抗生剤使用法の反省
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- 2017/08/30(Wed) -
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「安易に抗生剤を処方しない」「普通の風邪に抗生剤は効かない」
このことは当ブログにも何度か書いてきました。しかし最近、あらためて反省させられる出来事がありました。 他院の先生から、当院を含めた医療機関における抗生剤の使い方への、疑問の声を頂戴したのです。 そのことを、当院かかりつけの患者さんが、匿名の手紙で知らせてくれました。ありがたいことです。 安易な抗生剤の使用がもたらす耐性菌の増加という弊害は、感染症治療においてきわめて憂慮すべき問題です。 抗生剤使用の是非は、病状経過を慎重に観察し、血液検査やその他の検査を踏まえて判断するのが本来です。 とくに、小児用としては最強の抗生剤オゼックスは、その安易な使用は厳に慎むべき薬です。 しかしながら、目の前の患者さんの病状によっては、やや見切り発車的に抗生剤を選択するケースもあります。 前にも書いたように、従来からマイコプラズマ肺炎によく使う抗生剤が、今年はほとんど効きませんでした。 そんな時、切り札としてオゼックスに切り替えたところ劇的に著効したケースを、何度も経験しました。 やがて、しつこい咳と高熱が続いたら、ついつい最初からオゼックスを選択するようになったかもしれません。 このような処方のやり方は、科学的ではありません。おおいに反省しなければなりません。 そこで今後は、以前よりも我慢強く病状経過を観察し、必要な検査があれば繰り返し行う方針としました。 抗生剤を処方する場合にも、耐性菌を考慮した薬剤選択を意識しなければなりません。 開業しておよそ10年になりますが、順調な経過よりも、手こずった患者さんの記憶の方が強く残っています。 早く抗生剤を出しとけばよかったと、後悔したケースも多数あります。 病態を正しく判断して適切な抗生剤を良いタイミングで使うということが、実はとても難しいのです。
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