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棒グラフと折れ線グラフ
- 2015/11/25(Wed) -
「秋には本は売れないのに、なぜか『読書の秋』」という新聞記事に、目が留まりました。
3月4月や、年末年始や、夏休みなどに比べると、秋は相対的に売れ行きが鈍る時期だそうです。なるほど。
が、その内容よりも、月別の「書籍への支出額」の平均値を比較した棒グラフが、とても気になりました。

支出額が年間最高の12月と比べて、11月はその半分にも満たない、ように見えるからです。
実際には、12月は900円強、11月は700円弱なのに、棒グラフではその差がきわめて強調されています。
なぜなら、縦軸が途中で省略されていて、棒の高さが数値に比例していないのです。

棒グラフは、その長さの絶対値どうしを比べるのが本筋。縦軸は0から始まらなければなりません。
差を強調するために、棒の先っちょの部分だけを切り取って比較するのは、ルール違反です。
テレビや新聞ではしかし、縦軸を操作したインチキグラフをよく見かけます。

ところで、高血圧の方には、毎日朝晩の血圧を測定して、血圧手帳にグラフを描いてきてもらいます。
このように、血圧や体重や体温などの経時変化を記録するときは、折れ線グラフを使います。

折れ線グラフであれば、見たい範囲を強調するために、縦軸を自由に設定できます。
だから血圧や体重のグラフの縦軸が、0から始まる必要はありません。絶対値ではなく、変動を見たいのです。
体温に至っては、その数値は絶対値ですらありません。どうしても絶対値で描くなら、縦軸は絶対温度です。

科学雑誌のグラフにも間違いは散見されますが、テレビや新聞に登場するグラフはひどいのが多い。
縦軸に細工がしてある棒グラフを出すようなメディアは、科学的分析能力を疑わなければなりません。

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