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術後せん妄と診察
- 2016/08/29(Mon) -
乳腺腫瘍摘出術後の女性患者に、診察を装ってわいせつな行為をしたとして、男性外科医が逮捕されました。
医師はこれを否認し、その勤務先の病院も、正式な抗議文書を同病院のサイトに掲載しています。

真相はわかりませんが、えん罪の可能性はあります。それに医師が逮捕され、実名報道されたことも問題です。
満床在室の4人部屋だったのに、事件の目撃者はありません。すべては、被害女性の証言によるものです。

問題は、事件が手術後35分以内の、麻酔から完全には覚醒していない時期に起きたということです。
全身麻酔の影響によって、女性は幻覚が見えるせん妄状態だった可能性があるからです。

幻覚を見ている者は、それが幻覚だとは思いません。だからそれが真実だと、明確に「証言」してしまいます。

医師がたった1人で診察しなければよかったのに、と思ったら、看護師同席の回診だったという話もあります。
ところが警察は、その看護師も共犯(または口裏合わせ)と判断したと、一部のサイトにありました。
どの情報が正しいのか私には鑑別できませんが、いずれにしても、逮捕するほど容疑は固まっていないはず。

医師は、とくに乳腺外科や婦人科の医師は、診察自体がきわめてデリケートなので、細心の注意が必要です。

しかし手術中には、外科医は人体という構造物に対して、解剖学的、病理学的、外科的な視線で向き合います。
これは悪い意味ではなく、治療戦略と手術手技への高度な集中によるものです。

おそらく手術直後の回診においても、手術中と同様の感覚で、患者の体に接触することになることでしょう。

そういった外科医の態度が、患者には受け入れ難い面がある可能性に、医療者は配慮する必要があります。
麻酔薬の影響で患者に幻覚が見える状態ではなおさら、医師は最大限の自己防衛をしなければなりません。

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