新たな肺炎球菌ワクチン
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- 2016/05/16(Mon) -
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肺炎球菌ワクチンは、ややこしいことになりつつあるので、ここらで、まとめてみます。
まず、成人用と小児用に大別できます。それらは予防接種の目的、つまり予防したい疾患が違います。 日本人の死因の第3位は肺炎ですが、その主要な原因菌が肺炎球菌。なので高齢者で予防したいのはコレです。 一方で、小児とくに乳児において、肺炎球菌は重篤な髄膜炎の原因となります。小児で予防したいのはこっち。 肺炎球菌には90以上の種類(血清型)があり、複数の型に効くような成分が、ワクチンには入っています。 成人用ワクチンには、23の型の成分(抗原)が入っており、こういうのを23価ワクチンといいます。 一方で、小児用ワクチンは13価。2年半前に7価(PCV7)から13価(PCV13)に増えた話は、前にも書きました。 ややこしいのは、小児用13価ワクチン(PCV13)が、2年前から高齢者への任意接種も可能になったことです。 高齢者には、定期接種(対象年齢限定)の23価と、任意接種(65歳以上全員OK)の13価があるわけです。 医学的には、その両方を接種すればなお良いと考えられ、米国では両方の接種が推奨されています。 さて最近になって、小児用の10価ワクチン(PCV10)が日本でも発売され、一層ややこしくなってきました。 もともと世界での製造販売は、PCV7(2000年)→PCV10(2008年)→PCV13(2009年)という流れでした。 ところが日本での製造販売は、PCV7(2009年)→PCV13(2013年)→PCV10(2015年)の順です。 世界の流れに乗り遅れた日本が、あわててPCV13を採用したことも、混乱の一因と言えるかもしれません。 PCV10には独特のメリットがあるのですが、細かい話なので、また別の機会に書きましょう。 ともかくPCV10は、立ち位置が微妙なワクチンであり、厚労省もあまり乗り気でないことは確かです。
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