バイオテロと水痘
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- 2014/01/31(Fri) -
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「猛毒のサリンが名古屋の野球場で散布された」という想定で、国などの合同訓練が行われたそうです。
「化学テロ」で使われるサリンなどは、ただちに毒性を発揮するので、テロ現場で大きな被害が出ます。 一方で「バイオテロ」の場合、病原体感染から発症までに潜伏期があり、被害が拡大しやすいのが問題です。 バイオテロに使われ得る病原体と言えば、「炭疽菌」と双璧をなすのが「天然痘」ウイルスです。 人から人へ感染しない炭疽菌とは異なり、天然痘は感染力が極めて強く、発症したら致死率30%です。 天然痘は、ワクチンによる予防がきわめて有効で、1980年にはWHOから根絶宣言が出されました。 日本でも1976年に、定期接種としての種痘が中止されました。 すでに地球上から根絶された天然痘ですが、一部の研究機関には、そのウイルスが保管されています。 もしもウイルスがテロリストに奪われたら、それこそ映画に出てくるような一大事になります。 じつは、水痘ワクチンを定期接種化するのには、「バイオテロ対策」という側面があります。 天然痘の初期症状は、水痘に似ているそうです。19世紀まで両者は、明確に区別されていなかったほどです。 学術資料の写真で確認すると、少なくとも最初の2,3日は、天然痘の発疹は水痘にそっくりです。 発症5,6日後以降の発疹の経過はまったく異なりますが、感染防御の観点からは、もはや手遅れの時期です。 水痘が蔓延してありきたりになっている日本で、天然痘をすぐに見分けて隔離することは困難でしょう。 というわけで、天然痘バイオテロを早期発見するためには、まずは水痘を撲滅しましょう。
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