生活保護医療
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- 2014/04/07(Mon) -
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生活保護制度にはさまざまな問題がありますが、日祝診療をしている当院では、特有の問題に直面します。
受給者の数は、今年1月時点で216万人あまりと、過去最多を更新中だそうです。 その支給額は年に3兆円を超え、半分弱が「医療扶助」。医療は「現物給付」、つまりタダなのです。 ただし、生活保護受給者が医療を受けるためには、その都度一定の手続きが必要です。 医療機関を受診する前にまず、区役所の福祉事務所に行って、「医療券」を発行してもうら必要があります。 簡単に言えば、風邪をひいて熱が出たら、医者に行く前に区役所に行かなければならない、ということです。 このように面倒臭くしている理由はもちろん、受給者が安易に医療機関を受診しないようにするためです。 しかし、かたや医療費をゼロにしておきながら、かたや受診をしにくくするというのは、いかがなものか。 手続きを面倒にして受診を抑制しようという、その発想がいやらしい。 さらに問題は、休日や夜間の急病です。役所は開いてないので、医療券がもらえません。 それはつい昨日(日曜日)の話です。 初めて当院を受診された方が、生活保護受給者だと申告されました。しかし医療券はありません。 夜間休日の受診用に「緊急時医療依頼証」が渡されているはずなのですが、それも持参されていません。 休日なので、役所に問い合わせて確認することもできません。 このような場合でも、来院者を信じて、窓口負担なしで医療を提供しなければならないのか。 私が悩んでいるうちに、その患者さんは帰宅されました。さいわい、病状は軽そうでしたが。 本日、この件を市役所の担当部署(保護管理援護課)に尋ねてみたところ、珍回答を得ました。 「そのような場合の対応は、医療機関の判断にお任せします」と。 つまり、病人の診療は医者の義務だが、役所としては診療報酬の保証はできませんよ、ということです。 今回のような想定外の事態に対して、役所には臨機応変な対応ができないので、現場に丸投げです。
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