じられています。 出頭したのがオバマ署というところが、訪米前の安倍首相へのメッセージだったのかどうかは不明です。 日本はいつも、先進技術に関わる対応が後手後手。ようやく今後、ドローン規制の法整備が加速しそうです。 これからドローンで悪事を働こうと考えていた方にとって、今回の一件は、まずい事案です。 とは言え、テロや犯罪行為にドローンを使う人間には、ドローンを法律で規制しても影響は少ないでしょう。 どっちみち、法に反してドローンを使うからです。 直接影響を受けるのは、仕事でドローンを使う人。使用や所有が、許可制や免許制になるかもしれません。 もっと困るのは、趣味や遊びでドローンを飛ばしている人たちです。免許制は敷居が高い。 従来のラジコンも含めて、無線コントロールによる飛行体はすべて、規制されてしまうことでしょう。 法整備が出遅れたものだから、逆にやみくもに厳しく規制するようなことも、あり得ます。 さて、どこまでが規制対象になるのでしょう。 (1)無線操縦による飛行体:間違いなく対象 (2)自律飛行をする飛行体:ドローンには違いないので規制対象でしょう (3)有線操縦による飛行体:昔なつかしい「Uコン」とか、それこそ凧もヘリウムガス風船も含まれるかも おそらく有線は対象外でしょう。でもうっかり風船から手を離すと、違法行為とみなされるかもしれません。 ヒモはしっかり握りましょう。手を離す予定の風船には、自律飛行体運用許可申請手続等が必要です。 |
使用上の注意の改訂
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- 2015/04/23(Thu) -
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医薬品には「使用上の注意」という重要な情報が、「添付文書」に記載されています。
市販後に報告された副作用などの情報が、随時盛り込まれるので、たびたび改訂されます。 改訂されるたびに医薬品メーカーは、「使用上の注意改訂のお知らせ」という文書を、送ってきます。 全国約11万の医療機関と、約5万5千の薬局すべてに、おそらくその文書は郵送されているはずです。 そして、そのような文書は、ほぼ毎日のように、各医薬品メーカーから、送られてきます。 使用上の注意だけではありません。薬の箱のバーコードやシールに変更があれば、いちいち連絡してきます。 当院は院外処方なので、そのような医薬品の箱など見ることもないのですが、とにかく文書が届きます。 どれだけ膨大な文書の数なんでしょう。メール配信で済ませるわけにはいかないのでしょうか。 印刷や送付作業がムダ、郵送料も余計なコストだし、紙もムダ、ゴミも出る。 毎日毎日、いくつもの封筒を開封して、中身をチラ見して、ゴミ箱に捨てる、こちらの身にもなってほしい。 一定の形式のメールで送ってくれば、閲覧は簡単だし、保存管理もしやすいのに。 希望する医療機関にだけ文書を郵送し、それ以外の機関にはメールだけ配信する。それがエコでしょう。 もちろん、メール配信の機関には、送料等のコストが浮いた分、なにがしかの特典もあってしかるべきです。 |
負けず嫌い論
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- 2015/04/22(Wed) -
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私が「負けず嫌い」だと先日書いたところ、知人から次のようなご意見を頂戴しました。
「負け嫌い」ではなく「負けず嫌い」。どうして「ず」が付くのか。納得のいく説明をせよというのです。 面倒くせえ、とは思いながらも、この際、考えをまとめてみました。 手元の辞書には「『負け嫌い』と『負けじ魂』などの混同」とあります。誤用が定着したというわけです。 実につまらない説明です。だいいち、そのように思って、われわれは「負けず嫌い」を使ってはいません。 似た表現に「食わず嫌い」がありますが、「負けず嫌い」とは明瞭な違いがあります。 食わず嫌いは、食べてもいないのに嫌い、という意味であって、まだ食べてない。でも、食べる前から嫌い。 負けず嫌いは、負けたのにそれを認めたがらない、という意味でしょう。もう負けたけど、その状態が嫌い。 負けを認めたくない、自分は負けていないと思う余り、勢い余って打ち消してしまった、そんな感じです。 つまり、「負けず」+「負け嫌い」=「負けず嫌い」というニュアンスです。結局、辞書と同じでした。 次回は「食べず嫌い」と「おかず嫌い」の違いについて考察します(うそ)。 |
飲んではいけない薬か
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- 2015/04/21(Tue) -
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また週刊文春が、「飲んではいけないジェネリック医薬品」などという、挑発的な記事を出しています。
「ジェネリックに変更したとたんに、薬疹が出た。その薬を止めたら、薬疹がおさまった」 このようなセンセーショナルな事例を、記事の冒頭に再び掲げています。 たしかにそのようなケースがあったのでしょう。当事者にとっては、それが事実なのでしょう。 しかし、数少ない事例のインパクトを利用して、ジェネリック全体をおとしめるやり方は、いかがなものか。 これはちょうど、衝撃的な副作用映像を報じて、子宮頸がん予防ワクチンをバッシングした手法と同じです。 たとえ、その薬に何らかの問題があったとしても、それを立証するには、統計学的手法を用いるべきです。 先発品と後発品(ジェネリック)の内服患者を、おおぜい比較検討してこそ、正しくモノが言えるからです。 「ジェネリック薬のほうが、薬疹が出やすいという印象を持つ医師や薬剤師は少なくない」 こんな非科学的な文章を平気で書くから、週刊誌の地位が、いつまでたっても上がらないのです。 「印象」という主観的な評価を、「少なくない」医師や薬剤師が持ったところで、何も立証できません。 医学は科学です。ジェネリックは先発品より劣っているのか、そうでないのか、先入観なく評価すべきです。 たしかに、製法やドラッグ・デリバリー技術など、先発メーカーには優れたノウハウが蓄積しています。 しかし個々の医薬品となると、ジェネリックの方が、先発品よりも優れているケースもあります。 たとえば、ある子ども用の抗生剤は、味の良いジェネリックの方でなければ飲めない子どもがいます。 先日TVで観た映画「チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像」では、興味深いシーンがありました。 薬を飲み始めて体が痒くなった患者が、薬をジェネリックに変えたら、痒みが消えたというエピソード。 冒頭の、週刊文春の記事とは真逆の事例です。このような経験は、実際に私にもあります。 そんなシーンをあえて盛り込んだのは、原作者である海堂尊氏からのメッセージなのかもしれません。 |
Watchを待つ日々
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- 2015/04/20(Mon) -
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発売間近なのに、Apple Watchの公式サイトから「4月24日発売」の記述がひっそり消えた、という話。
品薄で早期の入手がきわめて困難なため、「4月24日発売」では事実上の誤表示になるからなのでしょうか。 それじゃ、私が発注したWatchは、いったいいつ届くのか。 Apple Storeサイトの「ご注文一覧」を見て、「お届け予定日」を毎日何度も確認する日々です。 いまの時点ではまだ「5/11-5/22」となっています。何度見ても変わりません。 100回見たら納期が1日早くなる、というシステムになりませんかね。 注文履歴のページでは、「商品のキャンセル」というボタンがひときわ目立ち、幅を利かせています。 このページを見るたびに、そのボタンをうっかりクリックしないように、とても気を遣い、指が震えます。 6月頃までは、アップルストアでの店頭販売も行わないとのこと。販売はオンラインのみ。 店に在庫があるからこそ「ストア」じゃないのか、と思いますけどね。それこそ、本末店頭(転倒)です。 伊勢丹とソフトバンクがどうも、抜け駆けしそうですが、どうせ在庫はわずか。すぐ完売でしょう。 さて、予約時には人気があっても、発売後の評価・評判と、その後どのぐらい売れ続けるかが問題です。 iPodやiPhoneやiPadのように、大化けするかどうか、まだわかりませんね、今回ばかりは。 |
地球外生命体発見へ
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- 2015/04/19(Sun) -
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NASAの科学者が、今後20年以内に地球外生命体を発見できる、と語ったそうです。
最近になって、木星の衛星エウロパや土星の衛星エンケラドスで、「海」の存在が確認されたからです。 海があるのであれば、地球と同じように、長い年月の間にきっと生命体が生まれているはず、という理屈。 何億年もかけて生み出すわけですから、まさに「海の(生みの)苦しみ」とでも申せましょう。 たしかに、無生物から生命が誕生するというのは、神秘的ですが、でも本当にそんなことが起こりうるのか。 南極に落ちた隕石から、DNAの構成要素、アデニンとグアニンが見つかったという話は、以前書きました。 DNA自体が地球外からやって来たとすれば、これはもう、地球の生命誕生の根幹を揺るがす一大事です。 「たんぽぽ計画」という名の実験が、来月から国際宇宙ステーションの実験棟「きぼう」で始まります。 この研究で解明しようとしているのは次の2つ。 (1)生命(微生物)が地球から脱出して他の天体(火星や木星など)に到達できるかどうか (2)生命の起原以前に有機物が宇宙から地球にやってきた可能性がどれくらいあるのか たんぽぽ計画によって、地球の生命の起源がはたして海なのか宇宙なのか、その白黒が付くかもしれません。 地球上の生命を育んだ、母なる海が、生みの親ではなかったとすれば、ショッキングな話です。 おまけに、その宇宙から来た生命体が、どこでどのようにして誕生したのか、その疑問も残ります。 結局、宇宙でいちばん最初の生命体って、どうやって誕生したのでしょうね。 ビッグバンの前に、そこに何があったのか。その疑問にも似ています。 |
雪辱を晴らす?
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- 2015/04/18(Sat) -
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「雪辱を果たす」と「雪辱を晴らす」
雪辱という言葉が「辱めを雪ぐ(すすぐ)」の意味なので、後者は誤用とされています。 晴らすが果たすに似ていることから、混同しやすいのでしょうか。晴らすのは屈辱です。 「名誉挽回」に対して「汚名挽回」も、似たような誤用の例です。 とは言え、汚名を返上すれば名誉を挽回することになるので、「汚名挽回」でもニュアンスは伝わります。 汚名挽回と言ったところで、日常会話には支障ありません。言葉にうるさい人間が、少々いらつくだけです。 「的を射る」と「的を得る」とでは、誤用とされる後者にも、ほとんど違和感を感じません。 射ることで的をモノにする、みたいな印象があるからでしょうか。文法的にも大間違いとは思えません。 明らかに間違った言葉は、原則として、それを聞いた人や読んだ人によって、その都度訂正されるべきです。 しかし誤用しても意味がおおむね正しく伝わる言葉は、だんだんとそのまま定着していくのかもしれません。 少なくとも、言葉の表現や解釈や使われ方が変わることは、「言葉のゆれ」として許容されます。 私はむしろ、言葉のゆれには肯定的、あるいは積極的です。敢えてグラグラゆらしたいぐらい。 時代をさかのぼれば、言葉の大半は外来語といわれます。多くは中国から入って来ています。 古代以来の日本人がそれを受け入れて、今日まで使い倒してきただけの話。 その過程で、ことばがゆれ、誤用され、別の外来語も入り、どんどん進化して現在に至るわけです。 そもそも日本人はみな、列島の外からから来た移住者の末裔です。国民全員が、外国出身です。 人類が、混血や突然変異で進化してきたのなら、言葉の進化は、外来語とゆれによって起きるのでしょう。 よくある誤用やおかしな若者言葉でも、淘汰されずに残るのであれば、それを進化と言うのかもしれません。 |
なすび記念日
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- 2015/04/17(Fri) -
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4月17日は「なすび記念日」だと、今朝の「金曜言葉塾」で言ってました。
417だから「よいなす」という、こじつけ。これだけだと、あまりにも苦しいところ。 それに加えて旧暦の4月17日は、茄子が好物だった、徳川家康(1543ー1616)の命日だそうです。へえ。 家康と同じ1616年に亡くなった人物なら知っています。シェイクスピア(1564ー1616)です。 中学1年の時、英語の先生が教えてくれました。「人殺しいろいろ」と覚えるのだと。なるほど。 「なすび記念日」ですぐに連想するのは「サラダ記念日」ということになります。俵万智の歌集の名前です。 その代表作ともいえる短歌が、「『この味がいいね』と君が言ったから○月○日はサラダ記念日」 甘酸っぱくほほえましい、恋人どうしの様子を詠んだものです。さて、何月何日だったでしょうか。 「普通のなんでもない日こそ記念日」との思いから、7月6日にしたらしいですね。だから覚えにくい。 甘酸っぱい思い出を含んだ、青春の善き日々のことを「サラダデイズ」といいます。 生野菜の若々しさや青臭さが、青春の未熟さにも通じるからでしょう。 「サラダデイズ」の出典は、シェイクスピアの「アントニーとクレオパトラ」だそうです。 クレオパトラが、自分の判断力が青臭かったことを述懐するシーンで、 “My salad days” と言うらしい。 奇遇にも、またシェイクスピアです。どうやら彼の時代の英国は、サラダブームだったようです。 で、彼の生年ー没年は、1564ー1616。人殺しいろいろ。もう覚えましたね。 |
負けず嫌い
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- 2015/04/16(Thu) -
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生来の負けず嫌い。争わなければ負けずに済むので、私はなるべく争わない方針で生きてきました。
しかし世の中、競走だらけ。負けず嫌いの人間が負けたとき、口から出るのは負け惜しみです。 長い目で見れば、目先の勝敗などとるに足りない。「負けるが勝ち」なのだと、自分にそう言い聞かせます。 さて、最初の勝負でAが勝者、Bが敗者とすると、負けるが勝ちの理屈ではAが敗者、Bが勝者と逆転します。 ところがもう一度、負けるが勝ちの理論を適用すると、こんどはAが勝者、Bが敗者となります。 これを繰り返せば、AとBの勝敗は、たびたび逆転することになります。 奇数回だけ繰り返せば、勝敗は逆転し、偶数回繰り返せば、勝敗は元通りです。いったいどっちなのか。 結局「負けるが勝ち」は、勝敗をはっきりさせないための、知恵なのかもしれません。 日本人の基本的性質「和を以て貴しと為す」を示したものだと思います。 できるだけ争わない態度こそ、日本人の美徳であり、私にもその血が流れているというわけです。 負けず嫌いの人間って、けっして圧勝もしたくはない、なんとなく引き分けに持ち込みたい人間なのです。 |
ブログ更新連続3年
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- 2015/04/15(Wed) -
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立花隆氏が以前、クローズアップ現代で、「書くことがいちばん役に立つ」と言っていました。
まことにおこがましいことですが、私も最近、同じことを感じています。 私の場合、学術論文はまるで書いていないのに、しょうもない文章だと、わりと筆が進みます。 しかし、このようなブログを書くためにも、それなりの準備と、わずかばかりの努力はしているのです。 (1)調査:常にアンテナを張り、周囲を観察し、世の中の動きに気を配る。つまりネタ探し。 (2)勉強:面白そうなことには食いつき、研究する。でもつまらなければ、すぐに放り出す。 (3)考察:文章という形にしていく過程で、自分の考えをまとめていく。いちばん大事な作業です。 (4)推敲:全体のリズムを整え、誤字脱字などを辞書でチェックする。それでも間違う。 本と比べて、ブログが圧倒的に勝っている点があるとすれば、「閲覧性」だと思います。 (1)誰でも無料で、読みたいときに読むことができる(パソコンかスマホが必要だけど) (2)最新の投稿も、古い文章も、分け隔てなく読むことができ、自由に検索ができる (3)リンクを張ることで、文章どうしを関連づけ、別の投稿へと誘導できる 毎日書き続けている当ブログは、今日で連続更新3年、1095日連続の投稿となりました。 特に目標もなく、ただ毎日、何かを書いているだけです。しかしこうなりゃ、続けられるだけ続けます。 この積み重ねがはたして「雨だれ石を穿つ」か、「塵も積もれば(ゴミの)山となる」だけか。 |
千進法と万進法
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- 2015/04/14(Tue) -
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インドネシアの2014年の名目GPDは、10,095,000,000,000,000ルピアだったそうです。
これだけの桁数の数字を見て、瞬時に、1京95兆ルピアだとわかるのは、銀行員の方ぐらいのものでしょう。 3桁ずつに区切られた表記を、4桁ずつ区切って読む日本語って、ムダにややこしいですよね。 明治時代に入ってきた「千進法」と、それ以前からある「万進法」の共存に、そもそも無理があるのです。 インドネシアでは、1ドル=13,000ルピアまでルピア安になり、数年前から「デノミ」も議論されています。 1,000ルピアを新しい1ルピアにして、財務管理を簡素化して経済効率を改善させようという考えです。 それを上回るのがベトナム。1ドル=2万ドン以上のドン安が、ドンドン進んでいます。 ただしこちらは、輸出を増やして経済成長を促すための、通貨安政策のようです。 ところで、英単語の「denomination」について私は、これまでずっと、勘違いをしてきた経緯があります。 denomination=de-nomination、通貨の命名を替える意味なのかな、ぐらいに思っていました。 英語に厳しい知人から、denominationとは「通貨単位(名)」のことだと指摘され、思い違いに気づいた次第。 デノミの意味では「change of denomination」ですが、日本人がdenomiの部分だけ使っているわけです。 「chaneg of」を省いたのでは意味が逆になるのに、そのことには無頓着なのが、和製英語の面白いところ。 日本語って、言葉の論理よりも語感(語呂)を優先して、大事な部分を省くことがありますね。 たとえば、前にも書いた「認知症」もそれに近い。認知障害=認知症、というのは、オカシな命名法です。 選挙中にも聞かれた言葉「世代交代 change of generation」を、「ジェネ」と言い始める日も近いでしょう。 |
山手線の電柱事故
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- 2015/04/13(Mon) -
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JR山手線で起きた、電柱倒壊事故は、次のように捉えられています。
(1)交通を混乱させ、市民生活や企業活動に大きな影響を与えた (2)一歩間違えると、脱線事故につながったかもしれない (3)2日前から気付いていた電柱の傾きを、JRは甘く見た (4)翌日改修工事をする予定だった、というJRの説明が言い訳に聞こえる (5)老朽化対策の作業によって電柱の強度が落ちていた可能性もあり、人災の側面もある (6)ほかの電柱は大丈夫なのか 京浜東北線の運転士が、その電柱の倒壊にすぐ気付いたおかげで、(2)の大惨事を防ぐことができました。 発見の1分前には、その場所を電車が通過し、発見の3分後には、次の電車が通過する予定だったとのこと。 その4分の間に、電柱が倒れ、しかしただちに発見され、通報され、電車が止まり、事なきを得たわけです。 良かったじゃないですか。 運転士の観察力とJRの危機管理態勢が、大事故を未然に防ぐことができたのです。私はそれを評価したい。 電柱倒壊で思い出すのは、以前も書いたことのある、香川で起きた送電鉄塔倒壊事件です。 故意にボルトを外して倒壊させたものでしたが、犯人はわからずじまいで、とっくに時効となりました。 四国電力への恨みが動機とも言われましたが、その倒壊規模の大きさからは、ヘタしたら殺人罪。 山手線の電柱倒壊は故意ではなかったにしても、こんどは模倣犯が出てこないか、心配です。 |
出がけに投票
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- 2015/04/12(Sun) -
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統一地方選挙の投票日。昨年の衆院選の時の早朝投票で味をしめたので、今日も出がけに投票です。
7時前に行っても待たされることは経験済み。なので今朝は、7時ちょうどに自宅を出ました。 なにしろ投票所は、わが家から車で15秒なのです。 私は4番目でした。残念ながら、投票箱の中身チェックは終わっていたようです。 入場券のハガキを渡して受付し、投票用紙を受け取り、記名して、投票箱に入れ、立会人に会釈して退室。 自宅を出ておよそ1分後には、投票を済ませていたことになります。 選挙権の行使はとても大事なことですが、学生時代に投票したことは、ほとんどありませんでした。 例外は、83年の福岡県知事選。現職の亀井光氏の5選を阻止して、奥田八二氏が初当選したときでした。 選挙ポスターの「奥田はちじ」が、「奥田は知事」とも読める。知事になる星のもとに生まれたのでしょう。 奥田氏は、私が学生時代に学んだ一般教養選択科目のひとつ、社会思想史の教授でした。 単位が取れるかどうかは、試験直後に、授業のノートを提出できるかどうかにかかっていました。 わずかに猶予は数時間。コピーは不可。手書きノートを提出できれば合格です。 コピーしか持っていない多くの者が、単位取得を諦めました。 しかし私は、下宿の友人と手分けしてコピーを書き写し、ノートを作成。無事単位を取ることができました。 そういうわけで、のちに知事選に出馬した奥田先生に、お礼の一票を投じたのでした。 |
発売日の行列廃止へ
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- 2015/04/11(Sat) -
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予約受付が始まったばかりのApple Watchは、すでに品薄だと報じられています。
Appleのサイトで先ほど確認したところ、私が発注したモデルはすでに、発送予定が6月と出ています。 こういうのを見ると、昨日速攻でオンライン予約してよかったと、つくづく思いますね。 Appleの新製品はいつも、発売当初は品薄です。 購買意欲を煽る販売戦略だとして、「品薄商法」とか「飢餓商法」と揶揄する向きもあります。 しかしその側面はあるにしても、2カ月待ちになるほどの品薄にするメリットはないでしょう。 部品の完成度へのAppleの要求が異常に高くて、製造の歩留まりが悪いのが、本当の原因かもしれません。 Apple Storeやソフトバンクの店舗前の行列が報じられましたが、それらはほとんどが、試着のための列。 予約は原則として、オンラインに一本化されています。店舗で予約しても、オンラインと同じ扱いです。 4月24日の発売後以降もしばらくは、予約無しで店舗で購入することはできないようです。 Apple WatchについてAppleは、オンライン販売を推奨する方針のようです。 小売り部門を統括しているのは、昨年バーバリーのCEOからAppleに移ったアンジェラ・アーレンツ氏。 「顧客が製品のために数日間にわたって行列に並ぶことを終わりにしたい」というのが彼女の方針だとか。 Apple Watchに限らずiPhoneも含めて、発売日恒例の行列とお祭り騒ぎは、今後見られなくなりそうです。 |
Apple Watch予約済
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- 2015/04/10(Fri) -
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「Apple Watch」の予約受付が、米、英、加、独、仏、豪、中、香港、そして日本の9カ国で始まりました。
大事な日なので今日はまず、非合法だとは承知していますが、近所の美容室で、散髪しました。 予約受付開始は世界同時刻、米太平洋夏時間 (PDT) 12:01 a.m. 、日本時間で16時01分です。 予約をする前に、購入するモデルを決めておかなければなりません。なにしろバリエーションが多いのです。 今朝からApple Store店舗などで、現物の「試着」が始まったようですが、もう間に合いません。 「見た目」と「値段」と「評判」で決めるしかありません。 某ITサイトを見て、事前人気ランキングを確認。なるほど、あれが一番人気ですか。じゃあ、別のを買おう。 さて、自宅リビングに3台のMacを集結させ、Appleのサイトを開いて、その時を待ちます。 16時01分、サイトの表示には、まだ変化無し。むろん、予定通りに受付が始まるとは、思っていません。 このようなことはすでに経験済みです。以前MacProで予約可能となったのは、予定時刻の20分過ぎでした。 じっと待っていると、16時13分、突然、予約が可能になりました。急げっ! ただちに希望モデルをクリック、Apple IDを入力、配送先と支払方法をチェック、確認、完了、16時14分。 「お届け予定日」はなんと、5月11日から5月22日とのこと。思いのほか待たされますね。 |
正確な発言と記述を
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- 2015/04/09(Thu) -
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医療の現場では、医師は全面的に信頼されているのであり、その信頼に応えるのが医師の義務です。
そのために医師がなすべきことは、診療が正しく誠実であるか、ということに尽きると思います。 長年の経験と豊富な知識に裏打ちされた、真摯な態度、的確な判断、丁寧な説明が、診療に求められます。 しかし最近、私が反省しなければならないのは、最新の医学論文などを、あまり読まなくなったことです。 ましてや、学会活動(学会への参加、症例報告、研究発表など)も、ずっと怠っています。 学会で報告されたさまざまな新知見は、その1年後に論文となり、さらにその1年後に専門書に載ります。 書籍を読んで得る医学知識と、学会で目にする情報とでは、ずいぶんとギャップがあるのです。 そのようなことを反省しつつ、今年度は少しでも学術的な活動をしたいと、あらためて考えた次第。 ブログなど、ほどほどにしとけ、と言われそうですが、これについてはまあ、ご容赦を願います。 私と世の中(の一部)をつなぐ、コミュニケーションのひとつなので。 しかし、ブログにしてもメールにしても、外へ向けて発信する以上、その内容は正確でなければなりません。 いちど発信されたデジタル情報は、場合によってはどんどん拡散し、訂正も削除もかなわなくなります。 その意味で、私の文章の誤りや問題点に気付かれた方は、傷の浅いうちにどうぞ、ご指摘ください。 今後もいっそう精進しつつ、当ブログもできるだけ中断しないように頑張ってまいります。 長くなりますが、ここで敢えて、今年の東大教養学部の卒業式での、石井学部長の式辞をご紹介します。 昔、東大総長が語ったとされる「肥った豚よりも痩せたソクラテスになれ」という発言に触れています。 じつはこの「名言」は、次の3つの点で誤りであると。受け売りですが、かいつまんで書くとこうです。 (1)もともと東大総長のオリジナルではなく、引用文だったのに、マスコミが総長の発言のように報じた (2)オリジナルの文と総長の原稿は、表現も内容もかなり異なっていた (3)総長は原稿のこの部分を読み飛ばしていたのに、マスコミは総長の発言ではなく、原稿文を元に報じた 総長のオリジナルでもなければ、そもそも発言すらしていない「名言」が、一人歩きしたというわけです。 「必ず一次情報に立ち返って自分の頭と足で検証してみること」学部長のこの言葉が、私にも刺さりました。 |
胃酸を吐く
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- 2015/04/08(Wed) -
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胸痛を訴えて来院する方はたいてい、心臓のことを心配しています。
「今朝から左胸の痛みが続きます」「2,3日前から心臓が圧迫されています」 このような症状の場合は心臓の痛みではなく、おそらく逆流性食道炎です。 しかし心臓病の心配は、(1)証拠を示して、(2)理詰めで、(3)実証しなければ、解消されません。 (1)心電図検査をします。胸痛持続中の心電図に異常がなければ、狭心症や心筋梗塞の疑いはゼロです。 (2)その説明に納得した瞬間から、症状がなんとなく軽くなります。安心することが、何よりも大事です。 (3)逆流性食道炎の薬を処方すると、数日で治ります。効いたことがすなわち、心臓病ではなかった証拠。 逆流性食道炎の症状は、胸やけ、ゲップ、呑酸(どんさん)、のどのイガイガ、咳など。胸痛もそうです。 呑酸というのは、胃酸がのどや口まで上がってくることです。でもなぜ「呑酸」と言うのでしょうね。 空気を呑み込んでゲップの原因となる「空気嚥下症」のことを、「呑気症(どんきしょう)」と言います。 空気を呑むから「呑気」、これはわかります。なのになぜ、胃酸をもどすことが「呑酸」なのでしょう。 吐いた挙げ句に、結局呑み込むからなのでしょうか。どうも釈然としません。 私もひところ、夜中の呑酸に悩まされていた頃があります。呑み込んだ胃酸は、ひどく酸っぱいものでした。 しかし胃酸の量が多くて、口の外まで吐き出してしまったこともあります。これでも呑酸なのでしょうか。 もやは「吐酸(とさん)」と言うべきでしょう。 「吐く」つながりで話は飛びますが、「嘘をつく」を「嘘を吐く」と書くことを最近知りました。 息を吐(は)いても、ため息は吐(つ)きます。正論は吐(は)きますが、悪態は吐(つ)きます。 口から何かを出すとき、その量が多ければ「吐く(はく)」、少量なら「吐く(つく)」のように思えます。 呑酸(あるいは吐酸)の場合の胃酸は、「吐く(はく)」なのか「吐く(つく)」なのか。 |
午後4時1分の謎
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- 2015/04/07(Tue) -
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「きのうの夜2時から、急に熱が出たのです」
急な発熱や腹痛などの症状は、その発症時期を明確にすることが、問診の第一歩です。 冒頭のような訴えがあった場合、私は念のため、やんわりと、確認をしなければなりません。 「きのうの夜2時というのは、今日の午前2時ということですね」 多くの方にとって、「午前2時」は「きのうの夜」であって、「きょうの夜」とは言いません。 つまり「きのうの夜」とは、「昨日から今日にかけての夜」という意味であり、日付が昨日とは限りません。 なので「きのうの夜2時」は、「きのうの夜」かつ「2時」という時刻を指す表現、ということになります。 同様に悩ましい時刻表現に、「午後12時」があります。通常これは「午前0時」と同じ意味です。 いったいその瞬間は、午後なのか午前なのか。たとえ法令で規定することはできても、感覚的には曖昧です。 さらにその1分後は「午後12時1分」とも言いますが、通常は「午前0時1分」を使います。 ややこしいのは英米式表現。夜中の12時は「12:00 a.m.」であり、日本の「午後12時」とは真逆です。 混乱しやすいそうなので、それを避けるために「12:00 Midnight」などの表記が推奨されているとのこと。 ただし「12:00 a.m.」を過ぎたら確実に午前。「12:01 a.m.」なら、昼か夜かを迷う人はいないそうです。 発売が待ち遠しいApple Watchは、4月10日に世界9カ国で同時(同時刻)に、予約の受付が始まります。 開始時刻は日本時間で「午後4時1分」。米Appleのサイトを見ると「12:01 a.m. PDT」とあります。 4月10日(金)の休診日の夕刻は、万全の態勢で、ネット予約に臨まなければなりません。 「4時1分」というのが中途半端ですが、米国人を混乱させないための「1分」というわけですね。 |
評価はすぐ変わる
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- 2015/04/06(Mon) -
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モノや人を評価するときには、客観的な評価と主観的な評価があります。
とくに職員を雇用する際の面接では、履歴書等の内容よりむしろ、印象という主観的評価を重視しがちです。 しかし、先入観と現実とのギャップが大きいと、主観的評価を誤りやすいという問題があります。 たとえば、期待していなかったのに、面談してみると思いのほか好印象だと、格段に評価が上がります。 その逆に、たとえば学歴・職歴・資格等が申し分ない方の面談態度が悪いと、ひどくがっかりします。 これは、合理的判断が不得意で、情に流されやすい、日本人に特有の性質かもしれません。 ガキ大将が、校庭のサルビアに人知れず水をやっていたりすると、彼の評判は、にわかに好転します。 逆に、清廉潔白で売り出していた若手政治家は、ちょっとした軽犯罪事件によって、評判が地に落ちます。 誠実な医療を何十年と行ってきた医師でも、最後に起こした過失で、すべてを失ったりします。 全体を客観的にとらえるのがヘタで、直近の出来事に慌てふためく日本人は、大事なことを見失いがちです。 いまだに勧奨接種が中断している、子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)など、その典型でしょう。 子宮頸がんを予防できると評判だったのに、副反応報道の映像によって、評価が逆転してしまいました。 海外でも同じような副反応が、同様の頻度で起きていますが、このような対応をしたのは日本人だけです。 |
USBからのウイルス感染
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- 2015/04/05(Sun) -
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「Appleの新しい『MacBook』のおかげで、NSAは大喜び」
最近見かけた、IT系の記事ですが、私の好きなキーワードが2つ揃っていますね、AppleとNSA。 新しいMacBookには、USBとHDMIと電源端子も兼ね備えたUSBの新規格「USB-C」が採用されています。 そのおかげで、MacBook本体は超スッキリ。側面には、USB-Cとヘッドフォンのポートしかありません。 そのかわりに、同時に接続できる機器は1つのみ。USB機器と充電アダプタの同時使用すらできません。 便利なのか、多分不便でしょう。こんなデザインは、Appleにしかできない、究極のミニマリズムです。 最近、USBコネクタ先端に組込まれている、コントローラーチップへのウイルス感染が問題になっています。 この部分がウイルスに感染したら、ウイルス駆除ソフトでも、見つけることはできません。 プリンタケーブルでもマウスでも充電ケーブルでも、安易に貸し借りすると、感染する危険があります。 MacBookの問題は、なんでもかんでも、USB-Cポートの1カ所で行うことです。 そして例のNSAは、パソコン用の重要機器に、NSA用バックドアを仕込んだという前歴があります。 Appleのミニマリズムのおかげで、NSAの侵入経路がシンプルになったと、そういう見方もあるわけです。 パソコンにUSBケーブルを挿すたびに、次々とウイルスが感染していくなど、恐ろしい話です。 私が生まれた頃、予防接種の注射針が使い回しで、肝炎ウイルスが次々と感染したという話を思い出します。 |
ようやく麻疹排除
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- 2015/04/04(Sat) -
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日本が「麻疹排除」の状態であると、このたび国際機関によって認定されました。
「麻疹排除」とは聞き慣れない言葉ですが、「土着株による麻疹の感染が3年間確認されないこと」が基準。 「土着株」の方がもっと聞き慣れませんが、「外国から持ち込まれた麻疹ウイルスを除く」という意味です。 韓国に遅れること9年。昨年はWHOに認定を却下され、今年ようやく日本も麻疹排除を達成しました。 2008年には1万1千人の麻疹患者が発生し、欧米諸国からは「麻疹輸出国」と恐れられていた日本です。 ところが、麻しん/風しん混合ワクチンの定期接種制度を完備したら、2009年の患者数は740人に激減。 どうしてもっと早く、予防接種を徹底しなかったの、ていう話です。 ようやく麻疹輸出国の汚名も返上できますが、輸入ウイルスの危険があるので、予防接種はずっと必要です。 記憶に新しいのは、ワクチン先進国であるはずの米国で、去年から麻疹が流行しているというニュース。 カリフォルニア州のディズニーランドに、観光客が持ち込んだ麻疹が、一気に広がったとされています。 権利意識の高い米国で、「予防接種の拒否権」を行使する親が増えつつあるのが原因とも言われます。 ワクチン先進国に仲間入りしつつある日本ですが、米国のマネをすれば良いというものでもありません。 |
倍耐力タイヤに交換
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- 2015/04/03(Fri) -
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車の定期点検で、タイヤがすり減っていると指摘されたのに、ケチなのでそのまましばらく乗っていました。
がしかし、思い直して本日、4本とも交換しました。やっぱり安全第一。安全は足元から。 それにしても、走行中にタイヤはどのぐらいの速さでグルグル回っているのでしょう。計算してみました。 まず、タイヤの直径 = ホイールの直径 + (タイヤの高さx2) 、タイヤの高さ = タイヤ幅 x 扁平率、です。 これよりわが愛車のタイヤの直径は661ミリと判明しました。よって、1周すると2077ミリ進みます。 時速100kmで走行中なら、1秒間に27778ミリ進みます。このとき、タイヤの回転数は、毎秒13.4回転。 答は出ましたが、だからどうした、というところでしょうか。とくに感慨はありません。 タイヤのメーカーには、少々こだわりがあります。今のご時世、東洋ゴムは、避けたい。 他の国産メーカーは、品質ではまったく問題ありませんが、どうも名前がオシャレじゃないのです。 今まで履いてきたコンチネンタル(ドイツ)も好きじゃないし、グッドイヤー(米国)はもっとイヤ。 どうせ選ぶなら、ミシュラン(フランス)とかピレリ(イタリア)でしょう。なにしろ名前がオシャレ。 悩んだ末、ピレリに決めました。長友佑都が所属するインテルのスポンサー企業というところが決め手です。 ところが、そのピレリが、中国企業(中国化工集団)に買収されることになったと、先週報じられました。 なんてことですか。タイヤを発注する前に知りたかった、その情報。これでオシャレ度急降下です。 タイヤのロゴも、ピレリの中国語表記「倍耐力」になるかもしれません。耐久力はありそうですけどね。 |
民法改正と年齢規定
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- 2015/04/02(Thu) -
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民法が120年ぶりに、抜本的に改正される動きです。われわれの生活にも、大きく関わることでしょう。
ただ残念なことに、年齢についての規定が、このたび見直されるという話は聞きません。 新年度、子どもたちは進級しましたが、民法の規定のせいで、学年の定義がおかしな具合になっています。 学年定義の基本となるのは、義務教育について規定した、学校教育法第十七条です。 「満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初め」から小学校に就学させる、となっています。 一方で民法の規定では、これまで何度も書いてきたように「年齢が増えるのは誕生日の前日」です。 よって、昨日が6歳の誕生日だった子は、おととい6歳に達したので、今年度からすぐ就学となるわけです。 このようなカラクリで、4月1日生まれの子は、3月生まれの子と同じく「早生まれ」グループに入ります。 麻しん/風しん混合(MR)ワクチン第1期接種の対象者においても、次のような混乱があります。 (1)「生後十二月から生後二十四月に至るまでの間にある者」 これが予防接種法施行令による規定 (2)「1歳の誕生日から2歳の誕生日の前日まで」 これが一般人の常識的な解釈 (3)「1歳の誕生日の前日から2歳の誕生日の前々日まで」 これが民法による解釈 もともと厚労省は(3)の解釈でしたが、熊本市などの自治体は(2)の解釈も、認めていました。 厚労省は昨年「定期の予防接種における対象者の解釈について」という通知を出しました。それによると、 (4)「1歳の誕生日の前日から2歳の誕生日の前日まで」 これはつまり(2)と(3)の和集合です。 お役所にしては、ずいぶん寛大な決着です。がしかし、混乱の元凶は民法の規定にあるのです。 民法を抜本的に改正するのであれば、年齢規定もぜひ、常識的な解釈にしてほしいものです。 |
予約システム更新
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- 2015/04/01(Wed) -
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当院のインターネット診療予約システム「アイチケット」を、新バージョンに更新しました。
開院以来、ずっと使ってきたシステムですが、今日から抜本的に新しくなりました。 予約を入れる側(患者さん)からは、見た目が変わって、戸惑った方がいるかもしれません。 しかし運用する側からは、ずいぶん使い勝手が改善しました。いろんな新機能が、盛り込まれています。 「空番(からばん)」もそのひとつ。内情を明かすことになりますが、空番について説明しましょう。 アイチケットは順番予約方式です。受付順に自動的に、1番から番号が振られていきます。 ところが、たとえば喘息発作、胸痛、痙攣、脱水、熱傷など、すぐに診察の必要な方もいます。 こういった場合には、予約の有無や順番に関係なく、最優先で対応しなければなりません。 そうすると、すでに予約して順番をお待ちの方の、診察の順番や時間が、どんどんずれていきます。 そこで、あらかじめアイチケットの、たとえば5番、10番、15番などに、空きの番号を作っておくわけです。 これを「空番」と呼んでいます。これまでは、当院スタッフが手動で、その枠の確保を行ってきました。 言ってみれば、患者さんと職員の、順番取り競走が、毎日行われていたわけです。 この空番を、予約開始前に、あらかじめ設定しておくことができるのが、新バージョンの嬉しいところ。 空番なんて、当院だけの工夫かと思っていましたが、新バージョンからは正式な仕様となったわけです。 みんな考えることは同じだったのですね。 |
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