新ワクチンのジレンマ
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- 2013/11/02(Sat) -
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子どもの定期予防接種のひとつ「小児用肺炎球菌ワクチン」が、今月から新ワクチンに変わりました。
高齢者では肺炎を引き起こす肺炎球菌ですが、乳幼児では髄膜炎などの重症感染症が問題となります。 肺炎球菌には多くの「型」があり、そのうち7つの型に有効なのが、従来の小児用ワクチン「PCV7」です。 日本では平成22年に発売されて任意接種が始まり、今年4月からは定期接種となりました。 ところが最近、小児の重症肺炎球菌感染症でいちばん多いのは、PCV7に含まれていない型の菌が原因です。 これは当然のことで、7つの型の感染症が減ったので、残りの型の肺炎球菌が目立ってきたというわけです。 そこで、さらに6つの型に有効な抗原を加えて、7+6=13の型に効くようにしたワクチンが「PVC13」です。 11月1日から、PVC13が定期接種に導入されると同時に、PCV7は廃止されました。一斉切り替えです。 接種回数はこれまでと同じで、全部で4回。接種を始めた月齢によっては、接種回数が減ります。 すでに途中までPCV7を接種してきたお子さんは、残りの回数分だけ、PVC13 を接種することになります。 PCV13は、より広範囲の肺炎球菌をカバーできるので、PCV7よりも明らかに優れたワクチンです。 11月からのPCV13の導入がわかっていたら、PCV7なんて接種せずに待ちたいと思った人もいるでしょう。 これが「接種控え」です。接種控えによって、免疫獲得時期が遅れるため、感染のリスクは高まります。 厚労省もメーカーも医療機関も、PCV13の導入計画はおろか、その存在の公表もこれまで控えてきました。 接種控えを防ぐためとは言え、新ワクチンのことを知らせないのが本当に正しいことだったのか。 ワクチンが改良されるとき、いつも同じジレンマを感じます。
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