2月29日生まれ
- 2016/02/29(Mon) -
2月29日生まれは4年に1回しか年をとらないのかと、小学生のころ友達を冷やかしたりしていました。
しかし、2月29日生まれの人の誕生日が平年ではいつなのか、真面目に考えたことはありませんでした。

最近、なにかと年齢計算を気にするようなって、この閏日問題の謎も自然と解けました。

これまでにも何度か書いてきたように、民法の規定では、誕生日の前日に年齢が繰り上がります。
だから2月29日生まれの人は、閏年であろうとなかろうと、2月28日に年齢が繰り上がるのです。

同じ考え方から、3月1日生まれの年齢が繰り上がるのは、閏年なら2月29日、平年なら2月28日です。
このような面倒な事柄が、2月末でよかったのです。これが年度末(3月末)だと、混乱を招いたと思います。

古いローマ暦である「ロムルス暦」では、いまの3月から始まる農耕暦だったそうです。
その後の「ヌマ暦」で1月と2月が付け加えられたので、2月は年末。日数調整のしわ寄せが2月に集中します。
日付と季節を会わせるための閏日の入れ方が、当時はなかなか難しかったようです。

やがて暦は1月始まりに変わり、しわ寄せが2月に残ったまま、次の「ユリウス暦」となります。
このようにしてローマの暦は、改修に改修を重ねて、なんとか「グレゴリオ暦」までたどり着いたようです。

ローマ暦はちょうど、増築・改築を重ねた、古い旅館のように思えてきます。
交互に並んだ大小の棟の間に、行きがかり上、特別小さい棟が挟まれている、それが2月というわけですね。

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インフルB型流行中
- 2016/02/28(Sun) -
当院で本日診断したインフルエンザは、A型よりもB型の方が多いという、珍しい事態でした。
このようなB型インフルエンザの流行は、私の開業8年間の経験では初めてのことです。

国立感染症研究所の、ウイルス分離報告を見ても、今シーズンの流行はかなり特異的です。

まず、現在の流行の約6割が、2009年に流行した、元「新型」インフルエンザ(A型(H1N1))です。
昨年の主流だった、いわゆる「季節性」インフルエンザ(A型(H3N2))は、今ほとんど検出されていません。
つまり、昨年A型インフルエンザに罹患した方でも、今年またA型に罹患する可能性があるということです。

B型が多いのも特徴。過去3年間は「山形系」主体だったのに、今期は「ビクトリア系」が拮抗しています。
つまり、この数年B型インフルエンザに罹患した方でも、今年またB型に罹患する可能性があるということ。

従来、A型に比べて比較的軽症と思われてきたB型ですが、今年のB型は重症が多い印象があります。
もしかすると、「ビクトリア系」は重症なのかもしれません。

ところで、来院する発熱者がすべてインフルエンザとは限りません。その他の感染症の方もたくさんいます。

南米帰りの方であれば、ジカ熱も疑うべきなのでしょうね、これからは。
先日、川崎市の高校生がジカ熱を発症しました。ブラジルに10日程度滞在し、帰国した後の発症です。
入国前に38度の熱が出ていたものの、空港では下熱、その後また発熱し医療機関を受診したようです。

発熱者を診た医者が、ジカ熱を疑うかどうかがカギ。海外渡航歴だけは、聞き漏らさないようにしなければ。

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BCGの次は日本脳炎
- 2016/02/27(Sat) -
化血研の日本脳炎ワクチンの出荷が、ようやく解禁されることになりました。厚労省が昨日、発表しました。
他社製も含めて、日本脳炎ワクチンは現時点で、それほど不足している印象はありません。
しかし例年、春から夏には接種者が増えるので、この先どうなるのかと心配していたところでした。

ちょうど先頃、日本小児科学会が、日本脳炎ワクチンの接種についての見解を発表しました。そのタイトルは、
「日本脳炎罹患リスクの高い者に対する生後6か月からの日本脳炎ワクチンの推奨について」
この発表が、厚労省の決定を後押ししたのかどうかはわかりませんが、そのようなタイミングとなりました。

小児科学会の見解をまとめると、こうです。
(1)日本脳炎の患者は減っているが、ブタでは毎年、新たな日本脳炎ウイルスへの感染が認められている。
(2)日本脳炎ワクチンの定期接種は、3歳からが標準とされているが、対象年齢は0歳6カ月からである。
(3)3歳未満であっても日本脳炎を発症する例が出ており、昨年は0歳児が発症した。

よって、罹患リスクの高い地域に渡航・滞在・居住するなら、0歳6カ月からワクチンを接種しましょう、と。
この「罹患リスクの高い地域」というのは、日本国内では、関東以西の広い範囲と考えておくべきです。

そのような地域でコガタアカイエカに刺されれば、日本脳炎ウイルスに感染する危険性があるわけです。
それがわかっていながら、3歳までワクチンの接種を待つなど、考えてみれば怖ろしい話。
3歳になるまでの間、蚊に刺されないはずがないでしょう。ていうかむしろ、小さい子どもはよく刺されます。

「対象年齢の0歳6カ月になったら早く接種しましょう」というキャンペーンは、至極当然のことなのです。
当院では、5カ月でBCGを接種したら、その翌月には日本脳炎ワクチンの接種を始めるように勧めています。

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運転中の急性大動脈解離
- 2016/02/26(Fri) -
多数の死傷者を出した大阪の暴走事故では、運転者が「急性大動脈解離」を起こしていたと報じられました。
病態は異なりますが、生命への危険度は「胸部大動脈瘤破裂」に似た病気と考えてもよいでしょう。

動脈瘤が「破裂」すると、血液が一気に血管外に出るので、出血性ショックを経て、死亡する危険があります。
大動脈「解離」の場合は、大動脈の内壁に裂け目が入り、壁の内部に血液が浸入してどんどん裂けていきます。
裂け目が広がって、大動脈から分岐する動脈の入り口が次々と塞がれ、血流が途絶える場合があります。
大動脈の、どの範囲に解離が起きたかによって、血流が途絶える臓器が異なり、その病状はさまざまです。
裂け目に入り込んだ血液が、さらに大動脈の外壁も破って、大動脈瘤破裂と同様の病態になることもあります。

司法解剖の結果、運転者の死因は、急性大動脈解離による「心タンポナーデ」だったと判明しました。
裂けた大動脈からの急激な出血が、心臓を取り囲んで圧迫し、心臓が機能できなくなってしまう病態です。

飲酒とか、危険ドラッグとか、それこそ故意だとか、いろんな原因で暴走運転事故が起きています。
てんかん治療薬を適切に飲んでいなかったことが原因の、事故も起きました。

しかし、持病がないか、あっても適切に治療を受けている人が、重大な病気を突然発症することがあり得ます。
人間の急病が防げないなら、万一運転者が意識を失っても、車が暴走しないようにする仕組みが必要です。

たとえばそれは、衝突防止装置(先進緊急ブレーキシステム)をさらに進化させた、緊急停止システム。
衝突回避だけでなく、運転者の意識障害が疑われたらゆっくり停車するようには、できないものでしょうか。

自動運転車の開発も結構ですが、その一部機能ともなる、重大事故回避装置の開発の方が先決でしょう。

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水痘ワクチンの接種間隔
- 2016/02/25(Thu) -
水痘ワクチンが定期接種の仲間入りをして、1年半近くたちました。
1歳になったら、麻しん/風しん混合(MR)ワクチンとともに水痘ワクチンを接種する方が、いま多いです。
同じ時期から接種が可能になる、おたふくかぜ(ムンプス)ワクチンも、接種者は徐々に増えつつあります。

これら3つの生ワクチンは、それぞれ2回接種することで、ほぼ一生涯の免疫を得ることができます。

MRワクチンは、1歳児と年長児が接種します。よって接種間隔は、3年から5年ということになります。
おたふくかぜワクチンも、1歳の時に接種したら、2,3年後に2回目の接種をするように、私は推奨しています。

生ワクチンにより獲得した免疫は、その後ジワジワと低下してきます。
ある程度低下してきたタイミングで追加接種をすると、免疫が回復し長持ちします。ブースター効果です。
それを狙って、1回目の接種の3年後ごろに2回目を接種しているのが、MRとおたふくのワクチンです。

ところが水痘ワクチンは、1歳以上3歳未満で2回接種する、というのが定期接種の規定です。
2年の間に2回接種です。接種間隔は6カ月から1年が標準とされます。MRやおたふくよりも短い設定です。

このように短い間隔で、水痘ワクチンの2回目を接種するのには、理由があります。
今はまだ日本中で水痘が蔓延しているので、早く2回目の接種をしないと、水痘に罹ってしまうからです。
免疫を長持ちさせるよりも、確実な免疫を早く獲得させることの方が、いまは大事なのです。

現に、1回目の接種後1年以内に水痘に罹るお子さんを、私は何人も見てきました。
なので私は、規定ギリギリの3カ月間隔で、水痘ワクチンの2回目の接種を行うことにしています。

水痘患者は、いま明らかに減っています。ワクチンの定期接種化は、間違いなく効果絶大です。

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年齢解釈と学年
- 2016/02/24(Wed) -
当院は、「アイチケット」という、オンライン予約システムを使っています。
管理・運用はブラウザで行う方式なので、システム自体は随時、業者がアップデートします。

明日から導入される新バージョンには、「新機能」が4つありますが、そのうちの一つがこうです。
「『年齢算出の基準日』が『生年月日の前日』または『生年月日の当日』から選択可能」

どうやら従来は、誕生日の前日に年齢が1歳繰り上がるような設定だったようです。気がつきませんでした。
前にも書いたように、これは「年齢計算に関する法律」を遵守したもので、法律上は正しい解釈です。
しかし世間一般には、誕生日の当日に年齢が増えるという前提で、世の中が動いています。

それに反してアイチケットでは、受診予約者の年齢解釈については、法律をかたくなに守ってきたわけです。
おそらくクレームが来たのでしょう。今回の更新で、法令遵守か一般常識かを、選べるようになりました。
もちろん当院は、常識の方を選択です。

成人年齢の引き下げに伴って、飲酒・喫煙も18歳から認めてはどうかという意見が、一部で出ています。
そうなると、高校のクラス内に、飲酒・喫煙が合法な生徒とそうでない生徒が混在するという問題が生じます。

当然、「いつから18歳なのか問題」が起きることは必至でしょう。
民法上は、18歳の誕生日の前日から18歳です。こういった場合、1日の違いは大きいのです。

それはともかく、現行の規定でも18歳はグレーゾーン。多くの大学生が、1年生の時から飲酒するからです。
そしてこのような実態は、地域社会(焼き鳥屋の大将など)からも、黙認されています。

つまり、同じ18歳でも、高校生と大学生(あるいは社会人)という、社会的立場の違いが重視されるのです。
その意味で、飲酒・喫煙の解禁は、年齢ではなく学年単位で規定するのが、合理的だと思うのですが。

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ジョブズ映画第2弾
- 2016/02/23(Tue) -
映画『スティーブ・ジョブズ』を観に行きました。ジョブズ映画の第2弾です。
ジョブズ役のマイケル・ファスベンダーが、ジョブズに似ていないことでも話題の映画です。
なにしろ第1弾では、アシュトン・カッチャーが、ジョブズそっくりでしたから。

近所の映画館では上映してなかったので、少し遠くの映画館に行きました。総観客数はわずか8人。

さて以下は、ネタバレに注意して下さい。
基本的に、この映画は会話劇です。しかもおおむね、感情的。
動きがないので、会話の内容と短い回想シーンから、全体のストーリーを推測しつつ観ることになります。

すでにジョブズとAppleの物語はある程度知られているので、細かい解説はナシです。
ある程度の予備知識がないと、登場人物が何者なのかすら、わかりにくい映画です。

観てるうちに、人物関係がわかってきます。登場人物が絞り込まれているので、それほど複雑ではありません。
突き詰めれば、登場人物8人程度からなる人間ドラマなのです。ちょうど、演劇を観ているような感じです。

30年近く、一貫してApple製品と付き合っている私には、とても楽しめる映画でした。
また第1弾とは異なり、Appleやジョブズの歴史を知らなくても、感動できる映画に仕上がっています。

主役がジョブズに似てるかどうかが、さほど重要ではないことも、観たあとでわかります。
そのマイケル・ファスベンダーは、アカデミー主演男優賞にノミネートされています。発表は来週。

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ロック解除拒否
- 2016/02/22(Mon) -
銃乱射事件の容疑者の、iPhoneのロック解除をFBIから要請され、Appleが拒否した問題。
凶悪犯罪に限るなら捜査に協力してもいいのに、とも思えますが、そう単純な話ではなさそうです。

パスコードを10回間違えたらデータが消える仕様を解除せよ、というのが司法省の要請事項です。
そのための、専用のプログラム(専用のiOS)を作れ、ということらしい。
しかしAppleがそれを作れば、以後、すべてのiPhoneにも使えるマスターキーになることは必至です。

いったんマスターキーを作ってしまうと、捜査機関は今後、際限なく捜査協力を要請してくるでしょう。
それどころか、捜査機関自体が、マスターキーを所有する制度になる可能性もあります。

これはちょうど、米国への出入国者のスーツケースに使用されている「TSAロック」に似ています。
米運輸保安局(TSA)がマスターキーを所有しているので、怪しいスーツケースはいつでも開けられます。

TSAロックの制度が導入された時に、米国内で反対運動は起きなかったのでしょうか。
航空機テロという大惨事を防ぐためなら、それはかまわないということだったのでしょう。
それに、絶対見られたくない物や貴重品は、スーツケースに入れておかなければいいのです。

一方で、スマホの中身はプライバシーの固まりです。
メールやその他の、他人に見られたくない情報を、スマホ内部に保存しないわけにはいきません。
だからたとえテロ対策に役立つとしても、捜査機関にマスターキーを渡すわけにはいかないのです。

Appleの姿勢に対して、FacebookやGoogleなど、IT企業のCEOらが賛同の意を公言しています。
なのでGoogleが、Androidスマホのロック解除をFBIから要請されたとしても、当然拒否するはず。
トランプ氏は、Apple製品をボイコットしサムスンしか使わん、などと息巻いていますが、意味不明です。

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しもやけ&あかぎれ
- 2016/02/21(Sun) -
「しもやけ」とか「あかぎれ」の方が、ときどき来院されます。たいてい、ご高齢の女性かお子さんです。
私も子どもの頃は、足にしもやけ、手があかぎれでした。

【しもやけ】
寒冷による、末梢循環障害です。外用薬やビタミンEを処方しています。
漢字で「霜焼け」と書きますが、レセプトで書く傷病名となると「凍瘡」です。「凍傷」ではありません。
古い辞書「古事類苑」を見たら「瘃」という、見たこともないような字で書いてありました。
「箋注倭名類聚抄」には、「俗呼之毛也計」とあります。「俗にしもやけと呼ぶ」と読むのでしょうか。

【あかぎれ】
寒冷によって、皮膚が乾燥して裂けた状態です。保湿剤と抗アレルギー薬を処方することがあります。
「あ(足)」が「かかる(ひびが切れる)」ことから「あかがり」と言われたのが、語源だそうです。
「あか」から「赤」とか「垢」を連想(異分析)したために、残された「がり」が「ぎれ」になったとのこと。
一字で「皸」とか「皹」と書くようです。これも初めて見ましたが、左右を入れ替えても同じ意味の漢字です。
このような漢字は他にないのか、調べたらありました。「飄」と「飃」です。「つむじかぜ」と読みます。

私の両手の甲は今、あかぎれに近い状態です。速乾性擦式手指消毒剤を、毎日100回以上擦り込むせいです。
エタノールを約80%ほど含有するこの消毒薬を、手に擦り込むたびに、皮脂が溶けて流れ出していきます。
それを補うべく保湿剤を使いますが、それがまた次の消毒によって失われます。毎日、その繰り返しです。

保湿剤含有の消毒薬も使いましたが、あまり効果はありません。消毒薬含有の保湿剤なんて、ありませんかね。

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ワクチン再接種すべきか
- 2016/02/20(Sat) -
北里第一三共の、MRワクチンの話の続きです。
効力の低いワクチンを接種してしまったお子さんに対しては、今月になって、救済措置が決定しました。

その関連資料が、北里第一三共から医療機関に送られてきました。同封されていたフローチャートによると、

(1)対象者の確認:有効性が基準を満たさないワクチンを接種した対象者を、医療機関がピックアップする
(2)抗体検査希望の確認:「免疫がちゃんと付いたか検査しましょうか」と医療機関が対象者に連絡する
(3)採血、抗体検査、結果の確認:すべて医療機関で行う
(4)ワクチンの追加接種:抗体価が低い対象者には、医療機関の判断で追加接種を行う
(5)費用の請求:医療機関がいったん負担した検査費用と接種費用は、あとで北里第一三共に請求する

しかし考えてみると、オカシな話です。抗体価の検査やワクチンの再接種は、あくまで任意なのです。

なぜなら、問題のワクチンの有効性は十分というのが、厚労省の見解だからです。厚労省通知にこうあります。
「回収対象となったワクチンを定期接種として実施された 者に対して、再接種を勧奨する必要はない」

厚労省の基準を満たさないから回収されたワクチンに、厚労省が、効果十分とお墨付きを与えているのです。

じゃあなんで出荷停止してるの、というのが素直な意見でしょう。ワクチンの再接種だって不要のはず。
ところがメーカーは、抗体検査やワクチンの再接種を「勧奨」し、その費用負担を申し出る始末。

おそらく、こういうことだろうと推測します。
厚労省が「再接種が必要だ」と言い始めたら、大混乱が起きてしまう。ワクチンも確実に不足するでしょう。
なにしろワクチンは、完全に計画生産。需要を予測して、ちょうど足りる供給量が決められています。
もしも大々的に再接種を行うと、ワクチン需要が激増します。しかも1社は出荷停止のままだというのに。

だから厚労省は「再接種不要」と言い、一方でメーカーは念のため再接種を勧奨する、という両面作戦。
その結果、再接種を「したい人」や「させたい医師」を中心に、適度な再接種が行われることになるでしょう。
当院ではとりあえず、フローチャート通りに進めて行きます。

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MRワクチン足りるのか
- 2016/02/19(Fri) -
北里第一三共の「麻しん/風しん混合(MR)ワクチン」は、有効性に疑問が生じ、出荷停止が続いています。
化血研問題の陰に隠れてしまいましたが、ワクチン業界ではいま、ジワジワと広がっている問題です。

生ワクチンは、保存期間中に効力(=生物学的作用、これを「力価」といいます)が徐々に低下していきます。
有効期間が18カ月とされているこのワクチンは、製造18カ月後の力価が基準を満たしている必要があります。

ところが昨年、その定期検査によって、麻しんの力価が基準を下回っていたロットがあることが判明しました。

力価はFFUという単位で表しますが、厚労省の承認規格である5,000FFUに対し、最低のものは1,900FFU。
これはマズイというわけで、メーカーは昨年10月末、自主回収に踏み切り、新規の出荷もされていません。
となると、問題は2つです。
(1)MRワクチンの供給が不足して、必要な対象者に接種ができなくなる可能性
(2)すでに北里のワクチンを接種した人は、十分な免疫が付いたのかという心配

MRワクチンの定期接種対象は、1歳児(1期)と年長児(2期)です。
当院の昨年の実績では、3月の接種者数が最多でした。2期のお子さんの駆け込み接種が多いからです。
北里以外のメーカーのワクチンだけで、はたして足りるのか、まさに来月が山場です。

化血研問題では、ワクチンの効力はOKだったので、供給が不足したワクチンは特別に出荷が認められました
しかし北里の場合、効力に疑問が生じたゆえの出荷停止なので、やっぱり出荷OKというわけにもいきません。

実は1,900FFUというのは、WHOの基準(1,000FFU)と比べたらまだマシな、十分有効な数値です。
ですが規則を遵守して供給を止めた以上は、メーカーも厚労省も、いまさらどうにもできない状況なのです。

力価が低かった原因が、まだわかっていない北里のワクチン。今後どのように決着するのか、未知数です。
なお、効力の低いワクチンを接種してしまったお子さんに対する、救済措置については、後日また書きます。

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気が付けばリボ払い
- 2016/02/18(Thu) -
クレジットカードって、不要なものはドシドシ解約したいところですが、どういうわけか、増える一方です。
とくに最近怖いのは、支払が自動的に「リボ払い」になるカードが増えていることでしょう。
加入時に、特別に指定しなければ、リボ払いが基本設定になるような契約が多いです。
そのような契約だと、商品購入時に一括支払いと言っても、ダメです。自動的にリボ払いです。

少額で月々返済する形なので、返済期間はいくらでも長引き、利息の負担ばかりが続くというトラップです。

最近加入した、東宝シネマイレージにも、加入時に「リボ宣言」をするかどうか、決断を迫られました。
この宣言をしておくと、利用分がすべて自動で「リボ」になるというわけです。これによって、

(1)リボ払いのメリット:買いすぎたときでも、毎月の支払金額は一定なので安心
(2)リボ宣言のメリット:買い物の後からリボ払いに変更する必要が無い

というわけですが、裏を返せば、

(1)リボ払いのデメリット:買い物をするたびに借金をすることになり、金利の負担を強いられる
(2)リボ宣言のデメリット:一括払いの積もりで買い物をしても、自動的にリボ払い(借金)になる

カード加入時のデフォルト(標準設定)が、「リボ払い」になるカードには、悪意を感じます。
これではまるで、新手のサラ金です。「リボ」などという軽いノリに、騙されてはいけません。
ま、クレジット払い自体が、すでに借金なんでしょうけどね。

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叩く
- 2016/02/17(Wed) -
高熱で腰痛を訴える女性の方で、わりと多いのが急性腎盂腎炎です。尿検査をすると、膿尿や血尿を認めます。
腰の少し上を叩くと、「うっ」と痛みます。これを「肋骨脊柱角叩打痛」とか「腰部叩打痛」といいます。
「叩打痛」は「こうだつう」と読みます。叩くと痛むという意味です。英語では “knock pain” です。

「叩く」と書いて「はたく」とも読むことを、最近知りました。「有り金をはたく」の時はこの字なんですね。

さて、「叩」と言えば「命」です。ゴルゴ松本に言わせるなら、「命」=「人屋根に一叩き」だと。
「母体内にいるときから、トックントックンと、一叩き、一叩きの連続が命なのだ」と。いい話です。

ただし漢和辞典によれば、「命」=「口」+「令」であって、「人」+「一」+「叩」ではないようです。
もちろん前にも書いたように、漢字を使った例え話には、学術的正当性など必要ありません。
例え話というのは、聞き手がなるほどと思えるように上手くできていれば、それでいいのです。

「叩」の旁(つくり)の「卩」は、人がひざまずいた姿を表す象形文字とか。今風に書けば「orz」でしょう。
いかにも、頭を叩いてください、てな感じ(漢字)。

しかし私は「卩」を見ると、「布団叩き」か「ハエタタキ」に見えてしかたがありません。
だから「叩」の字は、「口」でののしりながら「卩」のような形のもので打つ、というのが私のイメージです。

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イスカンダルから来熊
- 2016/02/16(Tue) -
「イスカンダルから、熊本の食肉加工場に視察の人々が訪れた」とのニュースを小耳に挟み、少々驚きました。
「イスカンダル」というと、『宇宙戦艦ヤマト』の物語では、放射能汚染された地球を救ってくれた星です。
「放射能除去装置の設計図を取りに来なさい」と言ってくれた人の星です。それがなぜ熊本。しかも食肉。

私が知らなかっただけなのですが、マレーシアの『イスカンダル計画』に関係する人たちでした。
これはシンガポールの対岸に20年かけて、人口300万人の都市を作るという、巨大プロジェクトだそうです。
その地域(ジョホール州)の前の王『イスカンダル王』にちなんで、『イスカンダル計画』です。

では「イスカンダル」とはなんぞや。ご存じの方も多いでしょうが、「アレキサンダー大王」のことですね。
“Aliskandar” の語頭の “al” が定冠詞と勘違いされて “Iskandar” になったと、Wikiにも書いてあります。

このように、言葉の解釈を間違えて新たな単語を作ることを「異分析」といい、とても興味深いテーマです。
たとえば「hamburg(ハンブルグ)+er」が、「ham(ハム)+burger」を経て、「burger」となった例が有名。
イタリア語では「カキ(cachi)」ですが、これが複数形と解釈され、1個なら「カコ(caco)」です。

「ミスド」ならまだしも、「マクド」に至っては、故意に異分析した例でしょう。
「モトカレ(元彼氏)」は通常の短縮語ですが、「モトカノ(元彼女)」は今風の異分析かもしれません。

ちなみにタイトルの「来熊」は、熊本の人にしか読めないかもしれませんが、「らいゆう」です。

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溶連菌感染の初期症状
- 2016/02/15(Mon) -
溶連菌感染が多いことは、昨年末にも書きましたが、全国的に、かなり流行しているようです。

子どもの「風邪」のほとんどは「ウイルス感染」ですが、溶連菌感染は風邪に似ていても「細菌感染」です。
風邪に抗生剤は効きませんが、溶連菌感染には抗生剤が効きます。効くどころか、抗生剤治療が必須です。
したがって、溶連菌感染を疑ったら早めに医療機関を受診して、診断を確定し、治療を始める必要があります。

今朝もテレビで、溶連菌感染の症状や治療法を解説していましたが、人のカラダはそう単純ではありません。

開院して8年4カ月間に、当院で迅速検査によって溶連菌感染と診断した患者さんは1,251人でした。
しかし最近の3カ月間だけで99人なので、今ずいぶん流行していることがわかります。
その経験をふまえて、溶連菌感染の初期症状について誤解のないように、私の印象をまとめてみます。

(1)咽頭痛(のどの痛み)
もっとも頻度の多い症状ですが、痛まない人もいます。乳幼児では、食欲低下やよだれも重要な症状です。
診察すると、軟口蓋(のどちんこの上)が、燃えるように赤く腫れています。もう、血が出そうな印象です。

(2)熱(微熱から高熱まで)
子どもでは微熱が多く、熱が出ない子もいます。一方成人では、ひどい扁桃炎で高熱でぐったりの方が多い。

(3)発疹
腹部や大腿部、ときに足などが、点状の赤い発疹でザラッとしてきます。ただし半数以上は発疹が出ません。

(4)イチゴ舌(舌が赤くなり、イチゴの種のような赤いプツプツができる)
最初はあまり目立ちません。治療の途中ぐらいから、ブツブツしてくることの方が多く、長引きやすいです。

テレビなどの悪いところは、これらの症状を同列に解説するので、誰でも全部の症状が出るように錯覚します。
しかし、全部当てはまる人などいません。たいていは咽頭痛だけです。

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ジカ熱と黄熱
- 2016/02/14(Sun) -
ジカ熱」の話題が出て、真っ先に私が思い出したのが「ジカ中毒」。もちろん、まったく別の病気です。

私は小さい頃、よく自家中毒になっていました。きっと、ナイーブな子だったのでしょう。
いま自家中毒は「周期性嘔吐症」と呼ばれ、片頭痛関連疾患と考えられています。

「ジカウイルス」は、「デングウイルス」と同じ、「フラビウイルス」というグループに属します。
他にこのグループのウイルスとしては、「日本脳炎ウイルス」や「黄熱ウイルス」があります。
「フラビ」は、ラテン語で黄色を意味する「flavus」に由来しますが、これは黄熱から来ています。

黄熱(黄熱病)といえば、野口英世です。彼は研究の途上、その黄熱に感染して、ガーナで亡くなりました。
読みは「こうねつ」も間違いではありませんが、通常「おうねつ」です。
南米も黄熱の流行地域なので、リオ五輪の際の渡航者は、ジカ熱よりも重症の黄熱にも注意が必要です。

厚労省は、リオ渡航予定者に対して、黄熱ワクチンの接種を受けるよう呼びかけています。
黄熱ワクチンは従来、1回接種すれば、その10日後から10年間、予防効果が続くとされてきました。
しかし最近、1回の接種が生涯有効との考え方に、国際規則が変わりました(今年6月から発効)。
何度も接種しなければならない日本脳炎ワクチンとの違いは、生ワクチンと不活化ワクチンの違いです。

ジカ熱のワクチンの開発は、まだ始まったばかりで、臨床治験まであと18カ月かかると最近報じられました。
一方でデング熱ワクチンは、開発がギリギリ間に合ったようで、もうじきブラジルでも導入されるとのこと。

リオ五輪の時には、多くの日本人が渡航するでしょうから、これらの感染症の「持ち帰り」も心配です。
ウイルスを持ち帰らぬためにも、渡航者は少なくとも、黄熱の予防接種は受けておいてほしいものです。

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政治家の謝罪の言葉
- 2016/02/13(Sat) -
丸川珠代環境相は昨日、自身の発言を撤回し、謝罪しました。その際に語った言葉は、
「誤解を招いたとすれば、特に福島をはじめ被災者の皆様に誠に申し訳なく、心からおわび申し上げたい」

だから何度も言ってますけど、「誤解を招いたとすれば」っていう言い訳がましい前提を、まずやめましょう。
だいたい政治家というのは、ちゃんと謝る気があるのか、真摯な態度が伝わってきません。
元アナウンサーなのに、どうしてそこがわからないのでしょうね。

人が素直に謝罪するならば、「申し訳ありませんでした」とか「すみませんでした」というのが普通でしょう。
「間違っていました」とか「反省しています」とか「二度といたしません」などと付け加えても良いですね。

ところが、「お詫びします」という謝り方が多い。これではどうしても、直接謝られている気がしません。
「今からお詫びの言葉を述べます」という、意思表示だけのように、私は感じるからです。

「お詫びしたいと思います」と言われても、そう思うなら早く詫びてくださいよ、と言いたくなる。
「お詫びしたいと、そのように考えております」これが政治家がよく発する謝罪言葉です。ぜんぜんダメ。
「お詫びしたいと、そのように考えておる次第でございます」丁寧に言われてもダメなものはダメ。

新聞等の訂正記事でも「お詫びして訂正します」という常套句が使われますが、いかにも心がこもってない。
「訂正いたします。申し訳ございませんでした」と書いてもらいたい。

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生放送の緊張感
- 2016/02/12(Fri) -
NHK「クローズアップ現代」の国谷裕子キャスターは、諸事情あって、3月で降板です。
内容もさることながら、生放送の緊張感を楽しんでいるとしか思えない国谷氏の進行ぶりが、見事でした。

番組自体は存続し(番組名に「+」が付く)、4月からは女性キャスター7名の「リレー形式」になるとか。
優秀な女性キャスター7人が束になって、やっと国谷氏の後任が務まるのか、などと思ったりもします。

先日なにげに番組を見ていたら、樹木希林さんが、しれっときわどい発言をしていましたね。
ネットで話題になったので、あらためて録画を見直してみると、番組最後の18秒はこうでした。

樹木「いや私ね、国谷さんはホントに素敵な」
国谷「まぁ」
樹木「仕事ぶりだなぁと思っているの。そしてねぇ、NHKは大変な財産を」(A)
国谷「あ、いやぁ」
樹木「お持ちだなぁと思って、私はいつもね、あの、だ、大好きな番組です」(B)
国谷「ありがとうございます。いつまでも、どうぞお元気で」
樹木「はい、いつまでもなんて」(音声が途切れ、番組も終了)

なるほど。(A)の後に「失うんだなぁと思って」と続くかとも思わせる、絶妙な「間」がありますね。
樹木希林はそれを狙っていたのだと思います。(B)で、どもってしまったのは、その緊張の現れでしょう。
こういう風に、生放送の最後に言いたいことを滑り込ませて、しかも人を不快にさせないのは、さすがです。

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中古本と電子書籍
- 2016/02/11(Thu) -
読みたい本がある時、私がどのような手段でその本を入手するかについては、以前も書きました。
しかし、その考え方は、最近ずいぶん変わりつつあります。結局は、ケースバイケースなのですが。
(1)速さ優先(すぐに読みたい)なら、電子書籍(KindleかiBook)、なければ書店、またはAmazon
(2)物欲優先(手元に置きたい)なら、Amazonの中古本、なければAmazonの新刊本

考えてみると、読みたい本を書店で買う機会は、かなり減りました。こうなったのは、つい最近のことです。
しかし、書店に行かないというわけではありません。書店は「本を探しに行く場所」だと思っているからです。

さて、(2)のケースだと、たいていは1円の中古本を選ぶのですが、送料を加えると実質258円です。
ところが、そこまで安い中古本がない場合も、しばしばあります。
それどころか、送料を加えると新品よりも高くなる場合があります。あれって、どうなんですかね。
もっと驚くのは、新刊本なのに、中古本の方が新刊の数倍の価格で売られていることがあります。
絶版なら理解できますが、新刊本でいったい、どうゆう了見なのでしょう。

ネット検索してみたら、「新刊よりも高い中古本は詐欺の可能性が高い」とありました。ホントですか。
悪質な転売です。発注を受けたら、すぐにAmazonから購入して、包装を替えて発送する、というわけです。
在庫ゼロで丸儲けですね。でも、引っかかる人間がいるのだろうかと思いますが、たぶん、いるんでしょうね。

いまいちばん導入して欲しいのは、電子書籍の買取(返却)と、中古の電子書籍売買制度です。
不要になった電子書籍を返却(=端末から削除)すると、いくらかキャッシュバックされるのってどうですか。
あるいは、電子書籍の所有権を誰かに譲渡できる仕組みも、面白いと思います。
書棚のキャパも限られるので、もうこれからは物欲を捨てて、電子書籍で買うことが増えそうです。

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ドラゴンクエスト
- 2016/02/10(Wed) -
「今日2月10日は『ドラゴンクエスト III』が発売された日です」と、今朝から林修氏が言ってました。
どうして3作目のことをそこまで取り上げるのか、ドラクエをやらない私には、よくわかりません。
もしかすると、平日に発売されたのに多くの子ども達が店に並び、社会問題となったからかもしれません。

ドラクエをやらない、と書きましたが、実は1作目の「ドラゴンクエスト」だけは、やったことがあります。

研修医の2年目の時のこと。当時私は週に1回、某救急病院の当直をしていました。つまり、アルバイトです。
医者としての経験がまだ浅かったので、急病や交通事故の患者さんへの対応は、緊張の連続でした。

当直室で寝ていても、救急車のサイレンを聞くと、それがかすかな音でも、すぐに眠りから目覚めました。
音がどんどん大きくなり、そしてピタッと消えた瞬間、ナースからの電話が鳴ります。「救急車入りました」。

この病院では、受け入れの可否をあらかじめ当直医に尋ねるシステムがなかったのです。全車受け入れです。
白衣を引っかけて1階まで降りて診察室に着くまで、いったい何者が到着したのか、わからないシステムです。

いつしか、換気扇の音までがサイレンに聞こえ始め、当直室ではなかなか眠れなくなってしまいました。

ところがある日、ひらめいたのです。眠れないなら、眠るのをやめようと。当直のときは、徹夜してしまえと。
ちょうど院長室にはファミコンがあって、発売間もない「ドラゴンクエスト(1作目)」がありました。
いつも昼間に院長がドラクエしてて、様々な場面における「復活の呪文」が、細かく記録してありました。
なので私は、好きなところからゲームを始められるのです。

それ以来、毎週、夜通しドラクエしたものです。救急車のサイレンなど、まったく気にならなくなりました。

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とりあえずビール
- 2016/02/09(Tue) -
レストランで、頼んだビールが最初に来なかった問題については、たぶん、私の頼み方が悪かったのでしょう。
最初にビールを持ってきてほしければ、「とりあえずビール」。この魔法の言葉を使えば良かったのです。
ビールの一口目は、空腹時に飲まなければ旨さが半減(または激減)すると思う私の、個人的見解です。

「とりあえず」は、「食事は後で注文するとして、さしあたって」という、場つなぎの意味で使っています。

「本来なら直接お礼に伺うべき所ですが、まずは」と言うときには、「とりあえずお礼まで」を使います。
この場合は、なにはさておき非礼を承知で、ともかく第一に礼状をしたためました、というニュアンス。
ただし、「とりあえずお礼まで」と書きながら、後で実際にお礼に参じたことなど、私は一度もありません。
その意味で「とりあえず」は、その場しのぎの意味合いが強いのかもしれません。

「とりあえず」で、真っ先に私が思い出すフレーズは、百人一首にも収載されている、菅原道真の歌です。
「このたびは 幣(ぬさ)も取りあへず 手向山(たむけやま) 紅葉(もみぢ)の錦 神のまにまに」

この中で「幣も取りあへず」は、「(道祖神に捧げるための)幣(ぬさ)も用意せぬまま」の意味です。
現代語の「とりあえず」との関連が不明ですが、おそらく、同語源だと思います。(個人の意見です)

居酒屋で「ぬさもとりあえずビール!」などと言ってた時期もありますが、最近は居酒屋にも行きません。

「とりあえずビール」という名称のビールを、どこかが発売しないのかと昔から思っています。まだですかね。
「とりあえず」で商標登録を調べてみると、7件ヒットしました。しかし、ビールでの登録がありません。
まさか、まだ誰も「とりあえずビール」を商標登録していないのでしょうか。これは大変!(何が?)

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医学部入試の小論文
- 2016/02/08(Mon) -
医学部の入学試験では、しばしば小論文が課されます。しかし私はそれを、誤解していました。
テーマはたいてい、ありがちな医療問題なんだろうと、勝手にそう思っていました。たとえば昨年の、
関西医科大「高齢化社会と医療について」とか、久留米大「高齢化社会における医師の役割」のように。

ところが、もっとずっと面白い(奇抜な)課題を出す大学があることを、つい最近知りました。

順天堂大は、階段を昇っていく男性の後ろ姿と、手前には印象的な赤い風船が2つある絵を提示して、
「キング・クロス駅の写真です。あなたの感じるところを800字以内で述べてください」
東海大は、『赤毛のアン』の抜粋を提示して、
「これを読んで感じたことについて、具体的な例や経験を交えて述べてください」
杏林大にいたっては、
「うそも方便ということわざについて論じてください(60分/800字)」

医学部の入試に限るなら、小論文試験に求められるのは、次のようなことじゃないでしょうか。

(1)出題の意図を理解し、論理的かつ常識的な作文ができる(へんてこりんな文章を書かない)
(2)医師となる自覚と良心を感じさせる(こじつけでも、医学や医療や健康に関連する内容を盛り込む)
(3)うわべの論評ではなく、自分の経験談(苦悩した後に克服)などの、具体的なエピソードを挿入する

もちろん、経験談なんて創作でいいでしょう。なぜならこれは面接ではなく、小論文。つまり作文だからです。

持病を克服したとか、家族を介護したとか、持ちネタのある者だけが高く評価されたのでは、不公平です。
小論文は、自分の人間性や価値観をさらけ出す場であって、苦労経験のありなしを問うものではないはず。
自分を売り込むためなら、経験談を捏造することなど、うそも方便なのです。

・・・という答案では、どうでしょうか、杏林大学の方(ここまで794字)。

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ミサイル発射前倒し
- 2016/02/07(Sun) -
北朝鮮が、ミサイルの発射期間を1日前倒しすると通告したのが、昨日の話。で、前倒しするやいなや発射。
どのタイミングで発射するんだろうと思ってたら、期間の初日にいきなり発射とは、なかなかやってくれます。

周辺諸国の警戒態勢が整わないうちに、先手を打つ作戦なのでしょうか。
2月14日までの期間の中で、遅くなれば遅くなるほど、発射日が絞り込まれていくのを嫌ったのでしょうか。
できれば、誰も予測できないタイミングで発射をしたい、ということだったのでしょうか。

もしも2月13日までに発射しなかったら、その時点で、2月14日が発射日だとわかってしまいます。
つまり2月14日を発射日にはできません。となると、実質的な発射期間は2月13日までということになります。

しかしその場合、2月12日までに発射しなかったら、2月13日が発射日だとわかってしまいます。
だから2月13日の発射もダメ。となると、実質的な発射期間は2月12日までということになります。

しかしその場合、2月11日までに発射しなかったら、2月12日が発射日だとわかってしまいます。
だから2月12日の発射もダメ。以下同文。この理屈を繰り返せば、どの日にも発射できなくなります。

似たような話が、多湖輝の「頭の体操」に、あったような気がします。あれは死刑囚の話でしたか。

この論理展開にはもちろん、間違いがありますが、ともかく、今日の発射は誰も予測できませんでした。
でも考えてみると、今日発射するつもりでなければ、発射期間をたった1日前倒しする理由は、ないですよね。

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読まないを読む
- 2016/02/06(Sat) -
「『罪と罰』を読まない」という本が面白いという書評を読んで、思わずAmazonしてしまいました。
他人の評価がそのまま私の評価に一致するためしが、ときどきあるからです。著者は、三浦しをんら4人。

『罪と罰』を読んだことのなかった4人が、本を読まずに内容を推理して、ストーリーを作っていくという話。
まず、冒頭と結末の各1ページずつをとっかかりに、その間の数百ページに及ぶ長編文学を、予想し始めます。
ときどき、任意の1ページを読んで、それをヒントに推理を深めていくという、なんとも楽しげな試みです。

この本は『罪と罰』を読んだことのある人が読むと面白い、などと書評にありますが、私の考えは違います。
物語を知らない人間が読むからこそ、著者たち4人の輪に加わって「5人目」となることができるのです。

その意味で私は、学生時代にこの本を読むのを挫折していて良かったと、そう思いました。

「作家が『罪と罰』を読んでいないとは何事か!」などとお怒りの方も、世間にはいらっしゃるようです。
まあいいじゃないですか。『罪と罰』を読んでなくても、直木賞がとれるし『舟を編む』を書けるのです。

今日Amazonから届いたので、帰宅後にイッキ読みしました。
「『罪と罰』を読まない」を買ったけど読まない、という選択肢もあったのですが、我慢できませんでした。

この本の最終章は、いかに見当外れな推理をしていたのか、答合わせの座談会です。それがまた、楽しい。
とするとこの本は、『罪と罰』を読んだことがある人が読んだ方が、もっと面白かったのかもしれません。

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驚いたら書く
- 2016/02/05(Fri) -
テレビや本や新聞や雑誌やネットでも、診療中でさえ、毎日いろんな情報に接して、「ハ行」で驚きます。

「はぁ?」と疑問を感じながら驚く場合、「マジっすか!」でなければ、「んなアホな!」と続きます。
「ヒエ〜」70年代から80年代初頭まで流行った「まことちゃん」言葉による、わざとらしい大げさな驚き。
「ふ〜ん」どうでもいいけどね、的な。
「へぇ〜」中ぐらいのトリビアのとき。
「ほぉ〜」いいこと聞いた、覚えとこ。

このような驚きに触発されて、昔の体験を思い出したり、連想が飛躍したりして、当ブログの骨格ができます。
空想や妄想は、得意です。さいわい、古いことはよく覚えているので、こういう時は助かります。
あとは、いま驚いたばかりの新しい事柄をすぐに忘れてしまわないように、ちょっとメモしておけばOK。

いやホントに冗談抜きで、いま驚いたコトなのに、何に驚いたのかを忘れてしまう、そんな自分に驚きます。
「思い出すのをやめたとき、思い出すこともよくある話」でもなくて、ずっと、思い出せず仕舞いです。
たぶん、また別の日に、同じ情報に接して、また驚くのでしょう。

そんな驚きのメモが、たくさん溜まっています。旬を過ぎると驚きを失うので、ブログネタになりません。
見ても何も思い出せないメモですら、無数にあります。もう、何かに驚いたらすぐ、書くしかないのです。

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検索地獄
- 2016/02/04(Thu) -
「西部劇で風に吹かれてくるくる回って飛んでく藁のかたまりみたいなやつ、あれってなんていうんだっけ?」

このような書き出しで、芥川賞作家の藤野可織さんが、エッセイを書いていました。タイトルは「検索」。
日常のちょっとした疑問が、ネット検索によってすぐに解明できる便利さについて書いています。

たしかに誰もが、そのような事を感じていますが、検索後には検証が必須です。たとえば冒頭の疑問では、

「西部劇 藁」で「タンブル・ウィード」がわかったら、こんどは「タンブル・ウィード」で再検索。
藤野氏は、このような再検索をきっかけにして、興味を広げ、連想し、想像し、回想していったようです。

芥川賞作家のマネをするのも恐縮ですが、私も敢えて、「タンブル・ウィード」で検索してみました。
和名は「オカヒジキ」。葉が多肉質で「ヒジキ」に似ているからその名が付いたと。へぇ〜。
ヒジキを「鹿尾菜」と書くことにも驚きます。ヒジキの粒が、鹿の尾のように跳ね上がっているからだとか。

そういえばひところ、ヒジキに含まれる「ヒ素」が問題になりました。あれ、どうなったんでしょうね。
ていうか、ヒジキって真っ黒です。見た目には、ヒ素ではなくて、鉄分が多く含まれてる印象があります。

「ヒジキ なぜ黒い」で検索しようとしたら、その前に、なぜかドラえもんを思い出しました。
ドラえもんはたしか、何か理由があって青くなったのでした。「ドラえもん なぜ青い」で検索。2説あり。
(1)大泣きして振動し、黄色の塗装が剥がれた:塗装する前は青だった(だから、なぜ青?)。
(2)ネズミに耳をかじられたのを鏡で見て青ざめた:本来は黄色だった(じゃあ、なぜ黄色?)。

このように、私はしばしば検索地獄に陥り、肩と目と手首が疲れ、ついにMacと目を閉じることになります。

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エンゼルパイ
- 2016/02/03(Wed) -
NHKの「放送用語委員会」の報告を時々読みますが、真面目な委員会なのに(真面目だからこそ?)、面白い。

昨年10月の委員会で決定した事項のうち、興味がわいたものをいくつかあげると、
(1)従来の「エンゼル」を、「エンジェル」とする(一部「エンゼル」も認める)
(2)従来の「キャンデー」を、「キャンディー」とする(一部「キャンデー」も認める)

委員会では、「エンゼル」を認めるのは、慣用が定着している学術用語や固有名詞などとしており、例として、
「エンゼルフィッシュ(学術)」「エンゼルプラン(厚労省)」「エンゼルパイ(森永)」をあげています。
いやあ、委員のみなさん、「エンゼルパイ」をご存じでしたか。私、あれ、好きです。

「キャンディー」は、今では普通に使われていますが、あえて「キャンデー」と言うと、レトロな感じです。
場面によって使い分ける案が、委員会でも出たようですが、結局「キャンディー」が優先となりました。

子どもの頃、大好きだった森永チョコボールで、いちど「金のエンゼル」が出たことがあります。
1960年代後半ごろのことです。もちろん、「金のエンジェル」ではなく、「金のエンゼル」です。

「金のエンゼル」を森永に送ったら、「キョロちゃん」の容器に入ったスタンプセットが送られてきました。
私はそれを、「おもちゃのカンヅメ」だったと、今までずっと、思い込んでいました。
ところが今日、森永のサイトで確認してみたところ、それは「おもちゃのカンヅメ」ではなかったのです。
「おもちゃのカンヅメ」の前身の「キョロちゃんのまんがスタンプ」だったのです。半世紀ぶりに知りました。

さらにチョコボール黎明期には、「キョロちゃん」ではなく「チャッピー」がメインキャラクターだったとか。
「チャッピー」というのは、60年代のアニメ「宇宙少年ソラン」に登場していたリスです。ああ懐かしい。
しかし、当時のアニメで、私がソランよりもアトムよりも好きだったのが「遊星仮面」なのです。
ソランの提供は森永で、アトムの提供は明治製菓、遊星仮面はグリコ。そんな時代でした。

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横井さん帰還から44年
- 2016/02/02(Tue) -
グアム島で発見された、元日本兵の横井庄一さんが、日本に帰還したのは、44年前の2月2日。
テレビでそう言っていました。あれって真冬でしたっけ。横井さんの常夏な格好のイメージと、合いませんね。

今朝見たニュース映像の中で横井さんは、「恥ずかしいけれど、帰って参りました」と言っていました。

この言葉が、私の記憶する、横井さんの帰国第一声とは、少し異なることに疑問を感じました。
なぜなら、流行語にもなった横井さんの名言は、「恥ずかしながら、帰って参りました」だったからです。

たしかに、帰国会見の映像では、「恥ずかしながら、生きながらえておりました」と発言しています。
つまり第一声は「恥ずかしいけれど」だったのが、後に「恥ずかしながら」に変わったようです。

「恥ずかしいけれど」の方が、横井さん本来の、自然な言葉のように感じます。
それが何度も発言を求められるうちに、言葉が語呂の良い形に洗練され、固定していったのでしょう。

逆に私は診療中に、何度も何度も同じ事を言ってると、自分の言葉に違和感を感じてくることがあります。
ワンパターンの説明事項などを、いつもと同じようにしゃべっているような場合が、とくにそうです。

相手にとっては初めて聞く説明でも、私は何度も繰り返しているので、自分の中では、くどいのです。
だから用語や語尾を、毎回少しでも変えて、できるだけ違う言い回しにしたくなります。そして、噛みます。
私のサービス精神は、たいてい裏目に出ます。

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インフル流行に突入
- 2016/02/01(Mon) -
インフルエンザが、例年よりもだいぶ遅く、ついに流行期に入りました。

流行の状況を、客観的に評価・表現する基準となるのが、全国の定点医療機関からの患者報告数です。
インフルエンザについては、全国約5000カ所(熊本県内で80カ所)の医療機関が、定点に指定されています。
幸か不幸か当院は、その定点医療機関ではありません。

定点医療機関は、月曜から日曜までごとに、毎週のインフルエンザ患者数を報告することになっています。
それを都道府県や厚労省などが集計し、週単位で、定点当たりの平均患者報告数を発表します。

定点当たりの患者報告数が10以上になると「注意報レベル」、30になると「警報レベル」です。

本年第3週(1/18〜24)の、全国の定点あたり患者報告数は10.56でした。つまり、注意報レベル。
第1週から第3週までの報告数の推移は、2.02→4.11→10.56なので、まさに流行に突入したところ。
熊本県内に限定すると、定点当たりの報告数は、0.68→1.75→6.45と、全国よりは一週遅れの流行です。

しかし先週(第4週:1/25〜31)は、明らかに爆発的に、流行が始まったような実感があります。
この期間、当院でインフルエンザと診断した患者数は、57人でした。警報レベルをはるかに越えています。
さらに、今日の患者数から考えると、今週(第5週)は100人を越えそうな勢いです。

ワクチン接種者は今シーズン、諸事情により激減していますが、まだまだ流行はこれから。
今後2カ月程度は流行が続くと考えると、接種はまだ間に合います。当院のワクチンの在庫は、あと32本なり。

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