善玉と悪玉の中身は同じ
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- 2015/03/13(Fri) -
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コレステロールには善玉と悪玉がある、ということになっていますが、誤解を招きやすい表現です。
善玉も悪玉もありません。コレステロールという物質は、ただの1種類しかありません。 コレステロールは脂質の一種で、細胞機能や細胞膜の維持には必須の、たいへん重要な分子です。 脂質は水(血液)に溶けません。なので血中を運搬するときには、水に溶けやすい専用ケースに収納します。 全身に送り届けるときのケースがLDL、余分なコレステロールを回収するときのケースがHDLです。 ご存じのように、過剰なコレステロールは血管の動脈硬化を引き起こし、生活習慣病の原因となります。 そのコレステロールを運んで来るのはLDL。なのでLDLに収納されたコレステロールを、悪玉呼ばわりです。 その反対に、余剰コレステロールを回収するHDLに収納されたコレステロールは、善玉と称してあがめます。 医学用語では、たとえば良性腫瘍とか悪性腫瘍というとき、そこには明確な、医学的定義があります。 ところがコレステロールの場合は決して「良性」「悪性」とは言いません。あくまで「善玉」「悪玉」です。 同じコレステロールを、善悪2つの側面から見た呼び方、というニュアンスで考えればよいのでしょう。 大事なのはバランスです。LDLが多くてHDLが少ないのはいけません。一般的にはその考え方です。 しかし面白いことに、コレステロールは、高くても良い、とか、高い方が良い、などの意見もあります。 さまざまな学説や俗説に加え、メディアの取り上げ方にも偏りがあるので、臨床現場は混乱気味です。
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