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あれなくばこれなし
- 2017/07/18(Tue) -
「植え込み型補助人工心臓」の植え込み手術を受けた方が、人工心臓特有の合併症で亡くなった医事訴訟。
植え込み基準以下の小柄な患者さんで、体格が原因ではないにせよ、死亡と手術の因果関係が認められました。
これは何年も前の事件ですが、最近解説記事が出ていたので、あらためて一般論で考えてみました。

一般的な治療法では治る見込みのない、死期も迫る病状で苦しむ患者さんがいるとします。
ある特殊な先進医療があるけれど、それを受けられるための適応基準は、ギリギリ満たしていない。
患者も家族も、藁にもすがる気持ちでその治療を望み、主治医もなんとか期待に応えたい。
その治療法を選択しなければ、患者はやがて確実に死亡する、という差し迫った状況。

数値を少しごまかして、基準を満たしたことにして治療を受けさせた場合、それはルール違反です。
もしもその結果、この治療ではときどき起こり得る合併症で患者さんが亡くなった場合に、問題となります。

裁判所は、規定に反する治療をして死亡したのだから、死亡の原因は治療である、と解釈するからです。
いわゆる「あれなくばこれなし」、治療しなければ死なずに済んだと、因果関係を認める理屈です。
たとえ治療をしなければ死亡する病状であったとしても、死亡の原因は不適切な治療ということになるのです。

このような解釈は、科学的とは言えません。
治療を行った場合と行わなかった場合とで、死亡率やその時期、その他の因子を比較していないからです。

難しい治療に挑んだ医師を、結果が悪ければすぐ非難するような社会は、医療を萎縮させるばかりです。

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