がん検診の見落とし報道
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- 2017/07/14(Fri) -
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青森県が行ったがん検診の調査検査を、NHKが大きく取り上げて、波紋を呼んでいます。
NHKは「胃がんと大腸がんでは、4割が見落とされていた可能性がある」などと報じました。 これに対して国立がん研究センターが、今回の調査では評価困難だととの声明を発表しました。 青森県がん情報サービスのサイトで調査結果をよく見てみると、ほぼNHKの誤報ですね。問題点は2つ。 (1)症例数が少なすぎる (2)観察期間が短すぎる これは青森県の責任ではありません。予備的調査として、10町村の検診結果をまとめてみただけなのです。 たとえば胃がん。ある1年間で見つかった胃がん患者は、全部で10人。 そのうち検診で要精査とされていたのが6人。あとの4人は精査不要と言われていた。だから見落とし4割だと。 たったの10人ですよ。この人数で、どれだけ正しい評価ができるというのでしょう。 調査対象の10町村の、それぞれの町村1つずつの結果を見ていくと、その問題がもっとはっきりします。 ある町(村)では、胃がん患者は1人だけ。この人は検診で要精査だったので、この町(村)は見落としゼロです。 一方で別の町(村)では、胃がん3人が全員、検診では精査不要との判定だったので、なんと見落とし10割です。 このように、少人数の患者の調査で、的中率だとか見落とし率だと言うこと自体、ナンセンスなのです。 せめて、がん患者100人単位で調べた結果なら、多少は統計学的に意味があるでしょうけどね。 もちろんこのことは青森県もわかっていて、やがて全県に広げるつもりの調査の、あくまで予備調査なのです。 ところがNHKはその数値の部分に食いついて、大きく報じたわけです。統計学的な思考が全く欠けています。
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