エコノミークラス症候群
|
- 2016/04/27(Wed) -
|
避難生活、とくに車中泊を続けている人の間で、いま問題となっているのが「エコノミークラス症候群」。
これは下肢、とくに下腿の深いところの静脈(深部静脈)の中に、血栓(血のかたまり)ができる病気です。 その血栓が血流に乗って移動し、大静脈→右心房→右心室を経て肺動脈に詰まると、肺塞栓を引き起こします。 血栓が下肢にある間の症状は、下肢の腫れや痛みですが、肺塞栓を起こすと、胸痛や呼吸困難をきたします。 エコノミークラス症候群(正式には「深部静脈血栓症」)の原因は、おもに次の2つ。 (1)長時間同じ姿勢(とくに下肢を屈曲した状態) (2)水分摂取不足 車中泊はまさに典型的な(1)だし、飲料水不足やトイレが不便な環境であれば(2)も重なってきます。 当院の患者さんの中には、いまだに車中泊をしている人もいます。余震の恐怖から、家で寝られないのです。 「血液サラサラの薬を飲んでるから大丈夫です」と言う方がいますが、それはたいてい、間違っています。 脳梗塞や心筋梗塞などの心配のある方が飲んでいるのは、「バイアスピリン」などの「抗血小板薬」です。 動脈硬化で血管壁が傷んだ場所に、血小板が集まって血栓を作り、動脈が詰まってしまうのを防ぐ薬です。 一方で、下肢の静脈とか、心房細動のときの左心房など、血液がよどむ場所にできる血栓は、また別物。 血液凝固因子が活性化して血液が凝固するので、治療薬は「ワーファリン」などの「抗凝固薬」です。 バイアスピリンを飲んでいても、エコノミークラス症候群を予防することはできません。ご注意ください。 足を定期的に動かし、可能なら高い位置に上げ、できれば時々歩き、水分は十分に摂る。それしかありません。
|
コメント |
コメントの投稿 |
| メイン |
|