コロナ禍の「電話初診」制度は、もう少し続けて欲しい
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- 2020/10/10(Sat) -
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電話1本で、診たことも無い患者さんの「診察」を行って薬を「処方」するのは、かなり特別なことです。
「診察は対面が原則」が診療の基本ですが、対面診察によるコロナ感染のリスクの方が、いまは重大なのです。 さらにそれが、「初診」でもOK、となったのが、このコロナ禍における、ある意味画期的な特例でした。 しかも、専用の機器を利用した「オンライン診療」ではなく、電話を使った音声だけの診療も認められました。 ウィズコロナの時代を見据えれば、オンライン診療は「恒久化」に向かうべきものと考えられています。 ただし田村厚労相は、「電話ではなく映像を原則にする」と、電話だけの初診は除外する方針を示しました。 「電話だけではきちんとした診察ができない」という、いまさらのような理由です。 そのかわり、「映像」を伴うオンライン診療なら今後も、初診でもOK、ということになります。 私が学生や研修医のころには、診察の基本は問診であり、問診だけで8割がた診断が付く、と習いました。 さらに視診・触診・打診・聴診という手技が加わり、必要な検査をして、診療の完成度を上げていくわけです。 「問診(電話)」だけではダメだけど、「問診+視診」ならOK、という理屈が、私にはわかりません。 段階的に、問診のみなら何点、視診も加われば何点、というような診療報酬の決め方ではダメですか。 コロナを恐れて受診控えする患者を防ぐのが、コロナ禍のオンライン診療の基本的な考え方です。 多くは、受診の必要も無い方かもしれませんが、一部に、受診控えをしてはならない重症者がいるのです。 ところが映像(視診)というハードルは、パソコンもスマホも持たない患者を見逃すことになりかねません。 オンライン診療には、受診控えしている重症者を見いだす役割もあり、それは問診だけでトリアージできます。 コロナ感染者も、多くは問診で見当を付けて検査しており、私の経験上、視診が決め手だった方はいません。 オンライン診療の恒久化とは別問題ですが、いまはまだ、電話初診を廃止する時期ではないと思います。
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