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差別用語を考える
- 2015/05/26(Tue) -
昨日も書いた、ジョン・ナッシュ氏のこと。彼が「統合失調症」だったことは、よく知られています。
映画「ビューティフル・マインド」では、その彼だけが知覚する世界を、面白く表現していたと思います。

字幕で「精神分裂病」という言葉がたびたび登場しました。今は使われなくなった病名です。
「分裂」という言葉が、差別的、人格否定的だ、ということです。まあそれは、ある程度、理解できます。

しかし、単なる状態を表す一般名詞が、いつのまにか差別用語となり、使われなくなるケースも多いです。
そのおかげで、医学的本質は全く同じものを、あえて別の言葉に置き換えて表現することになります。

例えば「跛行(はこう)」。おもに片足が不自由な状態のことですが、かつて「びっこを引く」と言ってました。
差別的との理由で、いま「びっこ」は使われませんが、「びっこ」を漢字で書けば「跛」です。同じ字です。

跛行の原因はさまざまです。
(1)股関節や下肢に、変形や可動域の制限や疼痛などがある疾患:関節の病気、下肢の骨折、痛風など
(2)脊椎・脊髄または脳に異常がある疾患:脳血管障害やポリオの後遺症、腰部脊柱管狭窄症など
(3)下肢の血流に障害があって、とくに運動時に阻血となる疾患:閉塞性動脈硬化症

皆さん、お困りの方ばかり。経過の長い方は、跛行にもある程度慣れてますが、それでもひどく不自由です。
そのような病状の方を蔑視する心無い人がいたとしたら、それはその人の問題。言葉の問題ではありません。

しかし何らかの経緯があって、「跛(びっこ)」という言葉は問題視され、「跛行」に置き換わりました。
大和言葉(訓読み)を漢語(音読み)にして、いかにも中立性のある学術的な堅い表現にしたわけです。
その「跛行」ですら、「跛」の字が差別的だと言われ始めていますが、何が悪いのでしょう。文字ですか。

大事なのは、どのような気持ちで、その言葉を発しているのか、それを使う人の心です。
差別用語だと言って、次々に言葉を排除することで、かえって差別意識を作り出しているような気がします。

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