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低酸素誘導因子
- 2019/10/08(Tue) -
ノーベル医学・生理学賞は、「細胞が酸素を感知し適応する仕組み」を解明した3人の研究者が受賞しました。
昨年とは打って変わって、日本人が受賞しないと報道量が圧倒的に少ないですね。これじゃイカンでしょ。

酸素は、生命活動に必要な基本中の基本物質。細胞内の酸素不足を敏感に感知する仕組みがあって当然です。
詳細をここで解説する能力は私にはありませんが、あらゆる細胞に関わる重要機構であることはわかります。

「低酸素誘導因子(HIF)」の面白いところは、細胞内で常に合成され、しかもすぐ分解されてる点ですね。
その分解には酸素が必要な酵素反応があり、低酸素状態になると分解が滞ってHIFが溜まります。
するとHIFはDNAに結合し、細胞機能のさまざまな調節因子の遺伝子発現を制御するというわけですよね。
(ざっくりと、私はそのように理解してますが、間違っていたら恥ずかしいので早めにご指摘ください)

貧血や心臓病や脳卒中など、低酸素が関連する病態にHIFは必ず関わっているため、臨床応用は広範囲です。
がん細胞が低酸素状態でもガンガン増殖できるのは、HIFを「悪用」しているからだとも解説されています。
HIF研究が今後臨床応用されていくとしたら、がん治療もその1つになるでしょう。

ただ一般的に、臨床応用に直結する実用的な研究ばかりを優先する昨今の風潮は、とても悲しいことです。
「人体の仕組みを知りたい」という純粋な気持ちこそが、将来の人類に貢献する大研究を生むと信じています。

残念ながら、そのような研究を育むための、教育環境・システム・予算が、いまの日本にあるとは思えません。
それ以前に、子どもの人口がジリ貧です。このままでは将来の研究者自体が足りません。どうするんだろ。

「日本の近年のノーベル賞ラッシュは、過去の遺産を食いつぶしたものに過ぎない」
3年前にノーベル医学・生理学賞を受賞した大隅良典先生の言葉が、ズシッと重いですね。

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