「豚汁」は「ぶたじる」か「とんじる」か
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- 2023/08/16(Wed) -
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「豚カツ」が、わが家の食卓に上るとき、ほぼ必ず「豚汁」が添えられます。以前からそういう流儀なのです。
その「豚汁」のことを、東京などでは「とんじる」と言うようですが、わが家では昔から「ぶたじる」です。 「とん」は「豚」の音読みで「ぶた」は訓読みですが、「汁」の音読みは「じゅう」で「しる」は訓読みです。 したがって、「ぶたじる」は訓読みですが、「とんじる」と読んでしまうと「重箱読み」になります。 昔は全国的に「ぶたじる」だったそうですが、NHKの塩田氏によると、東京から「とんじる」が始まったとか。 2000年の調査では、北海道を除く東日本が「とんじる」、それ以外が「ぶたじる」という分布でした。 しかし「とんじる」の勢力範囲は年々拡大し、その後は近畿地方も「とんじる」に寝返っています。 こうして、テレビ等による東京からの情報発信力の強さによって、全国に「東京方言」が広がっていくのです。 いまや「ぶたじる」は、九州北部と北海道と鳥取に局在した、マイナーな読み方になってしまったようです。 九州はともかく、北海道と鳥取に共通する読み方と聞くと、松本清張の『砂の器』を思い出してしまいます。 あの映画では、東北地方と出雲地方に共通する「ズーズー弁」が、重要な鍵となりました。 それが「かめだ」ではなく「とんじる」だったとしたら、丹波哲郎と森田健作は鳥取砂丘を歩いたはずです。
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