ノロの検査をどうする
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- 2016/12/29(Thu) -
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ノロウイルス感染による胃腸炎が流行する時期になるたびに、医者の間では、毎年同じ話題になります。
それはすなわち、胃腸炎症状(下痢や嘔吐)の患者に、ノロウイルスの検査をすべきかどうか、ということ。 論点を整理すると、こうです。 (1)糞便の迅速検査をしても必ずしも陽性反応は出ない(陽性的中率は低い)ので、検査する意味は少ない (2)3歳以上65歳未満では保険適用が認められていないので自由診療となり、混合診療の問題も出てくる (3)他のウイルス性胃腸炎と同様に対症療法しかなく、ノロウイルス感染を確認できても治療法は変わらない このような事実に加えて、今期のノロウイルスはとくに、陽性的中率が低いとされています。 ところが、保育園や幼稚園、あるいは職場からの要請で検査を求めてくる方は、けっこう多いのです。 そういった、施設や会社の方に言っておきます。ノロウイルスの迅速検査では、陰性の証明はできませんので。 このような、陽性的中率が低い検査法は、陽性であった場合にのみ意味があります。ああノロだったのかと。 その反対に、陰性だからといってああノロじゃなかった、とはまったく言えません。 ところが便検査でノロが陰性だと、「陰性だった」=「ノロじゃなかった」と勘違いされやすいのが問題。 ノロ陰性という検査結果を出すことが、ノロではない「お墨付き」を与えてしまうことにもなりかねません。 したがって、ノロではないことを証明する目的では、ノロウイルス検査をしてはならないのです。
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