カウントダウン
- 2015/12/31(Thu) -
大晦日です。たまたまNHKの、「全国自治宝くじ年末ジャンボ宝くじ抽選会」の中継番組を見ました。
宝くじは買ってもいませんが、1等賞金7億円の当せん番号が決まる様子を、眺めていました。

回転するそれぞれの桁の円盤に、特殊な仕掛けで発射された矢が、一斉に刺さっていくシステムです。
1等に限り、ゲストの高市早苗総務相が千位、松平健が百位の発射ボタンを押しました。無事刺さりました。
「幸運の女神」とされる女性が、矢が刺さった番号をひと桁ずつ確認しながら、読み上げていきます。

「はちじゅう、ろくのくみの、じゅうまん、ろくせん、ろっぴゃく、れいじゅう、はちばんです」

「霊獣」? 「れいじゅう」って読み方には違和感ありますが、おそらくここでは、それが適切なのでしょう。
「れいじゅう」ではなく、「ゼロじゅう」と読んだとしても、やはり奇異な感じはします。
しかし日常的には、数字を読むときには、「れい」よりも「ゼロ」の方がしっくりくることが多い気がします。

ところがNHKは、そこらへんが厳しい。カウントダウンの場合だと、「さん、に、いち、れい」なのです。
「さん、に、いち、ゼロ」では、「いち、に、スリー」と同じぐらい違和感がある、という理屈だとか。

「事故ゼロ」のように「無」を強調するときに限り「ゼロ」を使うとNHKは言ってますが、少々頭が固い。
和語「ひとつ」、漢語「いち」、外来語「ワン」は、混ぜるなと、そういう考え方なのでしょうか。

でも「ひとり、ふたり、さんにん、・・・」のように、和語と漢語はすでに、かなり入り交じっています。
「海抜ゼロメートル地帯」はOKなのに、降水確率は「0(れい)%」と言うのでは、一貫性がありません。
「ゼロ」がしっくりくる場合には、素直に「ゼロ」を使えば良いのに。

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しめ飾り準備完了
- 2015/12/30(Wed) -
自動車のフロントに「しめ飾り」を付けて走っているのって、最近見かけませんね。
そんなことを思いながら、今日はわが家の玄関に、しめ飾りを取り付けました。

28日までに飾るのが良いのですが、仕事納めから帰宅した夜は、バタバタしていたので忘れてました。
29日に飾るのは、「二重苦」につながるとされているので、飾ることができず。
31日では「一夜飾り」と言われて良くない。なのでチャンスは今日、30日しかなかったわけです。

「しめ飾り」は漢字で、「注連飾り」と書きますね。ほかに「標飾り」とか「七五三飾り」とも書くそうです。
これらは「しめ縄」も同じ。「締め飾り」とか「締め縄」と書いてもしっくりきそうですが、間違いです。

では「締め」ではない「しめ」とはなんぞや、という話になりますね。調べたら「占め」でした。

自分の占有であることを示すしるしが、動詞「占める」の連用形を名詞化して「標(しめ)」だそうです。
とくに「神の居る地域などの立入を禁ずる」ために、木を立てたり縄を張ったりすることのようです。

その由来は、天の岩戸から出てきた天照大神がまた隠れないように、岩戸の入口に張った縄とされています。
つまり最初は、神を締め出して立ち入らないようにするための、結界だったんですね。

それが逆転して、しめ縄やしめ飾りは、内部に神様が居るので不浄の侵入を防ぐための、結界となりました。
さらに転じて、正月に年神様が家に来ていることを表す目印が、しめ飾りというわけです。

似たような結界を、中国では死者の出棺後に、再び死者の霊魂が入らないようにするために使うそうです。
これを「注連(ちゅうれん)」といい、日本の「しめ」とは意味が異なるのですが、似ています。
似ているので、漢字をいただいて「しめ」を「注連」と書くようになったそうです。誤解を招く当て字ですね。

以下余談です。
「しめ」と言えば、福岡市の東に隣接して「志免(しめ)町」があります。これも「しめ」です。
宇美八幡宮の注連縄を作った場所だというのが、地名の由来だそうです。偶然の一致ではありませんでした。

ちなみにその宇美八幡宮は、志免町の南に隣接する、「宇美(うみ)町」にあります。
元寇から避難してきた神功皇后が、応神天皇を産んだ場所です。「産み」が「宇美」の由来です。

こうしてみると「注連」も「志免」も「宇美」も、その文字そのものは、本来の意味とは無関係なんですね。

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10大ニュース
- 2015/12/29(Tue) -
「池上彰が選ぶ2015重大ニュース」と称した番組を、今夜テレビ朝日が放送していました。
この時期の報道番組はよく、「今年の重大(または10大)ニュース」などというテーマを組んでいます。

しかしこの手の番組を、まだ今年が終わってもいないうちから放送するのは、いかがなものか。
年末にとんでもない大事件が起きたら、いったいどうするつもりなのでしょう。いつもそれが気になります。
たとえば「慰安婦問題の日韓合意」は、年末に飛び込んできた、日韓関係ではかなり重大なニュースです。

つまり理論的には、今年のニュースは、今年が終わってからでないと総括できないはずなのです。
なので正月こそ、新年への展望や教訓につなげる意味で、前年の重大ニュースを振り返る好機だと思います。

ところが元日のテレビは、行き当たりばったりな、お笑い番組ばかりが目立ちます。
この状況は、私の記憶する限り、何十年もずっと同じです。芸人が徐々に代替わりしているだけです。
正月早々、過去を反省したり、堅いこと考えたりするのは控えようというのでしょうか。
前年の重大ニュースを交えつつ、元日に報道特集をやる放送局が、ひとつぐらいあってもいいと思うのですが。
池上さん、いかがですか。

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多剤投与
- 2015/12/28(Mon) -
医薬品の「多剤投与」を問題視する記事が、今日も出ています。
医者が儲けるために、不要な薬をたくさん処方していると、そう言わんばかりの論調が多いです。

そのようなケースもあるかもしれませんが、しかしほとんどの多剤投与は、必要に迫られた処方なのです。
いちばん頻度が多いのは、複数の生活習慣病の組み合わせ。とくに高齢者。どうしたって薬は多くなります。

年季の入った高血圧は、2剤3剤以上の降圧剤によってやっと管理できることも、珍しくありません。
糖尿病を合併している場合には、しばしば2剤以上の血糖降下剤を処方することになります。
高脂血症や高尿酸血症も合併している方だと、またそれぞれの薬が増えます。
すでに脳血管障害や心筋梗塞などの既往のある方には、血液サラサラの薬が必要です。
その薬の副作用で胃が荒れることも多く、しばしば胃薬を併用します。
便秘気味の方は、血圧を上げないためにも、緩下剤を処方します。

さらに、不整脈や慢性閉塞性肺疾患や前立腺肥大や、アレルギー性鼻炎や骨粗鬆症を伴っている方もあります。
ひとつひとつの病状に対して、それぞれきちんと治療しようとすると、薬はどんどん増えてしまいます。
「多剤投与」の第1の原因は「多病併存」です。まずはそのことを強調しておきます。

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がん予防ワクチンの危機
- 2015/12/27(Sun) -
子宮頸がんを予防するための、世界中で広く行われているワクチンの接種が、日本では完全に滞っています。

世界よりもずっと遅れて導入した、そのワクチンの副作用に過剰反応し、接種を事実上中断しているのです。
欧米諸国も、副作用については承知していますが、がん予防のメリットを重視して、接種を続けています。

日本の医療団体や関連学会や、WHOまでが、ワクチンの勧奨接種の再開を求め続けています。
将来、欧米諸国では子宮頸がんが激減することが期待されているのに、日本だけが取り残されかねません。
予防できるがんを予防しないという選択の誤りに、早く日本人(世論とマスコミ)が気付いてほしいものです。


肝臓がんなどを予防するために、世界中で行われているB型肝炎ワクチンの接種も、日本では危機的状況です。

来年4月から、ようやく定期接種になる方向でしたが、国の予算がつかず、開始時期は無期延期されています。
欧米どころか、アジアや南米やアフリカのほとんどの国で定期接種なのに、日本はまだ予算がつかないのです。
もはや日本は、「ワクチン後進国」ではなく、「ワクチン最後進国」と言わなければなりません。

おまけに、B型肝炎ワクチンの国内シェア79.9%の化血研が、もうじき営業停止です。
他社が製造していない薬剤は、例外的に流通が認められるようですが、79.9%だと、どうなるんでしょうね。

現在ワクチンの流通量は激減しており、このままでは定期接種どころか、任意接種すら危ぶまれる状況です。
小児科学会は先週、緊急性のある患者さん以外に接種するのを控えるよう、要請を出しました。
化血研は厳しく罰して欲しいですが、子どもたちに罪はありません。ワクチンの流通だけは保ってほしい。

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夜中の侵入者
- 2015/12/26(Sat) -
クリニックは「セコム」で警備しています。異常事態が発生すると、警備員の方が駆けつけてくれます。
これまでに十数回、そのような緊急出動をしていただいたでしょうか。すべて、事件性はありませんでした。

パトカーと警察ヘリまでが出動して、大捕物になったことも、一度ありました。恥ずかしい出来事でした。
警備システムのセットを忘れて院長室で寝ていた私が、不審者と間違われて恥をかいたこともありました。

今朝5時台の緊急出動は、院内キッズコーナーのセンサーが、何者かの侵入を感知したためです。
あわてて駆けつけたセコムの警備員が目にしたのは、不審者ではなく、揺れるサンタクロースなのでした。
タイマーをセットしていたエアコンが起動して、風でクリスマスの飾りが揺れ、センサーが反応したのです。

「ぬすびとはサンタクロース♪」というフレーズを、セコムの人は連想したかもしれません(たぶん違う)。
「侵入者はサンタ、繰り返す、侵入者はサンタ」と、バウアー風に電話連絡したかもしれません(絶対違う)。

似たような事例(失態)は、何度も経験してきました。吊り下げたモビールとか、窓際の観葉植物とか。
そのたびにセコムの方にはたびたび駆けつけていただき、恐縮しています。
このようなことが多くなると、ついにセコムの人も来なくなりゃしないかと、心配になります。

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東芝メディカル売却へ
- 2015/12/25(Fri) -
当院が所有する高額医療機器といえば、X線撮影(レントゲン)装置と超音波(エコー)検査装置が双璧です。
いずれも、東芝メディカル製。とくに故障も不満もなく、開院して8年間、ずっと使い続けています。

開院当初からのリース期間を終え、再リース、再々リースを経て、このたび買い取ることにしました。
買い取る前提としてのメーカーの点検整備を受け、買い取り契約を完了し、今後は、当院の所有物となります。
先日も書いたように、私は意外と、東芝ファンなのです。もちろん、Appleの次ですが。

ところがその東芝は今週、東芝メディカルを他社に売却する方針を表明しました。リストラの一環です。
テレビをはじめとする家電から手を引こうという東芝が、定評あるメディカル部門も切り捨てるとは。

東芝のヘルスケア事業といえば、エネルギーとストレージに続く「東芝3本目の柱」のはずでした。
けっして業績は悪くないのに、東芝本体の財務状況改善のために、東芝メディカルは売られてしまうのです。
好調だからこそ、高く売れるうちに売ってしまえ、ということらしいです。

残る柱のひとつがエネルギー分野ですが、たとえば原発事業などは、どう考えても逆風に晒されています。
ストレージ事業だって、新興国との競争が続きます。10年後にどうなるか、わかったものではありません。

「サザエさん」のスポンサーは続けるらしいですが、原発とメモリーの東芝って、お茶の間に合いますかね。

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門前薬局は安い
- 2015/12/24(Thu) -
「門前薬局は他の薬局よりも薬代が安い」 今朝のテレビ番組で、そのようなことを話していました。

「門前薬局」とは、医療機関のすぐ隣近所にあって、その医療機関の処方箋をおもに扱う薬局です。
薬が安い理由を番組では、「値引きしているから」と解説していましたが、とんでもない誤解、大間違いです。
保険調剤に、値引きなどあり得ません。門前薬局での料金を安く設定したのは、国です。

門前薬局が儲からないようにするために、国がその薬局の調剤報酬(調剤基本料)を減額しているのです。
その結果、患者が窓口で支払う薬代も、安くなるわけです。

特定の医療機関からの処方箋の割合が、70%あるいは90%以上あると、調剤基本料が下がる規定があります。
その詳細は、とても複雑なので割愛しますが、門前薬局に対する、一種のペナルティーのようなものです。

国の狙いは、複数の病院から処方された薬を、患者が1つの「かかりつけ薬局」で受け取るようにすること。
そのためのインセンティブとして、門前薬局以外の薬局が儲かるように、点数に差を付けているのです。

ところが、薬局が儲かるということは、その分、患者が余計な負担を強いられるということになります。
少しでも薬代を安くしたい患者から見れば、このような国のインセンティブは、明らかに逆効果です。
結果的に、国が推進する「かかりつけ薬局」よりも、「門前薬局」の方が安くて患者に優しい薬局なのです。

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リンゴ病流行中
- 2015/12/23(Wed) -
「リンゴ病」は4,5年周期で流行しますが、今年は流行年です。当院にもほぼ毎日、1人か2人来院されます。

正式には「伝染性紅斑」という名前の感染症で、おもな症状は、頬や四肢の網状紅斑(まだらな赤み)です。
ほっぺたが真っ赤になるので「リンゴ病」ですが、四肢はおろか、腹部や臀部まで紅斑が出ることもあります。

病原体は「ヒトパルボウイルスB19」というウイルスで、風邪のように飛沫・接触感染します。

リンゴ病のお子さんは、たいてい元気なので、お母さんの心配は「いつから登園できますか」ということです。
これに対して「発疹が出た時点で、もう感染力はありません。元気なら、すぐ登園できますよ」と答えます。

B19に感染すると、まず風邪のような症状が出ます。この時は感染力がありますが風邪と区別がつきません。
やがてウイルスが減り、ほとんど感染力が失われた後に、皮膚症状(まず頬の発疹から)が出るのです。

B19感染がとくに問題となるのは、妊婦さんの感染。胎児の造血機能を障害し、強い貧血を起こします。
前回2011年の流行では、69例の胎児感染が確認されており、うち49人が流産・死産したそうです。

妊婦さんのいる家庭では、上のお子さんがリンゴ病を発症することも多く、胎児感染の心配はつねにあります。
ところがリンゴ病の感染力があるのは、発疹が出る前なので、実際に感染を防ぐのは、ほぼ不可能。
こういう感染症こそ、早くワクチンを開発してもらいたいものですが、まだ完成していません。
となると、B19の抗体を持たない女性は、妊娠していないうちに、リンゴ病に罹っておくしかないのかも。

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1票の格差是正問題
- 2015/12/22(Tue) -
衆院定数の「1票の格差」是正問題は、8増18減によって1.621倍に縮小されるとのこと。
熊本選挙区も比例代表九州ブロックも、それぞれ定数が減ります。やむを得ないですね。

いや、そうなのでしょうか。議員定数を人口に比例させることって、本当に正しいことなのでしょうか。

たとえば、アジア各国の代表が集まり、アジア地域の問題を議論して多数決を採るとします。
議決権はふつう、各国が均しく1票ですが、もしも人口に比例した票数にするとなると、中国の一人勝ちです。
アジア地域に住む人間はみな平等なのだから、議決権は人口に比例させるべきだというなら、そうなります。

実際には、そうではありません。国の規模に関係なく各国は対等の関係にあり、1国1票です。

同様に、もしも都道府県が対等の関係なら、国会議員定数も、各都道府県に均等に割り振られるべきです。
逆に、都道府県という単位が国政には何も影響しないのなら、国会議員定数は人口に比例してしかるべきです。

「1票の格差」を是正することは後者の考え方ですが、私は両者の中間ぐらいが良さそうに思えてなりません。

各都道府県に、まず1議席ずつ配分する「一人別枠方式」なんて、生ぬるいことするから問題が出るのです。
いっそ定数の半分を各都道府県に均一に割り振って、残りの半数は全部比例代表にする、なんてどうでしょう。
人口の少ない地域の発言力が強まり、地方の活性化と首都機能の分散に貢献します。面白そうじゃないですか。

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万葉仮名風の名前
- 2015/12/21(Mon) -
いわゆる「キラキラネーム」に限らず、最近の子どもの名前には、万葉仮名風のものが増えてきました。
漢字の読みを全部使わず、頭の1音(または2音)だけを使って、組み合わせたものです。

「心」という漢字を使った名前の場合を検証してみます。訓読みなら「こころ」、音読みなら「しん」です。
人名には「きよ」「ご」「ごり」「さね」「なか」「み」「むね」「もと」も使えると、辞書にあります。

しかし実際には、それ以外の使われ方を、しばしば目にします。当院の患者データベースで調べてみました。

「心」の字を含む名前の方は、全部で222名でした。
名前が「心」1文字の人が10人。読みは、「こころ」「しん」「じん」「ここ」の4パターン。

2文字以上の名前で、その先頭文字が「心」の人は、全部で117人。
「心」の読みは、「ここ」38人、「こ」31人、「しん」6人、「し」4人、「み」38人。
とくに今風なのが、「こころ」や「しん」の頭1音だけを借りた「こ」と「し」です。

2文字以上の名前で、名前の末尾の文字が「心」の人が全部で94人。
「心」の読みは、「ここ」1人、「こ」23人、「しん」42人、「み」16人、「く」1人、その他(省略)。
「し」はいませんが「こ」が多いです。「く」は「こ」からさらに派生したものなのでしょうか。

音訓にかかわらず、漢字の読みの1音だけを組み合わせれば、命名の自由度はいくらでも広がります。
名付けたい「よみ」と、使いたい「漢字」を両立させるための、今風の工夫なのかもしれません。

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東芝のテレビ
- 2015/12/20(Sun) -
新聞記事を斜め読みしていたら「大ナタ」「止血」という、物騒な文字に目が留まりました。経済記事です。

東芝の経営再建は、国内外の拠点再編・人員削減などのリストラ策による、一時的な「大赤字」が前提だと。
大ナタをふるってあちこち切り捨て、大出血させた後、止血し、体質を改善しようということのようです。

生き延びるために、機能の低下した患部を切り落とすような、そんな容赦の無い大手術になるのでしょう。
しかし、いったん切り落とした部分は、もう生えてきません。憂慮するのは、テレビ部門からの撤退です。

わが家のリビングには、きわめて高度でマニアックな機能を有する、東芝製のテレビが鎮座しています。
録画機も、東芝の製品からはオタク臭が漂うので好きです。家電と言うよりも、パソコンに近いイメージ。
過去には他社のテレビも買って来ましたが、もうこれからは東芝一筋で行こうと、そう思っていた私です。

ところがその東芝が、テレビ事業から完全撤退するかもしれないと、日経の記事にはあります。
少なくとも事業は大幅に縮小されるようで、東芝のテレビの魅力は今後失われるでしょう。悲しいことです。

数年前のNHKスペシャルで、東芝のテレビ開発者が、こう言っていました。
「(日本のものづくりはどこへ向かうべきかと問われて)職人芸の方にいくしかないでしょう」
そのおかげで、私の好きなオタクなテレビができたのですが、企業経営的には、難しかったようです。

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風邪が入る
- 2015/12/19(Sat) -
インフルエンザはまだ流行していませんが、寒くなって風邪の患者さんが増えています。

「風邪を引いた」という意味で、私の父はよく「風邪が入った」と言ったりします。
方言(山口弁)だろうと何十年も思っていましたが、最近調べてみたら、そうでもないようですね。
「風邪(ふうじゃ)が入る」という東洋医学の考え方で、「邪気」がカラダに入るということらしい。

邪気=病原体(とくに気道に急性炎症を引き起こすウイルスなど)と考えるなら、その表現が正解でしょう。
そしてその邪気を、自分のカラダに引き寄せ、受け入れることを、「風邪を引く」と言うわけです。

「風邪を引いた」と能動的に表現するか、「風邪が入った」と受動的に言うかの違いです。
「幸運を引き寄せた」と「幸運が舞い込んだ」の違いみたいなものでしょうか。

風邪なんて、好きで引き寄せるものでもないので、医学的には「入った」が正しい表現かもしれません。
いや、不摂生が原因なら、引くべくして引いた風邪とも言えるでしょう。

診察中には、引き寄せたくない病原体が、患者さんの咳とともに私の顔面をしばしば直撃します。
メガネをかけてマスクも付けていますが、それでは不十分です。

かつて豚インフルエンザのときには、専用ガウンやゴーグルを備えたものですが、ほとんど使わずじまい。
高病原性インフルエンザのパンデミック時ならともかく、日ごろの診療で重装備をするわけにもいきません。

医師が感染を完璧に防ぐのは不可能。ならば感染しても発症しないような、免疫力を付けるしかありません。

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診療報酬上げ下げ
- 2015/12/18(Fri) -
来年度の診療報酬の改定方針が決まりました。
本体部分(医師の技術料相当)を0.49%引き上げる一方、薬価は1.22%、医療材料は0.11%の引き下げです。
診療報酬全体としてはマイナス0.84%で、「8年ぶりの引き下げ」と報じられています。

ちょっと待ってください。「8年ぶりの引き下げ」って言われるのには、少々違和感があります。

前回(2014年4月)の診療報酬改定額は、たしかに小幅(全体改定率 +0.1%)引き上げでした。
しかし同じタイミングで消費税も5%から8%に引き上げられたのに、医療費の引き上げは0.1%だったのです。

医療費(保険診療)は非課税ですが、患者サイドからすれば、税込なのかどうかは関係ありません。
消費税が3%分上がったのに、窓口で支払う医療費の値上げは、わずかに0.1%だけだったということです。
患者負担からすれば、他の物はみな増税したのに、医療費だけほとんど値上がりしていないという感覚です。
その意味で、前回の診療報酬改定は、引き上げではなく、実質的な引き下げだったのです。

そればかりではありません。上げ下げでいうのなら、その幅(絶対値)にも、きちんと目を向けるべきです。
2000年の改定率から、2016年の改定(予定)率までを、順に書き並べてみると、
+0.2 ー2.7 ー1.0 ー3.16 ー0.82 +0.19 +0.004 +0.1 ー0.84%

こうしてみると、上げるときは小幅、下げるときは大幅、というパターンなのがよくわかります。
来年度の改定を「8年ぶりの引き下げ」というのは、間違いではありませんが、本質を見誤った表現なのです。

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『夫婦別姓』合憲?
- 2015/12/17(Thu) -
「夫婦別姓」問題。最高裁大法廷の判断が、昨日、示されました。
この報道に関連して、NHKの字幕に問題があったと騒がれていたので、録画をじっくり検証してみました。

NHKは午後3時から、最高裁前からの中継を含めて、特別報道態勢で生放送をしていました。
午後3時16分、ニュース速報のアラームとともに、画面上部にテロップが表示され、さらにアナウンサーが、
「(夫婦別姓を認めない)民法の規定については、憲法に違反しないという初めての判断を示しました」

やはり合憲と判断されたようです。ところが、そのまま見ていると、テロップが3つに増えています。
(1)夫婦別姓認めない民法規定 合憲の判断 最高裁判所(画面上部の白黒のテロップ)
(2)「夫婦別姓」合憲判断 (いちばん目立つ、画面下のカラーテロップ)
(3)「夫婦別姓」最高裁 合憲と判断(画面右上のカラーテロップ)

このうち正しいのは(1)です。それを簡略化して、おかしなことになったのが(2)と(3)です。
おそらく「『夫婦別姓』問題、合憲判断」のつもりなのでしょう。
大事なところを省いたおかげで、意味が反対になっています。かなりダメでしょう、これは。
しかも(1)はすぐに消え、誤解を招く(2)と(3)だけが、しばらく表示され続ける始末。

途中からテレビを見た人は、「夫婦別姓、合憲」の文字に驚いたことでしょう。
テロップには、簡潔な表現が求められますが、なによりまず、正確に伝わらなくては話になりません。

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ダウ・デュポン
- 2015/12/16(Wed) -
米国の化学会社「ダウ・ケミカル」と「デュポン」が経営統合し、世界一の化学企業になると報じられました。
私には直接関係のないことですが、しかし新聞記事を見て驚きました。
世界の化学メーカーの売上高トップ10に、日本企業が含まれていないからです。

日本でトップの「三菱ケミカル」は、世界第11位。惜しい、なんて言ってられません。
似たようなことは、製薬会社にも言えます。日本でトップの「武田薬品」は、世界でいうと16位前後です。
科学立国日本において、化学は得意分野のひとつと思っていましたが、こんなことになっているとは。

化学工場といえば、子どもの頃(60年代)にはとても身近な存在でした。ニオイがするほど身近でした。
私が住んでいた防府市の海沿いには、協和醗酵や鐘紡などの工場が建ち並んでいました。
例の華浦小学校や、そこに転校する前に通っていた新田小学校はまさに、その工場地帯に位置していました。
近所には「協和町」とか「鐘紡町」という地名もあり、海には工場排液が垂れ流しで、海水は醤油色でした。

海だけではありません。地域によっては大気汚染もひどかった頃です。今の中国と似たようなものです。
やがて公害問題が深刻になり、健康被害訴訟が次々と起き、環境改善が国や産業界の課題となりました。

そのような苦難の時期を乗り越えていく過程で、もしや化学工業に逆風が吹いたのでしょうか。
今となっては日本の化学企業は、自動車業界と比べると、あまりにも世界シェアが低いです。
何か問題(公害など)が起きると、とたんに萎縮・後退してしまう、日本の体質が原因かと思えてなりません。

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トイレの手洗い
- 2015/12/15(Tue) -
ノロウイルス感染に限らず、トイレでの手洗いは、感染予防の第一歩です。
これには、自分を守る(自分が感染しない)ためと、他人を守る(感染を広げない)ための、2面があります。

まず、自分が感染しないためには、トイレはあちこちが汚染されていると考えて、警戒することでしょう。

トイレの個室に入ってドアをロックしたら、まず、いったん自分の手を消毒します。
トイレットペーパーの先が三角折りされている場合には、その部分を捨ててから、もう一度手を消毒します。
さらに、ドアノブやドアロックや、水洗のレバーやお尻洗浄ボタンや便座など、あちこちを拭き上げます。
このようなことを可能にするためには、携帯用の手指消毒液を持ち歩く必要があります。

次に、自分が何らかのウイルスに感染している場合は、感染を拡大しないように、細心の注意が必要です。

用便後から手洗いするまでの間の手は、ウイルスで汚染されていると考えなければなりません。
その手で触れた、水洗レバーや洗浄ボタンや、ドアロックやドアノブなどは、すべて汚染されてしまいます。
手洗いしてからパンツを穿く人などいません。だから当然、衣類も汚染されてしまいます。

ではどのようにすれば、感染拡大を防ぐことができるのか。その理想的な手順を考えてみました。
(1)用便後に水を流し、ドアロックを解除し、ドアを開いておく。
(2)レバーやボタンやロックやドアノブを、消毒液をしみこませたトイレットペーパーで拭き上げる。
(3)手をよく洗う
(4)パンツを穿く

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防府市へ納税
- 2015/12/14(Mon) -
大河ドラマ「花燃ゆ」は、昨日が最終回でした。
全50話の平均視聴率12.0%は、「平清盛」と並んで、大河ドラマ史上歴代ワーストタイだそうです。
ま、いいじゃないですか。盛り上がりには欠けましたが、またひとつ、歴史を学ぶことができました。

幕末から明治維新のドラマは、誰を軸に描くかによって、盛り上がり方がだいぶ異なります。
吉田松陰の妹が主人公ということで、比較的穏やかな人間ドラマになる事は、ある程度想像していた通り。
山口県出身の私の思い入れもありますが、私が育った防府市について、新たに知った史実もありました。

大河ドラマの本編終了後には、「花燃ゆ」紀行という、ちょっとしたコラムのような短編番組があります。
毎週、何気なく眺めていたのですが、その映像に驚かされることが、時々ありました。

私の母校「華浦(かほ)小学校」がいきなり画面に登場したときが、まさにそうです(5月3日放送)。
主人公の夫となった楫取素彦が教鞭を執った「越氏塾(えっしじゅく)」が、その源流なのです。
「歴史はな〜が〜く〜、300ね〜ん」と歌っていた、小学校時代を思い出します。

そして昨日の最終回では「鞠生(まりふ)幼稚園」が登場。私の妹が通った幼稚園です。
主人公の楫取美和夫妻が、その創設を支援したとのこと。そんな歴史のある幼稚園とは知りませんでした。

というわけで、もうずいぶん訪れていない遠い郷里を想い、今日は防府市に、ふるさと納税をしました。
これまでお礼品目当てであちこちに納税してきましたが、今回は、本来の意味でのふるさと納税となりました。

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外食か持ち帰りか
- 2015/12/13(Sun) -
消費税の軽減税率の対象品目が、ようやく決まりました。
生鮮食品と加工食品(飲料・菓子を含む)が対象となり、アルコール飲料や外食は対象外です。

となると次の問題は、外食かどうかの線引きですね。悩ましいケースが、いくつも想定されています。
たとえばハンバーガー。店で食べる「イートイン」なら外食扱い、持ち帰り「テイクアウト」なら軽減税率。

では、店を出て、駐車場の車内で食べた場合は持ち帰り扱いなのか。それとも店の敷地は店内とみなすのか。
そもそも、いったん金を払って買った物を、どこで食べようが自分の勝手ではないのか。

この話になると、よく引き合いに出されるのが、高い消費税率の先進国、欧州の事例です。
たとえばドイツのハンバーガー。店内で食べると19%の税率、持ち帰りなら7%と、かなりの値段差です。
これじゃ、みんなテイクアウトで買った後で、そこら辺で食べるんじゃないの、と思ってしまいます。

ところが、ドイツマクドナルドでは、イートインとテイクアウトでは価格が同じ、という記事を見つけました。

税率は異なっても、税込み価格が同じになるように、持ち帰り用は本体価格を高くしているからだそうです。
これって、軽減税率の主旨に反するような気がします。ドイツ人は納得しているのでしょうか。

ピザの宅配や出前を、外食扱いにするような話も出ていますが、その根拠は何でしょう。
そもそも「外食」とはなんぞや。その定義を明確にして、論理的に線引きをしてもらいたいものです。

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新型ノロ流行か
- 2015/12/12(Sat) -
ノロウイルスによる、感染性胃腸炎の流行が懸念されています。テレビを見ればノロの話題ばかり。
もはや、この呼称をやめるように訴えている野呂さんへの、配慮のかけらもありません。

胃腸炎の原因はノロウイルスだけではないのですが、いまの時期、多くの方がノロを心配して来院されます。
ノロは潜伏期が24〜48時間程度あるので、少なくとも夕方牡蠣を食べて夜中に発症することはありません。

その確定診断は、持参便の簡易迅速検査によって行うことができますが、実際には少し、問題があります。
(1)3〜64歳では検査に保険が利かず、自費で検査すると混合診療になるので実施しにくい
(2)そもそも年長児や成人で、便を持参する方はほとんどいない
(3)簡易検査キットで、必ず検出されるとは限らない(偽陰性がある)
(4)今年流行している新型(新しい遺伝子型)のノロウイルスは、とくに検出されにくい

3歳以上の患者さんでは通常、症状と状況(家族や幼稚園等でノロが出ているか)によって診断します。
ただしノロウイルス感染であるかどうかによって、治療法は変わりません。いずれにせよ対症療法です。

最近よく聞くのが、「トイレを流す時は、便器のフタ(便フタというらしい)を閉じてから」ということ。
水が流れる際に、便器から微粒子が立ち上るのを捉えた映像が、繰り返し報じられています。
報道番組でもためしてガッテンでも、その映像を目にしました。あの微粒子を、吸い込みたくはないですね。

ただ私は、便フタを閉じて流すのには、抵抗があります。ちゃんと全部流れたかどうか、気になるからです。

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名前と愛称
- 2015/12/11(Fri) -
知人のお孫さん「七瀬」ちゃんは、みんなから「ななちゃん」と呼ばれているそうです。
それでは、名前が最初から「菜々」ちゃんだったら、みんなは何と呼ぶのか。たぶん「なっちゃん」でしょう。

「七瀬」ちゃんは「ななちゃん」と呼ばれ、「菜々」ちゃんなら「なっちゃん」になるのです。
「千佳子」ちゃんは「ちかちゃん」と呼ばれ、「千佳」ちゃんだと「ちーちゃん」でしょうね、たぶん。

愛称は、名前を呼びやすくするための工夫でもあるので、たいていは、本名よりも短くなります。
本名がもともと呼びやすい場合でも、本名と差を付けるために、さらに短縮されるようです。

したがって、愛称のことを考慮するなら、赤ちゃんに命名するときには短縮の余地を残さなければなりません。

たとえば「優ちゃん」はそのままでも「ゆーちゃん」なので、短縮しようがないのです。
ま、それがどうしたと言われれば、どうってこともないですが。

幼少期の愛称は、大きくなるにつれて(中学ごろ?)恥ずかしくなることがあります。

私の名前は「由一(よしかず)」ですが、小さい頃は親から「よしくん」と呼ばれていました。
いつごろからか、人前でそのように呼ばれるのが、とても恥ずかしくてたまらなくなりました。
でもそんなことはお構いなしに、いまなお母は、55歳の私を「よしくん」と呼びます。ま、いいですけど。

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イソジンが塩野義へ
- 2015/12/10(Thu) -
「イソジン」の製造販売が、明治(Meiji Seikaファルマ)から塩野義製薬に移管されることになりました。

「イソジン」は消毒薬の商品ブランド名。成分は「ポビドンヨード」。ヨード(ヨウ素)化合物です。
オランダのムンディファーマが開発した薬で、これまでは明治が、日本での製造販売権を持っていました。

明治は、イソジンの名は失うものの、イソジンのジェネリックを製造販売するようです。なんのこっちゃ。
一般の消費者にとっては、商品名が「イソジンうがい薬」から「明治うがい薬」になるだけの話。
しかも「カバくん」のキャラクターは明治が保有するので、商品の見かけは、ほとんどイソジンでしょうね。
このさい商品名も「イソジソうがい薬」にしてはどうか。(「ン」ではなく「ソ」です)

イソジンは、うがい薬だけではありません。医療、とくに手術の際には、いちばんよく使われる消毒薬です。

研修医のとき、某科で手術の時に皮膚に塗っていた消毒薬はしかし、ヨーチンでした。当時としても古風です。
90年頃、当直のバイト先の某病院で、緊急手術の際に院長が赤チンを使っていたのには、さらに驚きました。
いまどきヨーチンは使わないし、赤チンなどあり得ない。手術のときに皮膚を消毒するのは、イソジンです。

そのイソジンにもジェネリックが登場し、市民病院でも全面的に、ジェネリックに置き換わりました。
でもジェネリックって、やっぱり少し違うんですよね。イソジンの方が明らかに、塗ったあとの感触がいい。
なので無理を言って、私の所属する科だけ例外的に、イソジンを使い続けられるようにしてもらいました。

そような私たちのワガママに対して、ある日、看護師がクレームを付けてきました(実話です)。
看「イソジンを特例で使うのって、どこに話を通してるんですか。薬剤部ですか、総務ですか?」
私「イソジンのことなら、用度係(ヨード係)でしょう」(←自分で言うのもなんですが、気に入ってます)

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血圧計を交換
- 2015/12/09(Wed) -
診察室で8年間使ってきた「水銀血圧計」ですが、ついにこのたび買い換えました。
水銀体温計や水銀血圧計は、とくに破損時の健康被害が問題とされ、世界的に使用が中止される方向です。
水銀は20℃で気化し、それを吸入すると肺に沈着して水銀中毒を起こすからです。

一時期、水銀血圧計にそっくりな外観の、デジタル自動血圧計に買い換えようと考えたことがあります。
しかし、自動血圧計はどうしても、その正確さが気になってしまい、結局購入は見合わせました。
やはり血圧は、聴診器を耳に当てて測る、アナログ血圧計がいちばんです。

となると選択肢はひとつ。「アネロイド血圧計」ということになります。
「アネロイド(aneroid)」とは、「液体を使わない」という意味のギリシャ語です。つまり、水銀不使用。
内部が真空の金属容器が外圧によって変形するのを、針の動きに変えて血圧を示すものです。
水銀血圧計で水銀柱がゆっくり降りてくる、あの繊細さにはかないませんが、ちゃんと正確に測れます。

人の血圧は、大動脈と頸動脈にある「圧受容器 ( baroreceptorバロレセプター)」によって監視されています。
バロ(baro)とは、圧力を意味します。バロメーター(barometer)のバロです。

血圧が上がれば、バロレセプターがそれを感知し、自律神経を介して、心臓の収縮力と心拍数を減らします。
血圧が下がったときには、その逆の反応です。
バロレセプターという、いうなれば生体の血圧計の、その精巧な仕組みと俊敏な反応には驚くばかりです。
動脈壁の変形(伸展)で作動するので、アネロイド血圧計に、少し似ているのかもしれません。

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間違い受診
- 2015/12/08(Tue) -
年末恒例の、クリニック大掃除の日でした。休日(休診日)を返上して、スタッフが集まってくれました。

作業を分担して、各自が黙々と清掃を行います。私の担当は、いつものようにパソコンまわりと院長室など。
清掃業者による、床のワックスがけも同時進行です。造園業者にも依頼して、庭木の剪定も行いました。

さて、大掃除の真っ最中に、初老の男性が、診療のために来院されました。
たしかに医者も看護師も院内にはいますが、なかなか診療を行うことが難しい状況です。
電子カルテのパソコンも、診察机もイスもベッドも何もかも、診察室から運び出されています。

申し訳ないですが、今日はご覧のように大掃除ですし、もともと火曜日は休診日なのです、と私。
その方はしかし、朝から電話でちゃんと予約したのだから、何とかしてくれと。
休診日は留守番電話にしているので、電話予約を受け付けるはずはないのですが、何かの間違いでは?

しばらく押し問答が続き、やや険悪なムードになりましたが、最後は男性の勘違いと判明。
当院ではなく、別のクリニックを予約されていたようです。やれやれ。

かく言う私も、間違い受診をして恥をかいた経験があります。十数年前の話です。

子どもに予防接種を受けさせるために、近所の小児科に連れて行ったときのこと。
初診用の受付票を書きながら待合室を眺めると、小児科のはずなのに、なぜかご高齢の患者さんが多いのです。
さっき履いたスリッパをよく見ると、「○○整形外科」と書いてある。他院から借りたスリッパなのか?

「お間違えなのでは?」と言われてやっと気づきました、違う医院に来てしまったことに。小児科は隣でした。

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クローズアップ現代
- 2015/12/07(Mon) -
NHKの「クローズアップ現代」は、放送開始からもう、22年以上経ちましたが、まだ色あせていません。
「やらせ(または過剰な演出)問題」も乗り越えた国谷裕子キャスターは、22年の齢を重ねても、元気です。

私がとくに好きなのは、この番組のエンディング。生放送ならではの緊張感がたまりません。

番組の前半は、おもにビデオを流しますが、後半は、キャスターとゲストまたは記者との対談形式です。
終盤に近づき、そろそろまとめに入るべき時間帯になると、見ている方もドキドキしてきます。

しかも国谷キャスターは、ギリギリまで時間を無駄にせず、最後までゲストにしゃべらせようとします。
自分でまとめて終わればいいものを、あえてゲストに、まとめを誘導する質問を投げかけます。
どうやら国谷氏は、生放送を楽しんでいるようです。

はたしてゲストは、要領よくまとめの発言ができるのか。その結末は、次のようなパターンでしょうか。
(1)なんとかまとめて、時間内におさまる
(2)しどろもどろになって、最後はバタバタ
(3)時間オーバーして、無理やり発言終了
(4)収拾がつかないまま、発言途中でフェードアウト

先週、久しぶりに立花隆氏が招かれた回の放送は、立花氏が放った放送禁止用語のために異様な展開でしたね。
目に見えないニュートリノを観測できたのは、当時カミオカンデを持っていた日本だけだと言いたい立花氏が、
「世界のすべての学者がめくら同然の状態にある中で、日本だけがそれ(=ニュートリノ)を見て・・・」

この大いに問題のある発言を、いったんスルーした国谷氏ですが、はたして番組中で、どのように詫びるのか。
見ていて気が気でなく、「シーソー機構」という、とても興味深い話が、まったく入ってきません。
おまけに立花氏は、興奮してしゃべり続けています。下手をすると(4)のパターンに突入か。

そこへ国谷氏、ギリギリで発言に割り込み、最後の3秒で「不適切な表現」を詫びたのでした。あ〜緊張した。

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熱にうかされる
- 2015/12/06(Sun) -
寒くなってきたので、風邪を引く人が増えてきました。RSウイルス感染や溶連菌感染も多いです。
インフルエンザではなくても、風邪などで高熱が出たときにも、異常行動を起こすことがあります。
「熱譫妄(ねつせんもう)」とよばれる症状で、高熱に伴う幻覚症状です。

このときの脳波は、REM睡眠と似たパターンだそうです。では本人は、夢を見ているつもりなのでしょうか。

通常のREM睡眠では、精神活動が行われる代わりに肉体(筋肉)活動が停止して、体は動きません。
しかし、熱譫妄のときには体が動くので、夢を見ながら自由に動ける状態になるわけです。
そのような人を、はたから見れば、どう見ても異常行動にしか見えないでしょうね。

考えてみたら、科学者でも芸術家でも、夢を追い求めている姿は、しばしば異常行動のように見られがちです。
「夢中になる」とは、こういうことかもしれません。

明らかな異常行動を起こすわけではなくても、高熱でうわごとを言ったりすることは、よくあります。
このように、発熱時に「うなされている」ような状態などを、「熱にうかされている」と言ったりします。

「うかされる」熱は、体温とは限りません。現に、BBQ熱にうかされている人間もいます。私です。

文化庁の調査によると、「熱にうなされる」と誤用する人が、かつては多かったそうです。
ところが今年の調査では、「熱にうかされる」と正しく使う人の割合が、6割近くまで回復しているとのこと。
言葉は必ずしも、誤った用法に向かって一方的にゆれていくのではなく、「ゆれ戻し」もあるようです。

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高齢化と診療報酬削減
- 2015/12/05(Sat) -
来年度予算に関連して、診療報酬を削減するかどうか、2年に1度の恒例の議論が行われています。

今回は「薬価」だけではなく、「本体部分(=医師の技術料にあたる)」も下げようという動きがあります。

厚労省が要求する社会保障費は、今年度と比べて来年度は、6700億円もの増額を要求しているようです。
ところが財務省は、伸びを5000億円に抑えろと、つまり1700億円削れと、そう言っています。

年金制度などに大きな制度改革がないので、この1700億円はほぼ、医療費から捻出しなければなりません。

確認しておきますが、社会保障費が増えているのは、高齢化が原因です。
病気になりやすい人の数が増えれば、医療費も増加します。けっして医者の過剰医療が原因ではありません。

ところがその問題を、医療の単価(=診療報酬)を下げることで解決しようというのが、今回の動きです。
医者は増えた仕事をこなしているだけなのに、働き過ぎだから単価を下げます、と言われるようなものです。

幸か不幸か、診療報酬は公定価格。国が自由に決められます。削ろうと思えばすぐ削れます。
そして、いくら医師の診療報酬を削っても、マスコミや世論は反発しないどころか、むしろ歓迎するのです。

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ジェネリックの調剤体制
- 2015/12/04(Fri) -
中医協(中央社会保険医療協議会)はこのたび、ジェネリック医薬品の価格引き下げを了承しました。
先発品(新薬)の60%以下と決められているジェネリックの価格が、50%以下になります。
ジェネリックの普及率を、現在の46.9%から80%以上に引き上げ、医療費を抑えようというわけです。

このような話が出ると、「安かろう悪かろうでは困る」という反対意見が出てきます。
ジェネリックは、主成分以外の成分や製造工程が異なるため、効果が疑問だし副作用も心配というわけです。

しかし必ずしもそうではありません。ジェネリックの方がよく効いたり、副作用が少ない場合もあり得ます。
あるいは効果が多少弱くても、それを逆手にとって「マイルドな薬」として利用することも実際にあります。

一方で値段の安さでは、ジェネリック普及を促す制度自体が、逆に値段を上げているパラドックスがあります。

保険薬局における調剤基本料には「後発医薬品調剤体制加算」という点数が加算されています。
この点数は、各薬局において調剤した薬剤のうち、後発医薬品の「数量シェア」によって決められます。
「数量シェア=後発医薬品/(後発医薬品のある先発医薬品+後発医薬品)」です。

この加算は、ジェネリックを積極的に扱っている薬局が、調剤基本料を高く算定できるという仕組みです。
大手のチェーン薬局などは、最大の加算点数22点を算定できるような「体制」を整えています。
一方で小規模な薬局では、その「体制」が整わず、この加算が算定できない場合があります。

問題は、薬局が真面目にジェネリック普及に取り組んだご褒美を、患者から請求するということです。
その結果、ジェネリックの取り扱いが多い薬局では、患者が支払う薬代が高くなってしまいます。
逆に、ジェネリックの取り扱いが少ない薬局では、薬代が安くなるというわけです。おかしな話です。

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化血研の隠蔽体質
- 2015/12/03(Thu) -
本日ついに、化血研に、厚労省の立ち入り検査が入りました。
第三者委員会によって、企業ぐるみの「不正+隠蔽工作」が明らかにされたのであれば、当然のことです。

不正行為は70年代から行われていたとか。なかでもよく話題にのぼるのが、ヘパリン使用問題でしょうか。
ヘパリンというのは、特殊な治療や心臓手術中にも使う、血液凝固を強力に抑制する薬です。
第三者委員会の「調査結果報告書」を読むと、化血研がだんだんと道を外れていく過程がよくわかります。

(1)ある血液製剤の製造工程で、血液凝固反応が起きてしまうという問題が生じた
(2)ヘパリンを添加したら、その問題がクリアできるため、元副所長がヘパリン添加を指示
(3)製造法の変更なので、それを厚労省に申請する必要があるが、試験のやり直しが必要で時間がかかる
(4)工程の承認書を拡大解釈すると、ヘパリン添加が可能と解釈できないでもない

ついに、ヘパリン添加を隠したままで承認申請を行い、厚労省から製造が承認されました。
さて、いったん不正を働くと、こんどは隠蔽工作が必要となり、いよいよ泥沼に嵌まっていきます。

(5)査察で不正が発覚しないように、実製造の記録と、承認書に沿った製造記録の2種類を作成
(6)ヘパリンの出納から不正が見破られないように、虚偽のヘパリン出納記録も作成
(7)研究用のヘパリン出納記録も偽造し、製造用のものと混在させ、わざと複雑にして査察を攪乱
(8)捏造した製造記録や出納記録は、古く見せるために、紙を紫外線で焼いた

当初、化血研の問題は、書類上の齟齬のような報じられ方でしたが、残念ながら、実態は悪質な不正でした。

厚労省もブチ切れし、化血研製の血液製剤やワクチンのほとんどが、いまだに出荷停止状態です。
例外的に、インフルエンザワクチンや、先週ようやく4種混合ワクチンも、出荷解禁となりました。

当院でのワクチン接種予約と製剤納入状況からすると、いまはB型肝炎ワクチンが厳しくなりつつあります。
化血研にペナルティを科すのはわかりますが、ワクチンの流通はなんとかしてほしい。複雑な心境です。

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不具合ワクチン再登板
- 2015/12/02(Wed) -
「3種混合ワクチン納品希望申込書」を保健所に提出した件は、前に書いたとおり。その後日談です。
申込の数日後に、メーカーから連絡が入りました。要点は3つ。
(1)厚労省から連絡があったので、申込通りの日程で、ワクチンを納入いたします。(はいはい、よろしく)
(2)販売会社は、(私が指定していた)北里薬品ではなく、第一三共になります。(ふーん、そうなの)
(3)ワクチンの入った注射器は、針が外れて薬液が漏れやすいので、注意してください。(げ、やっぱり)

何度も書いてきたように、3種混合ワクチン(DPT)は現在、通常のルートでは入手できなくなっていいます。

3種に不活化ポリオを加えて4種に移行する過程で、3種混合ワクチンの供給量はどんどん減っていました。
各社は製造を中止し、ただ1社、北里第一三共だけが、在庫分の販売を継続していました。

ところがその、唯一残っていた北里第一三共のワクチンが、ある日突然、販売中止となりました。
その理由は、「ワクチンの注射器から針が外れやすい」という不具合でした。
くしくもその日が、北里柴三郎を記念した「血清療法の日」であったと、以前も書きました

そして今日、私の手元に届いたのはその、注射器から針が外れやすい、いわく付きのワクチンです。
かつて販売中止となった、言うなれば「不良品」が、緊急事態を救うために再登板してきたわけです。

ご丁寧に、針が外れやすいという「不具合」を、あらためて注意喚起(警告)する文書も送られてきました。
「もう日本の3種混合は、このワクチンしかないからな。文句言うなよ。注意して打てよ」という主旨です。

面倒な手続きを経て、やっと入手したワクチンですが、接種時に針が外れて液が漏れたら、接種は中止です。
もういちど保健所に手続きをして、新たなワクチンを手に入れなければなりません。
そしてまた、新たなワクチンが届いたとしても、それもまた「注射器から針が外れやすい」ワクチンなのです。

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山手線新型車両トラブル
- 2015/12/01(Tue) -
営業運転を始めたばかりの、JR山手線の新型車両に、初日からトラブルが相次ぎました。
しかもその原因が、「INTEROS」と呼ばれる、次世代情報管理システムの不具合だというのが問題です。

INTEROSは、車両に搭載されたセンサー等からの情報を集約・分析して、フィードバックするシステムです。
たとえば、乗客を含めた各車両の重さを計算して、ブレーキ強度を調節し、ピッタリの位置に停車するとか。

ところが昨日は、正しい位置に止まらなかったり、停車してもドアが開かないなどの、トラブルが起きました。

車両の重さを計算してブレーキ強度を調節するシステムが、計算を間違えてブレーキ強度を誤ったわけです。
駅に停止してもドアが開かなかったのも、ブレーキがかかっているかどうかの判断を誤ったせいとのこと。

こうなると、ブレーキがまったく効かなくなるような不具合が、絶対起きないという保証があるのでしょうか。
走行中にいきなりドアが開くというエラーは、絶対起きないのでしょうか。

ブレーキ強度やドアの開閉を、システムが自分で判断するというところに、どうしても危うさを感じます。

システムがハッキングされて、スピードやブレーキが誰かに操られる可能性だって、考えられます。
これは自動運転車(自動車)にも言える、いちばん怖い次世代トラブルだと思います。

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