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キイトルーダ登場
- 2017/02/09(Thu) -
昨日の中医協で「キイトルーダ」の薬価が決定しました。例の「オプジーボ」と同様の、がん免疫療法薬です。

100mg瓶が410,541円、20mgが84,488円と、オプジーボ同様、異常に高額な薬です。
100mg瓶が364,925円、20mgが75,100円のオプジーボよりも高いのかというと、そうではありません。
体重50kgの人において、キイトルーダとオプジーボが、同じ医療費負担になるように決められたからです。

オプジーボの用量は、体重1kg当たり3mgなので、50kgの人なら150mgとなります。
これを2週間に1回注射するので、1日薬価 (1日当たりの薬価) は、(36,4925 x 1.5)/14 =39,099.11円です。

キイトルーダの用量は、体重と無関係に1回200mg。これを3週間に1回注射します。
1日薬価をオプジーボに揃えるなら、100mg瓶の薬価は、(39,099.11 x 21)/2 =410,541円になるわけです。

体重が50kgを超える人では、オプジーボの方が高額となりますが、それは必ずしも不利な点ではありません。
体重が50kgを超える人では、オプジーボの方がより多量の薬を使えると解釈することもできるからです。

新薬は、類似薬のあるものは「類似薬効比較方式」、類似薬のないものは「原価計算方式」で薬価を決めます。
キイトルーダは、オプジーボの類似薬なので、前者が採択されました。
さらに画期性加算、有用性加算、市場性加算、小児加算、先駆け審査指定制度加算などの補正加算が付きます。
キイトルーダでは、これらの補正加算は何も付かず、前述した通りオプジーボと同じ1日薬価となりました。

当初、キイトルーダ発売元のMSDは、オプジーボと同じ1日薬価であることを不服としました。
非小細胞肺がん治療における優位性があるので、有用性加算を付けて欲しいというわけです。
これに対して中医協は、オプジーボが腎細胞がん等にも効くという面を考慮し、両者に優劣はつかないと判定。

このようにして、今後同様のがん免疫療法薬が発売されたら、みな同じ1日薬価になっていくのでしょう。
つまり、どれを選んでも年間の薬剤費は、39,099.11 x 365 =1,427万円というわけです。
高いといえば高いですが、やがて市場が拡大すれば、例の「市場拡大再算定(特例)」でバッサリ値下げです。

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