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HPVワクチン訴訟へ
- 2016/04/03(Sun) -
HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)の問題は、解決するどころかむしろ、こじれてきました。
国とメーカーに対して提起されようとしている集団訴訟は、薬害エイズ訴訟に並ぶ規模になりそうだとのこと。

メーカー(MSD)は徹底抗戦の構えで、先日「ステートメント」を発表しました。その言い分はこうです。

(1)MSDのHPVワクチン「ガーダシル」は、2万9千人以上で臨床試験を行い、安全性と有効性を確認した
(2)市販後には、世界中の170万人以上を対象に調査して、評価を行った
(3)世界130カ国で承認され、これまでに2億本以上提供してきた
(4)世界各国で、ワクチンの導入によって、HPV保有率と子宮頸がんの前がん病変が減少している
(5)WHO、CDC、カナダ保健省、欧州医薬品庁など、主要国の保健機関が接種を推奨している
(6)WHOは日本の現状について「若い女性が、予防できうるがんの危険にさらされている」と警告している
(7)日本でも、産婦人科学会が「ワクチン接種の勧奨再開を求める声明」を昨年8月に発表している
(8)昨年12月の名古屋市の調査では、接種者と非接種者でさまざまな身体症状の頻度に差が無かったと判明
(9)日本では、毎年約1万人の女性が新たに子宮頸がんにかかり、そのうち約3千人が亡くなっている

つまり、有効性も安全性も世界各国が認めているのに、日本では勧められていないのは問題だということです。
これは私がこれまでにも書いてきた内容と、ほぼ同じですが、MSDが触れていない視点があるとすれば、

(10)日本人は、目の前で苦しむ人を救うためなら、疑わしき原因はすべて排除したいと考えてしまう
(11)日本人は、科学的合理性だけで杓子定規に物事を判断するような、冷徹な態度を好まない

外資系企業MSDには、日本人のメンタリティーが理解できないのでしょう。

しかしこのワクチンも、そろそろ接種を再開しなければ、日本人にとって大きなマイナスになります。
それをいちばん危惧しているのは、他ならぬ厚労省でしょう。将来、子宮頸がん後進国になるのは避けたい。

厚労省はしかし、ワクチンの勧奨接種を止めた張本人なので、その再開には何か合理的な根拠が欲しいところ。

今回の訴訟は、メーカーに不利だとは限りません。ワクチンの安全性を、裁判所が認める結果にもなり得ます。
もしかすると、勧奨接種再開への絶好の根拠になりそうな気もします。ちょっと時間がかかりそうですが。

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