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BCGの目的と変遷
- 2016/05/17(Tue) -
ACジャパンのCMの影響でしょうか、「2週間以上咳が続く」と結核を心配して来院する方が、時々います。

BCG打ってるから、結核は予防できてるんじゃないの?、とお考えの方。残念ながらほぼ、間違いです。
BCGの目的は、子どもの重症結核を予防することです。BCGの効果は、大人になるまでは続きません。

以前は、BCGの前に「ツベルクリン反応」という検査が行われていましたね。
ツベルクリン反応が陰性の子どもだけが、「ハンコ注射(=BCG)」という災難に遭うことになります。
私も子どもの頃、友達とツベルクリン反応の発赤を見せ合い、「良かったぁ〜」などと喜び合っていました。

何のことはない、ツベルクリン反応が陽性というのは、すでに結核菌に感染して免疫が付いていることの証。
結核菌に感染した時点で体力(免疫力)十分だったので、たまたま発症しなかっただけの話です。
昔は、そのような感染者が多かったので、ハンコ注射不要の子どもも、多かったのです。

ところが結核感染者がだんだん減ってくると、ツベルクリン反応陰性の子どもが多くなります。
そこで平成17年、事前のツベルクリン検査が廃止され、いきなり全員にBCG接種を行うことになりました。

どうせ接種するなら、結核の早期予防の観点から、なるべく早いうちに接種しよう、ということになります。
それまでは4歳未満が接種対象年齢だったのが、生後6カ月までにBCGを接種するという規定になりました。
推奨接種月齢は、生後3,4カ月。当院でも、BCGはなるべく早く打ちましょうね、と啓蒙していました。

ところが平成25年から、規定が180度変わります。BCG接種後の骨炎・骨髄炎が問題となったからです。
こんどは、骨炎・骨髄炎の起きにくい生後5カ月以降の接種が、推奨されることになりました。
ついこの前まで、早く打ちましょうと言ってのに、今は、なるべく遅く打ちましょう、なのです。

すでに、米国、英国を始め、欧米先進諸国の多くで、BCGの定期接種は行われていません。
厚労省もBCGの中止を検討し始めていますが、そうなるまで、もう少し時間がかかりそうです。
なぜなら日本はいまだに、人口10万人あたり患者数が10人を超える「中蔓延国」だからです。
戦後の流行期に結核菌に感染して、高齢になって免疫力が落ちてから発病する人が多いとも言われています。
他の感染症のように、予防接種を徹底したら劇的に発病者が減る、という病気ではないのです。

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