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災害ゴミ問題
- 2016/04/30(Sat) -
災害後に大量のゴミが発生することは、地震後に限らず、いつも問題となります。
熊本市では、地震災害ゴミは、曜日に関係なく、指定の袋も使用せずに、ゴミ置き場に出すことができます。

ただ、ゴミの搬出はいつでもOKではあるけれど、収集(回収)の頻度がかなり限られています。
ていうか、昨日まではほとんど回収されておらず、ゴミは溜まる一方でした。業者も手一杯なのでしょう。

当院の入口正面に、ゴミ置き場がありますが、そこにも多量の廃棄物が集まっていました。
最初のうちは整然と並べられていましたが、やがて乱雑に、うずたかく積み重なり、道路にも溢れてきました。
交通に支障を来すようになり、しかもやたら臭い。どうやら災害ゴミの中に、生ゴミが含まれているようです。
カラスが何十羽もやって来て、生ゴミをあさり、カアカア鳴き、無数の糞をします。

カラスが群がるゴミの山の奥に、何か施設がある・・・それが当院、といった雰囲気になってきたのです。

もっと被害の大きい建物もあるのだから、ゴミごときで文句は言うまいと、そう思ってきましたが、もう限界。
しかるべき筋へ、苦情を申し入れようかと思っていた矢先、昨日やっと、ゴミ処理業者が来てくれました。
残念ながら、生ゴミだけは回収してくれませんでしたが、それも今日になって、処理してくれました。

これでゴミ処理問題が一段落したと思ったら、大間違いです。
当院近隣の家々では、被害が大きくて、他所へ避難していた方が多いのです。
そういった方が、2,3日前ごろやっと、帰って来ました。だから片付けの本番は、むしろこれからなのです。
災害ゴミ問題は、これから第2のピークを迎えるでしょう。連休中に回収作業が進むのか、それが心配です。

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支援宝くじ
- 2016/04/29(Fri) -
ドリームジャンボ宝くじの収益の一部を、熊本地震の被災地支援に使うと、高市早苗総務相が表明しました。
発売予定額は750億円。それから得られた収益金のうち、100億円を充てるとのこと。

みずほ銀行で宝くじの概要を見ると、今回の発売予定額はもともと、17ユニットで510億円となっています。
どうやら被災地支援名目で、8ユニット240億円分、発売数を増やすようです。だいぶ大幅な増額です。

宝くじは、販売額の約40%を自治体が得ます。510億円なら約200億円、750億円であれば300億円。
通常は、販売した自治体に収益金が入るのですが、今回は100億円が被災地へ行くことが決まっています。
元々の200億円は通常通り各自治体へ、上積みした100億円は被災地へ、という計算なのでしょうか。

熊本を支援していただくこと自体には、なんの文句も言いません。しかし問題は、誰が金を出すか、です。
宝くじは夢を買うもの。その夢を見る人から得た金を、被災地支援の財源に充てるのは、何か違う気がします。

国が被災地を支援するように見えますが、国は何も負担しません。負担するのは宝くじを買う国民です。
夢見る人への夢をいつもより大きく膨らませて見せ、余計に買わせようというだけの話なのです。

そもそも、宝くじ購入費用の40%の、そのまた3分の1しか被災地に回らないのは、支援としてはムダが多い。
もっと直接的に、各種団体等を利用して、支援金や義援金を送る方が、よほど有効かもしれません。

被災地の自治体に、ふるさと納税をしよう、という意見もあります。
少なくともこの場合は、返礼品を求めない純粋な寄付金とすべきですが、それでも問題があります。
ふるさと納税の制度上、納税者の居住地に入るべき税金が減るからです。
おまけに、納税者本人には負担がほとんどなく、被災地支援を居住地の自治体に肩代わりさせているだけです。
返礼品がなければ、自分が負担して寄付したと錯覚してしまうのが、ふるさと納税の最大の問題でしょう。

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車中泊生活とトイレ
- 2016/04/28(Thu) -
余震の頻度も強さも、徐々に弱まってはいますが、まだ避難生活をしている方が多いです。
自宅倒壊の危険はなさそうな方でも、余震の揺れが怖い、という理由で、車中泊を続けているようです。
あとで起きた地震の方が本震だったというのが、どうしてもトラウマなのです。今日も震度4が起きました。

車中泊にはエコノミークラス症候群の危険もありますが、問題はそれだけではありません。衛生上の問題です。

学校の体育館など、自治体が指定した避難所はキャパが限られるので、車中泊をしている人がとても多いです。
当院に隣接するショッピングセンターの駐車場にも、2,3日前までは車中泊の車が留まっていました。
広い駐車場があれば、おのずと避難民が集まります。1万人が集まった駐車場もあるようです。

そのような指定外の「事実上の避難所」は、救援物資の供給が遅れるだけでなく、トイレ設備が足りません。
実際に車中泊を経験した、当院の職員や患者さんの話を聞くと、トイレ事情が悲惨です。
仮設トイレの数が、避難者数に比べて圧倒的に少なく、とくに女性にとっては極めて劣悪な環境とのこと。
仮設便器の周囲は想像を絶するほど不衛生で、駐車場周囲の植込にも、至る所に排泄物が見られるそうです。

排便を我慢して便秘になるだけでなく、排尿したくないので飲水も控えます。
「エコノミークラス症候群の予防のために、水分を十分摂りましょう」などと聞くだけ、虚しくなるのです。

今回のような災害があったとき、駐車場が避難所になる可能性は高いです。駐車場の環境整備が重要です。
ある程度の広さの駐車場があるところには、屋外トイレの設置を義務づける、というのはどうでしょう。

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エコノミークラス症候群
- 2016/04/27(Wed) -
避難生活、とくに車中泊を続けている人の間で、いま問題となっているのが「エコノミークラス症候群」。
これは下肢、とくに下腿の深いところの静脈(深部静脈)の中に、血栓(血のかたまり)ができる病気です。
その血栓が血流に乗って移動し、大静脈→右心房→右心室を経て肺動脈に詰まると、肺塞栓を引き起こします。
血栓が下肢にある間の症状は、下肢の腫れや痛みですが、肺塞栓を起こすと、胸痛や呼吸困難をきたします。

エコノミークラス症候群(正式には「深部静脈血栓症」)の原因は、おもに次の2つ。
(1)長時間同じ姿勢(とくに下肢を屈曲した状態)
(2)水分摂取不足

車中泊はまさに典型的な(1)だし、飲料水不足やトイレが不便な環境であれば(2)も重なってきます。
当院の患者さんの中には、いまだに車中泊をしている人もいます。余震の恐怖から、家で寝られないのです。

「血液サラサラの薬を飲んでるから大丈夫です」と言う方がいますが、それはたいてい、間違っています。

脳梗塞や心筋梗塞などの心配のある方が飲んでいるのは、「バイアスピリン」などの「抗血小板薬」です。
動脈硬化で血管壁が傷んだ場所に、血小板が集まって血栓を作り、動脈が詰まってしまうのを防ぐ薬です。

一方で、下肢の静脈とか、心房細動のときの左心房など、血液がよどむ場所にできる血栓は、また別物。
血液凝固因子が活性化して血液が凝固するので、治療薬は「ワーファリン」などの「抗凝固薬」です。

バイアスピリンを飲んでいても、エコノミークラス症候群を予防することはできません。ご注意ください。
足を定期的に動かし、可能なら高い位置に上げ、できれば時々歩き、水分は十分に摂る。それしかありません。

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ブログ更新連続4年過ぎ
- 2016/04/26(Tue) -
日ごろ私が何を考えているか、などを披露するのがこのブログですが、別の効用もあったようです。
私の安否情報です。県外にいる友人・知人は、このブログによって、私の様子を知ることができるからです。
ブログを書けるぐらいの元気はあるんだな、と思っていただければ幸いです。

約8年前から書き始めたブログですが、4年前からは毎日欠かさず、日記のように書き続けています。
1年間連続更新だ、2年連続だ、3年だと、連続更新記録を話題にする日が、毎年ありました。4月15日です。

今年はそれが、熊本地震の前震と本震の間でした。連続更新記録のことなど、すっかり忘れてましたね。

5年前の3月、週に1,2回ペースでブログを書いていた頃に、東日本大震災が起きました。
東日本が大きな被害に遭い、苦しんでいたのに、西日本に住む私には、直接的な被害はありませんでした。
そのことが申し訳なく、震災後にブログを書けるまで、6日間かかりました。
何を書いても、言葉が尽くせるとは思えず、筆が進まず、その後の更新頻度はさらに減りました。
時間が経つのを、ただ、待つことしかできませんでいた。

今回の震災でも、ずいぶん不便な生活は続いていますが、自宅やクリニックの被害は比較的軽微でした。
だから家屋が倒壊したり、避難所生活や車中泊をしている人に対して、やはり申し訳ない気持ちがあります。
そのような中で、ブログを書き続けることが許されるとすれば、何かの情報を発信し続けることだと思います。

たいした力にはなりませんが、その日思ったことを、しばらくは震災中心に書いていきます。

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地震の加速度
- 2016/04/25(Mon) -
地震の「震度」は、地震計(加速度計)で測定した「加速度」を元に、算出されます。
一定の方式によって加速度を補正し、その常用対数 x 2 + 0.94を四捨五入等して、震度階級とするようです。

加速度の単位は「ガル(Gal)」。聞いただけで、どう猛な感じのする単位です。
1Galとは、1秒間に、秒速1センチの速さだけ加速するときの加速度(1cm/s/s)という意味です。

今回の地震の最大加速度は、前震が1,580Gal、本震が1,362Galだったそうです。
1,580Galは、秒速1,580cm=時速57kmの車が1秒で急停車するような、強烈な(この場合は負の)加速度。

私が経験した震度6弱だと、加速度は200〜300Gal程度と計算できます。
この場合は、時速10kmで徐行運転中に急ブレーキをかけたような、そんな加速度に相当すると思われます。

これが家なら、そりゃテーブルの上の皿は床に落ち、置き時計が転落し、書棚だって倒れるはずです。
作り付けの棚は動きませんが、棚に置いてあった本やアルバムやCDや小物は、実際にすべて、落下しました。
家具が倒れるのを突っ張り棒などでいくら防いでも、棚の中身は全部落ちてしまうということです。

床よりも高い位置にある物体は、基本的に落下すると考えておいた方がよさそうです。
人のいるところに家具が倒れてくれば、命の危険がありますが、上から物が落ちてきても、やはり危険です。
棚の上などに、時計とか置物とか家電などをゴチャゴチャ置くのが最悪だということは、今回思い知りました。

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被災者とマスコミ
- 2016/04/24(Sun) -
TBSの「Nスタ」の生中継中に、被災者が取材陣に邪魔だとクレームを付けた話が、ネットを賑わせています。
熊本地震の被災者とマスコミのトラブルが、あちこちで起きているようです。

無神経な取材にうんざり、という事態は、どのような災害や事件・事故の場合でも、起こり得ることです。
しかし、報道の役割も大きいはず。それが重要な情報源となり、全国から支援が集まっているわけですから。

たぶん、みんな悪気はないのですが、いかんせん、被災者側に余裕が無いのです。問題は、温度差です。
取材陣は使命感に燃え、被災者は悲嘆に暮れています。レポーターの「熱さ」は、度が過ぎると不快です。

テレビをつければ、画面のサイドや上下には、地震に関連する情報が常時、流れています。
上下にテロップを出せば、左右にも出さないと、画面の縦横比のバランスが取れないのでしょうか。

NHKなどはデカデカと左側に「余震に警戒」と出し続けていますが、これは、はっきり言って目障りです。
最新情報をテロップで流すのは助かりますが、「余震に警戒」と出し続けて、何か意味ありますか。
被災地で、余震が気にならない者など、誰ひとりいません。警戒どころか、恐怖の連続です。

そのテレビすら見ることもできない被災者の場合には、テレビのテロップなど無意味です。
また、さいわいテレビを見られる私のような者には、いっとき地震を忘れて、大河ドラマでも見るのが息抜き。
ことさらに余震のことを強調するようなテロップは、もう少し小さくしてもらえませんかね。

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処方箋なしで調剤可
- 2016/04/23(Sat) -
被災したために当院に来院できない患者さんの中には、生活習慣病などの薬が切れる方が、たくさんいます。

このような場合、代理人が当院で処方箋を受け取り、薬局で薬をもらうことができます。
その処方箋すらなくても、自宅や避難所近くの薬局で薬をもらうことが、今回は認められています。

厚労省から、熊本地震に関連した特例が、これまでに通知されています。当院に関係あるものとしては、
(1)保険証がなくても保険診療を受けられる:住所・氏名・生年月日・電話番号などを言うだけでOK
(2)処方箋がなくても保険調剤が受けられる:処方箋は後日発行すればOK 

とくに(2)は、なかなか太っ腹な特例です。ただしこれには、条件が付いています。
(A)交通の遮断など、医師の診察を受けられない客観的理由があること。
(B)医師のメモやお薬手帳や薬の包装等によって、処方内容が確認できること。

お薬手帳さえあれば、近隣の薬局で処方を受けられるわけです。ようやく、お薬手帳が役立つ時が来ました。

ところが、この数日の診療では、お薬手帳どころか保険証も何も見つからない、という方にも遭遇しました。
こういった方の、処方薬を継続する方法って、何かないのでしょうか。
マイナンバーカードで処方薬情報を集約しよう、なんて話もありましたが、カードだって紛失しますから。

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天変地異とデータの保管
- 2016/04/22(Fri) -
医療機関の被災では、建物の損壊、停電、断水、機器の故障の次に来る問題は、カルテの散逸でしょうか。
紙ベースのカルテや、レントゲンのフィルムなどは、今後の復旧が大変でしょう。
電子カルテの医療機関では、端末やネットワークの被害状況と、データの保存状態がいちばん気になります。

当院では、電子カルテのデータ(診療内容や患者情報)は、毎日診療終了後にバックアップをとっています。
システムによっては、クラウドベースでデータを保存する場合もありますが、当院では院内保存の形です。

電子カルテのサーバー機の内臓HDDに、まず最初のバックアップを取っていますが、これはダメですね。
サーバー機自体が故障したら、それでアウトです。
なるべく毎日(実際には週に2,3回)、別のMacにも、そのバックアップの複製を保存することにしています。
しかしそのMacも故障したら、やはりアウトです。
外付けHDDや、DVDや、USBメディアに、バックアップを保管する方法もありますが、私はやっていません。
小さな装置やメディアに個人情報などを保管したら、セキュリティー上の心配が出てくるからです。

当院では、10台のパソコンを使っていましたが、そのうち9台が、地震で床に落下してしまいました。
そのうち電子カルテのサーバー機(iMac)は、液晶パネルの損傷が激しく、起動ができなくなりました。
しかし奇跡的に、ネットワーク経由で内蔵HDDにアクセスできたので、データは取り出せました。
そのデータが取り出せなかったら、地震の直前2日分の診療情報をすべて、失うところでした。

バックアップは常に、複数の場所に保管する、という鉄則は守らねばなりませんね。このたび痛感しました。
しかし、パソコンが全部同時に故障しかねなかった今回の大地震では、この方法でも不十分。NASでも同じ。
自宅に分散保管したとしても、やはり完璧ではありません。自宅も被災したからです。

このたびのような「天変地異」を経験すると、クラウドへのバックアップも、検討すべきかと思えてきました。

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支援と役割
- 2016/04/21(Thu) -
全国からの、心のこもった支援物資が、実は隅々まできちんと行き渡っていないと、たびたび報じられました。
交通網の遮断だけでなく、分配方法が悪いとか、指揮系統が機能してないとか、そいうった面もあるでしょう。
しかしそれもようやく、改善しつつあります。各種団体や個人や、流通企業などの精力的活動のおかげです。
個人的な支援車が道路渋滞を招いている、などとも言われますが、まあ善意ですから。責めてはいけません。

これほどの大災害は、たぶん熊本ではほとんど誰も(個人も自治体も)、想定していなかったでしょう。
東日本では大地震を想定して、個人レベルでも自治体レベルでも、物資の備えがあるかもしれません。
しかし熊本では、自宅に水や食料品の備蓄をするような理由も習慣もありませんでした。1週間前までは。

「前震」の翌日、丸一日余裕があったのに、次に備えるという発想がなく、私は特段準備をしませんでした。
クリニックが断水になったので、水を運ぶポリタンクを買ったぐらいです。今それが、役立っています。
少々強い余震が続きはしましたが、何とかやり過ごせるだろうと、少なくとも私は、タカをくくっていました。
そしたらウソのような「本震」。翌日、大慌てで買い出しに行っても、もう、何もありません。

熊本地域全体としての、物資の備蓄がなかったので、交通網が途絶えれば、すぐに物不足になるのです。
災害時の搬送経路をも想定した、地域全体として、あるいは隣県とも連携した備えが必要だと痛感しました。

断水が続く地域、いまだに停電のところ、それどころか家屋の倒壊や土砂崩れも起きています。
避難所生活の人、車中泊が続く人、住む家が無い人、家族が死傷した人など、被害の程度はさまざまです。
私も被災者のはしくれではあるけれど、私が被った災難など、まったく微々たるものです。
よりひどい状況に遭っている人たちに対して、私ができることは何か、それを考えなければなりません。
私の使命は、そのような方の診療を続けることだと思っています。職員には、とても感謝しています。

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安否情報
- 2016/04/20(Wed) -
大規模な災害が起きたときには、被災地に住む親戚や友人の安否を、できるだけ早く確認したいものです。
また私たちのような被災者も、自分の安否情報を、被災地内外に住む親族や友人に知らせたいもの。

しかし全員が電話をかけあい、しかも長電話をしたのでは、回線がパンクしてしまいます。
最近は、電話会社の災害用伝言サービスとか、メールやSNSを利用するなど、連絡手段は増えて来ました。
今回、幸いに私はネットが使えたので、Facebookで自分の安否情報を拡散することができました。

最初の地震(結果的には「前震」)直後に、Facebook友達から「無事」だという情報が届きました。
見ると、「Facebook災害時情報センター」に「熊本県の地震」というものが立ち上がっています。
私もすぐ、「無事です」ボタンをクリック。これによって、多くの方に、私の無事が伝わったはずです。

ここまでは、まあ、よかった。
問題は、その地震の28時間後に起きた「本震」です。前震をはるかに凌ぐ、激しい揺れでした。
これによって、震災被害は一層壊滅的になりました。自宅もクリニックも、本震で新たな被害が出ました。
ところが、Facebookを見ると、私はすでに「無事」ということになっています。友達もみな。

つまり、前震後の安否情報が、あたかも本震後の安否情報のように、掲載され続けているのです。
本震後に、安否情報も一変した可能性があるのに、古い情報を流し続ける今のシステムには、問題があります。

新たな災害が起きたら、それまでの情報がクリアされるとか、別項目を立てるとか、何か工夫が必要です。

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地震で断捨離
- 2016/04/19(Tue) -
余震はしつこく続きますが、貴重な休診日をムダにはできません。こういう日は、院内の片付けです。
クリニックの建物自体には、安全に関わるような損傷は、なさそうです。
ただし、隣接する民家のブロック塀が、当院駐車場に向かって倒れて砕けており、車3台分は、駐車禁止です。
いやよく見ると、倒壊したブロック以外も、若干傾いてる。駐車禁止は4台分としましょう。

受付や診察室などは、すでに地震後3日間の診療も乗り越えており、今後も地味に片付ければなんとかなる。
となると問題は、院長室。なにしろドアが開きません。何かズッシリとした物体が、向こうにあるのです。

一昨日から、何度も何度もドアを押すうちに、スキマがジワジワ広がり、ついに手が入るほどになりました。
ドアの向こうの物体を手探りでつかみ、スキマから引き出すか、それが無理なら、あっちの方に放り投げる。
こうしてドアを徐々に押し広げ、本日昼過ぎ、ついにカラダが入る広さになりました。

果たして室内は、目を覆うばかりの惨状、例えてみるならゴミ屋敷、もしくは最終処分場。
床よりも高いところにあった物品は、ほとんど落下。書棚はすべて倒壊。時計は1時26分で止まっています。
奇跡的に、院長室でいちばん高額な備品であるMacProが、ケーブルが突っ張って机上に残っていました。

最初の地震で床に落ち、翌日元の位置に戻したさまざまな物品はすべて、もう一度、床に落ちていました。
次の地震に備えて、書棚には突っ張り棒が要るなあ、と思っていましたが、次の地震があまりにも早かった。

今日の作業で、これまで保存してきたさまざまな書類、小冊子、小物などを、どんどん断捨離しました。
断捨離は苦手な私ですが、今回は思い切って処分できました。まあ、この機会をプラスに考えましょう。

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1人で診療してみました
- 2016/04/18(Mon) -
「事務員なし、看護師なし、医者1人」
このような、離島の診療所のような環境での診療に、今朝はチャレンジしてみました。

定期処方薬が切れそうな人や紛失した人、避難先に薬を持ってくるのを忘れた人などが、けっこういます。
避難所や、自家用車の中で寝起きしている人も多く、疲労が溜まれば風邪もひくでしょう。

ごった返している救急病院を、軽症者の診療でわずらわせるわけにもいきません。
そんな思いで土曜も日曜も、時間を限って診療しました。避難所生活をしている職員も、出勤してくれました。

ようやく今日は平日。他の医療機関の診療も始まるとは思いましたが、当院も朝から診療を開始しました。
ただし、職員を休ませるために、午前中は果敢にも(無謀にも?)、1人で診療を行うことにしました。
実際には、看護師1名が急遽出勤してくれましたが、1人診療に備えて、7時前から準備をしていました。

まず、「本日受診された方へ」という特別な説明書を作成・印刷。そこに書いておいたのは、
(1)検査ができません:私1人では手がまわらないし、検査センターも稼働していません
(2)ミニカルテを発行できません:ミニカルテは当院のウリなんですが、手間がかかるので割愛です
(3)医療費の計算ができません:すみません、私、医療事務に自信がありません。

ということで、午前中の患者さんは全員、窓口支払いナシです。無料で、処方せんだけ出しました。
外見上は、「薬は出しときました。支払いはけっこうです」という、まるで赤ひげ先生のようなノリです。
もちろん、後日精算しますけど。

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いつも揺れてます
- 2016/04/17(Sun) -
余震の回数があまりに多くて、もはや今、揺れているのかいないのか、区別がつきにくくなってきました。
ちょうど船から下りたばかりのように、いつも自分がなんとなく揺れているような、そんな感じです。

震度1以上の地震は、4/14:40回、4/15:112回、4/16:202回、4/17 (21時まで):124回だそうです。
余震は今日になって少し、弱くなってきた印象がありますが、そんなことは、まったくアテにはなりません。
今夜「本震」が更新される可能性だって、あるわけですから。

震度6レベルの地震を、この3日間で数回、身をもって経験しました。震度4や5は数十回に及びます。
大きな揺れの前には、まず、地鳴りのような音が、1,2秒間ほど聞こえます。寝ていても目が覚めます。
と思ったら、ティンパニの上で寝ていたかと思うぐらい、激しく打ち鳴らされるように、からだが弾けます。
まずいっ!と思った次の瞬間、今度は強烈な力で、思いっきり左右に揺さぶられます。もう、何もできません。

前半のティンパニの強さによって、だいたいの震度がわかるようになって来ましたが、6は別格です。

横揺れ開始直後に、緊急地震速報のアラームが鳴りますが、よけいなお世話です。もうわかってますから。
直下型地震なので、速報はまったく間に合わないのです。アラーム音がうるさいだけです。

建物の倒壊等による直接被害もさることながら、とにかく困っているのは、ライフラインのダメージですね。
当院でも断水が続いています。トイレを流すのも、容易ではありません。
いまだに停電している地域もあります。断水+停電だと、診療はかなり厳しくなるでしょう。

新幹線も九州自動車道も、復旧のメドが立ちません。
物流が滞り、スーパーは多くが閉店しています。コンビニは開店していても、商品がありません。
クリックひとつで何でも買える時代なのに、いま熊本では、何ひとつ手に入りません。まずは、水が欲しい。

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なんとか短時間でも診療
- 2016/04/16(Sat) -
「余震は、本震よりも規模が小さいのですね」と、昨日のニュース番組で、アナウンサーが尋ねたところ、
「もっと大きな地震が起きて、そっちの方が本震、前のが前震、ということもあり得ます」と某専門家が回答。

イヤなこと言うなぁ、と思ってたら、本当に、その通りになってしまいました。
本日未明の大地震は、熊本地域の全住民に、計り知れない恐怖をもたらしました。しかも余震が続きます。

今朝は7時前に出勤。クリニックの外観に異変はありませんでしたが、その内部はメチャクチャでした。
何てことか、サーバー用のMacが床に落下し、液晶パネルが割れています。こりゃダメだ。
診療データを取り出し、別のMacに、サーバーシステムをインストール。起動OK。助かった。

電子カルテとプリンタの稼働が確認できれば、基本的な診療はできます。でも、問題は職員です。

当院の職員は、現在ほぼ全員が避難所生活をしています。とてもじゃないけど、出勤できそうにありません。
しかし、高血圧や糖尿病や喘息などの方には、予定日に受診しないと薬が切れて困る方がいます。
高熱や嘔吐・下痢でぐったりしながら、避難所生活をしているお子さんも、いるでしょう。

そのような患者さんのために、短時間だけでも、今日は診療をすることに決めました。
ある程度準備ができた時点で、ネット予約サイトの文面を、次のように改めて、診療を開始しました。

===
本日は、11時から診療を開始しています。余震などの経過を見ながら、15時頃に診療を終える予定です。
アイチケットによる予約受付は行っていません。診療の予約は、電話でお願いします。
院内の片付けと並行して診療しますので、職員は普段着です。
また、かなりお待たせするかもしれないことを、ご了承ください。
===

何人かから「今日もやってるんですね」と言っていただけました。無理して診療した甲斐がありました。

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断水と断水情報
- 2016/04/15(Fri) -
気象庁は、今回の地震を「平成28年熊本地震」と命名しました。
死傷者が出ており、熊本城も悲惨な姿になっています。おまけに余震が多い。今日も揺れっぱなしです。

休診日だったので、早朝からバタバタすることはありませんでしたが、余震の中、片付けに追われました。

朝からクリニックに行ってみると、棚から落ちたファイルや置物などが床に散乱し、一部は破損していました。
2階の揺れがひどかったようで、院長室は、落下物が床に積み重なって、ドアが開かない状態でした。

セコムが、地震と同時刻の異常(侵入)を警告していました。おそらく落下物に反応したのでしょう。
本棚の上に置いていた電波時計が、床に落下して9時26分で止まっていました。電池がはずれたようです。
決定的瞬間で止まった時計なんて、まるで映画に出てきそうですが、電池を入れたらすぐ動き出しました。

院長室のMacの外付けHDDが、横倒しになっていました。本震と余震で、激しく揺さぶられたはずです。
Macは通常通り起動しましたが、HDDからは異音が聞こえ、怪しんでいるうちに、認識できなくなりました。

いつのまにか、水道も出なくなりました。おそらく、水道管の破損に伴う水圧低下と考えられます。
水道局に電話して確認しようにも、何度かけても話し中。30分ぐらいして、やっとつながりました。
だんだん水圧が下がり、高い場所から断水してます。詳細は、水道局のホームページを見て下さい、とのこと。

当然、電話する前から、水道局のサイトは見ようとしてますよ。でも、アクセスが集中して見られないのです。
しばらくしてやっと、水道局の「緊急情報」のページにたどりつくことができました。

ところが、夕方見たのに、断水情報の最終更新は午前2時30分ですよ。断水影響戸数は1,908戸だとあります。
テレビのニュースでは、8万5千戸以上が断水していると報じているのに、水道局の情報は古すぎでしょう。

と思っていたら夜になって、「システムのトラブルにより情報の更新がしにくい状況となっております」だと。
「今後は熊本市のホームページにて情報公開を行ってまいりますので、こちらをご確認ください」とあります。
その「こちら」をクリックすると、熊本市ホームページにとびました。
その中の「断水情報」という部分を見ると、「断水について(上下水道局ホームページ)」というリンクあり。

あー、イヤな予感。おそるおそるクリック。出た!、水道局のページ。こうして私は今、堂々巡りしています。

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熊本で大地震
- 2016/04/14(Thu) -
今夜、熊本で大きな地震が起きました。いまも余震が続いています。
熊本県益城町で震度7、熊本市内でも震度6弱という、一生経験することもないと思っていた揺れでした。

日本で震度7を記録したのは、東日本大震災以降では、初めてだとか。

耐震設計のわが家の、しかも1階に私はいましたが、それでもまあ、かなり激しく揺れましたね。
食器が数枚、割れました。神棚からもいろんなものが落ちて、割れました。
お宝のシェフチークの花瓶は、テーブルの端ギリギリまで移動していましたが、なんとか無事でした。

食器棚は、地震で自動的に扉がロックされる仕組みらしく、扉が開かなくなりました。
開け方がわからず、パナソニックのサイトで、ロック解除法を習得。なるほど、うまくできているものです。

飲みかけていたコーヒーは、カップからすべて溢れて、そばのMacBookProに降りかかりました。
すぐに拭き取ったので、パソコンの動作に支障はありませんが、ベトベトになりました。
停電はなく、ネットもつながっているので、こうしてブログを書くことができます。

お気に入りの多肉植物、カランコエ・ベハレンシスは、大きく曲がってしまいました。大丈夫でしょうか。

その後も震度2から5程度の余震は、何度も何度も起きています。これを書いている今もです。
スマホからは、緊急地震速報のけたたましいアラームが、たびたび鳴り、その直後に大きな揺れが来ます。
でも、最初の一番大きな地震のときは、アラームが鳴りませんでした。どういうわけなんでしょう。
あのときに鳴ってくれてたら、コーヒーを慌てて飲みほしたんですけどね。

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隗より始めよ
- 2016/04/13(Wed) -
「院内感染対策は “隗より始めよ” – 新人が入った今こそ対策を」という、医療系の記事が目に留まりました。

新人の初期研修こそ大事、という意味はわかりますが、それよりも「隗より始めよ」の使い方がおかしい。
中国戦国時代、郭隗という人物が燕の昭王に言ったとされるのは、

「まず、凡庸な自分を抜擢してください。そうすれば、優れた人材が次々と集まりますよ」

(1)優秀な人間を集めたければ、まずは、優秀ではない者を優遇することだ
「隗より始めよ」は元々この意味。隗の抜擢は、サクラのようなものなのです。これが転じて、

(2)大事をなすには、まず、手近なところから着手せよ
サクラのような悪い意味が薄れ、建設的な良いイメージになりました。ところが、

(3)まず、言い出した自分から行動せよ
となると、ニュアンスがずいぶん異なってきます。最近では、このような使い方も多いとか。さらに、

(4)何事も、最初が肝腎
となっては、まるで意味が違います。今回の院内感染の記事は、まさにこの用法。さらに曲解されて、

(5)まず、身近にいる私を信じて、使って下さい
プロジェクト立ち上げの際、「オレにやらしてください!」と新人が果敢に手を挙げる、ドラマのシーンとか。

学校でこの故事成語を習ったとき、まず自分を売り込もうとする隗の態度に、いやらしさを感じました。
たぶん私の理解では(5)だったのです。はたして隗の真意は、どうだったんでしょうかね。

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がん免疫療法
- 2016/04/12(Tue) -
小野薬品の、がん免疫療法薬「オプジーボ」は、昨年末から適応が広がって、使用患者が急増中とのこと。
「オプジーボ」は商品名です。一般名(薬品名)は「ニボルマブ(Nivolumab)」。
副作用問題が出てはいますが、画期的な新薬であることは間違いありません。では、どんな薬なのか簡単に。

まず、通常の免疫反応には、自然のブレーキが存在します。過剰な免疫反応を抑制するための仕組みです。
そのブレーキのスイッチが「免疫チェックポイント」と呼ばれる分子で、リンパ球の表面にあります。
がん細胞は、このスイッチを操作して、リンパ球からの攻撃を免れます。これを「免疫逃避機構」といいます。

そこで、がん細胞がブレーキ操作をする前に、そのスイッチを塞いで押せなくしてしまえ、と考えたわけです。
このように、ある分子に的を絞って作用する医薬品のことを「分子標的治療薬」といいます。
とくにそれが、標的分子という「抗原」に結合する「抗体」である場合、「抗体医薬品」と呼びます。

遺伝子組換えによって、特異性の高い抗体「モノクローナル抗体(Monoclonal Antibody)」が作られます。
このような医薬品の名称は、語尾に “Monoclonal AntiBody” からとった “mab(マブ)” が付きます。
「マブ」が付く薬はみな、「モノクローナル抗体医薬品」というわけです。

小児領域でなじみのある「マブ仲間(マブダチ)」は、「パリビズマブ」でしょう。商品名「シナジス」。
早産児などでは、RSウイルス感染予防のために、流行期に月に1回、シナジスを筋肉注射します。
けっこう高額な薬です。体重に比例して用量が増え、6.6キロのお子さんだと、薬価は月に約15万円!
保険適応ですが、乳幼児医療費の助成がなければ、なかなか大変な金額です。

ちなみにオプジーボは、もっと高い。70キロだと1回約150万円。2週間毎に点滴するので、年に3,900万円!
対象患者は数万人といいますから、個人負担もさることながら、医療保険制度にも影響は大きいでしょう。
その意味で、オプジーボの最大の「副作用」は、「経済毒性」とも言われているようです。

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大河ドラマの面白さ
- 2016/04/11(Mon) -
真田丸」は毎回、笑わせてくれますね。どうやら、歴史コメディーの様相を呈してきました。
時代も、人物も、それぞれ興味深い題材ですが、笑わせるのはやっぱり、脚本の力でしょうね、三谷幸喜の。
考えてみると、私がこれまでに面白いと思った大河ドラマには、いつも適度な笑いがありました。

歴史を教科書通りに映像化したのでは、面白かろうはずがありません。何しろ、ストーリーはネタバレだし。
かといって、史実をねじ曲げるのは困る。史実と異なるドラマは、また別の企画でやってくれればよいです。

大河ドラマの面白さは、史実とは矛盾しない範囲で、どれほど独自の物語を構築できるかで決まります。

架空の人物を登場させても構わないわけです。そのような人物がいなかった、という証拠はないからです。
だいいち、誰がなんと喋ったのか、その一語一句が完全に記録されているわけではありません。
登場人物たちのセリフは、つまるところ、ほとんどが創作です。
誰と誰が、じつは裏でつながっていたとか、あっと驚く設定にしてしまうのも、ありでしょう。

真田信幸が、妻と思って膝枕に寝そべってしばらく愚痴った挙げ句、気がつくとそれは妻ではなく母親だった。
昨日のそのシーンすら、そんなアホな出来事がなかったという証拠はないので、史実とは矛盾しません。
この場合は、「んなわけないやろ」と突っ込みながら笑うのが、われわれの正しい視聴態度というわけです。
今回の大河ドラマは、三谷幸喜の策にどっぷりとはまればはまるほど、その面白さを堪能できそうです。

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区名のユニーク度
- 2016/04/10(Sun) -
区役所内に、クリニックの電光広告を掲示しませんか、と提案する業者が現れました。お断りしました。
他にも、地図や回覧板の表紙などへの、さまざまな広告の提案がありますが、最近はすべて断っています。

当院は東区と北区の境界付近にあるので、広告は両方の区版に掲載しなければならず、出費もかさみます。
そもそも、アナログ媒体の広告は、存在価値が薄れています。ここ数年、電話帳にすら広告を出していません。

それにしても思うのは、熊本市の区名「東・西・南・北・中央」の芸の無さって、どうなんでしょうね。

以前、熊本市が政令指定都市になるとき、わかりやすい区名が良いと書きましたが、今は後悔しています。
もっと、ユニークな名称にすべきでした。市民に(私にも)長期的な展望が無かったと言わざるを得ません。

都市の「区名」に着目して、その都市独自の名称かどうかで「ユニーク度」を計算している人がいます。
全国のどこかに同一名称があれば、その区名はオリジナリティーがないと判断する考え方です。
ユニーク度100%の都市は、川崎市と北九州市と静岡市。すべての区名が、独自の名称です。これはすごい。

一方、2009年以降に誕生した、相模原市と岡山市と熊本市の3つの政令指定都市は、なんとユニーク度0%。
バタバタと市町村合併したものだから、じっくり区名を考える余裕がなかったのでしょうか。
相模原市は「緑・中央・南」の3区。岡山市は「北・中・東・南」の4区。5区の熊本市が、いちばんひどい。

熊本市と同規模の静岡市では「葵・駿河・清水」の3区。そのユニークさが、うらやましい。

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国庫負担減額調整措置
- 2016/04/09(Sat) -
新学期が始まり、学年が上がって、医療費の助成が減ったお子さんもいることでしょう。
子どもの医療費助成の対象を、そう単純には拡大できないことについては、先日も書きました。
しかし、幅広い年齢(学年)にわたって、医療費の助成を実現している自治体もあります。

子どもの医療費を助成するのは、子育て家庭の負担を軽減するためです。少子化対策にもなります。
これは日本全体で取り組むべき問題ですが、医療費助成は自治体が行う政策なので、地域差があるのです。

現状では、自治体が独自に頑張れば頑張るほど、国から自治体への支援が減る仕組みになっています。
これがきわめて評判の悪い「国庫負担減額調整措置」とよばれる制度。いわば、自治体へのペナルティーです。

国がそのペナルティーを科す理由を知るために、医療費を誰が負担しているかを、まず確認しておきます。
ざっくりと、健康保険料が1/2、国庫が1/4、自治体が1/8、患者が1/8、という負担割合です。

それをふまえて、国の言い分はこうです。
(1)自治体が助成を手厚くしたら、(必要以上に)医療を受けやすくなるので、(ムダに)医療費が増える
(2)医療費が(ムダに)増えた分、国庫負担金も増え、他の自治体との間に国庫負担金の不公平が生ずる
(3)よって、国庫負担金の公平な配分という観点から、国庫負担の調整(つまり減額)を行う
(4)国がすべての子どもに、公平に国費で医療費を助成できれば良いが、そのような財源はない

とか言いながら、高齢者には3,600億円をばらまくというのは、どうしたもんでしょうね(票のためです)。

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犯罪捜査というニッチ市場
- 2016/04/08(Fri) -
FBI長官は昨日、iPhoneのロック解除の一件に関して、こう発言しました。
(1)FBIは民間組織から、ロック解除ツールを購入した
(2)このツールでは、iPhone 5sやiPhone 6以降は解除できない

もちろん、現行iPhoneのロックについては、今後解除できたとしても、FBIがそれを言うはずがありません。

このたびFBIが解除ツールを購入したのは、「Cellebrite」というイスラエルの企業だと言われています。
さらにそのCellebriteが、日本の「サン電子株式会社」の子会社であることが、話題になっています。

サン電子のサイトを見ると、「犯罪捜査用システム」という製品群が、たしかにあります。その冒頭に、
「各国の警察、軍、法執行機関、諜報機関等で(中略)データ抽出の際に使用されている」とありました。
こりゃまた怖ろしげな顧客を、相手にしているようです。警察が、いちばんマシに思えてくるほどです。

こんな会社が日本にあったのかと思いますが、でも、こういうメーカーの存在理由は、確実にあるわけです。

さらにサン電子のサイトを見ていくと、その犯罪捜査用システムには、3つのラインナップがあるようです。
(1)UFED Touch:タッチパネル式で簡単操作。なるほどこれなら、犯罪現場に携行しやすいですね。
(2)UFED 4PC:PCにインストールするタイプ。Windows専用ですか。この世界でもそうなんですね。
(3)UFED CHINEX:中国製端末からのデータ抽出専用の、オプション。やっぱり中国は別格ですか。

携帯電話買い替え時のデータ移行事業が転じて、犯罪捜査用データ抽出では、世界的な企業となったサン電子。
「ニッチな市場で世界No.1を目指す」と社長も言ってます。たしかにニッチですが、確実に成長分野ですね。

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医師免許取ってドラマ制作
- 2016/04/07(Thu) -
医学部をこの春卒業して医師免許を取得した女性が、TBSに入社した、というのが話題になっています。
ほとんど臨床経験の無いまま、研究職や行政職に就く「医師」は時々いますが、テレビ局というのは珍しい。

「もともと医療ドラマが好きで、医者になろうって思ったけど、でも本当に好きなのはドラマだった」
彼女のこのコメントを、どうしても私は理解できません。

「もともと野球中継が好きで、野球選手になろうって思ったけど、でも本当に好きなのは野球中継だった」
極端な話、こういうことでしょう。

「医者って格好いい」と言ってはばからない彼女。そのミーハー根性は、ドラマでどのように生かされるのか。
おそらく、一般ウケの良いドラマ作りに貢献するでしょう。つまりそれは、私の嫌いなドラマです。

たとえば外科医が主人公のドラマでは、緊迫した手術シーンのリアリティーが重要です。
ところが、第一線の臨床医が監修しているはずなのに、妙なシーンが多くて閉口します。
そこへ現場を知らない者が、医者ヅラをして制作に携わるようになったら、もっと変なことになりそうです。

良いドラマを作るために、医学部で勉強して医師免許まで取ったと考えれば、それはたいしたものです。
であるならば、せめて5,6年ぐらい若手医師として、現場で患者と向き合ってからでも遅くはないでしょう。
そのような経験を積んでから、ドラマ作りに転向した方が、よほど重厚な作品ができると思うのですが。

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衝突回避システム
- 2016/04/06(Wed) -
最近の車は、駐車するときなどに車周辺のカメラ映像が出て、ナビゲーションしてくれます。便利ですね。
車の前後左右だけならまだしも、誰がどこから撮ってるのか、車を真上から見下ろした映像まで出てきます。

あれって多分、GPSの衛星から撮影した、つまり宇宙からの映像ですよね。技術の進歩って、すごいです。
あと、車を真後ろから見た映像なんかも出てきます。あれは多分、近隣の防犯カメラからの映像でしょ?

なわけないですが、車載カメラの映像を、補正したり合成したりして、車外から撮影したように見せています。

カメラやレーダーを使って前方をを監視し、衝突を回避するシステムは、もはやかなり一般的になりました。
道路の車線表示を監視して、レーンをキープするようにハンドルが自動調整される装備も広まりつつあります。

先行車両との距離やその速度差などをつねに感知して、同じ車間・速度を維持できる車も、登場しています。
前の車が左折したら、こっちも左折するそうです、いやホントに。下手したら、どこかに連れて行かれます。

もちろんそういった車のお節介よりも、運転者によるハンドル操作やペダル操作の方が、通常は優先します。
いやしかし、衝突回避の際には、運転者がアクセルを踏んでも、車はそれを無視してブレーキをかけるはず。

最新のシステムでは、事故回避が最優先なので、人間の思い通りには運転できなくなりつつあります。
私の車は、狭いガレージの壁ギリギリに駐車しているので、毎回けたたましく衝突警告アラームが鳴ります。
警告音の果てに、ついに車は動かなくなります。衝突回避のためです。車は私の技量を信用していないのです。

なので「駐車時緊急ブレーキシステム」を、私はオフにしています。そうしなければ、駐車もできないのです。

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感覚と対数
- 2016/04/05(Tue) -
奮発して990円のワインを買ってみたら、日ごろ飲む690円のワインよりも、ずいぶん美味しく感じました。
値段が高いほど美味しく感じるとしても、それは本当に味の違いなのか、高いと思うから旨いのか。
少なくとも、旨さと値段が正比例するとは思えません。

一般に感覚量は、刺激の強度の対数に比例するとされ、これを「ウェーバー‐フェヒナーの法則」といいます。

たとえば聴覚は、音の強さの対数に比例して感じるので、音の大きさには対数値「デシベル」が使われます。
小さな音は敏感に聞き取り、大きな音には鈍感なのは、生物学的にも理にかなった仕組みです。

このような特性があるからこそ、すべての感覚において、ダイナミックレンジの広さが確保されるのでしょう。

カレーの辛さでも、辛さの感覚と比例するのは、唐辛子など辛味成分の量の対数と考えられています。
辛さ2倍と4倍ではかなり差がありますが、22倍と24倍では差を感じることは難しいでしょう。

文具や日用品は10円でも安いものを買うのに、家具や車を買うときには、金銭感覚が少々鈍感になります。
高額なものを買うときにこそ、敏感な金銭感覚を維持していれば、ずいぶんと節約できるのでしょうけど。

私は日ごろ、糖質制限をしているつもりです。炭水化物を食べるのは夕食の時だけ、と決めています。
よほど例外的な理由がない限り、朝と昼には炭水化物を摂りません。間食などもってのほかです。
そのかわり、夕食時の糖質摂取は、かなり多いです。たぶん過剰です。

制限するときはストイックなまでに厳格なのに、いざ糖質解禁となれば「ざる」になってしまう。
もう少し辛抱できたらいいのにと、いつも思ってるんですけどね。これも人間の特性でしょう。

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就活とメンチカツ
- 2016/04/04(Mon) -
NHKの関連サイトに、「○活」という言葉についての軽い考察が、書かれていました。
「就活」が登場して以来、「婚活」だの「妊活」だのと、「活」の付いた言葉が氾濫している、という話。
まあ、いいじゃないですか。今風で語呂が良ければ、形を真似た新語は、続々と登場するものです。

それよりも私は、「○活コトバ」の構造に、違和感を感じます。
なじみのあるのは「部活」。「俱楽部活動」のうち、「俱楽部」の末尾と「活動」の頭をくっつけたもの。
これを「尾頭型」とします。

一方で「就活」は、「就職」と「活動」の、それぞれ頭文字をくっつけた「頭頭型」。ありがちな短縮形です。
しかし「婚活」は、「結婚活動」の短縮と考えれば「尾頭型」ですが、「婚姻活動」なら「頭頭型」。
さらに「妊活」も、「妊娠活動」の短縮なら「頭頭型」ですが、「懐妊活動」とするなら「尾頭型」です。

つまり「頭頭」か「尾頭」かは問題ではなく、意味が通りやすい方の文字をとったと考えるべきでしょう。
だから「姻活」とか「娠活」とは言わないわけです。

しかし、そこまではまあ、いいのです。私の違和感は、このことではありません。
「活動」の前段に来る言葉と「活動」の意味関係が、まちまちなのが気に入らないのです。分類してみると、

(1)所属:「俱楽部(における)活動」→「部活」
(2)目的:「就職(するための)活動」→「就活」、「結婚(するための)活動」→「婚活」
(3)方法:「(カラダを)温(めることによって女性の健康を維持する)活動」→「温活」
(4)対象:「(良い)菌(を多く摂る)活動」→「菌活」、「(ふるさと)納税(をする)活動」→「納活」

ちなみに私はこの数年、「ブ活」(ブロッコリーを多く摂る活動)してます。

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HPVワクチン訴訟へ
- 2016/04/03(Sun) -
HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)の問題は、解決するどころかむしろ、こじれてきました。
国とメーカーに対して提起されようとしている集団訴訟は、薬害エイズ訴訟に並ぶ規模になりそうだとのこと。

メーカー(MSD)は徹底抗戦の構えで、先日「ステートメント」を発表しました。その言い分はこうです。

(1)MSDのHPVワクチン「ガーダシル」は、2万9千人以上で臨床試験を行い、安全性と有効性を確認した
(2)市販後には、世界中の170万人以上を対象に調査して、評価を行った
(3)世界130カ国で承認され、これまでに2億本以上提供してきた
(4)世界各国で、ワクチンの導入によって、HPV保有率と子宮頸がんの前がん病変が減少している
(5)WHO、CDC、カナダ保健省、欧州医薬品庁など、主要国の保健機関が接種を推奨している
(6)WHOは日本の現状について「若い女性が、予防できうるがんの危険にさらされている」と警告している
(7)日本でも、産婦人科学会が「ワクチン接種の勧奨再開を求める声明」を昨年8月に発表している
(8)昨年12月の名古屋市の調査では、接種者と非接種者でさまざまな身体症状の頻度に差が無かったと判明
(9)日本では、毎年約1万人の女性が新たに子宮頸がんにかかり、そのうち約3千人が亡くなっている

つまり、有効性も安全性も世界各国が認めているのに、日本では勧められていないのは問題だということです。
これは私がこれまでにも書いてきた内容と、ほぼ同じですが、MSDが触れていない視点があるとすれば、

(10)日本人は、目の前で苦しむ人を救うためなら、疑わしき原因はすべて排除したいと考えてしまう
(11)日本人は、科学的合理性だけで杓子定規に物事を判断するような、冷徹な態度を好まない

外資系企業MSDには、日本人のメンタリティーが理解できないのでしょう。

しかしこのワクチンも、そろそろ接種を再開しなければ、日本人にとって大きなマイナスになります。
それをいちばん危惧しているのは、他ならぬ厚労省でしょう。将来、子宮頸がん後進国になるのは避けたい。

厚労省はしかし、ワクチンの勧奨接種を止めた張本人なので、その再開には何か合理的な根拠が欲しいところ。

今回の訴訟は、メーカーに不利だとは限りません。ワクチンの安全性を、裁判所が認める結果にもなり得ます。
もしかすると、勧奨接種再開への絶好の根拠になりそうな気もします。ちょっと時間がかかりそうですが。

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新バージョンのバグ
- 2016/04/02(Sat) -
人柱覚悟で、iPhoneを「iOS 9.3」にアップデートしたら、やっぱり不具合がありましたね。もちろん想定内。
その修正版「iOS 9.3.1」がリリースされましたが、これはあと2,3日、様子を見ることにします。弱気です。

さて昨日、改定された診療報酬に対応すべく、電子カルテのバージョンアップ作業を行いました。

私が使っているのは、「アガペ」社の「MindTalk」という、MacでもWindowsでも使える電子カルテです。
この製品は、全国的なシェアは小さいのですが、私の「ミニカルテ」に対応する、日本で唯一の製品です。
というより、私の「ミニカルテ」構想に賛同してプログラムを作りかえてくれた、貴重な電子カルテなのです。

診療報酬の改定は、初再診料や加算点数から、すべての薬価や検査や処置等の点数にわたります。
その内容を記載した「医科診療報酬点数表」をダウンロードすると、pdfファイルで300ページを超えます。

このような膨大な改定内容をすべて反映させて、新たなバージョンの電子カルテができたわけです。
だからでしょうか、ちょっとしたバグが、たびたび見つかります。

たまたま昨日は休診日。なので当院では、ゆっくりと更新作業を行うことができました。
終了後、確認してみてさっそく、ある加算の点数が微妙に間違ってることが判明。日計表にも表示の不備あり。

メーカーのサポートに何度も電話して、やっとつながると、修正版「1a」を準備していますとのこと。
ところが、待てど暮らせど、メーカーのサイトに「1a」がアップされません。
また何度も電話して、やっとつながると、「1a 」に不備があったので、再修正版「1b」をアップしますと。

そんなこんなで、再修正版「1b」によって今日は、大きなトラブルもなく、診療を行うことができました。
でも、昨日から診療していた医療機関は、少々バタバタしたことでしょう。改定初日が休診日でよかった。

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大病院定額自己負担
- 2016/04/01(Fri) -
紹介状なしで大病院を受診した場合、今月からは初診料とは別に、5,000円以上の自己負担が求められます。
軽症の患者が大病院を直接受診して、大病院をわずらわせるのを、抑制するためです。

しかし、医療費全体としてはどうなのか。紹介状をもらうために、診療所を受診した場合を考えてみます。

(1)3歳未満のお子さんの場合
小児科外来診療料(紹介料を含む)が682点。医療費としては6,820円発生します。
しかし自治体によりますが、3歳未満では通常、個人の窓口負担は0円です。

(2)3歳以上の場合(大人も含む)
初診料が282点、診療情報提供料(紹介料)は250点なので、合計532点。医療費としては5,320円です。
個人の支払いは、3割負担であれば1,600円。小学3年生までなら、熊本市の場合500円のみ。

いずれの場合も、直接大病院に行って5,000円を払うよりは、ずっと少ない負担で紹介状をゲットできます。
しかしその5,000円の負担を回避するために、実際には5,000円を超える医療費が発生しています。

結果的にこの制度は、個人負担を減らすために、医療費全体が増えてしまう方向に作用しています。
本当に大病院に紹介してもらうことになりそうな重症患者なら、最初から大病院を受診するべきです。
5,000円が免除されるのは、受診後入院となったケースなどですが、もう少し対象を拡大してほしいものです。

紹介状のためだけに診療所に行くのは、医療費のムダ。時間もかかり、病状の悪化をまねく恐れもあります。

一方で、紹介状のために診療所を受診したら、それほど重症でもないことがわかる場合もあるでしょう。
本来診療所での診療で済むべき患者が、わざわざ大病院を受診するのを、未然に防ぐことができます。
そのようなケースが多くなれば、医療費全体を抑える方向に働きます。むしろそれこそが本来あるべき姿です。

診療所の医者は、紹介状を求めて来院した患者を本当に大病院に紹介すべきか、よく吟味する必要があります。

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