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がん免疫療法
- 2016/04/12(Tue) -
小野薬品の、がん免疫療法薬「オプジーボ」は、昨年末から適応が広がって、使用患者が急増中とのこと。
「オプジーボ」は商品名です。一般名(薬品名)は「ニボルマブ(Nivolumab)」。
副作用問題が出てはいますが、画期的な新薬であることは間違いありません。では、どんな薬なのか簡単に。

まず、通常の免疫反応には、自然のブレーキが存在します。過剰な免疫反応を抑制するための仕組みです。
そのブレーキのスイッチが「免疫チェックポイント」と呼ばれる分子で、リンパ球の表面にあります。
がん細胞は、このスイッチを操作して、リンパ球からの攻撃を免れます。これを「免疫逃避機構」といいます。

そこで、がん細胞がブレーキ操作をする前に、そのスイッチを塞いで押せなくしてしまえ、と考えたわけです。
このように、ある分子に的を絞って作用する医薬品のことを「分子標的治療薬」といいます。
とくにそれが、標的分子という「抗原」に結合する「抗体」である場合、「抗体医薬品」と呼びます。

遺伝子組換えによって、特異性の高い抗体「モノクローナル抗体(Monoclonal Antibody)」が作られます。
このような医薬品の名称は、語尾に “Monoclonal AntiBody” からとった “mab(マブ)” が付きます。
「マブ」が付く薬はみな、「モノクローナル抗体医薬品」というわけです。

小児領域でなじみのある「マブ仲間(マブダチ)」は、「パリビズマブ」でしょう。商品名「シナジス」。
早産児などでは、RSウイルス感染予防のために、流行期に月に1回、シナジスを筋肉注射します。
けっこう高額な薬です。体重に比例して用量が増え、6.6キロのお子さんだと、薬価は月に約15万円!
保険適応ですが、乳幼児医療費の助成がなければ、なかなか大変な金額です。

ちなみにオプジーボは、もっと高い。70キロだと1回約150万円。2週間毎に点滴するので、年に3,900万円!
対象患者は数万人といいますから、個人負担もさることながら、医療保険制度にも影響は大きいでしょう。
その意味で、オプジーボの最大の「副作用」は、「経済毒性」とも言われているようです。

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