MRワクチン足りるのか
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- 2016/02/19(Fri) -
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北里第一三共の「麻しん/風しん混合(MR)ワクチン」は、有効性に疑問が生じ、出荷停止が続いています。
化血研問題の陰に隠れてしまいましたが、ワクチン業界ではいま、ジワジワと広がっている問題です。 生ワクチンは、保存期間中に効力(=生物学的作用、これを「力価」といいます)が徐々に低下していきます。 有効期間が18カ月とされているこのワクチンは、製造18カ月後の力価が基準を満たしている必要があります。 ところが昨年、その定期検査によって、麻しんの力価が基準を下回っていたロットがあることが判明しました。 力価はFFUという単位で表しますが、厚労省の承認規格である5,000FFUに対し、最低のものは1,900FFU。 これはマズイというわけで、メーカーは昨年10月末、自主回収に踏み切り、新規の出荷もされていません。 となると、問題は2つです。 (1)MRワクチンの供給が不足して、必要な対象者に接種ができなくなる可能性 (2)すでに北里のワクチンを接種した人は、十分な免疫が付いたのかという心配 MRワクチンの定期接種対象は、1歳児(1期)と年長児(2期)です。 当院の昨年の実績では、3月の接種者数が最多でした。2期のお子さんの駆け込み接種が多いからです。 北里以外のメーカーのワクチンだけで、はたして足りるのか、まさに来月が山場です。 化血研問題では、ワクチンの効力はOKだったので、供給が不足したワクチンは特別に出荷が認められました。 しかし北里の場合、効力に疑問が生じたゆえの出荷停止なので、やっぱり出荷OKというわけにもいきません。 実は1,900FFUというのは、WHOの基準(1,000FFU)と比べたらまだマシな、十分有効な数値です。 ですが規則を遵守して供給を止めた以上は、メーカーも厚労省も、いまさらどうにもできない状況なのです。 力価が低かった原因が、まだわかっていない北里のワクチン。今後どのように決着するのか、未知数です。 なお、効力の低いワクチンを接種してしまったお子さんに対する、救済措置については、後日また書きます。
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