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近親者を執刀する
- 2017/03/07(Tue) -
ドラマ『A LIFE』第8話では、キムタクが父親の心臓手術を執刀して、ちょっとしたトラブルが起きました。

「近親者は執刀しないのが外科の通例」だと、ドラマで言ってましたが、私には経験が無いのでわかりません。
それを敢えて執刀したキムタクが、手術のごく初期段階で肺動脈を傷つけ、かなり出血させてしまいました。

手術操作の準備として、大動脈に牽引用のヒモを回しておきます。これを「テーピング」といいます。
用いるのは、赤テープと決まっています。私の経験ではどこの病院でも赤だったし、ドラマでも赤テープ。
ついでに言うなら、上下大静脈は青テープ、肺動脈は黄テープというのも、たぶん全国共通でしょう。

大動脈の裏側に「直角鉗子」を入れ込んだ後、その先を少し広げ、テープの一端をつかみ、引き出します。
テープをつかむとき、大動脈のすぐそばにある肺動脈の壁も、同時に薄く挟み込んでしまうことがあります。
鉗子を引き出すときに抵抗があるので気付きますが、うっかり無理やり引き出すと、肺動脈が裂けます。

おそらくそのようないきさつで、キムタクも肺動脈壁を損傷したのでしょう。なんとか修復はできました。

近親者の執刀だから、余計な緊張をしていたということなのでしょうけど、そんなことってあるんでしょうか。
むしろ、手術の現場でよく見かけるのは、特別な患者を執刀する際の「格好つけ」の問題です。
手術の見学者がいたりVIP患者の執刀の場合、日頃よりもカッコよく手術したいと、つい思いがちです。
なので自信なさげに見える慎重な操作や、くどすぎる確認作業を、そのような時に限って省いてしまうのです。

魔が差すというのは、まさにそういう時です。
手術は、緊張しすぎて失敗するよりも、油断して失敗することの方が、ずっと多いと思います。

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