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「ソラシドエアドゥ」発足
- 2021/05/31(Mon) -
「AIRDO(エア・ドゥ)」と「ソラシドエア」が、共同持株会社を設立することを正式に発表しました。
AIRDOが「北海道の翼」なら、ソラシドエアは「九州・沖縄の翼」。どっちも頑張って欲しい航空会社です。

九州人としてはAIRDOに乗る機会は少ないですが、キャラクターの「ベア・ドゥ」君がなんとも可愛い。5歳。

一方でソラシドエアは、コーポレートカラーの「ピスタチオグリーン」が、私は好きです。
空を飛ぶピスタチオグリーンを、職場付近からでも時々見かけます。主翼の先と尾翼とエンジンがこの色です。
ブランド名は、「空から笑顔の種(シード)をまく」から来ているそうですが、ピスタチオなら蒔いてほしい。

熊本から東京(羽田)に飛ぶ定期便は、ANA5便、ソラシドエア5便、JAL8便です。
ただし今は、ANAもJALも大半が欠航しています。例えば明日は、ANAは2便、JALも3便しか飛びません。

ところがソラシドエアは、5便すべてが飛んでいます。これは素晴らしい。
すべてがANAのコードシェア便なので、ANAが合計7便飛んでいるようにも見えます。

羽田空港第2ターミナルでは、福岡便を除く九州便の搭乗口は、悲しいかな最果ての地に追いやられてますね。
しかもANAが南ピア、ソラシドエアが北ピアと、搭乗口が第2ターミナルの両極端。

何年か前、ソラシドエアで帰熊する際、うっかりANAのつもりで南ピアに行ってしまったことがあります。
間違いに気づき、ゼーゼー言いながら半泣き&汗だくで、1キロ以上を小走りする羽目になりました。
ギリで間に合いはしましたが、たぶんその時のソラシドエア機内には、汗臭が充満したと思います。

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「基礎疾患を有する方」カテゴリーに無理がある
- 2021/05/30(Sun) -
65歳以上の方への新型コロナワクチンの接種が進む中、最近は64歳以下の方からの質問が増えてきました。
次の優先接種順位である「基礎疾患を有する方」に、自分は該当するのか、そうならいつ接種できるのか、と。

当院かかりつけの、高血圧や糖尿病の方は皆さん、その「基礎疾患を有する方」カテゴリーに該当します。
しかし、単に脂質異常症や高尿酸血症、脂肪肝や軽度の肥満等だと、厳密には優先接種対象ではありません。
とは言え、それらの生活習慣病の方にはしばしば心肺機能や肝腎機能に異常があり、その意味では対象です。

「肥満」の定義である「BMI30以上」だって、接種前に身長・体重をチェックするわけじゃありません。
それにBMIは28程度でも脂肪肝や耐糖能異常があるとか、そんな合わせ技だってあるじゃないですか。

その人の基礎疾患の重症度は、特定の臓器異常単独で決めるべきではありません。総合点が大事です。
新型コロナに感染した場合に重症化しやすい人たちの接種を優先するという趣旨を、忘れてはなりません。

さいわい、接種会場での基礎疾患等の証明書の提示は不要です。予診票の記載内容がすべてです。
そしてその予診票の記載内容が真実かどうかを、問診医が判断するのは困難です。信じるしかありません。
かかりつけ医なら正しい判断ができるわけですが、あなたは対象外だから接種できないとも言いにくい。

そもそも「基礎疾患を有する人」というカテゴリー設定に、無理があるのです。現場の混乱が目に見えてます。
優先接種対象の人数がわからないので、接種計画も立てにくい。どうせ予診票は全員に送るしかないのだし。

そんななか、田村厚労相は今日、基礎疾患がある人と並行して一般の人への接種も始められると述べました。
ワクチン接種を加速させたいという大義名分を掲げる裏で、優先順位設定の問題点をこっそり改める形です。
おそらく今後、基礎疾患云々という条件が、事実上撤廃されるんじゃないかと、私は期待しています。

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ワクチン接種の可否は、問診医が決めます
- 2021/05/29(Sat) -
新型コロナワクチン接種の予診票が、少しだけ簡単になります(今後印刷される分からです)。

「現在、何らかの病気にかかって、治療(投薬)などを受けていますか」という設問のその次の、
「その病気を診てもらっている医師に今日の予防接種を受けてよいと言われましたか」の問いが廃止されます。

「この設問があることで、事前に医師への問い合わせが必須であるとの誤解を生じている例がある」と厚労省。

「医師によいと言われたか」という設問なのに、「問い合わせが必須だとは言ってない」とは屁理屈ですね。
「誤解の例がある」と問題を矮小化するわりに、キッパリ規定を変えるようです。

当院かかりつけの方の多くが当院で接種するので、この手の問い合わせは多くはありませんが、時々あります。
今後、「基礎疾患を有する方」への接種が始まったら大変。だから今のうちに予診票を修正したわけですか。

ともかく今回、「事前の医師への問い合わせは必須ではない」という厚労省の見解が示されたわけです。
従来の予診票の「医師のOKはあるか」に対して「いいえ」と書いてあっても、問診医の判断で接種可能です。

新型コロナワクチンですらこうなのですから、従来のワクチンも同じ考えで良いですよね。覚えておきます。

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温度管理が悪くても、ワクチンの外見は変わらないのが問題
- 2021/05/28(Fri) -
横浜市の集団接種会場で、冷蔵庫の電源が抜けかけていたために、新型コロナワクチンを常温保管していた件。
前にもありましたが、とにかくワクチンは、温度管理がキモです。見た目は変わらないけど、変質するのです。
異常に気付くまでに119人に接種してしまったのは問題ですが、気付いてからは正しく対処できて良かった。

でも、冷蔵庫のコードが自然に抜けるって、どういう状況なんでしょうね。夜間の清掃作業で触れたとか?
翌朝、電源コードの抜けかけに気付いた誰かが、単にコードの差し直して済ませていたら、どうなったことか。
温度管理の不備にはだれも気付かず、何事も無かったように接種が行われたことでしょう。そっちの方が怖い。

その冷蔵庫は、庫内温度に異常があるとアラームが鳴る仕様ですが、電源が切れていたので鳴りませんでした。
当院の保冷庫も同じ仕様ですが、このアラームは、扉の開放による庫内温上昇への警告であり、停電には無力。

その停電ですよ、私がいちばん恐れるのは。長時間の停電で庫内温度が上がったら、ワクチンは全滅ですから。
数分間の停電なら扉を開けなければ良いですが、時間が長くなると問題。夜間や休診日の停電は恐怖です。
夜間に長時間停電し、しかし翌朝には復旧していた場合、夜間の停電に気付けなかったら大問題です。

熊本地震の本震の時、自宅が一時停電したので、翌朝あわてて出勤。クリニックの電気はついていました。
もしかすると、夜間に短時間停電していた可能性はありますが、その程度なら庫内温度は上がっていないはず。

電子カルテのPCは無停電電源装置に接続していますが、保冷庫とコピー複合機は電力が大きくて無理。
落雷による停電も、たいてい時間は短いですがヒヤヒヤしますね。地震・雷は、いまも恐怖のトップ2です。

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新型コロナワクチン接種への支援策と、集団接種への出動計画
- 2021/05/27(Thu) -
新型コロナワクチンの個別接種を促進するための財政支援策を、厚労省が打ち出してきました。その要点は、
・時間外や休日の接種単価を上げる
・週100回以上接種すれば単価アップ、週150回以上接種すればさらに単価アップ
・1日50回以上接種すれば定額給付あり

なんか医療機関(医師)の足元を見られたようで、素直に喜べない、ちょっと感じの悪い施策です。
それにどっちみち、週100回とか1日50回なんて無理。一般の診療や発熱外来が回らなくなります。
どうしてもやるなら、休診日を返上して、1日全部ワクチン接種に充てるしかありません。

市民の早期接種に貢献したいなら、いっそ休診日に集団接種会場に出動すればいい。私はそう考えました。
といういきさつは、先日書いた通り。熊本城ホールで6月21日から始まる、6週間の大規模接種への参加です。

ならば善は急げ。市の担当者に電話して、「火・金なら協力できるかも」と伝えたのが2日前のこと。
さっそく今日の昼、ノリの良い担当者から連絡がありました。

「先生の出動日が決まりました。10時から18時の勤務です。日程を読み上げます」 どうぞ
「6月22日(火)」 お、さっそくそこからですか
「6月29日(火)」 おっと、2週連続で来ましたか
「7月2日(金)」 え、なに、週に2回ですか
「7月6日(火)」 うわ〜、続きますね
「7月9日(金)」 マジですか、それ
「7月13日(火)」 いや、ホントに
「7月16日(金)」 冗談キツイっすよ
「7月20日(火)」 だからホントに
「7月23日(金)」 そこ祝日ですよね
「7月27日(火)」 許して〜
「7月30日(金)、以上です」 異常ですわ、マジで

そんなわけで、6週間で12日の休診日のうち11日ほど出動せよとのご下命を、とりあえず承りました。
でも、たぶん全部は無理です。出動医師の確保で困っていることはわかりますが、私の身が持ちません。

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熊本市のワクチン予約受付が、ようやく再開へ
- 2021/05/26(Wed) -
熊本市の新型コロナワクチン接種の予約受付が、5月29日に再開されることになりました。
不具合が起きたため5月19日から中断されていました。この大事な時期に10日間も中断とは、ひどい話です。

大西市長は本日、記者会見で「見通しが甘かった」と謝罪しました。
簡単におっしゃいますけど、つまり、ワクチンを渇望する市民を、完全に見くびっていたということですよ。

でもおかしな事に、再開するネット予約では、2回目の日時と会場を、すぐに被接種者には教えないようです。
システム上はすぐに設定しても、それを本人に通知するのは10日後だとか。その10日のタイムラグって何?

新型コロナワクチンの2回目が1回目の21日後だということは、市民はみな知ってます。予定も空けてます。
よけいな気遣いは要りません。1回目と2回目は同時に機械的に決める。単純にそれでいいじゃないですか。
最初から2回目を確定しておかないと、心配になって自分で2回目の予約を入れる人だって現れかねませんよ。

ヘタに自由度を持たせるから、計画がグチャグチャになるんです。これじゃ前回の混乱の二の舞ですよ。
どうして市役所の人たちって、そういう創造力に欠けてるんでしょうね。

高齢者ですらこれですから、次の「基礎疾患を有する」現役世代の方の接種は、どうなるんだろうと思います。

(5/27追記)
前回の、混乱して中止した予約受付の際に、中途半端に登録されてしまっている予約が山ほどあるようですね。
それらの予約枠の隙間を利用しての、今回の予約受付再開なので、機械的な受付は難しいようです。

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熊本でもいよいよ、集団接種が始まる
- 2021/05/25(Tue) -
全国各地で、新型コロナワクチンの集団接種が行われています。熊本市でも、明日から段階的に始まります。

当院では今、かかりつけの高齢者の方への個別接種を行っていますが、それにはやや不本意な面もあります。
かかりつけではない方への接種が後回しになるどころか、その方々への接種枠すら確保できないからです。
日常診療を並行して行いつつ、また発熱外来との時間帯分離にも気を付けると、接種の時間が足りません。
当院での接種でさばける接種人数は限られるのです。じゃあ、休診日を返上して接種をするか?

いやそれならば、熊本市の集団接種に出動して、かかりつけでは無い方への接種に貢献しようと考えました。
ただ問題は、6カ所の集団接種会場の稼働日が、水・木・土・日・祝と、すべて当院の診療日なんですね。
当院の休診日は火曜と金曜。しょうがないので、どこかに臨時休診日を設けて出動するしかありません。
私が集団接種に貢献するためには、自院での個別接種を減らさなければならないというジレンマがあるのです。

と思っていたら朗報です。6月21日から、熊本城ホールで連日の大規模接種が始まるというじゃないですか。
期間は6/21から8/1までの6週間。前半の3週間で接種した人が、必ず3週間後に2回目を受けられる計算です。
毎日10時〜18時に2,400人ほど接種するという、大都会並の計画。6週間で約5万人に2回接種できます。

出動医師は毎日16人を募集するようなので、1人で150人ほどの問診を担当するんですね。やりましょう。
というわけで、私の休診日の仕事が決まりました。でも、高齢者が終わったら、次はどうするんでしょうね。

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ワクチンのかわりに生理食塩水を注射してしまった問題
- 2021/05/24(Mon) -
新型コロナワクチンの接種では、誤って生理食塩水を注射した事例が、たびたび報じられています。
使用済のバイアル(薬瓶)を、誤って未使用だと思い込み、そこへ生理食塩水を注入して使用したようです。

これを、不注意だ確認ミスだと責め、もっと慎重に作業せよ、という精神論で片付けてはなりません。
使用済のバイアルが、なぜかまた利用できる状態でそこに置かれていた、そのことが問題なのです。

ワクチン液をシリンジに吸引して準備するための、たとえば当院の手順はこうです。
1.ワクチンのバイアルを保冷庫から出して室温に戻した後、生理食塩水1.8mlを加えて希釈する(薄める)
2.6本の専用シリンジに0.3mlずつワクチン液を吸引し、6人分(計1.8ml)のワクチンを準備する

さて問題。6本目のシリンジにワクチンを吸い取った後、その使用済バイアルは、どこに置けばよいでしょう。
これを、うかつにテーブルに置いたりするから、未使用のバイアルと間違えるのです。
使い終わったらすぐ捨てるか、「使用済バイアル入れ」などと明記された缶にでも入れなければなりません。

このワクチンの注意点は、1.8mlの生理食塩水を加えて希釈した後、1.8mlほど使用するということです。
未使用バイアル内のワクチン原液の量と、使用済バイアルに残っている残液の量が、計算上は同量なのです。
よく注意すれば、両者では透明度が違うので区別は付くのですが、そんな注意が必要な状況自体が問題です。

未使用か使用済かを気にする必要すらないように、使用済バイアルは即座に捨てる。コレが鉄則。

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ドラマは脚本と配役で決まりますね
- 2021/05/23(Sun) -
NHK大河ドラマ『青天を衝け』が、結構面白い。

見てない人のためにネタバレしませんが、今夜の「包帯シーン」なんて、まるで三谷幸喜じゃないですか。
それで思い出すのが、1995年の『八代将軍吉宗』の包帯シーン。あれはジェームス三木でした。大爆笑です。
そういう、細かい「おふざけ」が私にはツボです。

ハリウッド映画を観ていても、ハードな場面展開の端々に、笑わせるシーンが必ず入っています。
シリアス100%では疲れます。ときどき力が抜けるからこそ、次のシーンが思いっきり緊迫するんです。

なんにでも、緩急、メリハリが必要です。適度な休憩があるから、その次に力を発揮できる。
ところが昨年来の新型コロナ政策は、無計画にダラダラ続く、そのばしのぎの連続。先行きも見通せない。

史実に基づく大河ドラマは、結末が分かっているだけに、最後はどうなるんだろうという面白さがありません。
その分、いかに視聴者を引きつけるかという脚本と配役の妙が、ドラマの面白さのの鍵を握ってますよね。

田村正和が好演したドラマ『古畑任三郎』も、犯人が分かっている状態で進行する駆け引きが醍醐味でした。
状況設定も主人公のクセも『刑事コロンボ』によく似ています。たぶんある種オマージュなのでしょう。
両者とも、計算し尽くされた脚本と主演俳優のアクが、その面白さを決定する見本のようなドラマでした。

いま「アク人(アクト)」という言葉を思いつきましたが、蛇足でした。すみません。
でも、ドラマは「本(脚本)」と「人(俳優)」で決まるって事です。コレホント(本人)。また蛇足。

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念には念を入れて、臨時休診
- 2021/05/22(Sat) -
新型コロナワクチンは、インフルエンザワクチンよりも高頻度でやや重い副反応が、どうしても気になります。
一刻も早く接種したい方が予約に殺到する一方で、コロナのワクチンは打ちたくないという方もいます。

日本人における副反応の集計から、頻度の高い副反応の要点をまとめると、こうでしょうか。
(1)局所の痛み・腫れ、頭痛、発熱、倦怠感などが起きる
(2)もっとも症状が出やすいのは接種の翌日
(3)2回目の接種後の方が、1回目よりも副反応が強い
(4)女性や若い人の方が副反応が起きやすい

アナフィラキシーは、日本では数万回の接種に1回起きています。因果関係は不明ですが、死亡例もあります。
ワクチンの接種を控えたい人たちは、痛みや熱ではなく、このような重い副反応が気になるのでしょう。
頻度は少なくても、たとえ因果関係が不明でも、報道によるインパクトは大きく人々に恐怖心を植え付けます。

接種はあくまで任意なので、希望者だけが接種して集団免疫が成立すれば、とりあえずそれでよいのでしょう。

発熱外来を続けている私は職務上必須と思い、ワクチンの接種を受けました。昨日がその2回目でした。
1回目の時は、当日夜から接種部が痛み出して夜中にうずき、翌日は軽くなり、2日後ほとんど消失しました。

さて2回目はどうでしょう。強い痛みや、高熱が出たり強い倦怠感があると診療にも支障を来します。
最悪の体調になる可能性をも考慮して、念のため今日は、あらかじめ休診することに決めたのでした。
しかし蓋を開けてみると、痛みは1回目よりも軽いし熱もない。たぶん、若くないってことでしょう。

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余ったワクチンは、ともかく誰かに打て
- 2021/05/21(Fri) -
新型コロナワクチン。当院ではいまのところ、65歳以上の方に計画通り順調に接種できています。
熊本市内の医療機関で頻発している、「頼んだよりも余計にワクチンが届く」という異常事態もありません。
急なキャンセルが出たので、余ったワクチンを市長や社長に打った、という事実もありません。
しかし今後、キャンセルや接種見合わせによってワクチンが余る事態は、いつか起きると考えています。

熊本市では、ワクチンの予約がキャンセルになった場合、次の順で対応するようにと、指針が出されています。
(1)医療機関の従事者
(2)医療機関背のキャンセルリスト掲載者
(3)医療機関に定期通院をしている方で接種時期が到来している方

しかし接種マニュアルには「希望者が見つからない場合は、接種時期が来ていない方でも接種可能」ともある。
そのことを盾に取って、保健所に掛け合ったことがあります。
すると担当者は、しばらく上司と協議した後、しぶしぶ、「はい、誰に接種してもよいです」と応えました。

多くの自治体が、優先接種対象者でなければ接種できないという規定に縛られ、柔軟性を欠いています。

そもそも優先順位とは、限られたワクチンを混乱なく全国民に接種していくための工夫に過ぎません。
しかし残念ながら役人には規則しか見えてないのか、お宝のワクチンを廃棄してでも順番を守ろうとします。

河野担当相が今日久々に、「貴重なワクチンが廃棄されているというのは極めて許しがたい」と怒りました。
「接種券がない者には(余ったワクチンを)打てないという誤った指導を行っているところがございます」と。

お役所の方々も一生懸命に頑張っているのはわかりますが、物事の本質を見失わないようにお願いします。

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新型コロナワクチンの接種だけでも大変だというのに
- 2021/05/20(Thu) -
高齢者への接種だけでも各地でトラブルが相次いでいる新型コロナワクチンですが、まだまだ次があります。
こんな話を書くと鬼が笑うかもしれませんが、私が心配するのは、その次のまた次、一般向け接種のことです。

関係者の総力を結集すれば、おそらく8月前半には、日本中の高齢者への接種がほぼ完了できるでしょう。
すると次は、基礎疾患を有する方への接種ですが、もっとも順調にいって、1クール6週間で終わるとします。
となると、最終かつ最大のグループである一般の方への接種は、早ければ10月初旬から始まることになります。

と、そこまで思い至って気づいたのです。10月といえばインフルエンザワクチンの接種時期じゃないかと。
つまり10月からは、インフルエンザと新型コロナの両方のワクチンを、並行して接種することになるわけです。
予約から接種までの煩雑な作業を両者で同時進行させるのは、混乱を通り越して修羅場の予感さえします。

まず、予約の受付で混乱・混同しないような注意が必要です。ワクチンの発注方法もまるで違います。
新型コロナワクチン接種の前後2週間は、他のワクチンを接種出来ないというルールもネック。
先週どこそこでインフル打ちました、って人には、今日のコロナは打てません、と通告しなければなりません。

接種方法(筋注か皮下注か)も違いますから、同時間帯に両方のワクチンの接種作業をするのは避けたい。
新型コロナは、ワクチンの希釈調整にも手間がかかるし神経も使います。インフルとは別格の煩わしさがある。
両方のワクチン接種のピークが重なるなど、考えただけでもおぞましい。鬼だって泣くと思います。

あ、もしかして、インフルエンザなんてもう、過去の病気なのでワクチン接種は終了?

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一般高齢者向けのワクチン接種が始まりましたが、問題山積
- 2021/05/19(Wed) -
熊本市でも今日から、一般高齢者向けの新型コロナワクチンの接種が始まりました。
5月6日の争奪戦を乗り越えて電話やネットで予約を勝ち取った4,200人の方々が、まずは最初の接種対象です。
また、当院のように医療機関で独自に予約を受け付けた方への接種も、今日から開始です。

そんな大事なときに、熊本市では2日前から、ワクチンの予約と配送において重大なトラブルが続いています。

(1)医療機関が設定していた予約受入枠を超えて、コールセンターが過剰な予約を受け付けてしまった
(2)医療機関に配送されたワクチンの本数が、必要数に足りないか逆に多すぎるというミスが多発した

いずれも大問題ですが、まず(1)は、コールセンターにおける運用に問題があったようです。
スタッフの管理者権限によって、アラートを無視した操作が行われたと考えられています。
どういうつもりで、医療機関に確かめもせず勝手に予約を上乗せしたのでしょうね。その発想がわかりません。

昨日もチラッと書いた通り、医療機関へのワクチン配送のトラブル(2)は、かなり大規模かつ重大でした。
頼んでもいない本数のワクチンが届いても、医療機関はなんとか工夫して、全部接種しようと頑張ります。
これはもしや、ガースーの差し金か。ワクチンを余計に送り付けて、7月末までに接種を終わらせようという。

この問題を受けて熊本市は、高齢者のワクチン接種予約を、電話・ネットともにいったん終了しました。
熊本市がこれまでやってきたこと、ワクチン関連システムの構築・運営すべてが、稚拙というほかありません。

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二重予約した人に罪はなく、二重予約できるシステムが問題なのです
- 2021/05/18(Tue) -
「二重予約」という問題が出てきました。「NiziU 予約」じゃないですからね。慌てないでください。

新型コロナワクチンの予約が、自治体と国の大規模接種センターの両方で、二重に予約できてしまう問題です。
個人の予約データを国と自治体が共有していないからそうなるわけで、つまり制度設計が間違っているのです。

せっかく予約できても、二重予約では一方をキャンセルしなければ、何かと問題の元です。

普通に考えたら、接種券番号を省庁や自治体間で共有できる仕組みを作っとけばいいじゃん、て話ですよね。
でも、その単純なことさえ実現できてない。どんだけITレベルが低い国なんだろうと思います。
昨年の「特別定額給付金」の時にもそう思ったのに、日本のお役所は学習しないようです。

当院の接種予約枠は、一時期公開していましたが、いまは全面的に非公開です。
かかりつけの方を優先するためですが、一方でかかりつけの方は、コールセンターでも予約が可能です。
そんな人はいないだろうと思いながらも、やろうと思えばできる制度設計には、やはり問題があります。

それに加えていま熊本市内で、新型コロナワクチンの医療機関への配送トラブルが起きています。
申請していた本数よりも多く届く事例があり、追加の接種希望者を、あわてて探す羽目になっているようです。
市の予約システムの不具合か、人為的ミスかもしれませんが、ワクチン廃棄につながりかねない重大問題です。

ワクチンをめぐるこのような問題は、全国各地で起きています。
1年前から分かっていた最重要政策だというのに、被接種者の情報管理法すら、仕上がっていませんでした。

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「コミナティ」が当院に到着
- 2021/05/17(Mon) -
新型コロナワクチンの集団接種で、同じ人に2回接種するミスがあちこちで起きています。
一度接種を済ませた方が、なぜか2回目の注射を受け入れたことにも驚きますが、その方に責任はありません。
想像するにおそらく、不慣れな会場で接種後にウロウロしてたら、流れに乗ってまた注射されたのでしょう。

会場の係員が、接種券や予診票などの確認過程で、その方が接種済だと見抜けなかったことが大問題です。
個別接種とは異なり、集団接種ではどうしても流れ作業で接種が行われてしまうのが、その要因でしょう。
流れ作業というのは効率は良いですが、前後の部署間での連携や作業の一貫性を保ちにくいのが難点です。

誤って生理食塩水を注射するような過誤事案も、あいかわらず起きていますね。
使用済みのバイアルを、誰が、どんな目印を付けて、どこに置くか、そのルールができていたのかどうか。

本日当院にもついに、ファイザーのワクチン「コミナティ」が届きました。明後日からの接種分です。
接種のどれぐらい前に室温に戻し、どのような手順で希釈してシリンジに吸引するか、予行演習をしました。
被接種者の動線、吸引後のシリンジや空のバイアルはどうするか、接種作業の流れを確認しました。
作業には厳格なルールを作り、みんなで理解して共有し、絶対に例外を作らないことが重要です。

とは言え、ドタキャンが出たり、シリンジを床に落とすなどの事態も、考えておかなければなりません。
ワクチンはギリギリで準備されているので、それが余っても足りなくなっても、たぶん一大事になります。
けっして慌てる事のないように、万全の準備と落ち着いた気持ちで、接種開始に臨みたいと思います。

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まずは、かかりつけの方への接種を優先します
- 2021/05/16(Sun) -
全国の自治体が苦心惨憺して、新型コロナワクチン接種の予約受付方法を試行錯誤しています。
熊本市の予約方法も二転三転し、それに伴って各医療機関も自院の予約方法で悩んでいるのが実情です。

当院の予約枠は、公開と非公開の併用から一転して完全非公開とし、実質的にかかりつけ優先にしています。
さらに、ワクチン接種医療機関かどうかも非公表にしたので、今朝の熊日にも掲載されていません。
当院での接種を予約済の方が不安に駆られて電話して来たりもしましたが、大丈夫です。安心してください。

当院がかかりつけ優先、ていうか実質的にかかりつけ専用にしている理由は、以下の通りです。

(1)かかりつけの方だけで、接種枠が8月上旬まで埋まってしまうので、それ以上受け付ける余地が無い

はい。コレがほぼほぼすべてです。たぶん当院が予定している接種枠が少ないので、そうなるのです。
なぜそのように接種枠が少ないのかというと、発熱外来にも時間をさかなければならないからです。
今現在の私の優先順位は、コロナ診断>コロナ予防、なのです。ご存じのように、まだ感染者は多いのです。

(2)かかりつけの方なら、現病歴・既往歴・生活歴・アレルギー歴・内服薬を、すべて把握できている

これも重要なことです。抗凝固治療とかβブロッカーの内服など、接種前に知っておきたい薬があります。
現に当院かかりつけの方には、βブロッカーを接種前に休薬するなどの指示を行っています。
もしも病歴も何も知らない見ず知らずの人が接種に来たら、どれだけ問診に時間がかかるんだろうと思います。

(3)予約受付に際しての本人確認や、接種券番号や住所・電話番号等の確認などの事務手続も容易

初診じゃないので電子カルテへの入力も簡単。なじみの方だと、こういうところが有利ですね。

もちろん、かかりつけの方の接種にめどが付いたら、できるだけ多くの希望者に接種を行うつもりです。
しかしまずは、毎月定期的に当院を受診されている方へのワクチン接種に励みますので、ご了承ください。

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高齢者の次の、基礎疾患を有する人への接種の方が混乱するかも
- 2021/05/15(Sat) -
「私の接種は、どうやって予約することになるんですかね」
当院通院中の65歳未満の方(基礎疾患を有する方)から、今日このような質問を受けて、愕然としました。

皆さまご存じのように、新型コロナワクチンの接種には優先順位が設けられています。
1.医療従事者、2.65歳以上の高齢者、3.基礎疾患等のある方、4.その他の方、という順番です。

かつては、「基礎疾患の有無を判定して接種するのって、めんどくさそう」といったことを危惧したものです。
ところが蓋を開けてみると、現実には高齢者の予約のところでつまずいています。日本中が混乱しています。
ですが、もっと混乱するのは、おそらくこの次の段階、基礎疾患を有する方の接種かもしれません。

熊本市ではどのような予約方法を準備しているのか、今日、コールセンターに尋ねてみました。すると、

(1)時期が来たら、16歳〜64歳の市民全員に、接種券と予診票を発送する
(2)専用サイトやコールセンター等で、基礎疾患のある方等(自己申告)からの予約を受け付ける
(3)対象者かどうかは最終的に、接種前の問診で医師が確認する

高齢者よりもずっと多くの希望者が、ネットや電話に殺到する光景が目に浮かびます。
基礎疾患の有無は自己申告なので、予約段階ではねられることはありません。希望者は全員予約が可能です。

その方々が本当に有資格者かどうか、医師による判定を受けるのは接種当日の問診です。つまり接種直前です。
まさかその時点で、あなたは基礎疾患を有するとは言えないので、接種できませんね、とは言えないでしょう。

このように、接種現場の混乱は必至です。予約受付開始までに、何か別の工夫を考えた方がいいと思います。
接種券と予診票を、16歳〜64歳の市民全員に一斉に送付するのだけは、絶対にやめてほしい。

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ドタキャンで余ったワクチンは、誰に打ってもいい
- 2021/05/14(Fri) -
どこやらの町長やら教育長が、本来の優先接種対象ではないのに新型コロナワクチンの接種を受けた問題。
キャンセル分を接種したり、医療従事者であるとの拡大解釈で恣意的に接種したケースもあるようです。

このようなセコい抜け駆け接種に対して、国民世論はおおむね批判的です。ま、その気持ちはわかります。
しかし、優先順位第1位の医療従事者だって、接種対象選定は「自己申告」で、その実態は少々グレーです。
私の1回目の接種よりもずっと早く接種を済ませた、大病院の出入り業者の方々なんて、何人も知ってます。
実際にコロナ診療を行っている人は当然ですが、単に病院勤務というだけで優先対象にしてきたのが現実です。

急なキャンセルが出た時にその余ったワクチンを誰に打つかも、接種現場の判断に任せれば良いのです。
もちろん、キャンセル待ちの接種対象には、あらかじめ一定のルールを作っておくことがが必要です。

熊本市では、(1)医療従事者→(2)かかりつけの高齢者→3)コールセンター→(4)周辺の誰か、の順です。
希釈して常温にしたワクチンは長持ちしないので、時間的制約から、(4)になる可能性もあるでしょう。
キャンセル待ちの接種対象者を探す時間的余裕が無ければ、もう誰に打ったっていいでしょう。

かつて河野担当相は、「余ったワクチンは高齢者でなくても、他県の方に打っても構わない」と述べました。
ところが今日の河野氏は「(首長らには)説明責任を果たしていただきたい」とトーンダウン。
世論とメディアに流されて、私から見れば正論(拍手喝采モノ)だった持論を封印してしまったわけです。
この人(河野氏)は、閣外にいた頃は威勢が良かったんですが、入閣してから大人しくなっちゃいましたね。

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熊本市の「高齢者の接種は7月末完了見込み」だそうです
- 2021/05/13(Thu) -
神戸市で、新型コロナワクチン960回分を誤って最長3時間ほど常温に置き、使用できなくなった件。

3時間は論外としても、5分や10分ほど放置した後に冷蔵するようなケースは、今後もあるかもしれません。
ワクチンの効果が減弱または消失しかねないようなルーズな管理に、現場の誰かが気づくかどうかです。

960回分がムダになったことよりも、温度管理の重要性と現場の認識の甘さが露呈した一件だと思います。
誰も気づかなければ、問題のワクチンはそのまま接種に使われます。見た目には何の異変もありませんから。

やっと接種出来た希望のワクチンが、じつは手違いで効果の無いものだったとなれば、なんと罪深いことか。

その意味では、ワクチンの希釈を間違えて、うっかり生理食塩水を注射してしまった奈良の事案も同じ事です。
使用後のバイアルに生食を注入した時点で、もはやこの液体がワクチンかどうかは見た目ではわかりません。

誰にも気付かれないまま、効果の無い液体が注射されたケースが他にないかどうか、確かめようもありません。

通常の予防接種でミスが起きにくいのは、準備から接種までの手順が確立し、作業が安定しているからです。
一方で新型コロナワクチンは、管理が難しく接種方法も新しいという、強い緊張を強いられる接種作業です。
それなのに、7月末までに接種を終えよ、などと無理筋な指示を受け、安全な接種が脅かされているのです。

昨日、各医療機関の9月初めまでの毎週の接種計画数を尋ねるFAXが、熊本市から届きました。
7月末までの接種数の総計で、熊本市の高齢者全員が2回接種できるか、調査したいのでしょう。
ただしその回答期限を待たず、熊本市は「高齢者の接種は7月末完了見込み」と発表してますけどね。

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【朗報】熊本市の新型コロナワクチン予約方法が変わりました
- 2021/05/12(Wed) -
熊本市の新型コロナワクチンの予約方法が、抜本的に変わりました。
毎週必ず大混乱を招く仕様の「毎週予約締切方式」は、ついに取りやめです。賢明な決断といえるでしょう。

新たな予約方式の要点は、
(1)1週間ずつ締め切るという「愚策」を中止し、5/24〜7/4の6週間を予約期間とした
(2)その前半3週間と後半3週間を、それぞれ1回目と2回目の予約専用とし、2回分の予約を取りやすくした
(3)次の予約受付日(5/17)を85歳以上の方専用、翌5/18は80歳以上の方専用とする、分散予約を採用した
(4)コールセンターがフリーダイヤルになり、受付時間も長くなった

遅きに失したと非難を浴びたとしても、過ちては改むるに憚ること勿れです。きっと良い方向に進むでしょう。
にしても、私の心配は、次回予約受付開始日5/17に予想される混乱です。すなわち、
・分散予約が「お願い」ベースなら、ごり押しする市民も現れる
・予約方法の変更など知らん、いつ変えた、オレは聞いとらん
・医療機関への電話殺到

多くの自治体が、80歳以上の方の予約から開始するという、年齢制限による予約分散策を採っています。
特定の年齢層(超高齢層)にだけ「接種券」を送付する方式であれば、無用の混乱も防げます。

ただし横浜市のような大都市は、それでもアクセスが集中して予約受付を中止する騒ぎになりました。
人口規模はだいぶ異なりますが、横浜市の混乱を見たので、熊本市は85歳以上からにしたのかもしれません。

とは言え、すでに接種券を全ての高齢者に送付してしまった熊本市の混乱は、今後も避けられないでしょう。
先見の明が無かったというほかありません。
こういったことは本来、自治体任せにせず、優秀な厚労省の官僚が考えておくべきことなんですけどね。

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市の予約システムから、いったん離脱
- 2021/05/11(Tue) -
新型コロナの感染拡大とワクチン予約の混乱。連日同様の話題で恐縮ですが、毎日新ネタがあるものですから。
ローカルニュースでも報じられたように、熊本市が一人芝居のドタバタ劇を演じ中です。ただし笑えません。

第1幕:午前のFAX「好きに打ってね」
「かかりつけの患者さんから接種の希望があった場合、市の予約システムを介せず接種を行っていただけます」

第2幕;午後のFAX「さっきのはウソ」
「改めて、丁寧な説明をさせていただく機会を設けますので、一旦、撤回させていただきます」

「朝令暮改」という言葉が浮かびましたが、違います。「朝令昼改」です。
「公平」にこだわった予約方法が混乱を招いて反省する余り、反対方向に走りすぎて、慌ててまた引き返す。

ネットや電話予約ではラチがあかないので、もう自由に接種させよう、というのが最初のFAXの主旨でした。
私はすぐに保健所に電話して、予約システムからの離脱を申請。自由接種に専念する覚悟を決めました。
と思ったら第2のFAXが届いたわけですが、もう私の方針は変わりません。しばらくは、かかりつけ専用です。

とは言え、私のやり方の医療機関ばかりでは、持病やかかりつけ医を持たない方が不利です。
それを解決するのが集団接種だと思うし、そんな時にこそネットや電話予約システムが生きるというもの。

自院ではかかりつけ患者に特化し、一方で集団接種会場にも出動する。私はそのやり方で行こうと思います。
と書きましたが、私もけっこう朝令暮改派ですので、ご了承のほど。

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「7月末に接種終了」の無理難題
- 2021/05/10(Mon) -
「1日100万回の接種を目標とし、7月末を念頭に希望する全ての高齢者に2回接種を終える」
菅首相のこの発言を聞いて、んなことできるかいっ、と医療従事者なら誰でも思うところ。
ところが自治体は真逆の反応なんですね。無理を承知で従うしかない。で結局、医療機関に指示が出ます。

熊本市長から各医療機関に届いたFAXの主旨はこうです。
・現状の、医療機関の接種計画では、菅首相の言う「7月末終了」は困難である
・よって、平日・夜間・休日の接種を増やし、5/19〜7月末までの期間で120回分ほど接種を増やして欲しい

はてさて、発熱外来も忙しくなってきたいま、どこまで増枠できるのか。
もちろん、毎日1人でも2人でも多くの方に接種したい、と思う気持ちはあります。
ところが、このワクチン、毎日の接種人数が6の倍数でなければなりません。
増枠する場合でも6人単位というのが、ネックなのです。

一人の接種当たりどのぐらいの時間を要するのか、始めてみなければわかりません。
接種作業とその後の経過観察に余裕を見て、当院では15分に一人の接種ペースで考えています。
しかし熊本市の要請に従うなら、10分に一人以上のペースに上げないと、回数をこなせません。

菅首相はまた、インフルエンザワクチンの接種ペースを引き合いに出していますが、それも誤解です。
たしかに当院でも、インフルエンザワクチンは15分に5人のペースで接種してきました。
でも「3密」を防ぎながら接種しなければならないコロナワクチンでは、そんなペースはあり得ない。
どうしてそのようなナンセンスなことを、平気で提案できるのか。たぶん、分かってないからです。
菅首相に適切な助言をできる人が周辺にいないか、首相が聞く耳を持たないか。たぶんその両方でしょう。

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「先着順」の予約受付を、やめたらどうですか
- 2021/05/09(Sun) -
新型コロナワクチンの接種は、多くの自治体で、高齢者向けに予約受付が始まりつつあります。
NTTや携帯各社は、他の電話がつながりにくくなるのを避けるため、予約用番号への着信を制限するとのこと。

予約電話の集中と、それによる混乱なんて、容易に予測されたことです。
これだけ数が限られるワクチンの場合、そもそも先着順に受け付けることが間違いなんじゃないですか。

先着順は「公平」だと言いますが、ネットや電話はつながりにくく、予約できるかどうかは運・不運です。
苦労がなかなか報われず、混乱を招くばかりで、その結果には「不公平」感が漂います
それならば、最初っから抽選にした方が混乱を避けられるだけマシじゃないですか。
さらにその抽選の混乱をも防ぎたければ、各自治体がそれぞれの基準と責任で接種順を決めてしまえばいい。

熊本市も、高齢者施設の入所者を優先したところまでは良かったのに、その後の戦略がダメダメですね。
毎週毎週すべての高齢者に「公平な機会」を与えようという現在の予約受付方式は、申し訳ないけど愚策です。

電話会社の通信制限によって、明日以降の予約電話はますますつながりにくくなることでしょう。
コールセンターにつながらなければ、当然、医療機関に直接電話をかける方も増えることになります。

ですがいくら電話されても、各医療機関の接種枠なんて、かかりつけの方の予約ですぐに埋まってしまいます。
「一見さんお断り」的な事は言いたくないですが、かかりつけの方ですら、大半はお断りしているのが現状。
一般診療や発熱外来も行っている医療機関で、コロナワクチンを接種できるキャパなんて限られているのです。

となると解決法は集団接種です。熊本市でも計画されているので、私も時々接種会場に出動するつもりです。
ただ、そのために自院を臨時休診しなければならず、その分、個別接種が減るというジレンマがあります。
1日100万人接種する、なんて菅首相がぶち上げたところで、現場でできることはすでにキャパ一杯です。

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感染急拡大の中で、ワクチン問い合わせ多数
- 2021/05/08(Sat) -
熊本県で111人なら、熊本市でも82人と、いずれも過去最多の新規感染者数が出てしまいました。

当院の発熱外来においても、これまで以上に慎重に診療しなければ、院内感染の危険がある雰囲気です。
そのため、申し訳ありませんが、風邪症状の方をコロナを見る目で診療することを、ご了承ください。

「マスクを着け、手はこまめに消毒して、十分注意してますからコロナじゃないです。風邪だと思います」

過去1年間に何十回も聞いてきたセリフですが、その認識は、改めてください。
コロナも風邪も、ウイルス感染です。コロナの予防が完璧であれば、風邪に罹るはずがありません。
風邪に罹った時点で、ウイルス感染を防ぎ切れていなかったことを自覚しなければなりません。
そしてまた、その「風邪症状」が、新型コロナの症状ではないという保証もありません。

だから当院では、風邪症状の方にはできるだけ、コロナの検査をオススメしているのです。
実際、半信半疑で検査を受けた軽症者の中から、抗原検査やPCR検査の陽性が出たりします。
なかには陽性であることに納得しかねて、保健所の疫学調査にあまり協力的ではない方もいると聞きます。

熊本で感染が急拡大しているいま、当院の明日の発熱外来は、大型連休中のそれを凌ぐものになるでしょう。
そんな中で今日も、多分明日も、ワクチンの接種を希望する多くの方から、問い合わせの電話が入るのです。
感染が拡大する中でのワクチン接種という、最悪の予想が的中しそうな雰囲気です。
こんな事にならないために、ワクチン接種の前までには、感染をしっかりと抑え込むはずだったんですけどね。

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感染者激増、ワクチン急げ
- 2021/05/07(Fri) -
4都府県の緊急事態宣言の延長が決定し、さらに愛知県と福岡県も対象地域に追加されることになりました。
隣県の福岡を見てヒヤヒヤしてきましたが、しかしもうそれどころじゃない。熊本の新規感染者が100人です。

ところが熊本では、高齢者へのワクチン接種の、予約受付が昨日始まったばかり。接種は5/19からです。
毎週2,3%の高齢者が接種できるようですが、3週間で10%、次の3週間は2回目の接種に充てられます。
いまのペースでは、6週間で10%の方にしか接種できず、全員の接種には60週間、1年以上かかる計算です。

もちろん、ワクチンの供給量が増えたら、接種ペースはドンドン上がっていくことでょう。
当院も今日、当初予定よりも少しだけ予約受入枠を増やすための手続をしましたが、これが面倒くさい。
保健所等関係各所への電話連絡を行った後に、報告資料(Excelファイル)の再提出が必要でした。

ワクチン1バイアルから6人に接種するため、医療機関の予約者数は毎日、6の倍数でなければなりません。
その条件がネックとなり、ちょっとだけ増枠・減枠することが、なかなか難しいのです。

さらに、実際に接種が始まると、体調不良等でキャンセルが出てくるのが恐怖です。
キャンセルが出たら、余ったワクチンを誰かに接種しなければなりません。その優先順位は、
(1)医療機関の職員で未接種の者や、かかりつけ患者の優先接種対象者から探す
(2)コールセンターに連絡して、キャンセル待ちリストから見つけてもらう
(3)その日の受診者の中から対象者を探す
(4)優先接種対象者でなくてもいいから、なんとか接種する

ひとたびキャンセルした人が、次にいつ接種できるのか。1,2カ月待ちは必至でしょう。
コロナ感染者が増えている現状で、頼みのワクチンが接種できないのは、あまりにも残念なことです。
それは困るので、体調不良を隠して接種する方が出てくるかもしれません。
発熱外来とワクチン接種の両方を最大スピードでこなさなければならない時期が、もうすぐ来ます。

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熊本市でもワクチン接種の予約受付開始
- 2021/05/06(Thu) -
熊本市のコロナワクチン。本日正午から始まった予約受付は、1時間半で終了してしまいました。
今日予約が出来たのは、「第1期(5/19-23)」の5日間の接種分だけです。そりゃ、すぐ埋まるでしょう。
人数にして4,200人分。熊本市の65歳以上の対象者20万3千人の2.1%だけだそうです。

「第2期(5/24-30)」の予約受付は5/17の朝8時半から。それまでの約11日間は、予約受付停止期間です。
なんてムダな時間なんでしょうね。そして5/17にはたぶん、予約枠はまた1,2時間で埋まるのでしょう。

以後、毎週月曜日の朝に予約合戦が繰り広げられ、その後7日間は予約のできない日々が続くことを繰り返す。
予約受付をあえて毎週1回の短時間に集中させようという戦略の、どこにメリットがあるのでしょう。

熊本市の「新型コロナワクチン 接種予約サイト」がまた、使いにくいですね。
ずら〜っと200以上の医療機関が、いったい何順で並んでるのか知らんけど、接種会場が見つけにくい。
検索機能もショボい。空き枠がある会場を見つけることができません。

今回1回目が予約できた人が、その3週間後の2回目の接種枠を確保できないのも、致命的な設計ミスですね。
2回目の接種のために、3週間後にまた予約を取る必要があるとしたら、この仕組みは早急に改善すべきです。

「医療機関でのみ予約を受け付けます。かかりつけ患者様は医療機関に直接ご連絡いただきますようお願いいたします」
当院のように、公開枠を作ってない医療機関の場合、予約サイトにはこのように表示されています。
この文言のおかげで、ネットや電話予約ができなかった、少々イラだった方々からの電話が絶えませんでした。

本来、「医療機関のみで受付」というのは、かかりつけ患者用の非公開枠しか準備していないという意味です。
予約サイトに「医療機関に直接ご連絡を」なんて書かれたんじゃあ、非公開にしている意味が無いのです。

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連休中でも、保健所は大忙し
- 2021/05/05(Wed) -
大型連休最終日の今日、当院の発熱外来の受診者は3月以来最多でした。
抗原陽性者は1月をしのぐ数であり、明日判明するPCR検査の陽性者数がどうなることやら心配です。

ところで、SARS-CoV-2抗原陽性者が出た場合に、当院がやっていることは、
(1)保健所に一報(電話)
(2)発生届(HER-SYS)入力(ネット)
(3)入院チェックリストを送信(FAX)

今日はとても忙しかったので、(1)の電話の際に保健所の方に、(2)(3)は少し遅れますと伝えました。
しかし保健所としては(2)が出ないとは動けません。できるだけ早く入力をお願いしますとのことでした。

そこで診察の合間に、まず(3)のFAXを送信し、次の合間に(2)をネット入力・送信しました。
ところがしばらくして保健所から電話。(3)は受け取ったが(2)はまだか、と。
早く出してもらわないと保健所としては動けませんよ、とせかします。でも、とっくに送信したはずなのに。

結局その1,2時間後になって保健所から、(2)は受け取っていました、とのお詫びの電話がありました。
おそらく今日は、(2)の入力数が多く(=感染者数が多く)、保健所もバタバタしていたのでしょう。
こんな中で明日から、いよいよ高齢者へのワクチン接種の予約受付が始まります。さて、どうなることやら。

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早く接種したいのはやまやまです
- 2021/05/04(Tue) -
北村先生が髪型を変えたので、私も今日、美容室に行きました。(非合法なので、ここだけの話です)
髪がさっぱりして何がいいかって、マスクやフェイスシールドを装着するのが楽ですね。
その点で言うなら、ツーブロックとか、究極的にはスキンヘッドがいちばん楽チンでしょう。

昨夜8時ごろ熊本赤十字病院の救外を覗いたら、待合室のソファー1つに1家族、という程度の混み具合でした。
救外の内部も、それほどバタバタしていませんでしたが、それでも3月に見た頃よりは忙しそうな印象でした。

新型コロナ感染者は増えていますが、普通の風邪などで当院を受診する方が昨年よりは増えつつあります。
「喉もと過ぎれば」なのか、警戒心が緩んで受診抑制がなくなってきたのかもしれません。

それが一種の「慣れ」からくる「油断」だとすれば、この緊急事態宣言中の都会の人出はまさにそうです。
メディアがこれだけ取り上げているのに街は賑わい、政治家は国民に「自制」を要求するのみです。

高齢者への新型コロナワクチンの接種については、当院でも明後日から正式に予約の受付を始める予定です。
しかし、ワクチン接種に使える時間は限られており、かかりつけの方への接種だけでも夏までかかりそうです。
一般外来や発熱外来や子どものワクチン接種にも、一定の診療時間を確保しておく必要があるからです。

ワクチンの打ち手が足りないのは、開業医がノンビリしているからだ、そんなひどい話が飛び交っています。

なに言ってんの。一刻も早く打ちたいですよ。でも私はまだ1本のバイアルにも、触れたことがありません。
当院に、待ちに待った最初のワクチンが届くのは、一般向け接種が始まる5月19日の2日前(の予定)です。
そんな具合なので、「打ち手が足りない」「開業医はノンビリ」などと言われるのは、まことに心外です。

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集団接種から予約受付を始めたら、混乱して当たり前です
- 2021/05/03(Mon) -
横浜市で本日開始した高齢者の新型コロナワクチンの予約受付は、アクセスが集中して45分で中止です。
想定のおよそ2倍のアクセスがあり、処理しきれなかったとのこと。

さすがに横浜市も、すべての高齢者に対して一斉に予約受付を始めたわけではありません。
接種券の通知は、まずは75歳以上の53万人にだけ、発送していました。
しかも今日の予約は、80歳以上の34万人だけが対象でした。
ところがそこへ、200万以上のアクセスが集中したため、パンクしてしまったわけです。

対象は34万人でも、家族らが協力して一斉に予約を取ろうとしたためか、アクセスは200万。
そこまで膨らむとは、横浜市は想定していなかったのでしょう。市民を見くびっていたわけです。

では、どの様にすれば、予約サイトのパンクを防げるのでしょう。
対象をもっと絞り込んで、最初は90歳以上から始めるぐらいの、慎重さが必要なのでしょうか。

いやおそらく、横浜市が個別接種の予約をまだ始めていなかったことが原因だと私は思います。
熊本市のような、個別接種を集団接種よりも先行させる方式が、正解かもしれません。
さらに、かかりつけの方を対象にするような予約を併用すれば、ネット予約の混雑はかなり軽減できるはず。
その点で、熊本市のやり方は優秀だと言えますが、毎週締切方式を打ち出してきたので、もう台無しです。

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持病がある方こそ、ワクチンの接種をオススメします
- 2021/05/02(Sun) -
新型コロナワクチンの接種について、ご高齢の方からの問い合わせが増えてきました。
(1)ここで接種できますか/いつから予約できますか/今日予約できますか
(2)持病があるのですが接種できますか

前者は一刻も早く接種したい方ですが、問題は後者のように微妙な誤解をして躊躇している方です。

持病がある方にこそ、接種をオススメします。新型コロナに罹ると、重症化しやすいとされているからです。
重症化を防ぐことが、ワクチン接種の目的です。「高齢+持病」のダブルのリスクがあれば、なおさらです。

生活習慣病などの基礎疾患のある方はワクチン接種の何が心配なのか、何人かに尋ねてみました。
するとどうやら、持病があるとワクチンによる副反応が強く出のではないかと、心配しているのです。
つまり、新型コロナに罹ることよりも、ワクチンの副反応の方を恐れているのです。

たしかに日本人には、感染症よりもワクチンの副反応に敏感に反応する体質があります。
さらに厚労省にも、副反応を減らすためなら感染症の予防は二の次、と考えているフシがあります。

現にインフルエンザワクチンは、副反応を減らすために、欧米よりもだいぶ弱められたものを使っています。
副反応騒ぎを回避するために、毎年3千人が亡くなっている感染症を予防するHPVワクチンを、止めています。

感染症予防よりも副反応回避を優先するとは、まるで王よりも飛車をかわいがるような、へぼ行政です。
そんなことを続けて来たものだから、国民はますます副反応にばかり敏感になってしまったのです。

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毎週予約締切方式で、毎週の混雑が約束されています
- 2021/05/01(Sat) -
新型コロナ感染者が増えている中で、しかし並行してワクチンの接種も急ピッチで進めなければなりません。

いま全国で始まっているのは高齢者への優先接種です。各自治体がそれぞれ、予約受付方法を工夫しています。
熊本市では、連休明けの5月6日から予約受付を開始し、実際の接種は5月19日に始まることになっています。
おそらく5月6日には、ネット予約と電話予約が混雑して、予約が取りにくくて苦情が続出することでしょう。

そんななか、熊本市は奇っ怪な「工夫」を打ち出してきて、医療関係者はみな驚きあきれているところです。

ドラえもん風に言うなら「毎週締切、毎週予約チャレンジ方式〜!」。
月〜日の1週間分の予約を、その前の週の月曜日から受け付けるという、1週間単位の予約受付方式です。
この方式によって、どのような事態が予測できるかというと、

(1)予約枠が1週間分だけなので、予約がすぐに埋まり、受付はすぐに締め切られてしまう
(2)ほとんどの対象者が予約できず、翌週に改めて再チャレンジすることになる
(3)翌週も、予約枠が1週間分だけなので、予約がすぐに埋まり、受付はすぐに締め切られてしまう
(4)ほとんどの対象者が予約できず、翌週に改めて再チャレンジすることになる
(以下、繰り返し)

対象者は、毎週予約チャレンジしなければならず、1週間分単位で予約を受け付けるメリットがわかりません。
この方式で混雑を分散できると考えたのなら、考えが浅はかです。このままでは毎週の混雑は必至です。
保健所の方におかれては、早急に、現方式を撤回していただきたい。連休明けにすぐ、取りかかってください。

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