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コロナが不隠な動きを見せる中で、人々が大移動してますが
- 2021/12/31(Fri) -
予測不可能な展開を見せるコロナ禍は、発生からほぼ2年を経過し、いまなお先行きは不透明です。
当初は2021年中には収束するだろうと思っていましたが、繰り返す流行の波は訪れるたびに高くなります。

欧米では今まさに、過去最多の感染者数を出す最大の波に飲み込まれています。
一方で日本は奇跡とも思えるほどの平穏な状況でしたが、しかしこのところ不隠な動きを見せています。

医療機関によってそれぞれ状況は異なりますが、いろんな意味でみなコロナ禍では苦労しています。
医療従事者自ら感染のリスクに晒されながら、その使命感をまっとうしている方々には、頭が下がります。
当院などはただ、発熱外来でトリアージを行っているだけですが、恐怖を感じていた頃もありました。

飲食業や旅行業などとはまた別の意味で、医療機関でも一般患者の外来受診が減りました。「受診抑制」です。
しかし厚労省からの補助金のおかげで、発熱外来をやっている当院などはまだ救われた方です。

大きな補助金案件は昨年から数件あり、申請資格のあるものには全て応募しました。
そのほとんどが、Windows版のExcelベースの申請書で、Macユーザーの私にはかなり苦痛で苦労しました。
締切はせかすのに交付決定が遅く、令和2年度の補助金のひとつは、まだ最終的な精算が終わっていません。

そんな中で例外的なのは、今年10月から12月の経費に対する補助金でした。
「医療機関等の事務の簡素化の観点から、領収書等の添付を省略し、電子申請を原則とする」とは嬉しい。
厚労省のサイトの申請フォームに、医療機関情報と経費の内容・金額を入力するだけですべて完了です。
領収証は自分で保存しといてね、という優しい態度には打たれます。困っている人のための補助金ですからね。

このように補助金申請は簡便かつ「性善説」を基本とすべきです。もちろん不正受給は厳しく罰してください。

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年末Mac大掃除(初期化)、ただし1台のみ
- 2021/12/30(Thu) -
昨日突然、受付の電子カルテの端末が1台、起動しなくなりました。だいぶ古いiMac(Late2013)です。
年末最終診療日の終業後に、あらためてレセプト作業のために再起動しようとしたら立ち上がりません。
起動画面の「じのじの」が、何分間もずっと回り続けています。

そこで昨日は、いつもやるように次のような手順で修復を試みたのですが、うまくいきませんでした。
(1)再起動:電源ボタンを長押しして強制的に電源OFFした後、通常通りに起動してみる(失敗)
(2)システム管理コントローラ(SMC)リセット:電源コードを15秒以上抜いてから起動(失敗)
(3)PRAMクリア:「command + option + P + R」の同時押しで起動(失敗)
(4)セーフモードで起動:「shift」押しながら起動(失敗)

休診日の今日は、お墓参りの後で出勤。昨日と同じ(1)から(4)を再び試してみましたが、やはりダメ。
こうなったら、Mac内のデータを取り出し、Macを初期化してOS等を再インストールすることになります。

起動しないMacのHDDを、他のMacの「外付けHDD」として認識する手段があります。
(5)ターゲットディスクモード:「T」を押しながら起動。他のMacとThunderboltケーブルで接続(成功)

うまく認識できたので、このMac内にだけ存在していたレセプト関係のファイル等を、無事取り出せました。
このあとやることは、通常通りの退屈な作業ですが、もう解決までは時間の問題です。
(6)リカバリーモード:「command + R」の同時押しで起動(OK)
(7)ディスク修復(これは失敗)、ディスク初期化(瞬時に終了)
(8)OS再インストールと、その他の諸設定、各種アプリのインストール、データリカバリー(時間食った)

こんな感じで図らずも、年末にMacを1台「大掃除」することになりました。
以前は、すべての所有Macを定期的に初期化してたんですけどね。最近は根気が無くて、あまりやってません。

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新型コロナ治療薬「モルヌピラビル」承認
- 2021/12/29(Wed) -
メルクが開発した新型コロナの内服薬「モルヌピラビル」の国内での使用が承認され、出荷が始まっています。
日本での商品名は「ラゲブリオ」。赤いカプセルです。1回4カプセルを1日2回、5日間内服します。

安定的な入手が可能になるまで一般流通は行われず、厚労省が所有し、要請に応じて配給されるとのこと。
医師が処方し、薬局から患者宅に薬が配送される仕組みだそうですが、その詳細がどうもよくわかりません。

そう思っていたら昨夜遅くに、熊本県健康危機管理課から、次のような趣旨のメールが届きました。
「診療・検査医療機関はモルヌピラビルを在庫としてストックできるようにリスト化させていただきました」

日本語的には少し読みにくいメールでしたが、「モルヌピラビル登録ホームページ」へのリンクがありました。

クリックするとMSDの「ラゲブリオ登録センター」に飛び、さまざまな「同意文書」への同意を迫られます。
「次へ」のボタンと「閉じる」のボタンの位置関係が紛らわしく、たびたび閉じてしまい、やり直しです。
次いで、施設情報と、代表医師の情報と、薬剤師(いなければ医師)の情報と、問い合わせ先を入力します。
それらは全部同じ内容なのに、「上記と同じ方でもご入力が必要」とあるので、4回入力を繰り返します。
パスワードと秘密の質問とその答も設定し、ようやく登録完了となりました。

さて、登録したけどどう使うのってことで、今朝、熊本県健康危機管理課に電話して尋ねてみました。
どうやらまだ詳細は決まってないようです。そうですか、こちらも別に急ぎませんけど。なら電話するな?
年明けには、「ラゲブリオ取扱い指針」みたいなのが出ることを期待しています。
PCR陽性なら薬局から発送、抗原陽性ならその場で手渡し、ていうのが私の望むイメージですけどね。

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追加接種の時期は、すべて自治体に任せてはどうよ
- 2021/12/28(Tue) -
新型コロナワクチンの「追加接種(3回目の接種)」の方針がまた、変わりそうです。
後藤厚労相は今日、一般の高齢者が1月中に接種しても「差し支えない」と述べました。

これまでは、追加接種が可能な時期は次のように「前倒し」されていました。
(1)医療従事者や高齢者施設の入所者は、2回目の接種から6カ月後以降
(2)一般の高齢者は、2回目の接種から7カ月後以降で2月1日以降

しかし、2回目を6月に接種した高齢者には、7カ月後の1月中の追加接種を期待する声も少なくありません。
そのような方に私はこれまで、「早くても2月ですね、1月の接種はできないルールです」と説明してきました。

ところが、規制がどんどん緩和されるものだから、結果的に私の説明は間違いになってしまいました。

可能な限り前倒しをする施策の柔軟性は支持しますが、朝令暮改が続きすぎて、現場での混乱を招いています。
自治体による準備状態にも差があるでしょうから、もう規制を撤廃して、全て自治体に任せてはどうでしょう。

追加接種用のファイザーのワクチンの2〜3月の配給予定数は、当院が申請した本数には届きませんでした。
しかし、足りない分はモデルナで補うことができました。現時点ではまだ、モデルナは余っているようです。

2月の接種分を1月に前倒しするために、自治体はワクチンの配給計画を抜本的に見直さなければなりません。
年末年始の間に各医療機関の希望を再調査して、集計して、配給上限を決め直すのって、かなり厳しいですね。
国が接種に前向きになのは嬉しいですが、決断がワンテンポ、遅いのです。

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「アルコール消毒」だけでは感染性胃腸炎は防げません
- 2021/12/27(Mon) -
「感染性胃腸炎」が多いですね。このことは1カ月前にも書きましたが、それからずっと、一貫して多いです。

熊本市の「感染症発生動向週報」では、感染性胃腸炎が断トツで、RSウイルス感染症も増加気味。
先月と同様に、ロタウイルスによる感染性胃腸炎は、ほぼゼロ状態。いま多いのはノロウイルスのようです。
野呂さんには申し訳ないですが、お役所にならって、私も略称の「ノロ」を使わせていただきます)

ノロに限らずロタもアデノも、胃腸炎ウイルスの多くは「ノンエンベロープウイルス」です。
これは、ウイルスの本体である核酸を包む殻が、脂質の膜「エンベロープ」に包まれていないウイルスです。

コロナウイルスのような「エンベロープウイルス」はアルコールで失活するので、アルコール消毒が有効です。
一方で「ノンエンベロープウイルス」は、アルコールに強いのが特徴であり問題です。

いま、どのご家庭にもアルコール消毒薬が完備されているでしょうけど、感染性胃腸炎には役に立ちません。
手指消毒は速乾性のアルコール消毒薬が便利なので、つい手洗いを怠りますが、それが問題なのです。
昨日も今日も一昨日も、感染性胃腸炎で「全滅」したご家族が、何組か受診されました。
手軽なアルコール消毒を過信して、胃腸炎ウイルスが家庭内にまん延することになったのかもしれません。

このことについては、役所やメディアや、もちろん医療者が、市民に正しい知識を広めなければなりません。
とは言え、この時期に感染性胃腸炎が多いのは例年並です。熊本市の資料では2016年とほぼ同じです。
なので、「アルコール消毒過信説」は、もっともらしいけど違うかもしれません。
考えてみたら、ロタウイルスによる感染性胃腸炎がまったく発生していないことにも、説明がつきませんしね。

でも私は、胃腸炎診療の後は、アルコール消毒→石けん・流水で手洗い、の2段構えです。面倒です。

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新1万円札の人のことが、多少わかりました
- 2021/12/26(Sun) -
NHK大河ドラマ『青天を衝け』が終わりました。
そこそこの面白さから始まったと思ったら、途中から目が離せない展開となりました。よいドラマでした。

主人公・渋沢栄一の末裔である尾高忠明氏の指揮によるテーマ曲も、私はわりと気に入ってました。
そして尾高氏といえば、かつて「N響アワー」で放送事故を起こすほどの名演奏を見せたことを思い出します。

大河ドラマの面白さは、史実とは矛盾しない範囲で、どれほど独自の物語を構築できるかで決まります。
前にも書いたように、描く時代が現代に近ければ近いほど、脚色の自由度が下がります。

なので、一気に時代がさかのぼる、次の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』は、驚くような展開になる予感がします。
おまけに三谷幸喜ですからね。大真面目にふざけたことをやりそうで、楽しみです。

「鎌倉時代は知名度があまりないので、先がどうなるかわからないというおもしろさは確実にある」
三谷氏自身がそのように言うほどですから、視聴者を驚かせる気まんまんなのは間違いないでしょう。

コロナ禍や東京五輪などのために、この2年間の大河ドラマは、放送回数がずいぶん制限されてしまいました。
前回の『麒麟がくる』は44回だったし、2月に放送が始まった今回の『青天を衝け』はたったの41回でした。
来年の「鎌倉殿」も、コロナ禍の先行きが不透明なため回数は未定とのこと。脚本家も困るでしょうね。
以前のように、毎週日曜日には必ず楽しませてくれる、全50回の本格的大河になることを期待しています。

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やっぱファイザーか、それともモデルナか
- 2021/12/25(Sat) -
追加接種(=3回目の接種)に使うワクチンは、ファイザーとモデルナの2種類。その供給と接種の見通しは、

・供給順:最初はファイザーだけで途中からモデルナも加わり、全体としてファイザー6割・モデルナ4割
・接種順:1,2回目と同じになるので、医療従事者→高齢者→基礎疾患を有する人→一般の方、の順

かかりつけの方の声を聞くと、意外と揺れてます
・モデルナは副作用が心配だから、やっぱりファイザーを打ちたい
・モデルナの方がオミクロン株によく効くと聞いたが、どうなのか

私の1,2回目はファイザーでしたが、1月にも順番が回ってくる追加接種はモデルナでもいいと思っています。
しかし、1月に追加接種に使えるのはファイザーだけ。モデルナを打ちたければ、敢えて待つ必要があります。

供給と接種順の規定からは、接種の順番が遅くなる若者は、モデルナしか選択できなくなるかもしれません。
モデルナを接種すると心筋炎・心膜炎の危険があるとされる若い男性が、ファイザーを選択できないのは問題。

ワクチンの有効期限を考慮しつつも、できるだけファイザーを温存する供給計画が立てられないものか。
当院では、ファイザーとモデルナを確保しつつ、可能な限りファイザーを温存するプランを検討中です。
そのためには、ご高齢の方にできるだけモデルナを打っていただく必要があり、作戦を考ているところです。

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オミクロン株流行までの時間稼ぎする間に、前倒し接種を進めなきゃ
- 2021/12/24(Fri) -
あ〜あ、とうとう出ちゃいましたか。熊本では40日ぶりに新型コロナ感染者が確認されました。ガッカリです。
大阪府在住の方のようで、まさかオミちゃんじゃなかろうかと、ちょっと気になります。

その大阪や京都に加えて、今日は東京でも、オミクロン株の市中感染例が出ました。しかもクリニックの医師。
この医師の濃厚接触者は5人。いまのところ全員陰性、と聞いて私が思ったのは、たったの5人?、てこと。
どうやら、診察の際にはマスクとフェースガードを着用しており、患者は濃厚接触者には該当しないのだと。

念のため都は、クリニックの職員と受診患者の合計約100人に検査を受けるよう呼びかけているようです。
しかし、その100人の検査は任意だし、隔離もされず、普通の社会生活を送っているのでしょう。
てことは、マスクとフェイスガードを着用すれば、診療行為で患者に感染させることはないとの判断ですか。

であるなら、万一私が感染しても、マスクとフェイスガード装着で診療はできるのでしょうか?、まさかね。

入国者に対する水際対策が極めて厳しい割に、市中感染者の濃厚接触者の少なさはどうしても気になります。
あるいは濃厚接触者と認定されても、その全てが宿泊施設等への隔離に同意しているわけではありません。

今後また感染者が大幅に増えることは間違いなく、いま行っている対策はそれを遅らせる効果しかありません。
その時間稼ぎの間に、できるだけ速やかに、ワクチンの追加接種や内服薬の準備を行わなければなりません。

ところが、熊本市から医療機関に正式に前倒し接種方針の連絡が来たのは、つい今日の夕方のことです。
私や当院職員は、1月ではなく11月には接種できたはずですが、今頃言われてももはや前倒しは不可能です。

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接種機会を逃した9学年+2学年を、幅広く救済する方向
- 2021/12/23(Thu) -
厚労省の「ワクチン分科会」で今日、HPVワクチンの「キャッチアップ接種」の詳細が示されました。
基本的な考え方は、「接種機会を逃した方に対して公平な接種機会を確保する」ことだとしています。

その結果、積極的勧奨接種の差し控え9年間に「高1」であった者が、キャッチアップ対象となりました。
差し控えによって、定期接種対象の最終学年における接種機会を逸したのが、この9学年だというわけです。
具体的には、1997年度(平成9年度)~2005年度(平成17年度)生まれの女性です。

キャッチアップ接種が集中しないようにするため、その期間は3年程度が妥当とされました。

この話を聞いて思ったのは、現在「中3」の子は来年1年間しか接種の機会がないのか、という不公平感です。
キャッチアップ接種には3年の機会を与えられるのに、ギリギリ間に合った子は1年のみとは、いかがなものか。

と思っていましたが、分科会の資料をよく見ると、「順次キャッチアップ接種」なんて案が出ていますね。
現在中3の子は、来年度の定期接種期間のみならず、その後2年間のキャッチアップ機会が与えられそうです。
いま中2の子も同様に、来年から2年間の定期接種期間に加えて、その後1年間はキャッチアップ接種が可能と。

さすがによく考えてますね。こういう細かい「辻褄合わせ」は、官僚の得意分野ですからね。

ところで、差し控え期間中に対象学年を過ぎ、しかし接種の先延ばしを嫌って自費で接種を受けた方がいます。
そのような方には、後に「償還払い」を受けられるかもしれませんよ、と当院では説明してきました。
分科会資料にはしかし、そのような自費接種者への救済措置が見当たりませんでした。どうなるんでしょうね。

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当院へのワクチン配分は、予想通りファイザー大幅減
- 2021/12/22(Wed) -
ブレイクスルー感染の多い「オミクロン株」が増えつつある今、追加接種 (3回目の接種) の準備が進んでます。

医療機関に対して先日、熊本市の「ファイザー及びモデルナワクチン接種に関する意向調査」が行われました。
2月と3月のすべての日付ごとに、どちらのワクチンをそれぞれ何本接種できるかを調べるものです。

当院かかりつけの方の接種実績を元に、その全員へのファイザー接種を確保できる数値を私は回答しました。
すると昨日、「ワクチン配分量(接種可能上限量)」の通知が、熊本市感染症対策課からFAXで届きました。

ちなみに感染症対策課からはいつも、重要でもない通知は「PPAP」メールで、重要なものはFAXで届きます。
世の中がPPAP禁止に向かう中、熊本市は「zip暗号化ファイル」とパスワードを同一メールで送って来ます。
なので厳密にはPPAPですらなく、しいて言うなら「PAP」です。この場合、そもそも暗号化自体が不要です。

さて、熊本市から示されたワクチン「配分量」は、2月分は希望量の73%、3月分はわずかに43%でした。
この数字(=ワクチン配分按分係数)は、市内の医療機関の希望数の総数を、配分可能総数で割ったものです。
すべての医療機関に公平に、意向調査での回答本数にこの配分按分係数を掛けた本数だけを配分するようです。
このやり方だと、多めに申請したら十分に確保でき、必要本数だけ申請したら全然足りなくなってしまいます。

当院に提示された配分量では、かかりつけの方全員へ、ファイザーで追加接種するのは不可能な本数でした。
なので不足分はモデルナで補うことになります。どうやらモデルナは、欲しい分だけ供給してもらえそうです。

高齢者ですらこれですから、64歳以下の一般の方の接種に至っては、大半がモデルナになると予想されます。
当院では、日曜日にはモデルナだけを接種するなど、付加価値を付けてみようかと思っています。

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HPVワクチンの「キャッチアップ接種」実施へ
- 2021/12/21(Tue) -
HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の「キャッチアップ接種」の機会が設けられると報じられました。
積極勧奨の差し控えによって定期接種の機会を逃した、1997~2005年度生まれの女性に対する無料接種です。
このキャッチアップの対象設定が妥当かどうかは後日検証するとして、とりあえずひと安心しました。

日本の戦後の予防接種は、推進(新ワクチン導入)と後退(接種や積極勧奨の中断)を繰り返して来ました。
その根底にあるのは、ひとたびコトが起きると一気に反ワクチンに傾いてしまう、日本人の国民性でしょう。
科学的・客観的知見やデータよりも、その時の感情的な勢いの方が勝ることがあるのです。

HPVワクチンのような「効果」が見えにくいワクチンではなおさら、目先の不安が優勢になりがちです。
そして日本人は、たとえ因果関係が立証されてなくても、とりあえず怪しいモノは忌避する体質なのです。

ところがそこへ、新型コロナという強大な敵が現れました。優先すべき目先の不安=感染、となったわけです。
一部ではmRNAワクチンに「将来の懸念」を持つ人もいる中で、多くの国民は争うにように接種を受けました。
まさに、将来の不安よりも目先の利益を優先させる日本の国民性が、HPVワクチンとは逆向きに出た形です。

将来の懸念も、目先の不安も、どちらも正しい。そのバランスを、各個人が科学的にどのように捉えるかです。
そして科学的データはみな、HPVワクチンの有効性と安全性を支持しています。だから接種すべきなのです。
その事実を客観的に捉え、勧奨接種の再開に多くの国民が納得できるようになるまで、8年かかりました。

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「新型コロナワクチン証明書アプリ」運用開始
- 2021/12/20(Mon) -
スマホ用の「新型コロナワクチン証明書アプリ」の運用が、今日から始まりました。

こういうのは真っ先に入手して試したいタチなので、朝イチでアプリをインストールしました。
必要なのはマイナンバーカードと暗証番号(4桁)のみ。実に簡単。
「ワクチン接種記録システム(VRS)」に誤入力が多いと報じられていますが、私のデータは合っていました。

保険証などのアプリ「マイナポータル」とは異なり、毎回ログインする必要がないのが良いですね。

今後さまざまな局面で実際に用いることになる「接種証明書」の本体は、大きく表示されるQRコードです。
これがWalletに表示できれば便利なのですが、現時点ではそのような仕様にはなってないようです。
簡単に「カメラロールに保存」できるようなので保存して、それを「メモ」にコピペしておきました。

ところで、他人のQRコードを入手してスマホで表示させる「なりすまし」を防ぐ機能があるようですね。
詳細は不明ですが、QRコードに時刻情報が加えてあり、事前に保存された古い接種証明を見破る仕様とか。
なるほど。表示するたびに、最新の時刻情報が入ったQRコードに更新される仕組みなんですね。
だからWalletには対応できないのかもしれません。でもそうすると、カメラロールに保存できる機能って何?

このアプリに、「COCOA」のような愛称が無いのがさびしいので、ひとつ考えてみました。
「COVID-19 Vaccination Certificate Application」の頭文字で「COVaCA(こばか)」なんてどうですか。

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追加接種はもちろんしますが、まだ予約はできません
- 2021/12/19(Sun) -
「3回目の接種は、もう予約できますか」
このように私に尋ねる65歳以上の方が、今日だけでも3人いらっしゃいました。

追加接種の前倒しについては、岸田首相が力強く明言したので、これはもう、間違いなくそうなるでしょう。
厚労省も一昨日、正式に都道府県への指示を出したそうで、各自治体は対応に追われているところです。

熊本市では昨日、接種医療機関向けの「住民向け接種にかかる説明会(第4回)」が開催されました。
追加接種の概要をおさらいしておくと、次の3つです。

(1)追加接種の対象者は、2回接種を完了した18歳以上の方
(2)使用するワクチンは、ファイザーまたはモデルナ製のmRNAワクチン
(3)接種間隔は、2回目の接種から原則8カ月以上(例外規定等あり)

12歳〜17歳は、当面は追加接種ができず、沙汰待ちの状態になります。
ファイザーのワクチン不足のため、1,2回目がファイザーでも、3回目がモデルナということは起こり得ます。
2回目が月末などで8カ月後に同日がない場合は、翌月の1日になります。8/31の8カ月後は5/1、という風に。

一般の65歳以上の高齢者の場合、予約方法は1,2回目と同様に、ネット・電話・医療機関の3つあります。
当院ではいまのところ、かかりつけの方を優先するために、前回と同じく当院独自の予約受付を行う予定です。
したがって前回当院で接種を受けた方は、接種券が届いたら当院に電話して予約をとることになります。

接種券は、2回目の接種日順に、1週単位で発送されます。予約の集中を避けるための方策です。
具体的な前倒しスケジュールが決まったら、それに従って接種券が発行されるはずです。

国の前倒し方針が具体化したばかりなので、市も事務処理の修正でバタバタ、いや混乱していることでしょう。
医療機関への具体的な指示等は、今後明らかになるはずです。並行して、ワクチンの配分量も決まります。
それが決まるまでは、当院で何人接種できるのかがわかりません。冒頭の質問への回答も、それからです。

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インフルエンザワクチンの接種はピークを過ぎました
- 2021/12/18(Sat) -
インフルエンザワクチンのネット予約枠には、毎日空きが目立つようになりました。
その分、手を尽くして入手したワクチンの在庫にも、ずいぶん余裕が出てきました。

毎年のことですが、接種希望者の勢いがピークを過ぎるこの時期にようやく、ワクチンが流通し始めます。
その需給バランスの悪さによって、結果的に希望通りの接種を受けられない方が出てくるわけです。

幸い今シーズンは(昨シーズンも)、現時点ではインフルエンザはまだ、まったく流行していません。
万一、あとで大流行するとしても、早くて1月後半か2月以降。もしかすると春先かもしれません。

チラホラと流行のニュースが出てきた頃になってからワクチンを接種しても、たぶん間に合いそうですね。

開院以来ずっと、専用の予約サイトを利用して、インフルエンザの接種予約を受け付けてきました。
例外は、新型インフルエンザ(ブタインフルエンザ)が流行した2009年だけです。

ネット予約だと当院初受診の方も多く、来院時の事務作業がたいへんです。
お子さんの場合、定期接種ワクチンの接種履歴をすべて確認するので、初診の方は少し時間がかかります。

今シーズンは、県外の方からのネット予約も入りました。もちろん、間違い予約です。
他の医療機関と勘違いしても、そのまま予約はできてしまい、接種当日まで気が付かなかったりするのです。
いよいよ接種に出かけようという段になって、ありゃりゃ、他県のクリニックだった、ということになります。

例年とは異なり、来月また接種のピークが来るかもしれませんが、インフルエンザワクチンの在庫は十分です。
ただし来月は、新型コロナワクチンの追加接種も始まります。となると、両者の接種間隔の規定が面倒ですね。
いまのうちに、この日本独自の不可解なルールを撤廃していただきたいものです。

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追加接種の前倒し案は、なかなか絶妙
- 2021/12/17(Fri) -
新型コロナワクチンの追加接種(3回目の接種)の前倒し方針が、具体的に決まりそうです。
2回目からの間隔を、医療従事者等は6カ月、一般の高齢者は7カ月に短縮する方向とのこと。
なるほど。思いのほか現実的な修正策を打ち出してきましたね。絶妙と言ってもいいでしょう。

この前倒しに伴って必要となるワクチンは、現在確保している分で対応が可能だといいます。
つまり裏を返せば、これ以上に前倒し対象を拡大するのは不可能。ワクチンが足りなくなるということです。

岸田首相が今日、ファイザーのCEOと電話会談し、ワクチン供給の前倒しを要請したと報じられました。
ワクチンが足りないから前倒しがなかなか進まないことは、もう隠さずに公言する方針に転換したようです。
これで、前倒しはしたいが無い袖は振れないと、堂々と言い訳することができるようになりましたね。

しかし厚労省はこれまで、ある程度の前倒しが可能なワクチン在庫があるのに原則8カ月を譲りませんでした。
いったん決めた方針を変えるのは、見通しを誤ったことを認めることになるからでしょうか。

お役人は、施策の一貫性を重視します。五月雨式にできるとこからやるような、臨機応変さに欠けています。
いったん決定した優先順位は、医療機関には絶対に厳守させ、ワクチンが余ったなら捨てさせるほどですから。

さて、ファイザーは、他国への配分を減らしてでも日本向けのワクチン供給を増やしてくれるでしょうか。
世界でも奇跡的に感染者が少ない日本が貴重なワクチンを要求することに、はたして大義はあるのでしょうか。
日本は自国でのワクチン開発を怠ってきたのに、苦しいときだけは他国頼みというのも、いかがなものか。

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マイナンバーカードで給付金を引き出す仕組みを
- 2021/12/16(Thu) -
18歳以下への10万円相当の給付について、熊本市は全額現金給付を選択しました。それが賢明です。
机上の理論で「現金+クーポン」を打ち出した国(官僚・政治家)の浅慮には呆れます。

では、全額現金給付だとして、それが迅速・簡便に行われるためには何が課題でしょうか。
児童手当受給世帯へはルートが確立しているけど、それ以外の対象者への給付には手間がかかるといいます。
しかし、受給対象者が誰であるかというところまでは、すぐに抽出・確定できると聞きました。
となると当然、給付資格の情報はマイナンバーと紐付けされているわけですよね。で、思いついたのです。

マイナンバーカードを、銀行などのATMでキャッシュカードのように使うことって、できないんですかね。

いまセブン銀行のATMでは、マイナンバーカードを挿入して健康保険証利用の申込ができます。
ならばキャッシュカードのように、そのATMで国の専用口座から給付金を引き出すことなんて簡単でしょう?

自治体は、給付金の振り込み作業だとか、ましてクーポンの印刷・発送などを行う必要は一切ありません。
給付金は、国民が必要なときに必要な額だけ、勝手に引き出せばいいのですから。
この様な仕組みは、1年半前の「特別定額給付金」の時からその必要性はわかっていたはずなのに。
何を恐れ誰に配慮しているのか知りませんが、日本は行政のデジタル化が遅すぎます。

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環境はもちろん、楽しいことが何より大事
- 2021/12/15(Wed) -
トヨタの昨日の発表の衝撃が尾を引いてます。どうして今、いきなりEVに舵を切った(ように見える)のか。

「カーボンニュートラル」を掲げてはいますが、それはあくまで、企業としての姿勢(方便)にすぎません。
もしそれが唯一の目的なら、街乗りに便利な、静かでキビキビ動く小型EVの開発に重点を置くはず。
空気も汚さないし騒音も出ない。街中なら充電スポットも作りやすい。絵に描いたような未来の車社会です。

ところがトヨタは、高級車セグメントへの導入を先行させ、まずレクサスを完全EV化すると発表したのです。
「今までのトヨタのEVには興味がなかった。そして、これから作るEVには興味がある」と豊田社長。

豊田社長といえば、レクサスのテストドライバーの頂点である「マスタードライバー」です。
EVの「レクサスRZ」を彼が運転する動画を見ていたら、謎が解けました。この人は運転が大好きなんですよ。
アクセルを踏み込んで、子どもみたいに「何コレ、別世界。ホーッ!」なんて叫んで大喜びしてるんですから。

つまりEVの、スポーツカーとしての高い性能と楽しさを再認識したのです。彼は次のように言っています。
「環境にもいいよ、だけど楽しいんだよ、乗ってよ!という車を是非、『Z』というブランドでやってほしい」

「排ガスゼロ」の意味とは言え、「Zというブランド」なんて口走っちゃって、日産が怒りませんかね。

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トヨタがついに、電気自動車へシフト?
- 2021/12/14(Tue) -
トヨタが今日、BEV(バッテリー電気自動車=狭義のEV)を大々的に発表しました。これには驚きました。

BEVへの移行が欧州メーカーより遅れていたのは、ハイブリッド車(HV)の成功体験のためだと言われます。
「BEVのみならず、HV、プラグインハイブリッド(PHV)、FCV、水素エンジンなど、“全本位”で臨む」
そう言い続けてきた豊田社長の言葉がこれまでは、未練がましく聞こえていました。

しかし何のことはない。BEVの開発はしっかりと進めてきてたんですね。そして絶好のタイミングで売り出す。
豊田社長も本心では、HVやPHVが過渡期の車だとわかってはいたんですよね。

2030年までにBEVを30車種展開し、レクサスブランドでは2035年にはBEV100%を目指すといいます。
これだって欧州などのメーカーの二番煎じではありますが、最後に勝てばいいということでしょう。

今後は電動化に対して8兆円投資し、そのうち半分の4兆円をBEVに投資するといいます。
少し出遅れたものの、こうなりゃ圧倒的な資金と開発力で世界の潮流に追いつき追い越すつもりなのでしょう。

ただ、今日発表された車のデザインが、あと一歩パッとしませんね。
ステレオタイプの未来形とでも言うのか、「未来感」を出そうとする余りにワンパターンなのです。
例外的に、スポーツタイプのコンセプトカーは、まずまずの出来。しかも0−100km2秒台前半を目指すとか。
まあ、豊田社長ならそこまでやるでしょうね、意地で。出遅れたけど挽回力は凄いのです。

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「日本ほぼ沈没」の続編に期待します
- 2021/12/13(Mon) -
TBSのTVドラマ『日本沈没 –希望のひと– 』(全9話)は、昨夜が最終回でした。(以下、ネタバレあります)
日本全土が沈没するかと思っていたら、北海道と九州だけは残るという予想外の結末。

正確に言えば、陸地が残ったのは、青森の一部と北海道全部と九州の西側の大半です。
福岡県はかなりの部分が沈みましたが、熊本は丸ごと生き残りました。TSMCも良い場所に目を付けましたね。

ドラマの原作は小松左京のSF小説『日本沈没』(1973年) ですが、もちろん現代風にアレンジしてありました。
なにしろ最終回では、パンデミックや「変異株」が出てきましたからね、若干の取って付けた感はあったけど。

主人公に敵対する悪人らがみな、いつの間にか善良な味方になっていきます。こういう展開は意外と好きです。
一方で主人公を悲しくさせた人物が、悪人じゃないのに非業の死を遂げるのは、ちょっと『24』に似ています。

日本が沈没する際に日本人や日本政府ができることは、原作と比べてもほとんど進歩していませんでした。
それはすなわち、小松左京の描いた世界が、いまだにまったく古びていないということなんでしょうね。

さて、今回のドラマでは北海道と九州が残りました。これで続編への期待が、いやが上にも膨らみます。
海外に逃れていた日本人は、北海道か九州のいずれかに戻るか、そのまま海外に定住することになります。

福岡空港が沈んだとすれば、北海道と九州を結ぶ空路は、新千歳と熊本空港が重要な玄関口となるはずです。
当然ですが、熊本空港は日本を代表する国際空港となりますね。滑走路は早めに2つ3つ増やしておきましょう。

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点滴から空気を注入
- 2021/12/12(Sun) -
茨城県の介護老人施設で、入所者が点滴のチューブから空気を注入されて殺されるという事件が起きました。

この殺害手口って、昔はTVドラマなどでよく見かけましたね。
でも後に医者になってわかったのは、少しぐらい血管に空気を入れたって、人は死なないってこと。
心臓内に特別な異常でもない限り、静脈から注入した空気で人を死に至らしめるには、多量の空気が必要です。

裏を返すと、もしも今回の事件が報道通りであるのなら、注入した空気はかなり大量だったと推測されます。

点滴のボトルが空になって、チューブ内の液面がだんだん下がってくるのを気にする方が時々います。
このままでは空気が点滴されてしまうのではないかと、気が気で無いのでしょう。その気持ちはわかります。
しかし、液面の高さが静脈内の圧力に一致するところまで下がったら、もうそれ以上薬液は入りません。
自然滴下による点滴は、理論上、血管内に空気が入らない仕組みなのです。

たとえ点滴から気泡が血管内に流れ込んでも、解剖学的に異常な心内病変が無い限り、何も問題は起きません。

ただし、大静脈血が肺を介さず大動脈へ流れるルート(右左シャント)が存在する心臓の場合は、話が別です。
いわゆる「チアノーゼ性心疾患」のお子さんは、点滴へのわずかな空気の混入が脳梗塞につながりかねません。

そうでもなければ、正常な血行動態の人の点滴から空気を注入して殺害するのは、容易なことではないはず。
今回の容疑者は、シリンジを使って何度も何度も空気を押し込んだのでしょう。その所業に慄然とします。

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医薬品の欠品は責任重大です
- 2021/12/11(Sat) -
ジェネリック医薬品の供給不足が報じられています。
「小林化工」や「日医工」などの大手が不祥事で供給を停止し、代替薬の増産も追いつかないようです。
メーカーとしては絶対に避けたい「安かろう悪かろう」の評価を、もはや払拭することができません。

しかし問題はジェネリックに限りません。むしろ、先発品の方が影響は甚大です。

いま私がいちばん困っているのは、禁煙補助薬「チャンピックス」の出荷停止です。
新型コロナワクチンで有名な「ファイザー」の製品ですが、今年6月から世界中で出荷が止まったままです。
そのため、当院の生活習慣病診療における大きな柱の一つである「禁煙外来」が、完全に頓挫しています。

あれから半年経った今も、出荷再開のメドはまったく立っていません。
最近のプレスリリースによれば、早くとも来年後半以降の出荷再開に向けて尽力している、とのこと。

じつはこのチャンピックスは、11年前にも欠品騒ぎを起こしたことがあります。
あの時は、タバコの値上げによる禁煙外来需要の拡大を、メーカーが見誤ったのが原因でした。

そのような需要急増が理由の欠品なら、別の医薬品でもときどき起きます。
これも11年近く前、無料接種が始まったばかりの「HPVワクチン (子宮頸がん予防ワクチン) 」がそうでした。
無料ならぜひこのワクチンを接種したいと考える人が、当時は日本中で殺到したのです。

やっと供給も改善し、2年後には定期接種化にこぎ着けましたが、その3カ月後から積極勧奨接種が停止中です。
こんどは、ワクチンは足りているのに打ちたい人がいなくなるという、真逆の状況。日本だけの珍現象です。

最近ようやく接種希望者が増え始めています。こんどはもう欠品だけは起こさないよう、お願いしますよ。

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外来で使う外来語
- 2021/12/10(Fri) -
世間を騒がせている「オミクロン株」ですが、すごく怖いのか、ぜんぜん怖くない(かもしれない)のか。
感染がまた世界中に広がって、しかしいつしか普通の風邪になっていく、今はその過渡期なのでしょうか。
よくわからないので横道にそれて、「omicron」の英語の発音で気になったことなど。

私はてっきり「オウマイクロン」(「マイ」にアクセント)と言うんだろうと思ってました。
しかし実際に外人が言ってるのをTVで見てたら、ほとんどが語頭にアクセントの「オミクラン」ですね。

コロナ禍でよく耳にする外来語としては、前に「ウイルス(virus)」の発音について書きました。
「ワクチン(vaccine)」もよく聞きますが、発音は後半にアクセントのある「ヴァクスィーン」ですね。
たまに外人が来院して、「ヴァッスィネーションやってるか?」みたいに尋ねてくることがあります。
なんて?(pardon?)と聞き返して、やっと予防接種(vaccination)のことだとわかります。

日本語では「ワクチン」の「ワ」を強く言うものだから、英語の発音とのギャップが大きいのです。
こういうのを、ワクチンギャップと言うのかもしれませんウソ。

医学知識や用語の多くはドイツから入って来たため、ドイツ語読みが定着している、という説があります。
私もそう思ってきましたが、確認したら「Vakzine」の読みは「ワクツィーン」で、アクセントは後半です。
日本語とのアクセントが一致しないのが気に入らない。

そういえば、ワクチンを考案したのはパスツール。ドイツ人じゃなくてフランス人じゃないですか。
で、フランス語「vaccin」の発音を聞いてみると、「ヴァクスァン」でアクセントは語頭にある。
つまり、日本語の発音は、ドイツ語の発音にフランス語のアクセントが加味されたと、そんな感じですかね。
近代のワクチン・感染症学は、独仏の両国が牽引したゆえでしょうか。
ちなみにイタリア語の「vaccino」は、「ばっちいの」と聞こえます。

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スマートリモコンを買いました
- 2021/12/09(Thu) -
遅ればせながら、「スマートリモコン」を買いました。略して「スマリ」(って言うのか知らんけど)。
2階の寝室のエアコンを、1階のリビングに居ながらスイッチONするという、今回はそのために買いました。

だって、寝る少し前にあらかじめエアコンをつけておくために2階まで上がるのって、面倒じゃないですか。

いわゆる「スマート家電」じゃない従来型のエアコンなので、赤外線リモコンでON/OFFするしかないのです。
スマリは、スマホからWi-Fiを介して指示(電波信号)を受けると、家電等に対して赤外線信号を出します。
設定は簡単。エアコンのリモコンの赤外線をスマリに照射して信号を覚え込ませ、スマホに登録するだけです。

さっそく今夜、スマリの設定を行った後、1階のリビングで2階のエアコンをONしてみました。
ホントにONになったかどうか、念のため2階に上がって確認。OK。うまくいってます。
温度設定も可能なので、今度はリビングで設定温度を変更してみました。で、また2階に上がって確認。OK。

そんなに何度も昇り降りするぐらいなら、2階で普通にエアコンONすればいいじゃん、と思ってはいけません。
こういう確認作業は別物です。「生活」を省力化するためなら、「研究」には労を厭わないのです。

本来であれば、「スマートスピーカー」を使えばさらに快適なんでしょうけど、まだ持っていません。
サンタさんに頼んでみます。

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新型コロナ検査価格の大幅改定が唐突すぎます
- 2021/12/08(Wed) -
新型コロナウイルス感染のPCR検査や抗原検査の診療報酬が、大幅に減額されることになりそうです。
今日行われた「中央社会保険医療協議会(中医協)総会」の提案は、まさに青天の霹靂、寝耳に水の大激震。

現在の診療報酬は、PCR委託検査が1,800点(18,000円)、抗原定性検査は600点(6,000円)です。
これを今年12月31日から、それぞれ1,350点と300点に、来年4月からは700点と300点にせよ、との提案。
検査センターに支払っている委託料や、抗原検査キットの原価をも大きく下回ってしまう、異常な改定です。

この改定は、「誰もが簡易かつ迅速に利用できる検査の環境整備」のためだそうです。
つまり、診療報酬の設定が高すぎるから自費検査価格も高いのだと、そういう理屈です。
たしかに、PCR検査は本来はもっと安価な検査法なのだという意見には、一理あります。

しかしそれにしても、この大幅な改定を大晦日から施行するなんて、性急すぎませんか。
当院でも、定価6,000円の抗原検査キットを値切って購入して大量に在庫してますが、300点では大損害です。
検査すればするほど赤字になるなんて、まるで「なるべく検査するな」と言ってるようなものでしょう。

無症状や軽症の感染者が多い「オミクロン株」は、念のための検査こそが早期発見のカギじゃないですか。
いやそれとも来年からはもう、コロナはいちいち見つけなくてもいいよ、ていう世界になるんですかね。
将来はともかく、いまはまだ違うんじゃないの?

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一定の条件下で、現場裁量での前倒し接種を認めてほしい
- 2021/12/07(Tue) -
県内のある医療従事者が、新型コロナワクチンを故意に4回接種した件が問題になっています。
医療従事者として優先接種をしたのに、その後届いた「一般用」の接種券を使ってまた接種を受けたようです。

そういえば私も、優先接種を受けてしばらく経った頃に、自治体からの接種券を受け取りました。
優先接種は県が管理し、一般向けは市町村が管理したことから、情報の連携にタイムラグがあったわけです。
見かけ上は「正式な」接種券が届くので、容易に不正な接種できてしまうのは、制度設計上の問題です。

それにしても、インチキなことをしても、あとで必ずバレるってことを考えてなかったんですかね。
バレたら全国ニュースになって職場にも居づらくなる可能性にまでは、考えが及んでなかったんでしょうね。

ところで、新型コロナワクチンは、その日の接種人数が6の倍数にならなければ、余ってしまいます。
その余剰ワクチンを、もしも「こっそりと」自分や誰かに接種しても、なんの証拠も痕跡も残りません。
このような、表に出ていないインチキ接種が、いったいどのぐらいあるのか私には想像もできません。

いっそのこと、どうしても廃棄するしかないワクチンをどのように利用するかは、現場の裁量としてほしい。
それとも、余ったワクチンは規定外接種に使うわず廃棄せよというお役所の石頭は、変わりませんかね。

いま追加接種の前倒しが議論されています。ワクチンさえ十分あれば、6カ月間隔での接種を始めるはずです。
ならば余剰ワクチンを、2回目の接種から6カ月を経過した者に接種することに、何か問題がありますか?

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5〜11歳のお子さんへの新型コロナワクチン接種へ向けて、準備開始
- 2021/12/06(Mon) -
小児(5〜11歳)への新型コロナワクチンの、接種可能回数の調査が、保健所から来ました。回答締切は来週。
2月1日から4月3日まで、どの日に何人接種できるか全て書け。ただし、1日あたり10の倍数にしろ、と。

つい先日は、12歳以上の方への追加接種(3回目の接種)についての調査に回答したばかり。
これはおもに当院かかりつけの方への接種を念頭において、平日も土日も毎日接種をすることにしました。

追加接種とは別に、しかしまったく同じ時期に小児用の接種もすることなど、もちろん想定内のことです。

「追加接種の接種日と小児向けの接種日を分けていただく等、間違い接種の防止を考慮」するようにとのこと。
ですよね。となると、毎日追加接種をしてたんじゃあ、小児向けに接種できる日が無くなっちゃいます。
なので戦略を練り直して、追加接種用の接種日を減らし、その日を小児専用日とすることにしました。

問題は、何人ぐらいの接種枠を確保すべきか、ということ。
当院で1,2回目の接種をした12歳以上の方は約600人。そのうち500人ぐらいが追加接種を希望すると推測。
それから5〜11歳の小児では、当院での定期接種やインフルワクチンの接種歴のあるお子さんは1,775人。
そのうち、過去1年以内に当院受診歴があるのは414人。そのうち半数が接種を希望するとして約200人。

そのような机上計算はしてみたものの、実際にどうなるかは皆目見当もつきません。
何よりも、12歳未満のお子さんのワクチン接種を希望する親御さんがどれぐらいいるのか、いないのか。
とりあえず、なるべく多くの接種枠を確保して、ワクチンも確保して、何人来ても良いようにすることですか。
いつも言ってますが、来年2月に、新型コロナの第6波やインフル流行がぶつからなきゃいいですけどね。

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福岡国際マラソンにまつわる思い出
- 2021/12/05(Sun) -
福岡国際マラソンは、今日の大会をもって、75年の歴史に幕を閉じました。
そうなってしまった理由等については、新聞やTVで解説しているでしょうから、ここでは触れません。

学生時代から大学病院勤務時代には福岡市内に住んでいましたが、実際に沿道で応援したのは1回か2回です。
護国神社の向かい辺りにあった自宅マンションの、すぐ前の道がちょうどマラソンコースでした。

たしか1990年、全国放送されるTV中継に映り込もうと、よちよち歩きの長女を連れて家族で沿道に出ました。
すぐ目の前を、先導する白バイや、選手たちや、TV中継車や、関係者の車がどんどん通過していきます。
スタート地点からそう遠くない場所だったので、その集団はあっという間に全員が通り過ぎて行きました。
選手らを撮すTVカメラが私たち家族をも捉え、その姿を全国に放送していたのは確実と思われました。

ところが、自宅に戻って録画していた放送を見て驚きました。
あろうことか、私たちが映るはずのタイミングで生中継が中断され、コース紹介をしてるじゃないですか。
このマラソン大会にまつわる思い出と言えば、だいたいそんなところです。

その頃の福岡国際マラソンのTV中継は、NHK福岡放送局が行っていました。
当時福岡放送局にいた友人の中江君は、中継電波を途切れさせないための技術的課題に取り組んでいました。
常に中継車を直視できる位置に受信基地局を確保するために、市内のビルの立体地図を作っていたようです。
たしかそんな話でした。違うかもしれません。もう30年前のことですから。

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医師会PCRセンターでインフル検査してどうなるの
- 2021/12/04(Sat) -
「熊本市医師会PCRセンター」は、来週水曜から、インフルエンザの抗原検査も行うことになるようです。
インフルエンザ単独では検査せず、あくまで、PCR検査に付随するオプション検査のような位置づけです。
ただし、これまでと同様に、医療機関からの紹介状が必要です。
また、インフルエンザが陽性と判明しても、PCRセンターではタミフル等の処方はできません。

つまり、こういうことです。
(1)患者はまず、一般の医療機関を受診して診察を受け、PCRセンターへの紹介を依頼する
(2)医療機関がPCRセンターに電話で予約し、診療情報提供書等の書類をFAXで送付する
(3)患者は、指定通りPCRセンターに赴き、自家用車内でコロナのPCR検査とインフルの抗原検査を受ける
(4)もしもインフルが陽性であれば、患者はまた医療機関を受診し、タミフル等の処方を受ける

面倒臭くないですか。
それに、インフルの検査をしておきながら、その場では治療薬が処方できないなんてのは、ダメでしょう。
おまけに、インフルが陽性の場合に、PCR検査が希望により中止できないのもオカシイ。

なのでPCR検査はともかくインフルの抗原検査だけは、(1)の時点で医療機関でしておくべきだと思います。
その場で陽性ならすぐタミフル出せるし、じゃあコロナじゃなさそうだからPCRやめとこう、って言えるし。
私なら(1)の時点でインフルとコロナの抗原検査をして、両方とも陰性のときPCR検査を考慮しますけど。

そんなことより、PCRセンターでのPCR検査には、医療機関からの紹介を不要にしてほしいですね。
紹介状のためだけに患者が医療機関を受診するのは、時間と労力とお金のムダだし、感染のリスクさえある。

むしろ医者が当番制でPCRセンターの方に詰めて、そこで問診等を担当すればいいじゃないですか。
患者は車で直接PCRセンターに行き、受付前を通り、問診医の前を通り、検査場で検体採取を受け、帰宅する。
自己完結型の、完全ドライブスルーPCRセンターです。解熱剤ぐらいなら処方も行います。

インフルの抗原検査を追加してもいいですよ。陽性ならタミフルを処方できる。これ、いいんじゃないの。

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ワクチンがあるなら前倒し接種OKじゃないの?
- 2021/12/03(Fri) -
「1月分追加接種 (3回目接種) における新型コロナワクチン接種可能上限量について」
この件名のFAXが、熊本市感染症対策課から届きました。当院の「上限量」は、2バイアルとなっています。

つまり、当院で医療従事者への追加接種用として請求できるワクチンは、1月は2バイアル (12人分) までです。
当院のスタッフで、2回目の接種から1月中に8カ月を迎える追加接種の対象者が7人います。
その全員が追加接種でき、さらに5人分ほどワクチンが余ります。
余ったワクチンは、初回(1,2回目)接種者に使用しても構わないということになっています。

ところで、1月にワクチンが配給された時点で、まだ8カ月の間隔があいてなくても接種して良いのでしょうか。
念のため熊本市に問い合わせたら、8カ月ジャストを経過するまでは接種できません、だと。やっぱりね。
目の前にワクチンが届いても、規定の日付に達するまでは保冷庫で冷やしとけと、そういうことですか。

しかしいま、追加接種を早めようという議論があり、岸田首相も「できるだけ前倒しする」と表明しています。
接種間隔を6カ月にまで縮めることの問題は、ワクチンの供給が間に合わないということですよね。
であるなら、すでにワクチンが届いた医療機関において、前倒し接種が禁じられる理由はないはず。
医療機関における個別の前倒し接種は誰の不利益にもならないので、臨機応変にやらせてもらえませんかね。

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いくら水際対策を強化しても、日本人の帰国を阻んじゃダメでしょ
- 2021/12/02(Thu) -
オミクロン株に対する「水際対策」として国交省は昨日、日本到着便の新規予約の停止を要請しました。
日本人が帰国できなくなってしまいますが、「緊急避難的な予防措置だ」と国交省は説明をしていました。

しかし邦人保護の観点から「厳しすぎる」との批判があり、今日になってこの要請は取り下げられました。

これだけなら、朝令暮改というよりは私は、過ちては改むるに憚ること勿れだと、評価するところでした。
ところが松野官房長官は、自分も岸田首相も、予約停止の要請は事後に報告を受けたと「釈明」しました。

これはつまり、国交省の勝手な判断に官邸は関知していなかったという、責任逃れの発言です。
しかも、「責任うんぬんよりは迅速な対応が重要だ」と、いかにも国交省をかばう体で責任論から逃げます。

何言ってんの。事後報告であろうとなかろうと、行政の最高責任者はつねに総理大臣じゃないですか。
「判断の誤りに気付き、撤回を致しました。混乱を招いたことをお詫びします」とだけ言っときゃいいのに。

悪いのは、過ちを意地で押し通すこと。方針なんてコロコロ変えてもいいんですよ、最後が良けりゃ。
前政権や前々政権との違いを、岸田首相は見せつけてほしいものです。

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「今年は寒い」と今年も思う
- 2021/12/01(Wed) -
今日の発熱外来は、凍(こご)えるような寒さの中、駐車場での問診等を行いました。さすが12月です。
明日は今日よりも寒くなるそうですね。そろそろヒートテックの出番でしょうか。

「今年は寒いですねぇ」という声をよく聞きます。でもたぶん、平年並みだと思います。
ていうか、毎年のようにこの時期には「今年は寒い」と感じます。今年は特別だと、そう思いたいのでしょう。

今年の寒さを昨年よりも辛く感じる様に、今年の暑さは昨年よりも暑く感じていた気がします。
要は、直近の苦痛を過去の苦痛よりも強く感じる、一種の錯覚、または思い込みなんでしょうね。

インフルエンザワクチンでも、今年は痛いですね、みたいな反応を接種後に示す方がけっこういます。
厳密に昨年と比較したものではなく、ともかく今回は痛かったと思うのでしょう。
でも一方で、今年は痛くなかった、という方もいます。要は気の持ちよう。

今シーズンこれまでに、当院では1,200人以上の方にインフルエンザワクチンを接種してきました。
予約数にギリギリ足りるほどの入荷を繰り返しながら、自転車操業的接種を行っています。
あと約300人ほど接種したらワクチンもなくなるので、よほど入荷が増えない限り、接種は終了する予定です。

来年は、新型コロナワクチンの接種で忙しくなりそうです。その意向調査の回答期限が来週に迫っています。
4月3日までの毎日の、ファイザーとモデルナの接種可能人数をすべて書けという、保健所からの宿題です。
私は、かかりつけの方にはしっかり3回目の接種をしてあげたいと、ただそう願っているだけなんですけどね。
どうやら、ファイザーとモデルナの配給比率が悪そうで(ファイザーが足りない)、混乱は必至です。

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