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MRワクチン再接種の壁
- 2016/03/04(Fri) -
効力が厚労省の基準を下回っていたため回収された、北里第一三共のMRワクチン
該当ワクチンを当院で接種した方には、希望があれば抗体検査や再接種を行うための、準備を進めています。

安心のために言っておくと、該当ワクチンだからと言って、必ずしも再接種が必須というわけではありません。

厚労省は、再接種を勧奨する必要はないとしています。ワクチンの有効性は、国際基準の範囲内だからです。
メーカーも、有効性および安全性に特段の懸念はないとしていますが、再接種すれば費用は負担するとのこと。

さて問題は、自治体です。定期予防接種の実施主体です。
熊本市では、再接種を定期接種として扱うか、任意接種として扱うか、厳しく線引きをしているようです。
定期接種として扱うための基準は、
(1)まず、抗体検査(血液検査)を行い、抗体価が不十分(=再接種が必要)であることが確認されること
(2)再接種を行う時点で、定期接種の対象年齢(1歳児または年長児)であること

これは難しい注文ですね。まず、血液検査しなければ再接種させないという条件が、小さい子どもには厳しい。
検査によって抗体価が十分と判明する可能性も高く、それはそれで意味はありますが、再接種はできません。

さらに問題なのは(2)の条件。再接種対象者の多くが、現時点ですでに、対象年齢を過ぎているのです。
つまり、このたびの再接種を定期接種扱いで行うことのできる対象者は、実際にはごく少数と考えられます。

当たり前のことですが、定期接種であろうと任意接種であろうと、ワクチンの効果は同じです。
接種費用もメーカーが負担するので、被接種者にも医療機関にも、何の違いもないように思えます。

しかし、万一そのワクチンの接種によって健康被害が起きた場合、適用される救済制度がまったく異なります。

たとえば、死亡した場合の補償は、定期接種なら4,310万円ですが、任意接種なら約718万円と、大違いです。
前者は「予防接種健康被害救済制度」による補償であり、支払うのは自治体です。
後者は「医薬品副作用被害救済制度」による補償であり、メーカーからの拠出金がその原資です。

両者の違いが大きいので、熊本市は今回の再接種に対して厳しい条件を付けていると、思わざるを得ません。
定期接種の効果が不十分だったから再接種するのなら、少なくとも年齢は関係なく定期接種扱いにすべきです。

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