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未曾有の演説
- 2015/05/03(Sun) -
安倍首相の先日の演説は、外務省発表の日本語版原稿を、何度も読み返しました。よく練られた文章です。

第二次大戦記念碑を訪れたときの逸話は、情景が目に浮かぶような、詩的な描写でした。
『神殿を思わせる、静謐な場所でした。耳朶を打つのは、噴水の、水の砕ける音ばかり』
「耳朶を打つ」ほどの音の中で「静謐」と感じるのは、芭蕉の句にも共通する、日本的表現かもしれません。

演説の最後で安倍首相は、日米同盟を強調するために、東日本大震災の際の「トモダチ作戦」に触れました。
『米軍は、未曾有の規模で救難作戦を展開してくれました』と。

恥ずかしながら私は、「未曾有」は良い意味にも使えるんだと、これを読んで再認識した次第。
この部分は原文(英語版)では、 “at a scale never seen or heard before” となっています。

「未曾有」は「未(いま)だ曾(かつ)て有らず」の意味なので、善悪両方に用いると、辞書にはあります。
しかし実際に使うのはたいてい、「未曾有の大災害」や「未曾有の危機」など、悪い意味です。
あの震災後には、メディアでこの言葉が、何十回も何百回も繰り返されました。

だからこの言葉を、とりわけ震災がらみの話題で、良い意味に使うのは、相応しくないように感じました。
「未曾有の規模で」などと言わず、「かつてない規模で」の方が、すんなり入って来た気がします。

この点は引っかかりましたが、それでもこの演説は、ストーリー性があって、味わい深い文章だと思います。
こういうのを、学校の授業でとり上げてほしいものです。

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