ワクチン行政への苦情
- 2015/02/07(Sat) -
日本脳炎は、蚊が媒介する病気なので夏のイメージがありますが、ワクチンはいつ接種しても同じです。
このワクチンに関する、厚生科学審議会の議事録が面白かったので、その感想文など書きますが、長いです。

北海道だけ行われていない日本脳炎ワクチンの定期接種について、お役所も動きそう、と書いたのは半年前
その後さっそく動いたのはしかし、厚労省ではなく、総務省でした。おかげで問題は、少々こじれています。

北海道では過去に日本脳炎患者の発生が皆無なので、予防接種も不要であろう、というのが従来の考え方。
しかし、北海道で生まれ育った人が、ワクチンを未接種のまま本州に転居した場合には、問題となります。

日本脳炎ワクチンは、定期予防接種の中では唯一、知事の判断で実施を決めることのできるワクチンです。
予防接種法と予防接種法施行令の規定に基づく措置ですが、決断するのはあくまで北海道知事。←ココ重要。

事の発端は、北海道から本州にではなく、青森から函館に引っ越した家族からの苦情でした。
子どもに日本脳炎の予防接種をしようとしたら、函館では定期接種ができないと知って驚いたといいます。
その家族の苦情は、総務省行政評価局に伝えられました。行政相談を担当する部署です。
ちなみに、総務省の行政相談受付窓口である「行政苦情110番」の電話番号は、0570-090110だそうです。
覚え方は「おこまりならまるまるくじょーひゃくとーばん」とのこと。なんじゃそりゃ。覚えられんわい。

総務省は検討の末、法に基づき、厚生労働省健康局長あてに「あっせん」を行いました。ポイントは2つ。
(1)都道府県域を超えた人の移動を考慮すると、北海道でワクチン接種をしないことは不合理な対応である
(2)予防接種法施行令の規定の是非について、厚生科学審議会において調査審議していただくことが適当

つまり総務省は、北海道に問題があるのではなく、規則(予防接種法施行令)の方を見直せというけです。

これに対して厚労省健康局の見解は当初、以下のようなものでした。
「罹患する可能性の低い地域で、定期接種を実施すれば、副作用のリスクに晒すこととなり不合理である」
おいおい。行政が副作用を理由にしてどうするの。これこそ、ワクチン後進国の発想じゃないですか。

厚労省の予防接種・ワクチン分科会では、冒頭、4名の傍聴者からの発言がありましたが、これが興味深い。
(1)市民団体のAさん:北海道で日本脳炎は起きていない、ワクチン接種による副作用被害を広げるな
(2)市民団体のNさん:本州への転居後に、日本脳炎ワクチンを任意接種するのは、家計の負担が大きい
(3)Mさん(「インフルエンザワクチンはいらない」という本の著者):北海道での接種はいらない
(4)市民団体のKさん:費用対効果を考えれば北海道での接種は不要、総務省は厚労省の政策に干渉するな

厚労省サイドの民間人を3人集め、取り繕うように意見の異なる人を1人加えた印象はぬぐえません。
最終的に、厚生科学審議会の出した結論を集約すれば、以下の2つです。
(1)現状維持:「現時点で、法令を改正するほどの必要はなく、接種の要否は北海道に任せよう」
(2)総務省批判:「総務省は、厚生労働省に投げるのではなく、本来、自ら回答を示すべきだ」

結局、事なかれ主義縦割り行政に支配される審議会でした。

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