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「発熱外来」稼働1カ月
- 2020/11/30(Mon) -
「診療・検査医療機関」に指定されて当院が「発熱外来」を稼働して、気が付けば1カ月たちました。
他の患者さんとは「時間的空間的分離」を行って診療を行うために、それなりに苦労・工夫をしています。

日々の発熱外来診療の内容は、厚労省に報告をしなければなりません。そのためのシステムが「G-MIS」です。
G-MISとは、「新型コロナウイルス感染症医療機関等情報支援システム」の英語の頭文字です。
( Gathering Medical Information System on COVID-19 )
ただし「情報支援システム」よりは「情報回収システム」とした方が、実態にも即してますけどね。

実際の運用はWebフォームへの入力だけなので、その点は簡単です。しかもMacでも使えるのが良いですね。
そのフォームに、IDとパスワードを入力してログインし、二つの「シート」に入力することになります。
(1)日次調査シート:毎日の発熱外来開設時間、発熱患者人数や検査人数等を、毎日13時までに報告する
(2)週次調査シート:毎週の医療資材の在庫量・備蓄見通し、購入見込量などを、毎週水曜日までに報告する

などと書きましたが、実はまだ、このシートに入力したこともなければ、厚労省に報告したこともありません。
発熱外来を開設して以来、私はG-MISへの報告を怠ったまま、すでに丸1カ月を経過してしまっているのです。

なぜそんなことになったのかと言えば、当院のIDも初期パスワードも、いまだに発行されていないからです。

さすがにどうかと思い、本日、県の担当部署に尋ねてみたら、厚労省の作業が遅れているようです、との返答。
なので毎日のデータは、各自がエクセルか何かに記録しておくようにとのことでした。

厚労省も忙しいのです。全国の医療機関の発熱外来の診療詳細などに、今はかまっている暇はないのでしょう。
しかしこれが「発熱外来診療体制確保補助金」につながるわけですから、あとでチェックが行われるはずです。
とはいえ、毎日の診療データの検証はほとんど不可能に近く、実質的にはノーチェックになるかもしれません。
各医療機関が、真面目に診療して、正確に記録して、正直に報告する、という点につきるんでしょうね。

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まっくらな駐車場でさむい
- 2020/11/29(Sun) -
つい2週間ほど前にも恐れていた通り、本格的に寒くなりました。今年は久々に、例年並みに寒いといいます。
発熱患者の問診や検査等のために駐車場に行き来するのが寒いし、しかも夕方になると真っ暗ですね。
そうは言っても、発熱した患者本人の方がよっぽど辛いわけですから、私などは我慢するのみです。

半袖の白衣の上に長袖ガウンを羽織ってはいますが、それはあくまで防護具であって防寒具としては非力です。
フェイスシールドにしても、飛沫は防げますが、冷気が顔を刺します。手袋もしかり。防寒にはなりません。

「発熱者専用ダイヤル」から教えられて当院に電話してくる方が、だいぶ増えてきました。
「新型コロナ相談センター」に相談した方もいますが、いまは「専用ダイヤル」が主な窓口になっています。

発熱外来では、毎日いろんな問題に直面します。たとえば今日は、大半の方が一人で来院されました。
一人だと、会計だとか薬局でも本人と対応せねばならず、感染防御を考慮するととても手間がかかります。
徒歩や自転車で来院する方もいて、待機場所の確保で苦労しますが、なんとか工夫するしかありません。

発熱外来に来たけども、やっぱりコロナの検査は受けたくないと躊躇する方も、時々いらっしゃいます。
多くの方が、陰性なら知りたいけど陽性なら知りたくないという、矛盾に満ちた心境で来院されています。

単に体調が悪いだけでなく、とにかく不安なのだろうと思います。
診療所の発熱外来で「陰性証明」は出せませんが、患者さんの支えになるべく、日々の診療を行っています。
もしも今後、感染大爆発の時が来たら、自分や職員が果たしてどこまで頑張れるのか、予測がつきません。
いわゆるアクセルとブレーキは、そろそろ急ブレーキを踏む時期じゃなかろうかと思えてなりません。

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医療ひっ迫で問題となるのは、むしろコロナ以外の患者です
- 2020/11/28(Sat) -
本日発表された全国の新型コロナ感染者数は、過去最多となりました。重症者数も過去最多です。

病床使用率も増加し、50%を超える府県も増えています。各地の医療はかなりひっ迫した状況です。
新型コロナに対応するベッド数を増やせば、その分、他の疾患用のベッド数が減ることになります。

世の中の目は、コロナ治療体制の確保に向いていますが、実はコロナ以外の医療もひっ迫しているのです。
新型コロナウイルス感染による医療ひっ迫というのはつまり、医療全体にかかわる問題です。
検診が差し控えられて癌などの早期発見が遅れたり、癌が見つかっても手術時期が遅れる可能性もあります。

当院のような診療所レベルでも、発熱外来を設定することで、一般の診療にしわ寄せが起きています。
非発熱者を限られた時間帯に診療する必要が生じるため、その時間帯は詰め込み診療になりがちです。
急がない検査を延期することもしばしばあります。乳幼児の予防接種枠も、かなり制限せざるを得ません。

昨日保健所から、「COVID-19に係る検査の徹底について」と題して、次のようなFAXが届きました。
「発熱患者等が医療機関を受診した際に(略)積極的にCOVID-19の検査を実施していただくよう」

発熱者は原則として全員、コロナの検査をせよ、というのが国からの要請だそうです。

そう言われなくても、当院の発熱外来においては、必要があればコロナ検査(抗原検査)を行う体制です。
しかし、時間的空間的分離を徹底しようとすると、一人当たりの診療にかなり時間がかかります。
発熱外来に十分な時間を割いて準備することで、一般患者への医療サービス提供量が確実に減っています。

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ネット利用専用のクレジットカードがあってもいい
- 2020/11/27(Fri) -
ネット利用専用のクレジットカードを作ろうと思い、久しぶりに1枚、新しいカードを作りました。
店舗や企業などの提携カードではなく、カード会社本体が発行する、いわゆる「プロパーカード」です。

発行手続きはネットから。本人確認のための免許証画像等の添付は不要。2,3分で審査が通りました。
数日後、カードが郵便局に届いたことを知らせる「本人限定受取郵便到着のお知らせ(特伝)」が届きました。
このお知らせを持って北郵便局に行き、免許証を提示すると、カード会社の封筒を受け取ることができました。

カード会社が行うべき「本人確認」作業は、郵便局員に委託した(丸投げした)形です。うまい仕組みですね。
さすがに郵便配達員には任せず、局内で職員が行うところで、安全性を高めているのでしょう。

届いたカードは、ネット上の取引にのみ使うつもりなので、財布等に入れて持ち歩くことはありません。
パソコンに登録して、カード番号等が自動的に出てくる様に設定したら、もうカード本体に用事はありません。
本来は必要なカード裏への記名などしません。暗証番号の初期登録も不要。カードは自宅に保管しておきます。

このように、カード本体を一切使わないつもりなら、最初っから実カードの発行自体が不必要で無駄ですね。
カード番号・有効期限・名義とセキュリティーコードという、たかだか数十文字の情報だけあれば十分です。
なのでカード会社は、カード申し込みの際には、実カードが必要かどうかを選択させてもいいと思います。

Apple Cardもそのカードレスの発想なので、未来的だと思います。実店舗で使うならApple Payで使える。
ただ、Apple Cardの場合、実カードも発行できてしかもそれがカッコイイので、ついつい作りたくなりそう。
ていうか、Apple Cardは、日本にはいつ上陸するんでしょうね。

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目的地NGで、出発地OKには、深い理由があるのかも
- 2020/11/26(Thu) -
札幌市と大阪市を「目的地」とする旅行が、Go Toトラベルの対象から外されました。
一方で、その地を「出発地」とする旅行は、Go Toトラベルの対象からは除外されていません。

感染拡大地域が「目的地」なら問題で、「出発地」ならOK、というのは、少々理解に苦しむ理屈です。
西村大臣はその理由を、「医療ひっ迫地域に多くの人が訪れたら、病床に大きな影響が生じる」と言います。

感染地を「目的地」とする旅行の問題点は、旅先で感染して、地元にコロナを持ち帰ってしまうことです。
一方で、感染地を「出発地」とする旅行の問題点は、感染者が他の地域に感染を広げてしまうことでしょう。
そのいずれの場合も、感染拡大地域での医療ひっ迫には、直接的にはあまり関係がないように思えます。

しかしたしかに、旅行者が多数押し寄せれば、観光スポットや飲食店で「3密」が起きやすくなります。
そのことが原因で、感染地の住民にも感染がさらに広がり、結果的に、医療ひっ迫につながる懸念はあります。
「目的地」NGは、よく考えてみると意外に有効な方策なのかもしれません。

一方で、「出発地」OKを極論すれば、感染地の住民が旅先で医療を受けるのはかまわない、ということです。
その意味まで含んだ、感染拡大地域での医療ひっ迫軽減策とするなら、これはずいぶん考え抜かれたものです。

にしても、全国レベルでの感染拡大を食い止めるためには、「出発地」からも除外すべきことは明白です。

3週間程度の「短期集中策」だというのは、つまり、クリスマス前には制限を緩和したいということでしょう。
であるならば、中途半端なことはやらず、もっと思い切った感染拡大防御策を発動すべきじゃないですかね。
このままでは、史上最悪の年末年始になりゃしないかと、私は本気で心配しています。

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スプーンって、消耗品なんでしょうね
- 2020/11/25(Wed) -
毎朝ヨーグルトを食べています。おかげで快便です。
もともと一日一食(夕食のみ)だったのですが、最近、朝はヨーグルトだけは食べるようになりました。
なので朝のメニューは、ヨーグルト、野菜ジュース(一日分の野菜)、コーヒーの3品を、その順に摂ります。

少し正確に記述しますと、こうです。
まずカトラリー用の引き出しからスプーン(大)、次に食器棚から小鉢とコップを取り、キッチンに並べます。
冷蔵庫からヨーグルト(複数あればいちばん軽いパック)を取り出し、大さじ3杯分すくって小鉢に入れます。
次いで野菜ジュースをコップに多めに注ぎ入れ、小鉢とコップをダイニングテーブルまで運びます。
それらを食している間に、家人がコーヒーをいれてくれるというのが、ほぼ例外の無い、毎朝の流れです。

最も重要なのは段取りです。キッチンとダイニングを、いつも決まった順路で無駄なく歩くことが肝要です。
その一連の流れにおいて私がいちばん初めにする事は、引き出しから「スプーンを取り出す」という行為です。

ところが、です。毎朝引き出しを開けた時の印象ですが、最近どうもスプーンの数が減っているようなのです。
スプーンなんて、なくなる訳ないのに、現に、なくなってます。日に日に数が減って、今は1,2本という有様。

あまりに不思議なので、試しに「スプーン なくなる」でググったら、同じ現象を報告するブログ多数あり。
ただ、それらの多くは小さなティースプーンが無くなってる話ですが、私の場合は「大さじ」ですからね。
まったく原因不明の、一種のオカルト現象ですね。大さじ消失のメカニズムをご存じのかたは、ぜひご一報を。
「どうせ、お前が投げ(捨て)たんだろ、医者だけに!」っていうブラックジョークはナシでお願いします。

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「ドッグラン」に出かけて散歩して帰って来たの巻
- 2020/11/24(Tue) -
愛犬「花ちゃん」の、今日は5歳の誕生日でした。中型犬で5歳と言えば、人間では38歳に相当するとか。
幼いときにペットショップのケージの中で熊本地震を経験した後、2016年の5月にわが家にやって来ました。

花ちゃんは忠実な番犬です。庭や近隣を常に監視しており、宅配便の車などが来ると猛然と吠え始めます。
庭に出ている時に外来者が来たら、芝生の上を走り回りながら吠え続けて威嚇します。優秀かつ勇猛です。

誕生祝いに今日は、郊外の「ドッグラン」に連れて行きました。
穏やかな日差しの下で芝生を疾走したり、別の犬とじゃれ合ったり、そんな姿を想像して出かけたのでした。
ところが現地には、他の犬が誰も来てませんでした。広く寒々しい空き地を、ただ1人で散歩しただけでした。

それ以前に、出かけるときから車の中で、花ちゃんはずっとブルブル震え、ハアハア息をしていました。
多分これから、動物病院に連れて行かれると思ったのでしょう。ビビり上がって、おびえていました。
自宅に居るときは勇猛果敢な番犬ですが、ひとたび野外に出ると、実は温厚で優しくてビビりなのです。

現地に到着してリードを外しても、走り出すわけでもなく、まるでリードが着いている時と同じ歩き方です。
日頃の散歩の時のようにクンクン匂いを嗅ぐ仕草もなく、ただ、ブラブラと行ったり来たりの小一時間。
犬も飼い主も飽きたので、帰宅と相成りました。結局今日は、「ドッグラン」ならぬ「ドッグ走ラン」でした。

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診察中の世間話の中にも、いろいろヒントがあります
- 2020/11/23(Mon) -
生活習慣病のご高齢の患者さんは、男性はしばしば寡黙ですが、女性はおおむねおしゃべり好きです。
いや、必ずしもそうではないのですが、そのような方が目立つので、記憶に残るのです。

診察室から出る間際の「ドアノブコメント」が、その前の診察時間よりも(多分)長い方もいらっしゃいます。
もう、ドアノブを取り外して自動ドアにしようかと思うぐらいです。ウソですよ。

処方内容については、ざっくりと把握している方もいれば、すごく厳密に管理している患者さんもいます。
どちらのタイプの方が治療しやすいかは、一概に言えません。

高血圧治療薬を、ブロプレス(8mg錠)からアジルバ(20mg錠)に切り替えた方のケース。
翌月聞いてみたら、20mgでは強すぎると思い、自己判断で半錠の10mg分だけ飲んでいたそうです。
成分が異なる薬物なのでミリ数自体は比較できませんよ、と説明したのですが、私自身にも疑問は残りました。
薬剤名にミリ数を明記することが、かえって誤解を招かないだろうかと。

でもそれでヒントを得て今では、薬を増強する際には、ミリ数の小さな薬に変更する小技を、時々利用します。
もちろん、きちんと説明した上での処方変更ですが、数値から来る威圧感を軽減する効果はあると思います。

配合錠に切り替えることで、薬を減らしたように見せることもありますが、もちろんダマシじゃないですよ。
飲みやすさと、ある種のストレス軽減を狙ったものです。

しかし、良い面ばかりでもありません。まず配合錠は原理上、用量が微調整しにくいのが難点。
覚える薬の名前が増えるのもイヤだし、ジェネリックが使いにくくなれば患者さんには不評です。

日常診療において処方薬は、気持ちよく(したがって確実に)飲んでもらえてなんぼ、ですから。

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東京や大阪や札幌の発熱外来は、たぶん修羅場なんでしょうね
- 2020/11/22(Sun) -
新型コロナよりもインフルエンザを心配して来院される方が、最近ときどきいらっしゃいます。
もしかすると、その高熱はコロナではなくインフルであってほしいという、願いがあるのかもしれません。
さいわい熊本ではまだ、インフルエンザはほとんど出ていないようです。私もまったく遭遇しません。

いま多いと感じるのは胃腸炎。手足口病もしつこく見かけます。アデノウイルスや溶連菌感染もボチボチ。

インフルの疑いが否定できない病状経過で、検査が適切と考えられる場合は、迅速検査をすることになります。
となるといまどき、コロナも同時検査することになりますね。自己採取鼻腔ぬぐい液による抗原検査です。

コロナの検査法は、その検出対象物、検体、採取法などが、とくにこの数か月でどんどん広がってきています。
それに伴って、検査機関や保険点数や窓口負担金も変わり、リアルタイムで追随するのもなかなか大変です。

いま国は、全国の医療機関に「発熱外来」を設置させるべく、その体制確保経費を補助しようとしています。
しかしこれは、発熱外来の設置を補助するものであり、発熱外来の稼働を支援する制度ではありません。
診療しなければフルに補助を受けられ、診療すればするほど減らされるという、一種の「休業補償」なのです。

ある程度予測はしていましたが、実際に自分が発熱外来を始めてみると、その制度の本質的矛盾に気付きます。
発熱者が来なければ良いのにと、つい願ってしまう気分にさせるようなこの仕組みは、やはりおかしいのです。
頑張れば報われ、危険な診療には手厚い保障がある、そんな医療機関支援策であってほしいものです。

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「Go To トラブル」だと揶揄していた頃が懐かしい
- 2020/11/21(Sat) -
「Go To トラベル」事業はついに見直され、一部制限されることに決まりました。でしょうね。
感染拡大地域に限定して、強い措置を講じるとのこと。菅首相の決断は手遅れではないと思いたい。

「Go To トラベルが感染拡大の主要な要因であるとのエビデンスは、現在のところ存在しない」
昨日まではこのように言ってたお歴々ですが、その裏で方針転換の時機をうかがっていたことは明白です。
物証(エビデンス)がなくても、状況証拠はあります。尾身会長も西村大臣も、本心ではわかっていたはず。

感染を早く沈静化した方が、結果的には経済的なダ メージも少なくなる、という考え方に舵を切ったわけです。

「エビデンス」は、学者や医者が以前から、「科学的根拠」という意味でよく使っている言葉です。
そしてたぶん官僚らも、こういうカタカナ言葉が好きです。
さらに専門家会議等でこの言葉が頻出するモノだから汎用語になり、政治家まで使うようになったのでしょう。

「証拠が無い」と言われると、その柔軟性の無い言葉にムカつく人もいるでしょう。角が立つ表現です。
ところが「エビデンスが無い」と言われたら、「あ、そうなの。じゃ、いいですぅ」となりますね。ならんか。

どの様に方針転換を図ろうとも多少の混乱は招くでしょうけど、それを恐れていては先に進めません。
菅首相には、良心と科学に従って、バランスの良い政策を迅速に打ち出していただきたい。

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「神のみぞ知る」発言を責めている場合ではありません
- 2020/11/20(Fri) -
感染が拡大して皆がイライラする中、西村・経済再生担当大臣の昨夜のうっかり発言が、批判を浴びています。

「どの程度の新規陽性者が想定されているのか(略)見通しを示していただきたい」と問われた西村氏が、
「感染がどうなるかってのは本当に、神のみぞ知るという、これはいつも尾身先生も言われてます」
と答えてしまいました。残念ながら、表現の仕方、言葉の順番が悪かったですね。

「いつも尾身先生が、感染がどうなるかは神のみぞ知るだと言われてますが、・・・」と言うべきでした。
「神のみぞ知る」は、あくまで尾身先生の口から出た言葉として、明瞭な引用形にしておかなきゃ。

で、その尾身氏の「神のみぞ知る」発言ですが、科学者は、自分が分かることと分からないことを区別します。
なので科学的に予測不可能であることをもって、「神のみぞ知る」と表現することもあり得ます。
しかし政治家が「神のみぞ知る」と言えば、無責任だと責められるのです。でもたぶん西村氏の本心ですよね。

西村氏は正直です。実際、感染がどう広がるかは神のみぞ知るですよ、本当に。全人類がそう思ってますよ。
だから野党も、そんな言葉尻を攻撃するなんてつまらないことせずに、もっと建設的なことで議論しましょう。

政府が感染対策を国民に丸投げしてきた結果が、この第3波なのです。やはりいま何か、国の施策が必要です。
回し始めた経済を止めたくない気持ちはわかりますが、もう「Go To キャンペーン」は修正すべき時期です。
キャンペーンの全停止ではなく、繊細で効果的な方策を全集中で考えてほしいものです。国民は従いますから。

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ついに食事中にもマスクをする段階に入りましたか
- 2020/11/19(Thu) -
東京都が500人台、大阪府は300人台、愛知県は200人台と、各地で感染確認数が過去最多を記録しました。
日々の数値で一喜一憂するなといいますが、「一喜」など一度もしてませんよ。毎日「一憂」の積み重ねです。

小池知事は今日、会食時の感染防止策として「5つの小(こ)」を提唱しました。

「小人数」ここは敢えて「少人数」とは言わないのです。
「小一時間」これには吹きました。「よく考えましたで賞」を差し上げたい。けど小一時間は短くね?
「小声」大声出すなということでしょうけど、酒が入ったらどうなることやら。
「小皿」別に皿が小さい必要は無いですけどね。大皿はダメだってことね。
「小まめ」にマスクを脱着せよと。あのギャグみたいな「マスク会食」ですか。

では私も、いくつか追加させていただきます。

「小洒落た」店で飲めば、周囲の目も気になるので羽目を外さず飲めるはず。
「小料理屋」静かに大人しく飲むならやっぱりココ。
「小上がり」換気を考えると、奥の座敷はダメです。
「小鉢」小皿よりもさらに上品に、少しずつ頂きます。
「小言幸兵衛」にならぬよう、説教じみた会話をせず、楽しく静かに飲みましょう。
「小馬鹿」にした態度で会話すると、飲み屋でケンカになるのでやめましょう。「小生意気」も同様。
「小内刈り」どうしてもケンカになったら、さっさと倒して逃げましょう。「小外刈り」でも可。

ワイワイ談笑しながらゆっくり食べることのできない「会食」って、どう考えても楽しくはなさそう。
それにしても「マスク会食」って、去年以前にやったら確実にコントですよ。世の中、変わるものです。

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いきなりGoogle予測を上回る感染者数が出ましたけど
- 2020/11/18(Wed) -
新型コロナの国内感染確認数が、ついに2,000人を超えて、Google予測をも上回る過去最多となりました。

東京都でも、第2波を超える過去最多の493人。ところが、意見を問われた小池都知事は、こう即答しました。
「実は過去最多がもう一つあります。検査数です」
まるで勝ち誇ったような顔で、小池氏は平然と言い放ちました。あ〜あ、そんなんじゃダメでしょう。

教えてあげますけどね、こういうときは、次のように言うものです。
「検査数が増えて感染確認数が増えた側面もありますが、それにしても、極めて深刻に受け止めております」

政権幹部はいつも、危機的な数値が出ても冷静を装い、事態を矮小化しようとします。都知事も同類です。
まったく動じない態度を見せることで、その程度のことは想定内であると、そう言いたいのでしょうか。

都知事は、「検査を(たくさん)することによって、無症状の人も陽性がわかってくる」とも述べました。
じゃあ、これまでは無症状感染者を野放しにしてきました、と認めるのでしょうか?

まあ、そんなことはどうでもいい。ともかく政治家には、数値を客観的に正しく評価してもらいたい。
政治家としての経験とか、手腕とか、人脈とか、力量とか、そんなことよりも今は、科学的であってほしい。
他の状況ならいざ知らずパンデミックにおいては、医学(科学)的見識こそが、いちばん望まれると思います。

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「京」の百倍速い「富岳」で、コロナ予測をお願いしたい
- 2020/11/17(Tue) -
NHKの番組で、イルカを何十年かぶりに見ました。来月70歳ですか。ぼぼ昔と同じ外見と声なんですけど。
それはともかく...
Googleが、人工知能(AI)を活用した「COVID-19感染予測」の、日本版の公表を本日から始めました。
日本でもすでに同様の予測があるとしたら私の勉強不足ですが、Googleのサイトは私にはとても新鮮です。

AIを使った予測というのは、機械的と言うか「人工的」ですが、少々悲観的なデータを平気で出してきますね。

状況は流動的なのでこういう予測は鵜呑みにはできませんが、その反面、的中しかねない恐ろしさがあります。
「医療機関などに有効活用してもらいたい」とGoogleは言いますが、さて医療現場でどう活用したものか。

とりあえず、今日時点での予測ページを保存しました。4週間後の「実態」と比較してみたいからです。

Google予測によると、今後も感染者数はどんどん増え、毎日2千人ペースに達し、さらにそれを超えそうです。
地域別では北海道がダントツでヤバイ。Go Toトラベルもいい加減にした方がいいですね、少なくとも札幌は。

スパコンの世界ランキングで、理化学研究所の「富岳」が、再び世界一になりました。
「飛沫」の拡散シミュレーションではおなじみですが、「線状降水帯」の豪雨予測でも期待されています。
コロナ関係だと、ウイルスの蛋白構造だとか治療薬候補の研究でも、富岳が使われているようです。
ならばぜひ「富岳版コロナ予測」を毎日公表してほしい。Googleになんて頼らず、自前で予測しましょうよ。

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喜ばしいことに、HPVワクチンを接種する方が徐々に増えています
- 2020/11/16(Mon) -
WHOが発表した、「はしか(麻疹)」の昨年の死亡者数20万人が、大きく報じられています。
感染者数も近年では最多の87万人。となると死亡率は20%超ですか。そのことにいちばん驚きます。

予防接種率の停滞が、麻疹急増の原因といわれています。意識的にワクチンを接種しない人がいるのです。
問題は、その人たちの影響で集団免疫の成立が阻害され、地域で麻疹が流行してしまうことにあります。

これはワクチン後進国と言われてきた日本の話ではなく、先進国であるはずの米国で起きていることです。
反ワクチン団体や個人からの偏った情報がSNSを通じて拡散することが、現代の深刻な問題なのです。

選択の自由は尊重すべきですが、デマを元にした選択は、間違っているし不幸なことです。
どのような選択も、正しい科学的事実を十分に与えられ、吟味した上で、自由意志でなされるべきです。
しかし、だからといって、科学・医学が絶対なのかと問われたら、私には返す言葉がありません。
社会が成熟すればするほど、あえて科学に反する自由にも、一定の理解が必要になるのかもしれません。

だからこそ、科学的事実そのものについては、歪曲したり隠蔽するようなことは許されません。
たとえば、HPVワクチンの副作用を調べるために、3万人の若い女性を対象に行われた「名古屋スタディ」。
本来は、ワクチンの副作用を立証するための調査でしたが、蓋を開けてみたら副作用は認められませんでした。

ところが、「HPVワクチンはシロ」と言える決定的な調査結果は、事実上隠蔽されてしまいました。
いったんは、名古屋市のサイトに調査結果の速報が掲載されましたが、半年後に削除されました。
ワクチンに副作用がなかったことが立証されて公表されては困る人たちの意をくんだものです。

世の中にはいろんな考え方の人がいますが、でも厚労省は、科学的事実に従って動いてほしいものです。
さいわい、HPVワクチンを接種する人が最近増えつつあります。国が動かなくても、国民はわかっています。

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まっしろなカレンダーでさみしい
- 2020/11/15(Sun) -
コロナだ、自粛だ、第2波だ、台風だ、Go Toだ、第3波だ、などと言ってるうちに、年末が近付いてきました。

来年のカレンダーをいくつか購入しました。さらにまた、いくつか買い足そうと計画中です。
しかしそれらをいくら眺めても、来たるべき年を思って浮かれる気分にはちっともなれません。

自宅にあるカレンダーの絵柄は、犬か飛行機のどちらかです。昨年のも、だいたいそんなものでした。
先日、通販サイトで航空機の特大カレンダーを発注した後、ふと注文履歴を見たら同じカレンダーを発見。
まったく同じカレンダーを先月注文したことをすっかり忘れていて、しかもまた同じモノを買ったのです。

純粋に日付を見るためなら、私が一番重宝しているのは、1年間全部が一覧できる一枚物のカレンダーです。
4週間後とか60日後や90日後、あるいは4週間前など、診療における重要な日付が一目で分かるからです。
高橋書店の製品か、そのジェネリックを、診察室と院長室と自宅書斎の壁に貼り付けています。

このIT化の時代、日々の予定表はiPhoneやMacで管理しています。何より、全端末で同期するところがいい。
しかしまた、カレンダーの余白に書き込むようなスケジュール管理も、特定の仕事に限定すれば有用です。

自宅の飛行機のカレンダーは、去年は搭乗スケジュールを書き込むための専用カレンダーでした。
搭乗便を変更することが私はわりと多いので、「フリクションボールペン」で記入することにしていました。

ところが今年は飛行機に乗る予定自体が無い。カレンダーは単なる、飛行機のポスターに成り下がってます。
そもそも来年に、明るい行事を計画する気がしません。余白が真っ白なカレンダーは、その象徴です。

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発熱外来はしばしば、部屋が足りずに駐車場外来なので寒いです
- 2020/11/14(Sat) -
いまさら言うのもナンですけど、私は「発熱外来」という呼称が嫌いです。
なぜなら、発熱の原因や病原体もハッキリしないうちから、発熱者をみな一緒くたにはできないからです。

インフルエンザの流行期でも、インフル疑いの段階の人と確定患者とは、明確に区別しなければなりません。
インフルだと確定するまでは、インフルではない別の疾患(風邪など)の可能性も考慮すべきだからです。

コロナの疑いの方も、コロナかもしれないし別の感染症かもしれません。
たとえコロナが確定した患者でも、インフル等の感染症を併発していないか、そこまで考える必要があります。

つまり、すべての発熱者は、それぞれが異なる病原体を持つ患者だと、理論上はそう考えるべきなのです。

となると、医療機関では隔離室がいくらあっても足りません。動線を分けるための、空間も足りません。
なので、問診や簡単な診察から検査、さらに会計まで、しばしば屋外の駐車場で行っているのが現状です。
ですが、駐車場と院内とを防護具を着けて行き来する私の経路・動線には、どうしても不安があります。

理想を言うなら、駐車場から直接出入りできる診察室がいくつも並んだような構造の診療所が欲しいですね。
テントやプレハブで作った2部屋程度じゃなくて、7,8部屋がずらっと並ぶと、感染症対策としては完璧です。
各部屋の裏側にはバックヤードが隣接していて、医師やスタッフはそちら側を行き来できます。あ、コレいい。

そんな妄想をしながら、今日も屋外に出たり入ったりです。いまはまだ良いですが、真冬はどうなりますやら。

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「発熱外来」といっても、危険な場所ではありませんので
- 2020/11/13(Fri) -
いま熊本市のサイトに「発熱などの症状がある場合のご相談窓口」として掲載されているのは、次の2つです。

(1)かかりつけ医や最寄りの医療機関など、身近な医療機関
(2)発熱患者専用ダイヤル  ※相談する医療機関がわからない場合

この(2)に電話するとたぶん、当院のような「発熱外来(診療・検査医療機関)」が紹介されるのでしょう。
こう書くと、当院は発熱者ばかり受診してるのかと、一般の方に敬遠されかねませんが、それは違います。
なぜなら、「発熱外来診療体制」の基本は、診察室や時間帯を限定して診療を行うことにあるからです。
たとえば当院の場合は、毎日特定の時間帯を発熱外来用に確保し、屋外または特定の部屋で診察しています。

ところで下世話なことを書きますが、医療機関にとって重要なのは、発熱外来の開設を支援する補助金です。
これがなければ、医療機関はリスクだけを背負うことになりますからね。
遅ればせながら本日、その「発熱外来診療体制確保補助金」の交付申請書やら請求書やらを提出しました。

悲しいことにしかし、その申請書類の4枚はみな私の嫌いなExcel文書なんですよね。もちろんWindows版。
厚労省のサイトからダウンロードして、無理くりMacで開いてみると、あちこちに不具合があります。
同一文書内の表計算はうまくいきましたが、別の書類への数値コピーが働いてなくて、そこは手入力です。

間違いがあったら困るので、厚労省のコールセンターに尋ねてみました(今日も対応は親切でした)。
するとやはり、「予算書」の書き方が間違っていました(Windows版Excelなら自動入力される部分です)。

補助金の千円以下の部分は切り捨てられるため、その端数は「自己資金」として入力することがわかりました。
数値の辻褄を合わせるため、自己資金を投入した形にするという、お役所の流儀には恐れ入りました。

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大事なことはまず国に訊け
- 2020/11/12(Thu) -
新型コロナウイルスの新規感染者が、ついに過去最多数を更新しました。医療体制のひっ迫が懸念されます。

東京で、昨日317人の感染者が出たことに対して知事は、次のように言い放っていました。
「東京都民ではなく、検体だけが都内に持ち込まれた陽性者が22人いるので、実質は300人を切る数字だ」
じゃあ、今日の393人はどうなの。

昨日も書いたばかりですが、何でも矮小化しようというその姿勢が、政治家の信頼感を失わせるのです。
まあそれにしても、「第3波」に突入したことはもう、認めましょうよ。
「いや、第3波とは言えません。第4波かもしれないので」などと西村大臣は言うのでしょうか。

当院もいわゆる「発熱外来」を稼働させていますが、幸いにして、まだ来院者はボチボチです。
それでもとくに日曜日には、相談センターからの紹介を受けて当院に来院する方がいます。

この「診療・検査医療機関」制度では、専用の診察室を確保した時間に応じて、体制確保経費が補助されます。
ところがその、「体制確保時間」の設定法にはアバウトな雰囲気があって、分かり難いのです。

私はどうも頭が固いところがあるので、時間設定をハッキリさせるべく、一昨日お役所に電話してみました。
以前別件で、保健所や県庁ではラチがあかなかった経験があったので、今回は最初から厚労省にかけました。

厚労省のコールセンターの担当者はとても親切で、意外なほどに医療機関に対して好意的でした。
その回答を踏まえて県に確認してみると、それで良いですと。さらに念のため保健所に電話しても同じ。
さすが、国の回答を最初に得ておいた効果は絶大でした。こんどから、この順番で行こう。

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誰が見ても新型コロナ「第3波」が到来してますけど
- 2020/11/11(Wed) -
全国で新型コロナウイルス新規感染者数が増え、明らかに「第3波」の様相を呈しています。
検査数が増えているからだ、と強がる人もいますが、危機感を抱いて警戒感を強める方がよっぽど素直です。

「Go To キャンペーンの影響とは限らない」と言い張る政治家や専門家もいますが、その態度がダメ。
「Go To キャンペーン継続の可否も含めて、対応策を早急に検討すべきだ」と言うぐらいが良いのです。

原発事故の時もそうでしたが、政府や役人はどうしても、重大事案を矮小化したがります。
パニックを恐れるというよりも、一種の正常性バイアスか。本気で危機感が欠除しているのかもしれません。

春の「第1波」よりもずっと大きかった夏の「第2波」を、政府はついに、認めませんでした。
おそらくは、第2波と言ってしまうと緊急事態宣言再発出の議論を呼びかねないと考えたからでしょう。

第2波なのかと問われた西村大臣は、「第2波という方もいれば第3波と呼ぶ方もいる」とはぐらかしました。
「春の流行が第2波だったかもしれないので、必ずしも今回が第2波とは言えない」という理屈(詭弁)です。

あの大きな第2波を無視した手前、いまさら今回の第3波で慌てたのでは整合性がとれません。
過ちとは認めてないので改めることもできず、ズルズルと泥沼にはまっていくのでしょうか。
この第3波が、欧米並の巨大波にならぬことを祈るばかりです。

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新型コロナウイルスワクチン接種の優先順位には、柔軟性が必要です
- 2020/11/10(Tue) -
「ファイザー」が開発中の新型コロナのワクチンに、「90%以上の予防効果があった」と発表しました。

統計学的に有意な情報なのか、安全性はどうか、冷凍保管が必要など、クリアすべき問題は山ほどあります。
もちろん期待はしていますが、ここは慎重に、まさかの薬禍が起きるようなことのないようお願いしたい。

ファイザーのワクチンも、アストラゼネカのワクチンも、完成後には日本への供給が基本合意されています。
両者を合わせると、日本人全員が接種できる本数となる見込みですが、本来なら国産に期待したいところです。

コロナワクチンの開発では、日本は世界の最先端からは少し出遅れていますが、鋭意開発中です。
インフルエンザと同様に毎年ワクチンを接種する必要があるとも言われるので、国産は絶対に必要なのです。

で、有効かつ安全なワクチンが無事開発され、約束通り日本に輸入されたとして、次は接種の順番です。
優先順位について厚労省は、まず高齢者、次いで基礎疾患のある人に接種する方針を固めました。
さらに医療従事者を高齢者よりも優先するかどうか、そこが気になるところですが、検討中のようです。

11年前の新型インフルエンザ流行時のワクチン接種にも、厳格な優先順位が設定されました。
あの時は、医療機関にワクチンが余っていても、優先接種対象者以外への接種を認めない徹底ぶりでした。
柔軟性のない接種計画は効率が悪く、結果的にインフルの流行を阻止できなくなってしまいました。

今回のコロナワクチンは、新型インフルのとき以上に、接種の希望者が殺到する可能性があります。
コロナがインフルと異なるのは、重症化しやすいのは高齢者ですが、感染を拡大するのは若者だということ。
重症化阻止の目的なら高齢者への接種が優先ですが、集団免疫の確立のためには若者への接種も重要です。
妙に硬直化した優先順位規定とならぬよう、ある程度は臨機応変な運用ができる余地も作って欲しいですね。

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コロナ禍中(渦中)での指導者交代が、吉と出ますように
- 2020/11/09(Mon) -
NHKの世論調査では、菅内閣を「支持する」と答えた人が先月より1ポイント上がって56%だったとのこと。

支持する理由のトップ2は、「他の内閣よりよさそうだから」27%、「人柄が信頼できるから」25%。
不支持の理由のトップ2は、「政策に期待が持てないから」36%、「人柄が信頼できないから」26%。

まず興味深いのは、不支持理由の中でも「他の内閣の方が良さそうだから」は少数だったということ。
つまり、菅内閣は支持しないけど、だからといって他に支持する内閣もないという、悲しい状況なのです。

また支持者にしたって、「政策に期待が持てるから」を挙げた人は多くなく、やはり消去法的な支持理由です。
本来、内閣支持理由には断トツで、「政策に期待が持てるから」が来るべきですけどね。

人柄への信頼が、支持理由としても不支持理由としても重要な因子のようです。
政策や実行力の評価ならともかく、人柄が真逆に評価されるというのは、つまり好みの問題なのでしょうね。

その極端な例が、米大統領選でのトランプ氏の得票率の意外な高さと、その支持者の熱狂ぶりです。
コロナ禍で彼の非常識さがあれほどまでに露呈しなければ、再選もあったかもしれません。
比較の問題か実際の人柄か、勝利したバイデン氏が、実にバランスのとれた堂々たる常識人に見えてきました。

理由は違うにせよ、日米ともに非常時に指導者が交代することになりましたが、真に大事なのはこの次です。
あえて私の菅内閣支持理由を言うなら、「いま指導者を支持しなくてどうする」。

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車を持っていない人の「発熱外来」受診手段は?
- 2020/11/08(Sun) -
新型コロナウイルス感染の「診療・検査医療機関」には、熊本市内でも多くの医療機関が指定されています。
この冬の、コロナとインフルエンザの同時流行にも備えた、いわゆる「発熱外来」です。
当院は日曜祝日も発熱外来「枠」を開設しているので、今日は紹介を受けて来院した方が何人かいました。

さてその発熱外来ですが、実際に運用してみると、いろんな問題点が浮き彫りになります。
以下は、あくまで一般論として(当院の事例とは限らないとして)お読みください。

(1)自家用車を持っていない方の受診
コロナ検査のための受診における政府の考え方は、某議員の質問に対する答弁から読み取れば、
・公共交通機関の利用を避けることは、他の利用者への感染を予防するために必要
・タクシーについては、公共交通機関に含まれる
・救急車の利用については、その必要性が状況により異なるので、一概にはお答えできない

自家用車がない方が救急車で受診することを許容したとしても、今度は帰るときに問題が起きます。
まさかまた、救急車で帰宅するわけにもいきませんからね。

(2)喘息発作やけいれんやアナフィラキシーや心筋梗塞などの急病者とのバッティング
緊急性の高い方が急に来院すると、発熱外来は一時中断せざるを得ません。救命が優先ですから。
医者の体はひとつしかなく、診療所の構造にも限界があり、時間的・空間的分離の徹底は困難になります。
一般の医療機関が発熱外来を担当する場合には、このような避けられないリスクが存在するのです。

始めたばかりの発熱外来ですが、一般患者の診療との両立は、そう簡単ではないように思えてきたところです。

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パジャマの着心地を考えてネルに限る
- 2020/11/07(Sat) -
パジャマを買いました。何十年ぶりでしょうか。ゆめタウンで買った、1,500円のお値打ち品です。
これまでは、寝る前に着ていた「部屋着」で、そのまま寝てました。皆さんだいたい、そんなもんでしょう?
夏場であれば、その部屋着を脱いでから、下着のままで寝たりしました。だいたい、そんな感じでしょう?

しかし、風呂上がりにすぐパジャマを着るのは邪道なのです。宅配便への対応にも困ります。
「寝るのだ」というタイミングでパジャマに着替える「儀式」は、気分を転換し快眠にもつながるとか。

旅先で、ホテルや旅館にはたいてい、浴衣やバスローブが置いてありますが、あれは寝るにはイマイチですね。
寝てる間にはだけてしまい、朝起きたらほとんで脱げた状態で、帯だけがきっちり巻かれていたりします。

今回買ったパジャマの素材は、綿を起毛させて柔らかい肌触りにした織り方の「ネル」(綿ネル)です。
ネルは「寝る」に通じるので、まさにパジャマのためにあるようなものでしょう。
正式名称は「フランネル」。これも「普段寝る」に通じます。

昨夜はネルのパジャマで、久しぶりに寝汗をかかずに眠れました。これって私にとっては、重要ポイントです。

そういえば昔、コーヒーに凝っていた頃、「ネルドリップ」に手を出したことがあります。
でもあれは、ネルの管理が難しいですね。乾燥させないように、いつも水に浸けて冷蔵庫で保管していました。
そのように気を付けて管理しても、だんだんとカビっぽい色が付きはじめ、なんとなく臭ってきます。

あるときそれをキッチンハイターで漂白したら、新品のように真っ白になり、大喜びしたものです。
しかし、そのあといくらすすいでも塩素臭くて、二度と使えないシロモノになってしまいました。

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インフルエンザが流行しなければ、むしろ平穏な冬になるのか
- 2020/11/06(Fri) -
開院して14年目ですが、コロナ禍のせいでたぶん、もっとも先の読めない冬を迎えようとしています。

新型コロナとインフルエンザが同時流行する可能性があり、それに対応するための準備に追われています。
国が新たに繰り出す施策はなかなか複雑で、自治体も医療機関もバタバタしています。

そんな中、インフルエンザワクチンの接種者数は、当院でも確実に過去最多になりそうな勢いです。
ワクチンの製造数を少し増やしたぐらいではまったく追いつかず、医療現場はワクチン不足で困っています。
厚労省はあれだけ接種の必要性を煽っておきながら、供給計画はまったくおそまつ。これは大失態レベルです。

さいわい、インフルエンザの流行は、近年では最小規模になりそうですね。
コロナ対策がインフル対策にもなっていることに加えて、「ウイルス干渉」の可能性も考えられています。

ウイルス干渉とは、ひとつのウイルスに感染すると免疫が強まり、別のウイルスに感染しにくくなる現象です。
私はしかし、日本ではコロナとインフルとでは感染者数が桁違いなので、ウイルス干渉については懐疑的です。
コロナが少々流行したところで、毎年1千万人以上が罹患するインフルエンザが抑えられるものなのか。
しかし逆に、もしもインフルエンザが大流行すれば、コロナが抑え込まれる可能性はあるかもしれません。

もちろんインフル大流行は避けたい。死亡率は低くても、1千万人単位の感染は多くの死者数をもたらします。
こう言っちゃナンですが、コロナよりもインフルの方が、乳幼児にとっては大きな脅威ですからね。
今年南半球では、原因は何であれ、奇跡的とも言えるほどインフルエンザは流行しませんでした。
インフルの「超過死亡」は毎年約1万人。これが激減するのであれば、結果的には福音となるかもしれません。

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悩ましい売電とランプの現状
- 2020/11/05(Thu) -
電力自由化の件で、久しぶりに電話がかかってきました。しかも診察の真っ最中に。
「もう何年も前に別会社と契約してますから」と、仕事中だったので少々不機嫌な対応をしてしまいました。

電気と言えば、自宅の太陽光発電は、10年間の優遇期間を終えて今年からは、九電の買取価格が激下がりです。
昨年まで48円/kWhという破格値だったのが、いまでは7円/kWhで買いたたかれています。ひどい話です。

もっと割の良い買取業者もありますが、今年1年は様子を見て、来年決めようと思っています。
蓄電システムも今後普及して、蓄電池も安くなるだろうと思ってるのですが、どうなりますかね。

クリニックの照明器具は、もともと蛍光灯だった部分はすべて、数年前にLED照明に置き換えています。
これも業者の売り込み攻勢が激しかったのですが、しばらく考えた末に、比較的お得なものを選びました。
LEDというだけで満足していますが、その実、電気代にどのように反映されているかは検証していません。

診察に使うペンライトと耳鏡はウェルチ・アレンの製品を使っていますが、ランプはLEDにしています。
これがまことに、長持ちしますね。ON/OFFの切替の激しい用途ですが、まったく問題ありません。
おまけにこのLEDランプの優れた点は、明るすぎず白すぎず、良い感じに光が調節してあることです。

室内に設置する照明器具でも、白熱灯のような色合いを出すLEDが選べるようになりました。
いま自宅を建てるなら、キッチンの明るい照明も、趣のある寝室のランプも、すべてLEDでもいいぐらいです。
11年前に家を建てたときに、LED照明を選ぶ気などまったく無かったのは、私の先見の明の無さです。

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大統領選挙は、開票で混乱する(かもしれない)のが毎回面白い
- 2020/11/04(Wed) -
アメリカ大統領選挙は、そうなったら面白い(失礼)と思っていた接戦になってるので、目が離せませんね。
バイデン氏は控えめに「勝利に向かっている」と言い、トランプ氏は大仰に「選挙に勝った」と言い切る。
その最終結果がいつ判明するのかわかりませんが、少なくとも今夜のブログには間に合いそうにありません。

開票速報など無意味だと書いたことがありますが、大統領選挙は別。だって開票過程自体が面白いですから。

「大阪都構想」の住民投票が、3日前に行われました。これもまた接戦でした。
現職の知事と市長が「改革」をぶち上げ、敵対勢力が「現状維持」を求めるという、一種のねじれが面白い。
そこそこ人気のある2人なので、余計なことをしなけりゃ現職に留まれるのに、敢えて賭けに出たんですね。
しかし何が問題なのか私にはよくわかりませんが、都構想は否決されました。

この住民投票のように「変化」か「維持」かを多数決で決める場合、「変化」の側が不利だろうとは思います。
なぜなら、「もう少し様子を見たい」という中間派は、とりあえず「現状維持」を選択するからです。

しかし選挙とか投票では、そのときの勢いが大きなうねりとなって予想外の結果が出る場合がありますよね。
だからイギリスのEU離脱の是非を問う国民投票のように、あとで冷静になると自分の投票に後悔したりする。

大阪の2回目の住民投票でまた僅差で負けた知事・市長側は、都構想のうねりを作りきれてなかったわけです。
コロナ禍も当然、現状維持派への追い風です。どうしてこのタイミングで住民投票を断行したんでしょうね。

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急がないけど必要な事は、世の中にたくさんあります
- 2020/11/03(Tue) -
「不要不急」の対義語は何でしょう。知恵袋等でも定番の質問の答は、「必要緊急」あるいは「必要至急」か。
しかし、「必要緊急」でなければ「不要不急」ということにはなりません。

実際に多いのは、「必要不急」のような、急がないけどコロナの終息までは待てないような、重要な用件です。
人生を豊かにする文化や芸術や人との交流を、不急だからと不要扱いしてよいはずがありません。

「Go Toキャンペーン」のような、少々完成度の低い政策でも、何かの足しにはなるかもしれません。
東京五輪の来年開催も、少し前までは私は懐疑的でしたが、やり方次第なのかもしれないと思い始めています。

入学祝いや還暦祝いだって、最小限の人数の身内が、数人程度は集まりたい。祝いたい。祝ってもらいたい。
生まれた孫に会いに行くのも、そりゃしばらくは待ちますが、無期限延期というわけにもいきません。
結婚披露宴を延期した方も多いでしょうけど、よく考えて適切な形で、ぜひ開催を考えていただきたい。

いま、多くの病院が行っている「面会禁止」措置は、できるだけ回避してほしいものです。
入院理由や期間はケースバイケースですが、「不要」な面会などないはず。しばしば「不急」ですらない。
私自身も、最近経験した身内の入院に際し、面会どころか差し入れも手渡せない状況だと知り、驚きました。

心細い患者と心配な家族。ガラス越しでもリモートでも、可能な限り面会できるよう工夫すべきでしょう。
ウィズコロナの時代は長くなりそうです。感染対策を施した面会手段の構築には、国は大いに助成してほしい。

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「よく気を付けましょう」じゃダメなんです
- 2020/11/02(Mon) -
名称がよく似た医薬品の取り違え問題については、当ブログでも時々取り上げてきました。

今回のお題は、「ルパフィン」と「ルセフィ」。22例の取り違え事例が報告されました。
いずれも私はあまり処方しない薬です。前者はアレルギーの薬で、後者は糖尿病治療薬。
ま、似てるっちゃ似てる。「ルパン」と「ルフィ」ぐらい似てます。前者は怪盗で、後者は海賊。

取り違えの経緯を見てみると、ある事例は、花粉症と糖尿病の両方の薬を処方してもおかしくない患者さん。
間違えて処方しても気づきにくいケースですが、処方の変化を薬局が医者に確認して事なきを得たようです。
薬剤師さんって、結構細かいとこ指摘して来ますからね。しかもいつも正しい。

医薬品は何万もあるので、どうしたって似たような名前がでてきます。命名の工夫にも限界があるでしょうね。
とくに電子カルテで処方を行う場合、最初の2,3文字が似通っていると、薬を選び間違える可能性があります。

こんなとき、「よく気を付けましょう」なんていう精神論じゃダメです。間違えないように知恵を絞らなきゃ。
たとえば選択肢に、「ルパフィン(アレルギー薬)」「ルセフィ(糖尿病薬)」などと記載するのも有効。

薬の処方に限らず、項目をクリックして選ぶシステムでは、違いを明確にするような工夫が必要です。
性別を選ぶボタンなら、男を青、女を赤で表示するとか、たとえばそんな具合です。

医薬品の錠剤が入った「PTPシート」には、最近は薬品名だけでなく薬効も印字されるようになりました。
ルパフィンには「アレルギー性疾患治療薬」、ルセフィには「糖尿病用薬」と書いてある。しかし字が小さい。
こういう表示は、なるべく大きな目立つ字で印字してもらいたいですね。内服前の、最後の警告なんですから。

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事故は過失でも、逃げるは故意です身の破滅
- 2020/11/01(Sun) -
某若手俳優が、車でバイクをひき逃げした件。その報道の中で、気づかされたことがあります。
自分が関与した交通事故では、たとえ自分に非が無くても負傷者を救護しなければならない、ということ。
これを守らなければ、ひき逃げになるそうですね。負傷者がその場では「大丈夫です」と言ってもです。

たとえば交差点で信号待ち中に、路肩を走ってきたバイクが、自分の車の左のドアミラーに接触したとします。
バイクは弾みで転倒。その時ちょうど信号が青になり、すぐ発車しなければ渋滞を招く状況。
バイクの兄ちゃんにケガはなさそうで、立ち上がってこっちに向かって、申し訳なさそうに会釈をしています。
窓越しに「大丈夫ですか?」と声を掛けたら、「大丈夫です。ミラーにぶつけてすみません」との返答あり。
このケースでも、私がそのまま車を発進させて走り去ったら、ひき逃げってことですよね。

20年ぐらい前に、家族を乗せた車でバイパスを走ってたら、前方でミニバイクが転倒していました。
その後ろには、別のバイクが道路上に停めてあり、その運転者が転倒したバイクの方に駆け寄っていました。
どういういきさつかわかりませんが、2人とも無事な様子なので、私はバイクの脇を徐行して通過しました。

ところがその時、どうしたことか、停めてあったバイクが私の車の方に倒れてきたのです。私は慌てて急停車。
車から降りて見てみると、車の右前輪とフェンダーの間にバイクのハンドルがはまり込んでいます。
バイクの兄ちゃんは呆然と立ち尽くしているので、私が一人で苦労してハンドルを引き出しました。

この一部始終を対向車から見たら、間違いなく、私が2台のバイクをはね飛ばした事故現場そのものですよ。
車を傷つけられたことに文句を言うより、いち早くその場を離れた方がよさそうなので、私は走り去りました。
私には何の落ち度も罪も無いはずですが、これが今だと、対向車のドラレコに撮られて大惨事でしょうね。

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