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子宮頸がん予防ワクチンの現状
- 2014/01/07(Tue) -
ほとんど忘れ去られているHPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)について、年末に動きがありました。
厚労省の審議会で、さまざまな論点について議論が行われたようです。がしかし、その結論は「継続審議」。
なんでそうなるの? って思いで、久しぶりにこのワクチンの副作用問題について整理してみます。

日本に導入されたのは、欧米から2,3年遅れの2009年12月。定期接種化はぐっと遅れて、昨年の4月でした。
ところがその、わずか2カ月半後、「積極的勧奨接種」が差し控えとなりました。
接種後に起きたとされる「複合性局所疼痛症候群(CRPS)」などの副作用が問題となったからです。
当時ニュース番組では、CRPSの患者さんの映像が何度も何度も流され、国民にその怖さを植え付けました。
これまでにCRPSが起きた頻度は、約890万回の接種において、13例でした。

「CPRSの原因は注射針の痛みかもしれないが、少なくともワクチンの成分ではない」
医学的にはこのような結論に達しているのに、当時のマスコミは聞く耳を持たない状況でした。

英国では、約685万回の接種後に、6例のCRPS疑い例が報告されましたが、医薬品庁の結論はこうです。
「針を刺す行為をきっかけとして起こる可能性は考えられるが、ワクチンそのものの安全性は別問題」
「安全性への懸念が示されているものではない」

WHOの「ワクチンの安全性に関する諮問委員会」も、日本の状況を受けて以下のように結論しました。
「HPVワクチンは世界中で使用されているが、他のどの国からも、日本と同様の懸念は生じていない」
「HPVワクチンの安全性に疑問を呈する理由は見当たらない」

ワクチンに限らず薬は一般に、利点(効果)と欠点(副作用)のバランスを考慮して使用されます。
現在世界中で広く使われているワクチンは、この効果が副作用に勝ると判断されたものばかりです。

HPVワクチンの問題は、子宮頸がんの予防効果がすぐには現れず、その有効性がわかりにくいことです。

欧米諸国は「理論的考察」によって、何年も先になって効果が現れるワクチンを、ずっと使い続けています。
一方日本は「感情的考察」によって、目の前に現れた副作用をおそれ、ワクチン接種を事実上中断しました。

日本人はしかし、時間がたつと冷静さを取り戻します。いま私は、それを期待しているところです。
厚労省の推計では、これまでの接種によって、子宮頸がんによる死亡を3600人以上回避できたとのこと。
こういうことを、マスコミはあまり取り上げません。

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