世界で最も称賛される企業
- 2017/03/31(Fri) -
フォーチュン誌の「世界で最も賞賛される企業」ランキングで、Appleが10年連続で第1位となりました。
少し前のニュースですが、いちどは書いておきます、Apple信者なので。

興味深いのは、Amazonです。2年前は4位、昨年3位と順位を上げ、今回ついに2位に躍り出ました。
昨年まで2年連続で2位だったAlphabet(つまりGoogle)が、今年は6位に転落です。
Amazonは、Googleよりもずっと勢いがあるということでしょう。いつかAppleを抜くのはコイツですね。

たしかに私も、外出して実店舗で何かを買うよりは、Amazonで買う方がはるかに多い。少なくとも回数は。
でもAmazonの強みは通販ではなく、どうやらクラウドサービスなのだということを、最近知りました。
「アマゾン・ウエブ・サービス(AWS)」は、世界断トツ1位のクラウドサービスだそうです。
ある調査によると、AWSのサービス容量は、2位から15位までのライバル企業の合計の10倍だといいます。

「クラウドならDropboxでしょ」と、少し前まではそう思っていたのですが、思い違いでした。
私にとって無くてはならないDropboxは、実はAWSを利用して、その上でサービスを展開しているのでした。

「トラフィックがパンクしないのか?」と先日心配したNetflixも、しっかりAWSを利用しているとのこと。
世界中の企業や政府機関の多くが、たとえばCIAも、やはりAWSを使っているそうです。

元々は、自社の通販のために整備したサービスが、いまや世界のクラウドサービスを支配しつつあります。
ベゾスCEOに先見の明があり、薄利多売で急速に拡大し続けているので、他の企業が追いつけないようです。
そんな展開力が、ランキング躍進の理由なんだと思います。プラットフォームを制する企業は強いのです。

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プログラム書き間違い
- 2017/03/30(Thu) -
日本臓器移植(JOT)ネットワークのシステムの不具合は、「初歩的なプログラムミス」が原因だったとのこと。
脳死患者から提供された臓器を誰に移植するか、その選定を行う重要なシステムなのに「初歩的ミス」とは。

新システム「E-VAS」は昨年10月に導入され、1月の不具合発覚までに、20例の脳死移植が行われています。
ただちに検証した結果、そのうち3例の心臓移植で「あっせんに誤り」があったと判明しました。
つまり、本来移植を受けるべき3人が、適切な機会で移植を受けられなかったということです。これが大問題。

ちなみに、その20例の手術のうち3例の心臓移植を、私の出身(いまも所属)医局が実施していました。
同門の医師たちが、患者の命のために、臓器提供者の善意と関係者の期待を受けて、手術を行ったわけです。
心臓移植に失敗は許されず、彼らは通常の心臓手術よりも、はるかに強いプレッシャーを感じていたはず。
もちろん外科医だけでなく、すべての関係者が全身全霊を込めて、チームで行うのが脳死移植です。

その移植を受けるために、長い間入院して、あるいは人工心臓を装着して、患者さんたちは待機しています。
だからこそその順位は、血液型や緊急度や待機期間の長さ等を考慮して、公平・適正に決められるべきです。
過去にも相次いだあっせんミスをなくすべく開発された、最新システムが「E-VAS」なのです。

いったいどんな「初歩的なプログラムミス」なんだろうと気になって、調べてみました。
それは、最重症の状態で移植を待機している患者さんの、待機日数算出処理プログラムの部分でした。
「IF(転帰区分=A)THEN(B)」の変数「転帰区分」を、誤って「転帰名称」にしてしまったとのこと。
これにより、前段の条件が成立せず、日数計算が適切に処理できなくなったわけです。

たったその「区分」と「名称」の書き間違いでも、結果的に3名の心臓移植機会を奪った事実は重大です。
こういうシステムを作る人は、移植手術に携わる者と同じぐらいの、強い責任感を持ってほしいものです。

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忖度と日本人
- 2017/03/29(Wed) -
土壌汚染がからむ土地取引問題。ニュースをちょっと聞いただけでは、森友か豊洲か判別が難しいこの頃です。
とくに森友問題では、最近やたらと目立ってきたキーワードがありますね。

忖度
「そんたく」だけでなく、「じゅんど」とも読むらしい。他人の心をおしはかること。
今年の流行語大賞はこれで決まり、とまで言われてます。語呂がいいし、ようやく漢字にも慣れました。
現時点では「頭高型」アクセントですが、そのうち「忖度すんじゃね?」などを経由して「平板化」しそう。

「忖度民族」
日本人の気質なのか、多くを言わずとも気持ちが伝わるので、政治や行政など多くの局面が忖度だらけです。

「過剰忖度」
忖度されたことがむしろ迷惑。余計なお世話と感じる忖度。首相はいま、この立場を貫いていると思われます。

「忖度殺し」
された側が世間に批判されるような露骨な忖度をして、相手を窮地に追い込む手法。「ほめ殺し」の類義語。

「忖度勘定」
見返りを求めない忖度など、たぶん無いでしょう。いつか自分の利益につながると思って、忖度するのです。

「博多忖度」
とくに福岡における忖度のこと。大型連休中の祭と混同されやすい。

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ブログ2000本
- 2017/03/28(Tue) -
気がつけば、当ブログは通算2,000タイトルを超えていたので、少し振り返ってみました。
URLで見ると昨日は「blog-entry 2001.html」となっていますが、欠番があるので、昨日が2,000本目です。

前半の1,000タイトルを書くのに6年と1カ月を要しましたが、後半の1,000本は2年9カ月でした。
前半は、1本あたり平均644文字に対して、後半は741文字と、文章がやや長く(くどく?)なっています。
合計で約138万文字でした。文庫本1冊が10万字程度ということからすると、全13巻を超える巨編です。

いやブログなど、たかだか1日数百字ですが、おそらくカルテの分量は、その数十倍でしょう。
問診内容などは、スタッフが入力してくれたりしますが、ミニカルテ用の説明文などが、結構長いのです。

もっとも、電子カルテの文章は、フォームを埋めたりコピペする部分も多く、全部手打ちではありません。
それでもざっと見積もって、私は毎日少なくとも2万字前後の文章を書いていると思われます。

かつて、手首や指の腱鞘炎でひどく苦しんだ時期がありました。原因はマウスの野郎です。
そこでマウスの使用をやめてトラックパッドに代えたら、ウソのように楽になりました。

クリックにある程度の力が必要なマウスとは異なり、トラックパッドのタップにはほとんど力が要りません。
そのことに気付いて、メインの診察室のMacのみならず、院長室からも自宅からも、マウスは撤廃しました。
ネコ科(「トラ」ックパッド)がネズミを駆逐した形です(うまくない)。

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先輩の急逝に思う
- 2017/03/27(Mon) -
大学の医局の先輩が、2日前に急逝されました。64歳でした。
その2日前には、長時間の心臓手術を執刀するなど、まったく普通に仕事をされていたそうです。
死因は心筋梗塞だったと聞きました。就寝中の出来事です。

このような、比較的若い年齢での突然死には、長患いの後に亡くなる場合とは異なる、怖さを感じます。

ひとつは、自分の身辺整理も、家族や職場へ何か言い残すことも、何もできないということです。
やりかけの仕事や懸案の問題に対して、まったく中途半端なことになってしまい、ひどく不本意でしょう。
残された者にもやりきれない悲しみと喪失感とショックを与え、同時に多大な混乱を引き起こします。

何も苦しまないまま突然亡くなる、いわゆる「ポックリ病」が望ましい死に方だと言う人が、昔はいました。
しかし、ポックリ病の実態は致死性不整脈による突然死の場合が多く、比較的若い方が命を落とします。
そのような死に方が、望ましかろうはずがありません。

助かる命は助けなければなりません。致死性不整脈の多くは、適切な心肺蘇生によって救命しうるものです。
最近では当たり前となった、AED(自動体外式除細動器)も、その有力な救命道具です。
当院にもAEDを設置していますが、それは患者さんのためでもあり、私のためでもあります。

そういえば、自宅にAEDが無いことが、なんだかひどく気になってきました。
もっとも、たとえ家にAEDを設置しても、いざという時に適切に使ってもらえるかどうかが問題ですけどね。
なんにせよ、日々の健康管理が第一だと、あらためて感じた次第です。

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まだ視聴しています
- 2017/03/26(Sun) -
クリニックの待合室のテレビは、通常、子ども向けのアニメ番組にしています。
以前は「カートゥーン・ネットワーク」という、アニメを放映しているチャンネルに合わせていました。
クリニック2階の多目的室(予防接種後などにしばらく過ごす部屋)では、テレビ放送などを流していました。

このたびその両方を、Netflixに切り替えることにしました。が、どうしても解決しないトラブルが発生です。
アニメなどを連続再生していると、突然再生が停止して、「まだ視聴していますか?」と表示されるのです。

1話ずつ再生している場合には、問題は起きません。延々と自動連続再生しているときにアラートが出ます。

番組のつけっぱなしで、ネットのトラフィックがムダに占有されることを防ぐための仕組みなのでしょう。
再生操作等が何もなされずしばらく経つと、いったん再生が止まり、視聴中かどうか確認する設定のようです。
おかげで連続再生の途中で何度も、当方がまだ視聴している旨を、Netflixに返答しなければなりません。

そもそも、BGM的にストリーミングビデオを放映すること自体が、間違っているのかもしれません。
世の中がみな、このようなトラフィックの無駄遣いをし始めたら、ネットがパンクしてしまうでしょう。

それにしても、世界で9400万人が利用しているというNetflixの映像が、いつも安定しているのには驚きます。
どうやらその映像コンテンツは、世界中に配置されたサーバーに蓄積されているそうです。
日本国内にも複数のサーバーがあるので、コマ落ちなく高画質の映像を見ることができているのでしょう。
ただし、ずっと見ていると「まだ視聴していますか?」と表示されて再生が途切れるのは、いただけません。

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「金沢宣言」
- 2017/03/25(Sat) -
日本循環器学会(通称「日循」)は、金沢で先週開催した学術集会で、「金沢宣言」を採択しました。
「脳卒中と循環器病の多くは生活習慣の改善で予防できる」ということを、あらためてアピールしたものです。

金沢宣言に異を唱えるわけではありませんが、ふと、生活習慣の「改善」って何だろう、と思いました。

おそらく、結果として生活習慣病につながるような生活習慣が、「悪い生活習慣」なのでしょう。
そしてそのような生活習慣をしないように改めることが、「生活習慣の改善」なのでしょう。

しかし生活習慣の悪い部分を改善すると言うのは簡単ですが、その方法はケースバイケースです。
私は何年も前から1日1食ですが、この方法を開始して減量できたので、私には悪い習慣とは思っていません。

運動によって体重が減って活気が出てくる人もいますが、食事制限がストレスになる人もいます。
生活習慣を改善するように言い続けてると、ついに当院に通院されなくなる方も、稀ですがいらっしゃいます。

将来、心臓病や脳卒中になったら困りますが、その予防がストレスになってもいけません。
重要なのはモチベーションでしょう。私の経験上、適度な具合の「成功体験」が必要だと思います。
何を指標にして、ゴールをどこに置くか。そのペース配分と適切な評価が、医者の務めかもしれません。

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証人喚問で独演会
- 2017/03/24(Fri) -
森友学園のホラ吹きオッサンの発言に、日本中が翻弄されているのか、それともまさか、真実なのか。

証人喚問と言えば、「記憶にありません」と繰り返して偽証罪をかわすのが、常道だと思っていました。
ところが今回に限っては、この機会を利用して言いたいことを言いまくるという、まさに逆転の発想です。

「虚偽の発言をすれば偽証罪に問われる状況での証言だから真実のはずだ」という理屈があります。しかし、
「虚偽の発言をすれば偽証罪に問われる状況での証言だから真実と思わせるには絶好の状況」とも言えます。

真実が何なのか、私にはわかりません。真相を知っているのは、当事者のみです。
どちらか一方が真実を述べ、他方が虚偽を述べているのか、どちらも虚偽なのか、それすらわかりません。

わからないのに何時間もテレビを見て、視聴率が16.1%だそうですから、日本も平和な国です。
もっと大事な、北朝鮮問題やら何やらよりも、ホラ吹きオッサンの独演会の方が、ちょっと面白いのです。

主役に代わって今日は、脇役たちが登場しましたが、まったく官僚的返答に終始するのみで、面白くない。
かといって今後、女優の登場もなさそうな気配。
首相案件だから忖度したとかしないとか、証明のしようもないし、日本全体からしたら小さな話ですよ。
それなのに首相が先日、自分か夫人が関与していたら国会議員を辞めるなんて言うから、みんなが食いつく。
もうアホらしいので、このへんで幕にしてほしいものです。

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便利なのに不便な配合剤
- 2017/03/23(Thu) -
血圧を下げる薬(降圧剤)は、作用機序の異なる薬を組み合わせることが多いので、配合剤が花盛りです。
配合剤(配合錠)とは、別々の薬剤の成分を混合して1錠にしたものです。

薬AとBを飲んでいる人が、両方の成分を含む薬ABに切り替えれば(A+B→AB)、錠剤の数を減らせます。
薬効としては、A+B=AB、なのに、薬価的には、A+B>ABとなる場合が多く、配合剤は便利な薬です。

薬Aで血圧の下がりが悪い方に対して、薬Bを追加する代わりに、薬AをABに切り替えるやり方もあります。
A→A+B、とせずに、A→AB、としてしまうことで、錠数を増やさずに成分だけ増やせるわけです。

このように、錠剤数を増やさずに薬効を強めることができるのは、配合剤の重要なメリットなのです。

以前紹介した「ミカトリオ」は、日本初の3成分配合の降圧薬。A+B+C→ABC、の薬です。
ここでAはテルミサルタン80mg、Bはアムロジピン5mg、Cはヒドロクロロチアジド12.5mgとします。

問題なのは、ミカトリオには面倒くさい「用法・用量に関連する使用上の注意」があること。すなわち、
(1)A+B+Cを8週間以上継続した後、ABCに切り替える
(2)AB+Cを8週間以上継続した後、ABCに切り替える
(3)AC+Bを8週間以上継続した後、ABCに切り替える
のいずれかのパターンしか、認められていないのです。
A+B→ABCとか、AB→ABCのように、薬を強めながらミカトリオに切り替える、ということができません。

しかも、切り替え前に血圧が安定していたことを、血圧測定値とともにレセプトに記載しなければなりません。
ミカトリオは、患者さんと製薬会社には喜ばれたとしても、処方医には使いにくい、面倒な薬なのです。

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読めるけど書けない
- 2017/03/22(Wed) -
「残念ながら、すべての字を忘れました。ひらがなさえも忘れました」
豊洲移転問題を検証する都議会百条委員会で、石原慎太郎元都知事が、衝撃の告白です。
冒頭で宣誓書を読み上げておきながらこの発言ですから、なんじゃそりゃ、なのですが、あり得る話です。

つまり石原氏は、脳梗塞の後遺症によって、文字を読めるけれども書けない、という状態だというわけです。

言葉が話せない、人が言ってる意味がわからない、字が読めない、字が書けない、それぞれ別の障害です。
「話す」「聞く」「読む」「書く」という能力の中枢が、それぞれ大脳の別の部位にあるからです。
脳梗塞の場所と範囲によっては、それら複数の機能が同時に障害されたり、一部だけだったりします。

石原氏には「書く」能力がなくても、ワープロを使って、書けないはずの文字を書くことができるようです。
重要なのは、書いたものを「読む」能力。自分が書いた文章を読み、推敲・修正しなければならないからです。

人間は、「書く」よりも「読む」能力が失われた方が、はるかにダメージが大きいように思えます。

それにしても、石原氏はどうしてこのタイミングで、自分の「障害」をカミングアウトしたんですかね。
脳梗塞後遺症という病状を前面に押し出して、喚問者が攻撃をしにくくなるのを狙ったのでしょうか。
弁護士の入れ知恵かもしれませんが、まあ、障害があることが事実なら、これは致し方ない。
ただあの場で、字が書けないことをことさらに言う必要は、なかったのでは。

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ケチな行政措置の問題
- 2017/03/21(Tue) -
今夜開催された「熊本市予防接種説明会」において、熊本市独自の「行政措置制度」の詳細が判明しました。
前にも書いたように、規定通りに定期接種を受けていないお子さんに対する、熊本市の救済措置のことです。

ただし救済されるのは、ワクチン不足や制度不備が原因で、以下の接種が受けられなかったお子さんだけです。
(1)麻しん風しん混合(MR)ワクチン
(2)B型肝炎ワクチン

MRワクチンについては、ワクチン不足となった昨年9月以降に、接種対象年齢を過ぎた方が救済されます。
第1期でいうなら、1歳の終わり頃に接種しようとしたら、ちょうどワクチン不足で接種できなかった方。
第2期でいうなら、対象年度(今年度)の後半で接種しようとしたら、ワクチン不足で接種出来なかった方。

いずれにしても、もっと早く接種しとけば良かったのですが、まあ、そのような方を救済する措置です。

B型肝炎ワクチンの場合は少し複雑で、ワクチンも不足はしていますが、制度にも不備がありました。
定期接種が始まった時点で満3〜6カ月の対象者は、標準的な接種スケジュールが組めなかったからです。
この方たちは、標準的なスケジュールが組めるために、4カ月間だけ、接種期間が延長されます。

こういう救済措置をとるときお役人は、「救済しすぎ」をしないように、ギリギリの措置を構築します。
そこがケチ、というんです。
さらに、予防接種によって健康被害が起きた場合の補償制度が、法定(定期)接種と行政措置では異なります。

今月はまだ、あと10日あります。行政措置制度に安心せず、間に合うならなるべく定期接種を受けましょう。

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専門外の手術を見て
- 2017/03/20(Mon) -
最終回を迎えたドラマ『A LIFE』は、おおむね予想通りの、つまんないけどまあ許容範囲の展開でした。
興味深かったのは、脳外科手術のシーン、とくに再手術(残存腫瘍摘出術)の方です。

まず、何がどうなってるのやら、術野的には何も見えない。ひたすら血の海の中の手術だったということ。
私はまったく専門外なので、脳外科の手術の執刀はおろか、助手についたことすらありません。
しいて言うなら、学生実習で2,3回だけ、手術見学をしたことがある程度です。

ただ、心臓手術の場合でも、深い術野のそのまた奥の方の操作では、似たような視野になります。
周囲の血液を吸引しながら、その吸引操作自体が手術の邪魔にならないようにしながら、手術を進めます。
脳外科手術は、とにかく術野確保との戦いなんだなと、このたび改めて感じた次第です。

その緊迫した手術シーンは、ほとんど術野が見えない割には、妙にリアリティーを感じました。
画像的に何も出せない代わりに、術者と助手の言葉のやりとりが、たぶん生々しかったからでしょう。

しかしこのシーンを脳外科医が見たら、はたしてどう思ったのでしょうね。
「あー、ウソ臭い」とか「そんなこと、言わんぞ」などとクレームが出るのかもしれません。

このドラマ、心臓手術の場面で細かい違和感を感じたのは、たぶん私が(元)心臓外科医だからでしょう。
一般の方から見ると、すべての手術シーンが、とてもリアルに映ったのかもしれません。
つまりそれは、本当の手術場面を知らない者が、想像を膨らませて見ているからこそのリアリティーです。
今回、脳外科手術シーンを見て私がリアリティーを感じたのも、脳外科をよく知らないからなんでしょうね。

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医療機能情報提供制度
- 2017/03/19(Sun) -
住民が医療機関を適切に選択できるように、平成19年から「医療機能情報提供制度」が導入されています。
各医療機関が医療機能に関する情報を都道府県に報告し、都道府県がその情報をネットで公開する仕組みです。

医療機関のホームページや広告や院内掲示と比べると、統一されたバラツキがない情報、というのがウリです。
ただしその内容は、診療時間などを中心とした、比較的当たり障りのない客観的情報が中心です。

ためしに今朝8時すぎに「今見てもらえるお医者さんを探す」「小児科」「熊本市全区」で検索してみました。
検索結果は2件。そのうちの一方が当院でした。9時すぎに検索すると7件に増えていました。

診療受付時間までも考慮した、わりと細かいシステムのようです。
ただし、「今見てもらえる」という表記はおかしい。「今診てもらえる」の方が正しいでしょう。

それに、今日のように日曜日に「今見てもらえる」というのであれば、今日の当番医も含めて表示すべきです。
ところが現行のシステムでは、毎週日曜日に診療を行っている医療機関しか掲載されていません。
これは情報としては不正確だし、市民に対して不親切です。

当番医であろうとなかろうと、その日に診療している医療機関を表示するように、システムを改修すべきです。

ためしに東京都のサイトを見たら、本日診療している医療機関が、当番医込みで表示されました。グッジョブ。
市民目線で考えたら、当然東京都のようにすべきです。熊本県、遅れてます。改善の余地あり、です。

医療機能に関する情報を、医療機関が県に報告する期限は、今月末です。毎年だいたいこの時期です。
年度末に、平成28年度の報告を提出するのは大変かと思いきや、そうでもありません。
実は、報告するのは前年度の内容だからです。年度末に前年度というのは、つまり、平成27年度のことです。
したがって、当制度によって市民に提供される医療機能情報は、いつも2年遅れの情報ということになります。
ここにも、改善の余地があります。

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マキロンの成分
- 2017/03/18(Sat) -
子どもの頃、外で転んで膝を擦りむいたら、いつもオキシドールと赤チンで消毒していました。
その2つの組合せが最強だと、私なりに思っていたのです。
その後、赤チンには水銀が入っているので良くないということになり、黄色のアクリノールを使い始めました。
やがて、使いやすくて色が付かない消毒液「マキロン」が発売されたら、そればかり使うようになりました。

薬剤の色が薄くなるにつれて、有効性はともかく、毒性(副作用)もないだろうと安心して使っていました。
しかし、その認識は間違いだったかもしれません。マキロンの成分には、毒性があったからです。

最近、医療系サイトにもマキロン関連の記事が出ていたので、注意喚起のために書き留めておきます。
問題となったのは、「マキロン」に含まれていた「ナファゾリン」という血管収縮薬の毒性です。
小児の内服致死量は、体重1kgあたり0.1mgとされているので、1歳の赤ちゃん(体重10kg)だと1mg。
マキロンへの含有量は1mlあたり1mgなので、たった1ml飲んだだけで死んでしまうということになります。

この点が問題となり、10年ほど前から、ナファゾリンが取り除かれた「マキロンs」に切り替わっています。
つまり、いま日本国民が「マキロン」と思って買っている消毒薬は、じつは「マキロンs」なのです。
確認のため、わが家のマキロンを見るとしかし、それは「マキロンs」ですらなく、「マッキンZ」でした。

コスモスで買ったのはマキロンの類似品でした。そしてその容器には、ナファゾリン含有と書かれていました。
このように、マキロンの類似品には、かつて問題となった成分がいまだに含まれているということです。

何か問題が起きると、成分と商品名をこっそり変えるのは、大手製薬メーカーのやり口です。
しかし類似薬では、そのような面倒なことをしてないので、問題が残ったままになります。要注意です。

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川石からの合志
- 2017/03/17(Fri) -
私が住んでいる熊本県菊池郡菊陽町は、熊本市のベッドタウンとして、人口が増え続けているようです。
2005ー2010年の人口増加率は、全国市町村で第4位、2010ー2015年も11位でした。
かく言う私も、数年前に熊本市内から菊陽町に引っ越したので、この増加率に微力ながら貢献しています。
職場は熊本市内ですが、ベッドは菊陽町なのです。

菊陽町に隣接する市町村は、熊本市と合志市と大津町と益城町です。
益城町は、「ましきまち」という難解な読みですが、今ではよく知られる町名になりました。
大津町は、「おおつまち」ではなく「おおづまち」と読みます。「津」が濁るのです。
合志市は、「ごうしし」ではなく「こうしし」と読みます。「合」は濁りません。

このなかで「合志」は、古い地名なのに音読みです。
なぜそのような漢字なのでしょう。元々の地名(大和言葉)との関係はどうなのでしょう。
そこで今日は、合志市の図書館に出かけて「合志」の名の由来を調べて来たので、その報告です。

合志市は、11年前に「合志町(こうしまち)」と「西合志町(にしごうしまち)」が合併して誕生しました。
旧合志町の図書館は震災被害で今なお休館中なので、西合志図書館で町史などを調べました。

どうやら古い地名は「火の尻邦小石川」だったと判明。それが後に「加波志(かわし)」になったようです。
「火の邦→火の国→肥の国」の「尻(後ろ)」つまり「肥後」の、川に石が多かった場所だったといわれます。

記載は見当たりませんでしたが、「川石(かわいし)→加波志(かわし)」と置き換わったものと推測します。

それが応神天皇の地名改称で「皮石」になり、さらに8世紀に「合志」になったそうです。
これは元明天皇の「佳字好音(かじこうおん)の詔」によるものです。
大和言葉を当て字で勝手に表記するのをやめて、佳い漢字で音も濁らない二文字にせよ、という勅令です。

なので、この土地の歴史的背景と「合志」の文字そのものは、まったく関係ないということになりますね。
「こうし」つながりで近隣には孔子公園までありますが、これも歴史的には無関係。便乗しただけです。

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GUIは誰の発明か
- 2017/03/16(Thu) -
いまとなってはどうでもいい論争ですけど、当事者の一人、ビル・ゲイツの発言が話題になっています。
パソコンを、画面上のアイコン等で操作する「GUI(グラフィカルユーザインタフェース)」は、誰の発明か。

私の認識は、こうです。多分にApple寄りの書き方なのは、異論もあるでしょうけど、ご了承ください。
(1)GUIはXeroxが発明したが、生かし切れてなかった
(2)スティーブ・ジョブズがそれを見つけ、製品化してMacをヒットさせた
(3)ビル・ゲイツがMacを真似て、製品化してWindowsを大ヒットさせた

ゲイツが言うには、自分がジョブズを真似たのではなく、自分もジョブズもXeroxにヒントを得たのだ、と。
つまり、お互いに同じ穴のむじな、五十歩百歩、目くそ鼻くそだというわけです。

似たような面が、スマホにもありますね。
スマホの原型を作ったのはAppleではありませんが、Appleがヒットさせ、いまはSamsungがトップシェア。
Samsungが真似たとAppleが主張すると、AppleだってSONYを真似たじゃないかとSamsungが切り返す。

Macで苦い思いをしたAppleは、iPhoneで同じ轍を踏まないよう、戦略を練ったのでしょうか。
販売数のシェアでは第2位に転落したものの、利益ベースでのiPhoneのシェアは断トツだからです。
良い製品を創り、薄利多売はしない、というAppleの基本姿勢が、成功しているんだろうと思います。
この戦略がうまくいくのは、良い製品を創り続ける限りにおいて、ですが。

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発音と表記
- 2017/03/15(Wed) -
中国系の方は、長音や促音を省いて発音することが多いと前に書きましたが、このたび新発見です。

最近来院された患者さんで、風邪を引いて鼻水がひどい方が、「鼻水 いばい」と訴えていました。
「いばい」の意味がわからず聞き直したところ、それが「鼻水 いっぱい」の意味であると確認できました。
なるほど、「いっぱい」→「いぱい」→「いばい」なんですね。と、ここまでは、まあわかります。

ところが、その方が書いた問診票の、主訴(主な症状)の欄にも、「鼻水 いばい」と記載されていたのです。

つまりこの方は、「いっぱい」という日本語を、「いばい」と聞き取り、「いばい」と理解していたわけです。
なので、しゃべるときに「いばい」と言うだけでなく、文字で書いても「いばい」なのです。

中国の方にありがちな発音は、発音自体の問題ではなく、聞き取りの段階に原因があるということです。
あるいは、外国語の発音は、自分が発音できる範囲でしか聞きとれないのでしょうか。
このことは、外国語の学習において、とても重要なことかもしれません。

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マイコプラズマの薬
- 2017/03/14(Tue) -
「オゼックス」という抗菌剤が、小児のマイコプラズマ肺炎に対して処方できるようになりました。

オゼックスは、ニューキロノン系という種類の抗菌剤の中では、7年前に初めて小児用が認められた薬です。
ただし副作用を考慮して、その適応は「肺炎、コレラ、中耳炎、炭疽」に限られていました。
しかもその肺炎は、肺炎球菌やインフルエンザ菌による肺炎などに限定されていました。

マイコプラズマ肺炎にも効くことはわかっていましたが、先月までは正式には使えなかったわけです。

従来、マイコプラズマ感染(肺炎)に対しては、マクロライド系という抗生剤が第一選択でした。
いま「抗菌剤」と「抗生剤」を、あえて書き分けましたが、今回その話題は掘り下げないでおきます。

ともかく、上記以外の疾病に対してオゼックスをを使うことは禁じられていたわけです。
実際の臨床では、治りの悪い中耳炎に対して、よく使われています。

ところが、昨年流行したマイコプラズマ肺炎には、マクロライド系がほとんど効きませんでした。
マクロライド系ではまったく下熱しないし咳もひどいお子さんに、切り札としてオゼックスを処方しました。
すると、ウソのように下熱して、たちどころに病状が改善するということを、昨年何度も経験しました。

ただしその際、レセプト上の病名は中耳炎です。マイコプラズマ肺炎にオゼックスは使えないからです。
もちろん、まったく中耳炎所見がなかったわけではない症例を選んだと考えてください(苦しい言い訳)。

そんな言い訳も、今月から不要になりました。今後は堂々と、マイコプラズマにオゼックスが使えます。
ただし逆に、軽い中耳炎などにいちいちオゼックスを使うのは、避けなければなりません。
安易に使っていると、やがてそのうちオゼックスが効かないマイコプラズマが出てくるでしょう。
このようにしてわれわれ医者(あるいは人類)と病原体は、いたちごっこを続けているのです。

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手術と準備
- 2017/03/13(Mon) -
手術シーンが減って、どんどんつまらなくなってきたドラマ『A LIFE』第9話ですが、まだ見てます。

「○○術を始めます」と始まる手術は、術野をほとんど写さないまま、短時間で創閉鎖シーンに至ります。
キムタクの心臓手術も、浅野忠信の脳外科手術も、ともに執刀医が皮膚縫合を最後まで行っていました。

そんなことってあるんでしょうか。皮膚縫合の段階で、若手医師が執刀を交替するのが普通じゃないですか。
外科医はそのように、簡単な手術手技から修練を積み重ね、だんだんと難しい部分を担当していくものです。

「メッツェン」という指示で手渡されたハサミで、今日も執刀医たちは皮膚縫合の糸を切っていました。
そんなことってあるんでしょうか。皮膚の縫合糸ごときを、大切な「メッツェンバウム」で切るなんて。
普通は「クーパー」か、百歩譲って「メイヨー」でしょう、そんな糸を切るときは。

そんな問題点はあったものの、今日は良いシーンもありました。それは「シャドーオペレーション」です。
手術操作の流れを具体的にイメージしつつ、手を動かし声を出して「通し練習」をすることです。

私も研修医時代からずっと、大事な手術の前日には必ず、シャドーオペレーションをしました。
手術の最初から最後までのすべての手順を、実際に行う通りに、きわめて細かく進めていきました。
執刀医として一人で行うこともあれば、助手やナースも参加させてチームで行う場合もありました。

私が初めて心臓手術を執刀したときの、手術前夜のシャドーオペレーションは、今でもよく覚えています。
テーブルを隔てて指導医と向かい合って立ち、「メス」という言葉からシミュレーションを始めました。
次に何をやるのか、たびたび手順がわからなくなり、自分の勉強不足・準備不足を思い知ったものです。
そんなことを思い出させてくれたので、今回の『A LIFE』はまあ、許すことにしますが、次回がもう最終回。

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はなみず
- 2017/03/12(Sun) -
1週間ぐらい前から、花粉症の人が急増しています。
その多くが、ヒノキアレルギーの方です。西日本は今月、ヒノキ花粉が悲惨なほど飛散しているそうです。
花粉症のおもな症状は鼻水ですが、鼻づまりや目の痒みや、咳が出たり頭痛を起こしたりもします。

「鼻水」というのは、鼻孔から出てくる粘液(鼻汁)のことですが、単に「はな」とも言いますね。

しかし「はなが出る」を「鼻が出る」と書くのは、おそらく間違いです。「鼻から鼻が出る」となるからです。
こういう場合の「はな」には、「洟」という漢字があります。
つまり「みずばな」は「水洟」であり、「あおばな」は「青洟」が、本来の正しい表記なのでしょう。

実際には私は、カルテに「水鼻」や「青鼻」と書いています。「洟」が一般的な漢字ではないからです。
でもたしかに、水鼻は水でできた鼻じゃないし、青鼻は青い鼻梁でもないわけで、違和感はあります。
「赤鼻」との整合性もとれません。
「洟」の意味では「鼻」を使わずに、「水ばな」とか「青ばな」と、かなで書くのが良いのかもしれません。

辞書には「鼻洟(はなみず)」とか「洟水(はなみず)」なんて言葉もありました。念の入った表現です。
さらに、鼻水の意味がある漢字として「泗」の字も見つけました。孔子ゆかりの土地「泗水」の「泗」ですね。
その孔子にちなんで、熊本の合志(こうし)川沿いの村の名前が「泗水」となった話は、前に書きました。
この「泗」は、泣いたときに涙が鼻の中を通って出た鼻水の意味だとか。中国人、表現が細かいです。

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インフル油断せずに
- 2017/03/11(Sat) -
インフルエンザの先週の定点当たり報告数は、熊本県が16.41、熊本市が11.68と、流行の終息基準間近です。
しかし流行はピークを越えたとはいえ、まだくすぶっています。
1月にA型に罹った方が、最近になってB型を発症するようなケースも目立ちます。
A型に感染しても、B型の免疫は獲得できないのです。その逆もまたしかり。

それどころか、A型インフルエンザに2度罹った人も、複数います。
どちらも迅速検査で陽性反応が出ており、ほぼ間違いはないでしょう。
一方がA(H3;いわゆるA香港型)で、もう一方がA(H1 pdm09;ちょっと前の新型)かもしれません。

そんな中、1月2月を無事乗り越えた当院職員が、3月に入って次々とインフルエンザに罹ってしまいました。
型が変わったためでしょうか、決して油断したわけではないのです。
規定通り5日以上の出勤停止としているために、今日は同時に2名が出勤停止中という異常事態に陥りました。
マンパワー不足でてんてこ舞いの診療でしたが、これが1月のハイシーズンでなくてよかったと思います。

さて心配事は、もしも私がインフルエンザに感染したら、ということ。
開院して9年半になりますが、まだ一度もインフルエンザに罹っていません(←たぶん)。
だから一度も、クリニックを病欠したことはありません。そう言えば、その前の市民病院時代もそうでした。

その前の、某大学病院時代には、高熱で寝込んだことが一度ありました。ちょうど年末年始のこと。
医者にはかかりませんでしたが、たぶん、インフルエンザだったのでしょう。
12月30日から年賀状の準備をする予定が狂い、体調回復後の1月2日から準備を開始したことを思い出します。
油断大敵です。

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プラグインハイブリッド
- 2017/03/10(Fri) -
新型プラグインハイブリッド車(PHEV)「プリウスPHV」の、日本での発売が発表されました。
ガソリンを使わない状態で、モーターだけで最長68.2km走れる、というのがウリのようです。

つまり私のように、日頃は職場かハンズマンに行くときにしか車を使わない人間は、ほぼガソリン不要です。
自宅で毎晩充電しておけば、ガソリンスタンドに行くことはほとんどなくなるわけです。

「ガソリンを使うのは、充電を忘れたときか特別に長距離移動が必要となったときに限られる」

トヨタの内山田会長はこう言ってますが、ならば私は尋ねたい。
そのような限定的な使用だけのために、モーター+ガソリンエンジンという、複雑な構造が必要なのですか。
単純に、モーターだけで良くないですか。空いたスペースに、バッテリーを積みましょうよ。

EVではなくPHEVを推奨するメーカーは、ガソリンエンジンを捨てきれないだけのように思えてなりません。
10年後や20年後とは言いませんが、50年先を見据えたら、EVの開発に全力投球すべきじゃないですか。

私はもちろん、ガソリンエンジン車が好きです。
いまの車の直6(直列6気筒)エンジンは、とても感触が良いし、その前の車の直5も良いエンジンでした。
EVとの違いは、音と振動です。音は多分に色づけされていますが、振動にはエンジンの個性が感じられます。
おそらく、CDとレコードの違いのようなものでしょう。ということは、やがてすべてEVになるのでしょうか。

音と振動を電気的にチューニングした「エンジンモード」のあるEVができたら、私はそれでもいいです。

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3月9日は脈の日
- 2017/03/09(Thu) -
3月9日は「日本脳卒中協会」が制定した「脈の日」です。3(みゃ)月9(く)日という語呂合わせ。
ではなぜ「脳卒中」協会が「脈の日」か、というのが今日のテーマです。

脳卒中(脳血管障害)は、私が生まれた昭和30年代から50年代半ばまでは、日本人の死因の第1位でした。
その後、がんにトップの座を渡し、やがて心臓病にも抜かれ、数年前には肺炎にも抜かれて今は第4位です。

なんだ、脳卒中って、どんどん減ってる病気なんだ、と思ったとしたら、それは大間違い。
死亡する人が減っただけの話で、脳卒中の患者数自体はとても多いのです。
現在入院治療中の患者数でいえば、脳卒中はがんの1.5倍、心臓病の3.5倍といわれます。
医学の進歩によって死亡率は減りましたが、脳卒中による後遺症のある方は、おおぜいいるということです。

日本人の脳卒中は昔は「脳出血」が多かったのですが、最近は脳血管が詰まって起きる「脳梗塞」が主体です。
脳の血管がより太い部分で詰まった場合ほど、脳細胞の壊死範囲が広いので、より重い後遺症が残ります。
脳内で血栓ができる「脳血栓」よりも、別の場所から大きな血栓が脳に流れてくる「脳塞栓」の方が重症です。

心臓の内部にできた大きな血栓が、脳に流れて詰まる「心原性脳塞栓」は、脳塞栓の中でもとくに重症です。

左心室のように、常に力強く拍動している心臓の内部には、普通は血栓などできません。
左心房もそれなりに拍動しており、大きさや内膜(内面の膜)や弁に異常がなければ、血栓はできません。
血栓ができるのは、左心房の拍動が止まって震えるような動きになる「心房細動」という不整脈のときです。

左心房内で血液がよどむと、小さな血栓ができはじめ、だんだんと成長して大きなかたまりになります。
なんかの拍子に、その血栓が左心室の方に流れると、勢いよく大動脈へ拍出されてしまいます。
それが運悪く頸動脈に向かった場合に、脳血管のどこかに詰まって、脳塞栓が起きてしまいます。

心房細動の治療法については割愛しますが、いま現在、自分が心房細動かどうかは、自分でチェックできます。
手首の動脈の拍動を、反対の手の人差し指と中指と薬指で触れてみて、規則正しいかどうかで判定します。
というわけで、今日は「脈の日」。今日から1週間は「心房細動週間」です。

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抗生剤不使用の啓蒙
- 2017/03/08(Wed) -
厚生労働省の有識者委員会が、軽い風邪や下痢には抗生剤の投与を控えるよう呼びかけたと、報じられました。
抗生剤の投与を控えるべき理由は、おもに次の2つ。
(1)軽い風邪はウイルス感染なのだから、抗生剤は効かない
(2)安易な抗生剤の使用によって、耐性菌が増える恐れがある

しかし一方で、風邪や下痢の患者を診て、それがウイルス感染かどうかを、確実に診断するのは困難です。
ウイルスや細菌を検出するための迅速検査や血液検査を、いちいち行うわけにもいきません。

病状の経過や臨床所見、周囲の流行状況等から、ウイルス感染かどうかを総合的に判断することになります。

そしてウイルス感染が確定的な場合を除いて、すべての感染症は、細菌感染の可能性を考慮しておくべきです。
とくに病状が重い場合には、先手を打って抗生剤を投与するという、リスクマネージメントもあるでしょう。
要は、風邪のように見える病状が、すべてウイルス感染だとたかをくくるべきではないということです。

結局、風邪に抗生剤を処方するかどうかは、その都度、医師が判断すべきものなのです。
そんなことは百も承知の厚労省が、あえて冒頭のような呼びかけをしたのには、理由がありそうです。

医師相手の呼びかけという体裁をとってますが、実は、一般国民への啓蒙ではないかと思うのです。
厚労省は「手引書」をまとめて、今月中に全国の医療機関に配布するそうです。
医療機関はそれを、安易に抗生剤を要求する患者さんに見せる、という使い方もアリなのでしょう。

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近親者を執刀する
- 2017/03/07(Tue) -
ドラマ『A LIFE』第8話では、キムタクが父親の心臓手術を執刀して、ちょっとしたトラブルが起きました。

「近親者は執刀しないのが外科の通例」だと、ドラマで言ってましたが、私には経験が無いのでわかりません。
それを敢えて執刀したキムタクが、手術のごく初期段階で肺動脈を傷つけ、かなり出血させてしまいました。

手術操作の準備として、大動脈に牽引用のヒモを回しておきます。これを「テーピング」といいます。
用いるのは、赤テープと決まっています。私の経験ではどこの病院でも赤だったし、ドラマでも赤テープ。
ついでに言うなら、上下大静脈は青テープ、肺動脈は黄テープというのも、たぶん全国共通でしょう。

大動脈の裏側に「直角鉗子」を入れ込んだ後、その先を少し広げ、テープの一端をつかみ、引き出します。
テープをつかむとき、大動脈のすぐそばにある肺動脈の壁も、同時に薄く挟み込んでしまうことがあります。
鉗子を引き出すときに抵抗があるので気付きますが、うっかり無理やり引き出すと、肺動脈が裂けます。

おそらくそのようないきさつで、キムタクも肺動脈壁を損傷したのでしょう。なんとか修復はできました。

近親者の執刀だから、余計な緊張をしていたということなのでしょうけど、そんなことってあるんでしょうか。
むしろ、手術の現場でよく見かけるのは、特別な患者を執刀する際の「格好つけ」の問題です。
手術の見学者がいたりVIP患者の執刀の場合、日頃よりもカッコよく手術したいと、つい思いがちです。
なので自信なさげに見える慎重な操作や、くどすぎる確認作業を、そのような時に限って省いてしまうのです。

魔が差すというのは、まさにそういう時です。
手術は、緊張しすぎて失敗するよりも、油断して失敗することの方が、ずっと多いと思います。

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駐車ミスで衝突した件
- 2017/03/06(Mon) -
今夜、帰宅して自宅のガレージに駐車中に、リアバンパーを後ろの塀にぶつけてしまいました。
そのようなヘマをやらかさないために、二重三重の予防策があったのに、です。
(1)車輪止め
まかり間違っても車が塀まで下がらないように、コンクリートの車輪止めを設置しています。
(2)後方モニター
車をバックさせるときは、リアビューや合成映像がモニターに映り、駐車を正確にアシストしてくれます。
(3)緊急ブレーキ機能
バックしている際に障害物に接近すると、自動的にブレーキがかかり、車が衝突するのを確実に阻止します。

ところが今夜の場合、
(1)車輪止めの無いところに駐車した
周辺道路の気になる出来事に気を取られ、いつもより30センチほど、横にずれてバックしたのです。
(2)後方モニターが、突然消えた
バックの途中で突然、システムエラーが起きました。驚きのあまり、私の集中力と判断力が失われました。
(3)緊急ブレーキが作動しなかった
実は、この装置はオフにしていたのです。そうしないと、ギリギリまで車を下げることができないからです。

このように、私の不注意やシステムエラーが重なって、せっかくの衝突回避策も無効になってしまうのです。
明日、ディーラーに車を持って行こうと思ったら、明日はディーラーの定休日というオマケ付き。
あらためて、リアバンパーを触ってみたら、ザラッと傷ついてました。こういうの、いちばんガッカリです。

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インフル悪魔の証明
- 2017/03/05(Sun) -
インフルエンザの検査を「希望」して来院される方が、毎日何人かいます。その目的は、
(1)早期治療のために、インフルエンザかどうかをはっきりさせたい
(2)登園・登校・出勤等のために、インフルエンザではないことを確認したい

病状や状況(家族にインフルエンザがいる等)によっては、(1)の場合、必ずしも検査は必要ありません。
たとえ検査をしなくても、医学的にインフルエンザとの診断がつくことは、しばしばあります。
したがって痛い検査をしなくても、インフルエンザの治療を開始することは可能です。

問題は(2)です。迅速検査キットで「インフルエンザではない」ことを立証するのは、本当は困難です。
とくに発症したばかりの人では、(1)の目的なら検査することがあっても、(2)の目的では検査しません。

そもそも、インフルエンザの検査をするかどうかは、医学的状況等をふまえて医師が決めることです。
誰かが希望するから検査する、というわけではありません。これは、ノロウイルスなどの検査でも同じです。

ところが最近の保育園等では、インフルエンザではないという「悪魔の証明」を求めるケースが目立ちます。
迅速検査の感度は60〜80%程度ですから、インフルエンザを完全に否定することなど、理論的に不可能です。

そのような場合、私は安易に検査をしない方針です。
「検査が陰性=インフルエンザではない」という、誤ったお墨付きだけは、与えたくないからです。

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責任転嫁で自滅
- 2017/03/04(Sat) -
百条委員会を前に、石原慎太郎元東京都知事は自ら記者会見を開きました。その理由として、こう言ってます。
「とてもそれまで待てない心境なんです。これはね、座して死を待つつもりは私はございません」

どうやら石原氏は、委員会では死ぬと思っているようです。それだけの理由があると、自覚しているわけです。
そのまな板の鯉が、まな板にのるまでの待ち時間が長すぎて耐えられないと、そういうことでしょうか。

発言力のある大物なのだから、悠然と構えて、都政・都庁の闇を、あらいざらいぶちまけたらどうですか。
なんなら本を書きませんか。面白けりゃ買いますよ。

米国のドラマや映画だと、委員会の直前にキーパーソンが急死(変死)する、というのが定番ストーリーです。
まさか今回は、そこまでのことはないでしょうけどね。

ただ、自ら先手を打って記者会見に臨んだわりには、石原氏の株が上がったとも思えません。
「自分が決裁したことの責任は認める」と、少し格好良く言ったあとに、責任逃れの言葉が続いたからです。

つまり「決裁責任は私にある→しかし細かいことは知らなかった」の順で言うと、言い訳が記憶に残るのです。
もしも「細かいことは知らなかった→しかし決裁責任は私にある」と言ってたら、多少は誠実に聞こえたはず。

ていうか、自分で企画した会見なら、しかも作家なら、もう少しうまくしゃべれば良いのに。

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ガッテンできない話
- 2017/03/03(Fri) -
NHKの「ためしてガッテン」がいつの間にか、ただの「ガッテン!」になってます。
「ためして」無いのです。「ためさずガッテン!」です。偶然か、番組の質も落ちたような気がします。

今週は「決定版!コラーゲン100%活用SP」と題して、コラーゲンが皮膚や関節に効く、という話でした。

以前この番組では、「コラーゲンは食べたら消化分解されて、コラーゲンではなくなる」としていました。
今回はそれを覆し、「コラーゲンが十分に分解されなければ、またコラーゲンが作られやすい」という話。

ある研究を参考にして、必ずしも定説ではない理屈で、コラーゲン食品の効果を宣伝するような趣旨です。
これはまさしく先週の放送と同じで、一部の学説を過大に評価して、一般人に間違った知識を与えるものです。

大炎上したと言ってもよい先週のテーマは、「最新報告!血糖値を下げるデルタパワーの謎」でした。
「特定の睡眠剤(2014年発売の『ベルソムラ』)を飲んで熟睡すると、血糖値が下がる」というのです。

たしかに、不眠は耐糖能を悪化させるので、睡眠剤によって熟睡できれば、血糖値が下がりやすくなります。
睡眠リズムが改善することは、食生活をはじめとする生活習慣の改善にもつながるでしょう。
また睡眠剤のなかでは、まったく新しいメカニズムで効く『ベルソムラ』が、最近の話題になっています。

ただそれだけの話だと私は思うのですが、まさか、糖尿病の治療のためにこの薬を処方するなど、論外です。
標準的でもなければ、保険も利かないような治療法を、NHKが大々的に取り上げるのは、問題です。

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回線足りるのか
- 2017/03/02(Thu) -
Netflixを利用してて思うのですが、誰もがネットで映画を観たりしたら、回線はパンクしないのでしょうか。
米国ではトラフィックの70%が、動画や音楽のストリーミングで占められていると、IT記事にありました。
その内訳を見たら、Netflixが37%、YouTubeが18%と、この2つが突出しています。

日本ではどうなのか、総務省総合通信基盤局が年に2回集計して公表しています。そのタイトルが、
「我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計結果」
まず「トラヒック」という言葉遣いに、ズッこけます。官公庁での公用語なのでしょうね、たぶん。
おそらく「グラヒック デザイナー」なんて言葉も使われてるんでしょう。

それはともかく、日本のダウンロードトラヒックは、過去1年で52%ほど増えているそうです。
同じペースで増えるとすると、6年後には11倍、10年後には58倍、20年後には3300倍になる計算です。

ありとあらゆるモノがネットにつながる「IoT」の時代が来るので、アップロードトラヒックも急増します。
そのIoT用チップの80%が、ソフトバンクが買収したARMのCPUを搭載しているそうです。
今後20年間で1兆個のARMチップを出荷するという孫社長。IoTを制して世界を制するつもりなのでしょう。

その時代に対応すべく、本格的な衛星インターネットサービスを、いくつかのIT企業が計画しています。
これは静止衛星よりもずっと低い軌道に、何百何千という通信衛星を打ち上げるものです。
有線の電話やネット回線とか地上波のテレビ放送が、必要でなくなる時代がやがて来るかもしれません。
まさか雷雨時に、テレビもネットも電話もすべてつながらなくなるようだと困りますけどね。

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きざみのりが犯人
- 2017/03/01(Wed) -
立川市で1,000人以上の食中毒を出した原因が、某メーカーが製造した「きざみのり」だと判明しました。
未開封の製品からノロウイルスが検出されたといいますから、これはもう、間違いなくクロでしょう。

おまけに、先日の和歌山県御坊市の食中毒事件でも、この製品が使われていたことまで明らかになりました。
調理場の工夫と意識改革が必要だと前には書きましたが、訂正します。給食室の問題ではなかったのです。

驚くことは、いろいろあります。
まず、たったひとつのメーカーの製品が、全国各地に大規模な食中毒を引き起こしたということ。
しかもノロウイルスとは無縁とも思える乾物に、ウイルスがしっかり長期間残留していたというのも衝撃的。
海苔は食べる前に加熱しないことも多いだけに、今後どのように対処すべきか、難しい問題となりました。

給食できざみのりを振りかけた親子丼を食べて、一番早いケースでは、翌日午前1時に発症したようです。
つまり潜伏期約12時間。これはノロウイルス感染にしては異常に早い。教科書を書きかえる必要があります。

食中毒と言えば、実は今朝、嘔吐症状を訴える複数のお子さんが、当院を受診しました。
同じ保育園に通っているお子さんたちです。同園では他にも多数、同様の症状のお子さんが出ているとのこと。
園内で園児たちが特定の食品を食べた直後から、一斉に症状が始まったということが、とくに問題です。

とても短時間で発症しているので、ノロウイルスなどの感染型ではなく、毒素型食中毒と私は睨んでいます。
現在、保健所が調査中です。園児たちの病状が軽くて済めばよいのですが。

(3月2日追記)
毒素型食中毒かと思っていた、当院近隣の保育園の胃腸炎は、その後も散発的に発症者が続いています。
どうやら、普通のウイルス性胃腸炎(感染性腸炎)だったようです。

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