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ムンプス難聴を防ごう
- 2017/10/31(Tue) -
「おたふくかぜ(ムンプス)に罹ると難聴になる危険があります。ワクチンで予防しましょう」
何年も前からずっと、全国の小児科医たちが叫び続けています。私もこれまでに4回、当ブログで書きました。

日本耳鼻咽喉科学会の調査で、昨年までの2年間に全国で300以上が難聴になったことがわかりました。
以前は、毎年千人がムンプス難聴になるなんて言ってましたが、多少は減ったにせよ、まだまだ多いです。

「おたふくかぜは予防するよりも、罹って免疫を付けた方がいいのでしょう?」という方が、いまだにいます。
「子宮頸がんは予防しなくても、罹ったら早期発見して手術すればいい」という考えにも似た、誤解です。

水痘が、ワクチンの定期接種化によって激減した今、罹って免疫を付けようという人は、ほとんどいません。
ほんの数年前までは、「水痘は罹った方が強い免疫が付くのでしょう?」という方が多数いたのに、です。

鍵を握るのはワクチンの定期接種化です。定期接種には、無料&国のお墨付き、という意味合いがあります。
しかし定期接種であるはずのHPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)は、接種が完全に止まっています。
そのような不可解なことが起こり得る国なので、おたふくワクチンの定期接種化は、ハードルが高いのです。

日本の子どもたちの難聴を一刻も早く減らすために、ここは国が腹をくくるしかありません。
(1)早急に定期接種化し、しばらくの間は幅広い年齢層への接種も無料化または費用を助成すること
(2)副反応が問題になっても、それが欧米諸国と同程度と判断されれば、接種の勧奨を止めないこと

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Amazon Key
- 2017/10/30(Mon) -
Amazonのジェフ・ベゾスが、またビル・ゲイツを抜いて世界一の富豪になったとのこと。はあ、そうですか。

そのAmazonが来月から、米国内で「Amazon Key」サービスを開始すると報じられました。
荷物の配達員が、受取人不在時に無線で玄関の鍵を解錠できるという、とても便利なシステムです。
ハッキングや配達員の不正が心配になりますが、そこは暗号通信や監視カメラ等を駆使して対処するようです。
宅配に限らず清掃でもなんでも、居住者不在時に業者が自由に出入りできる仕組みにもつながりそうです。

このニュースを聞いて私は、Amazonの深慮遠謀を感じました。次はおそらく「ホームセキュリティー」かと。

防犯上、最も大事な玄関ドアの解錠・施錠をAmazonが管理し、技術的には24時間監視できるからです。
初期費用250ドルのみというAmazon流の驚異的な低価格で、Amazon Keyはどんどん普及していくでしょう。

この仕組みを、他のドアにも窓にも、あらゆる家電・家具などの利用監視にまで広げることなど、簡単なこと。
ひとたびAmazon Keyを導入したものなら、あとはなし崩し的に家中がAmazonの監視下に入るのです。

ここに「Amazon Echo」を併用してAmazon Keyと協調させれば、「スマートホーム」はほぼ完成します。

宅配がいっそう便利になりますよと、猫なで声で玄関から入り込む、Amazonらしい戦略です。
ジェフ・ベゾスの大富豪世界一の座は、しばらく安泰でしょうね。
それにしても、10兆円持ってるのにまだ精力的に事業を拡大しようという神経が、凡人にはわかりません。

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加熱式タバコ問題
- 2017/10/29(Sun) -
「加熱式タバコ」が広まりつつありますが、その問題点について啓発する動きも、このところ活発です。
当院でも禁煙外来を行っており、加熱式タバコについての理解を深めるための院内勉強会を、先月行いました。

禁煙外来には、紙巻きタバコと加熱式を併用している方が、時々いらっしゃいます。
喫煙本数としては、どのようにカウントすればいいのでしょうね。

喫煙には、喫煙者本人の健康問題と、周囲の人の健康問題(環境問題)があります。
煙の出ない加熱式に変えた方には、周囲には迷惑をかけないのだからいいだろう、という意識があります。
さらに言うなら自分の健康被害も、紙巻きタバコよりはマシだろうという思い(願い)があります。

いずれも誤解です。
加熱式タバコでも受動喫煙があります。煙が見えないのでそれを自覚しにくく、かえって危険かもしれません。
紙巻きタバコより健康被害が少ないと誤解することで、喫煙量がむしろ増えてしまうリスクさえあります。

「タバコはもう加熱式に変えましたよ」と、まるで禁煙が半分成功しているようにおっしゃる方が時々います。
これも大きな誤解です。実際には、禁煙のキの字にもなりません。まあ、言葉の上では禁「煙」ですけどね。

危険なモノは「見える化」して避けるべきなのに、加熱式タバコはそれを「見えない化」しているのです。

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無資格者の不正従事
- 2017/10/28(Sat) -
スバルも日産と同様に、無資格者が完成検査に携わるという不正を行っていたことが判明しました。
社内試験には合格して、一定の知識・技能があると判断された、研修中の従業員が検査を行ったとのこと。

似たような事例を思い出します。
医学部の卒業試験には合格して、しかしまだ医師免許を取得していないうちに働いていた、研修医時代を。
私は昭和60年の4月から大学病院で働き始めましたが、医師として認められる医籍登録日は5月20日でした。
約1カ月間、患者の診察や検査のみならず、採血や注射から手術の助手までを、主治医として行っていました。

指導者の下で行う医療行為は、それが未資格者であっても、修練のためなので許容されていたわけです。
手術助手以外はすべて、指導医不在の場所で1人で行っていましたが、それでも指導下と見なされました。

外科医が一人前になる過程で、未経験の術式の執刀をひとつひとつ経験していくことも、似たようなものです。
ベテラン外科医ではなく未熟な医師が執刀をすることは、患者の利益だけを考えたら、問題があります。
サポートについている指導医がカバーしきれないヘマを、若手医師が術中にやらかす危険は、常にあります。

それでも外科の世界では、あえて若者に手術をさせます。次世代の外科医を育てるためには、必要だからです。

似たような感覚で、自動車会社でも若手に検査を任せていたのかもしれません。たぶん、悪気は無いのです。
人手不足も原因のひとつでしょうけど、それは医師も同じ。たとえ無資格であっても病院に必要な戦力です。

無資格者が検査したから全車リコールだというのは、潔い態度ですが、本当にそこまで必要なのでしょうか。
それよりも、品質データを改ざんして不良品を出荷した神戸製鋼所の方が、はるかに悪質で問題です。
日産やスバルの対応を考えたら、神戸製鋼製の部品を使った車や列車や航空機だって、全部リコールでしょう。

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iPhone X 予約済
- 2017/10/27(Fri) -
いろいろ心配もあって悩んだ末に、やはり画期的なiPhoneなので予約してしまいましたよ、「 iPhone X 」。

iPhone Xの特徴は、全面有機ELスクリーン、顔認証(Face ID)、耐水・防塵、ワイヤレス充電などです。
専門家は、顔認証用の「True Depthカメラ」とCPU「A11 Bionic」の性能がすごいといいます。

ただしそのTrue Depthカメラの製造が難しくて、初期の出荷台数はかなり少なくなりそうで、品薄必至です。
最近、True Depthカメラの生産性を上げるために、その要求精度を引き下げたらしい、と報じられました。
Appleはこれを全面的に否定していますが、顔認証の精度については、疑問の声が上がり始めています。

少しぐらい遅くなってもいいから、完成度の高い製品を販売して欲しいものです。
そんな気持ちで臨んだ今日の予約開始は、例年とは異り、あわてず騒がず自然体で受付時刻を待ちました。

昨年の「 iPhone 7 Plus」は、予約したのが9月9日で、自宅に届いたのは28日後の10月7日でした。
16時01分からのオンライン予約受付に対して、苦労の末に申込が受け付けられたのは16時10分23秒でした。
受付開始から9分23秒遅れで予約を完了したら、商品は28日後に届いたというわけです。

ところが今日は、16時01分46秒に受理されました。すんなり46秒での予約完了は、どう考えたらよいのか。
よほど運が良かったのか、はたまたiPhone Xの人気がないのか。顔認証の精度が、 ますます心配になります。

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ワクチン不足の報道
- 2017/10/26(Thu) -
昨夜のNHKニュースが、今年のインフルエンザワクチン不足の問題を報じていました。
こういうことをタイムリーに、そこそこ詳しく取り上げるのは、NHKのいいところ。

ワクチンの製造量と使用量の年次推移のグラフは、厚労省のものよりもずっとわかりやすい。さすがです。
ところが、ワクチン不足になった原因の説明は、かなり貧弱で意味不明でした。
難解になるのを避けたのか。日ごろ地震のメカニズムとか素粒子とかは、詳しく解説してくれるくせに。

東京のあるクリニックの取材シーンあたりから、ワクチン不足のテーマからはだいぶズレていきます。
そのクリニックの薬剤保冷庫が貧弱、ていうかミニ冷蔵庫。しかもドア開けっ放し。見ててヒヤヒヤする。

最後に、「インフルエンザの予防接種」と書かれたフリップを使ってまとめていたのは、次の3点でした。

(1)接種してもインフルエンザにかかる場合もあるので、まずは手洗い・うがいなどで予防を
ワクチン不足の問題に対して、もともとワクチンはあまり効きませんから、という論理。なんか違うと思う。

(2)大人は1回の接種で5カ月前後有効、厚労省は1回で十分効くと言っている
ワクチン不足の問題に対して、もともとワクチンは1回で効きますから、という論理。(1)と矛盾してます。

(3)子ども・高齢者などは、接種時期などを早めにかかりつけ医に相談を
ワクチン不足の問題に対して、本気で予防したけりゃ急いで接種しろと、ワクチン不足の不安をあおります。

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類似名称回避責任
- 2017/10/25(Wed) -
紛らわしい名称は、ミスを誘発します。当たり前のことです。
医薬品の取り違えでは6月に重大事例が起き、最近になって注意喚起の文書が出されました。

肝性脳症治療薬「リフキシマ」を使うべき患者に、抗凝固剤「リクシアナ」を誤って調剤した死亡事故です。
血液サラサラにする薬を、そうでなくても凝固機能の低下しがちな肝不全患者に投与してしまったわけです。

処方や調剤をする際は注意せよ、なんて精神論では解決しません。電子カルテ等でチェックする仕組みが必要。
しかしそれよりも、製薬会社が薬剤名を決める時に、類似名称がないかを十分にチェックすることが大事です。

今回の2剤でいうと、リクシアナは販売開始から数年たってますが、リフキシマは昨年11月の発売です。
新しい方の薬(リフキシマ)のメーカーには、一定の責任(類似名称回避責任?)があるでしょう。

厚労省は、医薬品の取り違えを防ぐために、「医薬品類似名称検索システム」なるものを構築しています。
このシステムの詳細がいまひとつわかりませんが、それでチェック漏れしたのなら、国にも責任がありますね。

リフキシマは、一般名(成分名)「リファキシミン」が命名の由来ですが、もうちょっと考えてほしかった。
まさかリクシアナと取り違えるやつはいないだろうと、タカをくくったのか。それならば、想像力不足でした。

人がすることには、うっかりミスや勘違いや思い込みがつきもの。予想外のことは、起きるのです。
間違えないように注意喚起するよりも前に、そもそも間違いにくいようにしておくべきです。

「じゃあ、お前なら何て名前をつけるんだ?」とお尋ねでしょうか。待ってました。
「リファノーショー」でどうですか。まるで小林製薬ですが、こういうのが、間違えないんです。

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ワクチン確保で苦労中
- 2017/10/24(Tue) -
「インフルエンザワクチンは、ありますか」というお問い合わせを、よくいただきます。
今年のワクチン不足は前にも書いた通りですが、当院でもかなり厳しい状況になりつつあります。
薬品卸に何度もお願いして、ネット予約受付済分+65歳以上定期接種分だけは、なんとか確保しています。

日本脳炎ワクチンも品薄でしたが、その際には厚労省は、総数は足りており偏在の問題だとの一点張りでした。
ところが今期のインフルエンザワクチンは、総数が足りない。なので厚労省のお達しが、とても厳しいのです。

(1)13歳以上は1回または2回接種すると法律で定めているので、1回が原則である
法律文には「必ず2回」とは書かれていないので1回なのであるという、初めて聞く理屈です。

(2)同一バイアル(薬瓶)から複数回使用し、効率的な使用に努めること
「最初の薬液吸引から24時間を経過したら廃棄すること」と、わざわざのお達し。24時間まで使えってこと?

(3)医療機関は、前シーズンの使用実績を上回るワクチン発注や必要以上に早期の注文は、厳に慎むこと
「発注は接種希望者からの申込があった時点で行え」といいますが、その予約者分の確保が困難なのですよ。

(4)シーズン終盤に余ったワクチンを卸売業者に返品した医療機関は、名称を公表する
ワクチンを余らせたら罰するという、まるでバイキング店で食べ残した時のようなペナルティーです。

インフルエンザが流行期に入ると、その初期には接種希望者が駆け込みますが、以後の希望者は減ります。
ネット予約にも、流行が早まればキャンセルが相次ぐことになり、どうしてもワクチンは余るのです。

予約者には必ず希望日に接種し、しかしワクチンはちょうど使い切るなんて芸当が、可能なんでしょうかね。

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家庭料理としてのカレー
- 2017/10/23(Mon) -
家庭料理に「ニラレバ」が出ることが、わが家ではほとんどありません。家人がレバー嫌いだからです。
どうしても食べたければ、私の場合は居酒屋に行くしかありません。

仮定料理「タラレバ」・・・ふと思いつき、そのまま埋もれさせておくには惜しいので、書いておきます。

「ニラレバ」と「レバニラ」のどちらが正しいのか本家なのかは知りませんが、似たような事例があります。
「カレーライス」と「ライスカレー」です。
私が子どもの頃は後者でしたが、いつの間にか前者が普通になり、最近では「カレー」単独も多いですね。
カレー会社のサイトなどに、その「カレー用語」の考察が書かれているので、私は掘り下げません。

「ライスカレー」と呼んでいた子どもの頃、自宅のカレーはいつも、冷やご飯にかけてありました。
当時私は、カレーは冷たい(室温の)ご飯にかけて食べるものだと、思っていました。

いま自宅のカレーは、必ずしも「カレーライス」ではありません。しばしば「カレーブロッコリー」です。
ブロッコリーの上にカレーをかけるやり方です。満腹食べても、あとですぐお腹がすきます。
これを「ブロッコリーカレー」というと、ブロッコリーをトッピングしたカレーとの区別ができません。
その理屈で言えば、「ライスカレー」よりも「カレーライス」の方が、正しい表現なのかもしれません。

今夜のわが家のメニューは「カツカレー」です。なぜなら、昨夜が普通の「カレー」だったからです。
もちろん明日は「カレードリア」に決まっています。そういうシステムなのです。

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「ゆ党」
- 2017/10/22(Sun) -
衆院選は、ある程度予想されていたように、与党圧勝・希望惨敗・立民躍進、という形になりそうですね。

「私自身もおごりがあったのではないかと反省している」
希望の党の小池氏はこう発言しましたが、手遅れ。後悔先に立たず。敗因は、例の「排除」発言でしょうか。
その前までは、希望の党は大躍進するのではないかと思ってたんですけどね。流れというのは怖い。

「勝って兜の緒を締めよ」
自民党の圧勝を受け、また自身も選挙区で大勝したというのに、小泉進次郎氏はこう述べました。
小池氏が誤らなければ政権交代もあり得たと、皮肉ではなく謙虚な言葉。たいした人物です、小泉進次郎。

反安倍政権で盛り上がっていた野党が、選挙直前に分断したために、結果的に自民を利することになりました。
各小選挙区の得票率の棒グラフを見ると、希望と立民を合計すればたいてい、自民に勝ってるんですけどね。

希望の党は、昔で言う「中道」と呼ばれる政党なのでしょうか。独自性を出すのが難しい立ち位置です。
「野(や)党」と「与(よ)党」の中間だから「ゆ党」だと、誰が言い始めたのか、最近よく耳にしますね。

今朝の日経のコラムで、「ゆ党」の「ゆ」に当てる漢字が「ぬるま湯」の「湯党」では困る、とありました。
蓋を開けてみると、希望の党に限って言えば、「油断」の「油党」だったようです。

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こんなお家は
- 2017/10/21(Sat) -
「『Google Home』や『Amazon Echo』などの『AIスピーカー』は、『コネクテッドホーム』の前座だ」
というIT記事が目に付きました。有料記事のため詳しくは読めなかったので、想像を膨らましてみました。

つまり未来は、家中のありとあらゆる物品が、住人と「つながる」ということなのでしょう。
リビングで何かつぶやけば、部屋中の家電や家具調度が、それに応えるという、不気味な未来が迫っています。

件の記事には、次のような記載がありました。
「 “自動化された家” はSFでは30年以上前からよく書かれるテーマの1つだ。ただ、しばしば家のサービスがお仕着せ的で住人の意に沿わないことを繰り返すなど技術の行き過ぎをからかう対象にもなっていた」

これを読んですぐに思い出したのは、子どもの頃(昭和40年代)に見た『こんなお家は』という短編アニメ。
ご存じでしょうか。『トムとジェリー』の2つの話の間に挟まった、いわゆる「真ん中の話」のひとつです。

真ん中の話には、いろんなパターンがありましたが、どれも私は大好きでした。本編よりも好きだったかも。
ドルーピー(声は玉川良一)やスパイクやクマのバーニーなど、いろんなキャラクターが出てきます。
その中で、異色だったのが「未来モノ」。未来の家や車やテレビを、それこそ「からかう」内容でした。

あらためてネットで『こんなお家は』(1949年制作)を見てみると、おかしな未来の家が描かれていました。
税務署対策で部屋が質素に切り替わるとか、ベーコンを叩いて伸ばすフライパンとか、まるでムダな装備です。

そのように未来を茶化して描く中で、「こうなると、テレビはもう一人に一台の時代です」とのナレーション。
家族一人に一台のテレビなど、当時としては考えられない、ムダで笑える未来だったのでしょうね。

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『コウノドリ』
- 2017/10/20(Fri) -
TBSのドラマ『コウノドリ』を、今日初めて見ました。わりと良かった。
民放のTVドラマは日頃あまり見ないのですが、医療系のものは例外的に、あら探しとツッコミ目的で見ます。
いやそうじゃなくて、病気や医療や医療従事者に対する世間やメディアのとらえ方を知るために、見るのです。

今日の第2回目の放送内容に興味があり、それならばと、1回目の放送をまず、TBSオンデマンドで見ました。
なるほど、そういう感じのドラマですか。基本的にいい人ばっかり登場しますね。『Doctor X』と大違い。

1回目は、産婦人科の現場のご紹介、という感じでしょうか。意外と違和感のない作りでした。
女性の仕事や家庭環境が、どれほど妊娠出産を難しくしているか、という社会問題もからめてます。
『Doctor X』とか『A LIFE』のような、外科手術のテクニックがどうのこうの、という話は一切出ません。

さて今日の2回目は、妊婦の「子宮頸がん」の問題を取り上げていました。
子宮頸がんと診断された妊婦が、妊娠継続をどうするか、がんの手術をどうするか。とても深刻なテーマです。

がんの進行度によっては子宮全摘が必要で、その後の妊娠が不可能になるので、妊婦じゃなくても大問題です。
つまり子宮頸がんは、早期発見・早期治療も大事ですが、可能なら(可能なので)予防すべきなのです。
ところが日本では、この悲惨な病気をワクチンで予防しようという動きが、もう4年以上も止まっています。

このことについてドラマでは、登場人物にもしつこく語らせており、ワクチンを推奨する姿勢を感じました。
欲を言えば、毎年約1万人がこの病気に罹患し、約3千人が亡くなっていることにも、少し触れてほしかった。

本来このような啓蒙活動は、報道系の特集番組で行うべきものですが、ドラマも効果的かもしれませんね。

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ネ申Excel
- 2017/10/19(Thu) -
最近、IT系サイトでは、「ネ申Excel」と「Excel方眼紙」についての議論が、なかなか盛り上がっています。
私も「Excel文書」については日頃から不満があるので、この議論にはたいへん興味があります。

「ネ申Excel(神Excel)」という言葉は、私は最近知りました。「神」が付くけど褒め言葉ではありません。
罫線を自在に作れるワープロとして、Excelを「間違った形で」使うことなどを意味しているようです。

専門家らは、データの利用や入力の省力化ができない神Excelを、「生産性を下げる」と非難しています。
私にはそのような専門性はないですが、「文書を作るならワープロを使え!」という気持ちは一致しています。

かく言う私も80年代には、当時主流の表計算ソフト「Lotus1-2-3」を、ワープロのように使ってました。
表や罫線作成や行頭揃え(インデント)が、一般的なワープロ(文書作成)ソフトよりも簡単だったからです。

でも当時は、大げさじゃなくて誰もが、スペース(空白)を挿入して文章の行頭を揃えていた時代でした。
表計算ソフトのセルを利用して文書をレイアウトする私の手法は、当時としては斬新でスマートだったのです。

ですが今の文書作成ソフトは、とてもうまく作られています。「Word」はよく知りませんが、たぶん同じ。

それなのに今でもたまに、スペースを多用したお役所等の文書を見かけることがあり、本当にガッカリします。
表計算も関数も使わないのにExcelで文書を作るのも、同じようなレベルの話です。

最近の文書作成ソフトが多機能過ぎて使いづらく、Excelの方が直感的に使えるとしたら、皮肉な話です。

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フェノール値
- 2017/10/18(Wed) -
ウイスキー、とくにモルトウイスキーの香りは実に個性的で、奥深いものがあります。今日はそのお話。

大麦の発芽→乾燥→糖化→発酵→蒸溜→樽貯蔵、というすべての製造過程が、ウイスキーの香りに影響します。
なかでもとくに、スコッチのシングルモルトの「クセ」を決定付けているのが、麦芽の乾燥過程でしょう。

大麦の発芽を適度な状態で止めるために、伝統的に「ピート(泥炭)」を焚いて燻煙して乾燥させます。
このときに、ピートの煙の香りが麦芽に染みつき、「ピート香(ピーティー・フレーバー)」となるわけです。

化学的にはその香り成分は、フェノール、クレゾール、グアヤコールなどの、フェノール類です。
これらの物質の割合が、ピートの産地や元の植物によって異なり、シングルモルトに個性を与えます。
概してこの香りはスモーキー(煙臭い)と表現でき、その強さは「フェノール値」で数値化されています。

さて講釈はここまで。次は実習です。今夜は、とくにピート香の強い「アイラモルト」を飲み比べてみました。

ラフロイグ 10年」(フェノール値 50ppm前後)
私の基準ボトル。生まれて初めて飲んだアイラは、これでした。当時はそのニオイにぶったまげました。

「カリラ 12年」(35ppm)
少々「コンブ」臭いけど、口に入れると実に旨い。ピート香はそれほどきつくない。

「ラガヴーリン 16年」(35ppm)
洗練された香りと味わい。バランスがいい。上品。ラフロイグより好きになりつつある一品。

「ボウモア テンペスト スモールバッチ リリースIV 10年」(20ppm?)
ボウモアからは、少し珍しいエントリーで。香りはピカイチだけど、味が尖ってる感じ。辛いのか?

「アードベック TEN」(60ppm)
ガツンと来るピート香。所有するアイラモルトの中では最強、でした、昨日までは・・・

「オクトモア スコティッシュバーレイ 07.2」(208ppm)
本日入荷。噂には聞いてた桁違いのフェノール値・・・ところが、飲んでみると実に旨い。これいい。

なお、どのシングルモルトも、ほんの少しずつの試飲ですので。私を大酒飲みだと思わないでください。
お近くにおいでの節は、いつでもわが家で試飲していただけますので、興味のある方はどうぞ。(車運転不可)

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支持政党なし
- 2017/10/17(Tue) -
30年ぐらい前、おかしな名前のミニ政党がたくさんありました。もちろん当選者などいませんでしたが。
今回の衆議院議員選挙でも、気になる政党はコレでしょう(一部、架空政党あり)。

「支持政党なし」
義務感を持って投票に行ったものの、どの政党に投票するか決めてなかった人を狙った、ひっかけ名称かも。
類似政党に「支持政党考え中」があります。

「自民党以外」
自民党以外ならどこでもいい、という人の受け皿政党。似たようなものに「希望の党以外希望」もあります。

「初投票はこちら」
18歳とかの有権者が、なんかしらんけど今回はコレなんかな?、と勘違いするのを狙います。

「比例代表のみ」
これまた投票初心者狙い。

「白民党」
勘違い狙いなら、最初に思いつくのがコレ。姉妹党に「自眠党」や「自由民玉党」があります。

「日本のここる」
これって、OKなんですかね。ダメなら「日本のころころ」でいきます。

「新党犬地」
北海道に犬の理想郷を作ろうという政党。代表は鈴本宗男らしい。

とりあえず今回も、「支持政党なし」の得票数が、多少気になります。

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鶏卵馴化
- 2017/10/16(Mon) -
毎日多くの方が、インフルエンザワクチンの接種を受けに来られます。早めの接種をお勧めしています。
今シーズンはワクチンが大幅に不足しています。前にも書いたように、ワクチン製造株の決定が遅れためです。

じゃあなぜ、製造株の決定が遅れたのか、ということなんですけどね。けっこう根の深い問題があるのです。

インフルエンザワクチンは2年前から、4つの型(株)のウイルスに効く「4価ワクチン」になっています。
4つの型とは、「AH3亜型」(以前の季節性)と「AH1pdm09亜型」(以前の新型)と、2系統のB型です。
この4つの型それぞれについて、次のシーズンで流行する株を予測して、国が製造株を決定します。
メーカーはそれにしたがって製造を開始します。製造に要する期間は7〜8カ月です。

ワクチンがよく「効く」かどうかは、製造株と実際の流行株がどれだけ一致したかによります。

4価になってB型が2系統含まれるようになり、B型インフルエンザの「はずれ」はほぼ、解消されました。
A型のうち「AH1pdm09亜型」も、2009年以来ウイルスの変化が少なく、たいてい毎年「当たり」です。
問題は「AH3亜型」。流行株が正しく予測できても、製造途中でワクチンの成分が変異してしまうのです。

鶏卵内で培養しているうちに、ウイルスが卵に合わせて変化するからです。これを「鶏卵馴化」といいます。
ワクチンの成分(抗原)がどんどん変化(変異)し、できあがったワクチンはまるで別物になってしまいます。
今年のワクチンは型が合わなくて効かなかったね、と言われるのは、たいていこの鶏卵馴化によるものです。

それを解消すべくこのたび、細胞培養で分離した株を鶏卵で培養するという、新たな製造法が採用されました。
これが今期の「AH3亜型」製造株として最初に「内定」していた、「A/埼玉 (103/2014)」株でした。

ところが、試験的に作ってみると、なかなか増殖しない。このままではワクチン製造量が激減してしまう。
やむを得ず急遽、昨年使った鶏卵培養の「A/香港 (4801/2014)」株を、再登板させたわけです。
ですがその決定が遅く、結果的にワクチンの製造が遅れ、今回のワクチン不足に至ったという顛末です。

そんなわけで今年のワクチンは、AH3亜型ウイルスに対しては、例年と同程度に「効きが悪い」でしょうね。

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研究は続けるべき
- 2017/10/15(Sun) -
このたび国は、予知を前提とした東海地震の情報の発表を、取りやめることを決めました。
地震の研究が進めば進むほど、その予知は困難だということがわかってきた、というわけです。

40年来の防災対策が方針転換を迫られたわけですが、今更ですかと言うつもりはありません。
むしろ、ここで地震予知研究を諦めていいのかとさえ、思ってしまいます。
何十億年も続いてきた地球活動のごく一部を、たかが40年ぐらい観測して、わかった風なことは言えません。

防災対策は、予知とは別に進めるべきでしょうけど、地震研究もいっそう精力的に続けてもらいたい。
科学は指数関数的に進歩しています。あと40年ぐらいしたら、本当に地震が予知できるようになるかもです。

今回の衆議院議員選挙では、争点のひとつが原発。
再稼働を認めるか認めないか、脱原発にしてもそのトーンは各党でかなり違います。
しかしいずれにせよ、今後数十年以上にわたって日本に廃炉ラッシュが起きることは、間違いないでしょう。
その過程で、また想定外の事態が起きないことを祈るのみです。

原発が、その建設や維持よりも事故処理の方がよっぽど困難だということを、このたび思い知らされました。
事故処理どころか、廃炉や放射性廃棄物の処理にしても、まったく未経験・未解決で研究途上の分野です。
それでよくもまあ、ここまでたくさんの原発を作ったものですが、作ったものはしょうがない。
反原発であろうとなかろうと、原子力分野の科学研究を、日本は今後もやめるわけにはいかないでしょう。

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文筆以前に書字能力
- 2017/10/14(Sat) -
純愛小説『アナログ』。才能なら俺にもあると、ビートたけしが又吉直樹を意識して書いた小説らしい。

読まずに思ったことは、有名人が書けばすぐに話題になってオトクだな、というひがみ。
才能を見せたいなら匿名で出版すればいいのに、と小説など書けもしないのに文句を言ったりします。
もちろん、この本について誠実に評価するためには、読むしかありません。そのうち読みます(たぶん)。

「新しいことをやることで自分に負荷をかけていきたい」
ビートたけしが、今回の小説刊行に際してこう言ったそうです。この姿勢は、すばらしいと思います。

運動能力でも知的能力でも、ちょっと負荷をかけるからこそ鍛えられ、さらに伸びるというもの。
負荷もかけずに現状維持、あるいは低きに流れる姿勢では、人の能力はどんどん廃れていくばかりです。

先日の開院記念日に、手書きのメッセージを職員向けに書こうとしたら、まともに書けず愕然としました。
漢字を忘れてることは想定済み。だからあらかじめパソコンで原稿書いて、その画面を見ながら書いたのに。

まず、字がヘタ。とてつもなくミミズ。ミミズ以下。元々ヘタなのに、以前にも増してヘタクソになってる。
ちょっと書いたらすぐ疲れる。ボールペンを持つ手の力と筆圧とのバランスが、うまく調整できないのです。
現代人は字が書けない、などとよく言われますが、私の場合は文字通り、書字能力が廃れてきているようです。

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各世代のOSを揃える
- 2017/10/13(Fri) -
最新のMacに最新のOS。自宅と職場のMacを常にそのような環境に保つのが、勤務医時代の私の流儀でした。
最高の作業環境を提供してくれる最新のOSは、最新のMacで最も快適に動作するからです。

ところが開業してから困ったことには、OSが新しすぎると、電子カルテが安定して動いてくれないのです。
他にも、新しいOSでは使えないソフトがあるし、その反対に、古いOSでは動かないソフトもあります。
結果的に、クリニックの7台のMacのOSはいま、「10.6」から「10.12」までが見事に勢揃いした状況です。

その中でも古い部類の「10.7」を搭載したMacを、日頃の診療でいちばん使っているというのも、皮肉な話。

ところが最近、そのMacのEvernoteの調子が悪い。OSが古いのが原因のようです。
さらに来年1月には、「10.8」までのOSでは、Dropboxが快適に稼働しなくなることもわかっています。

OSをバージョンアップするのが簡単な解決策ですが、Macのスペックを考慮して、それはやめておきました。
そのかわりに本日、これまで院長室で使っていた「10.11」のMacProを、診察室に投入しました。

複数のMacに、複数のOSという体制は、今後もできるだけ続けます。
とくに古いMacは、古いOSとアプリをそのまま温存しておけば、昔のファイルを開くときに役立ちます。

最近では、新しいMacを買っても古いMacは処分しないので、所有するMac(とOS)が年々増えています。
各世代のOSのMacが必ず1台はある、という状態を維持するのが私の理想です。
今思えば、90年代に何台かのMacを処分したり下取りに出したことが、悔やまれます。

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悪質な運転行為
- 2017/10/12(Thu) -
愛車のバンパーに何かがこすった赤い跡を見つけたので、まず家人の赤い車を疑いましたが、違いました。
ディーラーに見せたら、虫でしょうと。コンパウンドで処置したら、元通り(元よりも綺麗)になりました。

東名高速の事故はひどい話ですね。追い越し車線に無理やり停車させられ、追突されて2人が死亡した事故。
付近を走行していた他の運転者などから、容疑者の悪質な運転を立証する証言等が出てきたようです。
事故から3カ月以上も要したのは、それらの証言やドライブレコーダーの解析に時間がかかったのでしょうか。

しかしそれだけの裏付けがあってもなお、「過失運転致死傷罪」で決着しそうなのは、どういうことなのか。
こういうときに「危険運転致死傷罪」を適用しなくてどうしますか。なんなら「殺人罪」でもいいぐらいです。

たまに高速道路を走ると、たいてい1台ぐらいは、やたらに追い越しをしまくっている車を見かけます。
前の車を煽るというか、車間を詰めて車線をあけさせて追い越し、また前方の車に接近して同じ事を繰り返す。
しばらくして私がインターの料金所に着くと、ほんの数台前に、先ほどの無謀な車がいたりします。
あれだけ無茶な運転をしても、目的地に着く時間って、わずかな違いなのです。

無謀な運転者が自損事故を起こすぶんには自業自得なのですが、たいてい善良な市民を巻き添えにします。
それどころか、自分は無傷で他人だけ殺傷したりします。
こういう悪質な運転行為が「過失」なのか「危険」なのか、裁判員裁判がきっと常識的な結論を出すはずです。

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ウイルススキャンは安全か
- 2017/10/11(Wed) -
Windowsの人たちは、どのようなアンチウイルスソフトを使ってますか。Macメインの私は「ESET」です。
10年ぐらい前までは、「ノートン先生」のお世話になっていましたが、色々あって変えました。

アンチウイルスソフトに求めるものは2つ。
(1)確実性:ウイルスを確実に見つけて駆除するという、本来のアンチウイルス機能が優れていること
(2)軽快性:パソコンの挙動を妨げず、ウイルススキャンに要する時間も短いこと

このうち(1)はすぐに実感できるものではありませんが、(2)は体感できます。
さまざまなIT系記事で予習し、デモ版を試した上で、私はESET導入に踏み切りました。

その後、ESETよりも軽快確実だと噂される「カスペルスキー(Kaspersky)」にも、興味を持ちました。
ですがどうしても導入に踏み切れなかった理由は、それがロシアの会社のソフトだからです。なんとなく。

と思ってたら先週、米NSAの機密情報がカスペルスキー経由でロシアに流出していたと報じられました。
米連邦機関は先月から、カスペルスキー製ソフトの使用を禁止していたそうです。ほらね。
ハッキングを受けたのはNSAの契約職員らしいですが、どうしてNSA関係者がロシア製品を使うわけ?

かく言う私が使っているESETも、調べてみたら本社はスロバキアですか。う〜ん、なんか微妙。
かといって、ノートンやマカフィーを使えば、最悪の場合、データがNSAに筒抜けになるリスクがあります。

ESETの稼働状況を眺めていると、私のMac内のすべてのファイルを、猛烈なスピードでスキャンしています。
それがウイルスのスキャンだけならよいのですけどね。

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ダイソンのデザイン
- 2017/10/10(Tue) -
家電の「ダイソン」が、電気自動車市場に参入すると、先月表明しました。2020年までに発売するとのこと。
中核部品である「エンジン」の製造が不要となれば、これからの車作りはずいぶん変わることでしょう。
これって、自動車産業史上最大級の変革、パラダイムシフトじゃないですか。

ダイソンといえば、掃除機で有名な英国の大手家電メーカーですが、掃除機以外にもいろいろ作ってます。
「羽なし扇風機」の、スリットから吹き出す空気が周囲の空気を巻き込んで風力を増すという仕組みは不思議。
高額なのがアレですが、個性的で斬新なデザインと安全性(手を突っ込んでも大丈夫)は魅力です。
似たような原理のドライヤーも発売されました。デザインの新規性だけでなく、妙に風力が強くて驚きます。

見回してみるとわが家にある家電も、昔とはずいぶん様変わりしています。
バルミューダ製品を筆頭に、デザインを重視して操作ボタンの少ない、スッキリした製品が増えました。

「ミニマルデザイン」はAppleのお家芸でしたが、いまは他社製品にも見られる一般的なものとなりました。
とくにIT企業が売り出し中の「スマートスピーカー」は、各社ともシンプルなデザインに仕上がっています。

先週日本で発売された「Google Home」や、その前日に発売された「LINE Clova WAVE」は、まさにそれ。
ですがその両者とも、常識が邪魔をしたのか、一見してIT機器という雰囲気は捨て切れていませんね。
それらに比べると、Appleが発売予定の「Home Pod」は、かなりぶっ飛んでます。なんじゃこりゃ、です。

はたしてダイソンが、どのような斬新な自動車を発売するのか。そのデザインも楽しみです。

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接種間隔の間違い
- 2017/10/09(Mon) -
予防接種に関する間違い(過誤接種)について、昨年の報告例を厚労省がとりまとめた結果が公表されました。
全部で6,602件のうち、断トツで多かったのは接種間隔の間違い(52.6%)だったようです。
ワクチンの接種間隔には2系統のルールがあるため、このように間違いやすくなるのでしょう。

(1)同一ワクチンどうしの接種間隔のルール
インフルエンザワクチンだと、1回目と2回目の間隔は、13歳以上が1週間以上、13歳未満なら2週間以上。
なんでそう決めたの、と言いたくなりますね。もし間違えたら、保健所に届けなければなりません。
このほかにも、ワクチン毎にそれぞれの複雑な規定が山ほどありますが、今日この件は掘り下げません。

(2)他のワクチンとの接種間隔のルール
生ワクチンのあとは4週間、不活化ワクチンのあとは1週間、次のワクチンの接種まであける必要があります。
前にも書きましたが、これは他の国にはない日本独自の、医学的には根拠のないローカルルールです。

世界標準のルールは、「生ワクチンどうしの接種は4週間あける」という、医学的に根拠のある規定のみ。
不活化ワクチンは、1日間隔でも3日間隔でも、当日の朝と夕方に接種してもOKというのが世界の常識です。
また、生ワクチンを接種した翌日に不活化ワクチンを接種する、なんてことも可能です。

ではなぜ日本では、ワクチン接種相互の間隔を、これほどまでに広くとるように規定されているのでしょうか。
それは、ワクチン接種後の副反応を観察するための期間だと、そのように聞いたことがあります。
予防接種による免疫獲得を急ぐよりも、副反応を警戒することに重きを置いた、いかにも日本的な考え方です。

こういう、医学的にはあまり意味のない規定のせいで、間違いは起きるし、接種計画が遅れがちになるのです。
これがなければ、子どもの定期接種とインフルエンザワクチンの接種間隔で苦労しなくても済むんですけどね。

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インクも乾かぬうちに
- 2017/10/08(Sun) -
トランプ米大統領が昨日、北朝鮮との関係について、「1つのことだけがうまくいく」と意味深なツイート。
なかなか思い切った行動をとれないけれども、思わせぶりな言動は絶やさない姿勢のようです。

かつて北朝鮮と結んだ合意が守られなかったことについては、大統領は次のように述べました。
「(合意文書の)インクも乾かぬうちに合意は破られた ( agreements violated before the ink was dry )」

文書のインクなんて、1,2分ですっかり乾きそうなものですが、英語でもこのような比喩的表現するんですね。
日本語の「舌の根の乾かぬうちに」にも似ています。逆に、生きた人間の舌根って、乾くことあるんですかね。

最近、北朝鮮問題における、米政権中枢部での意見対立が話題になっていますが、

ティラーソン国務長官の「平壌と意思疎通するパイプがあり、暗闇の状態ではない」との発言に対して、
トランプ大統領が「時間の無駄だ」と切り捨ててみせると、
マティス国防長官は「北朝鮮と話し合う機会を模索しているだけで、話し合っていない」と取りなしました。

まるで、「新茶ぁ〜」「ふるい〜」「ふるかね〜」みたいなノリです。この3人、悪い関係じゃなさそうです。

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シワシワのポスター
- 2017/10/07(Sat) -
スコットランドの地図を、Amazonで発注しました。100cm x 70cmのサイズの大型ポスターです。
英国からの取り寄せだったので、2週間ほど待たされて、ようやく届きました。
ところがその包装(硬い紙製の筒)に、大きな亀裂が入っていたのです。テープで修復した跡もありました。
「破損していたので補修しております、川崎東郵便局第三国際郵便部」という注意書きが添付されていました。

開封してみると、地図には大きなひび割れのようなギザギザのシワが、縦に2本入っていました。
丸めたポスターを入れた包装を、2カ所で強く折り曲げたらそうなりそうな、ひどく醜悪な傷跡です。

とりえあえず、証拠写真を撮影し、ただちにAmazonの返品フォームに厳しいクレームを入力して送信。
すると30分ほどしてAmazonから返答あり。出品者に返品リクエストをメールしました、と。
さらに3分後に、その業者からメール。恐れ入りますが破損部分を撮影した写真を送ってください、と。
そんなの想定済みです。すぐに写真を3枚添付して送信。
すると15分後に、商品の再送か返金をお選びいただけます、とのメール。破損品の返品は不要です、とも。
すぐに、どうしても欲しい商品なので再送をお願いします、と返信。
そしたら40分後に、在庫がなくなり入荷未定となったので返金します、という一方的なメールあり。
その1時間半後にAmazonから、返金処理終了の連絡が入りました。まあ、なんていうか、さばけてます。

さてそうなると、手元に残った破損した地図をどうするか。修復するしかないでしょう。
ネットで予習してから、霧吹きとアイロンで、シワ伸ばし作業を念入りに行いました。
完璧ではありませんが、シワはそこそこ伸びました。ポスターフレームに入れると、なかなか格好いい。
まんまとタダでせしめましたね、なんてこと言わないでくださいよ。

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カズオ・イシグロ氏
- 2017/10/06(Fri) -
ノーベル文学賞は、日系英国人作家、カズオ・イシグロ氏が受賞しました。
恥ずかしながら私は、この人のことをまったく知らず、なので作品も読んだことがありませんでした。
イシグロ氏原作の『わたしを離さないで』がドラマ化され、昨年TBSで放送されたようですが、見てません。

世間の流れに慌てて追いつこうと、今朝はさっそく近所の紀伊國屋書店に行ったのですが、すでに売り切れ。
店頭の一角には、陳列台の底を晒した部分がありました。そこがイシグロ氏の特設コーナーだったようです。
がしかし、特設コーナー小っちゃすぎ。わずか50センチ四方。本を並べようにも、在庫がなかったのか。

ふと脇を見ると、村上春樹氏の本が、その数倍以上の広さに平積みされていました。それも悲しい光景です。

すごすごと手ぶらで帰宅。こうなればAmazon頼みです。在庫切れでも大丈夫。Kindle版がありますから。
というわけで今日はまず、『わたしを離さないで』を読みました。

内容には触れませんけど、驚いたことがあったので、ひとつ言わせてください。
『わたしを離さないで』と、4年前の「第1回 星新一賞」に応募した私の作品のプロットが、似てるのです。
もちろん私は、イシグロ氏の作品を知らずに書いたわけで、パクったわけじゃありませんよ。

でも「星新一賞」の選考関係者は、「なんじゃこれ、カズオ・イシグロのパクリじゃん」と思ったでしょうね。
最大限に自己弁護させていただくなら、私の着想だけは、わりと良かったと言えなくもない。
ただし応募作は、文学的な表現も何もない超短編。イシグロ作品とは比ぶべくもない、薄っぺらな作文です。

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成功報酬型医療
- 2017/10/05(Thu) -
薬が効いた場合にのみ料金を支払えばよい「成功報酬型」の薬が、日本にも導入されようとしています。
欧米では既に、そのような薬が使われているとのことですが、いろいろ考えさせられる問題です。

「効果が無ければ全額返金」なんてのは、健康食品か健康器具か語学教材の専売特許かと思っていました。
これらの商品の場合、効果が無かったことを立証する必要が無いので、不正返金を目論むヤカラもいそうです。

医療用医薬品の場合にはしかし、厳正な効果判定基準があり、支払が必要かどうかは客観的に決められます。
効果判定前に別の疾患で亡くなったような場合の支払等にも、きっと一定の取り決めがあるのでしょう。

日本への導入が検討されているのは、ノバルティスの「キムリア」。小児の急性リンパ性白血病治療薬です。
1回の治療で済むというその薬は、その1回分の費用が5,300万円といいますから、目の玉が飛び出ます。

このような「成功報酬型」医療費の考え方が、医療全般に拡大するのではないかと、私は危惧しています。

たとえば、治療が効いた場合にのみ医療費を支払えばよい「成功報酬払い」。
「お前の治療では風邪が治らなかったから金は払わん」などと言われる時代が来ませんかね。
医療費を抑制したい行政からすれば、包括払い以上に魅力的なのが、成功報酬払いかもしれません。

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配合剤の名前
- 2017/10/04(Wed) -
配合剤」とは、2,3種類の既存の医薬品の、成分をそのまま合わせて1錠にしたものです。最近増えてます。

ひところ、雨後の筍のように出てきたのは、降圧剤(血圧を下げる薬)の配合剤でした。
便利な薬ではありますが、何と何を組み合わせた配合剤なのか、いちいち覚えるのがけっこう面倒。たとえば、
「ブロプレス」+「アムロジン」→「ユニシア」(便宜上、全部商品名で記載してます)とか、
「ディオバン」+「アムロジン」→「エックスフォージ」みたいに。

そんな中で良心的なのは、薬の成分だけじゃなく、名称も「配合」したケース。
「ミカルディス」+「アムロジン」→「ミカムロ」。グッジョブ。これは分かり易い。

最近、高脂血症治療薬でよく使う組合せの配合剤ができました。
「リピトール」+「ゼチーア」→「アトーゼット」。
これは補足しますと、リピトールの一般名「アトルバスタチン」の「アト」を使った「配合」名称です。
う〜ん、ここは他メーカーの商品名だけどリピトールの一部をもらって、「リピゼット」にしてほしかったな。

ていうか、なぜ「アトー」と伸ばすのか。阿藤快ですか。「アトゼット」の方がよほどスッキリしてるのに。
その「ゼット」もおかしい。本来は「ゼチ」でしょう。「アトゼチ」ですよ。なんなら「アトゼキ」でもいい。

その商品名が災いしたのか、MSDがサイバー攻撃に遭い、アトーゼットの発売が延期されています。
ランサムウェアに攻撃されたウクライナの企業経由で、MSDの親会社の米メルクが被害を被ったようです。
これは偶然与えられた良い機会。このさい、アトーゼットは名称を変更したらどうですか(アトゼキとかに)。

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インフル接種お早めに
- 2017/10/03(Tue) -
インフルエンザワクチンの接種は、例年通り10月1日から始めています。
先日も書いたように、今年はワクチン不足が確定しているので、現場では少々混乱するかもしれません。

薬品卸からワクチンが届いたのは先週の木曜と土曜。これでなんとか予定通り接種を開始できました。
例年このように、接種開始日の直前にようやくワクチンが届きます。いつもヒヤヒヤです。
ワクチンが届いてからの予約受付では遅すぎるので、ワクチンが届く前から、見切り発車で受け付けています。

かつて、納品が間に合わなくて、急遽別の業者に泣きついてワクチンを融通してもらったことがありました。
ワクチンが入手できなければ、接種開始が遅れることになり、予約済みの方には申し訳ないことになります。

今年の流行は、例年よりも少し早くなりそうで、すでに他県では先月ぐらいから学級閉鎖が出ているようです。
ところがつい8月までは、前シーズンのインフルエンザが散発的に発生しており、当院でも診断しました。

前シーズンの流行と今シーズンの流行とが、ほとんどシームレスに続いており、区別が付きません。
ていうか、流行をシーズン分けできる根拠もなければ、意義もないのかもしれません。
それに北半球の夏場は、南半球の冬場。インフルエンザ流行期です。
地球規模で見れば、年間を通してインフルエンザは流行しているわけです。

「インフルエンザワクチンは、いつごろ接種を始めたら良いですか」という質問を、よく受けます。
「できるだけ早く1回目を、十分間隔をおいて2回目を接種しましょう」と、毎年答えています。
とくに今年は、流行が早いことに加えてワクチン不足が確実なので、どうしても接種したい人は急ぎましょう。

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基礎研究の重要性
- 2017/10/02(Mon) -
ノーベル生理学・医学賞は、米国の3人の研究者に贈られることが決まりました。
授賞理由は「概日リズムを制御する分子メカニズムの発見」、つまり「体内時計」の仕組みの解明です。

残念ながら、日本人の3年連続のノーベル生理学・医学賞受賞は、なりませんでした。
本命視されていた本庶佑・京都大特別教授は、今年も受賞を逃しました。
本庶先生といえば、がん免疫治療薬「オプジーボ」の開発につながったタンパク質の発見でも知られています。

世界的に高名な医学研究者ですが、意外と人間的で面白い人のようです。先生の文章の一部を紹介すると、

「あの企業の株が上がると思ったと後から言う者と、実際にその可能性にかけて株を買った者との違いである」
研究のアイデアを思いついたことと、その可能性にかけて実際に研究することの違いを述べたものです。
本庶先生の話には卑近なたとえ話が多く、とてもわかり易いのが特徴です。

「山奥に道なき道を分け入り、初めて丸木橋を架けることが私にとっての喜びであり、丸木橋を鉄筋コンクリートの橋にすることではない」
基礎研究こそが未来の世界を変えるのであり、その応用に興味は無いと、そう言っているのです。

ところが安倍首相は、2年前のOECDの基調演説でこう語りました。
「学術研究を深めるのではなく、もっと社会のニーズを見据えた、もっと実践的な、職業教育を行う」
山奥を分け入るようなことはせず、鉄筋コンクリートの橋をたくさん造れというわけです。残念な考え方です。

日本の近年のノーベル賞ラッシュは、過去の遺産を食いつぶしたものに過ぎないと、大隅良典氏は言います。
いま基礎研究で手を抜けば、将来の日本からは自然科学系のノーベル賞は出なくなるかもしれません。
安倍首相だけでなく、文系の政治家には、その重要性がわからないようです。

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開院10周年
- 2017/10/01(Sun) -
本日、つるはらクリニックは、開院10周年を迎えました。
これもひとえに、皆様方の温かいご支援のおかげです。厚く御礼申し上げます(毎年同じこと言ってます)。

10月1日の開院記念日はいつも、インフルエンザワクチンの接種開始日と重なります。
これを利用して10年前には、開院したばかりの当院の知名度を上げるために、格安料金で接種しました。
このもくろみは当たったかもしれませんが、しかしそれは後の、インフルエンザ地獄の始まりでした。

初年度の成功体験に味を占めて、2年目(2008年)は悪のりしてしまいました。
過去8カ月間の来院患者宛に暑中見舞いを発送し、それをインフルエンザ予防接種500円割引券としたのです。
暑中見舞い持参者の接種料金は1,500円。そうでなければ2,000円。

窓口は混乱しました。「自分の所には、あのハガキは来てないが、どうしてだ」というクレーム多数。
「最近の受診者宛に発送したのです」と説明すると、「病気をしなかった自分が悪いのか」と。ごもっとも。

「1枚のハガキで家族全員に有効」としていたら、「家族が別々の日に接種したい」という人が続出。
後日また使える様にハンコを押して再利用を許可したり、「家族」の解釈でもめたり・・・

3年目(2009年)は、「新型」と「季節性」インフルエンザの、ワクチン2本立てになりました。
新型は公定価格なので異常に高い。そこで被接種者の負担軽減のために、季節性の方は格安に設定しました。
しかし国の政策がチグハグで、ワクチンの接種が新型インフルエンザ流行に間に合わず、大混乱した年でした。

翌年(2010年)は、「新型」と「季節性」の混合ワクチンとなり、しかも公定価格での接種。
もう、何も考えず、国が決めた料金設定で予約をとって接種する。これはホントに、精神的に楽な年でした。

その後も紆余曲折ありましたが、いまは標準的な料金設定としています。
作業を楽にするために、ネット予約とそれ以外で500円ほどの料金差をつけて、ネット予約を誘導しています。

インフルエンザワクチン接種では、医療機関はほとんど儲かりません。そのことを最後に、強調しておきます。

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