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鶏卵馴化
- 2017/10/16(Mon) -
毎日多くの方が、インフルエンザワクチンの接種を受けに来られます。早めの接種をお勧めしています。
今シーズンはワクチンが大幅に不足しています。前にも書いたように、ワクチン製造株の決定が遅れためです。

じゃあなぜ、製造株の決定が遅れたのか、ということなんですけどね。けっこう根の深い問題があるのです。

インフルエンザワクチンは2年前から、4つの型(株)のウイルスに効く「4価ワクチン」になっています。
4つの型とは、「AH3亜型」(以前の季節性)と「AH1pdm09亜型」(以前の新型)と、2系統のB型です。
この4つの型それぞれについて、次のシーズンで流行する株を予測して、国が製造株を決定します。
メーカーはそれにしたがって製造を開始します。製造に要する期間は7〜8カ月です。

ワクチンがよく「効く」かどうかは、製造株と実際の流行株がどれだけ一致したかによります。

4価になってB型が2系統含まれるようになり、B型インフルエンザの「はずれ」はほぼ、解消されました。
A型のうち「AH1pdm09亜型」も、2009年以来ウイルスの変化が少なく、たいてい毎年「当たり」です。
問題は「AH3亜型」。流行株が正しく予測できても、製造途中でワクチンの成分が変異してしまうのです。

鶏卵内で培養しているうちに、ウイルスが卵に合わせて変化するからです。これを「鶏卵馴化」といいます。
ワクチンの成分(抗原)がどんどん変化(変異)し、できあがったワクチンはまるで別物になってしまいます。
今年のワクチンは型が合わなくて効かなかったね、と言われるのは、たいていこの鶏卵馴化によるものです。

それを解消すべくこのたび、細胞培養で分離した株を鶏卵で培養するという、新たな製造法が採用されました。
これが今期の「AH3亜型」製造株として最初に「内定」していた、「A/埼玉 (103/2014)」株でした。

ところが、試験的に作ってみると、なかなか増殖しない。このままではワクチン製造量が激減してしまう。
やむを得ず急遽、昨年使った鶏卵培養の「A/香港 (4801/2014)」株を、再登板させたわけです。
ですがその決定が遅く、結果的にワクチンの製造が遅れ、今回のワクチン不足に至ったという顛末です。

そんなわけで今年のワクチンは、AH3亜型ウイルスに対しては、例年と同程度に「効きが悪い」でしょうね。

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