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ヘリウムガス吸引事故
- 2015/05/28(Thu) -
テレビ番組の収録中に、12歳の少女がヘリウムガス吸引で意識を失った事故が、今年1月に起きました。
その経緯について、日本小児科学会がこのほど、学会誌の最新号で詳細を公表しました。

少女は、ガス吸引直後より右手を震わせ始め、後方へ転倒して後頭部を強打、全身痙攣を起こしたとのこと。
意識障害と低酸素が続き、入院6日目に再び痙攣。画像診断から空気塞栓症と判断し、高圧酸素療法を開始。
その後は徐々に回復し、3月には登校できるまでになったそうですが、いろいろ問題のある出来事です。

ずさんな収録現場の問題や、事故をすぐに公表しなかったテレビ朝日の体質については、今日は触れません。
それよりもなぜ、市販のヘリウム缶の吸入でそのような大事に至ったのか、今日はそれを考えてみます。

使われたボンベは、ヘリウム80%、酸素20%含有の日本製。5,000ccの「大人用」サイズだったそうです。
この、ありきたりのパーティーグッズで問題が起きた原因は、次の2つと思われます。
(1)体格に見合わない、大量のヘリウムガスを吸入した
(2)鼻をつまんで、真面目にしっかり吸入した

ヘリウムガスに限らず、肺活量を超える量の気体をボンベで圧入されると、肺(肺胞)は破れるのです。
これを「圧損傷(Barotrauma;バロトラウマ)」といいます。

肺はガス交換の場です。肺胞の周りには、肺動脈と肺静脈の毛細血管が、網目のように絡みついています。
肺胞が破れれば、周囲の血管も断裂します。そこにガスの圧力が加われば、血管内にガスが入り込みます。

とくに問題は肺静脈です。肺静脈内にガスが入ると、左心房、左心室を経て、大動脈に拍出されるからです。
それが頸動脈に流れ、脳内の血管を塞いでしまうと、脳塞栓を起こします。これが、今回の事故の概要です。

教訓
(1)子どもでは、体格を考慮して、ヘリウム缶のサイズ(容量)を選択すること
(2)より面白い声を出そうと思っても、あまり真面目に、一生懸命吸わないこと
ていうか、ヘリウム吸って面白い声を出す遊び、もうやめませんか。

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