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たらい回し
- 2013/03/06(Wed) -
救急患者の「たらい回し」がまた、ニュースになっています。
埼玉県で急病患者が、36回にわたって「受け入れ拒否」にあい、2時間半後に死亡したとのこと。

そのような結果に至ったのは残念なことであり、問題点を掘り下げていく必要があります。
しかし、マスコミが好んで使う「たらい回し」という言葉は、不適切だと思います。
医療現場の実態を考慮せず、結果だけを見て医療機関を非難するニュアンスがあるからです。

しかしそれ以上に、「受け入れ拒否」という言葉には、マスコミの、医療機関への悪意を感じます。
病院はやむを得ず受け入れを断っているのであり、「受け入れ困難」とか「受け入れ不能」と言うべきです。

例えばある人が、どうしてもカレーパンを食べたくなったとします。
ところがスーパーに行くと「売り切れ」。この場合「販売拒否」ではありません。「販売不能」です。
別のパン屋に行くと、団体客がカレーパンを買おうとしている。店主には他を当たってくれと言われる。
他のコンビニに行けば、消費期限切れなので売ってもらえず、次の店でも断られ、その次の店でも・・・

これを、たらい回しにされたと言うでしょうか。
いいえ、どの店にもカレーパンがなかっただけの話です。つまり、カレーパンが足りないのです。

病院も同じ。医師や看護師やベッド数が不足しています。
救急を担当する医師の多くは、労働基準法に抵触するほどの長時間労働を強いられています。
ベッド数は、医療スタッフの数に応じた規定があるので、やみくもに増やすわけにはいきません。
病床稼働率(入院患者の埋まり具合)が、限りなく100%に近くなければ採算がとれない仕組みも問題です。

「受け入れ拒否」と報じられた病院は、急患を受け入れる余裕がないから断っただけなのです。
救急搬送を要請された25の医療機関が、のべ36回連続で受け入れ不能だったという状況こそが大問題です。

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