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99%安全な手術
- 2016/07/22(Fri) -
慶応大学病院で、生後3カ月で心臓手術を受けたお子さんが、脳障害を起こし、両親が提訴しました。
かつて子どもの心臓手術に携わっていた人間として、このような訴訟の報道を見るたびに、心が痛みます。

手術によって、亡くなったり障害が残ったようなお子さんに、私はいつも本当に申し訳なく思っていました。
お子さんのご両親にも、同じ気持ちです。望んだ結果にしてあげられず、申し訳なく思います。

責任の所在うんぬんの話ではありません。不本意な結果となったことに対する、素直な反省の気持ちです。
外科医は、たとえ万全の準備で臨んだ上で全力投球しても、結果が悪ければ反省するものです。
「苦しい練習を積み、試合で100%の力を出し切ったから、負けて悔い無し」というスポーツとは違うのです。

母親が記者会見で、「99%安全ですよ」という説明を受けたと語っていました。
「100人のうち1人は安全ではないですよ」という意味ですが、両親は、そのようには受け取らないものです。
その結果、なぜうちの子は、99%の方ではなく、1%の方に入ってしまったのか。その疑問が残るのです。

私が勤務医のときには、「1%の確率で、死亡します」という風に説明していました。意味は同じです。
意味は同じですが、死亡や重い後遺症の確率を、重く受け止めてもらうために、強い言葉を使ったのです。

慶応の症例は、「心臓の壁に穴が2つ」と「大動脈と肺動脈の間の穴」と報じられています。
後者があったために、やや特殊な術式がとられたようですが、その診断は誤診だった可能性が出ています。

しかしいずれにしても、生後3カ月のお子さんに手術を行うのは、ある程度重症の心臓病だけです。
慶応の先生の、「99%安全」という説明が、やや楽観的過ぎたのではないかという懸念があります。

ただ、「死亡率10%」と言っていたとしても、手術が絶対必要なら、ご両親は手術を承諾したはずです。
楽観的な数値を言ったのは、ご両親に不要な心配をさせたくない気持ちだったのかもしれません。
それにしても、5年もたって訴訟になるのは、なにか理由があるのでしょうね。

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