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ホテルオークラ建て替え
- 2015/08/31(Mon) -
ホテルオークラ東京の本館が、本日をもって閉館し、明日から、高層ビルへの建て替えが始まります。
文化的な価値も高く、取り壊し見直しの嘆願運動も起きるほどでしたが、計画通り進められるようです。

欧州のみならず、日本よりも歴史の浅い米国ですら、開業から100年以上の老舗ホテルが温存されています。
日本は寺社仏閣は温存しても、実用的な建造物を、最初の形のまま使い続けるという発想が足りません。

お前には関係ない話だろう、と言わないで下さい。私も1回だけ、オークラに宿泊したことがあるのです。

バブル真っ盛りの、1990年のことです。
当時、製薬会社主催の研究会には、旅費も宿泊費もメーカー負担で参加していました。古き良き時代でした。

ある医薬品の臨床治験に関わっていた関係で、メーカー主催の検討会のために、たびたび上京していました。
どういうわけか、東京の宿泊ホテルは毎回異なり、いつも一流。そのうち1回が、ホテルオークラでした。

タクシーで到着すると、まずその外観の風格に圧倒されたのち、メインロビーで度肝を抜かれます。
後にも先にも、これほど迫力があるロビーには、お目にかかったことがありません。
迫力があるのに威圧されるわけではなく、和風のたたずまいなのにインターナショナルな雰囲気でした。

あのような圧倒的な、日本モダニズムの空間が、はたして新しいホテルに引き継がれるのでしょうか。
外観もそう。多少個性を持たせたとしても、高層ビルというのはたいてい、似たり寄ったりになりがちです。

都心の一等地に、あえて低層ビルでいくという、これ以上ない贅沢な選択肢はなかったのでしょうか。
地上11階のまま、そのかわり地下50階建てにする、っていうのはどうでしょう。氷山みたいなビルです。

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江津湖花火大会
- 2015/08/30(Sun) -
荒天のため順延された、熊本の「江津湖花火大会」ですが、今日はなんとか開催できたようです。
勤務医の頃は、会場が市民病院の真ん前なので、この花火大会はよく見ていました。病院の窓からですが。

さて昨日のこと。私は花火を見に行く予定はなかったものの、心配になるぐらい、ひどい雨でした。
午後からどんどん雨脚が強まり、どう考えても無理だろうと、熊本市のサイトを覗いてみたのです。

すると、14時半時点の公式Facebookページには、「予定通り実施」「雨具をご準備下さい」とあります。

夜には小雨になるという予測なのか、あるいは翌日に順延しても、どうせ雨が続くだろうということなのか。
他人事ながら気になって、その後も診療の合間にちょくちょくFacebookを確認していました。
ほとんど土砂降りになっても、まだ「順延」の表示が出ません。これで花火をやるとは、熊本市は鬼なのか。

公式Facebookページには、大雨の会場で待っている市民の、悲鳴のようなコメントが次々と投稿されました。
17時ごろ、「テレビで順延と言ってたよ」などのコメントが出始めました。
サイト主の熊本市はノーコメントのまま。業を煮やした市民からの情報が、先に上がってきたわけです。

熊本市の問題点は次の2つ。
(1)ひどい雨なのに、順延の決定が遅すぎた
(2)公式サイトの情報を更新するのが遅れ、順延決定後もしばらく、「予定通り実施」の表示が出続けた

会場やその周辺で、雨の中を何時間も待ち続けている市民の情報源は、テレビではありません。ネットです。
情報をリアルタイムで拡散することができるインターネットを、熊本市は生かしきれませんでした。

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コサイン教えて何になる
- 2015/08/29(Sat) -
「コサイン教えて何になる」 朝日新聞の見出し。語呂がいいですね。

「サイン教えて何になる」なら七五調で、さらに良いのですが、今回はあえて「コサイン」です。
「サイン」には別の意味もあるので避けて、三角関数の意味しかない「コサイン」を選んだのでしょう。

「高校教育で女子に、サイン、コサイン、タンジェントを教えて何になるのか」
鹿児島県の伊藤知事のこの発言が、波紋を呼んでいます。

知事は発言を撤回し「私もサイン、コサインを人生で1回使いました」と釈明したそうですが、逆に苦しい。
「サイン、コサイン」って、使った回数を覚えておくようなものですか?、しかも1回だけ?
じゃあその、人生で1回だけ使ったという、その「用途」を説明してもらいたいものです。

今回のニュースを聞いて、昔のカシオの関数電卓の、CMのフレーズを思い出しました。
「サイン、コサイン、タンジェント、ログ、エルエヌ、ルート、パイ、カシオで一発ワンタッチ 」てやつ。
ああ、あったあった、と思い出した方は、50代以上です、間違いなく。

「サイン、コサイン」の、文学的用例を探していたら、夏目漱石の『人生』という著作を見つけました。
旧制第五高等学校(いまの熊大)の校友会誌「龍南会雑誌」に、漱石が明治29年に寄稿した論説です。

「(前略)人生は一個の理窟に纏(まと)め得るものにあらずして、小説は一個の理窟を暗示するに過ぎざる以上は、『サイン』『コサイン』を使用して三角形の高さを測ると一般なり、吾人の心中には底なき三角形あり、二辺並行せる三角形あるを奈何(いかん)せん(後略)」

残念ながら、正確には解釈できませんが、「サイン」「コサイン」の位置づけが、なんとなくわかります。
「底なき三角形」に対しては、「コサイン」が使えません。知事の言いたかったことも、少し理解できます。

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台風の爪痕
- 2015/08/28(Fri) -
豊後街道を車で走ると、杉の倒木が目立ちます。今日もその撤去作業が、あちこちで行われていました。
平成3年と平成11年の台風では300本近く倒れたそうですが、今回の台風でも多数倒木があったと思われます。
加藤清正が植えた歴史的価値のある杉ですが、剪定をしない自然な樹形なので、風雨に弱いのでしょう。

わが家はちょうど、庭木の剪定と裏庭の片付けをした後だったので、台風被害はほとんどありませんでした。
しかしクリニックは、テレビアンテナを設置した屋上のポールが、根本からポッキリと折れてしまいました。
かなり太い鉄のポールです。パラボラアンテナが受けた風力は、さぞかし凄まじかったのでしょう。

地デジは普通に映りますが、BS/110度CS放送がまったく映らなくなりました。
赤道上の静止衛星に向くべきパラボラが、北の空に向いています。残念ながら、そっちに衛星はいません。

さっそく、修理を依頼しました。で、そこで思い出したのです。修理代には火災保険が適用されることを。
火災保険といいますが、風災への補償も行われます。ただし、風災に対しては、次のような条件があります。
「損害額が20万円未満の場合には、保険金をお支払いできません」

このような「保険金をお支払いできません」という条件でよく目にするのは、次のような場合でしょう。
「戦争、外国の武力行使、革命、政権奪取、内乱、武装反乱その他これらに類似の事変または暴動」
文字面を見るだけで身震いしそうな項目です。保険金請求どころではないでしょう。

戦争はともかく、この日本で、いったいどのような状況で、誰が革命なんて起こすのでしょう。
万一また民主党が政権を奪取したら(ほぼあり得ませんが)、保険金の支払いに影響は出るのでしょうか。

そんなことを考えてるうちに、修理完了。ポールを屈曲部で切断し、太いポールに差し込んで固定しただけ。
修理費用2万7千円。なんだ安いな。これでは保険金の支払対象外です。嬉しいような、がっかりしたような。

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自転車通勤路の探求
- 2015/08/27(Thu) -
自転車の交通規則遵守が厳しく求められるようになり、自転車通勤の私にとっては面倒な日々です。

見通しの良い交差点。通行車両なし。歩行者もいない。でも信号は赤。止まって待ちますか?
自動車なら必ず従う信号も、自転車なら自己判断で無視してたのですが、それも難しくなりました。

誰かがどこかで見ているかもしれません。信号無視する大人の姿を、少なくとも青少年には見せたくない。

私が愚直に赤信号を待っていると、後ろから高校生たちの自転車が、どんどん追い越していきます。
しかも彼ら彼女らの耳にはイヤホン、下手すると手にはスマホ!

自転車通行可の歩道というのも考えもの。自転車が、歩道を走らなければならない雰囲気になるからです。
その歩道が、右側にしかない道路があります。歩道の右側走行は認められているので、そっちを走ります。
ところがやがて道が狭まり、その歩道が消滅したりします。自転車はいきなり、違法右側走行となるのです。

車道が2車線に分かれ、左車線が左折専用レーンに変わる道。自転車では直進ができないことになります。

このように、自転車にとってきわめて不利な走行ポイント(またはトラップ)が、至る所に待ち受けています。
より安全に(取締りを回避するという意味でも)走るためには、どうすべきか。突き詰めたらこうなります。

(1)信号機のある交差点は通らない
(2)歩道の無い道を走る

ついこの前までは、幹線道路をスイスイ走って通勤していた私ですが、今では細い裏道ばかりを走っています。

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漢和辞典を比べる
- 2015/08/26(Wed) -
日本国語大辞典(小学館)」(オンライン版)を使っていることは、前に書いたとおり。
あまりにも充実した辞典なので、暇さえあれば読みふける日々です。「新明解」とはまた別の面白さですね。

国語辞典だけではありません。最近は漢和辞典にも、はまっています。今日はその話題。

「新潮日本語漢字辞典」は座右の書。漢字をじっくり調べるときは、まずこれ。紙質が良くて愛着がわきます。
「字通(白川静)」(オンライン版)も頻繁に利用しています。ちょっと使うときは、オンライン版が便利。
白川静でいうなら、「字統」と「字訓」はオンライン版がないので、買おうかどうしようか、悩み中。
「角川漢和中辞典」も持っていますが、「新潮」や「字通」に比べると見劣りしますね。

「新漢語林(大修館)」は、学習用として定評があります。
大修館書店といえば、言語学に強い出版社。高校の教科書でも使ったような(うろ)覚えがあります。
標準的な漢和辞典として、これは持っておくべきでしょう。ダウンロード版で入手しました。

文筆家でもなければ、これらで十分なのですが、私はどうしても「大辞典」が欲しくなる性分なのです。
それが「大漢和辞典(大修館)」。全15巻(25万円也)。いくらなんでも買いませんよ。
と思っていたら、その精選版ともいうべき「広漢和辞典(大修館)」があるじゃないですか。全4巻。
で、それが今日、届いたのです。4巻で9.2kg。もちろん、中古本です。

今夜は、これらの漢和辞典の使い比べをしてみました。まずは、私の名字にもある「鶴」の字の比較検討から。
「新潮」には「鶴亀」のような、訓読みの用例も掲載されています。これは意外と、画期的なことなのです。
「字通」は、白川静の世界に没入できるところが、最大の特徴。読み物のような雰囲気を感じます。
「新漢語林」では、私が何十年も信じていた筆順が、間違いだったと知りました。自分の名前の漢字なのに。
「広漢和」すっごく詳しいです。でも内容の4分の3は、漢文の用例なので、閉口しました。

というわけで、コスパでは「新漢語林」、趣味的には「字通」、総合的には「新潮」が、私のオススメです。

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台風直撃
- 2015/08/25(Tue) -
台風が通り過ぎました。熊本をかすめる台風はときどき来ましたが、今回の15号は、まさに直撃でした。
休診日なのに、風雨があまりにも激しいので、心配で(興奮して?)いつもよりも早く起床したぐらいです。

一般の職場では、今朝の皆さんの話題は「いやあ、風がすごかったね」などと、台風一色だったことでしょう。
「よその屋根瓦が飛んできて窓に当たりそうになったよ」「ウチは犬小屋が飛んでった」「ウチは浸水した」

こういった場合、より被害の大きかった人、より怖い目に遭った者が、その場の話題をさらうことになります。
ちょっとした「被害自慢」です。まあ、本当に重大な被害に遭った場合には、自慢にもなりませんが。

こういった、ネガティブなことを言う場合も、自慢と言えるのでしょうか。辞書を引いてみると「自慢」とは、
「自分で、自分に関係の深い物事を褒めて、他人に誇ること」(大辞泉)
「自分のことや自分に関係のあることを他人に誇ること」(大辞林)
「(略)自分のこと、自分の持ち物、自分が所属するものなどの良さを他に対して得意げに示すこと」(日国

「被害自慢」はつまり、めったに遭遇できない貴重な体験をしたことを誇示する、ということなのでしょう。

まあこのようなことを書いておれるのも、わが家に大きな損害が無かったからです。これは幸いなことです。
前に住んでいた家では、ガレージの屋根を吹き飛ばされたこともあり、台風直撃はいつも恐怖です。

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野次馬としての読書家
- 2015/08/24(Mon) -
村上春樹氏の自伝的エッセイ『職業としての小説家』が、9月10日に発売されます。
その初版10万冊のうちの9万冊を、紀伊國屋書店が出版社から買い取るというニュースに、驚きました。

じゃあ、紀伊國屋に行かなければ手に入らない、レア本になるのでしょうか。調べてみると目次には、
「さて、何を書けばいいのか」「どんな人物を登場させようか?」「誰のために書くのか?」
などと、そそられる言葉が並びます。コレさえ読めば、ブログなどスイスイ書けそうな気がしてきました。

紀伊國屋は9万冊のうち3,4万冊を自社で売り、残りを他社の書店に供給する予定とのこと。しかも、
「初版の大半を国内書店で販売しネット書店に対抗する」
と明言しているそうで、Amazonに対する敵意がむき出しです。

Amazonが扱うことができるのは、残り1万冊のうちの一部だけになりますが、サイトを見ると、
「ただいま予約受付中です」
と、いつも通りの平然とした態度。大量仕入れのあてでもあるのか、それともただの強がりか。

一方で、出版元の「SWITCH PUBLISHING」のサイトを見ると、次のようにアナウンスされています。
「紀伊國屋書店さまが幹事となって(略)他社の書店の配本部数をとりまとめていただけることになりました」
「弊社は(略)ネット書店とも流通の協力を得て、今後も雑誌、単行本の発行発売を続けていく所存です」

なんか微妙。紀伊國屋を持ち上げつつも、ネットを敵には回したくない雰囲気です。
どうなってるんでしょうね、今回のいきさつって。紀伊國屋が、一人で息巻いているようにも見えますが。

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まったり、こってり
- 2015/08/23(Sun) -
疲れた夏の日の夕食には、あっさりした料理よりも、パンチの利いた、こってりしたものを食べたくなります。

『美味しんぼ』に出てくるような、「まったりして、それでいてしつこくない」料理では、満足できません。
「まったりして、そのうえにしつこい」料理、大歓迎です。からだが濃厚な成分を求めるのでしょうかね。

そもそも、「まったりして、それでいてしつこくない」料理など、あり得るのでしょうか。
「それでいて」という言葉がすでに、矛盾をはらんでいることをにおわせます。
英語なら “rich but light” でしょうか。少なくとも外国人には、理解不能な味覚表現かもしれません。

「しっぽり」とか「ほっこり」のような、「んっんり」ていう形の副詞って、日本的で味わい深いですね。

このような言葉には、他にどのようなものがあるのでしょう。全部知りたくなります。
そこで、「XっYり」のYに任意の1字を挿入し、辞書で後方一致検索するという、地道な調査を行いました。

Y=「あ段」では該当なし。
Y=「か」だと「あっかり」「うっかり」「がっかり」「きっかり」「ごっかり」「ずっかり」など全22個。
「あっかり」は方言。「ごっかり」は「がっくり」と同義。「ずっかり」は、ずばり、の意味だとか。
Y=「き」では18個。「ちょっきり」なんて言葉、久しぶりに見ました。
Y=「く」では、うわっ、数えたくもないほど多い。

えーっと、すみません。疲れたので、調査終了です。
ちなみに、「ぐっすり」の語源が “good sleep” だというのは、私の好きなガセです。

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お風呂が沸きました
- 2015/08/22(Sat) -
仕事から帰ると、真っ先に風呂に入ります。風呂上がりのビールが、美味しいからです。
今日も自転車で、汗ダラダラで帰宅したら、ちょうど風呂場の方からアナウンスが聞こえてきました。

「お風呂が沸きました」
最近の家電類は、いろんなお知らせを女性の声で教えてくれます。単なる電子音より、ソフトで分かり易い。

しかし考えてみると、「沸く」のは「風呂」ではなく「風呂の湯」ではないのか。だから本来は、
「お風呂のお湯が沸きました」と言うべきでしょう。いや待てよ、自動詞「沸く」を厳密に考えれば、
「お風呂のお湯が沸いています」の方が適切かもしれません。

そこらへんは、どうなっているのか。やや納得できないまま、お湯に浸かると、次なる疑問が湧いてきました。
わが家はオール電化です。深夜電力で温められて保温されているお湯が、浴槽などに給湯される仕組みです。
給湯の時点で「沸いた」わけではないのです。したがって、

「お風呂にお湯が入りました」と、アナウンスするのが正しいかもしれません。いや、もっと親切に言うなら、
「お風呂に設定量のお湯が入りました」と言うべきでしょう。いや、もっと正確に言うなら、
「浴槽に設定量のお湯が入りました」が望ましいでしょう。とか考えているうちに、のぼせました。

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おたふくワクチンの問題
- 2015/08/21(Fri) -
おたふくかぜワクチンは、近い将来(2,3年以内?)定期接種ワクチンに組み込まれることになっています。
ワクチンの有効性と安全性は明らかです。だからこそ、日本以外の多くの国で、定期接種が行われています。

かつて日本でも、1989年から93年までの4年間、おたふくかぜワクチンの定期接種が行われました。
諸外国と同様に、生ワクチンを3つ混合した、麻しん/おたふく/風しん混合(MMR)ワクチンの形での接種です。

生ワクチン接種後には、自然感染(病気としてのウイルス感染)と同様の症状が起きる場合があります。
これが副反応として捉えられます。おたふくかぜワクチンでは、最も問題となる副反応が、無菌性髄膜炎です。
接種3週間後ごろに、高熱・頭痛・嘔吐などの症状で発症しますが、その経過は比較的良好です。

しかし、日本のMMRワクチン接種後の髄膜炎発生率は、1000に1人程度と、欧米の100倍以上でした。

この無菌性髄膜炎の多発が社会問題となり、MMRワクチンの定期接種は中止されました。
某メーカーは、きわめて副反応の少ないデータを出しましたが、ワクチンのすり替え疑惑などが発覚しました。
そうでなくても副反応に過剰に反応する日本人ですが、メーカーの不祥事が火に油を注いだわけです。

ワクチン後進国と揶揄されている日本が、先進国の仲間入りできるとすれば、MMRの再開がカギでしょう。

まずは、現在任意接種で行われているおたふくかぜワクチンの、安全性を再確認して、社会に示すことです。
先月より、おたふくかぜワクチン接種後の副作用調査が、全国規模で始まっています。当院も参加しています。

おたふくかぜに罹れば、数%の率で髄膜炎を発症します。睾丸炎や難聴などの合併症を起こす場合もあります。
子どもの難聴が日本に多いことについて、なぜ予防しないのかと、海外の学者はあきれているそうです。
ワクチンの副反応を無視することはできませんが、おたふくかぜに罹るよりもずっとマシなのです。

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こうのとり打ち上げ成功
- 2015/08/20(Thu) -
無人補給機「こうのとり」5号機を載せた「H2Bロケット」が、無事打ち上げられました。
米国やロシアの打ち上げ失敗が続いていただけに、世界中が見守る中での成功でした。

国際宇宙ステーション(ISS)で暮らしている油井亀美也さんたちも、ホッと胸をなで下ろしたことでしょう。

こうのとりが運んだのは、まず、食品や衣類、シャンプーなどの日用品。これで油井さんの髪もサラサラです。
尿を処理して飲料水にするための「水再生システム」のフィルターも届けられるそうです。助かります。

こうのとりは本来、シャンプーやフィルターではなく、赤ちゃんを運ぶとされる鳥です。
5年前に公募によって、「大切なものを運ぶ」というイメージのある、その名前が選定されました。
こうのとり提案者217名の中から、毎回1組ずつ、種子島の打ち上げ見学に招待されるそうです。いいなあ。

さて、こうのとりを題材に、プロはどんな文章を書くのか。後学のため、今朝の新聞コラムを見てみたところ、

編集手帳(読売):中学生の殺害事件
春秋(日経):タイの爆破テロ事件
産経抄(産経):タイの爆破テロ事件
余録(毎日):赤とんぼ激減
天声人語(朝日):灯火管制解除から70年

各紙とも、こうのとりには触れていませんでした。興味ないのでしょうか。
読売は社会問題を、日経・産経は国際問題を取り上げています。
毎日は、なぜ今日書くのか、赤とんぼの減少に警鐘を鳴らし、朝日はいつもの調子です。

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ヒゲをこっそり伸ばす
- 2015/08/19(Wed) -
無精ひげは誰からも好かれませんが、きちんと手入れされたひげでも、誰からも嫌われないとは限りません。
なので一般の社会人がひげを伸ばすことは、ある意味チャレンジです。

勤務医時代、私は顔中にひげを生やしていました。顔中とは「くちひげ」「ほおひげ」「あごひげ」全部です。
3カ所すべて「ひげ」ですが、漢字で書くとみな違います。面白いことに、英語でも別の単語を使います。
(1)くちひげ:髭(し)、moustache
(2)ほおひげ:髯(ぜん)、whiskers
(3)あごひげ:鬚(しゅ)、beard

中国最古の漢字字書(ということは、世界最古の漢字字書)である『説文解字』によれば、
(1)髭:口上の須(ひげ)なり
(2)髯:頬の須(ひげ)なり
(3)鬚=須:面の毛なり
どうやら、ひげを全部ひっくるめて「須」のようです。さらに言うなら、「彡」がひげを表すようです。
よく見ると「鬚」の字は、「彡」を2つ含んでいるじゃないですか。

日本では、いつ頃から使われている漢字だろうと調べたら、日本書紀に記載があるそうです。
素戔嗚尊(スサノオノミコト)が、『乃拔鬚髯散之 即成杉』(ひげを抜き散らしたら杉になった)と。
ちなみにその後、胸毛や眉毛や尻毛も抜いて、それぞれ樹木を生み出しているようです。
スサノオの絵(想像図)を見ると、顔中ひげだらけですが、くちひげ(髭)は使わなかったのでしょうか。

考えてみると、古代の歴史上の人物(男性)はみな、顔中にひげをたくわえています。大国主命も神武天皇も。
ならば日本人においては、髭・髯・鬚すべてを生やすことこそ、正装ではなかろうかと、考えたりもします。

しかし、ダンディーでありながら不潔感のないひげ面というのは、なかなか難しいものです。
現在私は髭(くちひげ)を生やしていますが、他の部位のひげも伸ばそうかどうしようかと、思案中なのです。
とりあえず、日頃マスクに隠れる範囲だけ、髭のほかに鬚をこっそりと、伸ばしつつあるところです。

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IKEAが来るけど
- 2015/08/18(Tue) -
「IKEA熊本」が、今秋にもオープンすると報じられました。しかも、当院のすぐ近所です。
出店するのは、いまは「雑貨屋ブルドッグ」と「ブックオフ」がある場所のようです。
いまごろ、閉店セールでもやってるかもしれないと思い、あわてて行ってみたら、すでにもぬけの殻でした。

IKEA熊本は、国内初の「ピックアップポイント」という業態で、他の店舗から商品を取り寄せる方式だとか。
それって、現物を見ないで買うという意味では、通販みたいなものですか。なんか、つまんないかも。

そもそも私は、IKEAがあまり好きではありません。あのテーマ別モデルルーム形式に、馴染めません。
目的とする家具を、じっくり見比べて選ぶことができないからです。

ちょうど、IKEA出店予定地のすぐ近くに、「ニトリ」があります。これはこれで、私の好みではありません。
近所の「アウトレットX」も、あまり行く店ではありません。ただし院長室のソファーは、そこで買いました。

「ビッグウッド」には、怖いモノ見たさで1度行きました。大地震が起きたら大変ことになりそうな店でした。
自宅近くには、その名も「家具YA」という家具屋があります。夏に行くと、地獄のように暑いです。

家具を吟味して買うときは、やはり安値をウリにしている店では、なかなか納得できる品がありません。
逆に、安さ重視で棚などを購入するときには、通販の方が手軽です。

IKEAのピックアップポイントは、通販の手軽さと、持ち帰りの安さとの、いいとこどりになるのでしょうか。
それとも、現物は無いわ、持ち帰る必要はあるわの、中途半端な店になるだけなのか。

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プリンタを修理に出す
- 2015/08/17(Mon) -
プリンタが故障したので、新たにキヤノンのA3プリンタを購入したいきさつは、前に書いたとおり。
快調に稼働していますが、今日はその、後日談です。

故障した古いプリンタを、そのまま放置しておくのはもったいないという、ケチな気持ちが湧いてきたのです。
安く修理できたら、ラッキーじゃないですか。とりあえず、見積りしてもらおうと、電器店に持ち込みました。
その数日後、電器店の本店のサービス部門から電話連絡がありました。

店「メーカーでは修理不能とのことです。新品のプリンタに交換することもできますが、1万円かかります」
私「新しいプリンタを買ったばかりなのです。同じようなプリンタが、2台あってもしょうがないでしょう」
店「それならば、修理は中止とさせていただきます」

そこでいったん、電話を切りました。いくら新品と交換とはいえ、1万円払うのはアホらしいと思ったのです。
ところがよく考えてみると、そのプリンタの実売価格は、安い通販サイトでも2万円以上します。
これが1万円で手に入る機会を、みすみす逃すわけにはいきません。あわてて、私の方から電話しました。

私「先ほどの者ですが、まあ、あれですね、やはり、新しいプリンタに交換してもらいましょうか」
店「もうすでに、新しいプリンタを購入されたとお聞きしましたが」
私「2台あったらあったで、何か役に立つ場合もあると思うんですよ」

たぶん店の人は、ニヤッとしていたでしょう。
ちょうど、「日野の2トン」のCMの、とんかつ屋のリリー・フランキーの、あの表情だったと思います。

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訛なつかし診療所
- 2015/08/16(Sun) -
日々の診療の仕事をまとめるなら、少なくとも私の場合、診て、話して、書く、の3つが基本です。
(1)診る=見て(視診)、聞いて(問診)、聴いて(聴診)、触れる(触診)。検査も含む。
(2)話す=私の思うところ(診断内容や治療計画、見通しなど)を伝える。世間話も含む。
(3)書く=診療内容を記録する(電子カルテとミニカルテに)。登園許可証などの書類も含む。

毎日毎日、個人面談してるみたいなもんだなあ、とも思います。そしてその人数は、年間2万人を超えます。
元来私はおしゃべりな人間ではないし、むしろ寡黙な方なのですが、どういうわけか、今は面談が仕事です。
考えてみたら、朝から晩までしゃべり続けてます。

あるとき患者さんに、「先生、山口のご出身でしょう?」と、当てられてしまいました。
その方も、山口県人でした。どうやら私のイントネーションが、同郷の人には「わかる」ようです。

当院の隣には「ゆめタウン」があり、道路の向かいには「デオデオ(今はエディオン)」があります。
いずれも、広島に本社・本店のある企業なので、従業員には広島出身の方も多いようです。
ご近所なので、従業員の方が、当院を受診されることもしばしばあります。

そのような方と話していると、まるで実家の親と会話しているかのような、懐かしい気持ちになります。
広島県人と山口県人って、同じ中国人(中国地方人)どうし、イントネーションがよく似ているのです。

もしかすると患者さんの方が、「ふるさとの訛なつかし診療所」に、来てくれているのかもしれません。

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日本のいちばん長い日
- 2015/08/15(Sat) -
天皇陛下は、全国戦没者追悼式において、「さきの大戦に対する深い反省」という言葉を述べられました。
昨日の首相談話よりも、ずっと直接的な表現です。

映画「日本のいちばん長い日」では、戦争終結を決意した昭和天皇とその周囲の葛藤が、描かれています。
70年前の日本で起きたことを再認識するため、終戦の日の今日、この映画を観ることにしました。

同名の映画(67年)を、子どもの頃にも観ました。戦争終結前夜の緊迫したドラマに、驚いた記憶があります。
前作は、玉音放送を巡る攻防が中心の内容でしたが、本作は、終戦までの状況をもう少し長く描いた物語です。

さて、近所の映画館の座席を予約しようとサイトを見ると、あろうことか、この映画を上映していないのです。
ジュラシックやライダーやミニオンズやポケモンやバケモノは、やってるのに。ていうか、カタカナ多いです。

熊本で「日本のいちばん長い日」を観ることは、インポッシブルなのでしょうか。

いや大丈夫。上映している映画館を見つけました。遠いし暑いので、自転車ではなく車で行くことにしました。
もしも、自転車で行って汗だくで館内に入ったら、「日本のいちばん臭い映画館」になるからです。

映画館は久しぶりでした。あの、暗い雰囲気。本編上映前の予告編を見るうちから、ドキドキしてきます。
その緊張感を、「鷹の爪」とか「ロペ」とか「貝社員」とかのアニメが、微妙にほぐしてくれます。

昼ごろ映画が終わりましたが、勢い付いてしまい、次は「ジュラシック・ワールド」を観ることにしました。
豪華2本立てです。おかげで「お尻のいちばん疲れた日」になりました。

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戦後70年談話
- 2015/08/14(Fri) -
戦後70年にあたっての総理大臣談話が閣議決定され、夕方の記者会見で、安倍首相自らが読み上げました。
4つのキーワード「植民地支配」「侵略」「反省」「お詫び」は、ひととおり盛り込まれたようですが・・・

(1)「植民地支配」は3回登場。
ただし、そのうち2回は、西洋諸国による、アジア・アフリカの植民地支配の話。これはカウント外です。
あとの1回は、「植民地支配から永久に訣別(略)しなければならない」という、一般論でした。
日本が植民地支配をしたという表現は、出てきません。

(2)「侵略」は1回。
まず、「何の罪もない人々に、計り知れない損害と苦痛を、我が国が与えた事実。」という文が登場。
日本の侵略を意味する表現ですが、侵略という言葉は使っていません。それから6つほど文を挟んだ後に、
「事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も(略)もう二度と用いてはならない」という文章が登場。
さきほどの「我が国が与えた」という記述からは距離があり、一般論として述べる形になっています。

(3)「反省」「お詫び」も各1回。
「我が国は(略)、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました」
過去に何度も反省しておわびしてきたでしょ、ってこと。いまの反省・おわびではなく、あくまで過去形です。
「私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」
もう今回で、謝罪は終了するようです。いや今回も、明確な謝罪はしてないかもしれませんが。

(4)慰安婦問題について
「戦場の陰には、深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たちがいたことも、忘れてはなりません」
「戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を、この胸に刻み続けます」
この2つが、慰安婦問題に触れたギリギリの表現です。かなり婉曲です。

キーワードはとりあえず盛り込みました、て感じ。表現が間接的で、どうせまた批判を浴びるのでしょう。
しかし私は、まずまずの出来だと思います。もうホントに、近隣諸国のみなさん、そろそろ前進しましょうよ。

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トースターのタイマー
- 2015/08/13(Thu) -
大学の1,2年の頃は、下宿に住んでいました。大家さんの家の2階に、学生用の部屋が6つある構造です。
学生なので夜更かしします。腹が減ると私は、「ブルボンルマンド」などの菓子類を食べていました。

真夜中にしばしば、トースターのタイマーが切れる「チン!」という音が、聞こえてきました。
同じ下宿の奥野君が、食パンを焼いている音です。彼は小腹が空くと、トーストを食べる習慣だったようです。

夜間にラジオやカセットで音楽を聞くときには、階下の大家さんに遠慮して、音量を下げていました。
なので深夜は、他の部屋の物音が良く聞こえるのです。

それから何十年か経ちましたが、哀愁漂うトースターの「チン!」は、いまだに健在です。
ヒーターとぜんまいバネ式タイマーで構成されている、アナログな家電なので、電子音は似合いません。

ぜんまいバネは、遊びが大きいので、ある程度大きく動かさなければ、正確な作動時間になりません。
いったん5分以上などに回した後、1分とか2分とかに合わせ直す必要があるのは、そのためらしいです。

最近「バルミューダ」という会社のトースターが評判です。買いました。新しもの好きなので。
庫内温度の調整が高度にプログラムされている、ハイテクトースターです。タイマー音も当然、電子音。

電子制御なのに、タイマーはダイヤル式。操作が直感的です。こういうところでデジタルでは、ダメなのです。
電子タイマーなので、いったん5分以上に上げる必要もありません。
操作ボタンは最小限、シンプルでむしろアナログなデザイン。これがハイテク家電のトレンドかもしれません。

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Appleの研究所
- 2015/08/12(Wed) -
Appleが横浜に、米国外では最大級の研究所を作ろうとしています。来月中旬には着工予定とのこと。
閉塞感のある日本から抜け出したい技術者・研究者からみれば、ちょうど良い受け皿になるかもしれません。
米国企業だけど国内で働けるから、躊躇なく移籍できます。それが日本にとって良いことかどうかは別ですが。

研究所の予定地が、パナソニックの工場跡地に計画されているというのが、いかにも象徴的です。

日本はイノベーションにおいて、少なくとも今世紀はいまのところ、米国におくれを取り続けています。
iPhoneの中には日本製の中核部品がたくさん含まれていますが、完成品は日本の製品ではありません。

勤勉で、器用で、丁寧で、技術には優れていても、飛躍的な発想がなかなか、いまの日本から出てきません。

発明王エジソンは、「発明とは、1%のひらめきと、99%の汗(努力)である」と言いました。
単なるひらめきでは、発明は生まれない。努力が必要なのだと。努力こそが大事なのだと。

しかし考えようによっては、汗(努力)だけでは発明は生まれない、ということもできます。
徹底的に努力した上で、最後に、ひらめきが必要なのだという解釈です。

日本人は勤勉を美徳とし、伝統を重んじ、和を尊ぶがために、個人のひらめきを軽んじる傾向があります。
Appleの研究所が、日本の若者のイノベーションを刺激するものであってほしいです。

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川内原発ついに再稼働
- 2015/08/11(Tue) -
福島第一原発の事故後、新規制基準下で初めて、川内原発が本日再稼働し、さきほど臨界に到達したようです。
世論調査では過半数の国民が支持していないなかで、およそ2年ぶりの、原発稼働です。

その原発が立地しているのは、鹿児島県薩摩川内市です。2004年に周辺町村と合併する前は、川内市でした。
原発を所管する経産相の宮沢洋一氏は昨年、「かわうち原発」と発言して問題になったりしました。
まあそんなこともあって、いまや宮城県仙台市と同じぐらい(?)、よく知られる川内(せんだい)です。

天照大神の孫、瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)が、千の台を作るように命じた故事が、川内の由来とのこと。
そこに大きな川があったので、「千台」が「川内」になったと。ま、よくあるパターンですね。

私は1988年の10月から12月までの3カ月間、川内市(当時)内の民間病院に勤めていました。
住居は川内川河畔のビルの最上階で、窓からは、川内川の景色と、桜島の火山灰が飛び込んで来ました。

「川内大綱引き」という、年中行事があります。日本一の大綱引きと言われ、国道を封鎖して行われます。
1600年に薩摩藩主・島津義弘が、関ヶ原の戦いに向かう兵士を鼓舞するために始めたと、伝えられています。
上方と下方に分かれて、数千人が参加して大綱を引き合う、妨害OK、ケンカ一切お構いなしの祭りです。

川内の中心部は、川内川で南北に分断されていて、綱引きは国道上を南北方向に引き合う形になります。
じゃあ、川に架かる太平橋の上で行われるのかというと、そうではなく、橋の上を避けて北か南で行われます。
おそらく、安全のためでしょう。北側で1回、南側で2回、という3年サイクルにも、意味があるのでしょう。

川内川の河口には、南側に川内原発、北側に川内火力発電所があります。
しばらく中断していた発電所の綱引きは、南側の原発が盛り返すのでしょうか(あ〜あ、上手くないです)。

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パキラに水やり
- 2015/08/10(Mon) -
毎朝、クリニックのパキラに水をやります。挿し木から芽を出し始めたばかりの、伸び盛りの子どもたちです。
日に日に成長しているパキラに私は目を細めて、「お水あげようね〜」などと口にしているかもしれません。

植物に水を「やる」とか、ペットにエサを「やる」と言わず、水やエサを「あげる」と言う場合があります。

「遣る(やる)」という言葉は、「目下の者や動植物などに、何かを与える」という意味で使われます。
なので「あげる」というのは、相手を自分と対等と考えた、愛情あふれる表現なのです。

私の場合、第三人称としての動植物には「やる」を使うのに、直接相対すると「あげる」になるようです。

目下の者に対して使う「やる」ですが、昔は、対等な相手にも使っていたそうです。
一方で「あげる」も、昔は目上の人に差し出す意味だったそうですが、いまでは対等か目下相手の言葉です。

どうやら敬語は、長い間使われていくうちに、だんだんと敬語の程度が低下していくようです。

たとえば「食べる」は「食う」の謙譲語または丁寧語だったそうですが、すでに尊敬意識は失われています。
おかげで「食う」は、相対的に丁寧度の低い言葉になってしまいました。

そのうち、植物に水を「あげる」、犬にエサを「あげる」が、普通の使われ方になるのでしょう。
エサを「やる」などと言ったものなら、動物愛護の精神にもとると、叱られそうです。

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同時処方禁止薬
- 2015/08/09(Sun) -
同時に処方してはならない薬があります。
(1)相互作用によって、薬の効果が極端に減弱したり強まったり、あるいは副作用が出やすくなるもの
(2)似たような作用の薬のため、両方を同時に内服すると、過剰な用量になってしまうもの

このうち(1)は医学的な問題ですが、(2)は医学上のみならず、保険診療上の問題もあります。
診療報酬を審査する機関や、支払い機関(保険者)が、それをチェックして、クレームをつけてきます。
もちろん、診療報酬は査定され、医療機関は返金を要求されます。厳しいペナルティーです。

先日、ある患者さんに、糖尿病の薬Aを処方し、その4週間後に薬Bに切り替えたところ、査定されました。
薬Aと薬Bは、同時に処方することができない薬ですが、私はもちろん、同時処方したわけではありません。
問題は、処方日が、同じ月の月初めと月末だったことです。
支払い機関は、1カ月単位で審査するので、同じ月に処方した薬を、同時処方したものと勘違いしたのです。
なんとも理不尽な話です。気付かなければ、泣き寝入りです。

勘違い査定に対して、その間違いにちゃんと気付いて異議を申し立てる責任は、医療機関側にあります。
公的機関は一般に、医療機関に対して「性悪説」的態度で臨んでいるので、一事が万事、こうなるのです

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虫よけか虫集めか
- 2015/08/08(Sat) -
この時期、からだじゅうを蚊に刺されて、ひどい状態で来院するお子さんがいます。
蚊は人間の呼気の二酸化炭素を頼りに集まってくるそうですが、汗の臭いや体温も重要な誘引因子です。
大人よりも体温が高く、遊び回って汗をかく子どもがが蚊に刺されやすいのは、そういうわけなのでしょう。

わが家の庭に出ると、すぐ蚊に刺されてしまいます。生垣が伸び放題、雑草が生え放題で、蚊が多いからです。
ちょっとした用でごく短時間だけ庭に出るときは、なるべく早足で歩いて、できれば息を止めます。

虫コナーズや蚊取り線香は、屋外で使っても有効成分がすぐに拡散してしまうので、有効性は低いようです。
庭でバーベキューの際には、虫よけスプレーが必須です。うっかりスプレーし忘れたときに、よく刺されます。

体温や汗や二酸化炭素のほかに、虫は光に集まってくる性質があります。
その理由は、虫が飛ぶときの基準である月と勘違いしているとか、仲間と集まるためだとか、諸説あります。
若者がコンビニに、オジサンたちがネオン街に集まるのと、ある意味同じかもしれません。
ただし、虫に見えるのは紫外線です。だから紫外線をほとんど出さないLEDには、集まりにくいそうです。

虫たちのそのような性質を利用して、紫外線と二酸化炭素を出す、虫集め装置があります。
これは効果がありそう。わが家の庭にも1台設置しようと思い、さっそくネットで発注・・・
いやその前に、念のため、商品レビューを閲覧。すると、蚊よりも蛾ばかり採れるという意見が多数あり。
気持ち悪いので、買うのはやめました。ご近所の蛾まで全部、わが家におびき寄せて採取したくはないので。

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鼻の日
- 2015/08/07(Fri) -
8月7日は「鼻の日」。今朝の「林修の金曜言葉塾」では当然、芥川龍之介の『鼻』に触れていました。
せっかくなので、何十年かぶりに、今日は『鼻』をほじくり返して、いや、読み返してみました。

よく知られるようにこの話は、『今昔物語集』や『宇治拾遺物語』に収載されている説話を題材にしています。
それらの古典についての記憶も曖昧なので、この際、その両者も読んでみました。

『今昔物語集』を学校で習ったことなんて、それこそ「今は昔」。
平安末期に成立したとされる、いろんな話を集めてみました的な、全1059話の、奇想天外な説話集です。
最後の方の巻には「宿報」「霊鬼」「悪行」などのサブタイトルが付いていて、なかなかそそられます。
その中の『池尾禅珍内供鼻語(いけのをのぜんちないくのはなのこと)』が、芥川の題材になりました。

宇治拾遺物語』は、時代が下って鎌倉時代に編纂された「面白話まとめ」。ぐっと凝縮されて、全197話。
半数近くが今昔物語と重なっているので、事実上「厳選・今昔物語集」的な側面もあります。
その『鼻長き僧の事』を今昔と読み比べると、当然、ほとんど同じ内容ですが、ずいぶん読み易くなってます。

古典の2つは、異常に鼻が大きな僧の、その「鼻持ちならない」愚かさを描いた笑い話、という印象でした。
芥川の『鼻』はしかし、巨鼻コンプレックスをもつ僧と、彼を取り巻く人々の、互いの心理を描写した物語。
題材の面白さだけで終わらせないところが、さすがです。そこを夏目漱石が絶賛したのでしょうね。

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医療に満足できない日本人
- 2015/08/06(Thu) -
日本人の医療に対する満足度は、他国に比べて低いことが、国際調査で明らかになっています。
そこには日本(日本人)の特殊性が浮き彫りになっているので、改めて考察してみました。

客観的事実と、調査結果をまず、羅列してみます。
(1)国民皆保険制度があるので、経済的理由で、医療を受けられない人はいない(これはすばらしいです)
(2)誰でも自分の好きな病院を受診することができる(いわゆるフリーアクセス)
(3)病院受診率はダントツ(それに気づいていない日本人)
(4)必要以上に病院を受診しているとは思ってはいない(同上)
(5)待ち時間の長さは不満(医療機関は、それなりに工夫してるんですけどね)
(6)仕事があるので受診しづらい(だからウチは土日祝日診療やってますって)
(7)医療水準の高さは認めるが、治療への満足度も、医師への信頼度も低い(あらま)
(8)医療制度への満足度が低い(わがままでしょ)
(9)入院患者1人を診る医師や看護師の人数が、各国と比べてきわめて少ない(そうなんですよ)

まとめてみると、こういうことです。日本人は・・・
安い医療費で好きな病院を受診できるから、受診率はとても高いのに、受診しすぎとは思っていない。
いざとなったら大病院志向。地域の医者との信頼関係が築きにくく、あまり信頼もしていない。
受診率が高いのに医師数が少なけりゃ、当然、待ち時間が長く、診察時間は短くなる。それが不満。
高齢者は、医療費負担が増えつつあることが不満。現役世代は、高齢者の医療費を負担している現状が不満。

こんなに満足度の低い国民皆保険って、つくづく微妙な制度だと思います。よく破綻しないものです。

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アタマジラミ
- 2015/08/05(Wed) -
「シラミ(虱)」に感染して来院するお子さんが、ときどきいます。
当院で新たに診断することは、ほとんどありません。治療薬を処方することもありません。
たいていは、その感染の確認か、治ったかどうかの確認(登園許可証等の交付)のための来院です。

治療は市販のシャンプー等で行いますが、布団などの洗濯もしっかりやらないと、再発することがあります。

「シラミ」で思い出す事柄が2つあります。
(1)シラミは英語でlouse(複数形lice)。Riceのつもりでliceと発音して、外国人が驚いた、という笑い話。
(2)芭蕉の句「蚤虱馬の尿する枕もと」。ノミやシラミに悩まされても、馬の排尿に趣を感じるとはさすが。

子ども達の頭髪に寄生するのは「アタマジラミ」です。成虫よりむしろ、小さく光る卵がよく見つかります。
「アタマ(頭)」+「シラミ(虱)」=「アタマジラミ」であって、「アタマシラミ」ではありません。
こういう風に、濁音化するのが「連濁」です。前に、韓国語に関連して、似たようなことを書きました。

「仮名」は、音を表すだけの表音文字なので、実際の読みに即した文字を使うのが原則です。
なので「頭シラミ」は誤りで、「頭ジラミ」と書くキマリです。だから「回転すし」も誤りなのです。

しかし私はあえて、異を唱えたい。それじゃあまりにも、杓子定規で不親切です。
漢字を読めない子どもが、「ジラミ」や「ずし」という文字を見て、その意味が連想できるでしょうか。

「頭」や「回転」という漢字を読める者のみが、「アタマジラミ」や「カイテンズシ」と連濁するのです。
漢字を読めない者は、連濁のしようがないじゃないですか。
「漢字+仮名」という形の言葉においては、仮名を連濁表記しない、というのはだめですか。

「頭シラミ」と書いてあっても、読むときには「アタマジラミ」と変換する。日本人ならできるでしょう。

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日本国語大辞典
- 2015/08/04(Tue) -
文章を書くときには、時間とネタとパソコンのほかに、辞書が必須です。
誤字脱字だけでなく、言葉の取り違えや、用法の誤り・勘違いを、できるだけなくしたいからです。
間違いに気づかないまま、ネットで公開したら、後悔します。

たびたび辞書を引くうちに、だんだん「辞書好き」になりました。ときには、辞書を読みふけったりします。

日本語関係で手元にある辞書は、広辞苑、新明解国語辞典、三省堂国語辞典、新潮日本語漢字辞典などです。
NHKが発行している漢字表記辞典と日本語ハンドブックや、三省堂のてにをは辞典も、ときどき使います。

ネットなら、朝日新聞社の「コトバンク」を使いますが、その中身は「大辞林」と「デジタル大辞泉」です。
まあ、それはそれでいいのですが、もっとずっと、用例や由来などを、掘り下げてみたいこともあります。

「新明解」や「三国」が小辞典、「広辞苑」「大辞林」「大辞泉」が中辞典なら、やはり大辞典が欲しいもの。

それが、小学館の「日本国語大辞典」です。日本語の大辞典と言えば、これがほぼ唯一の存在のようです。
第二版は、全13巻+別巻1巻。ほとんど図書館で見かけるだけの大部です。全部買うと20万円を超えます。

欲しいけど、高すぎる。文筆家なら買うかもしれませんが、カルテとブログを書いているだけの私が買うか?
と、諦めかけていたとき、小学館のサイトに「ジャパンナレッジ」というのを見つけました。
「日本国語大辞典」のみならず、小学館のあらゆる辞典類を、まとめて検索閲覧できる、有料サイトです。

ただちに、会員登録しました。ケチなので、試しに、1カ月間だけ使ってみることにします。
紙の辞書とは異なり、どうしても所有欲は満たされませんが、安さと便利さにはかえられません。

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BSL-4施設稼働へ
- 2015/08/03(Mon) -
国立感染症研究所・村山庁舎の「BSL-4施設」の稼働について、厚労相と武蔵村山市長が合意したようです。

有効な治療法がなく、とくに致死率の高い病原体を「バイオセーフティー・レベル4 (BSL-4)」に分類します。
エボラウイルスもそのひとつ。これらを扱うことのできる研究施設が「BSL-4施設」です。
この施設の使命は、以下の3つあると考えられています。いずれも重要です。
(1)BSL-4病原体による感染症が発生したときの診断
(2)BSL-4病原体の基礎研究・診断法・ワクチン・治療薬の開発
(3)BSL-4病原体研究者の育成

世界中にBSL-4施設は、41カ所あるそうですが、先進国でそれが稼働していないのは、日本だけだそうです。
建設はしたものの、周辺住民からの反対によって、稼働ができずにいるわけです。
そもそも、日本にわずか2施設しか存在しないこと自体が、何をか言わんやです。しかも稼働していない。

では、他の国々では、住民の反対運動はなかったのでしょうか。そんなことはないでしょう。
施設の意義について、国が住民を説得し、住民が納得したからこそ、その国では稼働できているわけです。

ところが日本では、それができませんでした。住民を納得させられなかったからです。
これはちょうど、HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)の勧奨接種の差し控えと同じです。

日本人は、目の前の危険(ワクチンであれば副反応)ばかりが気になって、本来の目的を見失しないがちです。

建設から30年以上を経て、BSL-4施設が稼働に至ったのは、良くも悪くも、安倍政権の力かもしれません。
日本を、感染症のアウトブレイクやバイオテロから守ろうという、ある意味、国防のためとも思えてきます。

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熱中症と熱射病
- 2015/08/02(Sun) -
梅雨明けしたとたんに、熱中症が増えています。毎日のように、点滴が必要な患者さんが来院します。

昔は「日射病」と言っていましたが、やがて「熱射病」を経て、いまは「熱中症」が一般的な呼び方です。
日本救急医学会による熱中症の定義は、「暑熱環境における身体適応の障害によって起こる状態の総称」です。

従来はその症状から、「熱けいれん」「熱失神」「熱疲労」「熱射病」の4つに分類されていました。
どれが重症なのか、わかりにくいですね(熱射病が最重症)。そこで新たな分類が提唱されました。
【 I 度】 現場にて対処可能
【 II 度】 速やかに医療機関への受診が必要
【 III 度】 採血、医療者による判断により入院(場合により集中治療)が必要

え〜っと、なんていいますか、あらゆる病気で使えそうな、ありきたりの分類になってしまいました。
このうち【 III 度】が「熱射病」に相当します。中枢神経症状や、肝・腎・血液凝固障害等を呈するものです。

そうなると、わざわざ「熱中症」という言葉を使わなくても、いいような気がしてきます。
【 III 度】が熱射病なら、【 II 度】は軽度の熱射病、【 I 度】はごく軽度の熱射病、ではだめですか。

もともと「熱中症」の「中」は、「暑気中(あた)り」の「中」です。
「毒」に「中(あた)る」から「中毒」です。「熱」に「中(あた)る」なら「中熱」じゃないのでしょうか。
それをどうして「熱中」症にしたのか。そこのところから、間違っていたような気がします。

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美しい本棚
- 2015/08/01(Sat) -
蔵書が整然と並んだ、美しい本棚が、私の理想です。
ところが現実には、本はサイズがばらばら、一部は平積みになり、本以外の雑多な物品が棚を占拠しています。

これではいかんと反省し、このたび、まず職場(院長室)の本棚の美化作業を始めました。目指す本棚は、
(1)棚板が、左から右まで、一直線に揃っている。
(2)本の高さが、揃っている。
(3)本の前面が、揃っている。できれば、本棚の前面と同じ平面である。

まず、最上段から順に、文庫、新書、A5判、B5判、以下A4判の高さに合わせて、棚板を揃えました。
これはかなり有効。棚板が、左から右まで一直線に揃っただけで、すでに整然とした雰囲気になってきました。

次に、高さを揃えながら、本を配置します。棚の同じ区画内はすべて、まったく同じ高さにしたいものです。
単行本には「四六判」とか「菊判」とかあって、B6判やA5判よりもわずかに背が高く、注意が必要です。

漫画家の中崎タツヤ氏は、高さを合わせるために、本を裁断したそうです。新書も文庫サイズにできるとか。
う〜む、そこまではどうかと思いますが、出版社によって微妙にサイズが異なる文庫本は、統一できるかも。

本の奥行きの調整は、棚の奥に段ボールで細工をして「上げ底」しました。これがなかなか、効果的です。
ただし、高さが同じでも奥行きが違う本、たとえば新書とB6判などは、同じ区画には並べられません。

私の本棚においては、ジャンルを完全に無視して、本を並べています。探しやすさよりも、形が大事なのです。
医学書と、税金の本の間に、中国共産党の読み物が並んだりしています。それはそれで、面白いでしょう。

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