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首相の「全国一斉休校要請」以来、世の中がかなり動きつつあります
- 2020/02/29(Sat) -
安倍首相が記者会見を行い、今から2週間程度、感染拡大防止のためあらゆる手を尽くすべきだと述べました。

子育て世代や中小企業等への助成金についての言及もあり、休校要請から2日遅れで説明がなされた形です。
政府の要請によってかかる経費を国民には負担させない(国が払う)、というのが基本姿勢のようです。

クルーズ船に関連した政府対応のまずさについて明確な反省の弁が無かったことには、少々ガッカリしました。
どうしても過ちを認めない体質だけは、変わらないようです。まあしかし、大事なのはこれからです。

2日前の、首相の「全国一斉休校要請」以来、世の中がかなり動きつつあることを実感します。

今後感染者が増えれば、一般診療所にも詰め寄せてくるでしょう。医療者が濃厚接触しない工夫が必要です。
検査態勢の改善は何よりも優先します。迅速検査キットの開発も急いで欲しい。もちろん治療薬も。

ところでANAとJALは昨日、2/28-3/12の国内線の航空券のキャンセル料を、無料にすると発表しました。
さらに昨夜のうちに、無料キャンセルが出来る期間が3/19の便まで延びました。

私はこの期間に、研究会と学会参加のために、大阪2往復と東京1往復の航空券を買っていました。
しかし、感染対策や学会中止等の理由によって、すでに3往復ともキャンセルしていたのでした。
その手数料が痛手でしたが、昨日の航空会社の決定によって、払戻手数料が全額戻ってくることになりました。
「あらゆる手を尽くすべきだ」という首相の言をうけて、航空会社も動いたのでしょうか。助かります。

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北海道知事の「緊急事態宣言」会見に、唐突感が少ないのはなぜ
- 2020/02/28(Fri) -
安倍首相が昨日突然打ち出した「全国一斉休校」の要請が、激しく波紋を広げています。
やることなすこと後手後手だと非難されて来ましたが、思い切って先手を打っても、結局は批判されるのです。

ただ批判の中身は、過剰(やり過ぎ)だという意見と、英断だが唐突(準備不足)だという指摘に分かれます。

私は後者の意見です。なにしろ周知期間が無かった。でも目的を考えたら、早ければ早いほうが効果的。
休校の「副作用」への準備が、ほとんどできてないこともたしかに問題。行き当たりばったり感が拭えません。

しかし官僚任せにしたり専門家の審議を待っていたら、肝心の1,2週間などすぐ過ぎ去ったことでしょう。
こうなったら後先考えず、厳しい批判は覚悟で、ともかく前進してみた安倍首相の勇気は買います。

ただ細かいコトを言うなら、現場の生徒や教師の準備期間が、せめてあと1日ほしかっった。
首長によっては、1日か2日遅らせて休校を開始する自治体もあり、その発想の柔軟さに感心します。

熊本市では、実質的に明日から1カ月以上の休校が始まります。夏休みに匹敵するぐらい長い休みになります。
市長は、なるべく自宅から出ないようにと言いますが、1カ月出ないのは酷ですよね。
もっと困るのは、働いている母親です。欠勤すれば、こんどは職場に影響が出ます。
そういった面に対して、国や自治体がどのように支援・補償・助成等ができるのか、大事なのはそこですよね。

北海道の鈴木知事が今日、緊急事態を宣言しました。これも強烈な決断なのに、不思議と唐突感が無いですね。
自分の言葉で丁寧に説明しているからでしょうか、印象がいい。「ウポポイ」がずっと気になるのだけが難。

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PCR検査を断られる以前に、保健所に電話がつながらないのですが
- 2020/02/27(Thu) -
新型コロナウイルス対策で、大臣らが異口同音に述べているフレーズがありますが、正誤表を付けておきます。
(誤)「引き続き、先手先手の対応を進めていきたい」
(正)「引き続き、後手後手の対応を許して頂きたい」(笑)

政府は今日、全国の学校の臨時休業を要請しました。ちょっと遅かったけど、まあ大胆な決断だとは思います。
しかし突然の休校は、学校や生徒やその家族のみならず、家族の職場にまで影響が及ぶ一大事です。

いくら対策を進めたとしても、どうしても「クラスター」になってしまうリスクが高いのが、医療機関ですね。
なぜならそこは、咳や熱など怪しげな症状の方が、わざわざ集まる場所だからです。

政府の基本方針では、今後患者数が大幅に増えた場合、一般の医療機関でも患者を受け入れることになります。
しかしそこで医師が患者に濃厚接触してしまえば、その後の診療を中止しなければなりません。
ヘタをすると当院のような医療機関では、患者を一人診察するたびに、2週間ほど休診することになりますね。

それ以前に、いま診察している風邪の患者さんがすでに、新型コロナウイルス感染者である可能性もあります。
新型コロナは風邪のような顔をしてやって来ます。院内では風邪として診察し、処方を行う事になります。
ほとんどの方はそのまま治るわけですが、一部が肺炎になり、そうこうするうちに重症化します。

最終的にPCR検査で新型コロナだと判明すると、どうしてもっと早く診断できなかったのかと問題になります。
診断が付くまでの間に医療機関を「たらい回し」にされた、などと書き立てるメディアも出てきます。

そのような危険を避けるためにも、早め早めに保健所に相談するしかありませんが、これが大変なのです。
まず、電話がつながらない。今日も相談センターの2つの番号に電話しましたが、何度かけても話し中。
裏技を使ってどうにかつながりましたが、結局、PCR検査の対象外との判定でした。でしょうね。
本格的な流行期に突入したとき、PCR検査が受けられるかどうか以前に、はたして電話がつながるんだろうか。

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今後2週間のスポーツ・文化イベントの自粛が、どこまで有効なのか
- 2020/02/26(Wed) -
「イベント等の開催について、現時点で全国一律の自粛要請を行うものではない」
昨日示された「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」では、そのように説明がありました。

ところが今日になって突然、安倍首相が自ら、今後2週間のスポーツ・文化イベントの自粛を要請しました。
「この1,2週間が極めて重要だ」というのがその理由。いやいや、それなら昨日も言ってたでしょうに。

これはまことに違和感のある方針転換です。では昨夜いったい何があったかと言えば、IOC委員の発言ですね。
「3カ月たっても事態が収束していなければ東京五輪中止を検討するだろう」

この発言に対して当初、官房長官も五輪相も口をそろえて「IOCの公式見解ではない」とスルーの姿勢でした。
ところが実際には、とても衝撃的に受け止め、首相官邸は大騒ぎになったのだろうと推測します。

コトの重大さに気づき、慌てているのです。メディアや国民の意見は無視しても、「外圧」には弱いのです。
なんといっても東京五輪は、安倍首相の長期政権の有終の美を飾る、歴史に残るイベントですからね。

こんな疫病ごときで五輪を中止させてはなるものかと、動機は不純ですが、安倍首相がやる気を出したのです。

しかし残念ながら、その程度の自粛要請では、たぶん4月ごろには日本国内で大流行が起きてしまうでしょう。
それに、流行のピークをへたに遅らせてしまったら、むしろ五輪開催には逆効果になるかもしれませんよ。

それともまさか、政府の手ぬるい感染対策は、五輪前に流行をピークアウトさせてしまおうという戦略なのか。

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いまこそ、全国一律の自粛要請に踏み切るタイミングではないのか
- 2020/02/25(Tue) -
政府が決定した「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」は、さほど目新しい内容でもありませんでした。

「イベント等の開催について、現時点で全国一律の自粛要請を行うものではない」なんて、軽すぎませんか。
「今後1~2週間が瀬戸際」だとするのなら、国民が驚くほどの強硬な措置をとるのかと思っていましたが。

感染拡大のリスクが高いとされる「対面・近距離・長時間・多人数」の接触を、本気で徹底的に避けたいなら、

・学校は全面的に休校、卒業式等は中止、入学試験はすべて延期
・電車の窓開け運行(可能なら)と乗車制限:そのために企業活動は可能な限りテレワークまたは休業
・映画館・劇場等の閉館、競技会やコンサートや寄席や集会の中止、大型店舗やモールは閉店または入店制限
・医療機関の受診制限:慢性疾患は処方箋のみ交付、急性疾患は新型コロナの疑いの有無で医療機関を分ける

などを考慮すべきですが、どうしても中途半端。近隣の国々の方がよっぽど思い切りが良いですね。
Jリーグが公式戦の延期を決定したのは英断です。大相撲は開催か無観客開催か中止か悩み中。プロ野球は?

感染が疑われる方のPCR検査条件の緩和が具体的に盛り込まれるかと思いましたが、いまだに曖昧です。
これまで通り、37.5度以上が4日(基礎疾患があれば2日)続いたら相談センターに連絡するというルール。

しかしいま実際に当院を受診されるのは、昨夜39度出たとか、38度以上が2日続いているという方がほとんど。
これらの患者さんがインフルエンザが陰性だった場合、さてどうすべきかが悩むことになりますね。
残念ながら、たとえ高熱であっても、4日続かなければPCR検査をしてもらえないのが実情なのです。

「今後1~2週間が瀬戸際」だとしても、検査態勢が変わらなければ、医療機関も対応を変えようがありません。

今後患者数が大幅に増えた場合についての方針も記載されていますが、いまそれ重要?って言いたくなります。
だって、何度も言いますけど、「今後1~2週間が瀬戸際」なんでしょう? 大胆な手を打つなら、いまでしょ。

悲観的なコトは言いたくないけど、この程度の基本方針なら、アウトブレイクに突き進むしかありませんね。

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医療機関は、ウイルスを集めてばらまくクラスターにならないか?
- 2020/02/24(Mon) -
新型コロナウイルス感染は、若い方の重症者がいることも気がかりだし、感染拡大が大問題になってきました。
「今後1~2週間が瀬戸際」と言いますが、できるだけ延ばしたい感染のピークは、どんどん五輪に近づきます。

そんな大事なときなのに、厚労省の異常な不手際ばかりが目に付きます。クルーズ船関係でまとめてみると、

・船内にウイルスを封じ込めたと思ってたのに、船内隔離の実態はザル。むしろウイルス培養状態だった。
・それを告発した学者にかみついた政治家が出した画像もまた、隔離の不備を裏付ける動かぬ証拠となった。
・2週間隔離したのだから問題ないと乗客を帰宅させたら国内外からの批判に遭い、自宅待機を指示する泥縄。
・心配していた通り、帰宅者から感染者が出てしまうし、多くの乗客を無検査で帰宅させていたことも判明。
・船内業務に従事した役人らが未検査だったのは、陽性者が多く出たら業務に影響するという驚くべき理由。
・なので一緒に船内業務を行っていた仲間が発症しても、自分が発症するまでは検査も受けずに業務を続ける。

つまり、きちんと感染制御を行っている建前上、新たに感染者が出ることは認めたくないし調べたくもない。
彼らの「検査して陽性者が出たらどうするんだ」という論理には、ある種の恐怖すら感じます。

いまやクルーズ船など相対的に小さな問題となりましたが、厚労省の体質だけは改めてもらう必要があります。

当院のような一般の医療機関に感染者が押し寄せる日が、もうすぐ来るでしょう。
PCR検査には余計な条件など付けず、医師の指示があれば全員受けられるような態勢を作ってもらいたい。
また安全な診療を続けるためにも、医療従事者自身の感染の有無を毎日チェックできるようにしてほしい。
そうしないと医療機関は、感染者からのウイルスを非感染者にばらまく「クラスター」になってしまいます。

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B型インフルエンザなぜか少し増えてますけど、どうしたものか
- 2020/02/23(Sun) -
残念ながら、クルーズ船とは関係なく、すでに巷には新型コロナウイルスが広がってきた様相です。
とはいえクルーズ船は、いまだに毎日のように新たな問題点を繰り出してくるので、まったく油断できません。

船内業務を行った国の職員がウイルス検査を受けてなかった問題は、むしろ後日談の方が気になります。
問題を指摘されて、慌てて検査を行うことにしたようですが、医師や看護師や検疫官は検査の対象外とのこと。
その理由は、「医療関係者は感染を予防する技術を習熟し、十分に対策しているから」だと。もう、ガッカリ。

医療従事者への意地悪としか思えません。こんなバカな指示を、誰が出してるんですか。まさか、副大臣?

医師や看護師に予防技術があっても、彼らが真っ先に感染するリスクがある現状が、わかってないようです。
クルーズ船のみならず、医療の最前線に立つ医療従事者は、病人への接触の濃厚さが違うんです。

「医療関係者は感染しないはず」という勘違いを前提に、「だから検査は不要」と結論づけるとは呆れます。
「船室内で隔離したから感染してないはず」「だから下船後の隔離は不要」と乗客を帰宅させた失態と同じ。

すでに日本国内には、数千人、数万人の新型コロナウイルス感染者がいると推測している専門家もいます。

日頃診察している「風邪」の患者さんの中にも、最近はもしかすると感染者が紛れているかもしれません。
今日は、やたらとB型インフルエンザの患者さんが多かったですが、原因不明の発熱者もいました。

わかっている感染者数は熊本県内ではまだ3人という少数ですが、それは検査対象が限られているからです。
仮に、風邪の患者さんを片っ端からPCR検査したらどれほどの感染者が判明するのか、それはわかりません。
いまはただ、厚労省の基準を考慮しつつ日々の診療を行い、場合によっては保健所に相談する段階です。

簡易検査キットと治療薬とワクチン。日本の科学技術力を総動員して、大至急開発してもらいたい。

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遠からずこうなると思っていましたが、市中感染が広がっています
- 2020/02/22(Sat) -
熊本でもいつかは出ると思っていた新型コロナウイルス感染者ですが、いきなり来るとショックですね。
昨夜、1例目のニュース速報に衝撃を受けたばかりなのに、今日はもう3例目まで報じられています。

最初の2人は、医療従事者とその家族。3人目は、北海道で感染した後で熊本に来たと思われる方。
前者では院内感染がとても心配になるし、後者では感染者の移動・拡散の問題がクローズアップされます。

医師や看護師や教師や老健施設の職員の感染は、もっともうつしたくない対象に感染を広げる危険があります。
いずれにしても我々はもう、市中感染が次々に起きる国内感染期に突入したと認めなければなりません。

その市中感染による感染の急拡大を少しでも遅らせるために、さまざまな催しの中止や延期が決まっています。
私に関係あるものでは、来月の循環器学会(京都)が延期されました。航空券の取消手数料が高額でした。
同じく来月の心臓血管外科学会は今のところ開かれるようですが、こんどはウイルス感染が心配になります。

クルーズ船から下船した乗客の中に、下船前のウイルス検査をしていない乗客がいたと報じられました。
そして恐れていた通り、ウイルス陰性として下船した日本人の、ウイルス感染が確認されました。
いずれも、感染制御が不十分であったことの証であり、官僚や大臣が何を弁明しても説得力がありません。

さらに、クルーズ船内で業務した厚労省職員の多くが、ウイルス検査をせずに職場復帰したと報じられました。
彼らはその後、霞が関に感染を拡大させたかもしれません。こう言っちゃナンですが、これからが見ものです。

当院を今日受診した発熱者の中の何人かが、新型コロナウィルス感染を心配していました。
さいわい、「帰国者・接触者相談センター」に電話しようかと思うようなケースはありませんでした。
今後はしかし、やや過剰気味であっても、とりこぼしのないように検査を勧めなければならないでしょう。
いよいよ、深刻なステージに突入です。

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清潔・不潔の区別は、医療従事者の基本中の基本ですけどね
- 2020/02/21(Fri) -
ついに熊本市でも、新型コロナウイルス感染者が出てしまいました。看護師のようですが、現時点で詳細不明。
明日からの診療は、感染防御のための患者動線の管理など、昨日までとはだいぶ異なる雰囲気になりそうです。
マスクや手洗いはもちろんのこと、発熱来院者すべてに新型コロナウイルス感染の疑いをもつ必要があります。

クルーズ船で感染した2人が亡くなりました。また、船内の隔離が不十分である証拠が次々と出てきています。
いまいちばんの話題は、岩田健太郎教授の告発動画に対する、橋本岳厚労副大臣のツイートでしょうか。
橋本氏がゾーニングの証拠として見せた画像は、逆にゾーニングの不備を見事に裏付ける証拠となりました。

「左手が清潔ルート、右側が不潔ルートです」と書かれてますが、笑っちゃうほど隔離ができてない状況です。
だって、入口だけが区別されていても、その手前のホールも向こう側の部屋も、まったく同じ空間ですからね。
ここで「不潔ルート」と書いてあるのは、「防護服を脱ぐ方はこちら」ぐらいの意味しかありません。

医療の世界で「清潔」と言えば、通常は「無菌」と同義です。無菌の確証が無ければ、すべて「不潔」です。
今回の場合は、新型コロナウイルスに汚染されている可能性がわずかでもある場合に「不潔」と考えます。
なので「清潔」と言えるのは、空中にも壁にも床にも新型コロナウイルスがまったく存在しない場合だけです。

こんな状況を見て、「よし、ゾーニングOKだな」と画像をアップした橋本氏の医療水準には驚くばかりです。
この人がクルーズ船の感染制御のお目付役なのだから、もう何でもアリでしょう。

下船後にオーストラリアやイスラエルに帰国した乗客の中から、ウイルス感染者が出ました。
そのうち間違いなく、下船した日本人の中からも感染・発病者が出ますね。
でも厚労相や官僚はきっと、「下船後に市中感染した可能性も否定できない」などと言い出すはずです。
あー、それにしても、明日からは大変になりそう。

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「船内隔離だけで十分である」という建前を押し通して良いのか
- 2020/02/20(Thu) -
クルーズ船内で事務業務を行っていた厚労省と内閣官房の職員が、新型コロナウイルスに感染しました。
クリーンであるはずの事務作業場所がクリーンじゃなかったことが、これで実証されてしまったたわけです。

おりしも厚労省は今日、クルーズ船内の感染制御についての文書を発表したばかりでした。
ソフトな文体で書かれていますが、その実態は岩田教授の「告発動画」への反論です。その要旨は以下の通り。

・船内の感染管理について、感染制御支援チームの医師が見回りや指導等を連日実施してきた
・乗客へは、繰り返しアナウンスで指導し、スマホを配布して動画を配信し啓発を行った
・乗員へは、業務中のマスク・手袋の着用等の衛生や、食事を離れて摂るなどを徹底してきた
・医療従事者へは、乗船前に専門医等による講習を受けさせた

それぞれの文末に「はずだから、問題ない。」と付けるべきかもしれません。つまり全部、建前です。
建前ばかりを並べてみたのはよいけれど、実際にはまともに守られていなかったということです。

ところで、国立感染症研究所が昨日公表した「暫定的な結論」が、なかなか面白い。いくつか挙げると、

・クルーズ船の性質上、全ての乗員乗客を個別に隔離することは不可能であった
・客室数には限りがあり、乗員はクルーズ船の機能やサービスを維持するため任務を継続する必要があった
・船の運航を維持するために、検疫期間中乗員は乗客ほど完全に隔離はされていなかった

さすがに感染研は科学者。厚労省が示した建前が現場では守られてなかったことを、すでに白状しています。
この調子では残念ながら、下船して帰宅した人たちの中から、感染者が次々に現れそうです。

諸外国は、日本が行った船内隔離を信用してないので、下船・帰国後の乗客らを、さらに2週間隔離します。
日本はしかし、下船後の隔離をしません。船内隔離だけで十分であるという建前があるからです。

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クルーズ船内告発動画を批判する人たちが、どうもうさん臭い
- 2020/02/19(Wed) -
神戸大感染症内科の岩田健太郎教授が昨夜YouTubeに投稿した動画が、恐ろしいほどの波紋を呼んでいます。
これは岩田氏が昨日、横浜のクルーズ船に乗り込んで見た「惨状」を告発したものです。

岩田氏は日頃から、感染症を分かり易く解説する文章を書いており、オカシなことを言う人物ではありません。
彼がアップロードした動画の内容には驚くばかりですが、残念なことに、決して意外ではありませんでした。
動画は多くのメディアで取り上げられ、また多くの人々が驚きをもって各自のブログ等で拡散しつつあります。

ところが一方で、この動画に対する批判的意見もまた、一部で噴出しています。
ただ、それらは岩田氏の動画の内容を真っ向から覆すものではなく、苦し紛れの揚げ足取りにしか見えません。
学者生命を賭けた岩田氏の告発を批判する人たちに、政権に近い方々がいるのも、よけいうさん臭い。

真実は何なのか、どちらが正しいのか、双方ともに嘘があるのか、私にはまったくわかりません。
しかし、昨今の国会審議を見ていると、政治家や官僚の言い分をすんなりと信じる気にはなれません。
ソレとコレとは別だと言われそうなので、この件はこれ以上は膨らませないでおきます。

いずれにせよ、実際にクルーズ船内にいた乗客や乗員の証言が得られる日は、そう遠くないでしょう。
一部のDMATの医師は、汚染したガウンでクリーンなエリアに入る人もいた、などと証言し始めています。
船内の様子を撮影した乗客も多数いたはず。岩田氏の告発がデマか真実か、じき分かります。

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ウイルス検査陰性の乗客らが、下船・帰宅後に発症しないことを祈る
- 2020/02/18(Tue) -
クルーズ船から88人、船外では、東京3人、横浜1人、和歌山では3人の感染者が新たに判明しました。
東京の3人のうち2人(80代と50代)は重症、横浜の1人(60代)も呼吸管理中とのこと。
東京の残り1人と和歌山の1人は、すでに感染が判明している医師の子ども(20代と10代)でした。

重症者の割合が多い印象がありますが、重症だから検査した、という側面があるのでしょう。
すでに判明している感染者との濃厚接触者の中に、次々と新たな感染者が出ているようにも見えます。
しかしそれも、濃厚接触者だから検査したのであって、検査したから感染が発覚しただけの話。

つまり、検査などしていない「風邪症状」の感染者が、全国の市中に無数に存在している可能性があります。
毎日のように風邪やインフルの診療をしていますが、その中に新型コロナがやがて入り込んでくるのでしょう。

クルーズ船の乗員乗客約3,000人のうち、ウイルス検査が陰性で無症状の方は、明日から下船が始まります。
14日間船室に閉じ込められた方々が、本当に確実に隔離されていたかどうかは不明です。
もしも不確実なら、下船後さらに14日間隔離して経過を見るべきかもしれませんが、それはもう酷でしょうね。

何度も書きましたが、できるだけ早く下船させて隔離しておけば、ここまで感染は拡大しなかったはず。
これにはしかし、日本政府の問題だけでなく、外国船籍だからこその難しさもあったと、指摘されています。

にしても、このたびのクルーズ船問題では、日本は諸外国から大いに非難されています。
「(日本は)1回決まったら最後まで(方針を変えず)ずーっと行ってしまう。自分で間違ったと反省しない」
そのように言うイタリア人がいました。これは痛い。日本のお役人の体質をよくおわかりで。

「クルーズ船の対応で良かったこと悪かったこと、しっかり検証して次につなげていきたい」と菅官房長官。
過去形で言うにはまだ早いですよ。明日からの下船方法やその後のフォローも、世界中が注目してますから。

「ここはウイルス培養船だ。3日前に検査して陰性だったが、3日もここにいたら陽性に変わる」
下船を前に、そう嘆く乗客もいました。ホントにそう思います。下船する乗客乗員の今後が、とても心配です。

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「帰国者・接触者相談センター」って名称が、すでにダメっぽい
- 2020/02/17(Mon) -
言うまいと思えど今日の寒さかな( You might think today’s some fish.)。今夜、熊本には雪が積もるとか。
書くまいと思へど今日もクルーズ船。今日は99人ですか。船外でもまた、あちこちで感染者が出ています。

新型コロナウイルス感染の拡大は、とどまる様相がありません。そろそろ「国内蔓延期」も近いですね。

厚労省は今日、この感染症を疑うケースを「帰国者・接触者相談センター」に相談する目安を公表しました。
・かぜの症状や37.5度以上の発熱が4日以上続いている人や、強いだるさや息苦しさがある人
・高齢者や持病のある方は上記の症状が2日程度続く場合に、妊婦は早めに

さらに、センターに相談した場合は、センターから勧められた医療機関を受診すること、となっています。
また、発熱などの風邪症状が見られるときは、学校や会社を休むように、とのこと。

これらはあくまで「目安」ですから、現場の医師による判断も重視されるのだとは思っています。

先週、湖北省近隣の都市からの帰国者が当院を受診されたので、念のため保健所に相談してみました。
すると保健所は、「湖北省ではないのでPCR検査の対象ではない」との理由で、経過観察するようにとの返答。
いまなら保健所の対応も異なるかもしれませんが、先週はまだ強力な「湖北省縛り」があったのです。

厚労省からの指示や通知に100%従うのが自治体や保健所ですから、臨機応変な対応など存在しないようです。
もとより、やり過ぎて叩かれることを何よりも恐れるのが、お役人の体質です。
しかし、中央省庁が後手後手の対応しかできていない現状では、地方のお役人が勇気を持って当たってほしい。

今後日本中で、そして熊本でも、感染疑いケースが出始めてくることでしょう。
感染症指定医療機関でも何でもない当院は、不安な場合は相談センターに問い合わせることになります。
しかし、相談したら的確な対応があるのか、大事をとって最大限の配慮をしてくれるのか、それが心配です。

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武漢からの観光客が置いて帰った時限爆弾が、各地で爆発を始めた?
- 2020/02/16(Sun) -
クルーズ船からまた70人感染者が出たというニュースにも、もはや驚かなくなってしまいました。
全員が感染するまで船内軟禁を続けるつもりかよ、なんてのが冗談ではなくなりそうな勢いです。

400人近い米国人乗客の内の大半が、今夜から米政府のチャーター機で帰国することになりました。
香港政府も、330人を帰国させるためのチャーター機を派遣する方針とのこと。他の国々も同様の動きです。

各国政府が国内世論におされる形なのか、「汚染国からの自国民救出」を始めたということでしょう。

船内から新型コロナウイルス感染者が出たのなら、すぐ横浜で全員下船させて個別隔離すべきでした。
それなのに、隔離もせず船内で自由に飲食や観劇などが行われていたあの時期が、どうしても悔やまれます。

乗客ら全員の下船・隔離等を実現するためには、移動手段や宿泊施設など、膨大で困難な作業を伴います。
なので外国人が帰国してくれることは、日本としては願ったり叶ったりですが、なんか格好良くはないですね。

本来であれば、日本政府主導で計画的に、サクサクと船内全員の下船なり隔離なりを進めて欲しかった。

そのクルーズ船以上の大問題になりつつあるのが、別ルートからの国内感染の拡大です。
もちろん、別ルートとはいえ、新型コロナウイルス感染はすべて、元をたどれば「武漢」です。

最初に報じられた日本人の国内感染者は、武漢からのツアー客を乗せた、奈良のバスの運転手でした。
しかし、1月に武漢から日本に来た観光客は、一説には1万人以上と言われます。バスなら数百台分です。

その中に感染者がいて日本各地に感染を広げ、いまや全国中に無数の感染者が分布している可能性があります。
発症して重症化した患者が念のためPCR検査を受けたら感染が発覚した、ということなのかもしれません。
感染ルート不明な感染者が、あちこちで次々に現れ始めるフェーズが、いまちょうど始まったのでしょう。

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「新しいフェーズに入った」と言うけれど、大流行はやはり避けたい
- 2020/02/15(Sat) -
新型コロナウイルス感染症は、この2,3日で「新しいフェーズに入った」と、しきりに言われています。

特段に致死率の高い病気ではないので、インフルエンザと同じように予防(手洗い等の励行)すれば、大丈夫。
という考え方を基本として、重症化しやすい高齢者らを守ろう、という方向にシフトしつつあります。

しかし、インフルエンザと大きく違う点があることを、よく認識しておかなければなりません。
(1)誰も免疫をもっていない(過去に感染して獲得した免疫もなければ、予防接種による免疫もない)
(2)初期症状はインフルよりも軽い(最初から高熱が出ることが少なく、徐々に悪化する)
(3)潜伏期がインフルよりも長く、潜伏期間中でも感染力がある(知らないうちに感染が広がりやすい)
(4)簡易検査法がない(一般の医療機関では診断ができず、状況証拠で判断するしかないが、それも困難)
(5)特効薬がない(インフルに対するタミフルのような切り札がなく、対症療法しかない)

では、新型コロナウイルスの感染規模はどうなるでしょう。もしもインフルと同等だとしたら、一大事です。

季節性インフルエンザは、毎年約1千万人が罹患し、その結果、約1万人が亡くなっています(超過死亡)。
前述の(1)〜(5)を考慮すれば、新型コロナがインフルよりも大規模な流行になる可能性すらあります。
すなわち最悪の場合、1千万人以上が新型コロナに感染し、1万人以上死亡するかもしれないということです。

軽症なので広がりやすく、でも一部で重症化しやすい新型コロナウイルス感染症って、ほんと、タチが悪い。

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もはや封じ込めが無理っぽいので、早期治療に集中すべき段階ですね
- 2020/02/14(Fri) -
「東京五輪はできるのか」
テレビの報道番組でも今日あたりから、そのような発言を少し耳にするようになりました。

日本は、悪い事を口にすれば、「そんなことを言うとホントにそうなるぞ」と批判される「言霊」の国です。
しかしいま、最悪かどうかはわかりませんが、日本がより悪い方向に向かっていることは間違いありません。

もちろんまだ諦めるには早い。最善を尽くせばなんとかなるはず。やれることは何でも迅速にやりましょう。

新型コロナウイルス感染におけるクルーズ船の乗客乗員の取り扱いは、諸外国にバカにされるほどの失策です。
発症したら濃厚接触者も含めて検査し、陽性なら隔離するという、まさに「感染待ち」作戦ですからね。
感染者を順次隔離していき、最終的に全員が感染した時点で、「よし封じ込めた」と言うつもりだったのか。 

このような、密室閉じ込め作戦の誤りに、いまごろ気がつき始めたようですが、だいぶ遅かったですね。
イヤなこと言わせてもらうなら、乗員約千人はほぼ全員、乗客も数百人レベルで感染してるような気がします。

それに加えて、日本国内のあちこちで、すでに感染が広がっていることが、やっとわかってきました。
皮肉なことに、クルーズ船の問題は相対的に重要度が下がってしまいました。

決して恐ろしい疫病ではなく、「正しく恐れる」なんて表現がよく使われますが、具体的には難しいことです。
感染者が増えれば、それに比例して重症者や死者も出てしまいます。
しかし無症状の方や軽症者があまりに多くて、感染者の把握も封じ込めも、もはや不可能かもしれません。

一般の医療機関としては、肺炎患者は迅速に高次医療機関へと搬送する、というスタンスで良いのでしょうか。
中国縛りはもはや無意味。ではどのような病状で新型コロナウイルス感染を疑えばいいのか。難しいですね。

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感染経路不明の新型コロナウイルス感染者が、次々に出現し始めた
- 2020/02/13(Thu) -
もう、クルーズ船どころの騒ぎではなくなってきました。新型コロナウイルス感染症は、予想外の展開です。

(1)神奈川の80代の女性が死亡
中国ともクルーズ船とも接点なし。1月22日に発症し、2月1日に肺炎と診断され入院。状態悪化し本日死亡。

(2)都内の70代のタクシー運転手が感染
死亡した80代女性の義理の息子。1月29日発症。乗客からうつったのか、義母からうつったのかは不明。

(3)和歌山県内の50代の男性勤務医(外科医)が感染
1月31日発症。中国人との接触なし。発症してから3日間は通常勤務。同僚の医師らにも肺炎患者が出ている。

(4)千葉県内の20代の男性会社員が感染
2月2日発症。中国人や肺炎患者との接触なし。発熱後も3日間勤務していた。

いずれも、クルーズ船やチャーター機とは別ルートの、市中や病院外来等における感染と考えられます。
当初は新型コロナウイルス感染と想定されなかったため、医療機関では通常の診療を受けたと思われます。
感染経路も不明なら、その後に感染が拡大した可能性とその経路もまた、不明です。

クルーズ船での感染拡大を毎日ずっと心配してきましたが、もう、その心配も無意味かもしれません。

われわれ医療従事者は、現時点では、来院した患者さんの中国渡航歴に目を光らせて診療する日々です。
ですが、これほどまでに国内での二次・三次感染が広がれば、中国縛りはもう余計なバイアスとなります。

かといって、肺炎患者全員を隔離したりPCR検査するわけにもいきません。難しいフェーズに入って来ました。

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感染症対策が後手後手なのはしょうがないとして、今後どうするかです
- 2020/02/12(Wed) -
クルーズ船からまた、新たに39人の感染者が判明しました。
だからずっと言ってるように、一刻も早く全員を順次船から下ろし、別の施設で個別隔離しなくちゃ。
幸運にもまだ感染していない人を(そんな人がいるのかどうか分かりませんが)、確実に保護するためです。

検疫官にも感染者が出ました。これは今後の医療従事者の感染を予感させる、ショックな出来事です。

新型コロナウイルス感染者は、感染症指定医療機関における感染症病床に入院させる規定になっています。
しかし緊急その他やむを得ない場合、感染症指定医療機関以外の医療機関に入院させることが可能です。
厚労省はここに来て、その例外規定を強調するような通知を出しています。感染症病床が足りないからです。

となると、感染症指定医療機関以外の医療機関で医療従事者が感染しないか、それがいちばん心配になります。

件の検疫官は、マスクと手袋を付け、防護服は着用せず、乗客から質問票の回収作業等を行っていたとのこと。
ウイルスに感染したのは、マスクや手袋の外し方に問題があったんじゃないかと言う人もいます。
しかし検疫官に不手際があったとしても、それを誘発したのは膨大な仕事量に伴う過労ではなかったのか。

検疫作業の際に防護服を着用していなかったことが、今となっては悔やまれます。
その当時は、防護服など必要ないと、感染力を過小評価したということなのでしょう。厚労省の判断ミスです。
そんなことだから、感染者が出てもしばらくは乗客を船室で個別隔離せず、船内で自由に交流させたのです。
二次感染者が出てうろたえる、ド素人のような初期対応をした挙げ句が、いまの感染者数なのです。

まあ済んでしまったことは後日みっちり検証するとして、大事なのは今後です。
検査して下船なんてことを言ってたら、キリがないですよ。一刻も早く全員下船させ、地上で個別隔離です。
もちろん隔離施設は、前にも書いた「選手村」です。もう選択の余地も猶予もありません。

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『パラサイト』について、ネタバレしないように書くけど、たぶん無理
- 2020/02/11(Tue) -
韓国映画『パラサイト 半地下の家族』が、英語以外の映画では史上初の、アカデミー作品賞を受賞しました。
脚本賞も監督賞もとったのでパラサイトの「完勝」ですね。というわけで遅ればせながら今日、観てきました。

<ご注意:まだこの映画を観ていない方へ>
ネタバレには注意して書きますが、わずかなネタバレでもイヤな方は、これ以上読み進まないでください。

さすが、並み居る強敵を抑えただけのことはあります。高い前評判を前提として観ても、面白かったですね。
ひとことで言うなら、「韓国の格差社会の悲劇を描いた社会派スリラー(ちょっとコメディー)」でしょうか。
「衝撃の展開は誰も予想できない」と言われる本作品。少し予想しながら観ましたが、役に立ちませんでした。

根っからの極悪人は登場しません。そこが救われるところ。全登場人物が憎めない。むしろある意味被害者。
キャラクターがかぶらず、観ていてわかり易い。ただし、名前を混同しそうになるのが、韓国映画の難点です。

いろんな伏線が心地よく回収されていきますが、2度以上効果的に使い回す伏線が、なかなか上手いですね。
詐欺映画からスリラーへと、途中ジャッキー・チェンばりのドタバタにもヒヤヒヤしつつ、結末へ向かいます。

最後の方で何人か死傷しますが、これが日本映画なら、最終的に命が助かる人間が異なるような気がします。
エンディングもなかなかニクい。これがハリウッド映画なら、多分あと10秒早く終わってますよね。

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クルーズ船の方々は全員感染者、と考えるぐらいの対処が必要では?
- 2020/02/10(Mon) -
「新型コロナウイルス感染」の話題ばかりを書きたくはないのですが、何しろ毎日新事実が出てきます。

クルーズ船の乗客乗員から、また新たに65人の感染者が確認されました。これはまた、急に増えましたね。
おそらく、たった一人の男性(香港在住の80歳の男性)から、合計135人まで感染者が広がったわけです。
二次感染か三次感染か、はたまた四次感染か、それはもう、どうでもいいことです。
最終的に、乗客乗員全員が感染するんじゃないかと、そんな突拍子もない予想にも、現実味が出てきます。

船内に残る約3,600人は、あと9日間は船室で隔離される予定です。ホントに厳しい居住環境が続きます。

今日の65人との濃厚接触者や、発熱などの発症者は、今後ウイルス検査が行われるでしょう。
それ以外の、期日まで無症状でしのいだ人たちには、下船前に全員検査が行われることになりそうです。

その下船前検査によってウイルス陽性となれば、その本人は病院に送られます。
また、そのウイルス陽性者との濃厚接触者は、たとえウイルス陰性でも、隔離(経過観察)が必要です。
感染初期には、検査で「偽陰性」となる場合があるからです。

何日も同じ船室で過ごせば、中から誰か一人でも感染者が出たら、同室の全員が感染していることでしょう。

ここまできたらもう、乗客乗員全員がすでに感染者と考えて、先手を打って対処すべきではないですか。
たとえウイルス検査が陰性でも、今後しばらくは隔離、またはそれに近い管理が必要です。
船内の方々には酷な話です。最大限の心身のケアが必要なことは、言うまでもありません。
なにしろ人数が多いですから、いまのうちから少しずつ、隔離施設への移動を始めた方がいいと思いますけど。

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五輪選手村は、クルーズ船の人たちの快適な隔離施設になりませんか?
- 2020/02/09(Sun) -
東京五輪の選手村(高層住宅群)って、いまどうなってましたっけ。もう完成してますかね?
もしも誰も言ってないのなら私が言いますけど、あの選手村を隔離施設として使うわけにはいきませんか?

いまクルーズ船に居る約3,700人のストレスは、断片的には報じられてはいますが、想像以上のものでしょう。
すでに新型コロナウイルスに感染している可能性は全員にあり、その不安も大きいはず。
ご高齢の方も多いツアーです。医学的にも人道的にも、狭い船室での隔離を続けるのには問題があります。
医薬品の補給、持病の悪化・急変や別の急病等に即応できるためにも、やはり地上で隔離すべきでしょう。

選手村の宿泊施設は21棟・3,850戸。奇しくも、クルーズ船の全員をまるっと受け入れ可能じゃないですか。
個室は居心地いいでしょうし、給食設備なんかも充実してるんでしょう?(よく知りませんが)
発症前の人たちを隔離して居住させる場所としては、うってつけじゃないですか。

感染が終息して被隔離者が退去した後に消毒・清掃すれば、安心して選手村として使えます。何か問題でも?

もしも、夏が近づいてもまだ選手村におおぜい隔離されているような状況なら、そんときゃもう、アレでしょ。

この件は、メディアが論じても時間がかかるし、ましてブログ等でいくら書いても、何も変わりません。
誰か国会議員が、国会の場で、安倍首相にズバッと質問してほしい。やるなら今でしょ、と。

「やるべき対策は、躊躇なく決断し、実行してください」と言ったのは、ほかならぬ安倍首相ですから。

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ネタが無い日は記念日ネタに逃げます。で、今日は「ニッパーの日」
- 2020/02/08(Sat) -
2月8日なので、当然「ニッパーの日」だろうとググったら、たしかに「ニッパーの日」でした。
ただし最上位に出たのは、工具の「ニッパー」ではなく、犬の「ニッパー」の記念日でした。

ビクター(JVCケンウッド)のトレードマーク、「His Master's Voice」の犬の名が「ニッパー」だそうです。
この絵は、病死した飼い主の声が聞こえてくる蓄音機をのぞき込むニッパー君を描いたものだとか。
私はその犬の名前がニッパーだとは、今日の今日まで知りませんでした。不勉強を恥じております。

もともと私が2月8日から連想したのは、工具の「ニッパー」の方ですけどね。
工作で電線を切ったり被覆を剥いたりする時に使う、あの片面が平坦で小穴があって先が尖った工具です。
切断するための工具なので、何かを掴む機能が主体の「ラジオペンチ」とは形状も用途も異なります。

ところが世の女性、少なくとも家人は、ニッパーとラジオペンチの区別が付いていません(ニッパひと絡げ)。

わが家になぜか3つぐらい存在するニッパーは、実は「斜ニッパ」といって日本独特のニッパーらしいですね。
プラモデルの「バリ取り」とか、爪の横のささくれを取るのにも、ニッパー(または爪切り)が重宝します。

ところで犬の「ニッパー」君は、すぐ人の足を噛む(nip)から「Nipper」と命名されたそうですね。
つまり工具の「ニッパー」と同語源、ていうか同じ言葉だったわけです。
てことは今日は、犬の名でもあり工具の名称でもある「ニッパー」の記念日、と言ってもよいでしょう。

ちなみにわが家の愛犬「花ちゃん」も、そこそこのニッパーです。
人の手は「甘噛み」しますが衣類は強く噛むので、ときどき上腕の皮膚を服の上からガッツリやられます。

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飛行機の中って、濃厚接触からは逃げようのない閉鎖空間ですよね
- 2020/02/07(Fri) -
「私も見ました」「楽しみが増えました」「騒音は気にならないですね」「見てると仕事になりません」

といった投稿が、一部の飛行機等愛好家の間で楽しげに飛び交っています。
羽田空港の新しい飛行ルート運用を前に始まった、国内線旅客機を使っての試験飛行についてのコメントです。

国際線の発着回数を増やすために見直された新ルートですが、都心上空を飛ぶのは南風運用時の着陸経路です。
出発経路と交錯しないよう、新宿・渋谷・品川上空を通過して、直線的に羽田に向かいます。

ただ、ビルをかすめて飛ぶように見える機体、鳴り響くエンジン音はどうも、世間一般には不評のようですね。
でも飛行機好きにはたまらないのです。うるさくてもいいのです。むしろ狂喜乱舞なのです。

さらに搭乗する側からすれば、着陸前に海や千葉ではなく、都心を眺めつつ遊覧飛行をすることができます。
実は今日、所用で上京したところ、運良く私もその景色を見ることができました。その詳細はまた、後日。

武漢から退避する日本人を乗せたチャーター機の第4便が、今朝羽田に到着したようです。
サテライトターミナルへのバス乗り場は、閉鎖されていました。武漢便専用になっているのでしょうか。

熊本空港や羽田空港のGSさんも保安検査の人も、機内のCAさんも、みんな例外なくマスク着用でした。
乗客の方は、今朝の便で約7割、夜の便ではもう9割近いマスク率でした。近隣に咳の人がいなくて良かった。

できることなら機内入口や空港内の各所に、アルコール手指消毒液を配置してくれると助かるんですけどね。
保安検査場の、カバンやスマホや衣類を乗せるトレーの使い回しが、今日はいちばん気になりました。

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新型コロナウイルス感染のおかげで、インフル少なめ?
- 2020/02/06(Thu) -
この時期にしては、あまりインフルエンザが出ませんね。毎日患者さんは来ますが、かなり少数です。

流行開始が早くて、予防接種率が上がった可能性があります。昨年の当院での接種数は、過去最多水準でした。
新型コロナウイルス感染対策が国民全体に浸透し、そのおかげでインフルも減った、という分析もあります。

米国では今、過去10年で最悪レベルのインフルエンザ流行のようです。しかも驚くべきことに、B型です。
B型の流行は約30年ぶりとのこと。すでに死者1万人超。もやは新型コロナウイルスどころじゃないのです。

一方で日本では、A型はすでに下火で、B型もわずか。全体的には流行期が終了したような印象です。
もちろん今後、インフルエンザの流行が再燃する可能性はあるので、油断は禁物です。
B型だと予防接種がよく効くはずです。なんなら今から接種してもいいんですよ。ワクチンの在庫あります。

ところで、「新型コロナウイルス感染」って、「SARS」「MERS」みたいな略称がなくて困ります。
メディアでは「新型肺炎」というところもあるし、「新型コロナ」と言ってるニュースキャスターもいる。

「新型コロナ」は、ひところのトヨタ車のことですから、そんな風には略さない方がいい。
70年代に、私が自動車学校で教習を受けたときの車も「コロナ」でした。たぶん、当時としては新型。

今後、全国各地で新型コロナウイルス感染者が出てくる様になったら、もう水際作戦は終了。次の段階です。
最終的には、インフルエンザと同様の対処で臨むということでしょう。インフルエンザ並に恐れましょう。

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船内留置は不完全だし、もう限界。むしろ陸上で隔離すべきでは?
- 2020/02/05(Wed) -
大方の予想通り、クルーズ船内での感染は起きていました。たぶん今後、ウイルス陽性者は増えるでしょう。
感染者は入院となり、それ以外の乗客は全員、あと2週間ほど船内に留められるとのこと。これはキツイ。

厚労省はの現在の方針は、次のようです。
・症状の出ていない乗客乗員についても、感染拡大を防ぐために14日間程度、船内にとどまるよう求める
・高齢者や持病がある人については症状がなくても検査することも検討している

つまり、こういうことです。
・まだ感染していない乗客乗員には、今後新たに感染するかもしれない機会が14日間続く
・高齢者や持病がある人でもない限り、症状が出るまでは検査はしない

2週間後にまた乗客にウイルス検査をして、また何人か感染が判明したら、次はどうするんでしょうね。
さらに2週間延長ですか。さすがに人道的に問題ありませんか。しまいにゃ乗客が全員感染しますよ。

昨日も書きましたが、大事なことなので2度でも3度でも言います。船内留置では感染が拡大する一方です。

乗客乗員全員を確実に個室に隔離できればよいですが、船の上では完璧にはいかないでしょう。
食事その他、誰がどのように3千人の世話をするのか。当然ながら、乗員も隔離対象ですからね。
同室の夫婦は、今後もずっと相部屋です。どちらか一人でも感染していたら、最終的には夫婦共倒れです。

こうなったら一刻も早く、陸上での確実な隔離に切り替えるべきじゃないのでしょうか。

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クルーズ船は、濃厚接触が延々と続く劣悪閉鎖空間になっていないか
- 2020/02/04(Tue) -
新型コロナウイルス感染の潜伏期は、最大で10日だということになりました。
一方で、中国での感染者数は10万人以上、そのうち半分は潜伏期間中に感染したとする推計もあります。

感染者が乗っていたクルーズ船は、いまだに横浜港沖に停泊しています。
熱や咳などの症状がある乗客とその濃厚接触者に対して、ウイルス検査を行うためです。

残念ながら、ウイルス陽性者が出る可能性は十分あります。その場合、どのような対応になるのでしょうか。

ウイルス陽性者は即入院(隔離)ですが、陰性の方でも「偽陰性」の可能性を考慮しなければなりません。
数日後に再度のウイルス検査を行うまで、陰性の方も隔離しておいた方がよいでしょう。

一方で、無症状で未検査の乗客は、明日にも下船・帰宅・自宅待機とするような話が出ていました。
厚労省は、香港で感染者が下船してから10日経過したので大丈夫だといいますが、少々あさはかな理屈です。

感染源を、香港で降りた人に限定するのは危険です。船内での二次感染の方こそ大いに心配すべきです。
理論的には、船内で今日感染した人がいるかもしれず、明日下船しても、本来なら10日間の隔離が必要です。
自宅待機となれば、家族への感染拡大が懸念されます。横浜港から自宅までの移動手段も大いに気になります。

いま、クルーズ船の乗客たちは、食事や観劇などを含め、船内では比較的自由に過ごしているようです。
陸から見れば、船というのは絶好の隔離環境ですが、船内自体は、濃厚接触が可能な状態が続く劣悪環境です。
検疫に時間をかけることが、かえって船内感染を拡大させることになっているのかもしれません。

無症状なので検査を受けなかったけど、実は感染していて潜伏期の乗員乗客が、はたして何人いるのか。
その方々が明日、下船することになるのでしょうか。それが百人千人の規模でないことを祈るばかりです。

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「あさっての方向」とは、具体的にどっち向きなのか?
- 2020/02/03(Mon) -
節分なので「恵方巻き」を、昼休みに流儀に則って黙って一気に食べました。
今年の恵方は「庚(かのえ)」。ほぼ西南西ですが、正確には255度の方向です。
前に書いたように、iPhoneのコンパスは「磁北」ではなく「真北」に設定しておく必要があります。

ところで最近、「『おととい』の前の日は、『やのおととい』ですよね?」と尋ねられて、狼狽しました。

『やのおととい』?、たぶん初耳。それに「おとといの前日」と言えば『さきおととい』のポジションのはず。
いやしかし、『やのあさって』だってその意味には地域差があるそうだし、『やのおととい』もありなのか?

確認のために辞書(日国)を引いたら、驚くべきことが記載されていました。
・「あさっての翌日」は、東日本が『やのあさって』、西日本が『しあさって』という東西対立分布がある
・しかし、都区内は例外的に『しあさって』である
・「あさっての翌々日」は、西日本が『ごあさって』、関東は『しあさって』、都区内のみ『やのあさって』

私の場合、どういうわけか都区内の用法に一致します。少なくとも『ごあさって』には承服しかねます。

そういえば「あさっての方向」って、本来の方向からどのぐらいズレているのでしょう。昔からの疑問です。
右斜め60度ぐらいズレているのが私の感覚ですが、そもそも、そのズレ具合に標準値があるのでしょうか。
いやもちろん、「あさっての方向」には比喩的な意味があるってことは、わかってます。
ググったら「山田J太による漫画」だと。知らん。ていうか今日も、拙ブログはあさってなエンディングです。

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マスクの品切れは困りますが、そもそも使い方は正しいですか?
- 2020/02/02(Sun) -
医療従事者にとっては、一般の方以上にマスクが必需品なのですが、新型肺炎のせいで世の中マスク不足です。
当院も先週までになんとかかき集めましたが、今週はもう、追加購入が難しい状況になりました。
こんな製品って、メーカー在庫がたんまりあるんじゃないの? あるなら早く吐き出して欲しい。

ためしにAmazonを見てみると、ありきたりのマスクが異常な高値で売られていますね。あくどいです。
日本でコレですから、中国ではもっと深刻な事態になっていることが想像できます。

いや、訂正。中国は想像をはるかに超えていました。
なにしろマスクをペットボトルで作ってますからね。驚きを通り越して、もはや敬意を表したくなるレベル。
笑うしかない果物の皮のマスクも、決してウケ狙いじゃなく、真面目に装着してそうなところが怖い。

しかし翻って日本でも、一般の方がマスクを扱う様子には問題も多く、中国の状況を笑うことはできません。

マスクを扱う上で重要なのは、鼻周囲の隙間をなくすことと、内側(顔に接触する側)を清潔に保つことです。
しかし一般の方を見ていると、自由自在に取り外したり、適当にそこらへんに置いたりしています。
床に落ちた子どものマスクを拾い上げ、パンパンとはたいてから、また装着させる親もいます。

最近は立体的な形状のマスクがあり、私は使ったことがありませんが、鼻へのフィットが良さそうです。
この形だと、自然と内側には触れにくいので、清潔も保ちやすいですね。
ただ、一般の方が毎日使い捨てて使うだろうか、何日も使い続けるんじゃなかろうかと、そこが心配です。
まあ、昔のガーゼマスクよりはいいですけどね。あれは上下も裏表も区別してませんでしたから。

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国だけじゃなく、医療機関レベルでの水際対策も重要なので準備中
- 2020/02/01(Sat) -
世界の国々が、新型コロナウイルスに対する「水際対策」を強化しています。
米国は、中国滞在歴のある外国人の入国を拒否し、湖北省滞在歴のある米国人は2週間隔離するとのこと。
さすがに米国のやることは徹底しています。それと比べると、わが国の対応は数歩遅れていますね。

決して強毒性ではありませんが、感染者数がどんどん増えれば、いつか日本でも犠牲者が出るかもしれません。

われわれ医療従事者にとっては、院内感染を防ぐために、外来における水際対策も重要です。
効率を考えるなら、現時点ではやはり武漢や湖北省といったキーワードで判断するしかないかもしれません。

新型コロナウイルス関連の院内掲示物を作ろうと思っていたら、医師会からpdfファイルが提供されました。
ダウンロードしてみると、「患者さんへのお願い」というタイトルの掲示用資料がが2パターンあります。

その一方(1)には、武漢滞在歴や濃厚接触歴等があれば「受付にその旨お申し出ください」とあります。
もう一方(2)には、武漢滞在歴や濃厚接触歴等があれば「必ず事前に電話で相談してください」とある。

院内掲示用として(2)は不適切、ていうか手遅れ。なので(2)は、入口の外に掲示する必要があります。
一方で(1)を入口に掲示すると、そのまま受付まで入ってきてしまうので、外には貼らない方がいい。
ということで、入口には(2)だけ、受付には(1)だけを掲示する、という運用が正解。

などと、どーでもいいこと考えるヒマがあったら、もっと良いポスターを自分で作れよ、って話ですよね。

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