「みなし入院」の入院給付金カットへ
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- 2022/08/31(Wed) -
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「みなし入院」に対する入院給付金について、保険会社各社が見直しを検討しているようです。
支払い対象を高齢者など重症化リスクが高い人などに限定するようで、一見して制度改悪にも思えます。 しかしそもそも、みなし入院という特例を認めた経緯やその趣旨、意味を考えなければなりません。 コロナ禍の初期、感染拡大を防ぐために、「感染したら全例入院」させていた頃がありました。 やがて病床不足(ひっ迫)等を理由に、病院の代わりに宿泊施設での療養を行うようになりました。 さらに宿泊施設の不足もあって、軽症であれば自宅療養も認められるようになりました。 そして今では中等症であっても、入院困難のために自宅療養を余儀なくされている方も、おおぜいいます。 本来入院させるべき者を、医療提供側の理由で自宅等で過ごさせるのだから、みなし入院なわけです。 保険会社の負担が大きいから全員には入院給付金は支払えないとするのでは、理屈が通りません。身勝手です。 しかしよく考えると、感染者全員に入院が必要という前提が、とっくに崩れています。 ほとんどの自宅療養者は、病院が満床だから入院できていない状態ではありません。入院が不要なのです。 その意味では、みなし入院の考え方がすでに過去のものなのです。 ただ、一定期間の自宅療養を強制されることに対しては、何らかの「補償」があっても良さそうなもの。 入院給付金をいきなり全額カットするのではなく、コロナ特例で半額支給するなどの妥協案はないのですかね。 |
全数把握は、この際、ヨシとしましょう
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- 2022/08/30(Tue) -
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新型コロナ感染者の全数把握の見直し論がここに来て失速し、当面の現状維持を支持する動きが優勢です。
医療機関や保健所の負担軽減よりも、感染者のフォローの方がもっと大事だと気付いたからです。正論です。 全数把握をやめると、もしも報告から外れた感染者が重症化した場合には、対応に問題が生じかねません。 感染者と公的に認定されなければ、公費負担や職場復帰や保険金の手続きなどにも影響するかもしれません。 その「矛盾」に気付いた黒岩・神奈川県知事は、姿勢を一転させて全数把握見直しに慎重な姿勢を示しました。 全数把握見直しの旗振り役が、当初の考えの過ちを潔く撤回することを、はばからなかったわけです。 「HER-SYS入力」などの事務作業が、医療従事者や保健所の負担になっていることは確かです。 だから全数把握を見直すべきだというのは、私も当初はそうでしたが、やや短絡的な発想かもしれません。 感染者に行動制限を課す現行制度のもとでは、役所が感染者を把握してサービスを提供する必要があります。 とくに重症化対策等の感染後のフォローを考えると、感染者の登録は当面は続けておくべきでしょう。 要は、続け易いやり方でやれ、ということです。いま流行の「サステナブル」ってヤツですよ。 HER-SYSは、1人1分以内で入力できるところまでスリム化してほしい。そのかわり当面は、全例報告。 重症例もしくは重症化リスクのあるケースは、別枠で報告する(簡便な)仕組みを、自治体ごとに作ること。 熊本市には、独自の報告書類「入院チェックシート」がありますが、これは全例提出しなければなりません。 HER-SYSが簡略化されようかというのに、この面倒なシートの全例提出って「時代錯誤」じゃないですかね。 |
新型コロナ自宅療養者の「夜間電話相談窓口」開設
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- 2022/08/29(Mon) -
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「熊本県新型コロナウイルス感染症自宅療養者等夜間電話相談窓口」が設置され、本日運用が始まりました。
自宅療養者や同居人からの、夜間(午後6時〜午前9時)の相談を受け付ける窓口です。 「熊本県」とは言いながら「熊本市民」は対象外です。熊本市民には別に「熊本市夜間相談窓口」があります。 最近、通常の発熱外来の予約以外に、感染確定者からの病状相談や追加処方依頼などの電話が増えています。 そこで、当院でよくある質問(FAQ)とそれに対する回答例をいくつかご紹介します。 「最初に受診した時よりも熱が上がって来たのが心配」 軽症のうちに診断を受けた方に多い質問です。発症の2,3日後に熱のピークが来るのは、よくあることです。 「39度の高熱が3日続いているが、大丈夫か」 最近の新型コロナ(BA.5?)は、高熱が続く方が多いです。明日までに下熱しなければご相談ください。 「のどが痛すぎて水も飲めない」 解熱鎮痛剤を使って、痛みが和らいだタイミングで飲食をするのがよいです。強い痛みも2,3日で終わります。 「家族は検査を受けなくてもよいのか」 無症状のうちは、検査はなるべく控えてください。しかし発熱したら早めにご相談ください。 「咳が出始めたので薬がほしいが、受診のために外出しても良いのか」 受診のための外出は、自宅療養者でも制限されていません。遠慮せず来院してください。もちろん予約の上で。 |
抗原定性検査も捨てがたい、かも
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- 2022/08/28(Sun) -
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発熱外来の受診希望者はまだ多く、朝から予約の電話が引っ切りなしにかかってきます。
夕方までの予約枠は朝のうちに埋まり、以降の電話は「受付不可能」を伝える対応に終始することになります。 このようなことは以前から日曜日にはありましたが、7月以降は激しさを増し、いまでは平日も同じ状況です。 「ずっと40度出ています」「何度も吐いています」「オシッコが出てません」「息苦しいと言ってます」 そんな電話までお断りするのはしのびなく、とくに具合の悪い方には来ていただく場合もあります。 「もう何軒も断られました」「やっと電話がつながったのです」「明日仕事なんです」 こういう感じの方は残念ながら、受付していたらパンクしますので、一定数以上はお断りすることになります。 ところで、予約受付をお断りしても「なんとかしてくれ」と「ごねる」方が、じつは最近減ってきています。 発熱外来のパンク状態がテレビ等で報じられて、それなりに理解が得られているからかもしれません。 もうひとつ。自宅で抗原検査を行った上で来院される方が、このところとても多いですね。 諸事情を考慮して信頼に足る検査結果であれば、そのまま確定診断をさせていただくこともあります。 改めて確定検査を行うのと比べて、発熱外来の混雑を減らし、診断確定を早め、医療費を節約できます。 今日は珍しく、日頃ならPCR検査をするケースで抗原検査の希望者が多く、しかも陽性率が高くて驚きました。 もしかするとBA.5株は抗原検査で検出されやすいのか、検査のタイミングが皆に「わかってきた」のか。 |
いつ感染するのか、いまかも
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- 2022/08/27(Sat) -
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当院では、午後2時台は通常、子どもの予防接種専用の時間帯としています。
今日も8人の接種を計画していました。ところが、実際に接種できたのは3人だけでした。 2人は風邪症状のため見合わせ、3人は本人または家族の新型コロナ感染のために延期としたのです。 家族内での感染によって、スケジュールの過密な乳幼児の定期接種が、どんどん延びてしまいます。 生活習慣病で定期的に受診される方でも、同じことが起きています。 今日も2人の方が、ご家族の新型コロナ感染を申告されたため、検査等を延期して薬の処方のみを行いました。 貧血によると思われる微熱がある方も、まず念のため抗原検査をして、それから血液検査等を行っています。 尿路感染症や甲状腺機能亢進症の疑いがある方でも同じ対応です。 血液検査や、まして点滴のような処置を行う場合には、万一を考えて事前の抗原検査が必須です。 しかし、抗原検査によって100%確実な陰性診断が得られるとは思っていません。リスクは残ります。 無症状の方ですら、新型コロナに感染している可能性を否定することはできません。 どれだけ注意しても、私もいつかはコロナに感染するかもしれないと、覚悟はできています。 ただ、たとえ感染しても他人(スタッフや患者さん)にうつさないこと、それを肝に銘じています。 |
弔意は強制しないが経費は徴収する
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- 2022/08/26(Fri) -
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安倍元首相の「国葬」の経費として、2億5千万円を支出することが閣議決定されました。
ある程度の規模の葬儀が行われることは当然としても、国費からの全額支出には賛否あるでしょうね。 政府は「国民に弔意を強制していると誤解が生じるのは避けたい」と、オカシなことを言ってます。 弔意を伴わない葬儀ってあるんですかね。たとえ弔意はなくても、経費の負担は強制してるわけですけど。 「コクソウ」の同音異義語は意外に少なくて、よく使う言葉だと国葬の他に「穀倉」ぐらいしかありません。 そして「穀倉地帯」といえば、ウクライナですよね、地理の知識で言うなら。 辞書には「哭愴(嘆き悲しむこと)」とか「国喪(国民全体の服する喪)」という見慣れぬ言葉がありました。 それなら、「哭葬」とか「酷喪」なんて言葉があってもよさそうな気がします。 あるいは、「克喪」「刻葬」なんてのも、なんか意味ありげです。 元首相の殺害事件は、「旧統一教会問題」というパンドラの箱を開けることになりました。 それを容疑者の「功績」だと言うのは甚だ不謹慎で不適切ですが、しかし確実に大きな影響を残しました。 関係した政治家が次々に明らかになり、旧統一教会問題は広がり続けています。 そんな時でも、厳粛な葬儀がしめやかに営まれれば、強制されずとも自然と弔意を感じるのが日本人です。 国葬や弔問外交は、国民をクールダウンさせ、諸問題を沈静化する役割があるのかもしれません。 |
「0日目」という表現がムカつく
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- 2022/08/25(Thu) -
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「自宅療養期間は発症日を0日目として、10日間です」
「10日間」といいながら、じつはトータル「11日間」です。お役所の表現は、わかりにくい。 「自宅療養期間は発症した日の10日後までです」って言えばいいのに、といつも思う。 「前後に他の予防接種を行う場合においては、原則として13日以上の間隔をおくこと」 コロナと他のワクチンの接種は「2週間以上あける」ルールですが、お役所言葉だと「13日以上」となります。 これも考え方は同じ。お役所は「中に挟まる日数」を言うので、普通に数える庶民感覚とはずれています。 「微熱が2日目まで出ました」「2日目まで痛かった」 新型コロナワクチンの接種後の経過を患者さんに尋ねると、こんな返答をよく聞きます。 この場合の「2日目」は接種の翌日を意味します。一般の方は、接種した当日を「1日目」と表現するようです。 実はこれ、私にはわずかに違和感があるので、「接種日」とか「翌日」という言葉を使うようにしています。 「0日目」という言葉だけは、絶対使いたくないですね。お役所はこの言葉を撤廃してほしい。 |
「全数把握」見直しへ
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- 2022/08/24(Wed) -
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新型コロナ感染者の「全数把握」の見直しが決まりました。
「発生届」は、高齢者や重症化リスクの高いケースなどに限定して、自治体が判断する運用となる方向です。 ただし、感染者数の把握だけは、続けられるようです。 「HER-SYS」はすでに入力項目がかなり減っており、しかも私は自主的に「超簡略入力」をしています。 かつては1人当たり10分以上を要していました。30人分以上入力するときには、ほぼ半泣き状態でした。 いまは1人2,3分程度です。一気に44人とか46人分入力した日もありますが、2時間そこそこで終わりました。 この程度なら続けてもいいと思っていた矢先なので、今後は全例入力不要と言われてもさほど感動しません。 後々のフォローの余地を残すためにも、名前と電話番号と発症日ぐらいは全例登録しても良いと思います。 とはいえ現時点でも、本当の意味での「全数把握」ができているかどうかは疑問です。多分、できてない。 無症状感染者が多いことに加えて、発熱外来が混み合いすぎて検査が間に合っていません。 最近は、「会社からPCR検査ではなく抗原検査をするように言われた」という来院者も目につきます。 「早く白黒つけてこい」という意味なのでしょう。偽陰性の可能性はあまり考慮していないようです。 ひとたび抗原検査で陰性と出れば、病状がどうであれ、とくに若者にはPCR検査を受けない方が多いです。 一方で高齢の方はたいていPCR検査を希望されます。そのような方は大切にフォローしなければなりません。 |
MacProの「文鎮化」(花瓶化?)は避けたい
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- 2022/08/23(Tue) -
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予告していたように、今日はMacProのOSクリーンインストール(=HDD初期化&インストール)日でした。
最近の休診日はだいたい、前日に行ったPCR検査の結果連絡やHER-SYS入力等でほぼ1日潰れます。 ですがスキマ時間もそこそこあるので、その合間に作業を行ったわけです。そして失敗しました。 「OSはクリーンインストールだ」「OSは使い分ける」などと偉そうに書いたばかりなのに、恥ずかしい顛末。 もちろん、データはバックアップしてたし、初期化と同時にOSも更新するような危険なマネはしてません。 まずはOSだけアップグレードして、しばらく様子を見た後に初期化するのが正しく慎重な作法ですから。 長年のMac経験はダテじゃありません。石橋は全部叩くのです。そして今日は、叩き壊したのです。 Macは、起動(再起動)と同時に一定のキーを押すと、OSの初期化とインストールを行うことができます。 (1)command + R :現在のOSが、新規にクリーンインストールされる。今日最初に行ったのはコレ (2)command + Option + R :最新のOSにアップグレードしてインストール (3)command + Option + Shift + R :そのMacの工場出荷時のOSを再インストール うまくいかないのでアレコレ試すうちに、見たことも無い険悪なアラートが出現し、ついにギブアップ。 Appleのサポートにチャットで問い合わせ、折り返しの電話で相談したところ、修理が必要だとなりました。 買って8年半以上たちますが、こんな奇抜なデザインのPCは、Macに限らず後にも先にも出てきませんね。 地震後からはずっと診察室で使ってきた、私にはいちばん思い入れのあるマシンです。復活を願っています。 |
Macは複数のOSを使い分ける
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- 2022/08/22(Mon) -
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診療中にしばしば、宅配便が届きます。
ほとんどAmazon。あるいはAskul。それ以外はたいてい、お役所などからの支給品が日通から届きます。 Amazonからの配送物だと、やたらに大きな箱には消耗品などの比較的安価な日用品が混載されています。 一方で小さな箱には、書籍や小道具やIT機器などの、私がこっそり発注したそこそこ高額な品が入っています。 当院では、前者を「大きなつづら」、後者を「小さなつづら」と称しています。 それらの開梱は私の専権事項。職員が開けるのは御法度です。だって、変なモノ見られたら困りますから。 小さなつづらに入って送られてきたモノで、最近多いのは「LAN(Ethernet)ケーブル」でしょうか。 最初は必要に迫られて数本、その後買い増して、50cmから5mのモノを、全部で30本ぐらい買いました。 配線時に区別しやすいように、ケーブルの色柄のバリエーションを多くしたので、なかなかカラフルです。 外付けのHDDとかSSDなど、いちど買って気に入った周辺機器は、何個か追加購入するのが私の流儀です。 院長室の机上には3台のMacが並び、データは全部同期しているので、どのMacでも同じ仕事ができます。 そんなのムダじゃないの?と思ったアナタ。違うんです。3台のMacのOSが、みな違うんです。 ひとつは常に最新のOS。他の2つは、診察室のMacとの互換性を維持するための各世代にしています。 そのように、私のMacと周辺機器は一見して趣味の世界に見えますが、考えがあってのコトなのです。 |
コロナに感染しても仕事を続けるために
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- 2022/08/21(Sun) -
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岸田首相が新型コロナウイルスに感染しました。
2年前にジョンソン英首相がコロナに感染した時、そりゃこの人なら感染もするだろうと思いました。 その半年後にトランプ米大統領も感染しましたが、その時の感慨も同様。自業自得とさえ思いました。 なぜなら彼らはコロナを見くびっていたからです。 ところが日本の首相も感染しました。彼がコロナを見くびっていたとは思いません。ただ感染力が強いのです。 さいわい、ジョンソン氏やトランプ氏と比べれば症状も軽く入院不要のようですが、まだ油断はできません。 当院の発熱外来での経験上は、発症の2,3日後の病状が重く、咳はたいてい発症3日後ごろからひどくなります。 岸田首相のは昨日発症なので、病状はまだこれから悪化する可能性があります。 現時点では執務可能なため首相臨時代理は置かず、公邸を官邸内とオンラインで結んで指揮するそうです。 そういえば先月末にコロナに感染した大西熊本市長も、自宅からリモートで仕事をしていました。 これは心強いですね。万一私が感染した時には応用できそうです。 すなわち私は、代診をおかず、「院長室からリモートで診療や検査や予防接種に当たる」つもりだからです。 一般診療に加えて発熱外来やワクチンの接種で忙しいこの時期に、のんびり療養している暇はないのです。 「有事」の際の人員配置や動線確保などは、早めに真面目に煮詰めておいた方がよいかもしれませんね。 |
感染者「二重カウント」のニアミスなら、よくある話
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- 2022/08/20(Sat) -
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連日のトップニュースだった「コロナ」も、いまは「豪雨」や「五輪汚職」や「統一教会」に負けています。
しかし感染者数は過去最多クラスが続いているし、病床ひっ迫も改善していません。 さらに最近は「全数把握」や「HER-SYS」といった発熱外来に関わる問題も、クローズアップされています。 今日の熊本県の新規感染者数は4,254人。二重にカウントされていた4人が累計から除かれたとのこと。 二重カウントなんてどういうことだと思うかもしれませんが、あり得ることです。考えられるパターンは、 (1)ひとつ医療機関が、1人の感染者の発生届を2度提出した (2)複数の医療機関が、1人の感染者の発生届をそれぞれ提出した たとえば、FAXで発生届を提出した医療機関は、後日あらためてHER-SYSも入力することになっています。 これをやると、すべての届け出がダブるのですが、保健所が全部チェックして二重カウントを防いでいるとか。 他院での抗原検査で陽性だったことをハッキリ言わず、なぜか当院でPCR検査を受ける方も時々います。 検査結果を電話報告したときになって、実はコレコレという話になり、当院からの届出はストップします。 当院のPCR検査の結果が待ちきれず、他院で抗原検査を受ける方もいます。 これもPCRの結果を電話連絡した際に、実はもう陽性が出たのです、という話になります。 そのように、最終的に二重カウントを防ぐことができればよいのですが、必ずしもそうとは限りません。 他院から届出が出てますので先生の方は取り下げてください、と保健所から指示されたこともありました。 現状の方法での全数把握は、関係者の疲労とストレスの原因にしかなりません。やり方、変えましょう。 |
抗原検査キットの無料配布始まる
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- 2022/08/19(Fri) -
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新型コロナ抗原定性検査キットの無料配布が、熊本市でも今日から始まりました。「協力薬局」で配布します。
もしも陽性だった場合、本人が保健所へ陽性者申請を行い、保健所が陽性者登録をすることになります。 無症状や軽症の場合には、医療機関を受診することはありません。 医療機関への抗原定性検査キットの配布も行われています。医療機関の判断で、必要な患者に供与します。 このキットを使った陽性判定者については、医療機関が陽性者登録(発生届)を行うことになります。 当院では、おもに検査結果を急ぐケースで使おうかと考えています。つまり重症化リスクのある方です。 一方で薬局での無料配布は、重症化リスク因子がない16歳以上40歳未満の有症状者が対象です。 無症状の感染者は抗原検査で偽陰性となりやすいため、今回の無料配布も対象外とされています。 基礎疾患がある方や妊婦の場合も対象外。これはちゃんと医療機関を受診してくださいよ、ということです。 無料配布を受けられるのは1人1回だけ。配布期間は今日から9月3日まで。あと2週間しかありません。 協力薬局は限られ、市内にたったの21カ所。しかも1薬局の1日あたり配布数は、わずかに25個程度。 この程度の配布規模で、発熱外来のひっ迫を軽減する効果があるんですかね。焼け石になんとかじゃないの。 |
新型コロナは、診断よりも経過観察の方が大事
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- 2022/08/18(Thu) -
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新型コロナの新規感染者数が全国で過去最多となりました。病床ひっ迫が各地で問題となっています。
熊本も大変な状況です。当院の発熱外来も、平日なのに朝のうちに夕方までの予約が埋まってしまいます。 日曜祝日ならわかりますが、どうして平日にこれだけ受診希望者の電話がかかってくるのでしょう。 相談センターが当院を優先して紹介してるのならやめてくれと、声を荒らげて言っておきたいアララギ派です。 喘息でお困りの方やイスから転落した子どもなど、いろんな方からの診療依頼をお断りすることになります。 たとえ当院に来院された方でも、病状によっては、予約なしでの受診はお断りしてお帰りいただいています。 こういうのも、医療ひっ迫の一面なのでしょう。 抗原検査キットや無料PCR検査で陽性が出たと、「証拠品」持参で来院される方も増えました。 病状や周辺状況が了解できるのであれば、当院での検査を省略して新型コロナと確定診断しています。 新型コロナと診断した2,3日後に、高熱が続くとか、咳がひどいなどと訴えて来院する方も増えてきました。 ご本人に来院していただき、呼吸困難や低酸素等の疑いがないことを確認した上で、処方を行っています。 適応があれば、この時点で「ラゲブリオ」などの新型コロナ治療薬を処方する場合もあります。 新型コロナの重症化の早期発見のためには、確定診断後のフォローこそが重要です。 コロナと診断された方は往々にして受診をためらいがちですが、高熱やひどい咳を我慢しないでください。 それに、コロナ確定診断後の医療費は全て公費負担となるので、患者さんの自己負担はありません。ご安心を。 |
抗原検査キットのネット販売解禁と医療機関への配布開始
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- 2022/08/17(Wed) -
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新型コロナウイルスの「抗原定性検査キット」のネット販売が、解禁されることになりました。
薬局での販売はこれまでも認められていましたが、それは薬剤師が使用方法を説明することをが条件でした。 ところが今後は、対面での説明なしに、ネットで誰でも簡単に買えます。 せいぜい、通販サイトの画面上での説明に対して、「了解」ボタンを押すことが求められるぐらいでしょう。 もともと「偽陰性」が出やすい検査法ですが、検査手技が悪ければなおさら、検出感度は下がります。 その陰性判定を鵜呑みにして油断してしまうと、もしも偽陰性なら感染拡大につながってしまいます。 さらに重要なのは、陽性だった場合にどうすべきか。「感染者」としての対処や療養のルール作りです。 陽性者が「確定診断」のためにいちいち医療機関を受診するようでは、意味がありません。 健康フォローアップセンター(陽性者登録センター等)による健康観察が受けられる体制整備が必要です。 一方で、医療機関が発熱外来等で使う抗原検査キットが入手しにくいことが、最近問題となっています。 そこで、医療機関等への抗原検査キットの配布が始まりました。当院も本日、医師会から配布を受けました。 このキットは、PCR検査希望者に順番待ちの自家用車内で使ってもらうことを、当院では考えています。 とくにに、高齢者や重症化因子を有する方などには、PCR検査の前に試みる価値はありますね。 陽性なら、新型コロナ治療薬(ラゲブリオなど)をすぐ処方することができます。これは大きなメリットです。 なお、入手したキットの数が限られているので、一般の希望者に配布するわけにはいきません。悪しからず。 |
OSは、アップグレードからのクリーンインストール
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- 2022/08/16(Tue) -
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先日予告したように、診療でメインに使っているMacProのOSの更新作業を行いました。
ただし、OS更新によって不具合が起きて、診療に支障をきたすようなことがあってはなりません。 そこで考えたのは、いったん別のMacに電子カルテソフトをインストールして「代替機」として使うこと。 その間に、MacProのOSを更新して、電カルの稼働に不具合はないかをじっくり検証しようというわけです。 MacのOSを更新する手段は、2つ。OSの「アップグレード」と「クリーンインストール」があります。 アップグレードは比較的容易で、データやソフトをそのまま維持できるのは圧倒的なメリット。 ただし、不要ソフトなどのゴミもそのままMac内に残り、スッキリ感はありません。 一方でクリーンインストールは、HDDを初期化してまっさらなMacにして新しいOSをインストールする手法。 初期設定やソフトのインストールを全部やり直す必要があり1日仕事ですが、Macは超スッキリします。 当然、私は後者を選びます。ただしその場合でも、いったんOSアップグレードして段階を踏むことが大事。 新OSに慣れ、ソフトの動作状況を観察し、本当にクリーンインストールしてよいかを熟考できますから。 そんなわけで、まず代替機となるiMacに電子カルテソフトをインストールし、動作を確認して診察室に搬入。 かわりにMacPro を院長室に運び、OSアップグレードして、動作確認。 しばらく使ってみてイケそうなら、次の休診日にでもクリーンインストール作業に取り組む予定です。 院長室や書斎はちっとも片付きませんが、Macの中身の大掃除やリフォームは大好きでなんです。 |
「水際対策」撤廃までの過渡期か
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- 2022/08/15(Mon) -
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日本はまだ、コロナの「水際対策」をやってます。入国(帰国)前の「陰性証明」をキッチリ求めています。
でも海外はもう、入国者の検査や接種歴なんて、全く気にしてませんからね。 いま新規感染者が世界最多の日本が、海外からの感染者流入阻止に躍起になってるのって、おかしな話です。 そんな日本ですが、ようやく今日、入国者に関しての厚労省の規定が、次のように緩くなりました。 「日本から外国へ短期渡航する者が、日本出国前に日本で取得した検査証明書については、外国を出国する前72時間以内に取得(検体採取)したものである場合には、日本への帰国(再入国)に当たって有効な検査証明書として取り扱います。」 これまでは、海外を出国する前72時間以内の「渡航先で発行された」陰性証明が必要でした。 それが今後は、日本出国前の検査結果でも制限時間内なら、再入国時の証明として有効となったわけです。 つまり、短期の渡航である場合は、渡航先でコロナに感染する可能性についてはもう考えないということです。 これはまた、ずいぶん緩い水際対策になったものですが、ともかく短期渡航者にとっては朗報です。 実は私も、このことは以前から気になっていました。私の休暇は短いので、渡航はいつも短期だからです。 例えば3年前のシンガポール旅行は、8/13に熊本を出て8/15には熊本に戻るという強行軍でしたから。 でも、日本出国前の陰性証明で渡航後の再入国を認めたのでは、もはや水際対策の体を成していませんけどね。 この分だと、もう近々、水際対策は撤廃されそうです。 |
セミの抜け殻が多い木と少ない木
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- 2022/08/14(Sun) -
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朝の蝉時雨が、心なしか弱々しくなってきました。近隣のセミの個体数が減ってきたのでしょう。
もうそろそろ、交尾を終えて産卵の時期に入りつつあるのかもしれません。 我が家の庭で枝を大きく広げて茂るシマトネリコは、セミたちの楽園です。 夏になると、その根元付近の土に、直径3cmぐらいの穴がいくつも出現します。幼虫が出てきた穴です。 夜のうちに木に登り、羽化し、朝までにはどこかに飛んで行きます。そこには抜け殻が残ります。 数えてみると、幹や枝にしがみついている抜け殻は30個以上。根元の土の上にも、たくさん落ちています。 我が家の愛犬・花ちゃんは、時折抜け殻をクンクン嗅ぎますが、動かない生き物には興味が無いようです。 一方でクリニックのメインツリーであるケヤキは、例年とは打って変わって、今年は抜け殻がほぼゼロです。 これは異常事態です。蝉時雨はサンピアンの方から聞こえ、ケヤキにはあまりセミが留まっていません。 なぜそうなったのか。セミの一生を考えた上で、推理してみました。 セミは交尾を終えると樹木の幹に産卵、その卵は翌年の初夏に孵化し、幼虫は木を下って土中に潜ります。 クマゼミは約5年間かけて生育し、やがて土から顔を出して木に登り、羽化します。 その、産卵から孵化までの間に、ケヤキに行った剪定が強すぎたために、卵が失われたのではなかろうかと。 今後はケヤキの剪定だけは軽めに、太い幹は落とさず、樹皮も傷つけないようにお願いすることにしましょう。 来年の夏、一つ年下のセミたちが土から出てきて羽化し、大いに時雨てくれるのを、期待します。 |
一周忌&初盆
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- 2022/08/13(Sat) -
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父の命日である今日、一周忌と初盆の法要を営みました。
コロナ禍がしつこく続くので、県外の親族には参列を控えてもらい、地元の身内だけの集まりとなりました。 今日のような日には、母と晩年の父の思い出話が出ますが、たいていは2年前の楽しかった天草旅行の話です。 それは入退院を繰り返していた時期の、まるで梅雨の晴れ間のような、奇跡的な「Go To トラベル」でした。 実は最初は、両親の実家のある地域を巡る旅を計画していました。山口県東部の大島町と岩国市です。 それはしかし、親戚の健康上の理由等で中止することになり、それならばと選んだのが天草なのです。 熊本はいいですね、天草と阿蘇がある。 でもそれなのに、天草に行ったのはこの20年間で3回か4回だけ。実にもったいない話です。 阿蘇はドライブやサイクリングを時々していましたが、それも地震以降はパッタリです。 北部復旧ルートや、新しい阿蘇大橋は一応渡りました。でもあくまでお試し程度。本格ドライブはまだです。 仕事柄、旅行はおろか外出や外食にも慎重になっています。このトンネル、早く抜け出したいですね。 |
「オミクロン株対応ワクチン」の接種希望量調査
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- 2022/08/12(Fri) -
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「オミクロン株対応ワクチン」の接種が、10月中には始まることになりそうです。
現在接種を行っている新型コロナワクチンは、オミクロン以前の「従来株」に効くように作られたものでした。 この従来株に加えてオミクロン株(BA.1)にも対応した、「2価ワクチン」の接種が決定しました。 接種対象や前回からの接種間隔など、詳細はまだ決まっていません。何よりも供給量がどうなるか心配です。 そんな中、熊本市から各医療機関にむけて、オミクロン株対応ワクチンの接種希望量の調査が始まりました。 10月11日〜12月31日の各日の、ファイザーとモデルナの接種予定人数(希望人数)を全部書けというもの。 この10〜12月と言えば、インフルエンザワクチンの接種時期とピッタリ重なります。 コロナワクチンとインフルワクチンに、これまで通り2週間の接種間隔が必要だと、かなり面倒です。 (追記:インフルワクチンに限り、コロナワクチンとの接種間隔の規定は撤廃されることになりました) そもそもインフルが流行するのかどうかもわかりません。去年と一昨年は完全に肩透かしを食らいましたから。 おまけに両方のワクチンの接種を並行して進めるときに、まさか発熱外来もまだ多忙だと困りますね。 そんな状況なのに、年末までの詳細な接種計画を今月中に決めて提出せよという、いつもの無理難題。 こんな調査にはもう慣れてます。詳しく計画を練ることもできず、アバウトな回答になるのも毎度のこと。 |
覚悟していても大変な、祝日の発熱外来
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- 2022/08/11(Thu) -
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祝日ですから、当院の発熱外来は日頃の日曜日以上に、混み合うことが予想されていました。
確かに、朝の9時過ぎには夕方までの予約が埋まったので、県の担当者に紹介中止の連絡を入れました。 ところがその担当者曰く、「祝日は休診だと思い、今日は発熱外来の紹介をしていませんでした」と。 じゃあ、どうして朝から予約の電話が混み合ってたんでしょうね。 明日から当院は、5日間のお盆休みに入ります。夏の5連休は多分、開院以来最長です。 臨時休診の3日間を火曜・金曜の定期休診日が挟んでいるだけなのですが、結果的には異常に長い休診です。 休診中にやることはたくさんありますが、例えば電カル端末のMacのOSのアップデートも計画中です。 今メインで使っている診察室のMacでは、OSが古くてHER-SYSにログインできないのです。 HER-SYS入力のために、いちいち院長室まで移動する不便さを、そろそろ解消しなければなりません。 新しいOSはもちろん、「クリーンインストール」を行います。 これにはHDDを初期化する作業を伴い、Macはスッキリ爽やかになりますが、多分、1日仕事です。 コロナが落ち着いてから行うつもりでしたが、待っていてはキリがないので、お盆休みに行うことにしました。 さて今日は、PCR検査が54件、抗原検査は18件でした。 検査センターとの兼ね合いでPCR検査を17時で打ち切ったので、その分、今日は抗原検査が多くなりました。 PCRの結果は明日判明します。明日は、電話連絡とHER-SYS地獄が待っています。覚悟しています。 |
新型コロナ治療薬「ラゲブリオ」薬価収載へ
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- 2022/08/10(Wed) -
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「ラゲブリオ」を、今日は2人の方に処方しました。新型コロナウイルス感染症治療用の内服薬です。
新型コロナ用の内服薬には、他に「パキロビッドパック」がありますが、他の薬との兼ね合いで使いにくい。 一方でラゲブリオは気軽に処方できる薬なのですが、実際にはさまざまな制約があって処方数が伸びません。 この薬は、軽症から中等症1の患者のうち重症化リスクがある方に対し、発症から5日以内に処方できます。 この「発症から5日以内」というのが、なかなかキワドイのです。 例えば、発症の翌日に当院でPCR検査実施、その翌日結果判明、その翌日処方、というケースならOKです。 しかし、発症の2日後に検査、翌日結果判明、その翌日が当院の休診日だと、処方がギリギリになります。 明日の祝日は、かなりの数のPCR検査をすることになりそうですが、結果が判明する明後日は休診日です。 たとえ休診日でも、検査結果の電話連絡やHER-SYS入力やチェックシート送付はもちろん、行います。 しかしさすがに、休診日に処方はできません(処方できるぐらいなら休診しません)。 さらにその後はお盆休みに突入するので、明日検査する患者さんへのラゲブリオ処方は不可能なのです。 どの医療機関で陽性判定をしても、別の医療機関でその判定結果を入手して薬を処方できる仕組みが必要です。 HER-SYSや保健所を介した現在のやり方では、処方に間に合うようなスムーズな運用は難しそうです。 ちなみに今日の中医協総会でラゲブリオの薬価収載が了承されました。保険適用となり一般流通が始まります。 薬価は5日分で94,312円。コロナ医療は公費負担なので患者負担はありませんが、なかなかの高額薬ですね。 |
少々の病状では入院できない状況です
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- 2022/08/09(Tue) -
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新型コロナ患者の入院病床とか発熱外来や検査体制などの「ひっ迫」については、ずっと言われ続けています。
本日時点での確保病床使用率は、熊本県で85.1%、熊本市121.1%、うち重症者用は、県28.3%、市52.0%。 全体のキャパがそれほど大きいわけではないので、感染者が入院するための基準には厳しいものがあります。 昨日も、心不全と低酸素のある高齢者が当院の抗原検査で陽性でしたが、手配しても入院はできませんでした。 入院チェックシートに「早期入院」が必要だと明記した上で、保健所に電話も入れたのに、無理でした。 自宅に駆けつけた保健所の方が実測したSpは93〜94%。90%を切ったら救急車を呼んでください、とのこと。 おそらく、この方よりもずっと重症の方のために、残り僅かな重症病床を空けているのでしょう。 しかし日頃から診療している担当医が、これは危ないと思った患者さんぐらいは、入院させていただきたい。 いや、それも叶わぬくらいに、熊本の医療は厳しい状況なのかもしれません。 昨日も予測したように、少なくとも熊本では、第7波はまだピークアウトする様子はなさそうです。 それなのに当院は、12日から数日間のお盆休みに入ります。大事な時に、まことに申し訳ありません。 さて、お盆の人の動きが、その後の感染拡大にどのように影響するのでしょうね。今は不安しかありませんが。 |
第7波がピークアウトしたとは思えません
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- 2022/08/08(Mon) -
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誰もが知っているように、月曜日の新規感染者数が少ないことは、何の安心材料にもなりません。
土日の検査結果のほとんどが月曜の夕刻以降にHER-SYS入力されるため、感染者登録は火曜になるからです。 たしかに、1週間前の同じ月曜日の数値よりは減っていますが、そんなの誤差範囲です。 現に私は今夜、その慄然とするような検査結果を前にして、半泣きになりながら、事務処理をしたところです。 昨日の日曜日のPCR検査は、検査数こそ30件と少なめでしたが、陽性は26件。陽性率87%は過去最悪です。 土日のPCRと今日の抗原検査の陽性件数は全部で44件。これらのHER-SYS入力を開始したのが21時前。 入院チェックシートまで作成して、保健所にメール送付したのがたった今、23時51分のこと。 それから大慌てで、帰宅前にこのブログを書いています。締切(23時59分)まで時間が無いので短めです。 いちどに44件の発生届等を提出するのは、2月以来かもしれません。コロナの勢いが止まりません。 これらの発生届などはすべて、明日の感染者数としてカウントされ、メディアにその数値が登場します。 この1,2週間の発熱外来の異常な雰囲気からは、もうじき第7波がピークアウトするとは、私には思えません。 |
ワクチン接種していても、BA.5に罹ればたいてい高熱が出ます
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- 2022/08/07(Sun) -
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新型コロナワクチンの接種歴については、先日も触れたようにHER-SYSの入力項目から削除されました。
初期のHER-SYSには、すべての接種回のワクチンのメーカーと接種日を記載する必要がありました。 最近はそれが、ワクチンの接種回数と、最終ワクチンの接種日とメーカーだけになっていました。 そしてついに今回、ワクチンについては、接種歴の有無も何も記載しないでよい仕様になったわけです。 つまり厚労省は、ワクチン接種歴と新型コロナ感染の関連については、全数調査を断念することにしたのです。 これは英断です。ただし重要な医学的解析なのでおそらく、サンプリング調査等は行われることでしょう。 一方で、熊本市の入院チェックシートには、「接種回数が1回以下」かどうかを記載する欄が新設されました。 それが重症化リスク因子と考えられるからですが、医師の作業量削減の流れに逆行する仕様変更です。 とは言え、そのぐらいの情報の提供なら、私も労を惜しむつもりはありません。 ワクチン接種歴とコロナの感染性や症状との関連については、私も以前から興味はあります。 少し前まで(BA.5出現前?)、ワクチン接種した方は、コロナに罹っても高熱が出にくい印象がありました。 ところが最近は、3回接種者でも4回接種済みの方ですら高熱が出ます。もしかするとBA.5の特徴でしょうか。 そんな分析も、私の僅かな経験では誰かに吹聴できるものではありません(と言いつつブログには書いてる)。 だとしても、他人の受け売りではなく自験例による考察を語ることには、一定の説得力があると思うのです。 |
発熱外来の疲弊対策はまず、事務作業の削減から
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- 2022/08/06(Sat) -
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発熱外来の面倒なところは、診療そのものよりも事務作業だと言う人がいます。私です。
実際、HER-SYS入力と入院チェックシートの作成作業に、私はずっと(いつから?)忙殺されてきました。 厚労省が、その負担軽減のためにHER-SYS入力項目の大胆な削減を打ち出したことは、昨日書いた通りです。 重症化リスクの低い患者においては、氏名、性別、生年月日、報告日、住所、電話番号のみでOKだと。 そこで念のため保健所に尋ねると、熊本はまだ「健康フォローアップセンター」が開設されてないので・・・ つまり体制が整っていないので、もうしばらく、これまで通りにお願いしたいとのこと。 いやいや、それでは厚労省の改革の趣旨に反しませんかと。発熱外来の疲弊をどうしてくれると(心の中で)。 最終的に、上記6項目にフリガナと発症日を加えてくれたらそれでいいです、という保健所の言質を得ました。 となると面倒なのは、熊本独自の「入院チェックシート」です。 チェックシートの煩雑さは、HER-SYSを簡便にした趣旨に反しませんかと、そう正論で問いただしました。 これに対して保健所の対応は明確ではありませんでしたが、概ね私の思った通りにやらせてもらえそうです。 これからは重症化因子を持つケースに集中して(軽症例は手抜きして)、メリハリのある報告で臨みましょう。 とりあえず今夜の発生届は、最小限項目のHER-SYS入力としました。これでだいぶ、気が楽になりました。 |
発熱外来の「正常化」のために
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- 2022/08/05(Fri) -
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「オミクロン株の特徴に合わせた医療機関や保健所の更なる負担軽減への対応」
そのように題して、厚労省の「対策本部」は昨日、次のような4つの方針を打ち出しました。 (1)患者発生時の届出項目の更なる削減 (2)「発熱外来自己検査体制」整備の更なる推進 (3)効果的かつ負担の少ない医療現場における感染対策について (4)救急医療等のひっ迫回避に向けた対応 HER-SYS入力項目が7つに減ったことは歓迎します。これでほぼ、先日私が希望した通りになります。 ワクチン接種歴や基礎疾患の内容などは、忙しい時に入力する必要のある情報ではなかったということです。 「自己検査」のための抗原検査キットが足りるのかは疑問。何しろ医療機関でさえ入手には苦労してますから。 自己検査で陽性となった方が、発熱外来を受診せずに自治体のフォローアップを受けられる仕組みも必要です。 症状が軽い場合は、検査や薬のために医療機関を受診することは避けるべきだと、改めて強調されています。 また、療養終了時に発熱外来での検査を求めないことについても、引き続き 幅広く周知を図るとのこと。 発生届の簡素化と自己検査の有効利用は、発熱外来の「正常化」のためには絶対必要です。 |
防府に日本三大天神
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- 2022/08/04(Thu) -
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昨日のブログの「白紙に戻そう検討使」の意味が分からん、という方がいらっしゃったので、念のため説明。
「遣唐使」を停止した年(西暦894年)の覚え方(語呂合わせ)ですね。元受験生ならきっと知ってるはず。 停止を決めたのは菅原道真です。後に無実の罪で大宰府に左遷されて、その怨霊が雷神になった人ですね。 流される途中で寄った松﨑(いまの山口県防府市)で、いつかこの地に住みたいと言ったそうです。 その証拠に、左遷の2年後に道真が大宰府で亡くなったその日、防府に神光が現れ瑞雲が棚引いたとか。 というわけで日本三大天神は、北野・太宰府・防府なのです。これは小学校で習いました(防府出身なので)。 「とりあえずビール」という時に、いちいち「ヌサもとりあえずビール」と言う友達が学生時代にいました。 百人一首に取り上げられている、菅原道真の歌がその由来。これもまた、受験戦争の弊害と言えるでしょう。 「このたびは 幣(ぬさ)も取りあへず 手向(たむけ)山 紅葉(もみぢ)の錦 神のまにまに」 (今度の旅は道祖神に捧げる幣も用意できませんでした。手向けの山の紅葉を捧げるので、神よ御心のままに) 「幣(ぬさ)」という読みは耳慣れませんが、字面は「紙幣」でお馴染みの漢字です。 私は高校時代に、「神のまにまに」から「紙の money, money」を連想しました。つまり紙幣です。 このことは大学時代にABBAのヒット曲「Money, Money, Money」に出会った時に、また思い出しました。 |
コロナ対策の見直しをためらうことなかれ
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- 2022/08/03(Wed) -
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熊本県の今日の新型コロナ新規感染者は4,414人、全国でも24万9,830人と、いずれも過去最多となりました。
一体収束する気あるんですかね。こうなればもう、収束を待つのは諦めて対応を変えるべき時かもしれません。 コロナによる純粋な医学的問題よりも、コロナ対策に伴う制限の方が、社会に強く影響しているからです。 「第7波を乗り越えた後には見直しが不可避だ」と言う岸田首相は、方針を力強く語るわりに行動が遅い。 岸田首相を「検討使」だと揶揄したのは国民民主党の玉木代表ですが、まことに秀逸な命名です。 いやしかし、次々に繰り出す政策がしばしば国民を惑わせた某首相(故人)よりは、少しマシかもしれません。 ニュースを見ていると岸田氏は、いつも目が真っ赤に充血しています。最近は頭髪の縮れも目立ちます。 「人の話をよく聞くこと」が特技だと言う岸田氏ですが、万人の意見を公平に聞いていては何も進みません。 優秀なブレーンからの情報と、ご自分の見識と良心とで、この難局を乗り越える決断を下していただきたい。 たとえば、感染者の全数把握は即刻、取りやめるべきです。そうすればみんなが楽になります。 事務作業が大幅に減るので、保健所も発熱外来も、本来すべき仕事に集中できます。いますぐすべきです。 感染者数の動向を知りたければ、サンプリング調査でいいじゃないですか、インフルエンザみたいに。 物事をよく吟味するという意味で、「検討使」は褒め言葉かもしれません。検討の後は、行動あるのみです。 野党やメディアの質問には的確に答え(賢答使)、後には「健闘使」と改名されるようだといいですね。 「白紙に戻そう検討使」などということのないように、お願いします。 |
「濃厚接触者」の扱いを見直す
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- 2022/08/02(Tue) -
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社会経済活動への影響を考慮して、新型コロナ感染者の「濃厚接触者」の扱いが変わりつつあります。
当ブログで「濃厚接触」という言葉を始めて使ったのは、7年前に「MERS」について書いた時でした。 まだ耳慣れない「のうこう」の響きからは、「農耕」とか「農高」を想像した方もいたでしょう。いないか。 職場や保育園でも問題にはなりますが、濃厚接触者がいちばん発生しやすいのは、家庭です。 少し前までは、家族間の接触度合いを保健所が聞き取り調査して、誰と誰が濃厚接触者だと認定していました。 しかし感染拡大に伴い面倒な認定作業は行わず、同居家族は基本的に濃厚接触者と考える方針になっています。 家庭内濃厚接触者の待機期間は、感染対策をとらずに最後に感染者と接触した日から5日間に短縮されました。 さらに2日目と3日目に抗原検査を行なって陰性なら、3日目に待機が解除されます。 私の経験上、濃厚接触の2,3日後に発症する人が多いので、3日後の解除はけっこうきわどい規定です。 抗原検査キットの入手も難しいでしょう。医療機関ですら、診療用のキット確保で苦労しているのですから。 感染者と毎日接触しているのに、感染者よりも5日早く待機が解除されると思っている濃厚接触者もいます。 残念ながらその状況では、感染者よりも5日長く待機しなければなりません。 無症状の濃厚接触者が待機する必要があるのかどうかは、議論の余地があります。 一方で、抗原検査によって待機期間を短縮できるという規定にも、確かな医学的根拠はあるのか疑問です。 抗原検査による「無症状者の陰性判定」を国が認めるということになりますが、私には納得がいきません。 |
PCR検査の考え方も、そろそろ曲がり角?
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- 2022/08/01(Mon) -
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毎日のように発熱外来の苦労談を書くのも芸が無いですが、旬の話題なので書きます。
昨日のPCR検査41件のうち陽性は28例でした。この陽性率68%は2月頃とまったく同水準です。 このように高い陽性率は、検査が追いついていない証。もっと検査したらもっと感染者が見つかるはずです。 とはいえ、もはや私は検査数を増やせば良いとは思っていません。 発熱外来のひっ迫や疲弊を問題にしているのではなく、もう、どうせ全数把握はできていないと思うからです。 臨床上ほんとに重要なケースに限定して検査を実施したいぐらいですが、現時点ではそうもいきません。 感染後の職場復帰前に、会社から「陰性証明」を求められたからPCR検査してほしい、という方がいます。 それは保険が利きませんよと言えば、自費でもいいです、いくらですかと応じられてしまいます。 PCR検査は会社が認めてくれないとか、時間がかかるから抗原検査をしてほしいという方も、一定数います。 抗原が陰性なら、すぐ夜勤に出るという発熱者もいます。そういう方に抗原検査するのには抵抗ありますね。 当院は、新型コロナ感染の発見と治療(隔離等を含む)のための「行政検査」を行う発熱外来です。 社会的理由による検査は行なっていません。自費でいいからお願いしますと言われてもお断りです。 |
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